JP4618555B2 - 連続鋳造における湯面制御方法及び湯面制御装置 - Google Patents
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また、連続的に鋳塊を引き抜くという点で鋼塊引抜き式のエレクトロスラグ再溶解法(ESR)も連続鋳造の一種と考えることができる。これらの方法は、水冷モールド壁で囲まれた凝固空間において、溶湯プールを形成させつつ、凝固させるものである。
また、ESRにおいて電極を使用せず、タンディッシュからスラグ上に溶湯を滴下して、精錬効果を確保し、精錬槽底部から鋳塊を引き抜くという、通常の連続鋳造とESRの中間に位置する鋳造技術も引用文献1に紹介されている。
また。鋼塊引抜き式のエレクトロスラグ再溶解においても、同様の目的で所定時間の溶解量に対応する引抜きを短時間で行なうことを繰り返す方式が採用されている。
上述した初期凝固殻強度に関連して、連続鋳造における重要な課題の一つに溶湯の湯面管理がある。湯面が正確に管理されないとブレークアウト、鋳塊表面割れ、溶鋼浸み出し、熱間加工時の割れという問題が発生する。
しかし、高温のため湯面の直接観察は難しく、湯面の計測には従来は渦電流や放射線を利用して管理する方法が主流であった。
なお、湯面の計測に対しては、給電したワイヤを湯面に押し込み、溶け残ったワイヤの長さの変化による抵抗値から湯面位置を検出使用とする試みも引用文献2、引用文献3に紹介されている。
一方、モールド内に合金溶湯の湯面位置が形成される連続鋳造において、スラグを使用する場合、モールド内面におけるスラグ固化が問題となる。
溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造においては、湯面がスラグ固化部で大きく上下すると、上述した一般的な連続鋳造における問題に加えて、鋳塊表層に異常組織が形成され、鋳造時の割れや熱間加工時の割れの原因となるためである。したがって、スラグ存在下における湯面制御は極めて重要である。
しかし、一般的に利用されている渦電流式の湯面計測は、溶鋼湯面上にスラグ浴が存在する場合には精度が得られず適用できないという問題がある。
また、放射線を使用することも考えられるが、人体への影響があり管理上の問題から避けるべきである。
また、ワイヤを使う方法では、スラグ浴で溶けてしまい湯面の測定ができないことがあったり、ワイヤの溶解により溶湯が汚染するという問題がある。
本発明の目的は、スラグを使用した連続鋳造にあって、安全かつ高精度に湯面制御が可能な制御方法及び制御装置を提供することである。
また、本発明の制御方法においては、湯面位置の変動を検出電極と鋳塊間の電位として検出する。
また、本発明の制御装置における検出器としては、検出電極と鋳塊間に引加した電位の変動を検出するものである。
まず本発明における重要な特徴は、モールド内の合金溶湯の制御すべき湯面位置に検出電極を配置したことにある。
本発明が適用する溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造においては、引き抜きに動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における湯面位置の上昇とによって、湯面位置は周期的変動を繰り返す。
従い、制御すべき湯面位置に配置された検出電極においては、スラグ浴と、溶湯との電気特性の違いから、たとえば鋳塊の引き抜きが一定の周期と下げ幅をもっており、注入される溶湯が一定であれば、検出電極の出力は、定常的な波形となる。一方、鋳塊の引き抜きと、注入される溶湯のバランスが崩れた場合、検出電極の出力は、振幅の増加や減少といった非定常な波形となる。この波形の影響をとらえて、投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御することができるのである。
まず、検出電極7が湯面6の下に浸漬した図1(a)の状態から、鋳塊を引き抜いていくと、溶湯供給による湯面の上昇量<鋳塊の下降量であると、図1(b)の時点で、検出電極7の先端は湯面6上に位置する。合金溶湯における抵抗値に対してスラグの抵抗は極めて大であるため、図1(c)のように検出電位は電極位置が湯面から遠ざかるに従って上昇する。図(d)において鋳塊の下降を停止すると、溶湯供給によって湯面が上昇していき、検出電位が下降し始める。そして、図1(e)の位置で検出電極が、湯面に接した時、合金溶湯における抵抗値に対してスラグの抵抗は極めて大であるため、電位が急激に低下し、その後変動が殆どなくなり、図1(f)の停止期間が終了するまで維持される。
しかし、本発明においては、図1に示すごとく1周期の電位の変化が、検出できるということが重要である。このように検出電極位置を基準として検出し、検出された周期的変動は、投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御因子として使用することができるのである。
逆に溶湯供給による湯面の上昇量>>鋳塊の下降量であれば、最初は周期的変動として測定された電位変化が、脈流のごとく検出されていたものが、鋳塊の下降によっても検出電極が湯面上に位置しなくなるため、電位の変化が殆どみられなくなる。
溶湯をスラグで覆うようにした連続鋳造の場合、直接湯面を確認することはできず、溶融−固化という相変化を起こす可能性のあるスラグが湯面検出に悪影響を及ぼしていたのであるが、上述した本発明の方法では劇的な変化によって異常を確実に検出できるという点で極めて有効である。
また、同様に図1に示すように、検出電極が、溶湯上に位置している期間と、溶湯下に有る場合の時間間隔の変動を使用して、制御することも可能である。
水冷モールドを使用する場合、合金溶湯の注入速度が遅いと、水冷モールド近傍でスラグ固化が進みやすく、スラグを均一に溶融しておくことが難しくなり、溶湯の湯面位置の変動にともなう、表面の異常組織の発生しやすくなるためである。
また、スラグとしては、1400℃を超える融点を有するスラグでは、溶湯プールを囲むスラグ固化層シェルが発達しすぎて、鋳塊外層に異常組織が深く形成する場合がある。 これに対して、1400℃以下のスラグでは、溶鋼からの熱を受けてスラグの固化が抑制され鋳塊外層の異常組織形成が著しく抑制される。また、このような低融点スラグは、粘性も低く鋼塊表面に不必要に厚いスラグスキンが形成されないという効果もある。そのため、使用するスラグとしては1400℃以下のものが好ましい。
これにより、水冷モールド2に内装した保温部材である黒鉛スリーブ3の設置範囲内にメニスカス上面位置を有する溶湯プール4を形成でき、水冷モールド(保温部材)側にシェルを形成することができるものである。
そして、合金溶湯11の注入量相当に合わせて、昇降装置20を降下して鋳塊5を引き抜くことで、積層凝固を進行させることができる。また、水冷モールドから抜け出た鋳塊は2次冷却帯30でミスト冷却されるようにしている。
タンディッシュに溶湯を保持し、表1に示す組成及び融点を有するスラグを50mmの厚さで配置して水冷モールドに鋳造を行った。溶湯は質量%JIS SKD11相当の鋼種を用いた。溶湯の成分を表2に示す。
溶湯温度を1500℃とし、注入速度は、積層凝固速度を約0.03m/分(30mm/分)相当とした。断続引抜きの方法は、1サイクルが、引抜き時間6秒と停止時間4秒で構成され、1サイクルでの引抜き量を5mmとした。すなわち1分間の引抜き量を30mmとした。このとき、湯面制御位置用検出電極40および上限管理用検出電極50で検出された鋳造作業時間に対する電位信号の一例を図4に示す。図4においては、湯面が低下しすぎるため、5回の引抜き休止期間を設け、湯面が下がりすぎるのを防止するように制御した例である。
なお、5回の休止期間は、鋳造作業時間として、19.19〜19.46、20.08〜20.41、21.18〜21.53、22.14〜22.52、23.30〜23.80(min)の期間である。
14.シールド、15.スラグ通電電極、20.昇降装置、30.2次冷却帯、40.湯面制御位置用検出電極、50.上限管理用検出電極、60.検出器
Claims (4)
- 溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造における湯面制御方法であって、モールド内の合金溶湯の管理すべき湯面位置に検出電極を配置し、引き抜き動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における湯面位置の上昇とによって形成される湯面位置の周期的変動を、前記検出電極と鋳塊間の電位として検出し、検出された信号の変動から投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を管理することを特徴とする連続鋳造における湯面制御方法。
- 湯面位置の上限管理を、スラグ浴中に設置した上限管理用検出電極により、管理することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造における湯面制御方法。
- 溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造における湯面制御装置であって、モールド内の合金溶湯の管理すべき湯面位置に配置する検出電極と、引き抜き動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における湯面位置の上昇とによって形成される湯面位置の周期的変動を前記検出電極と鋳塊間に引加した電位の変動を検出する検出器と、検出された信号の変動から投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を管理する制御装置を具備することを特徴とする連続鋳造における湯面制御装置。
- 湯面位置の上限を管理する上限管理用検出電極を、スラグ浴中に設置することを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造における湯面制御装置。
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