JP2008264765A - 塗工用ダイ、非接触ダイ塗工装置及び塗工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】面上に2層以上の塗液を塗工可能な多層塗工用のダイにおいて、上ブロック、1以上の中ブロック、及び下ブロックはリップランド(リップ)を有し、上ブロック及び中ブロックのリップの上流側エッジ角は、いずれも90°±5°であるダイ。
【選択図】 図1
Description
なお、図2は、塗工用ダイの従来例を示す概略断面図である。この例において、ダイ101は、上ブロック105、中ブロック106、下ブロック107からなり、これらのブロックの間に、スロット113,114が形成されている。そして、バックアップロール102に支持された基材103に塗液を塗工するようになっている。
(1)基材に対する塗工方向の上流側から順に、上ブロック、一つ以上の中ブロック、下ブロックを備え、各ブロック間に形成されたスロットから塗液を押し出すことにより、前記基材に二以上の塗液を塗工可能とした塗工用ダイであって、前記各ブロックはリップランドを有するとともに、前記上ブロックと、前記中ブロックのうち少なくとも一つの中ブロックのそれぞれのリップランドにおける前記上流側に位置するエッジの角度が、いずれも90°±5°であることを特徴とする塗工用ダイ。
(2)前記上ブロックと、前記少なくとも一つの中ブロックのそれぞれのリップランドの厚みを1〜2mmとした上記(1)記載の塗工用ダイ。
(5)ウエット膜厚が20〜140μmで、ドライ膜厚が10〜50μmとなるように塗液を塗工する上記(4)に記載の塗工方法。
(6)塗液の粘度を10〜1500mPa・sとした上記(4)〜(5)のいずれかに記載の塗工方法。
なお、図1は、本発明に係る塗工用ダイの一例を示す説明図であり、その長手方向に直交する断面の概略を示している。また、図1(a)は、二層塗工の例を示しており、図1(b)は、単層塗工の例を示している。
なお、図中、ダイ1の中心軸を符号Cで示し、ダイ1は、中心軸Cがバックアップロール2の回転中心を通るように配置される。
ここで、ダイ1による塗工は、図中矢印方向に繰り出される基材3に対してなされることから、基材3に対して既に塗工がなされた側、すなわち、塗工された基材3がダイ1から遠ざかっていく側を、基材3に対する塗工方向の上流側とする。また、基材3に対してこれから塗工がなされる側、すなわち、未塗工の基材3がダイ1に近づいてくる側を、基材3に対する塗工方向の下流側とする。
このようにすることで、上ブロック5と、中ブロック6との間には、シム15を介して、マニホールド11とスロット13とが形成される。同様に、下ブロック7と、中ブロック6との間には、シム16を介して、マニホールド12とスロット14とが形成される。
そして、図1に示す例では、上ブロック5のリップランド17の厚み方向両端縁に形成されたエッジのうち、基材3に対する塗工方向の上流側に位置するエッジ9の角度θ1を90°±5°としてある。同様に、中ブロック6のリッブランド18の厚み方向両端縁に形成されたエッジのうち、基材3に対する塗工方向の上流側に位置するエッジ10の角度θ2を90°±5°としてある。
これらのエッジ9,10の角度θ1,θ2は、好ましくは90°±2°であり、より好ましくは90°±1°である。
塗工時の塗液は、粘度10〜1500mPa・s、固形分濃度20〜60重量%、密度900〜1100kg/m3、表面張力30〜40×10−3N/mとなるように調製するのが好ましく、塗工速度(基材3の繰り出し速度)は、概ね40m/分程度までの領域で適用可能である。
また、基材3に対して塗液を塗工する際には、ウエット膜厚が20〜140μm、ドライ膜厚が10〜50μmの範囲で塗工するのが好ましい。特に図示しないが、ダイ1の塗工方向下流側には、減圧チェンバーを設置して、100〜2500Pa程度の減圧度(大気圧に対して減圧する度合(負圧))で塗工を実施するようにすることもできる。
図1に示す例と同様のダイ1を用意し、バックアップロール2に支持された基材3との距離Wが45μmとなるように配置した。
また、上ブロック5のリップランド17におけるエッジ9の角度θ1を90°、中ブロック6のリッブランド18におけるエッジ10の角度θ2を90°とし、上ブロック5のリップランド17の厚み、中ブロック6のリップランド18の厚み、下ブロック7のリップランド19の厚みをそれぞれ2mmとした。
このとき、ダイ1は、スロット13の間隔W1が0.25mm、スロット14の間隔W2が0.35mmとなるように、上ブロック5、中ブロック6、下ブロック7を組み付けて塗工架台に取り付けた。また、塗工層のドライ膜厚が15μmとなるように塗工条件を調整した。
なお、塗液は、粘度800mPa・s、密度980kg/m3、表面張力37×10−3N/mとなるように調製し、流量1.65×10−3m3/分で供給した。また、塗工速度は35m/分とし、減圧チェンバーによる減圧度は1400Paとした。
基材3上に形成された塗工層の塗工面を観察したところ、表面にはスジも見られず、非常に良好な面性状であった。
実施例1と同じダイ1を、バックアップロール2に支持された基材3との距離Wが48μmとなるように配置した。
このとき、ダイ1は、スロット13の間隔W1が0.20mm、スロット14の間隔W2が0.25mmとなるように、上ブロック5、中ブロック6、下ブロック7を組み付けて塗工架台に取り付けた。また、スロット13から押し出された塗液により形成される塗工層のドライ膜厚が5μm、スロット14から押し出された塗液により形成される塗工層のドライ膜厚が10μmとなるように塗工条件を調整した。
なお、スロット13から押し出す塗液は、粘度200mPa・s、密度980kg/m3、表面張力32×10−3N/mとなるように調製し、流量1×10−3m3/分で供給した。スロット14から押し出す塗液は、粘度280mPa・s、密度985kg/m3、表面張力34×10−3N/mとなるように調製し、流量1.6×10−3m3/分で供給した。また、塗工速度は40m/分とし、減圧チェンバーによる減圧度は1800Paとした。
基材3上に形成された塗工層の塗工面を観察したところ、表面にはスジも見られず、非常に良好な面性状であった。
バックアップロール2に支持された基材3との距離Wが20μmとなるようにダイ1を配置し、減圧チェンバーによる減圧度を1800Paとした以外は実施例1と同様にして、単層塗工を実施した。
基材3上に形成された塗工層の塗工面を観察したところ、表面にはスジも見られず、非常に良好な面性状であった。
図2に示す例と同様のダイ101を用意し、バックアップロール102に支持された基材103との距離W0が50μmとなるように配置した。
ここで、ダイ101は、実施例1のダイ1に対して、中ブロック106のリッブランド118におけるエッジ110の角度θ12を150°、中ブロック106のリップランド118の厚みT12を0.381mmとした点で異なるが、それ以外はほぼ同様とした。
実施例1に準じて単層塗工を実施したところ、塗液の条件が粘度825mPa・s、密度980kg/m3、表面張力36×10−3N/m、流量0.65×10−3m3/分のとき、図2に示すように、中ブロック106のリッブランド118におけるエッジ110で塗液の駆け上がりが認められ、塗工層の塗工面にスジの発生を確認した。
比較例1のダイ101において、中ブロック106のリッブランド118におけるエッジ110の角度θ12を110°に変更して、比較例1と同様に単層塗工を実施したところ、中ブロック106のリッブランド118におけるエッジ110で塗液の駆け上がりが認められ、塗工層の塗工面にスジの発生を確認した。
これらの場合においても、塗工面にスジが生じないようにすることができる。
2 バックアップロール
3 基材
4 メニスカス
5 上ブロック
6 中ブロック
7 下ブロック
9 エッジ(上ブロック)
10 エッジ(中ブロック)
11 マニホールド
12 マニホールド
13 スロット
14 スロット
15 シム
16 シム
17 リップランド(上ブロック)
18 リップランド(中ブロック)
19 リップランド(下ブロック)
Claims (6)
- 基材に対する塗工方向の上流側から順に、上ブロック、一つ以上の中ブロック、下ブロックを備え、各ブロック間に形成されたスロットから塗液を押し出すことにより、前記基材に二以上の塗液を塗工可能とした塗工用ダイであって、
前記各ブロックはリップランドを有するとともに、
前記上ブロックと、前記中ブロックのうち少なくとも一つの中ブロックのそれぞれのリップランドにおける前記上流側に位置するエッジの角度が、いずれも90°±5°であることを特徴とする塗工用ダイ。 - 前記上ブロックと、前記少なくとも一つの中ブロックのそれぞれのリップランドの厚みを1〜2mmとした請求項1記載の塗工用ダイ。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載の塗工用ダイを取り付けたことを特徴とする非接触ダイ塗工装置。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載の塗工用ダイにより、バックアップロールに支持されて繰り出される基材に塗液を塗工する塗工方法であって、
前記各ブロック間に形成された全スロットから塗液を押し出して塗工するか、又は前記少なくとも一つの中ブロックよりも基材に対する塗工方向の下流側に位置するスロットのみから塗液を押し出して塗工することにより、基材上に形成する塗工層の積層数を可変とすることを特徴とする塗工方法。 - ウエット膜厚が20〜140μmで、ドライ膜厚が10〜50μmとなるように塗液を塗工する請求項4に記載の塗工方法。
- 塗液の粘度を10〜1500mPa・sとした請求項4〜5のいずれか1項に記載の塗工方法。
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