JP5487730B2 - 耐火物寿命予測方法、及び耐火物残厚推定方法 - Google Patents

耐火物寿命予測方法、及び耐火物残厚推定方法 Download PDF

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本発明は、耐火物寿命予測方法、及び耐火物残厚推定方法に関する。
窯炉設備に内張りされた耐火物は、急激な温度変化による熱衝撃や、内部に浸透した酸化物の変質等により損傷を受けやすい。このため、従来、このような損傷の状態を確認するための検討がなされている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1では、溶銑鍋の鉄皮温度と耐火物の残厚との関係を予め求めておき、サーモビュアで測定した鉄皮温度に基づいて、耐火物の残厚を推定している。
特許文献2では、混銑車炉殻内にセットしたガスレーザの光ビームにより炉心を明示させて、検測スケールの内筒両端を測定箇所に当てる。そして、外筒を内筒のストッパまで移動させ、光ビームが当たった外筒の目盛を読み取り、この読み取った距離に基づいて溶損距離を算出している。
特許文献3では、溶銑車内炉底部の湯当り部を挟んで第1,第2のレーザ距離計を配置して、これらのレーザ距離計の測定値等に基づいて、ウェア煉瓦の厚みを計算している。
特許文献4では、観察用カメラを有する観察プローブをRH炉内に挿入し、レーザ距離センサを用いて煉瓦の残厚を測定している。
特許文献5では、熱電対を絶縁材により絶縁して耐火物炉内に挿入し、絶縁材の溶損により生じる抵抗値の変化に基づいて、耐火物の溶損を確認している。
特開2008−127619号公報 特開昭58−37507号公報 特開2005−337922号公報 特開2006−299314号公報 特開昭62−80216号公報
しかしながら、特許文献1のような構成では、耐火物と鉄皮との間に隙間が発生している場合や地金が差してある場合、もしくは鉄皮表面にスラグ等が付着している場合、これらがサーモビュアでの測定温度に影響を与えてしまい、耐火物の残厚を適切に推定できない。
特許文献2〜4のような構成では、レーザ装置を用いるため多大な設備投資が必要となる。また、特許文献2,3のような構成では、測定ごとに検測スケールやレーザ距離計を位置決めする必要があり、特許文献4のような構成では、下から観察プローブを移動させて止めたタイミングでしか測定できないため、いずれの構成においても測定に時間がかかってしまうため、生産性が低下する。
特許文献5のような構成では、絶縁材が溶損し始めてからでないと耐火物の溶損を確認できないため、炉止めのアクションが遅くなることが懸念される。
本発明の目的は、ウェア耐火物の寿命を容易にかつ精度よく予測可能な耐火物寿命予測方法、及び耐火物残厚推定方法を提供することにある。
本発明は、以下の構成をその要旨とするものである。
(1)鉄皮と、パーマネント耐火物と、ウェア耐火物とが外側からこの順序で設けられた溶鉄精錬用の窯炉設備における前記ウェア耐火物の寿命を予測する耐火物寿命予測方法であって、
前記ウェア耐火物における前記パーマネント耐火物側の面又は前記ウェア耐火物の内部に1個の温度計を設置し、前記温度計の設置位置を同じとした複数の炉代について、各炉代ごとに前記温度計により測定した前記窯炉設備の任意の精錬処理回数の精錬処理終了時における測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値のデータをデータベースとして求め、前記測定温度と前記残厚の実測値との関係を表す温度残厚関係データを予め構築しておき、
前記窯炉設備のウェア耐火物補修後に新たな炉代として溶鉄の精錬処理を複数回行う際に、前記温度計の設置位置と同じ位置に1個の温度計を設置し、当該温度計での各精錬処理の終了時における測定温度を取得する測定温度取得工程と、
この測定温度取得工程で取得した測定温度と当該窯炉設備による精錬処理回数との関係を表す温度処理回数関係データを更新しながら構築する温度処理回数関係データ構築工程と、
前記予め構築された温度残厚関係データを用いて、前記測定温度取得工程で取得した測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値とに基づく近似値から得られる残厚よりも薄い残厚を、前記ウェア耐火物の寿命の残厚として設定した厚みに相当する前記ウェア耐火物の温度を推定し、前記温度処理回数関係データの定常状態のデータを外挿したデータに基づいて、前記ウェア耐火物の寿命の残厚に相当する推定温度に達する処理回数を予測する寿命予測工程とを実施することを特徴とする耐火物寿命予測方法。
(2)(1)に記載の耐火物寿命予測方法において、
前記の温度計を設置する際に、前記窯炉設備における最も損傷し易い部位の前記ウェア耐火物に前記温度計を設置することを特徴とする耐火物寿命予測方法。
)(1)又は2)に記載の耐火物寿命予測方法において、
前記の窯炉設備が溶鋼鍋の場合、前記の測定温度は出鋼開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物寿命予測方法。
)(1)又は2)に記載の耐火物寿命予測方法において、
前記の窯炉設備が溶銑鍋または溶銑輸送容器の場合、前記の測定温度は出銑開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物寿命予測方法。
)鉄皮と、パーマネント耐火物と、ウェア耐火物とが外側からこの順序で設けられた溶鉄精錬用の窯炉設備における前記ウェア耐火物の残厚を判定する耐火物残厚推定方法であって、
前記ウェア耐火物における前記パーマネント耐火物側の面又は前記ウェア耐火物の内部に1個の温度計を設置し、前記温度計の設置位置を同じとした複数の炉代について、各炉代ごとに前記温度計により測定した前記窯炉設備の任意の精錬処理回数の精錬処理終了時における測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値のデータをデータベースとして求め、前記測定温度と前記残厚の実測値との関係を表す温度残厚関係データを予め構築しておき、
前記窯炉設備のウェア耐火物補修後に新たな炉代として溶鉄の精錬処理を複数回行う際に、前記温度計の設置位置と同じ位置に1個の温度計を設置し、当該温度計での各精錬処理の終了時における測定温度を取得する測定温度取得工程と、
この測定温度取得工程で取得した測定温度と前記予め構築された温度残厚関係データとに基づいて、前記測定温度取得工程で取得した測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値とに基づく近似値から得られる残厚よりも薄い残厚を、前記ウェア耐火物の残厚として推定する残厚推定工程とを実施することを特徴とする耐火物残厚推定方法。
)()に記載の耐火物残厚推定方法において、
前記の温度計を設置する際に、前記窯炉設備における最も損傷し易い部位の前記ウェア耐火物に前記温度計を設置することを特徴とする耐火物残厚推定方法。
)(5)又は6)に記載の耐火物残厚推定方法において、
前記の窯炉設備が溶鋼鍋の場合、前記の測定温度は出鋼開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物残厚推定方法。
)(5)又は6)に記載の耐火物残厚推定方法において、
前記の窯炉設備が溶銑鍋または溶銑輸送容器の場合、前記の測定温度は出銑開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物残厚推定方法。
本発明の耐火物寿命予測方法及び耐火物残厚推定方法によれば、温度計の測定端をウェア耐火物のパーマネント耐火物と対向する面又はウェア耐火物中に設置しているため、窯炉稼働中のウェア耐火物の温度を正確に測定し、予めデータベースを構築することにより、ウェア耐火物の寿命予測や残厚の推定を正確に行うことができる。
本発明の実施形態に係る真空脱ガス炉の断面図。 前記実施形態における熱電対の配置位置を示す断面図。 前記実施形態におけるコントローラの概略構成を示すブロック図。 前記実施形態における温度残厚関係データを示すグラフ。 前記実施形態における温度チャージ回数関係データを示すグラフ。 前記実施形態における温度チャージ回数関係データを示すグラフ。
本発明の耐火物寿命予測方法及び耐火物残厚推定方法によれば、温度計をウェア耐火物のパーマネント耐火物と対向する面又はウェア耐火物中に設置している。ここで、窯炉設備は高温となるため、従来、高温による温度計の破損を防止するために、温度計を窯炉設備の外部に設けることが、通常、行われてきた。このように、温度計を窯炉設備の外部に設置する場合、あるいは、パーマネント耐火物と鉄皮との間に設置する場合、温度計と窯炉設備内との間に複数の材質の部材が存在することになり、窯炉設備のウェア耐火物の温度を正確に把握することが困難であった。
これに対して、本発明では、温度残厚関係データや温度処理回数関係データに基づいて、ウェア耐火物が寿命の残厚となる処理回数や、処理回数に対応してウェア耐火物の残厚を把握できるため、温度計を窯炉設備の最も稼働面側であるウェア耐火物に設置することができる。このため、温度計を前記の位置に設置することで、窯炉設備内と温度計との間にウェア耐火物のみを存在させることができ、ウェア耐火物とパーマネント耐火物との間に隙間(空目地)が発生している場合やモルタルが設けられている場合、あるいは地金が差してある場合、もしくは鉄皮表面にスラグ等が付着している場合でも、温度計の測定温度に基づいて窯炉設備の正確な温度を容易に把握することができる。
ここで、温度計をウェア耐火物のパーマネント耐火物と対向する面に設置する場合はその位置で良いが、温度計をウェア耐火物中に設置する場合は、あまり、稼働面側まで挿入すると、窯炉の使用とともにウェア耐火物の溶損が起こり、早い段階で温度計の測定端までウェア耐火物が溶損するため、その段階で例えば溶鋼と温度計の測定端が接触して断線すると、それ以降の温度が測定できない。従って、温度計をウェア耐火物のパーマネント耐火物と対向する面からウェア耐火物の寿命残厚(例えば、50mm程度)までの間に、温度計の測定端を設置することが好ましい。
ちなみに、本発明において、溶鉄精錬用設備を用いるため、前記測定温度取得工程では、前記窯炉設備の処理終了時における前記測定温度を取得する構成としている。
ここで、窯炉設備の処理開始から所定時間経過後の温度を取得する場合、この所定時間経過後の温度が各処理時で異なってしまい、高い精度で寿命を予測できない。
これに対して、本発明では、各処理時において窯炉設備の温度が最も高くなる処理終了時の温度に基づいて寿命を予測するので、安定して高い精度で寿命を予測できる。また、処理時におけるウェア耐火物の温度プロファイルを監視することなく、最も高い温度に基づいて寿命予測できる。
また、窯炉設備として溶鋼鍋を用いる場合、前記測定温度取得工程では、出鋼開始時の温度を取得する構成とすることが好ましい。
さらに、窯炉設備として溶銑鍋または溶銑輸送容器を用いる場合、前記測定温度取得工程では、出銑開始時の温度を取得する構成とすることが好ましい。
これらの窯炉設備は、上記の溶鉄精錬用設備の様な処理による温度変化があまりないため、任意の時点の温度を用いることも可能であるが、温度測定を行う時点を統一することでより測定精度が向上するため、温度測定が最も容易な出鋼開始時(すなわち出鋼直前)または出銑開始時(すなわち出銑直前)の温度を測定することが推奨される。
また、レーザ装置等の高価な設備を利用しないので、設備投資を抑制できる。さらに、温度計を所定の位置に位置決めするため、測定時間の長期化を招くことがない。また、温度計の測定温度に基づいてウェア耐火物の寿命を予測したり残厚を推定するため、窯炉設備停止のアクションが遅くなることを防止できる。したがって、ウェア耐火物の寿命を容易にかつ精度よく予測できる。
特に、本発明の耐火物残厚予測方法によれば、ウェア耐火物の寿命の残厚となる前、あるいは、ウェア耐火物の損傷により窯炉設備による処理に悪影響が出る前に、ウェア耐火物が寿命の残厚となる処理回数を予測できるため、窯炉設備を事前に止めることができ、また、生産スケジュールを事前に調整できる。
本発明の耐火物寿命予測方法及び耐火物残厚推定方法では、溶鉄窯炉設備としては、RH(Ruhrstahl-Heraeus)真空脱ガス法、DH(Dortmund-Horde)真空脱ガス法、VOD(Vacuum Oxygen Decarburization)法、REDA(Revolutionary Degassing Activator)法等に用いられる脱ガス槽、溶鋼精錬容器、溶鋼鍋、溶銑鍋、あるいは溶銑輸送容器を用いることができる。ちなみに、溶鉄とは、溶銑と溶鋼の総称である。
また、鉄皮とパーマネント耐火物との間に断熱層を設けてもよいし、パーマネント耐火物とウェア耐火物との間に準パーマネント耐火物を設けてもよい。また、温度計としては、JIS(Japanese Industrial Standard)に準拠した熱電対を用いることが好ましく、費用対効果を考慮するとK熱電対を用いることが好ましい。
また、本発明において、前記の温度計を設置する際に、前記窯炉設備における最も損傷し易い部位の前記ウェア耐火物に前記温度計を設置する構成が好ましい。
ここで、窯炉設備における最も損傷し易い部位(以下、ネック部位という)は、窯炉設備の形状や特性により異なるが、例えば、脱ガス槽では、溶鋼の真空脱ガス処理時に溶鋼のメニスカスが接触する部位が挙げられる。
この発明によれば、最も過酷な条件下のネック部位のウェア耐火物の寿命を予測するので、ウェア耐火物の損傷による窯炉設備への悪影響を未然に防止できる。特に、ネック部位は複雑な要因で損傷するが、本発明では、この複雑な要因を考慮に入れずにネック部位の温度に基づいてウェア耐火物の寿命を予測するので、容易に寿命予測できる。
さらに、本発明において、前記の温度計を設置する際に、1個の前記温度計を設置する構成が好ましい。
この発明によれば、ウェア耐火物中に温度計を設置しているので、1個の温度計でも正確に寿命予測や残厚推定ができ、また、温度計の設置時間の短縮化も図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る耐火物寿命予測方法が適用されるREDA法による窯炉設備としての真空脱ガス炉1が示されている。この真空脱ガス炉1は、減圧雰囲気を利用して溶鋼の脱ガス処理を行う炉であり上部槽11と、中部槽12と、下部槽13と、浸漬管14とを備えている。上部槽11の上面は、天蓋15で覆われ、上部槽11の側面には、合金投入口16及び排気口17が形成されている。下部槽13は、図2にも示すように、鉄皮18と、この鉄皮18の内側に配置される断熱層19と、この断熱層19の内側に配置されるパーマネント耐火物20と、このパーマネント耐火物20の内側に配置されるウェア耐火物21とを備えて構成されている。浸漬管14は、取鍋22内の溶鋼に浸漬される。
操業に際しては、以下の条件に基づくチャージが行われる。
・溶鋼温度:1550℃〜1780℃程度
・処理時間:20分〜180分程度
・真空度 :0.1Torr〜400Torr程度
そして、この操業において、真空脱ガス炉1内を、排気口17から内部の空気を排出することにより、減圧状態にして、取鍋22内の溶鋼を内部に吸い上げる。そして、取鍋22の底部に形成されたガス吹き込み口23からArガスを吹き込んで下部槽13内に溶鋼を流入飛散させる。そうすると下部槽13内で脱ガスが行われ、脱ガスが行われた溶鋼は取鍋22内に戻される。
この脱ガスの際、下部槽13におけるメニスカス到達位置13Aまで、表面にスラグが付着した溶鋼が吸い上げられる。このメニスカス到達位置13Aに到達した溶鋼と接触するウェア耐火物21は、スラグにより浸食されるため、真空脱ガス炉1のネック部位(最も損傷し易い部位)となっている。
また、真空脱ガス炉1には、このネック部位のウェア耐火物21の寿命を予測する耐火物寿命予測装置3が設けられている。この耐火物寿命予測装置3は、温度計としての熱電対31と、コントローラ35とを備えている。
熱電対31の一端は、図2に示すように、メニスカス到達位置13A近傍に配置されたパーマネント耐火物20とウェア耐火物21との間に位置し、他端は真空脱ガス炉1の外部に引き出されている。この熱電対31の引き出しには、鉄皮18表面に固定されたソケット32と、このソケット32に螺合されるテーパねじ部33を有するコンプレッションフィッティング34とが用いられ、真空脱ガス炉1からのエアリークが防止されている。
コントローラ35は、図3に示すように、表示部36と、入力部37と、メモリ38と、制御部41とを備えている。
表示部36は、制御部41で得られた各種情報、例えば、ウェア耐火物21の残厚、ウェア耐火物21が寿命であると判定される処理(チャージ)回数の予測値を表示させる。入力部37は、キーボードを備えており、例えば、ウェア耐火物21の寿命判定基準となる残厚を設定する入力値の信号を制御部41へ出力する。
メモリ38には、図4に示すような温度残厚関係データ39がデータベースとして予め構築されている。この温度残厚関係データ39は、熱電対31での測定温度(以下、ウェア背面温度という)と、このウェア背面温度測定時におけるウェア耐火物21の実測残厚との関係を表している。ここで、図4の2本の破線は、各温度における実測残厚を正規分布としたときの±1σの範囲を表しており、各温度での実測残厚が当該範囲に入る確率が約68%であることを示している。
なお、この温度残厚関係データ39は、熱電対31の一端を、図2に示すように、メニスカス到達位置13A近傍に配置されたパーマネント耐火物20とウェア耐火物21との間の位置とした複数の炉代について、各炉代ごとに最終チャージの精錬処理終了時に、前記熱電対31により測定した温度と、当該精錬処理後のウェア耐火物の残厚の実測値のデータをデータベースとして求め、これらの測定温度と残厚の実測値との関係を表す温度残厚関係を構築することで得ることができる。ちなみに、図4のケースでは、前記の温度残厚関係として相関式とその精度の許容範囲という形で示したものを例示している。
ちなみに、炉代とは、窯炉のウェア耐火物を補修して使用を開始して、ウェア耐火物が損耗し、新たにウェア耐火物を補修する必要が生じて、当該窯炉への溶鉄のチェージを終了するまでの1サイクルのことを意味している。
また、メモリ38には、後述の通り、図5及び図6に示すような温度処理回数関係データとしての温度チャージ回数関係データ40が更新されながら構築されていく。この温度チャージ回数関係データ40は、各炉代ごとのチャージ回数と熱電対31でのウェア背面温度との関係を表している。なお、図5及び図6では、奇数チャージごとのウェア背面温度のみを図示しているが、実際には全チャージでのウェア背面温度に関する温度チャージ回数関係データ40が構築されていく。
制御部41は、残厚推定部42と、寿命予測部43とを備えている。
まず、残厚推定部42について説明する。残厚推定部42で残厚推定するにあたり、入力部37の入力操作あるいはウェア背面温度に基づいて、温度残厚関係データ39を予めメモリ38に記憶させる。その上で、残厚推定部42は、各チャージ終了後におけるウェア耐火物21の残厚を知りたい旨の設定入力を認識すると、各チャージ終了時におけるウェア背面温度を熱電対31から取得する。そして、このウェア背面温度と温度残厚関係データ39に基づき残厚を推定して、表示部36で表示させる。
ここで、残厚を推定する際、図4の2本の破線の範囲の値を適用することができ、また、ウェア背面温度及び残厚の実測値に基づく以下の近似式(1)で得られる残厚を用いることもできる。但し、図4の破線のうち薄い方を用いることが好ましい。
y=−0.3979x+547.28 … (1)
y:残厚(mm)
x:ウェア背面温度(℃)
すなわち、例えば、ウェア背面温度が1150℃の場合、近似式(1)に基づく89mmではなく、図4の破線で表され、89mmよりも薄い50mmと推定することが実用的には好ましい。これは、実際よりも薄いと推定された場合には、ウェア耐火物21が寿命であると判定されて真空脱ガス炉1の利用が中止されることで、破損を早目に防止できる可能性が高く、安全側であるためである。
一方、寿命予測部43は、ウェア耐火物21が寿命の残厚となるチャージ回数を知りたい旨の設定入力を認識すると、チャージ終了時におけるウェア背面温度を取得する。そして、このウェア背面温度をチャージ回数に関連付けた温度チャージ回数関係データ40をメモリ38に記憶させ、チャージ終了時のウェア背面温度を取得するごとに温度チャージ回数関係データ40を更新していく。
また、新たに設定入力された、あるいは、予め設定されているウェア耐火物21の寿命残厚としての所定の厚みの値を認識し、この寿命残厚となるウェア背面温度を温度残厚関係データ39に基づいて認識する。そして、温度チャージ回数関係データ40に基づきウェア背面温度とチャージ回数との関係を表す近似式を作成して、この近似式の外挿に基づいてウェア耐火物21が寿命残厚となるウェア背面温度に達するチャージ回数を予測する。
例えば、図5に示すように、炉代1におけるチャージ回数を予測する場合、例えば、チャージ回数が40チャージのときに、ウェア背面温度の変化率が略等しくなる11チャージ〜39チャージにおける実測値を定常状態と判断できるため、この11チャージ〜39チャージにおける実測値に基づいて、以下の近似式(2)を作成する。ちなみに、初めの数チャージは、ウェア耐火物21の温度が背面側まで充分に上昇していないため、図5に示す様に、大きな勾配で推移するが、その後、勾配が安定した段階で、定常状態と判断できるとことを本発明者は知見している。
x=5.8972z+630.33 … (2)
x:ウェア背面温度(℃)
z:チャージ回数(チャージ(ch))
また、例えば、寿命残厚が50mmの場合、図4に示す温度残厚関係データ39に基づいて、寿命残厚となるウェア背面温度が1150℃であると認識する。そして、近似式(2)に1150℃を代入することで、zとして89.1を得て、ウェア背面温度1150℃となるチャージ回数が89チャージであると予測して表示する。
ここで、図5では、炉代1の41チャージ以後のウェア背面温度も図示しているが、74チャージ以降は、熱電対31が断線してしまったためウェア背面温度が近似式(2)から大きく外れている。しかし、74チャージ以前は、近似式(2)に略対応してウェア背面温度が変化していることがわかる。このことから、74チャージ以降も近似式(2)に略対応してウェア背面温度が変化すると考えられ、89チャージで約1150℃に到達して、ウェア耐火物21の残厚が約50mmになると考えられた。
そこで、炉代1の89チャージ後のウェア耐火物21の残厚を実測したところ、ほぼ推定値の50mm程度であることが確認された。
また、図5に示す炉代2及び図6に示す炉代3については、15チャージ以降、以下の近似式(3),(4)にそれぞれ略対応してウェア背面温度が変化している。
x=5.692z+594.72 … (3)
x=3.1713z+601.79 … (4)
特に、炉代3では、47チャージ〜55チャージまで排気口17のメンテナンスのため休止していたが、56チャージ以後も休止前と同様に、近似式(4)に略対応してウェア背面温度が変化している。
このことから、炉代や使用休止等によらず、ウェア背面温度とチャージ回数との関係に基づく近似式に基づいて、事前にウェア耐火物21が寿命残厚となるチャージ回数を適切に予測できることがわかる。
1…真空脱ガス炉(窯炉設備)、18…鉄皮、20…パーマネント耐火物、21…ウェア耐火物、31…熱電対(温度計)、39…温度残厚関係データ、40…温度チャージ回数関係データ(温度処理回数関係データ)。

Claims (8)

  1. 鉄皮と、パーマネント耐火物と、ウェア耐火物とが外側からこの順序で設けられた溶鉄精錬用の窯炉設備における前記ウェア耐火物の寿命を予測する耐火物寿命予測方法であって、
    前記ウェア耐火物における前記パーマネント耐火物側の面又は前記ウェア耐火物の内部に1個の温度計を設置し、前記温度計の設置位置を同じとした複数の炉代について、各炉代ごとに前記温度計により測定した前記窯炉設備の任意の精錬処理回数の精錬処理終了時における測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値のデータをデータベースとして求め、前記測定温度と前記残厚の実測値との関係を表す温度残厚関係データを予め構築しておき、
    前記窯炉設備のウェア耐火物補修後に新たな炉代として溶鉄の精錬処理を複数回行う際に、前記温度計の設置位置と同じ位置に1個の温度計を設置し、当該温度計での各精錬処理の終了時における測定温度を取得する測定温度取得工程と、
    この測定温度取得工程で取得した測定温度と当該窯炉設備による精錬処理回数との関係を表す温度処理回数関係データを更新しながら構築する温度処理回数関係データ構築工程と、
    前記予め構築された温度残厚関係データを用いて、前記測定温度取得工程で取得した測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値とに基づく近似値から得られる残厚よりも薄い残厚を、前記ウェア耐火物の寿命の残厚として設定した厚みに相当する前記ウェア耐火物の温度を推定し、前記温度処理回数関係データの定常状態のデータを外挿したデータに基づいて、前記ウェア耐火物の寿命の残厚に相当する推定温度に達する処理回数を予測する寿命予測工程とを実施することを特徴とする耐火物寿命予測方法。
  2. 請求項1に記載の耐火物寿命予測方法において、
    前記の温度計を設置する際に、前記窯炉設備における最も損傷し易い部位の前記ウェア耐火物に前記温度計を設置することを特徴とする耐火物寿命予測方法。
  3. 請求項1又は請求項に記載の耐火物寿命予測方法において、
    前記の窯炉設備が溶鋼鍋の場合、前記の測定温度は出鋼開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物寿命予測方法。
  4. 請求項1又は請求項に記載の耐火物寿命予測方法において、
    前記の窯炉設備が溶銑鍋または溶銑輸送容器の場合、前記の測定温度は出銑開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物寿命予測方法。
  5. 鉄皮と、パーマネント耐火物と、ウェア耐火物とが外側からこの順序で設けられた溶鉄精錬用の窯炉設備における前記ウェア耐火物の残厚を判定する耐火物残厚推定方法であって、
    前記ウェア耐火物における前記パーマネント耐火物側の面又は前記ウェア耐火物の内部に1個の温度計を設置し、前記温度計の設置位置を同じとした複数の炉代について、各炉代ごとに前記温度計により測定した前記窯炉設備の任意の精錬処理回数の精錬処理終了時における測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値のデータをデータベースとして求め、前記測定温度と前記残厚の実測値との関係を表す温度残厚関係データを予め構築しておき、
    前記窯炉設備のウェア耐火物補修後に新たな炉代として溶鉄の精錬処理を複数回行う際に、前記温度計の設置位置と同じ位置に1個の温度計を設置し、当該温度計での各精錬処理の終了時における測定温度を取得する測定温度取得工程と、
    この測定温度取得工程で取得した測定温度と前記予め構築された温度残厚関係データとに基づいて、前記測定温度と前記ウェア耐火物の残厚の実測値とに基づく近似値から得られる残厚よりも薄い残厚を、前記ウェア耐火物の残厚として推定する残厚推定工程とを実施することを特徴とする耐火物残厚推定方法。
  6. 請求項に記載の耐火物残厚推定方法において、
    前記の温度計を設置する際に、前記窯炉設備における最も損傷し易い部位の前記ウェア耐火物に前記温度計を設置することを特徴とする耐火物残厚推定方法。
  7. 請求項5又は請求項に記載の耐火物残厚推定方法において、
    前記の窯炉設備が溶鋼鍋の場合、前記の測定温度は出鋼開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物残厚推定方法。
  8. 請求項5又は請求項に記載の耐火物残厚推定方法において、
    前記の窯炉設備が溶銑鍋または溶銑輸送容器の場合、前記の測定温度は出銑開始時の温度を用いることを特徴とする耐火物残厚推定方法。
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