JP2009062600A - トピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に実施が可能であり、従来以上に確実にトピードカーの耐火物ライニングの厚さを検知して、耐火物ライニングの溶損度合いを判定できる、トピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法を提供すること。
【解決手段】トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さの判定方法であって、トピードカー内に溶銑を充填してからt1(時間)後、t2(時間)後(ただしt1<t2)にトピードカーの外壁温度T1(℃)、T2(℃)を測定し、該T1(℃)、T2(℃)の平均値であるT(℃)と、外壁温度の時間変化δT(℃/時間)=(T2−T1)/(t2−t1)の絶対値である|δT|(℃/時間)が、それぞれ所定の値以下の場合を、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定することを特徴とするトピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さの判定方法であって、トピードカー内に溶銑を充填してからt1(時間)後、t2(時間)後(ただしt1<t2)にトピードカーの外壁温度T1(℃)、T2(℃)を測定し、該T1(℃)、T2(℃)の平均値であるT(℃)と、外壁温度の時間変化δT(℃/時間)=(T2−T1)/(t2−t1)の絶対値である|δT|(℃/時間)が、それぞれ所定の値以下の場合を、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定することを特徴とするトピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法を用いる。
【選択図】なし
Description
本技術は、製鉄所内で溶銑を運搬するために使用されるトピードカーに関し、トピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法に関するものである。
高炉で製造した溶銑を転炉などの製鋼設備に搬送する手段であるトピードカー(混銑車)は、内部に耐火物を施工したタンクを積載した貨車である。鉄道を使うため走行抵抗が小さく大量の溶銑を小さいエネルギーで搬送できることや、開口部が小さく大気中への熱放出が少ないので輸送時の温度低下が抑えられるなどのメリットがあり、製鉄業に広く利用されている。
一般にトピードカーの溶銑容器部分は、厚さ60mm程度の鉄皮で形成されているタンクと、タンクの内面に積み上げた耐火物の層からなる耐火物ライニングで形成されている。耐火物のライニングは、合計で300mm程度の厚さとなるように形成されている。この耐火物のライニングは、溶銑の熱放出を抑え溶銑温度の低下を防ぐことに加えて、鉄皮と溶銑が直接接触して鉄皮が溶融、破損し、溶銑がタンク外部に流出するのを防ぐという役割も果たしている。とりわけ、溶銑のタンク外部への流出は線路設備などを著しく破損し、操業を長期にわたって停止させる原因となるので、その防止は重要である。
ところでトピードカーを用いて溶銑の運搬を続けているうちに、高温の溶銑と接触する溶銑容器内部の耐火物には、溶損による厚さ低下や、熱履歴による局所的な破損が発生してしまう。したがって、溶損しにくい耐火物材質の選定や熱履歴を受けたときに熱応力の集中が起きないように耐火物を施工することは、上述した溶銑の流出を防止するために重要である。また、溶銑の運搬中の突発的な溶銑流出を予防するためにも、内部の耐火物ライニングの厚さを検知し、著しくその厚さが低下していた場合は、速やかにその使用を中止するようにすることも重要である。
しかしながらトピードカーは、開口部が一部にしかないので外部から内部の耐火物ライニングの状態を監視することは極めて困難である。そのうえ、溶銑の運搬時の内部温度は常時600℃以上となっているために溶銑容器内部に入っての検査や計測装置を用いた厚さ変化の追跡も困難であるという問題がある。
このような問題を解決する方法として、たとえば、特許文献1にはレーザー光を用いた内面プロフィール測定装置が紹介されている。しかしながら、この装置ではレーザー装置などの耐熱性に課題があるため、一旦トピードカー内部を冷却した状態で無ければ測定できないという課題がある。
また、特許文献2では、混銑車の湯あたり部におけるライニングの溶損状況を、レーザー距離計を用いて測定する測定方法が紹介されている。しかしながら、この方法でも開口部近辺しかライニング厚さを測定することが出来ず、耐火物ライニングの状態監視という目的に照らし合わせて不十分なものである。
また、特許文献3においては、高炉の出銑樋の溶損状況を調べるために樋付近に光ファイバーを設置する方法が紹介されている。しかし、光ファイバーの施工が困難であり、また使用中の破損が発生しやすく、その上測定装置が大きいなどの課題があり、この方法をトピードカーのように移動する対象に適用するのは困難である。
この他に、特許文献4、特許文献5などでは、抵抗線などのセンサーをトピードカー耐火物内に埋設し、操業時、その信号を測定することによりライニングの溶損を把握する方法が紹介されている。この方法は、上述の光ファイバーを用いる方法よりは測定装置が小さくなるというメリットはあるが、それでも依然として施工が困難でまた使用中の破損が発生しやすいという課題がある。
そのため通常は、定期的にトピードカーの使用を順次中止して、耐火物を再施工するなどの方法がとられている。しかしながら、この方法では耐火物ライニングの厚さが十分であるのに再施工している場合や、その反対に局所的に破損が進行し溶銑が流出してしまったりする場合などがある。そのため耐火物ライニングの厚さが所定値以上であることを実測する手法の開発が望まれていた。
このような課題を解決する手法としてトピードカーの外壁温度をサーモビューアーによって監視し、その温度が一定値以上(たとえば350℃以上)になった場合に、耐火物ライニングの厚さが薄くなったと判断する方法が開発されている(例えば、特許文献6参照。)。この方法と定期的な補修作業とを組み合わせることにより、耐火物ライニングの溶損による溶銑の流出は、かなりの程度まで防止することが可能となっている。
特開昭58−37507号公報
特開2005−337922号公報
特開2005−256099号公報
特開昭57−139284号公報
特開平1−129103号公報
実開平5−54529号公報
特許文献6に記載の方法を用いる場合、トピードカーの外壁温度は受銑してから測定するまでの時間、溶銑温度や外気温の影響を受け易く、外壁温度をサーモビューアーによって監視するにあたってはその影響を考慮した判定基準を設定する必要がある。しかしながら、多種多様に変化する環境に対して判定基準を設定することはきわめて困難であり、そのため判定基準が厳しくなりすぎて耐火物ライニングの厚さが十分な状態であったにもかかわらず耐火物ライニングの厚さを基準以下と判定する事態や、反対に基準が緩くなりすぎて検知が遅れ、その結果トピードカーから溶銑が漏れるなどの事態の発生が不可避である。
そのため、より確実に耐火物ライニングの厚さが基準値以下となったことを検知できる、より合理的な判定方法の開発が求められている。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、容易に実施が可能であり、従来以上に確実にトピードカーの耐火物ライニングの厚さを検知して、耐火物ライニングの溶損度合いを判定できる、トピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法を提供することにある。
まず本発明者らは、上記の課題を解決するに当たってトピードカーの外壁温度と使用履歴との関係を詳細に調査した。その結果、トピードカーの外壁温度は使用回数が重なるに従って、外壁温度が全体的に上昇する傾向があることを把握した。さらに外壁温度の変化を詳細に調査した結果、その外壁温度の変化はトピードカー内部の溶銑の有無によって時間変化することを把握し、さらにその外壁温度の時間変化の大きさがトピードカーの使用回数と相関があることを見出した。そこで本発明者らは、使用回数とその時間変化の大きさの関係は、使用回数が多くなることによって耐火物の厚さが変化することによるのではないかと推定した。そこでそれを検証するために、耐火物ライニングの厚さを変えたトピードカーを作製し、外壁温度の時間変化を詳細に調査した。その結果、外壁温度の時間変化は、耐火物ライニングの厚さと密接な関係があることを見出した。本発明は、これらの知見をさらに鋭意検討した結果なされたものである。
すなわち、本発明は、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上の状態であるのかを判定する、溶損度合いの判定方法であって、その判定をトピードカー内に溶銑を充填してからt1(時間)後ならびにt2(時間)後(ただし、t1<t2)にトピードカーの外壁温度T1(℃)、T2(℃)を測定し、T1(℃)、T2(℃)を平均した値であるT(℃)=(T1+T2)/2及び、外壁温度の時間変化δT(℃/時間)=(T2−T1)/(t2−t1)の絶対値である|δT|(℃/時間)を用いて行なうものであり、Tおよび|δT|が、それぞれ所定の値以下の場合を、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定するものである。
なお、本発明を適用するにあたっての好ましい一つの方法は、耐火物ライニングを施工して最初1回目から5回目までの使用時に測定された外壁温度の時間変化の絶対値を相加平均した値を|δT0|、ある任意の時点で測定された外壁の時間変化の絶対値を|δT|とするとき、T≦400、かつ|δT|/|δT0|<1.5の関係を満たす場合を、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定する方法である。
また、もう一つの好ましい方法は、耐火物ライニングの厚さの下限が150mmである場合は、T≦400、かつ|δT|≦25を満たす場合を、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上であり、トピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いが低いと判定する方法である。
これらの基準を元にして判定する場合は、たとえば(1)T≦400、かつ|δT|/|δT0|<1.5の関係を満たさない場合、(2)T≦400、かつ|δT|≦25を満たさない場合、あるいは、(3)前記(1)、(2)のいずれも満たさない場合は、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値未満であると判定する。この場合は、トピードカー内部の耐火物ライニングの補修等を行なうことになる。
本発明によれば、トピードカー内部の耐火物ライニングの損耗状況を適切に判断できるようになり、その結果、溶銑温度や外気温など環境の影響を受けることなく確実に耐火物ライニングの厚さが基準値以下となったことを検知できるようになる。
これにより、耐火物ライニングの損耗が進行していない状態で基準値以下と判定することがなくなり、トピードカーの補修コストを低減できる。また、損耗が著しく進行した状態であるにもかかわらず耐火物ライニングの損耗を検知できず溶銑の漏洩が発生するなどの事態を回避することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本発明は、トピードカー内に溶銑が充填されている状態で、トピードカーの外壁温度を測定した結果より、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが基準値よりも厚いか薄いかを判定する方法である。そして、本発明においてはトピードカーに溶銑を充填してからの経過時間である、受銑後経過時間t1(時間)ならびにt2(時間)(ただし、t1<t2)に、外壁温度T1(℃)、T2(℃)を測定し、T1とT2を算術平均して得られる平均値T(℃)=(T1+T2)/2と、そのときの温度の時間変化δT(℃/h)=(T2−T1)/(t2−t1)を求め、平均値T(℃)および温度の時間変化δT(℃/h)の絶対値が、所定の値以下の場合に、耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定することを特徴とする。
例えば、一般的なトピードカー、すなわち内部の耐火物ライニングが、比較的熱伝導性が高いが耐溶損性に優れた材質で構成されるワーク耐火物で構成される部分と、熱伝導性が低く鉄皮への伝熱を抑制するのに有効な永久耐火物で構成される部分に分かれているトピードカーであれば、T≦400、かつ|δT|/|δT0|<1.5の関係を満たさない場合、あるいはT≦400、かつ|δT|≦25という関係を満たす場合に、耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定することができる。
まず、本発明の重要な要素であるトピードカーの外壁温度の測定について説明する。
外壁温度の測定方法としては、トピードカーの外壁に温度を測定する部材、例えば熱電対や小型の温度計などを直接接触させて測定する方法、サーモグラフなどトピードカーの外壁から輻射される電磁波を検出することによって非接触で測定する方法などがあるが、本発明においては、そのいずれの方法を用いても構わない。もちろん、それ以外の方法であってもトピードカーの外壁温度が評価できるのであれば、その方法を用いても構わない。特に、非接触での測定方法は、トピードカーとの触車、噴出した溶銑との接触などによる測定作業者の受傷を原理的に防止することが可能であるため、作業者の安全上好ましい。このように非接触で温度を測定する方法としては、上述したサーモグラフなどの方法が挙げられる。
ところで、一般的にトピードカーの外壁温度には温度分布が存在する。したがって、温度の測定は複数箇所で行うことが好ましい。複数箇所の温度を測定した場合、測定温度として、平均温度を採用する方法、最大温度を採用する方法、あるいは所定の場所を決め、それを代表温度として採用する方法、あるいは分布から計算される、それ以外の値を採用する方法などがあるが、本発明に於いては、いずれの方法で求められる温度を用いても構わない。一般に耐火物ライニングの厚さが薄くなると、その近くの外壁温度は周囲よりも高くなる傾向がある。そのため。最大温度を外壁温度とすると局所的な耐火物ライニングの厚さの変化を検知することが可能となる。したがって、本発明ではトピードカーの外壁温度として最大温度を用いることが好ましい。
なお、本発明では、トピードカーの外壁温度の測定は溶銑が充填されている間の任意の時点に行えばよいが、受銑直後には測定を行なわないことが好ましい。トピードカーに溶銑が入っていないと、内部の耐火物ライニングの温度は徐々に低下していく。溶銑を投入した直後は、溶銑から放出される熱が耐火物ライニングの温度を再び上昇させるために消費されてしまうので、外壁温度の変化が耐火物ライニングの厚さに関係なく小さくなる傾向がある。そのため、内部の耐火物ライニングの厚さが基準値以上であるかを判定するためには、温度を高精度で測定する必要がある。しかしながら、トピードカーは屋外で使用されるため、風向き、天候などの影響によって、同一条件でも若干温度が変化する傾向があり、温度を高精度に測定するには多大な労力を要するため、好ましくない。そこで、本発明を適用するに当たっては、トピードカーの外壁温度の測定を行なう受銑後経過時間t1ならびにt2は、いずれもt1≧0.5(時間)、t2≧0.5(時間)とすることが好ましい。また、トピードカーの外壁温度の変化は比較的緩慢である。したがって、測定間隔、すなわちδt(時間)=t2−t1を小さくした場合も、上述した場合と同様に温度を高精度で測定する必要が生じる。したがって、上述と同様の理由でδtが小さいことは好ましくない。そこで、本発明を実施する際には、δt(時間)は0.15(時間)以上とすることが好ましい。なお、t1、t2は、トピードカー内部の溶銑を排出する時点の受銑後経過時間よりも小さい値であり、さらに上述のt1≧0.5(時間)、t2≧0.5(時間)かつ、δt(時間)=t2−t1≧0.15(時間)の関係を満たすのであれば、いずれの値をとっても構わない。なお、本発明に於いては温度の測定を3回以上行って、上述と同様に平均温度ならびに温度変化を求めた場合においても、勿論有効である。
次に、本発明に於いて、耐火物の厚さが基準値を上回っていると判定するにあたって、トピードカーの外壁温度の測定値を算術平均した値T(℃)と、温度の時間変化δT(℃/時間)=(T2−T1)/(t2−t1)の絶対値|δT|を用いた理由を説明する。
まず、平均温度を用いることと、その上限値として400℃以下が好ましいとした理由について説明する。一般にトピードカーの鉄皮と呼ばれる材料には炭素鋼が用いられているが、炭素鋼は400℃付近から急速に強度が低下する。鉄皮の強度低下は、内部の溶鋼静圧や移動時の衝撃などにより鉄皮を変形させ、ひいては内部耐火物の変形、脱落を引き起こし、最終的には溶銑と鉄皮の接触による溶銑漏れの原因を引き起こす危険性があるので、一般に外壁温度400℃程度を設計上限温度としている。そこで本発明に於いては、判定基準の一つとして鉄皮の平均温度が400℃以下を適用することが好ましい。なお、本発明に於いては特に下限温度は規定しないが、サーモグラフィを用いる場合、使用環境、内部の耐火物施工の状況にも依存するが、150℃から250℃が実用的な下限となる。
次に、本発明に於いて、耐火物の厚さが基準値を上回っていると判定するにあたって、トピードカーの外壁温度の時間変化をδT(℃/時間)を用いた理由を説明する。なお、本発明の特徴は、従来は外壁の平均温度のみで判定していたのに対して、温度の時間変化を加えて判定するようにしたことにあり、この結果、測定環境、操業条件、測定条件などの因子の影響を排除して、的確にトピードカー内部の耐火物の厚さが基準値以上となっていることが判定できるようになった。もう一つの判定基準である外壁温度の平均値は、温度の時間変化を加えて判定することで、従来よりも高い値に設定することが可能となっている。
トピードカー外壁の温度は、溶銑からの放熱量、耐火物ライニングの伝熱量、トピードカー外壁からの抜熱量の総和によって決定され、特に耐火物ライニングの伝熱量がトピードカー外壁の温度変化に与える影響は大きい。ところで、耐火物ライニングの伝熱は、耐火物の材質に加え、その厚さに強く影響され、耐火物ライニングが厚いほど伝熱量は小さくなるので、耐火物ライニングの厚さが基準値以上にあることを判定するのに適した量である。また、実操業程度の時間間隔では、溶銑からの放熱、トピードカーの外壁からの抜熱はほぼ一定とみなせるので、トピードカー外壁の温度変化は、耐火物ライニングの伝熱量の大きさを反映している。さらにトピードカー外壁の平均温度は、たとえば天候条件やトピードカー内部の溶銑温度、流動状況などの影響を強く受けてしまうのに対して、温度変化はそれらの影響が打ち消されるという特徴がある。そこで、本発明では厚さを測定する手法としてトピードカーの外壁の温度変化|δT|を採用している。
次に、好ましい判定基準として、|δT|/|δT0|<1.5の関係を満たさない場合、あるいは|δT|が25℃/時間以下の場合と規定したことについて説明する。本発明者らは、トピードカーの操業サイクル、一回の輸送量、経済的な内部耐火物の施工方法を鋭意検討し、さらにいくつかのケースについて温度変化と耐火物ライニングの厚さの関係を鋭意調査した。その結果、ワーク耐火物と永久耐火物から構成される一般的なトピードカーにおいて、ワーク耐火物の厚さがおおよそ1/4を下回ると、急速に溶損が進むことが判明した。これは、ワーク耐火物が薄くなるために永久耐火物に作用する温度が高くなって、その結果、使用時の熱サイクルによる熱応力が過大となり破損がしやすくなることと、局部的なワーク耐火物の溶損が進んだ部分が出来、その部分で永久耐火物と溶銑が接触し、急激に溶損が進むという二つの機構が存在すると推定している。したがって、本発明者らはこの知見にもとづいて、耐火物ライニングの厚さの下限値を150mm程度として、さらに観察を進めた。その結果、耐火物ライニングの厚さが150mm以上である場合、温度変化は25℃/時間以下であることを見出した。そこで、本発明において、好ましい耐火物ライニングが所定値以上の厚さであることを判定する基準として、|δt|≦25℃/時間以下を規定した。
さらに、検証を進めたところ、ライニングに用いる耐火物の構成や厚さを変更して|δT|の大きさが変わった場合であっても、ワーク耐火物の損耗が初期に対して大よそ1/4程度であれば|δT|/|δT0|<1.5なる関係が成立していることを見出した。そこで、本発明では、好ましい耐火物ライニングが所定値以上の厚さであることを判定する基準として、|δT|/|δT0|<1.5を規定した。
なお、本発明では|δT|の下限値は特に規定しないが、実用的な耐火物の施工条件を考慮すると、5℃/時間以上が実用的な下限となる。
以上説明した、本発明による基準を適用してトピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いを判定することにより、耐火物ライニングの損耗状況を適切に判断できるようになり、その結果、溶銑温度や外気温など環境の影響を受けることなく確実に耐火物ライニングの厚さが基準値以下となったことを検知できるようになる。その結果、耐火物の損耗が進行していない状態で基準値以下と判定する、反対に損耗が著しく進行した状態であるにもかかわらず耐火物の損耗を検知できず溶銑の漏洩が発生するなどの事態を回避することが可能となる。
トピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定を、本発明方法と、従来技術とを用いて行なった。
使用開始時の耐火物ライニングの厚さが300mm、一回当たり450tの溶銑を移送可能なトピードカーに、溶銑を入れた場合について、耐火物ライニングの厚さが所定値以上であるかどうかの判定を行なった。なお、本トピードカーの耐火物ライニングの使用下限厚さは150mmである。外壁温度の測定は、トピードカー外壁をサーモグラフィで観察する方法によって行った。外壁温度に平均値を適用した場合と、最大値を適用した場合の2ケースについて判定を行なった。受銑する溶銑量は1チャージあたり350〜450t、溶銑の平均温度は1400℃であった。
表1に示すように、2回の外壁温度測定を行ない、受銑後経過時間t1(時間)の外壁温度T1(℃)、受銑後経過時間t2(時間)の外壁温度T2(℃)を測定し、平均温度T、外壁温度の時間変化|δT|、ならびにトピードカーそれぞれについて、ライニングを施工してから1回目から5回目までの外壁温度の時間変化の絶対値|δT|の相加平均値|δT0|を算出して、No.1〜8のケースについて本発明の方法で耐火物ライニングの厚さが所定値以上であるかを判定した。耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定した場合を○、所定値未満であると判定した場合を×として、表1に結果を併せて示す。また、比較として従来方法で外壁温度のみで耐火物ライニングの厚さを判定した結果、さらに、溶銑排出後にトピードカー内部の耐火物ライニングの厚さを実測して調査し、それを基に耐火物ライニングの厚さを判定した結果も表1に併せて示す。なお、従来方法での判定は、2回目の測定時の外壁温度(T2)を用いて行った。2回目の測定時の外壁温度(T2)が350℃超えとなった場合、ライニングの厚さが所定値を下回ったと判定した。
表1において、No.1〜4では、本発明方法を用いても従来方法を用いても判定結果は同じであり、実測判定結果と同じ正しい判定ができていることがわかる。しかし、No.5においては、実測判定は○であり、耐火物ライニングの厚さは所定値以上であるのに、従来方法では所定値以下の×と誤判定している。これに対して本発明方法を用いた場合は、正確に判定できていることがわかる。またNo.6においては、従来方法では所定値以上の○と誤判定しているが、本発明では×と正確に判定できていることがわかる。これらの結果から、平均温度に加えて温度変化を用いて判定することにより、より正確にトピードカーの耐火物ライニングの厚さが所定値以上であるかを判定できることが分かる。
No.7は、受銑後経過時間t1を0.5h以下、さらにδt=t2−t1を0.15h以下とした場合である。この場合の温度差(T2−T1)は3℃であったが、本発明方法を用いることによって判定は正確に行われていることがわかる。ただし、装置の精度維持のためにかかる時間やコストなどを考慮すると、No.1〜6と同様にt1、t2は0.5h以上とし、さらにδtを0.15h以上とした方が好ましい。
No.8は、外壁温度として、平均値ではなく最大値を用いて判定した結果である。本発明は、平均温度だけでなく最大温度を用いても有効であることが分かる。
Claims (1)
- トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さの判定方法であって、トピードカー内に溶銑を充填してからt1(時間)後、t2(時間)後(ただしt1<t2)にトピードカーの外壁温度T1(℃)、T2(℃)を測定し、該T1(℃)、T2(℃)の平均値であるT(℃)と、外壁温度の時間変化δT(℃/時間)=(T2−T1)/(t2−t1)の絶対値である|δT|(℃/時間)が、それぞれ所定の値以下の場合を、トピードカー内部の耐火物ライニングの厚さが所定値以上であると判定することを特徴とするトピードカー内部の耐火物ライニングの溶損度合いの判定方法。
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