JP2008268402A - 光学補償フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マレイミド系樹脂からなる塗工膜であって、好ましくは3次元屈折率の関係がnx≒ny>nzとなり、測定波長589nmで測定した面外位相差量(Rth)が30〜2000nmの範囲にあり、位相差量の波長依存性が、1.1以下である光学補償膜と延伸フィルム、好ましくは測定波長589nmで測定した面内位相差量(Re)が20〜1000nmである延伸フィルムとからなり、好ましくは配向パラメータが1.1以上である光学補償フィルム。
【選択図】 なし
Description
該N−置換マレイミド残基単位の具体的例示としては、N−メチルマレイミド残基単位、N−エチルマレイミド残基単位、N−クロロエチルマレイミド残基単位、N−メトキシエチルマレイミド残基単位、N−n−プロピルマレイミド残基単位、N−イソプロピルマレイミド残基単位、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−ヘキシルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−オクチルマレイミド残基単位、N−ラウリルマレイミド残基単位等の1種又は2種以上が挙げられ、特に位相差が発現しやすく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れるマレイミド系樹脂となることから、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−ヘキシルマレイミド残基単位、N−オクチルマレイミド残基単位が好ましい。
Rth=((nx1+ny1)/2−nz1)×d1 (2)
(ここで、d1は塗工膜層(A)の膜厚(nm)を示す。)
該塗工膜層(A)は、液晶表示素子に用いた際に色ずれの小さい液晶表示素子となることから位相差量の波長依存性が小さいものであることが好ましく、特に塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が1.1以下、特に1.08以下であること好ましい。
Re=(nx2−ny2)×d2 (3)
(ここで、d2は延伸フィルム層(B)の膜厚(nm)を示す。)
該延伸フィルム層(B)を構成する延伸フィルムは、溶液キャスト法や溶融押し出し法で製造したフィルムを公知の延伸装置で延伸することにより製造することが出来る。また、市販品として入手することも可能である。
Nz=(nx3−nz3)/(nx3−ny3) (4)
本発明の光学補償フィルムは、マレイミド系樹脂からなる塗工膜層(A)と延伸フィルム層(B)からなるものであり、その好ましい製造方法として、例えば1)ガラス基板やフィルム基材上にマレイミド系樹脂溶液を塗布することにより製造した塗工膜と延伸フィルムを積層する方法、2)液晶セルの片面にマレイミド系樹脂からなる塗工膜を配し、他面に延伸フィルムを配する方法、3)延伸フィルム上にマレイミド系樹脂溶液を塗布し乾燥し塗工膜を製造する方法、等をあげることができ、その中でも、より容易に本発明の光学補償フィルムを製造することが可能となることから、延伸フィルム上にマレイミド系樹脂溶液を塗布し乾燥し塗工膜を製造し、光学補償フィルムとする方法が好ましい。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミドを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
透明性の一評価として、JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
透明性の一評価として、JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
JIS K 7142(1981年版)に準拠してアッベ屈折率計(アタゴ製)を用いて測定した。
塗工膜層の3次元屈折率は、試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて測定波長589nmの光で測定した。さらに、3次元屈折率より下記式(5)に示される式により面外位相差(Rth)を算出した。
Rth=((nx1+ny1)/2−nz1)×d1 (5)
(ここで、nx1、ny1、nz1は、塗工膜層の面内で直交する任意の2軸をx1軸、y1軸とし、面外方向をz1軸とした際のx1軸方向の屈折率、y1軸方向の屈折率、z1軸方向の屈折率のそれぞれを示し、d1は塗工膜層の厚み(nm)を示す。)
位相差の波長依存性(R450/R589)は、塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示した。
Re=(nx2−ny2)×d2 (6)
(ここで、nx2、ny2、nz2は、延伸フィルムのフィルム面内の延伸方向をx2軸、延伸方向と直交するフィルム面内方向をy2軸、フィルム面外(厚み)方向をz2軸とした際のx2軸方向の屈折率、y2軸方向の屈折率、z2軸方向の屈折率のそれぞれを示し、d2は延伸フィルム層の厚み(nm)を示す。)
光学補償フィルムのフィルム面内の位相差量(Re1)は、塗工膜層の3次元屈折率の測定と同様の測定を行い、下記式(7)により算出した。
Re1=((nx3−ny3)×d3 (7)
(ここで、nx3、ny3、nz3は、光学補償フィルムのフィルム面内の遅相軸方向をx3軸、該x3軸に直交するフィルム面内方向をy3軸、フィルム面外(厚み)方向をz3軸とした際のx3軸方向の平均屈折率、y3軸方向の平均屈折率、z3軸方向の平均屈折率のそれぞれを示し、d3は光学補償フィルムの厚み(nm)を示す。)
光学補償フィルムの配向パラメーター(Nz)は下記式(8)により算出した。
Nz=(nx3−nz3)/(nx3−ny3) (8)
合成例1(N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−ブチルマレイミド32.4g、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.054gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し20gのN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は120000であった。
ガラス封管中に、N−n−オクチルマレイミド28g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.032gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し15gのN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は270000であった。
ガラス封管中に、N−n−オクチルマレイミド26g、無水マレイン酸4.8g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.04gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し18gのN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂を得た。得られたN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂は、無水マレイン酸残基単位を20重量%含有するものであり、数平均分子量は140000であった。
環状ポリオレフィン樹脂(エステル基を有するポリノルボルネンの水素添加体、アルドリッチ製)を塩化メチレン溶液に溶解し25%溶液とし、さらに環状ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.35重量部およびペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した後、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、40℃、80℃および120℃で乾燥した後、幅250mm、厚み100μmのフィルムを得た。得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度180℃、延伸速度15mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+100%延伸した。
合成例1で得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂をクロロホルムに溶解し12%溶液とし、コーターによりガラス基板に流延し、室温で24時間乾燥しガラス基板上に塗工膜を得た。そして、幅50mm、厚み20μmの塗工膜フィルムとし、塗工膜フィルムのガラス転移温度(Tg)を測定したところ179℃であった。
合成例2で得られたN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂をクロロホルムに溶解し16%溶液とし、コーターによりガラス基板に流延し、室温で24時間乾燥しガラス基板上に塗工膜を得た。そして、幅50mm、厚み50μmの塗工膜フィルムとし、塗工膜フィルムのTgを測定したところ145℃であった。
合成例3で得られたN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂をクロロホルムに溶解し16%溶液とし、コーターによりガラス基板に流延し、室温で24時間乾燥しガラス基板上に塗工膜を得た。そして、幅50mm、厚み50μmの塗工膜フィルムとし、塗工膜フィルムのTgを測定したところ156℃であった。
合成例1で得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂をクロロホルムに溶解し12%溶液とし、製造例1で得られた延伸フィルム上に流延し、室温で24時間乾燥し環状ポリオレフィン系樹脂延伸フィルム上に塗工膜を有する積層フィルムを得た。そして、該積層フィルムの一部から塗工膜を剥離し、幅50mm、厚み20μmの塗工膜とし、塗工膜のガラス転移温度(Tg)を測定したところ179℃であった。
Claims (12)
- マレイミド系樹脂からなる塗工膜層(A)および延伸フィルム層(B)からなることを特徴とする光学補償フィルム。
- 上記一般式(1)で示されるマレイミド残基単位及び無水マレイン酸残基単位よりなるマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂よりなる塗工膜層(A)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償フィルム。
- 塗工膜層の面内で直交する任意の2軸をx1軸、y1軸とし、面外方向をz1軸とし、x1軸方向の屈折率をnx1、y1軸方向の屈折率をny1、z1軸方向の屈折率をnz1とした際の3次元屈折率関係がnx1≒ny1>nz1である塗工膜層(A)からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償膜フィルム。
- 測定波長589nmの光で測定した際に下記式(2)で示される面外位相差量(Rth)が30〜2000nmの範囲内にある塗工膜層(A)からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学補償フィルム。
Rth=((nx1+ny1)/2−nz1)×d1 (2)
(ここで、d1は塗工膜層(A)の膜厚(nm)を示す。) - 塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が、1.1以下である塗工膜層(A)からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- 延伸フィルムのフィルム面内の延伸方向をx2軸、延伸方向と直交するフィルム面内方向をy2軸、フィルム面外(厚み)方向をz2軸とし、x2軸方向の屈折率をnx2、y2軸方向の屈折率をny2、z2軸方向の屈折率をnz2とした際の、フィルムの3次元屈折率の関係が、nx2>ny2≧nz2であり、測定波長589nmの光で測定した際に下記式(3)にて示される面内位相差(Re)が20nm以上の延伸フィルム層(B)からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学補償フィルム。
Re=(nx2−ny2)×d2 (3)
(ここで、d2は延伸フィルム層(B)の膜厚(nm)を示す。) - ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類以上の樹脂よりなる延伸フィルム層(B)からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- 光学補償フィルムのフィルム面内の遅相軸方向をx3軸、該x3軸に直交するフィルム面内方向をy3軸、フィルム面外(厚み)方向をz3軸とし、x3軸方向の平均屈折率をnx3、y3軸方向の平均屈折率をny3、z3軸方向の平均屈折率をnz3とし、測定波長589nmの光で測定した際に下記式(4)より示される配向パラメーター(Nz)が、1.1以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学補償フィルム。
Nz=(nx3−nz3)/(nx3−ny3) (4) - 液晶表示素子用光学補償フィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- 延伸フィルム層(B)上にマレイミド系樹脂溶液を塗工し乾燥することにより塗工層(A)とすることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
- 上記一般式(1)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂の溶液であることを特徴とする請求項11に記載の光学補償フィルムの製造方法。
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