JP2011224497A - 汚染土壌浄化用栄養材、及び、汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

汚染土壌浄化用栄養材、及び、汚染土壌の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化する。
【解決手段】 大豆油のエマルションと、このエマルションの乳化状態を安定化させる安定化成分とを含有し、有機塩素化合物で汚染された土壌に混合されることで、有機塩素化合物を分解する微生物を活性化し、有機塩素化合物の分解を促進させる汚染土壌浄化用栄養材であって、安定化成分としてカゼインナトリウムを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機塩素化合物が含まれた汚染土壌を現場(原位置)で浄化すべく、この有機塩素化合物を分解する微生物を活性化するための栄養材、及び、この微生物を用いた汚染土壌の浄化方法に関する。
特許文献1には、難分解性有機塩素化合物を微生物によって分解するに際し、油脂エマルションを汚染土壌等に混合する技術が開示されている。また、特許文献2には、界面活性成分を汚染物質含有土壌に注入することで、油分による汚染土壌を浄化する浄化方法が開示されている。
特開2003−190922号公報 特開2005−66408号公報
ところで、地盤中の間隙は小さいため、その中をエマルションが通過しようとすると、エマルションは他のエマルションや粘土鉱物等と衝突を繰り返すことになる。このようにエマルションが集まって接触することにより、エマルションが凝集してしまう。ここで、一般的なエマルションは電荷を有していないため、互いに接触して凝集状態になると粒子同士が離れないという特性を有している。このため、凝集状態が解消され難いという問題があった。そして、エマルションが凝集してしまうと、微生物がエマルションを栄養源として取り込み難くなり、汚染土壌の浄化が遅れてしまうという問題点があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、地盤中におけるエマルションの分散性を高め、汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、植物性油脂のエマルションと、前記エマルションの乳化状態を安定化させる安定化成分とを含有し、有機塩素化合物で汚染された土壌に混合されることで、前記有機塩素化合物を分解する微生物を活性化し、前記有機塩素化合物の分解を促進させる汚染土壌浄化用栄養材であって、前記安定化成分は、カゼインナトリウムであることを特徴とする。
また、本発明は、植物性油脂のエマルションと、前記エマルションの乳化状態を安定化させる安定化成分とを含有する汚染土壌浄化用栄養材を、有機塩素化合物で汚染された土壌に混合することで、前記有機塩素化合物を分解する微生物を活性化し、前記有機塩素化合物の分解を促進させる汚染土壌の浄化方法であって、前記安定化成分として、カゼインナトリウムを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、カゼインナトリウムは電荷を保持しているため、吸着によってエマルションが電荷を持って互いに反発する。これにより、エマルションの分散性を高めることができ、乳化状態を安定化できる。そして、微生物がエマルションを栄養源として取り込み易くなって活性が高まることから、汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化できる。さらに、カゼインナトリウムは栄養価の高いタンパク質であり、微生物の良好な栄養源ともなる。この点でも、微生物による有機塩素化合物の分解を促進させることができ、汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化できる。
本発明において、窒素源及びリン源をさらに含有するようにした場合には、微生物を早期に活性化できる。
本発明において、前記エマルションが、水と、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、大豆油リン脂質のいずれか1つ以上からなる界面活性剤と、植物油とを混合攪拌し、均質化したものである場合には、カゼインナトリウムとの吸着性が良好なエマルションを作製することができる。
本発明によれば、汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化することができる。
実施例の栄養材による汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。 対象区におけるトリクロロエチレンの濃度変化を説明するグラフである。 第1比較例を説明する図であり、市販栄養材による汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。 第2比較例を説明する図であり、大豆白絞油のエマルションのみによる汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。 第3比較例を説明する図であり、植物油エマルションに窒素及びリンを添加したものによる汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態において分解対象となる有機塩素化合物は、揮発性の有機塩素化合物であって微生物によって分解可能なものである。このような有機塩素化合物としては、例えば、テトラクロロエチレン(PCE)、トリクロロエチレン(TCE)、シス−1,2−ジクロロエチレン(cis−1,2−DCE)、塩化ビニル(VC)が挙げられる。
これらの有機塩素化合物の分解能を有する微生物としては、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、メタノサルシナ(Methanosarcina)属、メタノロブス(Methanolobus)属等の嫌気性古細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、デスルフォバクテリウム(Desulfobacterium)属、デスルフォモニル(Desulfomonile)属、デハロスピリルム(Dehalospirillum)属、デハロバクター(Dehalobacter)属、デハロバクテリウム(Dehalobacterium)属、デハロコッコイデス(Dehalococcoides)属、クロストリジウム(Clostridium)属等の嫌気性微生物が挙げられる。
これらの嫌気性微生物による還元的脱塩素化反応により、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンは、シス−1,2−ジクロロエチレン、及び、塩化ビニルを順に経て、エチレンにまで分解される。すなわち、これらの嫌気性微生物は、水素をエレクトロンドナーとし、テトラクロロエチレン等をエレクトロンアクセプターとする還元塩素化素反応により、エネルギーを獲得して増殖することができる。
この嫌気性微生物を活性化する栄養材は、植物性油脂のエマルションと、窒素源及びリン源と、安定化成分とを含有する。なお、必要に応じてpH調整剤が添加される。
植物性油脂のエマルションは、嫌気性微生物が有機塩素化合物を還元脱塩素化するための水素供与材となる。すなわち、植物性油脂のエマルションは徐々に分解されて有機酸を生成し、有機酸はさらに分解されて水素を生成する。この水素は、土壌が嫌気状態とされた後において、嫌気性微生物が有機塩素化合物を還元脱塩素化する際に用いられる。
上記のエマルションは、植物性油脂と界面活性剤とを水に添加し、攪拌混合して均質化することで得られる。そして、植物性油脂としては、大豆油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、サフラワー油、コーン油、ひまし油、ごま油、ぬか油、ひまわり油、ベニバナ油、落花生油等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの油脂を単独で用いても良いし必要に応じ2種類以上を併用しても良い。界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、大豆油リン脂質のいずれか1つ以上を用いることができる。なお、エマルションを作製するための植物性油脂及び界面活性剤に関し、微生物によって分解されるものであることから、食用であることが好ましい。
窒素源及びリン源は、微生物を増殖させるための無機の栄養源となる。窒素源及びリン源は、嫌気性微生物のみならず、好気性微生物を増殖させるための栄養源となる。そして、窒素源としては尿素を用いることができ、リン源としてはリン酸二水素カリウムを用いることができる。なお、窒素源及びリン源は、尿素やリン酸二水素カリウムに限られず種々の物質を用いることができる。また、浄化対象となる土壌中に窒素源やリン源となる物質が十分に含まれていれば、窒素源やリン源を添加しなくてもよい。
安定化成分は、前述のエマルションが凝集等を生じずに栄養材の中で安定的に存在するように補助するものである。本実施形態では、この安定化成分としてカゼインナトリウムを選定した点に構成上の特徴を有している。
カゼインナトリウムは、カゼインのナトリウム塩であることから電荷を保持している。このため、カゼインナトリウムがエマルションに吸着することにより、エマルションが電荷を持つ。電荷を持ったエマルション同士は互いに反発するので、凝集を防止でき、乳化状態を安定化できる。乳化状態が安定化されると、微生物は、小さな粒子のエマルションを栄養源として取り込み易くなり、活性が高まる。これにより、汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化できる。
また、カゼインナトリウムの基となったカゼインは栄養価の高いタンパク質であるので、微生物の良好な栄養源ともなる。この点でも、微生物による有機塩素化合物の分解を促進させることができ、汚染土壌の浄化に要する時間を短縮化できる。
pH調整剤は、土壌が過度な酸性にならないように添加される物質であり、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物等が用いられる。例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明において「%」及び「部」は特に断らない限り、「重量%」及び「重量部」をあらわす。
<栄養材について>
本実施例の栄養材では、安定化成分としてカゼインナトリウムを用いた。そして、カゼインナトリウムと相性のよい(吸着性の良好な)植物性油脂のエマルションとして大豆白絞油のエマルションを用いた。また、窒素源として尿素を、リン源としてリン酸二水素カリウムを用いた。さらに、pH調整剤として炭酸水素ナトリウムを用いた。
<エマルションの調製について>
エマルションの調製は、次の手順で行った。まず、所定の容器に水21.9部と市販のグリセリン脂肪酸エステル5部とを仕込み、良く撹拌し溶解させた。ここに大豆白絞油50部を撹拌しながら徐々に加え予備混合物を得た。これをホモジナイザー(プライミクス社製T.K.ホモミクサーMARKII2.5型)を用い12000rpmで10分間均質化処理をしたのち水23.1部を徐々に加え100部のエマルションを得た。
得られたエマルションについて、粒子の大きさをレーザー回折式粒度分布計で測定したところ、平均粒子径(D50)は1.0μm、10%累積径(D10)は0.6μm、90%累積径(D90)は1.5μmであり、微細かつシャープな分布を有していた。
汚染土壌の代用となる模擬汚染土(後述)への混合時において、エマルションは希釈して用いた。具体的には、容器に水200部を仕込んだ後、撹拌しながら前述のエマルション4部を徐々に加え、油分約1.0%の希釈されたエマルションを得、この希釈されたエマルションを模擬汚染土に混合した。
<安定化成分等について>
安定化成分としてのカゼインナトリウムは、濃度2%の水溶液を用いた。窒素源としての尿素は、濃度4.5%の水溶液を用いた。リン源としてのリン酸二水素カリウムは、濃度0.9%の水溶液を用いた。pH調整剤としての炭酸水素ナトリウムは、濃度6%の水溶液を用いた。
<比較例について>
第1比較例では、市販栄養材を用いて汚染土壌の浄化を行った。この市販栄養材は、植物油のエマルション(SRS)によって構成されている。第2比較例では、大豆白絞油のエマルションのみを用いて汚染土壌の浄化を行った。第3比較例では、大豆白絞油のエマルションに、窒素及びリンを添加したものを用いて汚染土壌の浄化を行った。
本実施例、対象区、及び、各比較例の内容を表1に示す。この試験では、100gの山砂(湿土)を用意し、この山砂に、蒸留水、及び、トリクロロエチレン溶液を添加して模擬汚染土とした。この模擬汚染土に、嫌気性微生物(有機塩素化合物の分解菌)の培養液、エマルションやカゼインナトリウム、pH調整剤を表1のように添加した。なお、対象区とは、水、トリクロロエチレン溶液、及び、微生物培養液を添加しただけの参照用土壌である。
−表1−
Figure 2011224497
表1のように、本実施例では、100gの山砂に対して、純水を76mL、トリクロロエチレン溶液を2mL、微生物培養液を2mL、希釈エマルション溶液を1.0mL(乳化植物油として0.525g相当)、カゼインナトリウム溶液を2.5mL(カゼインナトリウムとして0.05g相当)、窒素源・リン源の水溶液を1mL、炭酸水素ナトリウム水溶液を5mL添加して攪拌し、静置した。
また、対象区では、100gの山砂に対して、純水を81mL、トリクロロエチレン溶液を2mL、微生物培養液を2mL添加して攪拌し、静置した。
第1比較例では、100gの山砂に対して、純水を80mL、トリクロロエチレン溶液を2mL、微生物培養液を2mL、市販栄養材溶液を0.9mL、炭酸水素ナトリウム水溶液を2mL添加して攪拌し、静置した。この第1比較例は、本実施形態に対して、エマルション(栄養成分)の種類が異なっており、さらにカゼインナトリウムと尿素とリン酸二水素カリウムとが添加されていないものを用いた例といえる。
第2比較例では、100gの山砂に対して、純水を80mL、トリクロロエチレン溶液を2mL、微生物培養液を2mL、希釈エマルション溶液を1.0mL、炭酸水素ナトリウム水溶液を5mL添加して攪拌し、静置した。この第2比較例は、本実施形態に対して、カゼインナトリウムと尿素とリン酸二水素カリウムとが添加されていないものを用いた例といえる。また、第1比較例に対して、エマルションの種類が異なっているものを用いた例といえる。
第3比較例では、100gの山砂に対して、純水を80mL、トリクロロエチレン溶液を2mL、微生物培養液を2mL、希釈エマルション溶液を1.0mL、窒素源・リン源の水溶液を1mL、炭酸水素ナトリウム水溶液を5mL添加して攪拌し、静置した。この第2比較例は、本実施形態に対して、カゼインナトリウムが添加されていないものを用いた例といえる。また、第2比較例に対して、尿素とリン酸二水素カリウムとが添加されたものを用いた例といえる。
<試験結果について>
試験結果を図1〜図5に示す。図1は、本実施例の栄養材による汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。図2は、対象区におけるトリクロロエチレンの濃度変化を説明するグラフである。図3は、第1比較例での汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。図4は、第2比較例での汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。図5は、第3比較例での汚染土壌の浄化作用を説明するグラフである。
まず、対象区について検討する。図2に示すように、対象区では添加初日においてトリクロロエチレン濃度が約19mg/Lであった。時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は減少する傾向がみられたが、76日経過してもなお13mg/L程度であった。環境基準値が0.03mg/L以下であることを考慮すれば、非常に高い濃度といえる。また、時間の経過によって濃度の減少が見られた理由は、トリクロロエチレンが揮発性であり、その一部が大気放出されたためと考えられる。
次に、本実施例について検討する。図1に示すように、本実施例の栄養材を用いると、添加初日におけるトリクロロエチレンの濃度は7mg/Lを多少下回る程度であり、7日目におけるトリクロロエチレンの濃度は1mg/Lを多少超える程度であった。このように、添加初日から濃度の減少が見られ、7日目には1/10以下の量にまで減少している。また、シス−ジクロロエチレンの濃度は、添加初日において0.1mg/Lを僅かに超える程度であったが、7日目には12mg/L程度にまで上昇した。環境基準値が0.04mg/L以下であることを考慮すれば、非常に高い濃度といえる。このシス−ジクロロエチレンは、トリクロロエチレンの分解物と考えられるため、7日目にして微生物が活性化していることが理解できる。
14日目において、トリクロロエチレンの濃度は0.01mg/L以下となり、その後も0.01mg/L以下の濃度を維持した。このため、トリクロロエチレンは14日目までにほぼ分解されたと考えられる。シス−ジクロロエチレンの濃度は、28日目まで10mg/Lを超える高濃度となっており、34日目で約6mg/Lまで低下した。そして、42日目以降は、0.01mg/L以下の濃度を維持した。
以上より、本実施例の栄養材を用いた場合、トリクロロエチレンは、7日目において1/10以下の濃度まで分解され、14日目には分解し尽くされることが確認できた。そして、トリクロロエチレンの分解生成物であるシス−1,2−ジクロロエチレンは、7日目にして10mg/Lを超える高濃度となるが、42日目までには分解し尽くされることが確認できた。なお、シス−1,2−ジクロロエチレンは、その後、塩化ビニルに分解され、さらにエチレンに分解される。従って、シス−1,2−ジクロロエチレンに分解されるまでの期間が短ければ、エチレンに分解されるまでの期間も短くなると考えられる。
次に、第1比較例について検討する。図3に示すように、市販栄養材溶液を用いると、添加初日におけるトリクロロエチレンの濃度は7mg/Lを多少超える程度であり、7日目においても変化はなかった。そして、シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度は、添加初日において0.1mg/Lよりも低かったが、7日目には2.5mg/L程度にまで上昇した。
14日目において、トリクロロエチレンの濃度は0.01mg/L以下となり、その後も0.01mg/L以下の濃度を維持した。このため、第1比較例でも本実施例と同様に、トリクロロエチレンは14日目までにほぼ分解されたと考えられる。シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度は、14日目に12mg/L以上にまで上昇し、その後、55日目まで12mg/Lよりも高い濃度を維持した。そして、76日目にして0.01mg/L以下の濃度になった。
以上より、栄養材として市販栄養材溶液を用いると、トリクロロエチレンは、7日目までの期間において高い濃度を維持するが、14日目までには分解し尽くされることが確認できた。また、シス−1,2−ジクロロエチレンは、14日目にして12mg/L程度の高濃度となり、その高濃度が55日目においても維持されるが、76日目までには分解し尽くされることが確認できた。
次に、第2比較例について検討する。図4に示すように、大豆白絞油のエマルション(便宜上、大豆油エマルションという)を用いた場合、添加初日におけるトリクロロエチレンの濃度は6mg/Lを多少超える程度であったが、7日目には10mg/Lまで上昇した。そして、シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度は、添加初日において0.1mg/Lよりも低かったが、7日目には0.2mg/L程度にまで上昇した。
14日目において、トリクロロエチレンの濃度は0.01mg/L以下となり、その後も0.01mg/L以下の濃度を維持した。このため、第2比較例でも本実施例や第1比較例と同様に、トリクロロエチレンは14日目までにほぼ分解されたと考えられる。シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度は、14日目に約12mg/Lにまで上昇し、その後の76日目でも10mg/L以上の高濃度を維持した。
以上より、栄養材として大豆油エマルションを用いると、トリクロロエチレンは、14日目までには分解し尽くされることが確認できた。しかし、シス−1,2−ジクロロエチレンは、14日目にして10mg/L程度の高濃度となり、その高濃度が76日目においても維持されることが確認できた。このことは、シス−1,2−ジクロロエチレンの分解に長期間を要することを示している。
次に、第3比較例について検討する。図5に示すように、大豆油エマルションに窒素源・リン源の水溶液を加えたもの(便宜上、NP添加エマルションという)を用いた場合、添加初日におけるトリクロロエチレンの濃度は6mg/Lを多少超える程度であったが、7日目には9mg/Lまで上昇した。そして、シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度は、添加初日において0.1mg/Lよりも低かったが、7日目には0.2mg/L程度にまで上昇した。
14日目において、トリクロロエチレンの濃度は0.01mg/L以下となり、その後も0.01mg/L以下の濃度を維持した。このため、第3比較例でも本実施例や第1、第2比較例と同様に、トリクロロエチレンは14日目までにほぼ分解されたと考えられる。シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度は、14日目に約11mg/Lにまで上昇し、その後の42日目まで10mg/L以上の高濃度を維持した。そして、55日目以降は0.01mg/L以下の濃度になった。
以上より、栄養材としてNP添加エマルションを用いると、トリクロロエチレンは、14日目までには分解し尽くされることが確認できた。また、シス−1,2−ジクロロエチレンは、14日目にして10mg/Lを超える高濃度となるが、55日目までには分解し尽くされることが確認できた。
前述の各結果を比較すると、本実施例の栄養材では、7日目にしてトリクロロエチレンの量が1/10以下の量まで減少していること、及び、シス−1,2−ジクロロエチレンが42日までに分解し尽くされていることから、各比較例の栄養材に比べて土壌改良効果を早期に得られることが判る。
その理由の1つに、カゼインナトリウムが大豆油エマルションに吸着し、凝集を防止したことがあると考えられる。前述したように、エマルションが小さい粒子のまま安定的に存在しているので微生物に取り込まれ易くなり、微生物が増殖して有機塩素化合物の分解を促進させたためと考えられる。
他の理由として、カゼインナトリウムそのものが栄養価の高いタンパク質であり、微生物の良好な栄養源として機能したことが考えられる。このカゼインナトリウムは、大豆油エマルションよりも微生物に取り込まれ易いと考えられることから、早期に微生物が増殖して有機塩素化合物の分解を促進させたと考えられる。このことは、本実施例の7日目において、トリクロロエチレンの濃度が1/10以下の量にまで減少したことからも、伺い知ることができる。
以上説明した実施形態及び実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。本発明は、その趣旨、目的を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるものである。

Claims (4)

  1. 植物性油脂のエマルションと、前記エマルションの乳化状態を安定化させる安定化成分とを含有し、有機塩素化合物で汚染された土壌に混合されることで、前記有機塩素化合物を分解する微生物を活性化し、前記有機塩素化合物の分解を促進させる汚染土壌浄化用栄養材であって、
    前記安定化成分は、カゼインナトリウムであることを特徴とする汚染土壌浄化用栄養材。
  2. 窒素源及びリン源をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌浄化用栄養材。
  3. 前記エマルションは、水と、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、大豆油リン脂質のいずれか1つ以上からなる界面活性剤と、植物油とを混合攪拌し、均質化したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染土壌浄化用栄養材。
  4. 植物性油脂のエマルションと、前記エマルションの乳化状態を安定化させる安定化成分とを含有する汚染土壌浄化用栄養材を、有機塩素化合物で汚染された土壌に混合することで、前記有機塩素化合物を分解する微生物を活性化し、前記有機塩素化合物の分解を促進させる汚染土壌の浄化方法であって、
    前記安定化成分として、カゼインナトリウムを用いたことを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
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