JP2011025278A - モールドパウダーの凝固シェルへの付着性評価方法、並びに連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置 - Google Patents

モールドパウダーの凝固シェルへの付着性評価方法、並びに連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置 Download PDF

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【課題】 溶融金属の連続鋳造工程にて鋳型内溶融金属湯面上に添加されるモールドパウダーの凝固シェルへの付着性を正確に評価するための付着性評価方法を提供する。
【解決手段】 本発明の付着性評価方法は、下部は溶融状態であり、上部は未溶融状態であるモールドパウダー13で被覆された溶融金属12に浸漬したチルブロック3を距離p押し下げた後に距離h(h<p)引き上げ、距離h引き上げることによってチルブロック表面に、モールドパウダー付着層を介して凝固した凝固シェルの上端部を前記モールドパウダー中に侵入させ、この一連の動きを1動作としてこの1動作を繰り返し行いながら所定深さまでチルブロックを押し下げ、その後、チルブロックを引き上げ、チルブロック表面に形成された凝固シェル内部に捕捉されたモールドパウダーの量を調査することによりモールドパウダーの凝固シェルへの付着性を評価する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、溶鋼などの溶融金属の連続鋳造工程にて鋳型内溶融金属湯面上に添加して使用されるモールドパウダーの鋳型内凝固シェルへの付着性を評価するための付着性評価方法、並びに当該評価方法で用いる連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置に関するものである。
鋼の連続鋳造では、モールドパウダーが、鋳型と凝固シェルとの潤滑剤、鋳型内溶鋼湯面の保温剤及び酸化防止剤、溶鋼中から浮上分離した非金属介在物の吸収剤などの目的で広く使用されている。このモールドパウダーは酸化物を主体としており、鋳型内溶鋼湯面の変動が大きくなると凝固シェルに捕捉され、そのまま鋳片内に留まり、圧延後の鋼製品で表面欠陥や内部欠陥の原因となる。このモールドパウダーの凝固シェルへの捕捉機構が、本発明者らによる特許文献1に開示されている。
図1は、特許文献1に開示された、モールドパウダー(特許文献1では「モールドフラックス」と称している)や気泡などが鋳型内の凝固シェルに捕捉される捕捉機構の概念的な模式図であり、図1(a)は、鋳型内の湯面変動がない場合を、図1(b)は、湯面の下降速度が凝固シェルの下降速度より大きい場合を、図1(c)は湯面が上昇する場合を、それぞれ示している。図1において、Vcは凝固シェルの下降速度(=鋳造速度)、Vmは鋳型内湯面の下降速度である。
図1(a)では、ノズル詰まり防止のために溶鋼内に吹き込まれたアルゴンガス気泡や非金属介在物が、浮上途中で溶融フラックス層内に取り込まれないで湯面直下に集積・浮遊している状況を示している。これら湯面直下のアルゴンガス気泡や非金属介在物は、湯面の変動とほぼ同期して上や下に変動する。
しかし、湯面の下降速度Vmが大きくなり、鋳片下降速度Vcより大きくなる(Vm>Vc)と、図1(b)に示すように、湯面及びその直下の気泡や非金属介在物が、凝固シェル先端より下降することになり、相対的に凝固シェル先端がモールドフラックス層内に浸入した状態となる。湯面の下降量が溶融フラックス厚みより小さい場合には、凝固シェル先端は、溶融フラックスと接触し、一方、湯面の下降量が溶融フラックス厚みより大きい場合には、凝固シェル先端は、溶融フラックスに加えて未溶融フラックスとも接触することになる。
湯面が下降した後、再び上昇する場合には、湯面直下の気泡や介在物の大部分は、湯面の上下動とともに移動するが、凝固シェルに近い気泡や介在物、更には凝固シェルと接触した一部の溶融フラックスや未溶融フラックスは、図1(c)に示すように、凝固シェルに捕捉される。これら捕捉された気泡、介在物及び溶融フラックス・未溶融フラックスは、湯面の位置が、凝固シェル先端より上方に移動したのちも、周辺の溶湯の凝固の進行により、離脱、浮上することなく捕捉されたまま凝固シェル内に留まり、最終的に鋳片表層下に存在することになる。
このような理由から、鋳型内の湯面変動量が或る基準値以上となった場合には、その部位の鋳片は、スカーファーやグラインダーなどによる表面手入れを余儀なくされていた。
ところで、モールドパウダーが凝固シェルに捕捉されることを防止する方法として、鋳型内湯面の変動抑制以外に、モールドパウダーの凝固シェルへの濡れ性を悪くする方法がある。濡れ性が悪くなればモールドパウダーの凝固シェルへの付着が起こりにくくなるからである。
モールドパウダーと凝固シェルとの濡れ性を評価する方法としては、鋳片から凝固シェル相当の小片を切り出し、その表面にモールドパウダーを乗せて加熱炉に装入し、鋳片に対する溶融モールドパウダーの濡れ角を測定し、その値から鋳片への付着性を評価する方法が一般的である。
しかしながら、上記の濡れ角を測定する方法には、以下の4つの問題点がある。
(1)界面張力と濡れ角との関係は、下記の(1)式で示されるように、一般的に凝固シェル/モールドパウダー/溶鋼の3相間の界面張力で表現される。図2に、周囲を溶鋼で囲まれたときの各界面の界面張力及び溶融モールドパウダーの凝固シェルに対する濡れ角θを示す。
θ=acos[(γsm-γsp)/γpm] …(1)
ここで、γsm=γsp+γpmcosθ …(2)
但し、(1)式及び(2)式において、θは、溶融モールドパウダーの凝固シェルに対する濡れ角、γsmは、溶鋼/凝固シェル間の界面エネルギー、γspは、溶鋼/溶融モールドパウダー間の界面エネルギー、γpmは溶融モールドパウダー/凝固シェル間の界面エネルギーである。
このように濡れ角θは、溶鋼が共存する状態で測定すべきものであるのに対し、上記のように溶鋼の存在しない状態で、つまり溶鋼の影響を無視して測定した凝固シェル/溶融モールドパウダー間の濡れ角からは、実際の連続鋳造機鋳型内湯面近傍で起こっている凝固シェルへのモールドパウダーの付着現象を正しく評価することができない。
(2)凝固途中の凝固シェル界面には、溶鋼中成分が固液相間の固溶度の差により分配されて濃化し、これら成分の濃度境界層が形成される。界面張力を低下させる成分が濃化していると、濃度勾配により界面張力勾配が発生し、その力によって溶鋼中のモールドパウダーは凝固シェル界面に引き寄せられる。即ち、溶鋼の凝固途中のこのような現象を模擬できない従来の濡れ角測定方法では、モールドパウダーの凝固シェルへの付着に及ぼす溶鋼成分の影響を評価することができない。
(3)固体表面への濡れ性は、該固体表面の粗度に影響されるのは周知である。デンドライト樹枝状晶の形態で凝固する溶鋼の場合、凝固シェル界面は凹凸状態となっており、機械加工した鋳片サンプルを使用しても、凝固シェル界面を模擬できないため、モールドパウダーの凝固シェルへの付着に及ぼす濡れの影響を評価することは困難である。
(4)鋳型内溶鋼湯面近傍の凝固シェル先端形状は、図1に示すように溶鋼の表面張力と凝固シェル内部温度勾配の影響のため、溶鋼側に曲がった様相を呈している。このため、鋳型内湯面変動時の凝固シェルへのモールドパウダーの捕捉されやすさは、濡れ性のみならず、凝固シェル先端の曲がり度合いにも影響される。つまり、モールドパウダーの凝固シェルへの付着性は濡れ性のみでは正しく評価することができない。
ところで、モールドパウダーの特性を評価する方法として、特許文献2には、「モールドフラックスを黒鉛ルツボへ装入し、該黒鉛ルツボを所定時間加熱して、モールドフラックスを均一に溶解せしめ、その後溶融したモールドフラックスを黒鉛ルツボより抽出し、予め用意した所定形状を有する傾斜冷却鋳型に注入して、モールドフラックスの冷却試料を作り、該試料を縦断してその断面を観察し、モールドフラックスの評価を行うことを特徴とするモールドフラックスの溶融試験方法」が開示され、また、特許文献3には、「溶融パウダーを浮かべた溶鋼中に石英製のJ字管を浸漬し、湯面近傍の溶鋼を吸引した後、J字管中に吸い込まれた鋼に含有されるモールドパウダーの量を測定することで、モールドパウダーの溶鋼への巻き込みを評価する方法」が開示されている。
しかしながら、特許文献2は、モールドパウダーが凝固状態において結晶質か非晶質か、また、結晶が柱状晶か等軸晶か、更には粗大か微細かなどを評価するための試験方法であり、モールドパウダーの鋳型内凝固シェルへの付着性を評価することはできない。また、特許文献3は、溶鋼及び溶融モールドパウダーを試験対象とするものの、肝心の凝固シェルは試験に関与せず、上記の(2)、(3)、(4)の問題点を含んでおり、モールドパウダーの鋳型内凝固シェルへの付着性を正確に評価することはできない。
特開2007−185674号公報 特開平10−58103号公報 特開2006−175472号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前述した4つの問題点を同時に解決し、溶鋼などの溶融金属の連続鋳造工程にて鋳型内溶融金属湯面上に添加して使用されるモールドパウダーの鋳型内凝固シェルへの付着性を正確に評価することのできる、モールドパウダーの凝固シェルへの付着性評価方法を提供するとともに、この付着性評価方法に好適な連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係るモールドパウダーの凝固シェルへの付着性評価方法は、下部の溶融金属と接触する部分は溶融状態であり、上部は未溶融状態であるモールドパウダーで被覆された溶融金属に浸漬したチルブロックを距離p押し下げた後に距離h(h<p)引き上げ、距離h引き上げることによってチルブロック表面に凝固した凝固シェルの上端部を前記モールドパウダー中に侵入させ、この一連の動きを1動作としてこの1動作を繰り返し行いながら所定深さまでチルブロックを押し下げ、その後、チルブロックを溶融金属上に引き上げ、チルブロック表面に形成された凝固シェルの冷却後、当該凝固シェル内部に捕捉されたモールドパウダーの量を調査することによりモールドパウダーの凝固シェルへの付着性を評価することを特徴とするものである。
また本発明に係る連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置は、ステッピングモーターと、該ステッピングモーターにより上下方向に移動するステッピングシリンダーと、該ステッピングシリンダーと同期して移動するチルブロックと、を備えた連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置であって、前記チルブロックは、前記ステッピングモーターにより、モールドパウダーで被覆された溶融金属中に距離p押し下げられた後に距離h(h<p)引き上げられ、距離h引き上げることによってチルブロック表面に凝固した凝固シェルの上端部を前記モールドパウダー中に侵入させ、この一連の動きを1動作としてこの1動作を繰り返し行いながら所定深さまで押し下げられ、その後、溶融金属上に引き上げられるように構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、実機連続鋳造機での鋳型内湯面変動を模擬できるので、つまり、鋳型内で湯面変動が生じた場合と同様に、凝固シェル上端部をモールドパウダーと直接接触させることができるので、モールドパウダーの凝固シェルへの付着性を正確に評価することが可能となる。その結果、鋳造鋼種に最適なモールドパウダーを効率的且つ効果的に設計可能となる。
本発明者らにより提案された、モールドパウダーが凝固シェルに捕捉される捕捉機構の概念的な模式図である。 各界面の界面張力並びに溶融モールドパウダーの凝固シェルに対する濡れ角θを示す模式図である。 モールドパウダーの凝固シェルへの付着性を評価する際に使用した本発明に係る鋳型内凝固模擬試験装置の概略図である。 チルブロックの全体の動作、及び、各工程でのチルブロックの位置及びそのときの凝固シェルの状態を模式的に示す図である。 押し下げ工程及び引き上げ工程の詳細図である。 凝固シェルへのモールドパウダーの捕捉個数に及ぼす距離hの影響を示す図である。 凝固シェルへのモールドパウダーの捕捉個数に及ぼすモールドパウダーの影響を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明者は、鋳型内溶鋼湯面の変動による凝固シェルへのモールドパウダーの捕捉機構として特許文献1に開示された図1に示す機構を考え、鋳型内溶鋼湯面の下降速度(Vm)が凝固シェルの下降速度(Vc)よりも大きくなる場合に、モールドパウダーが凝固シェルに捕捉される状況を試験的に再現する方法を検討した。その結果、図3に示す鋳型内凝固模擬試験装置を用いることで再現できることを見出した。
図3において、チルブロック3が、ステッピングモーター1により上下方向に移動するステッピングシリンダー2に、接続冶具5及びチルブロックホルダー4を介して保持されている。つまり、チルブロック3はステッピングモーター1により上下方向に移動するように配置されている。このステッピングモーター1は、制御部7と接続され、制御部7からの信号によって運転方法が制御されている。また、ステッピングシリンダー2には、2本の鋼製電極8,8が電極保持台9を介して設置されている。この鋼製電極8,8は、ステッピングシリンダー2の移動つまりチルブロック3の移動と同期して移動し、鋼製電極8,8の先端部が、モールドパウダー13の溶融層(溶融モールドパウダー層)に浸漬した時点で一方の鋼製電極8から他方の電極8に電流が流れ、溶融モールドパウダー層の位置を検出するようになっている。具体的には、鋼製電極8,8は制御部7に接続しており、鋼製電極8,8に電流が流れることで、制御部7は溶融モールドパウダー層の位置を検出するように構成されている。この鋼製電極8の下端位置は、チルブロック3の下端位置と鉛直方向高さ位置が一致するように設置されている。また、ステッピングモーター1は架台6に固定されている。尚、鋼製電極8,8は、モールドパウダー13が溶融状態であっても双方の融点の関係からモールドパウダー13には溶融しないので、溶融モールドパウダー層の位置が正確に検出される。チルブロック3は、短時間(5秒以内)の浸漬であれば、無垢の鋼や銅でも全く問題ない。但し、浸漬時間が長くなる場合には、内部水冷構造とすることが望ましい。
チルブロック3の下方には、溶鋼12を収容する耐火物製ルツボ10が配置されている。耐火物製ルツボ10の外周には加熱コイル11が配置され、加熱コイル11に供給される交流電源により溶鋼12は加熱される。この溶鋼12の上にはモールドパウダー13が添加されている。架台6は、移動式であって試験中以外はステッピングモーター1やチルブロック3など一式を耐火物製ルツボ10の上方から撤去できるようになっているが、試験中は移動せず、所定の位置に固定される。
このように構成される鋳型内凝固模擬試験装置を用いて、加熱コイル11に通電することにより鉄塊を溶解し、成分調整した溶鋼12の上にモールドパウダー13を添加する。モールドパウダー13は溶鋼12から熱を受け、溶鋼12と接触する側は溶融状態となり、その上部側は未溶融のままとなる。即ち、耐火物製ルツボ10の内部に、連続鋳造鋳型内の状況を模擬した、溶鋼/溶融モールドパウダー層/未溶融モールドパウダー層の3層が形成される。溶鋼12の温度を測定し必要に応じて溶鋼12の温度調整を実施し、次いで、ステッピングモーター1を駆動させて、溶鋼12の上方に待機していたチルブロック3を、モールドパウダー13を貫通させて溶鋼12に浸漬させる。この場合、加熱コイル11で溶鋼12を加熱したままであると、溶鋼12が加熱コイル11に原因する電磁力により攪拌されて裸湯が生成したり、連続鋳造鋳型内の状況を模擬した、溶鋼/溶融モールドパウダー層/未溶融モールドパウダー層が乱されたりするので、チルブロック3を浸漬する直前には加熱コイル11への通電を停止する。
図4に、溶鋼に浸漬させるチルブロック3の全体の動作を示す。図4に示すように、下降速度Vdでチルブロック3を下降させる。チルブロック3がモールドパウダー13の上部の未溶融モールドパウダー層を貫通し、下部の溶融モールドパウダー層に至ると、同時に、鋼製電極8,8の下端も溶融モールドパウダー層に到達し、鋼製電極8,8に電流が流れ、これにより、制御部7は、チルブロック3の下端が溶融モールドパウダー層に到達したことを検知する。チルブロック3の下端が溶融モールドパウダー層に到達した以降も所定の時間だけ下降を継続し、所定の距離p下降した後、上昇速度Vuで距離hだけ引き上げる。チルブロック3を距離hだけ引き上げた後は、下降速度Vdで距離pだけ押し下げる工程と、上昇速度Vuで距離h(h<p)だけ引き上げる工程とを1動作として、この1動作を繰り返し実施する。尚、図4には、各工程でのチルブロック3の位置及びそのときの凝固シェル14の状態を模式的に示している。
図5は、この押し下げ工程及び引き上げ工程を詳細に示す図である。図5では、下降速度Vdで距離pだけ押し下げる工程の後に保持時間tsを設け、また、上昇速度Vuで距離hだけ引き上げる工程の後に保持時間tpを設けている。
この押し下げ工程及び引き上げ工程において、当初未溶融のモールドパウダー層内に存在したチルブロック3の表面は、先ず、溶融したモールドパウダー層内に押し下げられて溶融したモールドパウダー13と接触する。溶融したモールドパウダー13と接触することで、チルブロック3の表面には、モールドパウダー付着層15が形成される。更に下降することでチルブロック3の表面は、モールドパウダー付着層15を介して溶鋼12と接触し、モールドパウダー付着層15を覆うようにして凝固シェル14が形成される。距離pだけ押し込まれた時点で停止し、その状態で保持時間tsだけ保持される。この保持により凝固シェル14は冷却され、凝固シェル14には凝固シェル14を溶鋼側に曲げる応力が発生し、凝固シェル14は溶鋼側にたわむ(図4(1)に対応)。
次いで、チルブロック3を、上昇速度Vuで距離hだけ引き上げて、チルブロック3の表面に生成した凝固シェル14の上端部分をモールドパウダー13に侵入させ、その状態で保持時間tpだけ保持する(図4(2)に対応)。これにより図1(b)の状態が再現され、凝固シェル14の上端部界面はモールドパウダー13に完全に接触し、モールドパウダー13が凝固シェル14に凝固・付着、或いは液相状態で付着する。この状態にあっては、モールドパウダー13に侵入している凝固シェル14の上端部分は冷却される。この冷却により凝固シェル14の先端は更に溶鋼側にたわむ。このように、凝固シェル14の上端部をモールドパウダー13に侵入させることで、凝固シェル14の上端部は溶鋼側に曲がるので、凝固シェル14の上端部を溶鋼側に曲げるために設置する保持時間ts及び保持時間tpはゼロとしてもよい。
その後、再度距離p押し下げてモールドパウダー13に侵入していた凝固シェル14の上端部分を溶鋼12に浸漬させる。このとき、上端部が溶鋼側に曲がった凝固シェル14によりモールドパウダー13が引きずれられように捕捉されて溶鋼中に移動する(図1(c)の再現)。
溶鋼中に浸漬された凝固シェル14には、界面に付着したモールドパウダー13を覆うようにして溶鋼12が凝固する。このとき、凝固シェル界面に付着していたモールドパウダー13の一部は浮力により凝固シェル海面から離脱するが、残留したモールドパウダー13は凝固シェル14の内部に閉じ込められることになる(図4(3)に対応)。
このような押し下げ工程及び引き上げ工程を繰り返し実施、所定の浸漬深さ(H)まで浸漬させた後、チルブロック3を溶鋼12から上昇速度Vaで引き上げる。このように、図4の(1)〜(3)を繰り返すことで、鋳型内の湯面変動を繰り返し模擬する。断続的に下降するチルブロック3は、溶鋼12と接触する以前に溶融モールドパウダー層と接触するので、チルブロック3の表面全体にモールドパウダー付着層15が形成される。
引き上げたチルブロック3を冷却した後、チルブロック3から凝固シェル14を回収し、凝固シェル14の内部に捕捉されたモールドパウダー13の量を調査する。凝固シェル14の内部に捕捉されたモールドパウダー13の量から、凝固シェルへ付着しやすいモールドパウダーであるか、或いは付着しにくいモールドパウダーであるかを評価する。
捕捉されたモールドパウダー13の量を調査・評価する方法は、浸漬方向に平行な凝固シェル14の厚み断面の顕微鏡観察により、捕捉されたモールドパウダーの単位長さ当たりの個数や線分長さで評価する方法や、凝固シェル14を酸で溶解し、残渣のモールドパウダーを分離回収して質量を測定し、凝固シェルの単位質量当たりに含有される質量で評価する方法などを用いることができる。但し、定量的に評価できる限り、これら以外の方法であっても構わない。
尚、下降速度Vd、上昇速度Vu、上昇速度Va、距離p、距離h、保持時間ts及び保持時間tpは、実際の連続鋳造の操業条件を勘案して決めればよい。目安として、下降速度Vd及び上昇速度Vuは鋳造速度、距離pはオシレーションマークのピッチ、距離hは湯面変動量、保持時間ts及び保持時間tpは鋳型振動の1サイクル時間以内、上昇速度Vaは装置仕様最大速度に設定すればよいが、これに限定されるものではない。また、下降速度Vd、上昇速度Vu、上昇速度Va、距離p、距離h、保持時間ts及び保持時間tpは、繰り返し動作が一定として装置を設計してもよいが、一連動作毎に設定変更できるように設計してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、実機連続鋳造機での鋳型内湯面変動を模擬できるので、つまり、凝固シェル上端部をモールドパウダーと直接接触させることができるので、前述した(1)〜(4)の問題点の全てを解決でき、モールドパウダーの凝固シェルへの付着性を正確に評価することが可能となる。
図3に示す鋳型内凝固模擬試験装置を用い、MgO製のルツボ内で誘導加熱して溶解した低炭素鋼(C:0.04質量%、Si:0.05質量%、Mn:0.07質量%、P:0.018質量%、S:0.010質量%、Al:0.033質量%)の湯面を、モールドパウダーA(組成;CaO:28.5質量%、SiO2:43.2質量%、Al23:8.0質量%、Na2O:6.8質量%、MgO:0.8質量%、F:4.5質量%、Li2O:1.5質量%、凝固温度:1020℃、1300℃での粘度:10P、溶融層厚:4〜8mm)で被覆した後、溶鋼温度1534〜1548℃において、チルブロック(材質:軟鋼、サイズ:140mm長さ×10mm厚×50mm幅)を浸漬させた。チルブロックの溶鋼中への浸漬に当たって、距離hは0〜10mm、保持時間tpはゼロ、保持時間tsは0.06〜0.3s、距離pは12mm、下降速度Vd、上昇速度Vu、上昇速度Vaはともに1.2m/min、浸漬深さHは70mmとした。
浸漬が終了した後、チルブロックに付着・生成した凝固シェルを幅中央とその左右10mm位置にて縦切りし、それらの断面を顕微鏡観察し、凝固シェル内部に捕捉されたモールドパウダーの単位浸漬深さ当たりの個数を調査した。
図6に、凝固シェル内部に捕捉されたモールドパウダーの個数と距離hとの関係を示す。距離hの増加、換言すれば鋳型内湯面変動量の増加に伴ってモールドパウダーの凝固シェルへの捕捉量が増加する現象が再現された。
更に、モールドパウダーB(組成;CaO:36.0質量%、SiO2:35.5質量%、Al23:6.4質量%、Na2O:2.4質量%、MgO:1.8質量%、F:2.9質量%、TiO2:4.7質量%、B23:3.0質量%、凝固温度:1060℃、1300℃での粘度:4.1P、溶融層厚:4〜8mm)を用い、保持時間tsを0.3sとした以外は上記の条件でチルブロックを溶鋼に浸漬させた。また、チルブロックに付着・生成した凝固シェルの内部に捕捉されたモールドパウダーの単位浸漬深さ当たりの個数を上記と同一の方法で調査した。
図7に、モールドパウダーAとモールドパウダーBとを比較して、凝固シェル内部に捕捉されたモールドパウダーの個数と距離hとの関係を示す。図7に示すように、モールドパウダーBの方が、モールドパウダーAよりも凝固シェルに捕捉されたモールドパウダーが少ないことが確認できた。
一方、実機の垂直曲げ型スラブ連続鋳造機にてモールドパウダーA及びモールドパウダーBを使用して鋳造した上記成分の低炭素鋼(鋳造速度:1.8m/min、鋳片サイズ:260mm厚×1600mm幅)の表層下2mm位置でのモールドパウダー個数を調査した結果、モールドパウダーAの場合は12.5個/m2であるのに対し、モールドパウダーBでは1.2個/m2であった。
この結果から、本発明に係る、モールドパウダーの凝固シェルへの付着性評価方法は妥当であることが確認できた。
1 ステッピングモーター
2 ステッピングシリンダー
3 チルブロック
4 チルブロックホルダー
5 接続冶具
6 架台
7 制御部
8 鋼製電極
9 電極保持台
10 耐火物製ルツボ
11 加熱コイル
12 溶鋼
13 モールドパウダー
14 凝固シェル
15 モールドパウダー付着層

Claims (2)

  1. 下部の溶融金属と接触する部分は溶融状態であり、上部は未溶融状態であるモールドパウダーで被覆された溶融金属に浸漬したチルブロックを距離p押し下げた後に距離h(h<p)引き上げ、距離h引き上げることによってチルブロック表面に凝固した凝固シェルの上端部を前記モールドパウダー中に侵入させ、この一連の動きを1動作としてこの1動作を繰り返し行いながら所定深さまでチルブロックを押し下げ、その後、チルブロックを溶融金属上に引き上げ、チルブロック表面に形成された凝固シェルの冷却後、当該凝固シェル内部に捕捉されたモールドパウダーの量を調査することによりモールドパウダーの凝固シェルへの付着性を評価することを特徴とする、モールドパウダーの凝固シェルへの付着性評価方法。
  2. ステッピングモーターと、該ステッピングモーターにより上下方向に移動するステッピングシリンダーと、該ステッピングシリンダーと同期して移動するチルブロックと、を備えた連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置であって、前記チルブロックは、前記ステッピングモーターにより、モールドパウダーで被覆された溶融金属中に距離p押し下げられた後に距離h(h<p)引き上げられ、距離h引き上げることによってチルブロック表面に凝固した凝固シェルの上端部を前記モールドパウダー中に侵入させ、この一連の動きを1動作としてこの1動作を繰り返し行いながら所定深さまで押し下げられ、その後、溶融金属上に引き上げられるように構成されていることを特徴とする連続鋳造鋳型内凝固模擬試験装置。
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