JP6900738B2 - 溶融金属漏洩防止装置及び溶融金属漏洩防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉における溶融金属漏洩防止装置及び溶融金属漏洩防止方法に関する。
銅製錬の乾式工程では、一般的に自熔炉等の熔錬炉で硫化銅(Cu2S)と硫化鉄(FeS)とを主成分とする硫化物(カワ)が生成される。このカワは転炉に供給され、転炉において吹錬することによって粗銅が生成される。つまり、転炉内では、造カン期においてカワ中の硫化鉄がスラグ(カラミ)として除去され、造カン期で発生した白カワは造銅期において粗銅になる。
転炉は、その容器自体は鉄皮と呼ばれる鉄等の金属で形成されており、この鉄皮の内面には耐火物が設けられている。鉄皮は金属であるためカワ等の溶鋼と接触すると損傷するので、耐火物によってカワ等の溶鋼が鉄皮と直接接触することを防止している。
ここで、転炉では、転炉を傾転させながら複数の工程が実施されるが、転炉の傾転に合わせて比重の大きい溶鋼が揺動するので、この溶鋼の揺動に起因して転炉の鉄皮に内張りされた耐火物が損傷する可能性がある。また、工程毎に予め設定した位置に転炉が傾転すると耐火物は高温の溶鋼と比較的低温の空気またはガスに交互に繰返し晒される状態になるため、ヒートショックにより耐火物が損傷する可能性がある。さらに、溶鋼の含有成分やカラミを生成するために添加する溶剤による化学的侵食、侵食された耐火物と無変質の耐火物との熱膨張率の相違等の様々な要因によっても耐火物は損耗する。
耐火物に損耗が生じると、損傷した個所から耐火物に溶鋼が侵入することがあり、侵入した溶鋼が鉄皮に接触すれば鉄皮の温度が上昇して鉄皮の機械的強度が大きく低下する。このように鉄皮の機械的強度が低下すると、転炉内部の溶鋼から受ける圧力に鉄皮が耐えられなくなり、溶鋼が鉄皮から漏洩する恐れがある。
溶鋼が漏洩した場合、溶鋼は非常に高温であるので危険であり、周辺機器を損傷する可能性が高い。そして、溶鋼が漏洩した状態から設備を操業できる状態まで復旧するには長期間を要するので生産効率が低下する。したがって、転炉において溶鋼の漏洩が生じる可能性を早期に発見し漏洩を防止することは、設備を安全に稼働するため、また、設備の生産効率を向上する上で重要な課題である。
従来、転炉の鉄皮から溶鋼が漏洩することを防止するために、作業者がハンディタイプの赤外線放射温度計で鉄皮の温度を測定することが行われている。
また、転炉ではないが、転炉と同様に鉄皮内部に耐火物が内張りされた取鍋において、鉄皮から溶鋼が漏洩することを防止する技術が開発されている(特許文献1)。
特許文献1には、溶鋼を収容した取鍋の鉄皮の温度を赤外線放射温度計で測定し、測定温度に基づいて取鍋から溶鋼が漏洩することを防止する措置を実施する技術が開示されてる。具体的には、取鍋の鉄皮の温度を測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が予め設定したそれぞれの閾値以上である場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加することによって溶鋼漏洩を防止する。また、特許文献1には、取鍋の鉄皮に赤熱のある場合には溶鋼の処理を中止して取鍋から溶鋼を排出する方法も記載されている。
特開2009−19249号公報
しかし、特許文献1の技術は、あくまでも取鍋の漏洩防止の技術であり、傾転装置を備えた転炉にそのまま適用することは困難である。転炉は、熔錬炉からのカワを受け入れ、カラミを形成するために溶剤を添加し、空気または酸素富化空気を吹き込み、粗銅を排出するといった一連の工程を有しており、各工程に適した位置に炉を傾転させる。このため、溶鋼を受け入れて搬送され傾けて溶鋼を排出するだけの取鍋の技術を、各工程に適した位置に炉を傾転させる転炉にそのまま適用することは困難である。
本発明は上記事情に鑑み、転炉外面の損傷を簡便に検出し転炉の外面から溶融金属が漏洩することを防止できる溶融金属漏洩防止装置及び溶融金属漏洩防止方法を提供することを目的とする。
溶融金属漏洩防止装置)
第1発明の溶融金属漏洩防止装置は、転炉の外面から溶融金属が漏洩することを防止する装置置であって、前記転炉の外面の温度を非接触で測定する温度測定部と、前記温度測定部の測定結果と前記転炉の傾転角度とに基づいて前記転炉の作動を制御する制御部と、を備えており、該制御部は、前記温度測定部の測定結果に基づいて前記転炉の外面における異常個所を特定する損傷個所特定部と、該損傷個所特定部によって検出された異常個所が前記転炉内の湯面よりも上方に位置させる前記転炉の傾転角度を算出する傾転角度算出部と、該傾転角度算出部からの信号に基づいて前記転炉を傾転させる傾転指示部と、を備えていることを特徴とする。
第2発明の溶融金属漏洩防止装置は、第1発明において、前記温度測定部は、該温度測定部の測定領域が、前記転炉において湯面が存在する領域と対応する外面全面を含むように配設されていることを特徴とする。
第3発明の溶融金属漏洩防止装置は、第1または第2発明において、前記転炉の基準姿勢に対する傾転角度を測定する傾転角度検出部を備えており、前記制御部は、前記傾転角度検出部が検出する前記転炉の現在の傾転角度に基づいて前記転炉を傾転させる傾転角度を算出することを特徴とする。
第4発明の溶融金属漏洩防止装置は、第1、第2または第3発明において、前記制御部は、前記転炉の外面における異常個所の温度が所定の温度を超えた場合に、または、前記転炉の外面における異常個所の温度上昇割合が所定の割合を超えた場合に、警報情報を発信する警報発信部を備えていることを特徴とする。
溶融金属漏洩防止方法)
第5発明の溶融金属漏洩防止方法は、転炉の外面から溶融金属が漏洩することを防止する方法であって、転炉の外面の温度を非接触で測定して、温度測定結果と転炉の傾転角度とに基づいて転炉の外面における異常個所を特定し、検出された異常個所が転炉内の湯面よりも上方に位置するように転炉を傾転させることを特徴とする。
第6発明の溶融金属漏洩防止方法は、第5発明において、転炉において湯面が存在する領域と対応する外面全面の温度を測定して転炉の外面における異常個所を特定することを特徴とする。
第7発明の溶融金属漏洩防止方法は、第5または第6発明において、転炉の外面における異常個所の温度が所定の温度を超えた場合に、または、転炉の外面における異常個所の温度上昇割合が所定の割合を超えた場合に、警報情報を発信することを特徴とする。
溶融金属漏洩防止装置)
第1発明によれば、転炉の外面における損傷が特定されると、異常個所が転炉内の湯面よりも上方に位置するように転炉を傾転させるので、損傷が広がることを防止することができる。
第2発明によれば、転炉の外面における損傷の検出漏れを防止することができる。
第3発明によれば、転炉の傾転角度を正確に把握できるので、損傷の拡大を適切に防止できる。
第4発明によれば、警報情報の発信によって作業者に転炉外面等の異常を通知できるので、迅速に溶融金属漏洩などに起因する危険を回避するとともに、状況を把握して対策を講じることができる。
溶融金属漏洩防止方法)
第5発明によれば、転炉の外面における損傷が特定されると、異常個所が転炉内の湯面よりも上方に位置するように転炉を傾転させるので、損傷が広がることを防止することができる。
第6発明によれば、転炉の外面における損傷の検出漏れを防止することができる。
第7発明によれば、警報情報の発信によって作業者に転炉外面等の異常を通知できるので、迅速に溶融金属漏洩などに起因する危険を回避するとともに、状況を把握して対策を講じることができる。
本実施形態の溶融金属漏洩防止装置10を備えた転炉1の概略説明図である。 本実施形態の溶融金属漏洩防止装置10の概略ブロック図である。 鉄皮2aの異常個所abを発見した場合における転炉1の作動状況の概略説明図である。 転炉1の作業において溶鋼Mと耐火物2bの接触状態の概略説明図であって、(A)は転炉1が溶鋼M(カワ)を受け入れる作業の説明図であり、(B)は転炉1において吹錬を行う作業の説明図であり、(C)は転炉1が溶鋼M(粗銅)を払出する作業の説明図である。
本実施形態の溶融金属漏洩防止装置は、転炉の損傷により溶融金属が漏洩を防止する装置であって、転炉の外面の損傷を迅速に把握でき損傷の拡大を防止できるようにしたことに特徴を有している。
本実施形態の溶融金属漏洩防止装置は、例えば、銅製錬の乾式工程や鉄鋼及び非鉄金属等の熔融製錬等の吹錬工程に用いられる転炉の損傷防止装置に使用することができる。
以下、本実施形態の溶融金属漏洩防止装置10について説明するが、まず、本実施形態の溶融金属漏洩防止装置10を適用する転炉1の構造および転炉1で実施する作業を簡単に説明する。なお、以下では、溶融金属を溶鋼という場合がある。
(転炉1の構造)
図1において符号1は転炉を示している。転炉1は、炉体2と、炉体2を傾転させる傾転装置5と、を備えている。
図1に示すように、炉体2は、内部に溶鋼Mを保持するための中空な収容空間2hを有する略円筒状に形成された構造物である。この炉体2は、その中心軸が水平かつその中心軸周りに回転可能に設けられている。そして、この炉体2には、その側面に炉体2内に溶鋼Mを供給するために開口2sが形成されている。また、炉体2には、収容空間2h内に酸素を吹き込む吹込み管Fが設けられている(図1(B))。
また、炉体2は、傾転装置5によってその中心軸周りに回転可能に設けられている。つまり、炉体2の外周面にはギア6が設けられており、このギア6にピニオンギア7が噛み合ている。このピニオンギア7は減速機9を介してモータ等の駆動源8に接続されている。このため、駆動源8を駆動するとピニオンギア7が回転し、ピニオンギア7の回転力によってギア6を介して炉体2がその中心軸周りに回転する。つまり、傾転装置5によって、炉体2を、所定の方向に所定の量(回転角度)だけ傾転させることができる。
かかる構造を有する転炉1では、以下のような作業が実施される。
<溶鋼M(カワ)の受け入れについて>
まず、図4(A)に示すように、熔錬炉で生成された溶鋼M(カワ)は、取鍋Tに充填されて天井クレーン設備等の搬送設備で転炉2まで搬送される。このとき、傾転装置5によって炉体2は、開口2sが溶鋼M(カワ)の受け入れに適した位置に傾転されており、取鍋Tから開口2sを通して溶鋼M(カワ)が炉体2の収容空間2hに投入される。
<吹錬について>
図4(B)に示すように、溶鋼M(カワ)が炉体2の収容空間2hに投入されると、吹込み管Fから酸素富化酸素を供給して吹錬作業が実施され、粗銅が生成される。このとき、炉体2は、傾転装置5によって開口2sが吹錬作業に適した位置にとなるように傾転される。
<溶鋼M(粗銅)の払出について>
図4(C)に示すように、吹錬作業によって溶鋼M(粗銅)が生成されると、吹錬作業が終了し溶鋼M(粗銅)の払出作業が実施される。この払出作業では、炉体2の近傍に取鍋Tを配置しておき、開口2sから溶鋼M(粗銅)が流れ出す状態になるまで、傾転装置5によって炉体2が傾転される。そして、全ての溶鋼M(粗銅)が払い出しされると、傾転装置5によって炉体2は溶鋼M(カワ)の受け入れに適した状態となるように傾転される。
(本実施形態の溶鋼漏洩防止装置10)
図1(B)に示すように、転炉1の炉体2は、その外殻を構成する鉄皮2aと、この鉄皮2aの内面に設けられた耐火物2bとを有する構造となっている。鉄皮2aは、通常、鉄やステンレスなどの金属によって形成されており、上述した溶鋼Mが接触すると損傷する。このため、溶鋼Mが直接接触しないようにするために、耐火物2bが鉄皮2aの内面に設けられている。
しかし、転炉1による作業を実施している間に耐火物2bが損傷して、鉄皮2aが溶鋼Mと接触して損傷してしまい、鉄皮2aから溶鋼Mが漏洩してしまう可能性がある。そこで、本実施形態の溶鋼漏洩防止装置10では、以下のような構成で炉体2の鉄皮2aの損傷を検査することによって、鉄皮2aから溶鋼Mが漏洩することを防止している。
(温度測定部20)
図1および図2に示すように、温度測定部20は、複数の温度センサー21を有している。この温度センサー21は、非接触で物体の温度(とくに表面の温度)を測定できるものである。例えば、サーモカメラや赤外線温度計等を採用することができる。なお、この温度センサー21が測定した温度測定の情報は、後述する制御部30に送信されるようになっている。
図1に示すように、複数の温度測定センサー21は、鉄皮2a表面において炉体2において溶鋼Mが存在する領域と対応する領域(以下、単に鉄皮2a表面の対応領域という場合がある)の温度を測定することができるように炉体2の周囲に配設されている。具体的には、図1に示すように、炉体2の両軸端部の温度を測定する温度センサー21a,21bと、炉体2の軸方向中央部の底部から炉体2の側面の温度を測定する温度センサー21c,21dと、を設ければ、鉄皮2a表面の対応領域をほぼ網羅して温度を測定することができる。
なお、温度測定部20は、複数の温度センサーによって炉体2の鉄皮2a表面のほぼ全体の温度を測定してもよい。例えば、図1であれば、上述した4つの温度センサー21a〜21dに加えて、炉体2の軸方向中央部の上部から炉体2の側面の温度を測定する温度センサーを設ければ、炉体2の鉄皮2a表面のほぼ全体の温度を測定することができる。しかし、上述したように、鉄皮2a表面の対応領域の温度を測定することができるようになっていれば、溶鋼Mの漏洩を効果的に防止することができる。これは、炉体2の鉄皮2aの損傷は高温の溶鋼Mが直接接触している場合に生じるので、炉体2において溶鋼Mが存在しない領域では鉄皮2aの損傷は生じないからである。
また、上記例では、温度センサー21を4か所設けた場合を説明したが、温度センサー21を設ける数はとくに限定されない。例えば、非常に広域を測定できる温度センサーを使用するのであれば温度センサー21は3つでもよい。また、より精度よく鉄皮2a表面の温度を測定するのであれば、温度センサー21は5つ以上設けてもよい。
(制御部30)
本実施形態の溶鋼漏洩防止装置10は、転炉1の作動を制御する制御部30を備えている。この制御部30は、損傷個所特定部31と、傾転角度算出部32と、傾転指示部33と、傾転角度検出部35と、を備えている。
まず、図1および図2に示すように、制御部30には、温度測定部20の複数の温度センサー21が電気的に接続されている。つまり、制御部30には、温度測定部20の複数の温度センサー21からの情報(温度測定結果の情報)が送信されるようになっている。
また、制御部30は、転炉1の炉体2の傾転角度を測定する傾転角度検出部35を備えている。この傾転角度検出部35は、転炉1の炉体2の傾転角度、例えば、炉体2の基本となる姿勢(図4(A)に示すような溶鋼M(カワ)を受け入れる姿勢等)を基準として、その角度に対してどちらの方向にどの程度炉体2が傾転しているかを検出する機能を有している。なお、傾転角度検出部35は、転炉1と別に設けてもよいが、転炉1の傾転装置5が有している角度センサ、例えば、ロータリーエンコーダ等を使用することができる。
(損傷個所特定部31)
損傷個所特定部31は、転炉1の炉体2の外面、つまり、鉄皮2aの異常個所を検出する機能を有している。具体的には、損傷個所特定部31は、温度測定部20の複数の温度センサー21からの情報および傾転角度検出部35が検出する転炉1の炉体2の傾転角度に基づいて、鉄皮2aの異常個所を検出する機能を有している。
(異常判断機能)
この損傷個所特定部31は、温度測定部20の複数の温度センサー21からの情報に基づいて、鉄皮2aの異常個所の有無を判断する機能(異常判断機能)を有している。鉄皮2aの異常個所の有無を判断する方法は特に限定されない。例えば、温度センサー21が測定した領域内に所定の温度以上の領域が存在するか否か、また、温度上昇速度が所定の速度以上となっている領域が存在するか否かによって、鉄皮2aの異常個所の有無を判断することができる。
(位置特定機能)
また、損傷個所特定部31は、異常判断機能によって異常個所を発見した場合に、異常個所を特定する機能(位置特定機能)を有している。位置特定機能では、損傷個所特定部31が有する各温度センサー21が測定する領域に関する情報と、転炉1の炉体2の形状に関する情報と、各温度センサー21と炉体2との相対的な位置に関する情報と、傾転角度検出部35が検出する傾転角度と、に基づいて異常個所の位置を特定する。
例えば、損傷個所特定部31は、ある温度センサー21の測定領域内に異常個所(図3ではab)があることを把握したとする。この場合、位置特定機能は、まず、温度センサー21の測定領域が炉体2の鉄皮2aのどの位置であるかを算出する。温度センサー21の測定領域は固定されているので、炉体2が回転すれば、炉体2において温度センサー21によって温度が測定される領域は変化する。しかし、炉体2は、その中心軸周りに回転するだけであるので、傾転角度検出部35が検出する傾転角度を使用すれば、その時点において温度センサー21が温度を測定している領域が炉体2の鉄皮2aのどの領域に対応するかを特定できる。そして、特定された炉体2の鉄皮2aの領域と温度センサー21の測定領域と比較すれば、炉体2の鉄皮2aにおける異常個所abの位置を特定できる。
(傾転角度算出部32)
傾転角度算出部32は、損傷個所特定部31が検出した炉体2の鉄皮2aにおける異常個所abを転炉1内の湯面Msよりも上方に位置するように転炉1の炉体2を傾転させる角度を算出する機能を有している。転炉1は、図4で示したように、各作業に応じて炉体2の傾転角度が変化する。異常個所abは、通常、溶鋼Mが鉄皮2aに接触することによって生じている。したがって、炉体2を傾転させて溶鋼Mの湯面Msよりも異常個所abが上方に位置するようにすれば、異常個所abの損傷(例えば温度上昇による軟化等)が拡大したり進行したりすることを抑制でき、異常個所abの損傷による溶鋼Mの漏洩を防止できる(図3(B)参照)。
例えば、損傷個所特定部31によって炉体2の鉄皮2aにおける異常個所abが算出されているとする。この異常個所abの位置と傾転角度検出部35が検出する傾転角度から、傾転角度算出部32は炉体2内の湯面Msの位置と異常個所abの相対的な位置を算出する。すると、傾転角度算出部32は、炉体2をどの方向にどの程度傾転させれば異常個所abが溶鋼Mの湯面Msよりも異常個所abが上方に位置するかを算出することができる。
(傾転指示部33)
傾転指示部33は、傾転角度算出部32が算出した炉体2を傾転させる方向および角度に関する情報を転炉1の傾転装置5に供給して、炉体2を傾転させる機能を有している。
以上のごとき構成を有しているので、本実施形態の溶鋼漏洩防止装置10によれば、非接触で自動的に損傷個所特定部31が炉体2の鉄皮2aの表面における異常個所abを発見することができる(図3(A)参照)。
損傷個所特定部31が異常個所abを発見した場合、炉体2を傾転させて、異常個所abの拡大や損傷の進行を防止でき、溶鋼Mの漏洩を防止できる。つまり、損傷個所特定部31から供給される鉄皮2aの表面における異常個所abの情報に基づいて、傾転角度算出部32が異常個所abを溶鋼Mの湯面Msよりも上方に位置できる傾転角度を算出する。すると、傾転指示部33からの指示によって傾転装置5が異常個所abを溶鋼Mの湯面Msよりも上方に位置するように炉体2を傾転させるから(図3(B))、異常個所abの拡大や損傷の進行を防止でき、溶鋼Mの漏洩を防止できる。
しかも、各温度センサー21は非接触で炉体2の鉄皮2aの表面の温度を測定するので、温度センサー21を設けても転炉1の操業に影響を与えることがない。
そして、温度センサー21による測定および異常個所abの発見、また、異常個所abの損傷拡大回避(つまり、炉体2の傾転)を全て自動化することもできる。すると、異常個所abの検出ミスや異常個所abを発見した後の処置のミスなども防止できる。そして、操業時に作業者が転炉1の炉体2に近づいて検査する割合を低減できるので、作業者の負担を低減できるし、安全性も高めることができる。そして、転炉1を連続して監視できるので、転炉1の異常を発見しやすくなるし、検査漏れを防止できる。
(溶鋼Mを排出する場合)
なお、損傷個所特定部31は、異常個所abの温度が所定の温度以上よりも高温の場合や、異常個所abの温度が所定の速度以上で上昇している場合には、傾転角度算出部32に対して溶鋼Mを排出するように指示する機能も有している。
例えば、鉄皮2aの温度が400℃よりも低い場合であれば、異常個所abを溶鋼Mの湯面Msよりも上方に配置した上で、そのまま放置するまたはエアなどを吹き付けて冷却する等の処置をすれば、異常個所abの温度を操業に問題がない温度まで下げることができる。
しかし、鉄皮2aの温度が600℃より高くなった場合には、そのまま放置したり、エアなどを吹き付けて冷却したりする等の処置をしただけでは、異常個所abの温度を低下させることができない、または、異常個所abの温度低下に非常に長時間を要する可能性がある。このような場合には、溶炉体2から一旦溶鋼Mを排出して、炉体2を修理することが望ましい(図3(C)参照)。
したがって、損傷個所特定部31に、上記機能を設けておけば、設備の操業等に悪影響が生じることを防止できるという利点が得られる。
(溶鋼漏洩リスクが発生した場合の警報について)
上述したように、制御部10は、溶鋼漏洩リスクが発生したことを推定した場合に、溶鋼漏洩リスクを作業者に通知する警報発信部14を備えていてもよい。かかる警報発信部14を備えていれば、作業者が溶鋼漏洩リスクを把握できるので、迅速に漏洩防止対策をとることができる。すると、溶鋼の漏洩を未然に防ぐことができる。また、漏洩防止ができない状態であれば、作業者に迅速に退避行動をとることができる。作業者に溶鋼漏洩リスクを通知する方法はとくに限定されないが、例えば、サイレンを鳴らしたり音声によるガイダンスを流したり警報灯を点灯させたりすることによって、作業者に溶鋼漏洩リスクを通知することができる。
なお、溶鋼漏洩リスクの段階に応じて発信する警報情報を変化させることが望ましい。すると、溶鋼漏洩リスクがどの程度であるかについて作業者が把握できるので、溶鋼漏洩リスクに対して作業者が適切な対応をすることができる。例えば、溶鋼漏洩リスクに応じて、音声によるガイダンスの内容を変化させれば、そのガイダンスに従って作業者が行動できるので、作業者が適切な対応をすることができる。
さらに、転炉1等の作業状況を監視している制御室に警報情報を表示させれば、制御室の作業員が溶鋼漏洩リスクを把握できる。例えば、制御室の制御盤に溶鋼漏洩リスクのアラームを表示させたりすれば、制御室の作業員から漏洩の危険性を転炉1の周辺等に配置されている各作業員に知らせることもできるし、設備の稼働を停止させる等の処置を取ることができる。
本発明の溶融金属漏洩防止装置は、銅製錬の乾式工程や、鉄鋼及び非鉄金属等の熔融製錬等の吹錬工程に用いられる転炉の損傷防止装置として適している。
1 転炉
2 炉体
2a 鉄皮
2b 耐火物
2h 収容空間
5 傾転装置
6 ギア
7 ピニオン
8 モータ
9 減速機
10 溶融金属漏洩防止装置
30 制御部
31 損傷個所特定部
32 傾転角度算出部
33 傾転指示部
34 警報発信部
35 傾転角度検出部
20 温度測定部
21 温度センサー
ab 異常個所
M 溶鋼
Ms 湯面
T 取鍋

Claims (7)

  1. 転炉の外面から溶融金属が漏洩することを防止する装置であって、
    前記転炉の外面の温度を非接触で測定する温度測定部と、
    前記温度測定部の測定結果に基づいて前記転炉の作動を制御する制御部と、を備えており、
    該制御部は、
    前記温度測定部の測定結果と前記転炉の傾転角度とに基づいて前記転炉の外面における異常個所を特定する損傷個所特定部と、
    該損傷個所特定部によって検出された異常個所が前記転炉内の湯面よりも上方に位置させる前記転炉の傾転角度を算出する傾転角度算出部と、
    該傾転角度算出部からの信号に基づいて前記転炉を傾転させる傾転指示部と、を備えている
    ことを特徴とする溶融金属漏洩防止装置。
  2. 前記温度測定部は、
    該温度測定部の測定領域が、前記転炉において湯面が存在する領域と対応する外面全面を含むように配設されている
    ことを特徴とする請求項1記載の溶融金属漏洩防止装置。
  3. 前記転炉の基準姿勢に対する傾転角度を測定する傾転角度検出部を備えており、
    前記制御部は、
    前記傾転角度検出部が検出する前記転炉の現在の傾転角度に基づいて前記転炉を傾転させる傾転角度を算出する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の溶融金属漏洩防止装置。
  4. 前記制御部は、
    前記転炉の外面における異常個所の温度が所定の温度を超えた場合に、または、前記転炉の外面における異常個所の温度上昇割合が所定の割合を超えた場合に、警報情報を発信する警報発信部を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の溶融金属漏洩防止装置。
  5. 転炉の外面から溶融金属が漏洩することを防止する方法であって、
    転炉の外面の温度を非接触で測定して、温度測定結果と転炉の傾転角度とに基づいて転炉の外面における異常個所を特定し、
    検出された異常個所が転炉内の湯面よりも上方に位置するように転炉を傾転させる
    ことを特徴とする溶融金属漏洩防止方法。
  6. 転炉において湯面が存在する領域と対応する外面全面の温度を測定して転炉の外面における異常個所を特定する
    ことを特徴とする請求項5記載の溶融金属漏洩防止方法。
  7. 転炉の外面における異常個所の温度が所定の温度を超えた場合に、または、転炉の外面における異常個所の温度上昇割合が所定の割合を超えた場合に、警報情報を発信する
    ことを特徴とする請求項5または6記載の溶融金属漏洩防止方法。
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