JP2008261021A - 混銑車炉体の耐火物ライニング層厚みの判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 使用中の混銑車において、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か否かを確実に検知することのできる判定方法を提供する。
【解決手段】 収容していた溶銑を混銑車炉体から排出した後、該混銑車炉体の鉄皮表面温度を、前記排出から時間t1 (分)だけ経過した時点及び時間t2 (分)だけ経過した時点で測定し、時間t1 だけ経過した時点で測定した表面温度T1 (℃)と、時間t2 だけ経過した時点で測定した表面温度T2 (℃)と、時間t1 (分)と、時間t2 (分)とから、下記の(1)式によって算出される鉄皮表面温度の時間変化δTの絶対値が0.8℃/分以下であるときに前記混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが所定値以上であると判定する。
δT=−(T2−T1)/(t2−t1)…(1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶銑を搬送するために使用される混銑車の炉体内部に施工された耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か基準値以下かを判定する方法に関するものである。
高炉で製造した溶銑を高炉下で受銑し、受銑した溶銑を転炉などの製鋼設備に搬送するために使用される混銑車(「トーピードカー」ともいう)は、内部に耐火物が施工されたタンク状の収容容器を積載した貨車である。このタンク状の収容容器を「混銑車炉体」と呼んでいる。混銑車は、鉄道上を走行するために走行抵抗が小さく、大量の溶銑を少ないエネルギーで搬送できることや、開口部が小さく大気中への熱放出が少ないので輸送時の温度低下が抑えられるなどの利点があり、製鉄業で広く使用されている。
一般に、混銑車炉体は、厚みが60mm程度のタンク状の鉄皮を外殻とし、この鉄皮の内面に耐火物のライニング層が施工されて構成されている。この耐火物ライニング層は、合計の厚みが300mm程度になるように施工されている。耐火物ライニング層は、溶銑の熱放出を抑えて溶銑温度の低下を防止することに加えて、鉄皮と溶銑とが直接接触して鉄皮が溶融・破損し、溶銑が混銑車炉体の外部に流出することを防止するという役割も果たしている。とりわけ、溶銑の混銑車炉体からの漏洩は線路設備などを著しく損傷し、操業を長期間にわたって停止させる原因となるので、その防止は重要である。
ところで、混銑車の使用を続けているうちに、高温の溶銑と接触する内部の耐火物には、溶損による厚みの減少や、熱履歴による局所的な破損が発生する。従って、溶損しにくい耐火物材質の選定や、熱履歴を受けたときに熱応力の集中が起きないように耐火物を施工することが重要である。また、使用時の突発的な溶銑漏洩を予防するためにも、内部の耐火物ライニング層の厚みを検知し、その厚みが基準値よりも減少している場合には、速やかにその使用を中止することも重要である。
しかしながら、混銑車炉体は開口部が一部にしかなく、しかも小さく、外部から内部の耐火物ライニング層の状態を監視することは極めて困難である。その上、使用時の混銑車炉体の内部温度は常時600℃以上となっているために、内部に入っての検査や計測装置を用いた厚み変化の追跡も困難である。そのために、従来は定期的に使用から離脱させ、耐火物を再施工するなどの方法が行われていた。
しかし、この方法では、耐火物ライニング層の厚みが十分であっても再施工する場合や、その反対に、耐火物ライニング層の溶損が予想以上に進んで溶銑が流出してしまう場合もあった。これらを解決するべく、使用中の混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みを測定する方法が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、レーザー光を用いた内面プロフィール測定装置が提案されている。しかし、この測定装置では、レーザー装置などの耐熱性が十分でなく、プロフィール測定のためには混銑車炉体を一旦常温程度まで冷却しなければならないという問題がある。特許文献2には、混銑車炉体の湯当たり部におけるライニングの溶損状況を、レーザー距離計を用いて測定する方法が提案されている。しかし、この方法では開口部の近傍のみが測定可能であり、大部分の範囲は測定できず、耐火物ライニング層の監視という観点からは不十分である。
特許文献3には、混銑車炉体の耐火物ライニング層を測定対象とはしていないが、パルス光を発振させた光ファーバーを出銑樋付近に配置し、この光ファイバーで検知する樋高温部(損傷部)の散乱光から、高炉出銑樋の溶損状況及び溶損箇所を予知する装置が提案されている。しかし、光ファイバーの施工が困難であり且つ測定中の断線が発生しやすく、その上更に、測定装置が大きく、この方法を移動する混銑車に適用することは極めて困難である。特許文献4には、抵抗線を混銑車炉体の耐火物ライニング層に埋設し、抵抗線が溶断することによって耐火物ライニング層の厚みを把握する方法が提案されている。この方法は、特許文献3の光ファイバーを用いた方法に比べると測定装置が小型化できるという利点はあるが、抵抗線を混銑車炉体の全体に配置するとなると、数多くの抵抗線を埋め込む必要があり、耐火物の施工が極めて煩雑であり且つ長期間を要するという問題点がある。
また、特許文献5には、混銑車炉体の鉄皮表面温度を、赤外線撮像装置と画像解析装置とを用いて計測し、計測される鉄皮表面温度が予め設定した値に対して異常であるときに耐火物ライニング層の厚みが薄くなったと判定する方法が提案されている。この方法と、定期的な運用離脱とを組み合せることで、溶銑の流出トラブルの大半は防止可能となった。但し、鉄皮の表面温度は、受銑してからの経過時間、受銑時の溶銑の温度、外気温度などの影響を受けやすく、適用するに当たってはその影響を考慮して判断基準を設定する必要がある。しかしながら、変化する環境に対して的確に判断基準を設定することは困難であり、そのために、判断基準が厳しくなりすぎて耐火物ライニング層の厚みが十分な状態であるにも拘わらず、耐火物の再施工が必要と判断されたり、その逆に、判断基準が緩くなりすぎて検知が遅れて混銑車から溶銑が漏洩したりするなどの事態が不可避であった。
特開昭58−37507号公報 特開2005−337922号公報 特開2005−256099号公報 特開平1−129103号公報 実開平5−54529号公報
このように、従来、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か基準値以下かを判定するために、種々の手段が提案されているが、確実に耐火物ライニング層の厚みを把握して使用の可否を判定する手段が提案されているとはいいがたく、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か基準値以下かを確実に検知することのできる手段が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、使用中の混銑車において、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か基準値以下かを確実に検知することのできる判定方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するに当たって、混銑車炉体の鉄皮の外表面温度(以下単に「表面温度」と記す)と使用履歴との関係を詳細に調査した。その結果、混銑車炉体の鉄皮表面温度は使用回数が重なるにつれて全体的に上昇する傾向のあることを把握した。更に、鉄皮表面温度の変化を詳細に調査した結果、鉄皮表面温度の時間変化は、混銑車炉体が溶銑を収容しているかいないかによって変化し、この時間変化の大きさは混銑車炉体の使用回数と相関があることを見出した。
このような、鉄皮表面温度の時間変化と混銑車炉体の使用回数との相関関係は、使用回数が多くなることによって耐火物ライニング層の厚みが変化することに起因するものと推定し、これを検証するために、本発明者等は耐火物ライニング層の厚みを変えた混銑車炉体を作製し、鉄皮表面温度の時間変化を詳細に調査した。
その結果、鉄皮表面温度の時間変化は、耐火物ライニング層の厚みと密接な関係があり、とりわけ、溶銑を排出した直後の鉄皮表面温度の変化が耐火物ライニング層の厚みと強い相関があることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る混銑車炉体の耐火物ライニング層厚みの判定方法は、収容していた溶銑を混銑車炉体から排出した後、該混銑車炉体の鉄皮表面温度を、前記排出から時間t1 (分)だけ経過した時点及び時間t2 (分)だけ経過した時点で測定し、時間t1 だけ経過した時点で測定した表面温度T1 (℃)と、時間t2 だけ経過した時点で測定した表面温度T2 (℃)と、時間t1 (分)と、時間t2 (分)とから、下記の(1)式によって算出される鉄皮表面温度の時間変化δTの絶対値が0.8℃/分以下であるときに、前記混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であると判定することを特徴とするものである。
Figure 2008261021
第2の発明に係る混銑車炉体の耐火物ライニング層厚みの判定方法は、第1の発明において、前記時間t1 は10〜60分、前記時間t2 は50〜180分であることを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑温度や外気温などの環境の影響を受けることなく、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か否かを的確に判断できるようになり、その結果、耐火物の損耗が進行していない状態であるにも拘わらず基準値以下と判断したり、逆に、耐火物の損耗が進行した状態であるにも拘わらず耐火物の損耗を検知できずに溶銑の漏洩が発生したりする事態を回避することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、混銑車を構成する混銑車炉体に収容した溶銑を排出した後に当該混銑車炉体の鉄皮表面温度を2回以上測定し、その測温結果に基づき混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値を越えているか或いは越えていないかを判定する。具体的には、収容していた溶銑を混銑車炉体から排出した後、該混銑車炉体の鉄皮表面温度を、前記排出から時間t1 (分)だけ経過した時点及び時間t2 (分)だけ経過した時点で測定し、時間t1 だけ経過した時点で測定した表面温度T1 (℃)と、時間t2 だけ経過した時点で測定した表面温度T2 (℃)と、時間t1 (分)と、時間t2 (分)とから、下記の(1)式によって算出される鉄皮表面温度の時間変化δTの絶対値が0.8℃/分以下であるときに、前記混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であると判定する。
Figure 2008261021
このように本発明においては、溶銑を排出した後の熱源を持たない状態の混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTに基づいて耐火物ライニング層の厚みを判定する理由は、以下の通りである。
溶銑を収容していない状態の混銑車炉体の鉄皮表面温度は、耐火物ライニング層が溶銑から受けた熱量、耐火物ライニング層の伝熱量、混銑車炉体の鉄皮表面からの抜熱量の総和によって決定される。この中でも混銑車炉体の鉄皮表面温度に及ぼす影響として、耐火物ライニング層の伝熱量の影響がとりわけ大きい。そして、この耐火物ライニング層の伝熱量は、耐火物の材質に加えて、耐火物ライニング層の厚みに強く影響され、耐火物ライニング層が厚いほど伝熱量は小さくなるので、耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であるか否かを判定するに適した量である。
また、実操業では、耐火物ライニング層が溶銑から受けた熱量及び鉄皮表面からの抜熱量はほぼ一定と見なせるので、混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTは耐火物ライニング層の伝熱量の大きさを反映している。つまり、耐火物ライニング層が厚く伝熱量が小さい場合には、鉄皮表面温度の時間変化δTは小さくなる。
更に、混銑車炉体の鉄皮表面温度の絶対値は、例えば天候条件、収容された溶銑自体の温度や流動状況などの影響を強く受けてしまうのに対して、鉄皮表面温度の時間変化δTはそれらの影響が打ち消されるという利点がある。
そこで、本発明では、混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTに基づいて耐火物ライニング層の厚みを把握することとした。
次に、本発明において、混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTの絶対値を0.8℃/分以下と規定した理由について説明する。
本発明者等は、混銑車の運用サイクル、1回の溶銑輸送量、経済的な耐火物ライニング層の施工方法を鋭意検討し、更に、幾つかのケースについて鉄皮表面温度の時間変化δTと耐火物ライニング層の厚みとの関係を調査した結果、耐火物ライニング層の厚みが基準値以上の範囲である限り、混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTは0.8℃/分以下であることを見出した。そこで、本発明では、混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTの絶対値を0.8℃/分以下と規定した。尚、本発明では鉄皮表面温度の時間変化δTの下限は特に規定しないが、実用的な耐火物の施工条件を考慮すると、0.1℃/分程度が実用的な下限となる。
混銑車炉体の鉄皮表面温度の測定方法としては、混銑車炉体の鉄皮表面に温度を測定する部材例えば熱電対や温度計などを直接接触させて測定する方法、鉄皮表面から輻射される電磁波を検出することによって非接触で測定する、例えばサーモグラフィーなどの方法があるが、本発明においてはその何れの方法を用いて測定しても構わない。勿論、混銑車炉体の鉄皮表面温度が測定できるものである限り、それ以外の方法であっても構わない。とりわけ、非接触での測定方法は、混銑車との触車や噴出した溶銑との接触などによる測定作業者の受傷を原理的に防止することが可能であるので好ましい。
一般的に、混銑車炉体の鉄皮表面温度には温度分布が存在する。従って、鉄皮表面温度の測定は、複数箇所で行うことが好ましい。複数箇所の温度測定をした場合、代表温度としては、複数箇所での温度の平均値を採用する方法、最大温度を採用する方法、所定の箇所を決めそこでの測定温度を代表値として採用する方法、或いは、温度分布から計算される数値を採用する方法などがあるが、本発明においては、何れの方法で求められた温度を代表温度として用いても構わない。但し、一般的に、耐火物ライニング層の厚みが薄くなると、その近傍の鉄皮表面温度は周囲よりも高くなる傾向がある。それ故、最大温度を代表温度とした場合には、局所的な耐火物ライニング層の厚み変化を検知することが可能となり、溶銑の漏洩を未然に防止できることから、代表温度としては最大温度を採用することが好ましい。
混銑車炉体の鉄皮表面温度の測定は、収容していた溶銑が排出された以降である限り任意の時点で実施しても構わないが、とりわけ、1回目の測温を、溶銑が排出されてから10分経過時点から60分経過するまでの期間、つまり時間t1 を10〜60分とし、2回目の測温を、溶銑が排出されてから50分経過時点から180分経過するまでの期間、望ましくは溶銑が排出されてから100分経過時点から140分経過するまでの期間、つまり、時間t2 を、50〜180分、望ましくは100〜140分とすることが好ましい。
鉄皮表面温度の測定時期として上記の範囲が好ましい理由は以下の通りである。即ち、鉄皮表面温度の推移を調査した結果、混銑車炉体の鉄皮表面温度は溶銑を排出した後にも緩やかに上昇し続け、その後低下し始める傾向であることが分かった。これは次のように考えることができる。
(1):先ず、混銑車炉体に収容された溶銑によって耐火物ライニング層が加熱され、熱を蓄積した状態になる。
(2):次に、溶銑が排出されると、耐火物ライニング層の加熱は停止する。しかし、この時点ではまだ耐火物ライニング層には熱が蓄積されているので、この蓄積された熱が鉄皮側に伝わり、鉄皮の温度を上昇させる。
(3):溶銑が排出されてしばらく経つと、炉体の内壁及び外壁からの放熱により耐火物ライニング層の温度が低下し始める。しばらく経過すると炉体内部と内壁は熱平衡に到達し、その後は、鉄皮や耐火物ライニング層内壁からの放熱によって更に耐火物ライニング層の温度が低下し始め、また鉄皮の温度も低下し始め、最終的には耐火物ライニング層全体が熱平衡に到達する。
本発明者等の調査から、(2)で説明した鉄皮表面温度の上昇は溶銑の排出時点から10〜60分間経過する時点まで観察され、この時間は耐火物ライニング層の厚みに依存することが分かった。そして、その時間は、耐火物ライニング層の厚みが薄いほど短く、耐火物ライニング層の厚みが下限値つまり基準値になった場合に10分間程度となる。本発明では、温度差の大きさに基づいて判定するので、1回目の鉄皮の測温はできる限り鉄皮表面温度が高い状態でなされるべきであり、そのために、本発明では、時間t1 の好ましい範囲を10〜60分とした。
また、(3)で説明した鉄皮の温度低下は、上述の温度上昇が止まってからしばらくの期間が最も顕著となる。具体的には、鉄皮表面温度の低下が最も大きくなるのは温度上昇が停止してからおおよそ60〜120分の期間である。本発明では温度差の大きさに基づいて判定するので、2回目の測温時期としては温度の低下が最も大きく検知できる期間を選択することが好ましい。本発明者等が詳細に検討したところ、2回目の測温時期として溶銑が排出されてから50分間経過した以降とすると、鉄皮表面温度の時間変化δTが大きくなり、的確に耐火物ライニング層の厚みを判定できることが分かった。
更に調査した結果、平衡温度は耐火物ライニング層の厚みが変ってもほぼ同等であることが分かった。そのため、時間t2 を180分経過した以降とすると、耐火物ライニング層の厚みが変っても鉄皮表面温度の時間変化δTが小さくなり、的確な判定が困難になることが判明した。つまり、的確な判定を行うためには、時間t2 を180分以下とすることが好ましいことが分かった。更に調査した結果、時間t2 を100〜140分としたときに、温度計の測定誤差などを考慮しても的確に判定できることが分かった。そこで、本発明では、時間t2 の好ましい範囲を50〜180分とし、望ましくは100〜140分とした。
本発明においては、1回目と2回目との測定間隔は特に規定しないが、混銑車炉体の鉄皮表面温度の変化は比較的緩慢であるので、測定間隔を短くした場合には、正確に判定するためには温度測定の精度を高める必要がある。しかしながら、実操業においては、外気温の影響などもあり表面温度を高精度で測定することは現実的でない。そこで、本発明においては、温度差を大きくして測定精度を高めるために、1回目と2回目との測定間隔を40分以上とすることが好ましい。尚、温度測定を3回以上行って、上述と同様に鉄皮表面温度の時間変化δTを求めた場合においても本発明を実施することができる。
本発明においては、混銑車炉体の鉄皮表面温度の絶対値については特に規定しないが、一般に、混銑車炉体の鉄皮材料として400℃付近から急速に強度が低下する炭素鋼が用いられていることを考慮すると、鉄皮表面温度は400℃以下に維持することが好ましい。これ以上になると、鉄皮の強度が低下し、収容した溶銑の静圧や移動時の衝撃などによって鉄皮を変形させ、ひいては耐火物ライニング層の変形・脱落を引き起こし、最終的には溶銑の漏洩を引き起こす危険性がある。また、本発明においては下限温度も規定しないが、測温手段としてサーモグラフィーを用いる場合には、使用環境や耐火物ライニング層の施工状況にも依存するが150〜250℃が実用的な下限となる。
以上説明したように、本発明によれば、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みを実測することなく、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上か否かを的確に判断できるようになり、その結果、混銑車炉体用耐火物の使用量の削減及び溶銑の漏洩トラブルの防止などが可能となり、製造コストの削減が達成される。
また、従来、特許文献5に示すように、溶銑を収容した状態の混銑車炉体の鉄皮表面温度の絶対値に基づいて耐火物ライニング層の厚みを判定していたのに対して、本発明では、溶銑を排出した後の熱源を持たない状態の混銑車炉体の鉄皮表面温度の時間変化δTに基づいて耐火物ライニング層の厚みを判定している。従って、本発明においては、測定環境、運用条件、測定条件などの因子の影響が打ち消し合い、つまり、測定環境、運用条件、測定条件などの因子の影響を受けることなく、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であることを的確に判定することが可能となる。
施工時の耐火物ライニング層の厚みが300mm、1チャージ当たり450トンの溶銑を移送可能な混銑車に対して本発明を適用して、耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であるかどうかを判定した。尚、耐火物ライニング層の厚みの基準値は経験上から150mmと定めている。つまり、耐火物ライニング層の厚みが150mm以上であるならば、使用可能と定めている。また、高炉からの受銑量は1チャージ当たり350〜450トン、受銑時の溶銑の温度は平均値で1400℃であった。
混銑車炉体の鉄皮表面温度はサーモグラフィーを用いて行い、溶銑を排出した後の混銑車炉体鉄皮の数箇所について時間を隔てて2回にわたり表面温度を測定し、それぞれの測定時期の平均値を用いて鉄皮表面温度の時間変化δTを(1)式を用いて算出し、算出した鉄皮表面温度の時間変化δTに基づいて判定した。
また、比較のために、鉄皮表面温度が350℃以上になった場合を耐火物ライニング層の厚みが基準値を下回ったと判定する方法(比較方法)でも判定した。この判定方法では、1回目の測温時の平均温度で評価した。また更に、本発明方法による判定方法が正確かどうかを確認するために、2回目の測温が終了した以降で、混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みを実測し、実測による判定も実施した。
表1に、8回の受銑タイミングで実施した、本発明方法による判定結果、比較方法による判定結果、及び実測値による判定結果を併せて示す。
Figure 2008261021
表1に示すように、本発明方法で判定した結果は、耐火物ライニング層厚みの実測値に基づいて判定した結果と同一であり、本発明を適用することで、耐火物ライニング層の厚みを実測することなく、耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であるかどうかを的確に判定できることが確認できた。これに対して、比較方法で判定した場合には、チャージNo.5及びチャージNo.6に示すように、誤判定するケースがあることが分かった。
ここで、チャージNo.6は、測温間隔を30分とした例であり、仮に温度測定の誤差が5℃あるとすると、本発明方法でも誤判定する可能性がある。従って、本発明を適用する場合にも、1回目の測温を溶銑の排出後10分以降とし、2回目の測温を溶銑の排出後50分以降とし、且つ、測温間隔を40分以上とすることが好ましいことが分かった。
チャージNo.7,8は、1回目の測温及び2回目の測温を溶銑の排出後180分以降とした例であり、この場合でも正確に判定できることが確認できた。但し、チャージNo.8の場合、耐火物ライニング層の厚みは基準値を上回っているものの、既に鉄皮表面温度が平衡温度に到達していたために、鉄皮表面温度の時間変化δTは小さくなっていた。この結果から、より正確な判定には2回目の測温を溶銑の排出後180分以下とすることが好ましいことが分かった。

Claims (2)

  1. 収容していた溶銑を混銑車炉体から排出した後、該混銑車炉体の鉄皮表面温度を、前記排出から時間t1 (分)だけ経過した時点及び時間t2 (分)だけ経過した時点で測定し、時間t1 だけ経過した時点で測定した表面温度T1 (℃)と、時間t2 だけ経過した時点で測定した表面温度T2 (℃)と、時間t1 (分)と、時間t2 (分)とから、下記の(1)式によって算出される鉄皮表面温度の時間変化δTの絶対値が0.8℃/分以下であるときに、前記混銑車炉体の耐火物ライニング層の厚みが基準値以上であると判定することを特徴とする、混銑車炉体の耐火物ライニング層厚みの判定方法。
    δT=−(T2−T1)/(t2−t1)…(1)
  2. 前記時間t1 は10〜60分、前記時間t2 は50〜180分であることを特徴とする、請求項1に記載の混銑車炉体の耐火物ライニング層厚みの判定方法。
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