JP3726851B2 - 汚泥の脱臭方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥の脱臭方法に関するものである。更に詳しくは、下水、し尿または工場廃水を処理する際に発生する生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥、凝集汚泥等やそれらの混合物より発生する臭気を迅速に少ない薬注量で除去できる方法である。
【0002】
【従来の技術】
最近の都市及び近郊への人口の密集に伴い、家庭からの一般廃水量は急激に増大している。そのため下水道の整備は急務となっておりその処理量も年々増加の一途をたどっている。これらの廃水には多量の有機、無機物が含まれ下水処理場において処理されるうちに生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥等を産出する。
また、工場等の事業所も河川、海洋等の深刻な環境汚染に伴い排水規制が強化され所定の水質まで処理することが義務づけられているが、この事業所での凝集沈殿処理や活性汚泥処理等でも大量の汚泥が産出する。
上記のように一般家庭廃水、事業所からの廃水を処理した過程で産出された汚泥は、さまざまな有機、無機物質を含んでいる。
【0003】
このさまざまな有機、無機物質の中には、硫黄化合物が含まれている。そしてこれらの腐敗の過程で硫酸塩が生成される。汚泥中には通常硫酸還元菌が存在し汚泥中の硫酸塩を硫化水素に還元して生産活動を行っている。そして硫化水素を生成することにより汚泥は更に嫌気化し、硫酸還元菌は増殖し硫化水素の生成量は更に増大する。そして生成された硫化水素は気相へ放散される。硫化水素は、毒性のある不快な臭気を持つ物質で、作業者に対して危険であるばかりか、周辺住民への悪臭問題の原因となっている。また、硫化水素は、コンクリート施設中に付着する硫黄酸化菌や空気により酸化を受け、ミスト中に溶け込み硫酸を生成する。こうして生成した硫酸はコンクリートや金属を腐蝕し建築物の構造に致命的な欠陥をもたらす原因となっている。
さらに、腐敗の過程でメチルメルカプタンやエチルメルカプタン等のメルカプタン類が発生し、悪臭の原因となっている。
【0004】
これら臭気の発生や構造物の腐蝕を防止する手段としては、活性炭に硫化水素を吸着させる活性炭処理があるが、吸着量が飽和に達すると、新しい活性炭に交換するか再生処理する必要があり、交換作業の煩雑さと再生費用が高いなど経済性にも問題があった。
他の方法として担体に保持した生物の充填相を通過させ脱臭する方法がある。しかしこの方法は装置が大きくなる、生物の維持管理が難しいといった問題がある。
【0005】
また薬剤による方法として、過酸化水素を添加する方法があり硫化水素、メルカプタン類の除去ができるが、添加量が少量であると硫酸還元菌の殺菌を充分に行うことができず、汚泥を長時間放置しておく場合などは酸化された硫黄もしくは硫酸イオンが、硫酸還元菌により再び硫化水素を生成してしまうという問題がある。
硫化水素を金属塩として固定化してしまう方法として下記の反応式のように塩化亜鉛を添加する方法があるが、この方法は硫化水素と亜鉛イオンが等モルで反応するため、亜鉛を多量に添加しなければならないという欠点があった。
H2 S+Zn2+→ZnS+2H+
更に亜鉛化合物では、メルカプタン類が除去できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決し、汚泥中の硫化水素、メルカプタン類を温和な条件で効率良く分解除去し、悪臭の拡散及び施設の腐蝕を防止する方法の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者等は、汚泥中の臭気の除去方法を解決すべく鋭意研究した結果、汚泥に、過酸化物と亜鉛塩を添加することにより汚泥の硫化水素、メルカプタン類が効率的に除去でき、なおかつその除去に持続性が付与できることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明は汚泥中の臭気処理において過酸化物と亜鉛塩を添加することを特徴とする汚泥の脱臭方法に関するものである。
本発明による方法の第一の利点は、気相に放散された硫化水素、メルカプタン類を捕捉・除去するわけではなく液相の硫化水素に対して作用するため、装置が簡便で小型化できる点にある。すなわち、生物処理法は、生物を担持させた充填相に硫化水素、メルカプタン類を含んだガスが流入するが、硫化水素濃度が高い場合は、装置を大型化しなければならず、更に生物の維持管理が煩雑であるという欠点を有していた。しかしながら本発明方法によれば液相の硫化水素、メルカプタン類に直接作用するためにその欠点を解決することが可能となる。
【0008】
第二の利点では、過酸化水素での処理は、硫酸還元菌が多く含まれる時には硫化水素、メルカプタン類の脱臭能力の持続性がなく、硫化水素の再発生を抑えるため硫酸還元菌を殺菌することが必要で大量の過酸化水素を使用しなければならないという欠点がある。また塩化亜鉛での処理は、硫化水素のみの除去でしかも薬剤を大量に添加しなければならないという欠点を有していた。しかしながら本発明方法によれば、それぞれ単独で用いていた使用量よりも少ない量で、硫化水素、メルカプタン類を除去することが可能でその除去能力に持続性を持たせることができ、その欠点を解決することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の方法を具体的に説明する。本発明の汚泥は下水、し尿または工場廃水を処理する際に発生する生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥、凝集汚泥等やそれらの混合物が含まれる。
本発明による方法では、廃水処理により産出された汚泥に過酸化物、亜鉛塩が添加される。本発明による方法で使用される過酸化物としては、過酸化水素、過酢酸、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ素酸塩、その他無機、有機の過酸化物が使用し得るが、好ましくは過酸化水素または過炭酸塩が使用される。
過酸化物の添加量は、汚泥中の硫化物および硫酸還元菌の量に関係するが、一般的には例えば過酸化水素の場合100重量%換算で汚泥に対して30〜2000mg/L、過炭酸ナトリウムの場合汚泥に対して90〜6200mg/Lを添加する。
過酸化水素は35重量%、60重量%の濃度のものが市販されているが、これをそのまま使用しても良く、また汚泥と混合しやすいように希釈して使用しても良い。
【0010】
本発明による方法で使用される亜鉛塩としては、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、過塩素酸塩、水酸化物、等の無機塩、シュウ酸塩、蟻酸塩等の有機酸塩、酸化物等が例示され、無水塩、含水塩の何れでも良い。
金属塩の使用量は、汚泥中の硫化物および硫酸還元菌の量に関係するが、一般的には金属原子の重量として汚泥に対して0.5mg/L〜50mg/Lの濃度になる量である。
【0011】
過酸化物と亜鉛塩は、同時に添加しても良いし、順次添加しても良い。また、あらかじめ混合したものを添加しても良い。
本発明による方法を効率的に行うために、過酸化物、亜鉛塩を添加する際、汚泥との混合のために攪拌することが好ましいが、その際用いられる攪拌方法としては、攪拌混合槽、攪拌翼、インラインミキサー等汚泥と過酸化物、亜鉛塩が混合できる方法であればいずれの方法でも良い。
薬剤の添加方法としては、ダイヤフラム式、プランジャー式の定量ポンプ等薬品を正確に供給できる方式であればいずれの方法でも良い。
【0012】
【実施例】
次に本発明の方法を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
生汚泥と余剰汚泥よりなる下水汚泥200mlに、35重量%過酸化水素57.5mg(100%過酸化水素として100mg/L)となる量の過酸化水素と、塩化亜鉛を10.4mg(亜鉛原子として25mg/L)添加混合し、処理5分後と6時間放置しておいた後、硫化水素とメチルメルカプタンをヘッドスペース法にて測定した結果を表1に示す。
比較例1
塩化亜鉛は添加せず過酸化水素のみを114mg(100%過酸化水素として200mg/L)を添加した以外は実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
比較例2
過酸化水素は添加せず塩化亜鉛のみを20.9mg(亜鉛原子として50mg/L)添加した以外は実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
【0013】
過酸化水素のみでの硫化水素除去は、速効性はあるが6時間放置後は硫化水素が再復活してしまう。また、塩化亜鉛のみでは塩化亜鉛を増量しても、メチルメルカプタンの除去は充分でない。過酸化水素と塩化亜鉛で処理すると、少ない薬注量で硫化水素除去の速効性に加えて持続性が得られる。
【0014】
実施例2
工場廃水汚泥250mlに、過炭酸ナトリウムを100mg、硫酸亜鉛を2.2mg(亜鉛原子として2mg/L)添加混合し、12時間放置後、硫化水素をヘッドスペース法にて測定した結果を表2に示す。
実施例3
硫酸亜鉛を11.0mg(亜鉛原子として10mg/L)とした他は実施例2と同様な処理を行った。結果を表2に示す。
実施例4
硫酸亜鉛を22.0mg(亜鉛原子として20mg/L)とした他は実施例2と同様な処理を行った。結果を表2に示す。
比較例3
硫酸亜鉛は添加せず過炭酸ナトリウムのみを添加した他は実施例2と同様な処理を行った結果を表2に示す。
【0015】
以上のように亜鉛塩の少量の添加でも、良好な脱臭効果が得られた。
【0016】
実施例5
消化汚泥を含む下水汚泥に対して7重量%過酸化水素を100%過酸化水素として150mg/Lとなる量添加し1分攪拌後、20%塩化亜鉛溶液を156mg/L(亜鉛原子として15mg/L)添加し脱臭処理を行った。処理5分後と4時間放置後ヘッドスペース法にて硫化水素を測定した結果を表3に示す。
実施例6
薬注の順序を20重量%塩化亜鉛溶液、7重量%過酸化水素とした他は実施例5と同様の処理を行った。結果を表3に示す。
実施例7
7重量%過酸化水素、20重量%塩化亜鉛溶液を同時に添加した他は実施例5と同様の処理を行った。結果を表3に示す。
【0017】
以上のように過酸化物と亜鉛塩の添加の順序による効果の相違がないことがわかった。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、少ない薬注量で汚泥の硫化水素、メルカプタン類の臭気を瞬時に除去でき、更にその効果を持続させることができる。その結果、有害で不快臭を持つ硫化水素の放散は大幅に抑えられ、更にセメント、金属等の腐蝕を防止するための実用的な方法を提供できる。
Claims (1)
- 硫化水素及びメルカプタン類を含有する汚泥に過酸化水素を過酸化水素100重量%換算で汚泥に対して30〜2000mg/Lと塩化亜鉛を亜鉛原子の重量として汚泥に対して0.5〜50mg/Lを添加することを特徴とする汚泥の脱臭方法。
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JP22388696A JP3726851B2 (ja) | 1996-08-26 | 1996-08-26 | 汚泥の脱臭方法 |
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JP22388696A JP3726851B2 (ja) | 1996-08-26 | 1996-08-26 | 汚泥の脱臭方法 |
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JPH1057992A JPH1057992A (ja) | 1998-03-03 |
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JP (1) | JP3726851B2 (ja) |
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1996
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