JP2011053594A - 光学補償膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マレイミド系樹脂と環状炭化水素系化合物からなる塗工膜であって、塗工膜の面内で直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであることを特徴とする光学補償膜。
【選択図】 なし
Description
一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位におけるR1は、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基であり、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基等が挙げられ、炭素数1〜18の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜18の環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン基としては、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等の1種又は2種以上が挙げられ、特にRthが大きく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れる光学補償膜となることから、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が好ましい。
一般式(2)のX1、X2、X3におけるハロゲン原子としては、例えばF、Cl、Br、I等が挙げられ、置換もしくは無置換のアミノ基としては、例えば−NH2、−NHCH3、−N(CH3)2、−NHC2H5、−N(C2H5)2、−NHC3H7、−N(C3H7)2、−NH(C4H9)、−N(C4H9)2、−NHPh等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、s−ブトキシ基等が挙げられ、アルキル基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル等が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニル、アリル、1−ヘキセニル等が挙げられ、アルキニル基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニル、1−ブチニル、1−ヘキシニル等が挙げられる。
一般式(3)のX4、X5、X6におけるアルキレン基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチレン、エチレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン等が挙げられ、アルケニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニレン、アリレン、1−ヘキセニレン等が挙げられ、アルキニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニレン、1−ブチニレン、1−ヘキシニレン等が挙げられる。
一般式(4)のX7、X8、X9におけるアルキレン基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチレン、エチレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン等が挙げられ、アルケニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニレン、アリレン、1−ヘキセニレン等が挙げられ、アルキニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニレン、1−ブチニレン、1−ヘキシニレン等が挙げられる。
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
このようにこれらの環状炭化水素系化合物は、比較的少量の使用量で光学補償膜のRthを上昇させることができ、添加量に応じてRthの上昇幅を調整することができる。また比較的マレイミド系樹脂との相溶性がよいため、膜の表面に析出(ブリードアウト)しにくい。従って、このような環状炭化水素系化合物を用いることで、ブリードアウトの問題を生じることなく、光学補償膜のRthを未延伸のまま(塗工のみで)、任意の値に調整した膜を得ることができる。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミドを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
透明性の一評価として、JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
透明性の一評価として、JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
JIS K 7142(1981年版)に準拠してアッベ屈折率計(アタゴ製)を用いて測定した。
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて測定波長589nmの光で3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率よりRth(面外位相差量)および下記式(6)で示されるRe(面内位相差量)を算出した。
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
〜位相差量の波長依存性の測定〜
位相差量の波長依存性(R450/R589)は、塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示した。
JIS K 5400(1999年版)に準拠して規定のカット間隔で塗工膜に対して100個の格子状パターンを切り込みを入れて、剥がれ具体を判定した。このとき、判定は100個の格子状パターンにおける良好な個数により判定した。また、粘着テープを格子状パターンの上に貼り引き剥がすことで剥がれ具合を観察した。この時の判定も同じく100個の格子状パターンにおける良好な個数により判定した。
ガラス封管中に、N−n−ブチルマレイミド32.4g、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.054gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し20gのN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は120000であった。また、ガラス転移温度(以下、Tgと称する)は185℃であった。
ガラス封管中に、N−n−ヘキシルマレイミド40g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.05gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し32gのN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は160000であった。また、Tgは148℃であった。
合成例1で得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を50重量部のトルエンと50重量部のメチルエチルケトンからなる混合溶剤に溶解し、13%溶液とし、コーターによりガラス基板に塗工し、室温で48時間乾燥して幅50mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。 得られた塗工膜は、光線透過率91.1%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx=1.51742、ny=1.51742、nz=1.51422であり、Rth=48.0m、Re=0.0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
比較例1と同様の方法で作成した溶液に、さらにN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂100重量部に対し、環状炭化水素系化合物として2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン(一般式(2)の化合物)を1重量部添加した後、比較例1と同様の方法で幅50mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で幅50mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
環状炭化水素系化合物を6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン(一般式(3)の化合物)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で幅50mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例3と同様の方法で幅50mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
合成例2で得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を30重量部のトルエンと70重量部のメチルエチルケトンからなる混合溶剤に溶解し、15%溶液とし、コーターによりガラス基板に塗工し、室温窒素気流下で24時間乾燥して幅20mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
比較例2と同様の方法で作成した溶液に、さらにN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂100重量部に対し、環状炭化水素系化合物として2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン(一般式(3)の化合物)を1重量部添加した後、比較例2と同様の方法で幅20mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例5と同様の方法で幅20mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
環状炭化水素系化合物をN,N´,N´´−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミン(一般式(4)の化合物)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で幅20mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
N,N´,N´´−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例7と同様の方法で幅20mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
比較例1と同様の方法で作成した溶液に、さらにN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂100重量部に対し、環状炭化水素系化合物でなくかつ一般式(2)、(3)、(4)のいずれにも属さないトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートを3重量部添加した後、比較例1と同様の方法で幅50mm、厚み15μm(塗工膜のみの厚み)の塗工膜フィルム(塗工膜+ガラス基板)を得た。
Claims (10)
- マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる塗工膜であって、塗工膜の面内で直交する任意の2軸をx軸、y軸、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであることを特徴とする光学補償膜。
- 環状炭化水素系化合物が、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)でそれぞれ示される化合物から選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学補償膜。
- 測定波長589nmの光で測定した際の下記式(5)で示されるRth(面外位相差量)が50〜2000nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償膜。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (5)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。) - 塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が、1.1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学補償膜。
- 塗工膜が未延伸膜であることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の光学補償膜。
- 液晶表示素子用光学補償膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学補償膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光学補償膜とセルロース系樹脂製フィルムとの積層体であることを特徴とする光学補償膜。
- 基材上にマレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる溶液を、塗工し、乾燥することを特徴とする光学補償膜の製造方法。
- マレイミド系樹脂溶液が、上記一般式(1)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂の溶液であることを特徴とする請求項9に記載の光学補償膜の製造方法。
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