JP2009106959A - 連続鋳造における湯面制御方法及び湯面制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造における湯面制御方法であって、モールド内の合金溶湯に浸漬したGND電極と、前記合金溶湯の制御すべき湯面位置に検出電極を配置し、引き抜き動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における溶湯面の上昇とによって形成される溶湯面の周期的変動を、前記検出電極により検出し、検出された信号の変動から投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御するものとする。
【選択図】 図1
Description
連続鋳造では、引抜き抵抗による凝固殻の破断を防止することが操業上および鋳塊の表面品質上極めて重要である。モールドに対する相対的な停止期間のない連続引抜きでは初期凝固殻の強度を安定して確保できないことから、断続引抜きを行ない、停止時間で初期凝固殻強度を高める方法が一般に採用されている。
上述した初期凝固殻強度に関連して、連続鋳造における重要な課題の一つに溶湯の湯面管理がある。湯面が正確に管理されないとブレークアウト、鋳塊表面割れ、溶鋼浸み出し、熱間加工時の割れという問題が発生する。
しかし、高温のため湯面の直接観察は難しく、湯面の計測には従来は渦電流や放射線を利用して管理する方法が主流であった。
なお、湯面の計測に対しては、給電したワイヤを湯面に押し込み、溶け残ったワイヤの長さの変化による抵抗値から湯面位置を検出使用とする試みも引用文献1、引用文献2に紹介されている。
これらの問題を回避するため、本発明者等は、溶湯面の変動をモールド内の溶湯の制御すべき湯面位置に設置した検出電極と鋳塊間の信号として検出する技術を提案している。(特許文献3)
溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造においては、湯面がスラグ固化部で大きく上下すると、上述した一般的な連続鋳造における問題に加えて、鋳塊表層に異常組織が形成され、鋳造時の割れや熱間加工時の割れの原因となるためである。したがって、スラグ存在下における湯面制御は極めて重要である。
しかし、一般的に利用されている渦電流式の湯面計測は、溶鋼湯面上にスラグ浴が存在する場合には精度が得られず適用できないという問題がある。
また、ワイヤを使う方法では、スラグ浴で溶けてしまい、湯面の測定ができないことがあり、ワイヤの溶解により溶湯が汚染されるという問題がある。
また、溶湯面の変動を検出電極と鋳塊間の信号として検出する方法は、鋳塊にGND電極を接続する必要があるため、大量生産時において鋳塊を切断する際には、その都度GND電極を接続し直す必要があり、生産性を低下させるという問題がある。
本発明の目的は、スラグを使用した連続鋳造にあって、鋳塊切断をともなう大量生産時に安全かつ高精度に湯面制御が可能な制御方法及び制御装置を提供することである。
まず本発明における重要な特徴は、モールド内の合金溶湯に浸漬したGND電極とモールド内の合金溶湯の制御すべき湯面位置に検出電極を配置したことにある。
本発明が適用する溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造においては、引き抜きに動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における溶湯面の上昇とによって、溶湯面は周期的変動を繰り返す。
従い、制御すべき湯面位置に配置された検出電極においては、スラグ浴と、溶湯との電気特性の違いから、たとえば鋳塊の引き抜きが一定の周期と下げ幅をもっており、注入される溶湯が一定であれば、検出電極の出力は、定常的な波形となる。一方、鋳塊の引き抜きと、注入される溶湯のバランスが崩れた場合、検出電極の出力は、振幅の増加や減少といった非定常な波形となる。この波形の影響をとらえて、投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御することができるのである。
まず、検出電極7とGND電極8が湯面6の下に浸漬した図1(a)の状態から、鋳塊を引き抜いていくと、溶湯供給による湯面の上昇量<鋳塊の下降量であると、図1(b)の時点で、検出電極7の先端は湯面6上に位置する。合金溶湯における抵抗値に対してスラグの抵抗は極めて大であるため、図1(c)のように検出電位は電極位置が湯面から遠ざかるに従って上昇する。図(d)において鋳塊の下降を停止すると、溶湯供給によって湯面が上昇していき、検出電位が下降し始める。そして、図1(e)の位置で検出電極が、湯面に接した時、合金溶湯における抵抗値に対してスラグの抵抗は極めて大であるため、電位が急激に低下し、その後変動が殆どなくなり、図1(f)の停止期間が終了するまで維持される。
しかし、本発明においては、図1に示すごとく1周期の電位の変化が、検出できるということが重要である。このように検出電極位置を基準として検出し、検出された周期的変動は、投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御因子として使用することができるのである。
逆に溶湯供給による湯面の上昇量>>鋳塊の下降量であれば、最初は周期的変動として測定された電位変化が、脈流のごとく検出されていたものが、鋳塊の下降によっても検出電極が湯面上に位置しなくなるため、電位の変化が殆どみられなくなる。
溶湯をスラグで覆うようにした連続鋳造の場合、直接湯面を確認することはできず、溶融−固化という相変化を起こす可能性のあるスラグが湯面検出に悪影響を及ぼしていたのであるが、上述した本発明の方法では劇的な変化によって異常を確実に検出できるという点で極めて有効である。
また、同様に図1に示すように、検出電極が、溶湯上に位置している期間と、溶湯下に有る場合の時間間隔の変動を使用して、制御することも可能である。
さらに湯面の下限位置に別途設置した下限管理用検出電極により、管理することとすれば、湯面の異常低下の検出ができ、より高精度の下限制御ができるとともに、水冷モールド内での凝固不足に起因するブレークアウトを防止することができる。
水冷モールドを使用する場合、合金溶湯の注入速度が遅いと、水冷モールド近傍でスラグ固化が進みやすく、スラグを均一に溶融しておくことが難しくなり、溶湯の湯面位置の変動にともなう、表面の異常組織の発生しやすくなるためである。
また、スラグとしては、1400℃を超える融点を有するスラグでは、溶湯プールを囲むスラグ固化層シェルが発達しすぎて、鋳塊外層に異常組織が深く形成する場合がある。
これに対して、1400℃以下のスラグでは、溶鋼からの熱を受けてスラグの固化が抑制され鋳塊外層の異常組織形成が著しく抑制される。また、このような低融点スラグは、粘性も低く鋼塊表面に不必要に厚いスラグスキンが形成されないという効果もある。そのため、使用するスラグとしては1400℃以下のものが好ましい。
そして、合金溶湯11の注入量相当に合わせて、昇降装置20を降下して鋳塊5を引き抜くことで、積層凝固を進行させることができる。また、水冷モールドから抜け出た鋳塊は2次冷却帯30でミスト冷却されるようにしている。
溶湯温度を1500℃とし、注入速度は、積層凝固速度を約0.03m/分(30mm/分)相当とした。断続引抜きの方法は、1サイクルが、引抜き時間を8秒と停止時間を4秒で構成し、1サイクルでの引抜き量を6mmとした。すなわち1分間の引抜き量を30mmとした。このとき、湯面制御位置用検出電極40で検出された鋳造作業時間に対する電位信号と、この電位から昇降制御装置21で湯面位置を判定した湯面判定信号と引抜き速度の一例を図4に示す。図4においては、湯面が目標位置から上昇したため、引抜き速度を一定量速く調整して湯面位置を下降させ、湯面が目標位置から上昇するのを防止するように制御した例である。
なお、鋳造時間が41.0〜41.6と42.1〜43.0(min)の期間は、湯面が目標位置にある。鋳造時間が41.6〜42.1(min)の期間は、湯面が目標位置より上昇している。
Claims (4)
- 溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造における湯面制御方法であって、モールド内の合金溶湯に浸漬したGND電極と、前記合金溶湯の制御すべき湯面位置に検出電極を配置し、引き抜き動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における溶湯面の上昇とによって形成される溶湯面の周期的変動を、前記検出電極により検出し、検出された信号の変動から投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御することを特徴とする連続鋳造における湯面制御方法。
- 溶湯面の変動を検出電極とGND電極間の電位として検出することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造における湯面制御方法。
- 溶湯プール上にスラグ浴が形成されて断続的に鋳塊を引き抜く連続鋳造における湯面制御装置であって、モールド内の合金溶湯に浸漬するGND電極と、前記合金溶湯の制御すべき湯面位置に配置する検出電極と、引き抜き動作における湯面位置低下と引き抜き動作停止期間における溶湯面の上昇とによって形成される溶湯面の周期的変動を前記検出電極により検出する検出器と、検出された信号の変動から投入溶湯量もしくは引き抜き動作量を制御する制御装置を具備することを特徴とする連続鋳造における湯面制御装置。
- 検出器は、検出電極とGND電極間に引加した電位の変動を検出するものであることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造における湯面制御方法。
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