JP2011220933A - 管路内耐火物の残厚推定方法 - Google Patents

管路内耐火物の残厚推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温ガスの管路内部に配設されている耐火物の残厚測定を容易に且つ精度よく実施することで耐火物の更新・交換時期の最適化により該耐火物のコストを低減させるとともに耐火物の脱落・劣化判定のための作業者の負荷を低減させることが可能な高温ガス管路内耐火物の残厚推定方法を提供するものである。
【解決手段】管路表面と管路内部の耐火物の位置に、それぞれ管路のガス流れ方向に温度を測定する光ファイバーを設け、光ファイバーにより測定した管路表面の温度、光ファイバーにより測定した内部の耐火物の位置での温度、測定した管路内ガス温度、既知の鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離、既知の放熱量から耐火物の残厚を演算する管路内耐火物の残厚推定方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱風炉、熱風炉配管など耐火物が内張りされた高温ガス管路内耐火物の残厚推定方法に関する。
例えば、高温ガスの管路である熱風炉本体から高炉本体へ熱風を送風する熱風本管において、熱風炉で発生させた高温ガスの保温のため該管炉の内部へ耐火物(レンガ+保温材)が配設されている。
この耐火物は、長期間の操業で脱落・劣化し残厚が減少する。かかる残厚の保守・点検について、現状、高炉操業時は、日常の管路の外見からの異常有無点検などにより劣化診断が実施されている。そのため、点検者の負荷が大きく、また劣化判定の精度が低いため、従来、前記耐火部の更新・交換を、早めに実施している。そのため、当該耐火物のコストが高くなっている。
ここで、炉体の鉄皮表面の溶接個所及び鉄皮の劣化、炉内の耐火物(レンガ+保温材)の脱落等を検知する従来技術として、例えば、特許文献1には、熱風炉の鉄皮表面に光ファイバーを敷設し、光ファイバーに入射させたパルス光のラマン後方散乱光強度とその戻るまでの時間から、光ファイバーの敷設域の温度分布を測定し、熱風炉の鉄皮全域の温度分布を監視して、その異常を感知することが開示されている。
特平5−332850号公報
しかしながら、前記の技術では、内部の耐火物の残厚の測定は不可能であり、当該技術を熱風本管に適用した場合、最悪の場合には、外部の鉄皮温度が局部的に高温となるまで操業が続けられ、熱風本管の損耗などにつながり、高炉の操業が停止し、生産性が大幅に低下することにもなる。
そこで、本発明は、高温ガスの管路内部に配設されている耐火物の残厚測定を容易に且つ精度よく実施することで耐火物の更新・交換時期の最適化により該耐火物のコストを低減させるとともに耐火物の劣化判定のための作業者の負荷を低減させることが可能な高温ガス管路内耐火物の残厚推定方法を提供するものである。
本発明の管路内耐火物の残厚推定方法は、管路表面と管路内部の耐火物の位置に、それぞれ管路のガス流れ方向に温度を測定する光ファイバーを設け、光ファイバーにより測定した管路表面の温度、光ファイバーにより測定した内部の耐火物の位置での温度、測定した管路内ガス温度、既知の鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離、既知の放熱量から耐火物の残厚を演算する。
耐火物の残厚(L0=L1+L2)の演算は次式により行う。
L2=(Ti−T1)/(T2−T1)×L1−L1
ただし、T1:管路表面の温度、T2:内部の耐火物の位置での温度、L1:鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離、L2:内部の耐火物内の光ファイバーと耐火物の管路内表面までの距離、Ti:管路内ガス温度、L0:耐火物の残厚
熱風本管における耐火物の残厚自動監視方法が確立し、耐火物の残厚(劣化)精度が高くなり、前記耐火部の更新・交換を従来のように早めに実施することが皆無となったので、当該耐火物のコストが低くなった。
また、本方法の適用により、自動的に耐火物の残厚(劣化)監視が可能となり、点検者の負荷が皆無となった。
また、一般に、熱風本管中に流れる熱風温度監視は磁性管を用いた保護管を有する熱電対で測定されているが、熱風が高温かつ流速も早いため、保護管の折損等が生ずるため予備の熱電対を数本同一場所に設置していたが、本方式の利用により、熱電対の破損時の熱風温度測定が可能となり、予備の熱電対の設置が不要となる。
また、本発明の方式を利用することで、耐火物温度と耐火物残厚から耐火物表面(熱風側)温度を推定し、破損時の熱風温度測定が可能となる。
本発明の測定箇所の一例を示す図である。 1点測定の場合における図1のA−A線断面での光ファイバーの配置図である。 複数点測定の場合の光ファイバーの配置図である。 管路の耐火物残存距離の計算のための説明図である。
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、実施例では、高炉設備の熱風本管について説明しているが、本発明は、これに限られることがなく、他の適用例として、例えば、非鉄溶鉱炉、電気炉、ガラス溶解炉、鉄鋼用加熱炉等の熱風管路及び排ガス管路などの高温ガスの管路の内部に耐火物を設置しているものについて、種々活用が可能である。
図1において、熱風炉1の熱風は熱風本管2を経て高炉3の羽口ヘッダー4へ送られる。熱風温度は1100℃〜1300℃の高温であるため、熱風炉1、熱風本管2など内部は耐火物が内張りされている。図2では、鉄皮5の内側にキャスタブル6、断熱レンガ7、耐火レンガ8が順に内張りされている。
図2において、管路表面の鉄皮の温度を測定する温度計として光ファイバー9が鉄皮表面に配置され、内部の耐火物の位置での温度を測定する温度計として光ファイバー10が断熱レンガ内に配置される。管路内ガス温度は熱電対温度計11で測定される。
耐火物に設ける光ファイバー10の位置は、光ファイバー耐熱温度内になるような位置にする。光ファイバー10が設けられる耐火物には、耐火物の製造時、予め光ファイバー10が埋め込まれる孔12を形成され、光ファイバーを配置した後、キャスタブル13で塞ぐ。光ファイバー9,10の配置は、図2に示すように1点に設けたりあるいは図3に示すように精度を向上させるために数点設けたりすることができる。
図4により、管路の耐火物残存距離の計算方法(実際は球面多層であるが平面1層として)について説明する。
まず、放熱量Qを鉄皮表面の光ファイバーで測定した管路表面の温度T1、耐火物内の光ファイバーで測定した内部の耐火物の位置での温度T2、鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離L1、熱伝導率λより次の式から放熱量Qを求める。T1、T2、L1及びλはいずれも既知である。
Q=(T2−T1)/(L1/λ)
次に、管路内ガス温度Tiは測定により既知であるから、耐火物残厚L0及び内部の耐火物内の光ファイバーと耐火物の管路内表面までの距離L2と放熱量Qとの間に次式が成り立つ。
Q=(Ti−T1)/(L/λ)=(Ti−T1)/{(L1+L2)/λ}
この式からL2は、次式で推定できる。
L2=(Ti−T1)/(T2−T1)×L1−L1
こうして、耐火レンガの厚みを監視することが可能となる。
また、破損前の熱風温度Tiは以下の手順により求めることができる。
図3において、まず、放熱量QをT1及びT2より、次の式から求める。
Q=(T2−T1)/(L1/λ)
もし、耐火物内の光ファイバーが破損した場合は、破損前のL0を記憶しており、それを用いて、
Q=(Ti−T1)/(L0/λ)
であるから、熱風温度Tiは
Ti=L0×Q/λ+T1
から求めることが可能となる。耐火物温度と耐火物残厚から耐火物表面(熱風側)温度を推定し、破損時の熱風温度測定が可能となる。
1:熱風炉
2:熱風本管
3:高炉
4:羽口ヘッダー
5:鉄皮
6:キャスタブル
7:断熱レンガ
8:耐火レンガ
9:鉄皮表面の光ファイバー
10:耐火物に埋め込まれている光ファイバー
11:熱電対温度計
Q:放熱量
T1:管路表面の温度
T2:内部の耐火物の位置での温度
L1:鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離
L2:内部の耐火物内の光ファイバーと耐火物の管路内表面までの距離
Ti:管路内ガス温度

Claims (3)

  1. 管路表面と管路内部の耐火物の位置に、それぞれ管路のガス流れ方向に温度を測定する光ファイバーを設け、光ファイバーにより測定した管路表面の温度、光ファイバーにより測定した内部の耐火物の位置での温度、測定した管路内ガス温度、既知の鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離、放熱量から、下記式により耐火物の残厚を演算することを特徴とする管路内耐火物の残厚推定方法。
    L2=(Ti−T1)/(T2−T1)×L1−L1
    ただし、
    T1:管路表面の温度
    T2:内部の耐火物の位置での温度
    L1:鉄皮表面の光ファイバーと内部の耐火物内の光ファイバーとの間の距離
    L2:内部の耐火物内の光ファイバーと耐火物の管路内表面までの距離
    Ti:管路内ガス温度
  2. 前記内部の耐火物に設ける光ファイバーの位置は、光ファイバー耐熱温度内になるような位置にすることを特徴とする請求項1に記載の管路内耐火物の残厚推定方法。
  3. 前記光ファイバーが設けられる耐火物には、耐火物の製造時、予め光ファイバーが埋め込まれる孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の管路内耐火物の残厚推定方法。
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