JP2011158103A - 製鉄用容器の鉄皮の監視方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高額な設備投資を必要とせず、且つ、移動する製鉄用容器であっても全く問題なく適用することのできる、製鉄用容器の鉄皮の監視方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る製鉄用容器の鉄皮の監視方法は、所定温度以上に達すると非可逆的に変化する物質を、内部に耐火物が内張りされた製鉄用容器の鉄皮の外表面に接触させて配置し、前記非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて前記製鉄用容器の鉄皮の温度を推定することを特徴とする。この場合、前記非可逆的に変化する物質は塗料であること、また、前記非可逆的に変化する物質は400℃以上になると非可逆的に変化する物質であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明に係る製鉄用容器の鉄皮の監視方法は、所定温度以上に達すると非可逆的に変化する物質を、内部に耐火物が内張りされた製鉄用容器の鉄皮の外表面に接触させて配置し、前記非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて前記製鉄用容器の鉄皮の温度を推定することを特徴とする。この場合、前記非可逆的に変化する物質は塗料であること、また、前記非可逆的に変化する物質は400℃以上になると非可逆的に変化する物質であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、内部に耐火物が内張りされた、溶銑または溶鋼を収容する製鉄用容器の鉄皮の監視方法に関する。
鉄鋼業においては、溶銑及び溶鋼を搬送するために鍋型の容器(取鍋や溶銑鍋)や混銑車が使用されている。これらの製鉄用容器は、外殻を鉄皮として、その内面側に耐火物が施工されており、この耐火物の厚みが薄くなると外側の鉄皮が赤熱する。そして、内張りされた耐火物が溶損などによって消失すると同時に、鉄皮が溶銑または溶鋼と直接接触して溶融し、漏銑、漏鋼といった、いわゆる湯漏れが発生する。この湯漏れを回避するために、内張りされた耐火物の残存厚みを求める技術や、鉄皮温度を監視して赤熱部位を検知する技術が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、内張りされた煉瓦に接触型温度計を煉瓦の厚み方向に間隔をおいて複数埋設して煉瓦の温度変化を検出し、空炉放熱期間における炉内側の温度計の温度降下度から内張りされた煉瓦の残存厚みを求める方法が提案されている。
また、特許文献2には、鉄皮表面の温度分布計測経路に沿って金属管を配置し、鉄皮表面と金属管とを金属管の長手方向に光ファイバー温度分布計の距離分解能以下の一定間隔で固着し、この金属管中に光ファイバーを挿入して鉄皮の温度分布を測定する方法が提案されている。
また更に、特許文献3には、溶鋼を収容した取鍋の鉄皮の温度を赤外線放射温度計で測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が予め設定したそれぞれの閾値以上である場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加し、取鍋の漏鋼を防止する方法が提案されている。
これらの従来技術によって、製鉄用容器における湯漏れの頻度は大幅に低減したが、従来技術は、接触型温度計または光ファイバー温度分布計或いは赤外線放射温度計が必要であり、何れも高額な設備投資が必要であるという問題点がある。また、特許文献1及び特許文献2の技術は、高炉や転炉などの設置位置が固定された容器であれば適用可能であるが、溶銑及び溶鋼を搬送するための製鉄用容器は、移動するために接触型温度計や光ファイバーによる温度測定を続けることができず、適用できないという問題点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高額な設備投資を必要とせず、且つ、移動する製鉄用容器であっても全く問題なく適用することのできる、製鉄用容器の鉄皮の監視方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る製鉄用容器の鉄皮の監視方法は、所定温度以上に達すると非可逆的に変化する物質を、内部に耐火物が内張りされた製鉄用容器の鉄皮の外表面に接触させて配置し、前記非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて前記製鉄用容器の鉄皮の温度を推定することを特徴とする。
第2の発明に係る製鉄用容器の鉄皮の監視方法は、第1の発明において、前記非可逆的に変化する物質は塗料であることを特徴とする。
第3の発明に係る製鉄用容器の鉄皮の監視方法は、第1または第2の発明において、前記非可逆的に変化する物質は400℃以上になると非可逆的に変化する物質であることを特徴とする。
第4の発明に係る製鉄用容器の鉄皮の監視方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記製鉄用容器は溶鋼を搬送するための取鍋であり、前記非可逆的に変化する物質を取鍋の底部に配置されるスライディングノズルの周辺に配置することを特徴とする。
本発明によれば、鉄皮の監視対象となる製鉄用容器の外表面に、所定温度以上に達すると溶融するなどの非可逆的に変化する物質を接触させて配置し、この非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて鉄皮温度を推定するので、接触型温度計や光ファイバー或いは赤外線放射温度計に比較して極めて安価に製鉄用容器の鉄皮温度を推定することが実現でき、また、移動する製鉄用容器であっても問題なく鉄皮温度を推定することが達成できる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、製鉄用容器に内張りされる耐火物の溶銑及び溶鋼との接触による機械的な損耗、溶銑及び溶鋼に混在するスラグによる浸蝕、並びに急激な温度変化によるスポーリングなどによる損傷によって内張りされる耐火物の残存厚みが薄くなり、その外面側に配置される鉄皮の赤熱・溶融により発生する湯漏れを防止するために、所定温度以上に達すると非可逆的に変化する物質を、内部に耐火物が内張りされた製鉄用容器の鉄皮の外表面に接触させて配置し、前記非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて前記製鉄用容器の鉄皮の温度を推定する。
製鉄用容器としては、外殻を鉄皮とし、この鉄皮の内面側に耐火物が施工されていて、その内部に溶銑または溶鋼を収容する容器である限り、どのような容器であっても適用可能であり、高炉や転炉にも適用可能であるが、特に、溶銑を搬送する溶銑鍋や混銑車及び溶鋼を搬送する取鍋に適用することが最適である。高炉や転炉などは設置位置が固定されていて、接触型温度計や光ファイバーによる温度測定或いは赤外線放射温度計による温度測定が可能であるが、溶銑鍋、混銑車及び取鍋は、広い範囲を移動し、例えば、赤外線放射温度計で測定するとしても、赤外線放射温度計が設置された位置でしか測定できないが、本発明では、少なくとも当該製鉄用容器での受銑から溶銑の払い出しまでの期間及び受鋼から溶鋼の払い出しまでの期間に亘って、連続して鉄皮温度を監視することができるからである。
非可逆的に変化する物質としては、所定の融点(指示温度という)を有する塗料、具体的には、ITW(An Illinois Tool Woks Company)製の温度指示塗料が好適である。ITW製の温度指示塗料は、塗布した状態は無光沢のまま直ちに乾燥するが、所定温度(指示温度)以上になると溶融し、溶融した後に温度が低下すると、光沢のあるガラス状になることから、その状態を目視で観察することで、鉄皮温度を推定することができるからである。
つまり、目視される温度指示塗料が無光沢のままであるときには、鉄皮温度は所定温度以上に上昇していない及びそれ以前に所定温度以上に上昇しなかったことが把握でき、目視される温度指示塗料が溶融状態であれば、その時点での鉄皮温度が所定温度以上であることが把握でき、また、溶融した状態を目視で確認しなくても、製鉄容器の使用後の目視検査で光沢のあるガラス状になっていたならば、使用中に所定温度以上まで鉄皮温度が上昇したことを把握することができる。
この場合、非可逆的に変化する物質としては、400℃以上に達すると非可逆的な変化が起こる物質とすることが好ましい。これは、溶銑鍋、混銑車及び取鍋の場合には、鉄皮温度が400℃以上になると湯漏れの発生頻度が高くなることが、本発明者らの経験から分かっているからである。つまり、溶銑鍋、混銑車及び取鍋において、400℃以上に達すると非可逆的な変化が起こる物質をその鉄皮に接触して配置し、この物質の非可逆的な変化から鉄皮温度が400℃以上になったことが確認できたなら、収容した溶銑または溶鋼は予定通りそのまま処理するとしても、そのまま続けて使用することは危険であるので、内張りされた耐火物の解体・修理を行うことが好ましい。勿論、内張りされた耐火物の点検により、耐火物の残存厚みが十分にあることが確認された場合には、続けて使用することも可能である。
溶銑鍋、混銑車及び取鍋において、非可逆的に変化する物質を配置する位置は、特に規定する必要はないが、湯漏れの起こりやすい箇所は、溶銑とスラグとの境界部位及び溶鋼とスラグとの境界部位であるので、溶銑及び溶鋼とスラグとの境界部位に配置することが好ましい。但し、溶銑及び溶鋼とスラグとの境界部位は視界を遮るものはなく、赤外線放射温度計などで測定可能な部位であるので、赤外線放射温度計では測定が困難な底部などに配置することも好ましい。また、底部は一旦湯漏れが発生すると、湯漏れを止めることができない部位であり、この観点からも底部に配置することが好ましい。特に、溶鋼を搬送する取鍋では、底部に溶鋼の流出孔であるスライディングノズルが設置されており、この部位はライニング構造が複雑で漏鋼が起こりやすいこともあり、底部のスライディングノズルの周囲に配置することが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、鉄皮の監視対象となる製鉄用容器の外表面に、所定温度以上に達すると溶融するなどの非可逆的に変化する物質を接触させて配置し、この非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて鉄皮温度を推定するので、接触型温度計や光ファイバー或いは赤外線放射温度計に比較して極めて安価に製鉄用容器の鉄皮温度を推定することができ、また、移動する製鉄用容器であっても問題なく鉄皮温度を推定することができる。
溶鋼を搬送する取鍋において本発明を適用した。非可逆的に変化する物質としてはITW製の温度指示塗料(製品番号:TL0750、溶融温度(指示温度):399℃)を使用し、取鍋底部のスライディングノズルの周囲に前記温度指示塗料を塗布した。尚、取鍋は、転炉から受鋼した溶鋼を連続鋳造設備で鋳造終了した都度、取鍋整備ヤードで横転されてスライディングノズルの目視観察(再使用の可否の判定)が行われており、スライディングノズルの周囲に温度指示塗料を塗布することで、少なくとも取鍋整備ヤードでのスライディングノズルの目視観察の都度、温度指示塗料の状態が観察できる。
この取鍋を多ヒートの受鋼・鋳造に使用していたところ、取鍋整備ヤードでのスライディングノズルの目視観察時に、温度指示塗料の溶融が観察された。直ちに、この取鍋の使用を中止し、スライディングノズル付近の耐火物を解体して点検した。その結果、スライディングノズル付近のワーク耐火物が消失して永久耐火物が露出していることが確認できた。尚、ワーク耐火物とは、溶鋼や溶銑と直接接触する側に施工される耐火物であり、一方、永久耐火物とは、ワーク耐火物と鉄皮との間に施工される耐火物であり、永久張り耐火物は基本的には溶鋼や溶銑と直接接触しないので、ワーク耐火物に比べて耐火性、耐浸蝕性などの特性に劣る耐火物が使用されるのが一般的である。通常、製鉄用容器は、外側から鉄皮、永久張り耐火物、ワーク耐火物の順に構成される。
このように、本発明を溶鋼搬送用の取鍋に適用することで、漏鋼を未然に防止可能であることが確認できた。
Claims (4)
- 所定温度以上に達すると非可逆的に変化する物質を、内部に耐火物が内張りされた製鉄用容器の鉄皮の外表面に接触させて配置し、前記非可逆的に変化する物質の非可逆的な変化に基づいて前記製鉄用容器の鉄皮の温度を推定することを特徴とする、製鉄用容器の鉄皮の監視方法。
- 前記非可逆的に変化する物質は塗料であることを特徴とする、請求項1に記載の製鉄用容器の鉄皮の監視方法。
- 前記非可逆的に変化する物質は400℃以上になると非可逆的に変化する物質であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製鉄用容器の鉄皮の監視方法。
- 前記製鉄用容器は溶鋼を搬送するための取鍋であり、前記非可逆的に変化する物質を取鍋の底部に配置されるスライディングノズルの周辺に配置することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の製鉄用容器の鉄皮の監視方法。
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JP2010017517A JP2011158103A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 製鉄用容器の鉄皮の監視方法 |
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Publications (1)
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JP2010017517A Withdrawn JP2011158103A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 製鉄用容器の鉄皮の監視方法 |
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2010
- 2010-01-29 JP JP2010017517A patent/JP2011158103A/ja not_active Withdrawn
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