JP2008260916A - ビニルエステル系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 製品となるビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒に、ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂を溶解させた、ビニルエステル樹脂の製造途中で生成されるビニルエステル系樹脂溶液にハイドロタルサイトを配合する工程;及び前記溶媒を乾燥除去する工程を含む。ケン化前又はケン化反応途中のビニルエステル系樹脂溶液を使用した場合、ハイドロタルサイト配合後、ケン化を行なってもよい。
【選択図】 なし
Description
はじめに、本発明のビニルエステル系樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のビニルエステル樹脂組成物の製造方法は、ビニルエステル系樹脂溶液に、ハイドロタルサイトを添加する工程及び脱溶媒工程を含む。
(i)ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)組成物を製造する場合
(ii)ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化度物)を組成物を製造する場合
(iii)ケン化反応途中のビニルエステル系樹脂溶液を使用して、さらにケン化度を上げて所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)の組成物を製造する場合
(iv)ケン化反応が終了した所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化物)の組成物を製造する場合
ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液とは、ビニルエステル系モノマーの重合、及び必要に応じて配合される他の不飽和モノマーとの共重合により得られた溶液である。ビニルエステル系モノマーの重合、必要に応じて配合される他の不飽和モノマーとの共重合は、通常、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合等の公知の方法により行なうことができるが、溶液重合が好ましく行われる。
使用するビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液は、上述のビニルエステル系樹脂(ケン化度0)組成物を製造する場合と同様である。すなわち、目的生産物であるビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒(炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類など)を溶媒とする溶液重合により得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液が好ましく用いられる。溶液重合後に、適宜溶媒を添加し、希釈した溶液、さらに必要に応じて他の配合剤、添加剤を配合した溶液を用いてもよい。未反応モノマーはハイドロタルサイトの配合前に除去されていることが好ましい。
ケン化反応の途中のビニルエステル系樹脂溶液とは、重合により得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液に、適宜溶媒を添加、希釈し、ケン化触媒を添加してケン化を開始した溶液である。溶媒としては、上述のように、目的とするビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解温度よりも低い沸点を有する有機溶剤、具体的には炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類が用いられる。ケン化反応はケン化触媒の添加により開始され、使用するケン化触媒としては、(ii)で列挙したような触媒を使用できる。
ケン化が終了したビニルエステル系樹脂(ケン化物)の溶液の溶媒としては、当該ビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒、すなわち上述の炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類が用いられる。ケン化反応時の溶媒として、これらの溶媒が、用いられていることが好ましい。これにより、所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)の一連の製造工程に続いてハイドロタルサイトを配合することができる。このことは、ケン化反応終了後に、溶媒置換や固液分離等の作業を行なうことなく、ハイドロタルサイトを添加すればよいことを意味し、樹脂組成物の製造工程の簡略化を図ることができる。尚、ケン化物に含まれるOH基を後変性する場合、ハイドロタルサイトの配合前に行なうことが好ましい。
〔M2+ 1−xM3+ x(OH)2〕(Ax/n・mH2O)
式中、M2+は、Mg、Fe、Zn、Ca、Cu、Co等の2価の金属イオンを表し、好ましくはMg、Zn又はCaであり、より好ましくはMgである。また、M3+は、Al、Ce、Fe、Mn、In、Cr等の3価の金属イオンを表し、好ましくはAl、Ceであり、より好ましくはAlである。xは0.2〜0.33の数であり、またmは0より大きい実数で、脱水の程度により変わるが、一般に0〜2の整数である。Aは炭酸イオン(CO3 2−)、HPO3 2−、飽和脂肪族モノカルボン酸であり、好ましくは炭酸イオンである。なお、nはAの価数である。
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O
また、Aが飽和脂肪族モノカルボン酸イオンであるものとしては、特開2006−274385等に開示されたハイドロタルサイト類を挙げることができる。かかるハイドロタルサイト類は、炭酸イオンを内包するハイドロタルサイトを、飽和脂肪族モノカルボン酸塩水溶液中でイオン交換して得られたもので、良好な層間剥離性を有することから、好ましく用いられる。
乾燥は、樹脂の重合度、ケン化度、溶剤の種類、樹脂濃度にもよるが、通常180℃で、30分間程度、薄膜状にした樹脂組成物を加熱等することにより行なうことが好ましい。
本発明のビニルエステル系樹脂組成物は、上記本発明の製造方法により製造されるものであり、具体的には、ビニルエステル系樹脂粉末にハイドロタルサイトが分散している粉末状の組成物であって、前記ハイドロタルサイトの90%以上の粒子の粒径が600nm以下で分散しているものである。
尚、下記例において、「部」「%」とあるのは、断りのない限り、重量基準を意味する。また、ケン化度は残存酢酸ビニル構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量から求めた値であり、重合度はJIS K6726に基づいて測定した値である。
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル800部、メタノール960部、アゾビスイソブチロニトリル0.07モル%(対仕込み酢酸ビニル)を投入し、攪拌しながら、窒素気流下で温度を上昇させて重合を開始した。
重合開始から2時間後、6時間後に、0.07モル%のアゾビスイソブチロニトリルを追加投入し、酢酸ビニルの重合率が98%となった時点で、m−ジニトロベンゼン及び希釈・冷却用メタノールを添加して重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。
ハイドロサルタイトを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、乾燥させたビニルエステル系樹脂の粉末を得た。
得られたビニルエステル系樹脂粉末100部とハイドロタルサイト10部とを、ブラベンダーで200℃で10分間混練後、冷却して、ビニルエステル樹脂組成物の塊を得た。得られた塊状物を粉砕してビニルエステル系樹脂組成物の粒子を得た。この樹脂組成物粒子について、SEM(日本電子社製のJSM−6060LA)によりハイドロサルタイトの粒径を測定したところ、90%以上の粒子が粒径1000nm以上であった。従って、配合時よりもハイドロタルサイト粒子同士が凝集して、肥大化していることがわかる。また、この樹脂組成物粒子を、メタノールに溶解させて、0.1%メタノール溶液を調製し、ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製のDLS−700)でハイドロタルサイトの粒径を測定したところ、数平均粒径は600nmであった。
Claims (8)
- ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂にハイドロタルサイトが分散してなるビニルエステル系樹脂組成物の製造方法であって、
前記ビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒に、ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂が溶解してなるビニルエステル系樹脂溶液に、ハイドロタルサイトを配合する工程;及び
前記溶媒を乾燥除去する工程
を含むビニルエステル系樹脂組成物の製造方法。 - 前記ビニルエステル系樹脂溶液が、前記ビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の製造の途中で生成される溶液である請求項1に記載の製造方法。
- 前記ビニルエステル系樹脂溶液は、ビニルエステル系モノマーを含む溶液重合により得られる溶液である請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記ハイドロタルサイトの存在下でビニルエステル系樹脂溶液をケン化する工程をさらに含み、
前記乾燥除去工程は、ケン化後のビニルエステル系樹脂溶液の溶媒を乾燥除去する工程である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 - 前記ビニルエステル系樹脂溶液は、ケン化終了後のビニルエステル系樹脂を含む溶液である請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記溶媒が、炭素数1〜4の低級アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載のビニルアルコール系樹脂の製造方法。
- ケン化度0モル%以上〜65モル%以下のビニルエステル系樹脂粒子中にハイドロタルサイトが分散している樹脂組成物において、
前記ハイドロタルサイトの90%以上の粒子の粒径が600nm以下にて分散していることを特徴とするビニルエステル系樹脂組成物。 - 前記ビニルエステル系樹脂100重量部に対して、前記ハイドロタルサイトが0.01〜100重量部含有されている請求項7に記載のビニルエステル系樹脂組成物。
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