JP4871023B2 - 注入管の地金落下検知方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼等の連続鋳造において、製品品質上有害となる非金属介在物が製品に混入するのを防止するため、注入管へ付着した地金の落下によるタンディシュ内溶鋼への混入を検知する技術に関する。
溶鋼の連続鋳造においては、製品品質の悪化を防止するために溶鋼の再酸化を抑制する必要がある。特に、タンディシュにおいては、取鍋からタンディシュへの溶鋼流、およびタンディシュ内の溶鋼の再酸化を抑制するために、タンディシュ内の溶鋼にその一端を浸漬させた注入管が一般的に使用されている。
しかし、この注入管においては、タンディシュ内溶鋼湯面に浸漬された注入管の下端部分が冷却されて生じる地金に、取鍋からの溶鋼注入流が溶鋼湯面に衝突する際に発生するスプラッシュが注入管内壁に飛び散り、これが冷却されることにより生成する地金が次第に堆積し、鋳造中にその地金が落下した際に同伴剥離した耐火物が混入することにより製品に対し有害な介在物となる。
従来、有害介在物の一つである耐火物からの溶鋼への混入という問題について、製造段階で介在物の混入を検知し、これを阻止することは困難とされている。何故なら、このような介在物の大きさは数μm〜数百μmと小さいため、鋳造のどの段階で耐火物から溶鋼へ混入したかをオンラインで検出することが難しく、これまでの適用例も見当たらない。
タンディシュ用注入管においては、地金付着という問題が必然的に伴い、鋳造時の地金付着を防止するための措置が考案されている。通常、このような地金付着に対しては、前記注入管内に不活性ガスを導入して、溶鋼の再酸化を防止することが基本となり、従来より様々な工夫がなされている。
このような注入管の地金付着防止に対して提案されている従来技術に関し、以下図11を参照しながら説明する。図11は、従来例に係るタンディシュ注入管の構造を示す説明図である。そして、図11(a)はこの従来例に係る注入管を組み込んだ全体説明図であり、同図(b)は注入管の周壁部の構造を示す拡大説明図である。
図11において、この従来例に係る注入管34の下部における内壁面に、不活性ガスを吹き出し可能な有孔性耐火物38を、タンディシュ33内溶鋼35の湯面の上下近傍、即ち、注入管高さLの1/4〜1/3倍の範囲に位置するように埋設し、前記溶鋼35の湯面近傍に不活性ガスを吹き出すことで、溶鋼35のシール効果を得るとともに、不活性ガス吹き出し部への地金付着を抑制している(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような従来例においては、注入管への地金付着防止方法に関するものであって、付着した地金が脱落することを検知する技術についての記載はない。
一方、タンディシュ内の溶鋼温度を測定する従来技術に関し、以下図12〜14を参照しながら説明する。図12は従来例に係る連続鋳造用タンディシュ内の溶鋼温度測定方法を適用した装置の概要図、図13は他の従来例に係るタンディシュ内溶鋼の連続測温位置を示す取鍋、タンディシュ、鋳型近傍の断面図、図14は前記従来例に係る実施例による溶鋼連続測温状況を示す断面図である。
図12における従来例に係る溶鋼温度測定方法は、鋼の連続鋳造において、タンディシュ41内の溶鋼46中にモリブテン電極44を連続的あるいは間欠的に浸入させ、このモリブテン電極44とタンディシュ41の耐火物41B内にタンディシュ41内の溶鋼46とその一部が接触するように埋設された鉄電極42とで熱電対を形成し、この熱電対の熱起電力を測定することによって、タンディシュ41内の溶鋼46温度を連続的に測定するものである(特許文献2参照)。
また、他の従来例に係る溶鋼温度測定方法は、図13に示す如き連続鋳造用タンディシュ52を用い、連鋳中の溶鋼54の温度を測温位置QおよびRにおいて、図14に示す如き熱電対51を収容したZrB製保護管58の外周のスラグライン近傍に、溶損防止用プロテクター57を装着した連続測温装置を浮上保持して連続測温する方法である。そして、前記スラグ中にMgO5Bを添加して、CaO系スラグ5AのMgO濃度を5〜30重量%として、少なくとも1800℃以上の高融点スラグとする連続測温方法である(特許文献3参照)。
特開平5−293614号公報 特許平6−26938号公報 特許平6−79422号公報
しかしながら、上記従来例に係る溶鋼温度測定方法は、前者は連続鋳造における溶鋼温度測定における応答遅れの改善に関し、後者は連続測温用保護管の溶損による寿命延長に関するものであり、何れも本発明の目的とする、注入管に付着した地金が脱落した際の検知方法という観点からは何らの記載もない。
従って、本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであって、その目的は、取鍋からタンディシュへ注入する注入管に付着した地金が落下したことを検知し、剥離した耐火物が混入した部位を特定するための地金落下検知方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る注入管の地金落下検知方法が採用した手段は、取鍋から注入管によりタンディシュに溶鋼を注入し、この溶鋼を連続的に鋳造する際の前記注入管の地金落下検知方法であって、前記タンディシュ内の溶鋼温度を連続的に検出し、前記タンディシュ内溶鋼重量変化が±0.5トン(±500kg)の範囲内の安定状態の下に、検出された前記溶鋼温度の降下速度が予め設定された設定値以上であった場合に、その温度降下開始時刻にて注入管に付着していた地金が落下したと判定することを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る注入管の地金落下検知方法が採用した手段は、請求項1に記載の注入管の地金落下検知方法において、前記溶鋼温度の検出を、タンデッシュ内に設置された温度検出手段によって行なうことを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る注入管の地金落下検知方法が採用した手段は、請求項1または2に記載の注入管の地金落下検知方法において、前記タンディシュ内に収納する溶鋼重量を30トン(30000kg)以下とするとともに、前記溶鋼温度の検出を、前記注入管からタンディシュ内溶鋼湯面に注入される溶鋼流の落下点からの直線距離が1600〜1800mmの位置で行ない、予め設定された前記設定値を0.8℃/minとしたことを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る注入管の地金落下検知方法が採用した手段は、請求項1または2に記載の注入管の地金落下検知方法において、前記タンディシュ内に収納する溶鋼重量を30トン以下とするとともに、前記溶鋼温度の検出を、前記注入管からタンディシュ内溶鋼湯面に注入される溶鋼流の落下点からの直線距離が800〜1500mmの位置で行ない、予め設定された前記設定値を1.0℃/minとしたことを特徴とするものである
本発明の請求項1に係る注入管の地金落下検知方法によれば、取鍋から注入管によりタンディシュに溶鋼を注入し、この溶鋼を連続的に鋳造する際の前記注入管の地金落下検知方法であって、前記タンディシュ内の溶鋼温度を連続的に検出し、前記タンディシュ内溶鋼重量変化が±0.5トンの範囲内の安定状態の下に、検出された前記溶鋼温度の降下速度が予め設定された設定値以上であった場合に、その温度降下開始時刻にて注入管に付着していた地金が落下したと判定するので、オンライン状態で前記地金の落下を連続的に監視し、かつ落下時点を検知できる。
また、本発明の請求項2に係る注入管の地金落下検知方法によれば、前記溶鋼温度の検出を、タンデッシュ内に設置された温度検出手段によって行なうので、簡便な検知方法によって前記地金の落下を連続的に監視し検知できる。
更に、本発明の請求項3に係る注入管の地金落下検知方法によれば、前記タンディシュ内に収納する溶鋼重量を30トン(30000kg)以下とするとともに、前記溶鋼温度の検出を、前記注入管からタンディシュ内溶鋼湯面に注入される溶鋼流の落下点からの直線距離が1600〜1800mmの位置で行ない、予め設定された前記設定値を0.8℃/minとしたので、オンライン状態で前記地金の落下を高い確率で検知することが可能となった。
更にまた、本発明の請求項4に係る注入管の地金落下検知方法によれば、前記タンディシュ内に収納する溶鋼重量を30トン以下とするとともに、前記溶鋼温度の検出を、前記注入管からタンディシュ内溶鋼湯面に注入される溶鋼流の落下点からの直線距離が800〜1500mmの位置で行ない、予め設定された前記設定値を1.0℃/minとしたので、オンライン状態で前記地金の落下を更に高確率で検知することができる。
次に、本発明の実施の形態に係る注入管の地金落下検知方法について、以下図1〜5を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る注入管の地金落下検知方法を説明するためのタンディシュの平断面を示した平断面図、図2は図1のX−X矢視を示す断面図、図3は図1のタンディシュの蓋(図示せず)や後述する鉄心、注入管を削除して示した平面図、図4は図3のY−Y矢視を示す断面図、図5は本発明に係る温度検出手段の設置状態を説明するための縦断面である。
先ず、本発明に係るタンディシュと注入管の構成について、図1および図2を参照しながら説明する。このタンディシュ2は、鉄皮3で構成された外殻内面に施工された耐火物4aによって内部に溶鋼5を収納し、コイル7を巻き付けられた鉄心6がその内部を貫通する構造を有している。コイル7に交番電流が通電されると、誘導電流により溶鋼5や鉄心6が加熱され、この発熱量によって溶鋼5の温度が保持される。
前記タンデッシュ2内部は、耐火物4bによって3つの室に分割されている。即ち、このタンデッシュ2の上方にある図示しない取鍋から注入管1を介して溶鋼を注入される注入室8と、タンディシュ2から鋳型へ溶鋼を流し込むための浸漬ノズル10a,10bを夫々配置された2つのストランド室9a,9bの3室である。そして、前記耐火物4bには、これら3室間で溶鋼の対流を生じさせ、温度均一化を促進させるための加熱スリーブ11が設けられている。取鍋から注入管1を介して注入される溶鋼は、タンディシュ2内の湯面S上の点Pを落下点とする。
そして、本発明に係る注入管の地金落下検知方法は、先ず、このタンディシュ2内の溶鋼5の温度を連続的に検出するのである。この溶鋼温度の検出は、前記タンディシュ2内に設置された温度検出手段によって行ない、この温度検出手段により溶鋼の連続的な温度変化をオンライン測定できるよう構成される。
このような温度検出手段は熱電対を用いるのが好ましいが、測温抵抗体や赤外線温度計を使用することもできる。本発明の実施の形態においては、この温度検出手段として熱電対を用いた注入管の地金落下検知方法について、以下図3〜5を用いて説明する。この熱電対は、例えば、図3および図4に示されたストランド室9a内のA点または9b内のB点等に設置し、タンディシュ2内の溶鋼5温度を検出することによって、注入管の地金落下を検知することができる。この熱電対の設置位置A点やB点は注入管に近いある範囲に限定されるが、これについては後で述べる。
このような熱電対20は、図5に示す通り、タンディシュ2側壁の鉄皮3および耐火物6に設けられた開孔部に貫通して設置される。即ち、この熱電対20は、周囲を保護管21でカバーされ、更に、溶鋼5による溶損防止のため前記保護管21の先端を鉄キャップ22によりプロテクトされた上、全体をホルダーレンガ23によって耐火物6に支持された構造をなしている。
そして、この熱電対20によって検出された温度信号24は、制御器25にオンライン送信され、この制御器25に内蔵された記憶回路に、リアルタイムに対応した前記検出温度が連続記録されるとともに、前記制御器25に内蔵された演算回路によって、送信された溶鋼温度の時間当たりの変化、即ち、上昇速度または降下速度が演算されるよう構成されている。
本発明に係る注入管の地金落下検知方法は、前記熱電対20によりタンデイシュ2内の溶鋼5の連続的な温度変化を検出するとともに、鋳造速度を一定値に設定した状態において、前記タンディシュ2内溶鋼5の重量変化も連続測定している。このような溶鋼重量の経時的な変化も、図示しない溶鋼重量信号として制御器25へ送信されている。
そして、前記溶鋼5の重量変化が±0.5トンの範囲内の安定状態の下に、前記制御器25内の演算回路によって演算された溶鋼温度の降下速度が、予めこの演算回路内に設定された設定値PV以上であった場合に、その温度降下開始時刻にて注入管内に付着していた地金が落下したと判定するのである。
ここで、前記熱電対20を設置する位置は、図1〜図4に示す如く、注入管1からタンディシュ2内の溶鋼5湯面に注入される溶鋼流の落下点Pから前記熱電対20の設置点AやBまでの直線距離Lを、最大で2000mm、好ましくは1800mm以下の範囲内に設置するのが良い。以上のような検知方法とすることによって、オンライン状態で注入管の地金落下を連続的に監視し、かつ落下時点を検知可能となった。
このようにして地金落下が検出された場合は、制御器25から外部信号26が発信され、この外部信号26がこれらの連続鋳造設備を管理する生産管理用コンピュータへ送信されて、介在物が混入した鋳造部位を特定するように構成するのが好ましい。更に、必要に応じて、この外部信号26によりブザーを鳴動させたりランプを点灯させたりして、作業者に警報を発報することもできる。
上記において、鋳造速度を一定値に設定した状態とは、連続鋳造機の速度設定値を設備上一定値にセットすることを言い、結果として多少の速度変動があることは許容される。また、このように鋳造速度を一定値としたり、溶鋼5の重量変化を±0.5トンの範囲内とする理由は、前記鋳造速度や溶鋼重量の変化が大きいと、注入管の地金落下とは無関係に溶鋼の温度上昇や降下が発生するからである。
次に、このような本発明の実施の形態に係る注入管の地金付着検知方法について、図6を参照しながら以下説明する。図6は、本発明の実施の形態に係る注入管の地金付着検知方法による実証試験結果の一例を示す図である。
先ず、連続鋳造機を構成するタンデイシュにおいて、図3および図4に示したA点に熱電対を設置し、前記熱電対により溶鋼温度を連続測定可能なよう制御器にオンライン接続した。溶鋼流落下点Pから前記A点までの直線距離Lを算出したところ、1400mmであった。そして、前記タンディシュ内の溶鋼重量を12.2トンに維持しつつ、鋳造速度を一定に保持して連続鋳造を行った。
連続鋳造開始後36.3分経過した時点で、溶鋼温度が1517℃から経過時間42.0分には1511℃まで低下し、再度温度上昇に転じた。従って、この時の溶鋼温度の降下速度は、6.0/5.7=1.05℃/minであった。溶鋼の前記温度降下が認められた時点で、溶鋼の注入を継続しつつ、直ちにタンディシュと注入管を引き上げて溶鋼湯面を目視確認したところ、地金の落下が認められた。
以上のような実証試験結果から、注入管に付着した地金の落下により、タンディシュ内溶鋼に一時的な温度降下が生じることが実証されるとともに、このような温度降下の降下速度がある設定値PV以上となった場合、その降下開始時刻にて前記地金が落下したと判定し得ることを確認した。
即ち、本発明に係る注入管の地金落下検知方法においては、前記タンディシュ2の容量は特に制限はないが、収納する溶鋼5の重量として30トン以下として連続鋳造するのが好ましい。このタンディシュの溶鋼収納量が30トンを越えると、落下した地金の熱容量に対して前記タンディシュ内溶鋼の熱容量が大きすぎ、地金落下による温度降下が緩慢になって、これを検知することが不可能となるためである。
また、上記実証試験の結果から、溶鋼温度の降下速度に対応して予め設定された前記設定値PVを0.8℃/minとし、この設定値PV以上の温度降下があった場合、その開始時刻にて地金落下したと判定するのが好ましい。
更に、前記溶鋼落下点Pから熱電対の設置点までの直線距離Lを1500mmの範囲内に設置するとともに、予め設定された前記設定値PVを1.0℃/minとするのがより好ましい。熱電対の設置点を前記落下点Pからの直線距離Lを1500mm以下とすることにより、注入管の付着地金の落下による溶鋼温度への影響をより高精度に検知可能となるからである。また、上記の如く、注入管の地金落下を検知した時は、その温度降下開始した時点からタンディシュ内に残存する溶鋼全量に相当する鋳造部位を選別して、正規の鋳造製品とは別管理するのが製品品質上好ましい。
<実施例>
次に、本発明に係る注入管の地金付着防止方法に関し、連続鋳造時の鋳造速度、タンディシュ内溶鋼重量および注入点から熱電対までの直線距離Lを、表1に示すように種々変更して鋳造実験した実施例について、図面を併用しながら以下説明する。
Figure 0004871023
先ず、表1に示した介在物個数は、熱電対によって検出された溶鋼温度が降下した部位を鋳造後の鋳片から特定し、この鋳片から圧延されたφ8mmの線材から50gサンプリングして、これを酸溶解して検出された介在物の個数を、寸法30μm未満のものと寸法30μm以上のものに区分してカウントしたものである。また、併せて最大介在物の寸法を測定して示した。
ここで、介在物有害性判定(丸付数字3欄)については、この介在物寸法が30μm以上の大きさのものが検出された場合は有害、30μm未満の大きさのものが検出された場合は無害と判定した。この根拠を図7を用いて以下説明する。図7は疲労破壊した破面において検出された最大介在物寸法と疲労寿命との関係を示す図である。
一般に、線材の疲労耐久強度は、中村式回転曲げ疲労試験機において疲労寿命が5千万回以上の耐久性であるのが望ましいとされている。そこで、前記介在物を含有する線材を、この中村式回転曲げ疲労試験機によって疲労寿命を測定し、この線材の疲労破壊した破面において検出された最大介在物寸法に対して、プロットしたのが図7である。
図7によれば、前記最大介在物寸法が30μm以上になると、疲労寿命が1千万回未満に急激に低下することが判明した。表1に示した介在物有害性判定は、このような知見に基づき、最大介在物寸法が30μm以上の大きさのものが検出された場合その実験条件は有害、30μm未満の大きさのものが検出された場合無害と判定した。
次に、最大介在物寸法の温度降下速度への依存性を、以下図8〜図10を用いて説明する。図8は、落下点Pから熱電対までの直線距離Lが1600〜1800mmの場合に相当する表1のデータについて、温度降下速度と最大介在物寸法との関係を示した図、図9は、前記直線距離Lが800〜1500mmの場合に相当する表1のデータについて、温度降下速度と最大介在物寸法との関係を示した図である。図8および図9中の実線は、夫々のデータの平均値を示す近似曲線である。
即ち、最大介在物寸法が30μm以上の大きさのものが検出された場合、その実験条件は有害と判定する上記知見によれば、図8から、落下点Pから熱電対までの直線距離Lが1600〜1800mmの場合には、温度降下速度が0.8℃/min以上において有害となり、図9から、落下点Pから熱電対までの距離Lが800〜1500mmの場合には、温度降下速度が1.0℃/min以上において有害となる。
従って、表1において、温度降下による地金落下判定については、丸付数字1のケースとして、温度降下速度が0.8℃/min以上となった場合は落下有、0.8℃/min未満となった場合は落下なし、丸付数字2のケースとして、温度降下速度が1.0℃/min以上となった場合は落下有、1.0℃/min未満となった場合は落下なし、と判定して示した。
そして、上記温度降下による地金落下判定(丸付数字1または2欄)と、前述した介在物有害性判定(丸付数字3欄)の夫々の整合性が取れた場合○印、整合性が取れない場合は×印を、表1の整合性欄に記入した。図10は、このような結果から、落下点Pから熱電対までの直線距離Lおよび溶鋼温度の降下速度設定値PVの条件による有害介在物の検知率を示した図である。
図10においては、落下点Pから熱電対までの直線距離Lを、1500mm以下の場合と1500mmを超える場合に区分し、かつ、溶鋼温度の降下速度設定値PVの条件を、0.8℃/min以上とした場合と1.0℃/min以上とした場合の各々の有害介在物、即ち、地金落下の検知率を示したものである。
図10によれば、落下点Pから熱電対までの直線距離Lを限定せずに、設定値PVを0.8℃/minとした検知率は82%であるが、前記距離Lが1500mmを越え、前記設定値PVが0.8℃/minとした場合の検知率は86%となり、更に、前記距離Lを1500mm以下とし、かつ前記設定値PVを1.0℃/minとすれば、検知率は94%に向上することが分かる。
従って、本発明に係る注入管の地金落下検知方法は、落下点Pから熱電対までの直線距離Lを1600〜1800mmとなるよう前記熱電対を設置して、温度降下速度が予め設定された設定値PVが0.8℃/min以上であった場合は、その温度降下開始時刻にて注入管内に付着していた地金が落下したと判定するのが好ましく、また、前記直線距離Lが800〜1500mmとなるよう熱電対を設置して、温度降下速度が1.0℃/min以上であった場合は、その温度降下開始時刻にて注入管に付着していた地金が落下したと判定するのが更に好ましいのである。
次に、タンディシュ内溶鋼重量を変化させた場合、あるいはタンディシュ内溶鋼重量に大きなばらつきがある場合の上記関係の整合性について、夫々表2および表3を用いて説明する。即ち、表2によれば、タンディシュ内溶鋼重量を30トンを上回る35±0.2トンとした比較例−35においては、温度降下速度が0.4℃/minとなって規定した設定値PVを下回り、地金落下なしと判定されるにも拘わらず、介在物有害性判定については有害と判定され、前記判定の整合性が取れなくなる。
また、表3によれば、比較例−36〜40の全てにおいて、タンディシュ内溶鋼重量の変化が±0.5トンを超えている。そして、温度降下速度が1.0℃/minを越え、地金落下ありと判定されるにも拘わらず、規定された最大介在物寸法が30μm未満であるため無害と判定され、前記判定の整合性が取れなくなっている。
従って、本発明に係る注入管の地金落下検知方法は、タンディシュ内に収納する溶鋼重量は30トン以下とするのが好ましく、また、前記タンディシュ内溶鋼重量の変化は±0.5トンの範囲内の安定状態の下に、前記溶鋼温度を検出するのが好ましいのである。
Figure 0004871023
Figure 0004871023
以上のように、本発明に係る注入管の地金落下検知方法は、タンディシュ内の溶鋼温度を連続的に検出し、前記タンディシュ内溶鋼重量変化が±0.5トンの範囲内の安定状態の下に、検出された前記溶鋼温度の降下速度が予め設定された設定値以上であった場合に、その温度降下開始時刻にて注入管に付着していた地金が落下したと判定するので、オンライン状態で前記地金の落下を連続的に監視し、かつ落下時点を検知できる。
また、本発明に係る注入管の地金落下検知方法は、前記溶鋼温度の検出をタンデッシュ内に設置された温度検出手段によって行なうので、簡便な検知方法によって前記地金の落下を連続的に監視し検知できるのである。
本発明の実施の形態に係る注入管の地金落下検知方法を説明するためのタンディシュの平断面を示した平断面図である。 図1のX−X矢視を示す断面図である。 図1のタンディシュの蓋や鉄心、注入管を削除して示した平面図である。 図3のY−Y矢視を示す断面図である。 本発明に係る温度検出手段の設置状態を説明するための縦断面である。 本発明の実施の形態に係る注入管の地金付着検知方法による実証試験結果の一例を示す図である。 疲労破壊した破面において検出された最大介在物寸法と疲労寿命との関係を示す図である。 落下点Pから熱電対までの直線距離Lが1600〜1800mmの場合における温度降下速度と最大介在物寸法との関係を示す図である。 落下点Pから熱電対までの直線距離Lが800〜1500mmの場合における温度降下速度と最大介在物寸法との関係を示す図である。 落下点Pから熱電対までの直線距離Lおよび溶鋼温度の降下速度設定値PVの条件による有害介在物の検知率を示した図である。 従来例に係るタンディシュ注入管の構造を示す説明図である。そして、同図(a)はこの従来例に係る注入管を組み込んだ全体説明図であり、同図(b)は注入管の周壁部の構造を示す拡大説明図である。 従来例に係る連続鋳造用タンディシュ内の溶鋼温度測定方法を適用した装置の概要図である。 他の従来例に係るタンディシュ内溶鋼の連続測温位置を示す取鍋、タンディシュ、鋳型近傍の断面図である。 前記従来例に係る実施例による溶鋼連続測温状況を示す断面図である。
符号の説明
P:溶鋼落下点, S:溶鋼湯面,
1:注入管, 2:タンディシュ, 3:鉄皮,
4a,4b:耐火物,
5:溶鋼, 6:鉄心, 7:コイル, 8:注入室,
9a,9b:ストランド室,
10a,10b:浸漬ノズル
11:加熱スリーブ,
20:熱電対, 21:保護管, 22:鉄キャップ,
23:ホルダーレンガ, 24:温度信号, 25:制御器,
26:外部信号

Claims (4)

  1. 取鍋から注入管によりタンディシュに溶鋼を注入し、この溶鋼を連続的に鋳造する際の前記注入管の地金落下検知方法であって、前記タンディシュ内の溶鋼温度を連続的に検出し、前記タンディシュ内溶鋼重量変化が±0.5トンの範囲内の安定状態の下に、検出された前記溶鋼温度の降下速度が予め設定された設定値以上であった場合に、その温度降下開始時刻にて注入管に付着していた地金が落下したと判定することを特徴とする注入管の地金落下検知方法。
  2. 前記溶鋼温度の検出を、タンデッシュ内に設置された温度検出手段によって行なうことを特徴とする請求項1に記載の注入管の地金落下検知方法。
  3. 前記タンディシュ内に収納する溶鋼重量を30トン以下とするとともに、前記溶鋼温度の検出を、前記注入管からタンディシュ内溶鋼湯面に注入される溶鋼流の落下点からの直線距離が1600〜1800mmの位置で行ない、予め設定された前記設定値を0.8℃/minとしたことを特徴とする請求項1または2に記載の注入管の地金落下検知方法。
  4. 前記タンディシュ内に収納する溶鋼重量を30トン以下とするとともに、前記溶鋼温度の検出を、前記注入管からタンディシュ内溶鋼湯面に注入される溶鋼流の落下点からの直線距離が800〜1500mmの位置で行ない、予め設定された前記設定値を1.0℃/minとしたことを特徴とする請求項1または2に記載の注入管の地金落下検知方法。
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