JP2008257212A - 像ブレ補正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローリングに基づくブレ角度を正確に算出出来る像ブレ補正装置を提供する。
【解決手段】像ブレ補正装置は、撮像素子を有する可動部を備える。像ブレ補正処理の為に、可動部の移動制御を行う制御部を備える。制御部は、像ブレ補正処理のために、ヨーイングに基づく第1ブレ角度(第1デジタル角度Kx)、ピッチングに基づく第2ブレ角度(第2デジタル角度Ky)、及びローリングに基づく第3ブレ角度(第3デジタル角度Kθ)を求めるブレ量算出演算を行い、第3ブレ角度を求める演算は、レリーズスイッチがオン状態にされた後の第1時点から行われ、第1、第2ブレ角度を求める演算は、第1時点よりも後であって露光が開始される以前の第2時点から行われる。
【選択図】図5

Description

本発明は、撮像装置における像ブレ補正装置に関し、ローリングに基づくブレ角度を正確に算出する像ブレ補正装置に関する。
従来、カメラなどの撮像装置において撮像中に生じた手ブレ量に応じて、像ブレ補正レンズまたは撮像素子を光軸と垂直な平面上を移動させることにより結像面上での像ブレを抑制する像ブレ補正処理を行う装置が提案されている。
特許文献1は、ヨーイング、ピッチング、及びローリングに基づくブレ角度を算出し、これらに基づいて像ブレ補正処理を行う像ブレ補正装置を開示する。
特開2006−71743号公報
しかし、特許文献1の装置では、ブレ角度の演算タイミングは特に記載されておらず、ヨーイングに基づく第1ブレ角度、ピッチングに基づく第2ブレ角度、及びローリングに基づく第3ブレ角度の算出演算は同時に開始されるのが一般的である。レリーズスイッチがオン状態にされた直後から第1〜第3ブレ角度の算出演算、及びこれらに基づく撮像素子を含む可動部の移動制御を行うと、露光が開始されるまでの間に可動部が移動するため、レリーズボタンを全押しした時点に比べて視野の誤差(パララックス)が生じるおそれがある。一方、第1〜第3ブレ角度の算出演算を遅らせると、レリーズボタンを全押ししたことによるローリングに基づく第3ブレ角度が算出されず、第3ブレ角度が正確に算出出来ない。
したがって本発明の目的は、ローリングに基づくブレ角度を正確に算出出来る像ブレ補正装置を提供することである。
本発明に係る像ブレ補正装置は、撮像素子を有する可動部と、像ブレ補正処理の為に、可動部の移動制御を行う制御部とを備え、制御部は、像ブレ補正処理のために、ヨーイングに基づく第1ブレ角度、ピッチングに基づく第2ブレ角度、及びローリングに基づく第3ブレ角度を求めるブレ量算出演算を行い、第3ブレ角度を求める演算は、レリーズスイッチがオン状態にされた後の第1時点から行われ、第1、第2ブレ角度を求める演算は、第1時点よりも後であって露光が開始される以前の第2時点から行われる。
好ましくは、可動部の特定方向の位置を検出する第1、第2磁界変化検出素子をさらに備え、制御部は、第3ブレ角度、及び第1、第2磁界変化検出素子の配置間隔とに基づいて、像ブレ補正処理のための可動部の位置の回転方向成分を算出する演算を、第1時点以降に行う。
さらに好ましくは、制御部は、第1、第2ブレ角度、及び可動部の位置の回転方向成分に基づく可動部の移動すべき位置を算出する移動位置算出演算、及び移動位置算出演算により求められた位置への移動を、第2時点以降に行う。
さらに好ましくは、制御部は、第1時点から第2時点までの間は、可動部を移動範囲内の中心近傍に移動させる。
また、好ましくは、ミラーアップ動作を行うミラーを更に備え、第1時点は、レリーズスイッチがオン状態にされた後でミラーアップ動作が開始された時点であり、第2時点は、ミラーアップ動作が完了した時点である。
本発明に係る撮像装置は、撮像素子を有する可動部と、像ブレ補正処理の為に可動部の移動制御を行う制御部とを有する像ブレ補正部と、レリーズスイッチとを備え、制御部は、像ブレ補正処理のために、ヨーイングに基づく第1ブレ角度、ピッチングに基づく第2ブレ角度、及びローリングに基づく第3ブレ角度を求めるブレ量算出演算を行い、第3ブレ角度を求める演算は、レリーズスイッチがオン状態にされた後の第1時点から行われ、第1、第2ブレ角度を求める演算は、第1時点よりも後であって露光が開始される以前の第2時点から行われる。
以上のように本発明によれば、ローリングに基づくブレ角度を正確に算出出来る像ブレ補正装置を提供することができる。
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラであるとして説明する。なお、方向を説明するために、撮像装置1において撮影レンズ67の光軸LXと直交する水平方向を第1方向x、光軸LXと直交する鉛直方向を第2方向y、光軸LXと平行な水平方向を第3方向zとして説明する。
撮像装置1の撮像に関する部分は、主電源のオンオフ切り替えを行うPonボタン11、レリーズボタン13、像ブレ補正ボタン14、LCDモニタ17、ミラー絞りシャッタ部18、DSP19、CPU21、AE部23、AF部24、像ブレ補正部30の撮像部39a、及び撮影レンズ67から構成される(図1〜3参照)。Ponボタン11の押下に対応してPonスイッチ11aのオンオフ状態が切り替えられ、これにより撮像装置1の主電源のオンオフ状態が切り替えられる。被写体像は、撮像部39aによって撮影レンズ67を介した光学像として撮像され、LCDモニタ17によって撮像された画像が表示される。また被写体像は光学ファインダ(不図示)によって光学的に観察することも可能である。
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ12aがオン状態にされ測光や測距及び合焦動作が行われ、全押しすることによりレリーズスイッチ13aがオン状態にされ撮像部39a(撮像手段)による撮像(撮像動作)が行われ、撮影像がメモリされる。
ミラー絞りシャッタ部18は、CPU21のポートP7と接続され、レリーズスイッチ13aのオン状態に連動して、ミラーのUP/DOWN、絞りの開閉(閉開)、及びシャッタの開閉動作を行う。
撮影レンズ67は、撮像装置1の交換レンズであり、CPU21のポートP8と接続され、撮影レンズ67に内蔵されたレンズROMなどに記録された撮影レンズ67のレンズ情報係数fなどをレンズ情報として、測光時にCPU21に出力する。
DSP19は、CPU21のポートP9、及び撮像部39aと接続され、CPU21の指示に基づいて、撮像部39aにおける撮像により得られた画像信号について、画像処理などの演算処理を行う。
CPU21は、撮像に関する各部の制御、後述する像ブレ補正に関する各部の制御を行う制御手段である。また、CPU21は、後述する補正モードか否かを判断する像ブレ補正パラメータSRの値、レリーズ状態管理パラメータRP、及びミラー状態管理パラメータMPの値をメモリする。
レリーズ状態管理パラメータRPは、レリーズシーケンス動作に連動して値が切り替えられ、レリーズシーケンス動作中に値が1に設定され(図4のステップS21〜S31参照)、レリーズシーケンス動作終了の時に値が0に設定される(図4のステップS13、S31参照)。
ミラー状態管理パラメータMPは、撮像装置1のミラー(不図示)が、撮像動作のために、ミラーアップ動作が行われている間、値が1に設定され(図4のステップS22参照)、それ以外の間は、値が0に設定される(図4のステップS24参照)。
撮像装置1におけるミラーアップ動作が完了したか否かの検知は、メカスイッチ(不図示)のオンオフ状態を検知することにより行われる。ミラーダウン動作が完了したか否かの検知は、シャッタチャージが完了したか否かの状態を検知することにより行われる。
また、CPU21は、後述する第1、第2、第3デジタル角速度信号Vx、Vy、Vθ、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθ、第1、第2、第3デジタル角度Kx、Ky、Kθ、位置Sの第1方向x成分Sx、第2方向y成分Sy、回転方向成分(傾き角度)Sθ、第1鉛直方向成分Syl、第2鉛直方向成分Syr、水平方向駆動力Dx、第1鉛直方向駆動力Dyl、第2鉛直方向駆動力Dyr、A/D変換後の位置Pの水平方向成分pdx、第1鉛直方向成分pdyl、第2鉛直方向成分pdyr、レンズ情報係数f、及びホール素子間隔係数hsd(=第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の第1方向xの間隔)をメモリする。
AE部23は、被写体の測光動作を実行して露光値を演算し、この露光値に基づき撮影に必要となる絞り値及び露光時間を演算する。AF部24は、測距を行い、この測距結果に基づき撮影レンズ67を光軸方向に変位させ焦点調節を行う。
撮像装置1の像ブレ補正装置すなわち像ブレ補正に関する部分は、像ブレ補正ボタン14、LCDモニタ17、CPU21、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、磁界変化検出素子の信号処理回路としてのホール素子信号処理回路45、及び撮影レンズ67から構成される。
像ブレ補正ボタン14は、押下することにより像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされ、測光など他の動作と独立して、一定時間ごとに、角速度検出部25、及び像ブレ補正部30が駆動されて像ブレ補正処理が行われる。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モードの場合に像ブレ補正パラメータSRが1に設定され、像ブレ補正スイッチ14aがオフ状態にされた補正モードでない場合に像ブレ補正パラメータSRが0に設定される。本実施形態ではこの一定時間を1msであるとして説明する。
これらのスイッチの入力信号に対応する各種の出力はCPU21によって制御される。測光スイッチ12a、レリーズスイッチ13a、像ブレ補正スイッチ14aのオン/オフ情報は、それぞれ1ビットのデジタル信号としてCPU21のP12、P13、P14に入力される。AE部23、AF部24、LCDモニタ17は、それぞれポートP4、P5、P6で信号の入出力が行われる。
次に、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、ホール素子信号処理回路45についての詳細、及びCPU21との入出力関係について説明する。
角速度検出部25は、第1、第2、第3角速度センサ26a、26b、26c、第1、第2、第3ハイパスフィルタ回路27a、27b、27c、及び第1、第2、第3アンプ28a、28b、28cを有する。
第1、第2角速度センサ26a、26bは、撮像装置1の第1方向x(第2方向yに平行な軸周りのヨーイング)及び第2方向y(第1方向xに平行な軸周りのピッチング)の角速度を検出する。第1角速度センサ26aは、第1方向xの角速度(ヨーイング角速度)を、第2角速度センサ26bは第2方向yの角速度(ピッチング角速度)を検出するジャイロセンサである。第3角速度センサ26cは、撮像装置1の第3方向zに平行な軸周りの角速度(ローリング角速度)を検出するジャイロセンサである。
第1、第2、第3ハイパスフィルタ回路27a、27b、27cは、第1、第2、第3角速度センサ26a、26b、26cからの出力のヌル電圧やパンニングである低周波成分をカットする(アナログハイパスフィルタ処理)。第1、第2、第3アンプ28a、28b、28cは、低周波成分がカットされた角速度に関する信号を増幅し、第1、第2、第3角速度vx、vy、vθとしてアナログ信号をCPU21のA/D0、A/D1、A/D2に入力する。
低周波成分のカットは、第1、第2、第3ハイパスフィルタ回路27a、27b、27cにおけるアナログハイパスフィルタ処理、及びCPU21におけるデジタルハイパスフィルタ処理が行われる。後段のデジタルハイパスフィルタ処理においては、アナログハイパスフィルタ処理におけるカットオフ周波数以上のカットオフ周波数が設定される。後段のデジタルハイパスフィルタ処理では、時定数(第1、第2、第3ハイパスフィルタ時定数hx、hy、hθ)の値の変更が、容易に行えるメリットを有する。
CPU21、及び角速度検出部25の各部への電力供給は、Ponスイッチ11aがオン状態にされた(主電源がオン状態にされた)後に開始される。角速度検出部25におけるブレ量検出演算は、Ponスイッチ11aがオン状態にされた(主電源がオン状態にされた)後に開始される。
CPU21は、A/D0、A/D1、A/D2に入力された第1、第2、第3角速度vx、vy、vθをA/D変換し(第1、第2、第3デジタル角速度信号Vx、Vy、Vθ)、ヌル電圧やパンニングである低周波成分をカットし(デジタルデジタルハイパスフィルタ処理、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθ)、及び積分演算を行い、像ブレ量(像ブレ角度)を求める(ヨーイングに基づくブレ角度:第1デジタル角度Kx、ピッチングに基づくブレ角度:第2デジタル角度Ky、ローリングに基づくブレ角度:第3デジタル角度Kθ)。従って、角速度検出部25とCPU21は、像ブレ量演算機能を有する。
nは、0以上の整数であり、タイマ割り込み処理開始(t=0、図4のステップS12参照)から、最新のタイマ割り込み処理を行った時点(t=n)までの時間(ms)を示す。
第1方向x(ヨーイング)に関するデジタルハイパスフィルタ処理は、第1デジタル角速度信号Vxを、一定時間(1ms)前までのタイマ割り込み処理で求められた第1デジタル角速度VVx〜VVxn―1の和ΣVVxn−1を第1ハイパスフィルタ時定数hxで割ったもので減算して、第1デジタル角速度VVxを求めることにより行われる(VVx=Vx―(ΣVVxn−1)/hx、図6の(1)参照)。
第2方向y(ピッチング)に関するデジタルハイパスフィルタ処理は、第2デジタル角速度信号Vyを、一定時間(1ms)前までのタイマ割り込み処理で求められた第2デジタル角速度VVy〜VVyn―1の和ΣVVyn−1を第2ハイパスフィルタ時定数hyで割ったもので減算して、第2デジタル角速度VVyを求めることにより行われる(VVy=Vy―(ΣVVyn−1)/hy、図6の(1)参照)。
ローリングに関するデジタルハイパスフィルタ処理は、第3デジタル角速度信号Vθを、一定時間(1ms)前までのタイマ割り込み処理で求められた第3デジタル角速度VVθ〜VVθn―1の和ΣVVθn−1を第3ハイパスフィルタ時定数hθで割ったもので減算して、第3デジタル角速度VVθを求めることにより行われる(VVθ=Vθ―(ΣVVθn−1)/hθ、図6の(1)参照)。
本実施形態では、タイマ割り込み処理における角速度検出処理は、角速度検出部25における処理、及び角速度検出部25からCPU21への第1、第2、第3角速度vx、vy、vθの入力処理を言うものとする。
第1方向x(ヨーイング)に関する積分演算処理は、タイマ割り込み処理開始(t=0、図4のステップS12参照)から、最新の時点(t=n)の第1デジタル角速度VVx〜VVxの和を求めることにより行われる(Kx=ΣVVx、図6の(7)参照)。第2方向y(ピッチング)に関する積分演算処理は、タイマ割り込み処理開始後から最新の第2デジタル角速度VVy〜VVyの和を求めることにより行われる(Ky=ΣVVy、図6の(7)参照)。ローリングに関する積分演算処理は、タイマ割り込み処理開始後から最新の第3デジタル角速度VVθ〜VVθの和を求めることにより行われる(Kθ=ΣVVθ、図6の(8)参照)。
CPU21は、演算により求められた像ブレ量(像ブレ角度:第1、第2、第3デジタル角度Kx、Ky、Kθ)に応じた撮像素子39a1の(中心点の)移動すべき位置Sを、焦点距離などを考慮したレンズ情報係数f、及びホール素子間隔係数hsdに基づいて、ブレ角度方向ごとに演算し設定する(Sx=f×tan(Kx)、Sy=f×tan(Ky)、Sθ=HSD÷2×sin(Kθ)、図6の(3)参照)。この演算では、第1方向x、第2方向yの直線的な移動だけでなく、xy平面上の回転角度(傾き)も考慮される。
位置Sの水平方向成分をSx、鉛直方向成分をSy、xy平面上の回転(傾き)角度成分をSθとする。可動部30aの回転は、2つの駆動点に第2方向yに異なる力を加えることにより行われる。位置Sの鉛直方向成分Sy、及び回転方向成分Sθに基づいて、2つの駆動点の位置Sの鉛直方向成分を第1y成分をSyl、第2y成分をSyrが算出される(Syl=Sy+Sθ:加算値、Syr=Sy―Sθ:減算値、図6の(4)参照))。2つの駆動点は、可動部30aの第2方向yへの駆動に使用されるコイル(第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2)によって力が加えられる点で、第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2と近い位置に設定される。
第1、第2デジタル角度Kx、Ky、位置Sの水平方向成分Sx、鉛直方向成分(第1鉛直方向成分Syl、及び第2鉛直方向成分Syr)を算出する演算は、像ブレ補正パラメータSRの値が1の場合で且つレリーズボタン13が全押しされレリーズスイッチ13aがオン状態にされ且つミラーアップ動作が完了した後(ミラー状態管理パラメータMPの値が1から0に変わった後)であってレリーズ状態管理パラメータRPの値が0に設定されるまでの撮像動作時にのみ行われる(図5のステップS61参照)。
ミラーアップ動作など、レリーズボタン13が全押しされ、シャッタが開いて露光が開始される直前から、第1、第2デジタル角度Kx、Ky、位置Sの水平方向成分Sx、鉛直方向成分(第1鉛直方向成分Syl、及び第2鉛直方向成分Syr)を算出する演算が行われて、可動部30aが移動することにより、レリーズボタン13を全押しした時点と、露光が開始される時点の間に視野の誤差(パララックス)が生じるのを防ぐ。
第3デジタル角度Kθ、位置Sの回転角度成分Sθを算出する演算は、レリーズスイッチ13aがオン状態にされてから、すなわちミラーアップ動作の状態(ミラー状態管理パラメータMPの値)に関わらず行われる(図5のステップS56、S57、S61、及びS62参照)。但し、補正モードでない場合には、ミラーアップ動作終了後は行われない(図5のステップS60参照)。
これにより、レリーズスイッチ13aをオン状態にするためのレリーズボタン13の全押し動作やミラーアップ動作など、ローリングによる像ブレが生じやすい第2期間(レリーズボタン13を全押しした時点から露光開始時点までの期間、図8の時点t2〜t4参照)に生じたローリングによる像ブレを考慮して、正確にブレ量を算出することが可能になる。ローリングに基づくブレを補正するための像ブレ補正処理は、可動部30aを回転させるが、第1方向xや第2方向yへの直線的な移動は行わない。従って、ローリングに基づくブレを補正するための像ブレ補正処理による可動部30aの回転は、パララックスには影響しない。そのため、ミラーアップ動作完了前にローリングに基づく像ブレ量を算出する演算が行われるが、ここで算出される像ブレ量は、パララックスに影響しない回転による像ブレ補正処理にしか使われない。
撮像部39aを含む可動部30aの移動は、後述する電磁力によって行われる。可動部30aをこの位置Sまで移動させるために駆動用ドライバ回路29を介して第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2を駆動する駆動力Dの第1方向x成分を水平方向駆動力Dx(水平方向PWMデューティdx)、第1鉛直方向駆動用コイル32a1を駆動する第2方向y成分を第1鉛直方向駆動力Dyl(第1鉛直方向PWMデューティdyl)、第2鉛直方向駆動用コイル32a2を駆動する第2方向y成分を第2鉛直方向駆動力Dyr(第2鉛直方向PWMデューティdyr)とする。
像ブレ補正部30は、露光時間を含む第1期間内であって、像ブレ補正処理を行う場合(SR=1)に、CPU21が演算した移動すべき位置Sに撮像部39aを、回転を含めて移動させることによって、ブレによって生じた被写体像の結像面における光軸LXのずれを無くし、被写体像と結像面位置を一定に保ち、像ブレを補正する像ブレ補正処理を行う装置であり、撮像部39aを含みxy平面上に移動可能領域をもつ可動部30aと、固定部30bとを備える。露光時間を含む第1期間内であって、像ブレ補正処理を行わない場合(SR=0)は、可動部30aは、特定位置(本実施形態では移動範囲中心)に固定される。
像ブレ補正部30の可動部30aの駆動(特定位置への固定を含む)は、CPU21のPWM0から水平方向PWMデューティdx、PWM1から第1鉛直方向PWMデューティdyl、及びPWM2から第2鉛直方向PWMデューティdyrの出力を受けた駆動用ドライバ回路29を介して、駆動手段に含まれる駆動用コイル部、駆動用磁石部による電磁力によって行われる(図6の(6)参照)。可動部30aの移動前または移動後の位置Pはホール素子部44a、ホール素子信号処理回路45によって検出される。検出された位置Pの情報は、水平方向検出位置信号pxが第1方向x成分として、2つの第1、第2鉛直方向検出位置信号pyl、pyrが第2方向y成分としてそれぞれCPU21のA/D3、A/D4、A/D5に入力される(図6の(2)参照)。水平方向検出位置信号px、第1、第2鉛直方向検出位置信号py1、py2はA/D3、A/D4、A/D5を介してA/D変換される。
水平方向検出位置信号pxに対してA/D変換後の位置Pの第1方向x成分を水平方向成分pdxとする。第1、第2鉛直方向検出位置信号pyl、plrに対してA/D変換後の位置Pの第2方向y成分を第1、第2鉛直方向成分pdyl、pdyrとする。検出された位置P(pdx、pdyl、pdyr)のデータと移動すべき位置S(Sx、Syl、Syr)のデータによりPID制御(水平方向駆動力Dx、第1鉛直方向駆動力Dyl、第2鉛直方向駆動力Dyrの算出)が行われる(図6の(5)参照)。
像ブレ補正処理すなわちPID制御による像ブレ補正に対応し回転を含んだ移動すべき位置Sへの可動部30aの駆動は、露光期間を含む第1期間中であって且つ像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モード(SR=1)の時に行われる。露光期間中であって且つ像ブレ補正パラメータSRが0の時、及びミラーアップ動作中には、可動部30aは、像ブレ補正処理に対応しない特定位置へのPID制御が行われ、撮像素子39a1の撮像面を構成する矩形の4辺のそれぞれが、第1方向x、第2方向yのいずれかに平行な状態(傾いていない状態)で且つ移動中心位置に移動せしめられる。ミラーアップ動作を除く露光期間外は、可動部30aは駆動されない。
可動部30aは駆動用コイル部として第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2、第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2、撮像素子39a1を有する撮像部39a、及び磁界変化検出素子部としてのホール素子部44aを有する(図7参照)。本実施形態では、撮像素子39a1がCCDであるとして説明するが、CMOSなど他の撮像素子であってもよい。
固定部30bは、駆動用磁石部として、第1、第2水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1、411b2、第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1、412b2、第1、第2水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b1、431b2、及び第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b1、432b2を有する。
固定部30bは、ボールなどを使って可動部30aを挟み、可動部30aをxy平面上での矩形領域内で回転を含む移動が可能な状態を維持する。
撮像素子39a1の撮像範囲を最大限活用して像ブレ補正処理を行うために、撮影レンズ67の光軸LXが撮像素子39a1の中心近傍を通る位置関係にある時に、第1方向x、第2方向yともに可動部30aが移動範囲の中心に位置する(移動中心位置にある)ように可動部30aと固定部30bの位置関係を設定する。また、レリーズスイッチ13aがオン状態にされた直後の初期状態においては、可動部30aが移動範囲の中心に位置し、さらに、撮像素子39a1の撮像面を構成する矩形の4辺のそれぞれは、第1方向x、第2方向yのいずれかに平行な状態にあるように可動部30aと固定部30bの位置関係を設定する(図5のステップS58参照)。撮像素子39a1の中心とは、撮像素子39a1の撮像面を形成する矩形が有する2つの対角線の交点をいう。
可動部30aには、シート状でかつ渦巻き状のコイルパターンが形成された第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2、第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2、及びホール素子部44aが取り付けられている。第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2のコイルパターンは、第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2の電流の方向と第1、第2水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1、411b2の磁界の向きから生じる電磁力により第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2を含む可動部30aを第1方向xに移動させるべく、第2方向yと平行な線分を有する。第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2のコイルパターンは、第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2の電流の方向と第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1、412b2の磁界の向きから生じる電磁力により第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2を含む可動部30aを第2方向yの移動やxy平面上の回転移動をさせるべく、第1方向xと平行な線分を有する。ホール素子部44aについては後述する。
第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2、第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2は、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動する駆動用ドライバ回路29と接続される。駆動用ドライバ回路29は、CPU21のPWM0、PWM1、PWM2から水平方向PWMデューティdx、第1、第2鉛直方向PWMデューティdyl、dyrのそれぞれが入力される。駆動用ドライバ回路29は、入力された水平方向PWMデューティdxの値に応じて第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2に同じ電力を供給し、可動部30aを第1方向xに駆動する。駆動用ドライバ回路29は、入力された第1、第2鉛直方向PWMデューティdyl、dyrの値に応じて第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2に電力を供給し、可動部30aを第2方向yに移動させ、可動部30aをxy平面上で回転させる。
第1水平方向駆動用コイル31a1と第2水平方向駆動用コイル31a2とは、初期状態において第1方向xで撮像素子39a1や光軸LXを挟む位置関係にあり、第1方向xに並べられて配置される。第1鉛直方向駆動用コイル32a1と第2鉛直方向駆動用コイル32a2とは、初期状態において第1方向xに並べられて配置される。
撮像素子39a1の中心と第1水平方向駆動用コイル31a1の中心近傍との第1方向xの距離と、撮像素子39a1の中心と第2水平方向駆動用コイル31a2の中心近傍との第1方向xの距離は等しい位置関係になるように、第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2は配置される。
撮像素子39a1の中心と第1鉛直方向駆動用コイル32a1の中心近傍との第2方向yの距離と、撮像素子39a1の中心と第2鉛直方向駆動用コイル32a2の中心近傍との第2方向yの距離は初期状態において等しい位置関係になるように、第1、第2鉛直方向駆動用コイル32a1、32a2は配置される。
第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1は、第1水平方向駆動用コイル31a1及び水平方向ホール素子hh10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。第2水平方向位置検出及び駆動用磁石411b2は、第2水平方向駆動用コイル31a2と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。
第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1は、第1鉛直方向駆動用コイル32a1及び第1鉛直方向ホール素子hv1と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2は、第2鉛直方向駆動用コイル32a2及び第2鉛直方向ホール素子hv2と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。
第1、第2水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1、411b2は、第3方向zにおいて固定部30b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第1、第2水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b1、431b2の上であって、第1方向xにN極とS極が並べて取り付けられる(不図示)。
第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1、412b2は、第3方向zにおいて固定部30b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b1、432b2の上であって、第2方向yにN極とS極が並べて取り付けられる(不図示)。
第1、第2水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b1、431b2は、軟磁性体材料で構成され、固定部30b上に取り付けられる。第1水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b1は、第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1の磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1と第1水平方向駆動用コイル31a1、及び第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1と水平方向ホール素子hh10との間の磁束密度を高める役目を果たす。第2水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b2は、第2水平方向位置検出及び駆動用磁石411b2の磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第2水平方向位置検出及び駆動用磁石411b2と第2水平方向駆動用コイル31a2との間の磁束密度を高める役目を果たす。
第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b1、432b2は、軟磁性体材料で構成され、固定部30b上に取り付けられる。第1鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b1は、第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1の磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1と第1鉛直方向駆動用コイル32a1、及び第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1と第1鉛直方向ホール素子hv1との間の磁束密度を高める役目を果たす。第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b2は、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2の磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2と第2鉛直方向駆動用コイル32a2、及び第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2と第2鉛直方向ホール素子hv2との間の磁束密度を高める役目を果たす。
なお、第1、第2水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b1、431b2、第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b1、432b2は、別体構成でも一体構成であってもよい。
ホール素子部44aは、ホール効果を利用した磁電変換素子であるホール素子を3つ有し、可動部30aの第1方向x、第2方向yの現在位置P(水平方向検出位置信号px、第1、第2鉛直方向検出位置信号pyl、pyr)を検出する1軸ホール素子である。3つのホール素子のうち第1方向xの位置検出用のホール素子を水平方向ホール素子hh10、第2方向yの位置検出用のホール素子を第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2とする。
水平方向ホール素子hh10は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1と対向する位置に取り付けられる。
水平方向ホール素子hh10は、第1水平方向駆動用コイル31a1と、第2方向yに並べて配置されてもよいが、第1水平方向駆動用コイル31a1の巻線内に配置され、特に巻線内の第1方向xの中心近傍に配置されるのが望ましい(図7参照)。水平方向ホール素子hh10は、第1水平方向駆動用コイル31a1と第3方向zに積層される。巻線内配置、及び積層により、位置検出のための磁界発生領域と、可動部30aの駆動のための磁界発生領域を共用できるので、第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1、第1水平方向位置検出及び駆動用ヨーク431b1の第2方向yの長さを短くすることができる。
第1鉛直方向ホール素子hv1は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1と対向する位置に取り付けられる。第2鉛直方向ホール素子hv2は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2と対向する位置に取り付けられる。
第1鉛直方向ホール素子hv1は、第1鉛直方向駆動用コイル32a1と、第1方向xに並べて配置されてもよいが、第1鉛直方向駆動用コイル32a1の巻線内に配置され特に巻線内の第2方向yの中心近傍に配置されるのが望ましい。第1鉛直方向ホール素子hv1は、第1鉛直方向駆動用コイル32a1と第3方向zに積層される。巻線内配置、及び積層により、位置検出のための磁界発生領域と、可動部30aの駆動のための磁界発生領域を共用できるので、第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1、第1鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b1の第1方向xの長さを短くすることができる。
第2鉛直方向ホール素子hv2は、第2鉛直方向駆動用コイル32a2と、第1方向xに並べて配置されてもよいが、第2鉛直方向駆動用コイル32a2の巻線内に配置され特に巻線内の第2方向yの中心近傍に配置されるのが望ましい。第2鉛直方向ホール素子hv2は、第2鉛直方向駆動用コイル31a2と第3方向zに積層される。巻線内配置、及び積層により、位置検出のための磁界発生領域と、可動部30aの駆動のための磁界発生領域を共用できるので、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2、第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク432b2の第1方向xの長さを短くすることができる。
また、第1鉛直方向駆動用コイル32a1によって可動部30aを第2方向yに移動させる力を加える位置(駆動ポイント)と、第1鉛直方向ホール素子hv1による位置検出ポイントとが近接し、第2鉛直方向駆動用コイル32a2によって可動部30aを第2方向yに移動させる力を加える位置(駆動ポイント)と、第2鉛直方向ホール素子hv2による位置検出ポイントとが近接するため、精度の高い駆動制御を行うことが可能になる。
直線的な変化量を使って精度の高い位置検出が行える範囲を最大限活用して位置検出を行うため、水平方向ホール素子hh10の第1方向xの位置は、初期状態において、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第1水平方向位置検出及び駆動用磁石411b1のN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。同様に、第1鉛直方向ホール素子hv1の第2方向yの位置は、初期状態において、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第1鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b1のN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。第2鉛直方向ホール素子hv2の第2方向yの位置は、初期状態において、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石412b2のN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。
ホール素子信号処理回路45は、第1、第2、第3ホール素子信号処理回路450、460、470を有する。
第1ホール素子信号処理回路450は、水平方向ホール素子hh10の出力信号から水平方向ホール素子hh10における出力端子間の電位差を検出し、これから可動部30aの水平方向ホール素子hh10がある部分の第1方向xの位置を特定する水平方向検出位置信号pxをCPU21のA/D3に出力する。第1ホール素子信号処理回路450は、フレキシブル基板(不図示)を介して、水平方向ホール素子hh10と接続される。
第2ホール素子信号処理回路460は、第1鉛直方向ホール素子hv1の出力信号から第1鉛直方向ホール素子hv1における出力端子間の電位差を検出し、これから可動部30aの第1鉛直方向ホール素子hv1がある部分の第2方向yの位置を特定する第1鉛直方向検出位置信号pylをCPU21のA/D4に出力する。第2ホール素子信号処理回路460は、フレキシブル基板(不図示)を介して、第1鉛直方向ホール素子hv1と接続される。
第3ホール素子信号処理回路470は、第2鉛直方向ホール素子hv2の出力信号から第2鉛直方向ホール素子hv2における出力端子間の電位差を検出し、これから可動部30aの第2鉛直方向ホール素子hv2がある部分の第2方向yの位置を特定する第2鉛直方向検出位置信号pyrをCPU21のA/D5に出力する。第3ホール素子信号処理回路470は、フレキシブル基板(不図示)を介して、第2鉛直方向ホール素子hv2と接続される。
本実施形態では、回転角度を含めた可動部30aの位置を特定するために、3つのホール素子を使う。3つのホール素子のうち、2つのホール素子を使って、可動部30a上の2つの点における第2方向yの位置を、残る1つのホール素子を使って、可動部30a上の1つの点における第1方向xの位置を特定する。これら2つの点における第2方向yの位置情報、1つの点における第1方向xの位置情報に基づいて、可動部30aの回転角度(傾き)を含む位置を特定することが可能である。
次に、撮像装置1のメイン動作について図4のフローチャートで説明する。
Ponスイッチ11aがオン状態にされ撮像装置1の電源がオンにされると、ステップS11で、角速度検出部25に電力が供給され、電源オン状態にされる。ステップS12で、一定時間(1ms)間隔でタイマ割り込み処理が開始される。ステップS13で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が0に設定される(図8の時点t0参照)。タイマの割り込み処理の詳細については、図5のフローチャートを使って後述する。
ステップS14で、測光スイッチ12aがオン状態にされているか否かが判断される。オン状態にされていない場合は、ステップS14が繰り返され、オン状態にされている場合は、ステップS15に進められる(図8の時点t1、t7参照)。
ステップS15で、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされたか否かが判断される。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされていない場合は、ステップS16で、像ブレ補正パラメータSRの値が0に設定される。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされている場合は、ステップS17で、像ブレ補正パラメータSRの値が1に設定される。
ステップS18で、AE部23のAEセンサ駆動により測光が行われ、絞り値や露光時間が演算され、AF部24のAFセンサが駆動され測距が行われ、AF部24のレンズ制御回路駆動により合焦動作が行われる。
ステップS19で、CPU21と撮影レンズ67との間で通信が行われ、撮影レンズ67からレンズ情報として、レンズ情報係数fが、CPU21に出力される。
ステップS20で、レリーズスイッチ13aがオン状態にされたか否かが判断される。レリーズスイッチ13aがオン状態にされていない場合には、ステップS14に戻される(ステップS14〜19を繰り返す)。レリーズスイッチ13aがオン状態にされている場合は、ステップS21に進められ、レリーズシーケンス動作が開始される。
ステップS21で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が1に設定される。ステップS22で、ミラー状態管理パラメータMPの値が1に設定される(図8の時点t2、t8参照)。ステップS23で、ミラー絞りシャッタ部18により、ミラーアップ動作、及び絞りの絞り込み動作が行われる。ミラーアップ動作終了後、ステップS24で、ミラー状態管理パラメータMPの値が0に設定される(図8の時点t3参照)。ステップS25で、ミラー絞りシャッタ部18により、シャッタ開動作(先幕動作)が行われる(図8の時点t4参照)。
ステップS26で、CCDの電荷蓄積すなわち露光が行われる。露光時間終了後、ステップS27で、ミラー絞りシャッタ部18により、シャッタ閉動作(後幕動作)、ミラーダウン動作、及び絞り開放動作が行われる(図8の時点t5参照)。ステップS28で、CCD入力、すなわち露光時間内の間CCDに蓄積された電荷が移動せしめられる。ステップS29で、CPU21とDSP19との間で通信が行われ、移動された電荷に基づいて画像処理が行われ、画像処理された画像が撮像装置1内の映像メモリに記憶される。ステップS30で、記憶された画像信号は、LCDモニタ17によって表示される。ステップS31で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が0に設定され、測光スイッチ12aやレリーズスイッチ13aがオフ状態にされ、レリーズシーケンス動作が完了する(図8の時点t6参照)。その後、ステップS14に戻される(次の撮像動作が可能な状態にされる)。
次に、図4のステップS12で開始され、一定時間(1ms)間隔で行われるタイマ割り込み処理について図5のフローチャートを用いて説明する。タイマ割り込み処理が開始されると、ステップS51で、角速度検出部25から出力された第1、第2、第3角速度vx、vy、vθが、CPU21のA/D0、A/D1、A/D2を介しA/D変換され入力される(第1、第2、第3デジタル角速度信号Vx、Vy、Vθ、角速度検出処理)。第1、第2、第3デジタル角速度信号Vx、Vy、Vθは、ヌル電圧やパンニングである低周波成分がカットされる(第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθ、デジタルハイパスフィルタ処理、図6の(1)参照)。
ステップS52で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が1に設定されているか否かが判断される。1に設定されていない場合は、ステップS53で、可動部30aの駆動がオフ状態、すなわちコイルをつかった可動部30aへの駆動制御が行われない状態にされる。1に設定されている場合はステップS54に進められる。
従って、図8の時点t0から時点t2(t6〜t7、t7〜t8も同様)までの間は、可動部30aの駆動制御は行われず、ブレ演算としては、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθの算出までが行われる(ブレ演算(a))。
ステップS54で、ホール素子部44aで位置検出され、ホール素子信号処理回路45で演算された水平方向検出位置信号px、第1、第2鉛直方向検出位置信号pyl、pyrがCPU21のA/D3、A/D4、A/D5を介しA/D変換され入力され、現在位置P(pdx、pdyl、pdyr)が求められる(図6の(2)参照)。
ステップS55で、ミラー状態管理パラメータMPの値が1に設定されているか否かが判断される。ミラー状態管理パラメータMPの値が1に設定されていない場合は、ステップS59に進められる。ミラー状態管理パラメータMPの値が1に設定されている場合は、ステップS56に進められる。
ステップS56で、第3デジタル角速度VVθに基づいて、第3デジタル角度Kθが算出され(図6の(8)参照)、ステップS57で、第3デジタル角度Kθとホール素子間隔係数hsdとに基づいて、可動部30aの移動すべき位置Sの回転方向成分Sθが算出される(図6の(3)参照)。但し、第1、第2デジタル角度Kx、Ky、及び位置Sの第1方向x成分Sx、第2方向y成分Syの算出演算は行われない。ステップS58で、可動部30aの移動すべき位置S(Sx、Syl、Syr)が可動部30aの移動中心位置と同じに設定される(Syl=Syr)。従って、ステップS57で求められた位置Sの回転方向成分Sθは、ステップS58における移動すべき位置の設定には利用されない。但し、レリーズスイッチ13aがオン状態にされてからミラーアップ動作が完了するまでの間に生じた撮像装置1の回転角度(傾き)が、第3デジタル角度Kθとして算出され、かかる傾きを補正するための可動部30aの移動量が、位置Sの回転方向成分Sθとして、算出されステップS62、S63の演算に使用される。
従って、図8の時点t2から時点t3までの間は、可動部30aは移動中心位置に駆動制御され、ブレ演算としては、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθ、第3デジタル角度Kθ、及び可動部30aの移動すべき位置Sの回転方向成分Sθの算出までが行われる(ブレ演算(b))。
ステップS59で、像ブレ補正パラメータSRの値が0か否かが判断される。SR=0すなわち補正モードでない場合は、ステップS60で、可動部30aの移動すべき位置S(Sx、Syl、Syr)が可動部30aの移動中心位置と同じに設定される(Syl=Syr、図6の(4)参照)。
従って、像ブレ補正モードでない場合であって、図8の時点t3から時点t6までの間は、可動部30aは移動中心位置に駆動制御され、ブレ演算としては、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθの算出までが行われる(ブレ演算(a))。
SR=1すなわち補正モードの場合は、ステップS61で、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθに基づいて、第1、第2、第3デジタル角度Kx、Ky、Kθが算出され(図6の(7)(8)参照)、ステップS62で、第1、第2デジタル角度Kx、Kyとレンズ情報係数fとに基づいて、可動部30aの移動すべき位置Sの第1方向x成分Sx、第2方向y成分Syが算出され(図6の(3)参照)、第3デジタル角度Kθとホール素子間隔係数hsdとに基づいて、可動部30aの移動すべき位置Sの回転方向成分Sθが算出される(図6の(3)参照)。可動部30aの移動すべき位置Sの第2方向y成分Sy、回転方向成分Sθに基づいて、可動部30aの移動すべき位置Sの第1、第2鉛直方向成分Syl、Syrが算出される(図6の(4)参照)。
従って、像ブレ補正モードである場合であって、図8の時点t3から時点t6までの間は、可動部30aは像ブレ補正処理に対応した移動すべき位置に駆動制御され、ブレ演算としては、第1、第2、第3デジタル角速度VVx、VVy、VVθ、第1、第2、第3デジタル角度Kx、Ky、Kθ、及び可動部30aの移動すべき位置Sの第1方向x成分Sx、第2方向y成分Sy、回転方向成分Sθ、第1、第2鉛直方向成分Syl、Syrの算出までが行われる(ブレ演算(c))。
ステップS63で、ステップS58、S60、S62のいずれかで設定した位置S(Sx、Syl、Syr)と現在位置P(pdx、pdyl、pdyr)より可動部30aの移動に必要な駆動力Dすなわち第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2を駆動するのに必要な水平方向駆動力Dx(水平方向PWMデューティdx)と、第1鉛直方向駆動用コイル32a1を駆動するのに必要な第1鉛直方向駆動力Dyl(第1鉛直方向PWMデューティdyl)と、第2鉛直方向駆動用コイル32a2を駆動するのに必要な第2鉛直方向駆動力Dyr(第2鉛直方向PWMデューティdyr)が演算される(図6の(5)参照)。ステップS64で水平方向PWMデューティdxにより駆動用ドライバ回路29を介し第1、第2水平方向駆動用コイル31a1、31a2が駆動され、第1鉛直方向PWMデューティdylにより駆動用ドライバ回路29を介し第1鉛直方向駆動用コイル32a1が駆動され、第2鉛直方向PWMデューティdyrにより駆動用ドライバ回路29を介し第2鉛直方向駆動用コイル32a2が駆動され、可動部30aが移動せしめられる(図6の(6)参照)。ステップS63、S64の動作は、一般的な比例、積分、微分演算を行うPID自動制御で用いられる自動制御演算である。
なお、撮像装置1は、ミラーアップ動作が行われる一眼レフカメラであるとして説明したが、ミラーアップ動作がない撮像装置であっても、レリーズボタン13の全押し動作から、露光が開始されるまでの間のタイムラグが長い撮像装置であればよい。この場合、第3デジタル角度Kθ、及び移動すべき位置Sの回転方向成分Sθの算出演算は、レリーズスイッチ13aがオン状態にされた後の第1時点(例えば時点t2などレリーズスイッチ13aがオン状態にされた直後)から行われ、第1、第2デジタル角度Kx、Ky、及び位置Sの第1方向x成分Sx、第2方向y成分Syの算出演算は、第1時点よりも後の第2時点(例えば時点t3など露光が開始される直前)から行われる。
また、磁界変化検出素子としてホール素子を利用したホール素子部44aによる位置検出を説明したが、磁界変化検出素子として別の検出素子を利用してもよい。具体的には、磁界の変化を検出することにより可動部の位置検出情報を求めることが可能なMIセンサ(高周波キャリア型磁界センサ)、または磁気共鳴型磁界検出素子、MR素子(磁気抵抗効果素子)であり、ホール素子を利用した本実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における撮像装置の外観を示す背面からみた斜視図である。 撮像装置の正面図である。 撮像装置の回路構成図である。 撮像装置のメイン動作処理を示すフローチャートである。 割り込み処理を示すフローチャートである。 像ブレ補正処理における各手順の詳細と演算式を示す図である。 可動部の構成図を示す図である。 カメラメイン動作と手ブレ補正動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 撮像装置
11 Ponボタン
12a 測光スイッチ
13 レリーズボタン
13a レリーズスイッチ
14 像ブレ補正ボタン
14a 像ブレ補正スイッチ
17 LCDモニタ
18 ミラー絞りシャッタ部
19 DSP
21 CPU
23 AE部
24 AF部
25 角速度検出部
26a、26b、26c 第1、第2、第3角速度センサ
27a、27b、27c 第1、第2、第3ハイパスフィルタ回路
28a、28b、28c 第1、第2、第3アンプ回路
29 駆動用ドライバ回路
30 像ブレ補正部
30a 可動部
30b 固定部
31a1、31a2 第1、第2水平方向駆動用コイル
32a1、32a2 第1、第2鉛直方向駆動用コイル
39a 撮像部
39a1 撮像素子
411b1、411b2 第1、第2水平方向位置検出及び駆動用磁石
412b1、412b2 第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用磁石
431b1、431b2 第1、第2水平方向位置検出及び駆動用ヨーク
432b1、432b2 第1、第2鉛直方向位置検出及び駆動用ヨーク
44a ホール素子部
45 ホール素子信号処理回路
67 撮影レンズ
Kx、Ky、Kθ 第1、第2、第3デジタル角度
dx 水平方向PWMデューティ
dy1、dy2 第1、第2鉛直方向PWMデューティ
Dx 水平方向駆動力
Dyl、Dyr 第1、第2鉛直方向駆動力
f レンズ情報係数
hh10 水平方向ホール素子
hv1、hv2 第1、第2鉛直方向ホール素子
hsd ホール素子間隔係数
hx、hy、hθ 第1、第2、第3ハイパスフィルタ時定数
LX 撮影レンズの光軸
MP ミラー状態管理パラメータ
pdx A/D変換後の位置Pの水平方向成分
pdyl A/D変換後の位置Pの第1鉛直方向成分
pdyr A/D変換後の位置Pの第2鉛直方向成分
px 水平方向検出位置信号
pyl、pyr 第1、第2鉛直方向検出位置信号
RP レリーズ状態管理パラメータ
Sxの水平方向成分
Syの鉛直方向成分
Syl、Syrの第1、第2鉛直方向成分
Sθのxy平面上の回転角度成分
vx、vy、vθ 第1、第2、第3角速度
Vx、Vy、Vθ 第1、第2、第3デジタル角速度信号
VVx、VVy、VVθ 第1、第2、第3デジタル角速度

Claims (6)

  1. 撮像素子を有する可動部と、
    像ブレ補正処理の為に、前記可動部の移動制御を行う制御部とを備え、
    前記制御部は、前記像ブレ補正処理のために、ヨーイングに基づく第1ブレ角度、ピッチングに基づく第2ブレ角度、及びローリングに基づく第3ブレ角度を求めるブレ量算出演算を行い、
    前記第3ブレ角度を求める演算は、レリーズスイッチがオン状態にされた後の第1時点から行われ、
    前記第1、第2ブレ角度を求める演算は、前記第1時点よりも後であって露光が開始される以前の第2時点から行われることを特徴とする像ブレ補正装置。
  2. 前記可動部の特定方向の位置を検出する第1、第2磁界変化検出素子をさらに備え、
    前記制御部は、前記第3ブレ角度、及び前記第1、第2磁界変化検出素子の配置間隔とに基づいて、前記像ブレ補正処理のための前記可動部の位置の回転方向成分を算出する演算を、前記第1時点以降に行うことを特徴とする請求項1に記載の像ブレ補正装置。
  3. 前記制御部は、前記第1、第2ブレ角度、及び前記可動部の位置の回転方向成分に基づく前記可動部の移動すべき位置を算出する移動位置算出演算、及び前記移動位置算出演算により求められた位置への移動を、前記第2時点以降に行うことを特徴とする請求項2に記載の像ブレ補正装置。
  4. 前記制御部は、前記第1時点から前記第2時点までの間は、前記可動部を移動範囲内の中心近傍に移動させることを特徴とする請求項3に記載の像ブレ補正装置。
  5. ミラーアップ動作を行うミラーを更に備え、
    前記第1時点は、前記レリーズスイッチがオン状態にされた後で前記ミラーアップ動作が開始された時点であり、
    前記第2時点は、前記ミラーアップ動作が完了した時点であることを特徴とする請求項1に記載の像ブレ補正装置。
  6. 撮像素子を有する可動部と、像ブレ補正処理の為に前記可動部の移動制御を行う制御部とを有する像ブレ補正部と、
    レリーズスイッチとを備え、
    前記制御部は、前記像ブレ補正処理のために、ヨーイングに基づく第1ブレ角度、ピッチングに基づく第2ブレ角度、及びローリングに基づく第3ブレ角度を求めるブレ量算出演算を行い、
    前記第3ブレ角度を求める演算は、前記レリーズスイッチがオン状態にされた後の第1時点から行われ、
    前記第1、第2ブレ角度を求める演算は、前記第1時点よりも後であって露光が開始される以前の第2時点から行われることを特徴とする撮像装置。
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