JP2014029806A - 電極及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents

電極及びその製造方法並びに製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質層の塗布とスペーサ部材の配設を連続して実施するに好適な電極及びその製造方法並びに製造装置を提供する。
【解決手段】帯状の電極原反1の幅方向の少なくとも一端部に所定幅で長手方向に延びる活物質12Aを塗布しない未塗工領域11と、幅方向の残部に活物質12Aを長手方向に連続的に塗布して活物質層12Bとする塗工部4,6と、を備える電極の製造装置である。そして、電極原反1への活物質12Aの塗布の前又は後の少なくとも一方で、未塗工領域11の塗工領域12との境界に沿わせて予め設定した所定幅の絶縁領域13に、絶縁層13Bとなる絶縁材13Aを長手方向に塗布するようにしている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、リチウムイオン電池等に用いる電極及びその製造方法並びに製造装置に関するものである。
従来からリチウムイオン電池の正極電極と負極電極との内部短絡を防止するために、正極電極の端子を覆って、絶縁テープを貼付けるものが提案されている(特許文献1参照)。
これは、表面に活物質層が長手方向に塗布された帯状電極に、一定間隔毎に幅方向に延びる活物質層が形成されずに電極表面が露出した領域が形成される。そして、露出した電極表面には超音波溶接等により電極端子が接合され、この電極端子表面や露出した電極表面と活物質層の縁部分の領域とに跨って、帯状電極の幅方向に絶縁テープを貼り付けるようにしている。
特開2006−175415号公報
ところで、帯状電極として、幅方向の一端若しくは両端に活物質層を塗布しない未塗工領域を形成して、その未塗工領域を、電極端子を接続するタブとする帯状電極がある。このような帯状電極においては、正極電極と負極電極との内部短絡を防止するために、タブとなる未塗工領域と塗工領域の活物質層とに跨って、絶縁テープを貼付ける等により配設する態様となる。しかしながら、未塗工領域と活物質層とに跨って、絶縁テープを帯状電極の長手方向に連続して配設すると、活物質層に重なる部分の厚み寸法が局部的に厚くなり、得られた帯状電極を一様に巻取ることを難しくする。このため、帯状電極への活物質層の塗布作業に連続して、絶縁部材の配設作業を実施できず、帯状電極の生産性を向上できない課題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、活物質層の塗布と絶縁部材の配設を連続して実施するに好適な電極及びその製造方法並びに製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、帯状の電極原反の幅方向の少なくとも一端部に所定幅で長手方向に延びる活物質を塗布しない未塗工領域と、幅方向の残部に活物質を長手方向に連続的に塗布して活物質層とする塗工領域と、を備える電極の製造装置である。そして、電極原反への活物質の塗布の前又は後の少なくとも一方で、未塗工領域の塗工領域との境界に沿わせて予め設定した所定幅の絶縁領域に、絶縁層となる絶縁材を長手方向に塗布するようにしている。
したがって、本発明では、電極原反への活物質の塗布の前又は後の少なくとも一方で、未塗工領域の塗工領域との境界に沿わせて予め設定した所定幅で、絶縁層となる絶縁材を長手方向に塗布するようにしている。このため、絶縁テープを帯状電極の長手方向に連続して配設することによって生じる活物質層に重なる部分の厚み寸法が局部的に厚くなることが解消され、しかも電極原反への活物質層の形成と絶縁層の形成とをインラインで連続して実施することができ、帯状の電極の生産性を向上させることができる。
本発明を適用した第1実施形態の電極の製造装置を示す概略構成図である。 電極の製造装置で製造される帯状の電極の断面図である。 巻出し部、表面粗度調整部、塗工部を示す概略構成図である。 表面粗度調整部の一例を示す正面図である。 表面粗度調整部の別の一例を含む、巻出し部、塗工部を示す概略構成図である。 第1ダイコータのスリットを示す正面図である。 第2ダイコータのスリットを示す正面図である。 電極原反に塗布された絶縁層と活物質層との境界部の状態を示す説明図である。 電極原反に塗布された絶縁層と活物質層との境界部の断面状態を示す説明図である。 絶縁層に乗上げて活物質層を形成した場合における絶縁層と活物質層との境界部の断面状態を示す説明図である。 電極原反に塗布された絶縁層と活物質層との境界部の断面状態を示す説明図である。 種類の異なる塗料を、表面粗さ(粗度)を変化させた電極原反に塗布して、基材粗度の変化に対する各塗料の接触角の変化を示すグラフである。 表面粗さが異なる電極原反に、境界部を接触させて電極スラリーと絶縁材とを幅方向に並べて塗布した場合の境界部間に発生する隙間の発生頻度を示す表である。 塗料の基材との接触角と膜厚の分布を示すグラフである。 突合せ部の電極スラリーを絶縁材に乗り上げるように塗布した場合の膜厚分布を示すグラフである。
以下、本発明の電極の製造方法および製造装置を実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明を適用した第1実施形態の電極の製造装置を示す概略構成図である。
ここで先ず、電極の製造装置の説明に先立ち、図2に基づいて、電極原反1に絶縁材13A及び活物質12Aが塗布されて乾燥される帯状の電極20の形態について、説明する。以下では、帯状の電極原反1の幅方向を『幅方向』と記載し、電極原反1の長手方向を『長手方向』と記載する。
図2は帯状の電極20の断面図を示すものである。電極原反1には、その幅方向の両端から所定寸法を備えて長手方向に延びる、電極タブを構成する未塗工領域11と、この一対の未塗工領域11同士の間における長手方向に延びる塗工領域12に活物質12Aを塗布して活物質層12Bとしている。そして、未塗工領域11内においても、塗工領域12に隣接させて所定幅寸法をもって長手方向に延びる領域を絶縁領域13として、絶縁材13Aを塗布して一対の絶縁層13Bとしている。
そして、先ず、電極原反1の絶縁領域13と塗工領域12とが接する境界線を跨いで所定寸法の幅Sを持って長手方向の表面粗度を平滑化している。次いで電極原反1の両面の各領域12,13に絶縁材13A及び活物質12Aを塗布して、絶縁層13B及び活物質層12Bを形成し、乾燥させ、活物質層12Bの密度を調整し、次いで得られた電極20を分割線19により2つの帯状の電極に分割するようにしている。
電極の製造装置は、上記した電極20を製造するために、図1に示すように、金属箔からなる電極原反1の巻出し部2と巻取り部10との間に、塗工領域12と絶縁領域13との境界線を跨いで所定寸法の幅Sの電極原反1の表面粗度を調整する表面粗度調整部3を備える。また、電極20の製造装置は、表面粗度調整部3の下流に、電極原反1の両面に活物質12A及び絶縁材13Aを塗布する2つの塗工部4,6と、塗布された活物質12A・絶縁材13Aを電極原反1のそれぞれの面で乾燥する2つの乾燥部5,7と、を備える。また、電極20の製造装置は、乾燥部5,7の下流に、活物質層12Bをロールプレスするプレス部8と、プレス部8と巻取り部10との間に位置させて、得られた帯状電極20を2つの帯状電極に分割するスリット部9と、を備える。
巻出し部2は、図1,3に示すように、リール状に巻かれた金属箔(アルミニウム箔)からなる電極原反1を取付ける部分であり、正極用の電極原反1を巻出して、表面粗度調整部3、塗工部4、乾燥部5、裏面塗工部6、裏面乾燥部7に順次供給する。
表面粗度調整部3は、図4に示すように、幅方向の両側に設けた一対のプレスロール15により電極原反1を連続的にプレスすることにより、電極原反1の表面を長手方向に物理的に潰して、その表面粗さが滑らかとなるように平滑化する。平滑化する領域は、電極原反1の絶縁領域13と塗工領域12との境界を跨いで所定寸法(例えば、10mm)の幅を持って長手方向に連なる領域Sである。平滑化する基材の表面粗さは、例えば、Ra(算術平均粗さ)で40(nm)以下、望ましくは、Ra(算術平均粗さ)で30(nm)以下となるようにする。電極原反1は、表面粗度調整部3を通過することにより、領域Sが平滑化されて塗工部4に供給される。
なお、表面粗度調整部3は、上記したものに限定されるものでなく、例えば、図5に示すように、レーザ照射16やμ波の照射により電極原反1の領域S部分を加熱して、その表面粗さを平滑化するものであってもよい。
塗工部4及び裏面塗工部6は、同様に構成されているため、塗工部4について説明することで、裏面塗工部6の説明を省略する。塗工部4には、図3に示すように、電極原反1が巻回されたバックアップローラ21と、該バックアップローラ21上を通過する電極原反1に絶縁材13A及び活物質12Aからなる電極スラリーを塗り付ける第1,2ダイコータ22,23と、を備える。電極原反1が巻き付けられたバックアップローラ21の軸と略平行な方向は、幅方向となる。
塗工部4(裏面塗工部6)には、バックアップローラ21以外に、図示しない単数又は複数のガイドローラが備えられ、電極原反1がテンションを有して巻回される。これらのローラの回転により、表面粗度調整部3で領域Sが平滑化された電極原反1が所定の速度で連続的に塗工部4に搬送される。
塗工部4(裏面塗工部6)は、電極原反1の塗工領域12に活物質12Aよりなる電極スラリーを塗布してなる活物質層12Bを形成する。また、塗工部4(裏面塗工部6)は、電極原反1の幅方向の両端から所定寸法において電極タブとなる未塗工領域11内において、塗工領域12と隣接して長手方向に延びる絶縁領域13に絶縁材13Aを塗布してなる一対の絶縁層13Bを形成する。このために、一対の絶縁領域13に絶縁材13Aを塗布する第1ダイコータ22と、塗工領域12に活物質12Aを塗布する第2ダイコータ23と、を備える。
第1ダイコータ22は、絶縁層13Bとして比較的薄く絶縁材13Aを電極原反1に塗布するものであるため、活物質層12Bとして比較的厚く活物質12Aを電極原反1に塗布する第2ダイコータ23の上流に配置されている。第1ダイコータ22は、電極原反1の絶縁領域13に絶縁材13Aを塗布するように、そのノズル22Aのスリット22Bが電極原反1の幅方向の両側に2カ所設けられる。それぞれのスリット22Bは、図6に示すように、未塗工領域11の絶縁領域13の幅部分に開口させて形成する。そして、絶縁材13Aをデイスペンサ(dispenser、液体定量吐出装置)等により第1ダイコータ22に精度良く定量供給して、電極原反1に、塗布して、規定の厚みとなるようにする。
絶縁材13Aとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン等であり、また、絶縁効果を増加させるために、アルミナやタルク等の充填材を混ぜ合わせた樹脂材でもよい。これらの絶縁材13Aは、活物質12Aからなる電極スラリーとは組成が異なるため、塗布しても、活物質12Aと混じり合うことはなく、活物質層12Bと絶縁材13Aからなる絶縁層13Bに分離して存在する。
第2ダイコータ23は、図7に示すように、第1ダイコータ22により塗布された一対の絶縁層13B同士の間の電極原反1の表面に、一対の絶縁層13Bと重なり合わないように、所定の幅寸法に形成されたノズル23Aのスリット23Bが開口されている。そして、図示しない塗液タンクから供給される電極スラリーを、ノズル23Aに開口されたスリット23Bから流出させて、バックアップローラ21上の電極原反1に塗布して、規定の厚みとなるようにする。第2ダイコータ23のノズル23Aのスリット23Bは、電極原反1の幅方向に長尺であって、スリット23Bの開口幅により電極原反1に対して電極スラリーが塗布される規定幅が定まる。
乾燥部5(裏面乾燥部7)は、塗布された活物質層12B及び絶縁層13Bに含まれる希釈溶媒を揮発乾燥させ、プレス部8に搬送される。プレス部8に搬送された電極原反1は、プレス部8の圧延ロール間を通過することにより活物質層12Bの充填密度を高めるとともに均一化して、帯状の電極20とする。次いで、スリット部9を通過することにより、帯状の電極20の幅方向の中央部で分割する。分割された帯状の電極20は、次工程により所定長さに切断されることにより、それ自体で電極板を形成することができる。スリット部9で分割された帯状の電極20は、左右一対(若しくは左右方向それぞれ)が、巻取り部10の巻取りローラに巻取られる。
なお、上記実施形態において、電極20として、帯状の電極原反1の幅方向の両端部に長手方向に延びる活物質12Aを塗布しない未塗工領域11を備えるものについて説明した。しかし、帯状の電極原反1の幅方向の一端部のみに長手方向に延びる活物質12Aを塗布しない未塗工領域11を備えるものであってもよい。
以上の構成の電極の製造装置においては、電極原反1に絶縁材13Aよりなる絶縁層13Bと活物質12Aよりなる活物質層12Bとを、その境界部を接触させて幅方向に並べて配列することができる。このため、電極原反1への活物質層12Bの形成と絶縁層13Bの形成とをインラインで連続して実施することができ、帯状の電極20の生産性を向上させることができる。
ところで、第1ダイコータ22により塗布される絶縁材13Aは、一般に粘度が比較的に低く(表面張力が比較的低く)、電極原反1の表面との濡れ性が高い。このため、電極原反1に塗布された絶縁材13Aは、電極原反1の表面との接触角を比較的小さくして平面方向に拡がりやすい特性を備える。このため、絶縁層13Bの活物質層12Bに対する突合せ端部は、図8に示すように、水平方向及び、垂直方向に微細な凹凸が生じる。
また、第2ダイコータ23により塗布される活物質12Aは、一般に粘度が比較的に高く(表面張力が比較的高く)、電極原反1の表面との濡れ性が低い。このため、電極原反1に塗布された活物質12Aは、電極原反1の表面との接触角を比較的大きくして、平面方向に拡がりにくい特性を備える。このため、活物質層12Bの絶縁層13Bに対する突合せ部も、水平方向及び、垂直方向に微細な凹凸による狭隘部が発生する。
このため、絶縁層13Bと活物質層12Bとの境界は、電極原反1の表面に塗布されたウェット状態で突合わされ、絶縁層13Bの突き合わせ端部が活物質層12Bに生じた凹凸による狭隘部に入り込まない。また、活物質層12Bの突き合わせ端部が絶縁層13Bに生じた凹凸による狭隘部に入り込まない現象が発生する。結果として、図9に示すように、両者の境界部に、絶縁層13Bも活物質層12Bも存在しない隙間が発生し、絶縁されない部位が発生する虞がある。
なお、第2ダイコータ23により塗布する活物質12Aよりなる電極スラリーを、第1ダイコータ22で塗布した絶縁層13Bの上に乗り上げて塗布した場合には、図10に示すように、両者間に隙間が発生しない。しかしながら、乗り上げた部分の合計膜厚が厚くなる、言い換えれば、電極原反1の幅方向の一部が長手方向に厚くなる結果となる。このような帯状の電極20は、ロール巻きができないという不具合が生ずる。
このため、電極原反1に塗布される絶縁層13Bと活物質層12Bとは、その境界部に、いずれかを他方に乗上げる状態を避けて、絶縁層13Bも活物質層12Bも存在しない隙間が発生させず、絶縁されない部位が発生しないように、突合わさせる必要がある。
ところで、塗布された絶縁層13Bや活物質層12Bの電極原反1の表面に対する濡れ性(接触角)は、塗布される電極原反1の表面粗さが、滑らか、即ち、Ra(算術平均粗さ)が低いほど、向上する(接触角が小さくなる)特性を備える。
本実施形態においては、塗工部4,6での絶縁材13A及び活物質12Aの塗布に先立ち、表面粗度調整部3により、電極原反1の絶縁領域13と塗工領域12との境界領域Sの表面粗さを平滑化している。このため、電極原反1に塗布された絶縁材13Aは、電極原反1の表面との接触角を比較的小さくして平面方向に拡がりやすい特性が助長される。このため、絶縁層13Bの活物質層12Bに対する突合せ端部は、水平方向及び、垂直方向に微細な凹凸が生じることを防止することができる。
また、第2ダイコータ23により塗布される活物質12Aも、一般に粘度が比較的に高く(表面張力が比較的高く)、電極原反1の表面との濡れ性が低い特性を改善することができる。このため、電極原反1に塗布された活物質12Aは、電極原反1の表面との接触角を低減させて、平面方向に拡がりやすい特性に改善できる。このため、活物質層12Bの絶縁層13Bに対する突合せ部も、水平方向及び、垂直方向に微細な凹凸による狭隘部の発生を抑制することができる。
このため、絶縁層13Bと活物質層12Bとの境界は、電極原反1の表面に塗布されたウェット状態で突合わされ、絶縁層13Bの突き合わせ端部が活物質層12Bに生じた凹凸による狭隘部に入り込まない現象を抑制することができる。また、活物質層12Bの突き合わせ端部が絶縁層13Bに生じた凹凸による狭隘部に入り込まない現象を抑制することができる。結果として、図11に示すように、両者の境界部に、絶縁層13Bも活物質層12Bも存在しない隙間の発生を抑制して、絶縁されない部位の発生を抑制することができる。
次に、図12から図15のグラフ及び表を参照して、本発明の電極20の製造方法に関連して行った実験結果につき、順次説明する。実験には、活物質層12Bとなる粘度の相違する2種類の電極スラリー(塗料1,2という)と、絶縁層13Bとなる絶縁材13Aを1種類(塗料3という)と、を使用した。
図12は、上記の塗料1〜3を、算術平均粗さRa=10(nm)から100(nm)まで表面粗さを変化させた電極原反1の基材に塗布して、基材粗度の変化に対して各塗料の接触角がどのように変化するかを求めた実験結果である。図12によれば、基材の粗度を小さくしていくに連れて、接触角が小さくなる傾向が得られた。この傾向は、電極スラリー2種(塗料1,2)、1種の絶縁材13A(塗料3)ともに同様の結果であった。結果から、基材の粗度を小さくすることで、両者の濡れ性(=狭隘部への浸透性)が向上し、電極スラリーと絶縁材13Aとの突合せ部に隙間を生じさせない効果が確認できる。
図13に示す表は、算術平均粗さRa=10、30、100(nm)と表面粗さが異なる電極原反1に、境界部が接触するよう電極スラリーと絶縁材13Aとを幅方向に並べて塗布して、その境界部に発生する隙間の発生頻度を求めた実験結果である。図13によれば、基材の粗度を小さくすることで、電極スラリーと絶縁材13Aとの突合せ部の隙間点数及び隙間面積が少なくなる結果を得た。この傾向は、電極スラリー2種(塗料1,2)、1種の絶縁材13A(塗料3)ともに同様の結果であった。結果から、基材の粗度を小さくすることで、濡れ性(=狭隘部への浸透性)が向上し、電極スラリーと絶縁材13Aとの突合せ部に隙間を生じさせない効果を確認できた。
図14は、図12における塗料1〜3の基材との接触角と膜厚の分布を示すものである。図14によれば、接触角が小さくなると、形成される塗膜の膜厚が薄くなる結果を得た。この傾向は、電極スラリー2種(塗料1,2)、1種の絶縁材13A(塗料3)ともに同様の結果であった。結果から、基材の粗度を小さくすることで、接触角が小さくなり、形成される塗料膜厚が薄くなる効果を確認できた。
図15は、突合せ部の電極スラリーを絶縁材13Aに乗り上げるように塗布した場合における膜厚分布を実験した結果を示すものである。図15によれば、乗り上げ部分の合計膜厚が、電極スラリーのみの膜厚、絶縁材13Aのみの膜厚よりも厚くなる結果を得た。この状態の電極20をロール巻取りすると合計膜厚部分の重なりで、当該部分における巻取り径が大きくなり、結果としてロール巻取りができなくなることが予想される。
以上の結果により、基材(アルミ箔、銅箔等)と塗料の界面張力を、基材粗度の平滑化で、一般部より小さくすることで、その部分へ塗布された塗料(絶縁材13A、電極スラリー等)の基材との接触角を小さくし、塗料の濡れ性(=浸透性)を上げる。このことで、狭隘部(隙間)の発生を防止する。また、異種の塗料が付き合わされる部分の狭隘部にも、塗料が浸透し隙間のない突合せ部(境界部)をつくることができる。
また、基材(アルミ箔、銅箔等)と塗料の界面張力を、基材粗度の平滑化で、一般部より小さくすることで、その部分へ塗布された塗料(絶縁材13A、電極スラリー等)の基材との接触角を小さくし、完膜後の膜厚を一般部より薄くすることができる。
なお、絶縁材13Aの塗布工程として、活物質12Aの塗布工程の前のみで実施するものについて説明したが、活物質12Aの塗布工程の後のみで実施しても、活物質12Aの塗布工程の前と後の両方で実施してもよい。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)帯状の電極原反1の幅方向の少なくとも一端部に所定幅で長手方向に延びる活物質12Aを塗布しない未塗工領域11と、幅方向の残部に活物質12Aを長手方向に連続的に塗布して活物質層12Bとする塗工部4,6と、を備える電極の製造装置である。そして、電極原反1への活物質12Aの塗布の前又は後の少なくとも一方で、未塗工領域11の塗工領域12との境界に沿わせて予め設定した所定幅の絶縁領域13に、絶縁層13Bとなる絶縁材13Aを長手方向に塗布するようにしている。このため、絶縁テープを帯状電極の長手方向に連続して配設することによって生じる活物質層に重なる部分の厚み寸法が局部的に厚くなることが解消される。しかも、電極原反1への活物質層12Bの形成と絶縁層13Bの形成とをインラインで連続して実施することができ、帯状の電極20の生産性を向上させることができる。
(イ)電極原反1は、少なくとも絶縁領域13と塗工領域12との境界部を挟んで所定幅で長手方向に表面粗さを平滑化して、その粗度をその他の部位に比較して小さくしている。このため、電極原反1に塗布された絶縁材13Aは、電極原反1の表面との接触角を比較的小さくして平面方向に拡がりやすい特性が助長され、活物質層12Bとの突合せ端部は、水平方向及び、垂直方向に微細な凹凸が生じることを防止することができる。また、電極原反1に塗布された活物質12Aは、電極原反1の表面との接触角を低減させて、平面方向に拡がりやすい特性に改善でき、絶縁層13Bとの突合せ部も、水平方向及び、垂直方向に微細な凹凸による狭隘部の発生を抑制することができる。結果として、両者の境界部に、絶縁層13Bも活物質層12Bも存在しない隙間の発生を抑制して、絶縁されない部位の発生を抑制することができる。
(ウ)電極原反1の表面粗さの平滑化は、電極原反1をプレスロール15することによりその粗度を小さくする。このため、電極原反1の表面粗さを、活物質12A及び絶縁材13Aの塗布に先立ち、インラインで連続して平滑化することができる。また、平滑化状態は、プレスロール15のプレス圧力を変更することにより、調整することができる。
(エ)電極原反1の表面粗さの平滑化は、電極原反1を加熱することによりその粗度を小さくする。このため、電極原反1の表面粗さを、活物質12A及び絶縁材13Aの塗布に先立ち、インラインで連続して平滑化することができる。
(オ)表面粗さの平滑化は、算術平均粗さRaが、1nm〜80nmの範囲にその粗度を小さくする。塗布された活物質12Aと絶縁材13Aとの両者の濡れ性(=狭隘部への浸透性)が向上し、両者の突合せ部に隙間を生じさせない効果が確認できる。
1 電極原反
2 巻き出し部
3 表面粗度調整部
4,6 塗工部
5,7 乾燥部
8 プレス部
9 スリット部
10 巻取り部
11 未塗工領域
12 塗工領域
12A 活物質
12B 活物質層
13 絶縁領域
13A 絶縁材
13B 絶縁層
15 プレスロール
16 レーザ照射
20 電極
21 バックアップローラ
22 第1ダイコータ
23 第2ダイコータ

Claims (10)

  1. 帯状の電極原反の幅方向の少なくとも一端部に所定幅で長手方向に延びる活物質を塗布しない未塗工領域と、幅方向の残部に活物質を長手方向に連続的に塗布した活物質層とする塗工領域と、を備える電極の製造装置であって、
    前記電極原反への活物質の塗布の前又は後の少なくとも一方で、前記未塗工領域の塗工領域との境界に沿わせて予め設定した所定幅の絶縁領域に、絶縁層となる絶縁材を長手方向に塗布することを特徴とする電極の製造装置。
  2. 前記電極原反は、少なくとも絶縁領域と塗工領域との境界部を挟んで所定幅で長手方向に表面粗さを平滑化して、その粗度をその他の部位に比較して小さくするものであることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造装置。
  3. 前記電極原反の表面粗さの平滑化は、電極原反をロールプレスすることによりその粗度を小さくするものであることを特徴とする請求項2に記載の電極の製造装置。
  4. 前記電極原反の表面粗さの平滑化は、電極原反を加熱することによりその粗度を小さくするものであることを特徴とする請求項2に記載の電極の製造装置。
  5. 前記表面粗さの平滑化は、算術平均粗さRaが、1nm〜80nmの範囲にその粗度を小さくするものであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の電極の製造装置。
  6. 帯状の電極原反の幅方向の少なくとも一端部に所定幅で長手方向に延びる活物質を塗布しない未塗工領域と、幅方向の残部に活物質を長手方向に連続的に塗布して活物質層とする塗工領域と、を備える電極の製造方法であって、
    前記電極原反への活物質の塗布の前又は後の少なくとも一方で、未塗工領域の塗工領域との境界に沿わせて予め設定した所定幅の絶縁領域に、絶縁層となる絶縁材を長手方向に塗布することを特徴とする電極の製造方法。
  7. 前記電極原反は、少なくとも絶縁領域と塗工領域との境界部を挟んで所定幅で長手方向に表面粗さを平滑化して、その粗度をその他の部位に比較して小さくするものであることを特徴とする請求項6に記載の電極の製造方法。
  8. 前記電極原反の表面粗さの平滑化は、電極原反をロールプレスすることによりその粗度を小さくするものであることを特徴とする請求項7に記載の電極の製造方法。
  9. 帯状の電極原反の幅方向の少なくとも一端部に所定幅で長手方向に延びる活物質を塗布しない未塗工領域と、幅方向の残部に活物質を長手方向に連続的に塗布した活物質層とする塗工領域と、を備える電極であって、
    前記未塗工領域の塗工領域との境界に沿わせて予め設定した所定幅の絶縁領域に、絶縁材が長手方向に塗布された絶縁層を備えることを特徴とする電極。
  10. 前記電極は、少なくとも絶縁領域と塗工領域との境界部を挟んで所定幅で長手方向に表面粗さを平滑化して、その粗度をその他の部位に比較して小さくされていることを特徴とする請求項9に記載の電極。
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