JP2008244412A - 放射線検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線検出器の記録用光導電層の結晶化を抑制するとともに、放射線検出器を剥離に対する安定性と整流特性に優れたものとする。
【解決手段】記録用の放射線に対して透過性を有する第1の電極層1、記録用の放射線を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層2、第1の電極層1で発生した潜像極性電荷を蓄積する蓄電部、読取用電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層4、読取用電磁波に対して透過性を有する第2の電極層5をこの順に積層してなる放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線検出装置10において、記録用光導電層2と第1の電極層1の間、または読取用光導電層4と第2の電極層5との間に電子輸送性材料を含有した電荷輸送層6を有し、電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層2または読取用光導電層4の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線などの放射線撮像装置に適用して好適な放射線検出装置に関するものである。
医療診断を目的とする放射線撮影において、放射線を検出して電気信号に変換する放射線検出器(半導体を主要部とするもの)を使用した放射線検出装置が知られている。放射線検出器としては、放射線を直接電荷に変換し電荷を蓄積する直接変換方式と、放射線を一度CsI:Tl、GOS(GdS:Tb)などのシンチレータで光に変換し、その光を光導電層で電荷に変換し蓄積する間接変換方式がある。また、読取り方式から、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出器により読み取る、いわゆる光読取方式と、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などの電気的スイッチを1画素ずつON・OFFすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)に大別される。
直接変換方式の放射線画像検出器は、放射線感応型の半導体膜(記録用光導電層)の表面に形成された電圧印加電極に所定のバイアス電圧を印加するとともに、半導体膜の裏面に形成されたキャリア収集電極で放射線照射に伴って生成したキャリアを収集して放射線検出信号として取り出すことにより放射線の検出を行う構成となっており、記録用光導電層は、高い暗抵抗を有し、応答速度が優れているという利点からアモルファス−Se(a−Se)により形成されることが多い。
また、電圧印加電極と光導電層の界面に整流特性を持たせ、暗電流を低減するためにキャリア選択性半絶縁体層を設けることが多く、例えば、特許文献1にはキャリア選択性半絶縁体層として、Sbが記載されている。また、光導電層(放射線感応型半導体層)の一方または両方にキャリア選択性半絶縁体もしくは誘電体層を形成することが提案されており、特許文献2および3にはSbが例示されている。
しかし、記録用光導電層がa−Seで形成されている場合に、この上に蒸着等でキャリア選択性半絶縁体層を成膜すると、蒸着過程の熱によってa−Se層が結晶化して、画像欠陥の発生、ノイズの発生、S/N比の低下につながるという問題がある。また、例えば、キャリア選択性半絶縁体層として、Sb層を形成した場合には、a−Se層との熱膨張係数の差が大きいため、環境温度の変化および基板の反りによって、Sb層に亀裂が生じることがある。
一方、a−Se層界面の結晶化を抑制するために、たとえば、特許文献4および5には、結晶化抑制層としてドープしたポリマー層を設けることが提案されている。
また、特許文献6には、X線電荷変換膜と電極との間に有機膜を具備し、この有機膜に導電性金属または導電性炭素を含有することが提案されている。この場合、有機層によって、基板、下地の表面に対して平坦化された層を敷設することはできる。しかしながら、導電性金属または導電性炭素を含有する技術では、有機層は抵抗値の高い電極として機能するだけであり、整流特性を持たない。したがって、暗電流を低減するには不十分である。また残像特性も悪化させるという問題がある。
また、特許文献7には、残像低減のために、TFTパネル上に記録用光導電層/非絶縁性有機層/電圧電荷電極の構成をとるX線画像記録装置が提案されている。この場合、記録用光導電層に印加された高電圧が外部に放電しないように、絶縁性樹脂等によりモールドする必要があるが、エポキシ樹脂等の硬化型樹脂を導入した場合、硬化前の樹脂等により被絶縁性有機層が溶解浸食される可能性があり、膜の安定性に問題がある。
米国特許5880472号明細書 特開2001−68656号公報 特開2001−284628号公報 特開2003−270805号公報 特開2004−165480号公報 特開2006−156555号公報 米国特許出願公開第2006/0180768号明細書
ドープしたポリマー層をホールブロック層として用いる場合、電子輸送性材料をドープすることが望ましいが、有機EL等の有機エレクトロニクス分野で知られている電子輸送性材料のEaは、たとえばa−SeのEaに比べると小さいため、電子ブロック層としても作用してしまい、本来の電子輸送性が十分に得られなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、記録用光導電層の結晶化等による劣化を抑制するとともに、剥離に対する安定性と、暗電流、残像等の電気特性に優れた放射線検出器を提供することを目的とするものである。
本発明の放射線検出装置は、記録用の放射線または該放射線の励起により発せられる光に対して透過性を有する第1の電極層、前記記録用の放射線または前記光の照射を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層、前記第1の電極層で発生した潜像極性電荷を蓄積する蓄電部、読取用電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、前記読取用電磁波に対して透過性を有する第2の電極層をこの順に積層してなる放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線検出装置において、第1の電極層と第2の電極層の間に電子輸送性材料を含有する電荷輸送層を有し、前記電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVであることを特徴とするものである。
また、別の態様として本発明の放射線検出装置は、記録用の放射線または該放射線の励起により発せられる光に対して透過性を有し、バイアス電圧が印加される電圧印加電極と、前記放射線または前記光の照射を受けて電荷を発生する記録用光導電層と、キャリア収集電極と、前記記録用光導電層において発生した電荷を蓄積する蓄電部および該蓄電部に蓄積された電荷信号を読み出す読み出し機構とをこの順に積層してなる放射線検出装置において、前記記録用光導電層と前記電圧印加電極との間、または前記記録用光導電層と前記キャリア収集電極との間に電子輸送性材料を含有する電荷輸送層を有し、前記電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVであることを特徴とするものである。
前記電子輸送性材料の電子親和力Ea1は、−3.3eV以上であることが好ましい。
前記電荷輸送層に含まれる電子輸送性材料のうち、少なくとも1種が、フラーレン、カーボンナノチューブ等のカーボンクラスターであることが好ましく、特には、酸化フラーレンであることが好ましい。
また、前記電荷輸送層に含まれる電子輸送性材料のうち、少なくとも1種は、下記一般式(A−1)または一般式(B−1)で表されるいずれかの化合物であってもよい。
Figure 2008244412
(一般式(A−1)中、LA1は連結基を、ZA1は含窒素ヘテロ環の形成に必要な原子群を、nA1は2以上の整数を表す。但し、一般式(A−1)で表される化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の窒素原子を有する。)
Figure 2008244412
(一般式(B−1)中、LB1は連結基を、ZB1は、芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環の形成に必要な原子群を、nB1は2以上の整数を表す。但し、一般式(B−1)で表される化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の窒素原子を有する。)
前記電荷輸送層に含まれる電子輸送性材料の濃度は、前記電荷輸送層に含まれるポリマーに対して、0.01wt%〜50wt%であることが好ましい。
上記別の態様として記載した本発明の放射線検出装置において、前記電荷輸送層を前記記録用光導電層と前記電圧印加電極との間に設け、かつ前記電荷輸送層に対して前記キャリア収集電極が設けられている側とは反対側の界面に、前記電荷輸送層よりも広い面積で無機中間層を設けることが好ましい。
前記無機中間層の主成分は、硫化アンチモン(Sb23)であることがより好ましい。ここで、主成分とは、50%以上の含有率を有する意味である。
本発明の放射線検出装置は、第1の電極層と第2の電極層の間に電子輸送性材料を含有する電荷輸送層を有し、電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVと、本発明の放射線検出装置の別の態様として、記録用光導電層と電圧印加電極との間、または記録用光導電層とキャリア収集電極との間に電子輸送性材料を含有する電荷輸送層を設け、電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVとしたので、記録用光導電層の結晶化を抑制するとともに、剥離に対する安定性と整流特性に優れたものとすることができる。
放射線画像検出器には、放射線を直接電荷に変換し電荷を蓄積する直接変換方式と、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、その光を光伝導性層で電荷に変換し蓄積する間接変換方式があるが、本発明の電荷輸送層は前者の直接変換方式にも、a−Se、有機半導体等の光導電層を用いた間接変換型の光−電子変換層にも用いることができる。なお、放射線としてはX線の他、γ線、α線などについて使用することが可能である。
また、本発明の電荷輸送層は、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出器により読み取る、いわゆる光読取方式にも、また、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などの電気的スイッチを1画素ずつON・OFFすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)にも用いることができる。
まず、前者の光読取方式に用いられる放射線検出装置を例にとって説明する。図1は放射線検出装置の一実施の形態を示す断面図を示すものである。
放射線検出装置10は、記録用の放射線に対して透過性を有する第1の電極層1、記録用の放射線の照射を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層2、読取用電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層4、読取用電磁波に対して透過性を有する第2の電極層5を基板7上にこの順に積層してなり、読取用光導電層4と第2の電極層5との間には、電荷輸送層6が設けられてなる。蓄電部は、記録用光導電層2と読取用光導電層4との界面となる。
なお、図1では、読取用光導電層4と第2の電極層5との間には、電荷輸送層6が設けられている構成を示しているが、電荷輸送層6は、第1の電極層1と記録用光導電層2との間に設けてもよく、この場合、第1の電極層1への印加電圧が正バイアスの場合は、記録用光導電層2と第1の電極層1の間に、また、負バイアスの場合は、読取用光導電層4と第2の電極層5の間に設けられることが好ましい。
ここで、第1の電極層1および第2の電極層5としては、例えば、透明ガラス板上に導電性物質を一様に塗布したもの(ネサ皮膜等)、より具体的には、多結晶ITO(In23:Sn)、アモルファスITO(In23:Sn)、アモルファスIZO(In23:Zn)、ATO(SnO2:Sb)、FTO(SnO2:F)、AZO(ZnO:Al)、GZO(ZnO:Ga)、金、銀、白金、アルミニウム、インジウム等の薄膜、10〜1000nm程度のサイズからなる貴金属(白金、金、銀)の分散物の塗布膜等が好ましい。
読取用光導電層4には、a−Se,Clを10〜200ppmドープしたa−Se、Se−Te,Se−As−Te,As2Se3、無金属フタロシアニン,金属フタロシアニン,MgPc( Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine),CuPc(Cupper phtalocyanine)、Bi12MO20 (M:Ti、Si、Ge)、Bi4312 (M:Ti、Si、Ge)、Bi23、BiMO4(M:Nb、Ta、V)、Bi2WO6、Bi24239、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe,MNb03(M:Li、Na、K)、PbO,HgI2、PbI2 ,CdS、CdSe、CdTe、BiI3等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。
記録用光導電層2は、放射線の照射を受けることにより電荷を発生するものであればよく、放射線に対して比較的量子効率が高く、また暗抵抗が高いなどの点で優れているa−Seを主成分とするものが好適である。
次に、後者のTFT方式を用いた放射線検出装置について説明する。図2は本発明の放射線検出装置の一実施の形態を示す概略断面図である。
放射線検出装置110は、スイッチングTFTからなる読み取り回路と画素電極とからなるキャリア収集電極107上に、下部無機中間層102、結晶化抑制層103、電磁波の照射を受けることにより電荷を発生する記録用光導電層104、電子輸送性材料を含有してなる電荷輸送層105、上部無機中間層106、画像情報を担持した記録用の電磁波を透過する正バイアスを印加した電圧印加電極101がこの順に積層され、電圧印加電極101上に設けられたガラス板108と、四方を囲む樹脂枠109とによって形成された空間が樹脂111によって充填されたものである。
キャリア収集電極107は、各画素毎に対応してTFTが形成されており、電圧印加電極101とキャリア収集電極107との間に電圧を印可すると電圧印加電極101に正バイアスが印可される。なお、各TFTの出力ラインは不図示の信号検出手段に接続されている。
電圧印加電極101は、放射線に対して透過性を有するものであればよく、例えば、100nm厚のAlやAuなどを用いることができる。また、電圧印加電極101は、例えばネサ皮膜(SnO)、ITO(Indium Tin Oxide)、アモルファス状光透過性酸化膜であるIDIXO(Idemitsu Indium X−metal Oxide ;出光興産(株))などを50〜200nm厚にして用いることもできる。
記録用光導電層104は、放射線の照射を受けることにより導電性を呈するものであればよく、放射線に対して比較的量子効率が高く、また暗抵抗が高いなどの点で優れているa−Seを主成分とするものを使用することができる。ここで、a−Seを主成分とするとは、記録用光導電層の成分においてa−Seの重量パーセント成分が最も高いものを意味する。
下部無機中間層102および上部無機中間層106は、記録用光導電層104から各々キャリア収集電極107および電圧印加電極101に向かって流れる電荷を輸送し、且つ下部無機中間層102については、その電荷と逆極性の輸送電荷に対しては、ほぼ絶縁体として作用することが望ましい。下部無機中間層102および上部無機中間層106としては、カルコゲニド化合物薄膜層を用いることができ、硫化アンチモン(Sb23)、硫化亜鉛(ZnS)、As、CdS、CdZnTe等が挙げられる。a−Seに対しては、発生電荷の輸送性の観点からは、好ましくは、As、Sbを用いることができ、さらに好ましくは、Sb23を用いることができる。下部無機中間層102および上部無機中間層106は、0.1μm〜10μmの厚みで用いることができる。
なお、図2では、電荷輸送層105と電圧印加電極101との間に上部無機中間層106を設けた態様を示しているが、上部無機中間層106を設けない態様としてもよい。また、上部無機中間層106を設ける場合は、少なくとも電荷輸送層105、記録用光導電層104よりも成膜領域が広くなるようにすることが好ましい。これは、領域111に例えば硬化型樹脂等を注入する際に、電荷輸送層105中の有機高分子が、未硬化の樹脂に溶解浸食される可能性があるためである。
結晶化抑制層103は、記録用光導電層104の下部無機中間層102との界面の結晶化を抑制するために設ける層であり、As,Sb,Biのうちの少なくともいずれかを0.1wt%〜40wt%の範囲で含有するa−Se層を用いることができる。結晶化抑制層103は、0.02〜1μmの厚みで用いることができる。
記録用光導電層104と電荷輸送層105の間には、さらに結晶化抑制層を設けても良い。例えば、Asを10%含有したSe原料を蒸着により成膜して0.15μmの結晶化抑制層を形成することができる。
続いて、上記の光読取方式に用いられる放射線検出装置、TFT方式に用いられる放射線検出装置の電荷輸送層に含有される電子輸送性材料について説明する。電子輸送性材料は、前者の光読取方式に用いられる放射線検出装置の場合、電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層または読取用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVとなるように、後者のTFT方式に用いられる放射線検出装置の場合、電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVとなるように選択される。Ea1−Ea2が0.4eV以上となると、電荷輸送層が電子ブロック層としても作用してしまい、整流特性を向上させることはできない。特に、電子輸送性材料のEa1は、−3.3eV以上であることが好ましい。このような、電子輸送性材料としては以下のようなものがあげられる。
まず、フラーレンおよびカーボンナノチューブ等のカーボンクラスターを用いることができる。ここで、カーボンクラスターとは、炭素原子が、炭素−炭素間結合の種類は問わず数個から数百個結合して形成されている集合体であって、必ずしも100%炭素クラスター のみで構成されているとは限らず、他原子の混在や、置換基を有する場合も含むものである。電子輸送性材料として用いるカーボンクラスターは、例えば、フラーレン類の1種あるいは数種を含有してなるものである。
ここで用いられるフラーレンとは、sp2炭素よりなる球状あるいはラグビーボール状のカーボンクラスターの総称であり、一般にC60、C70、C76、C78、C84等が知られている。本発明では、これらを単独で、あるいは混合物として用いることできる。好適には、C60とC70の混合物を用いることができる。また、フラーレンを酸化した酸化フラーレンを好適に用いることができる。酸化フラーレンとしては、C60(O)1、C60(O)2、C60(O)3等の混合物を用いることができる。好適には、下記一般式に示すような、酸素置換基がレギオ選択則に従って集合して付加している化合物が好ましく、官能基が付加したものであってもよい。
Figure 2008244412
また、本発明の電子輸送材料としては、下記一般式(A−1)、(B−1)で表される化合物も好適に用いることができる。まず、一般式(A−1)で表される化合物について説明する。
Figure 2008244412
(一般式(A−1)中、LA1は連結基を、ZA1は含窒素ヘテロ環の形成に必要な原子群を、nA1は2以上の整数を表す。但し、一般式(A−1)で表される化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の窒素原子を有する。)
一般式(A−1)におけるLA1は連結基を表す。LA1で表される連結基としては、単結合の他、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子、ゲルマニウム原子等を含んで形成される連結基が好ましい。LA1としてより好ましくは、単結合、炭素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、酸素原子、硫黄原子、ゲルマニウム原子、芳香族炭化水素環、及び芳香族ヘテロ環であり、さらに好ましくは炭素原子、ケイ素原子、芳香族炭化水素環、及び芳香族ヘテロ環であり、さらに好ましくは、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環、及び炭素原子であり、さらに好ましくは、二価以上の芳香族炭化水素環、及び二価以上の芳香族ヘテロ環であり、特に好ましくは1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,5,6−ベンゼンテトライル基、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサイル基、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン基、2,4,6−ピリジントリイル基、2,3,4,5,6−ピリジンペンタイル基、2,4,6−ピリミジントリイル基、2,4,6−トリアジントリイル基、及び2,3,4,5−チオフェンテトライル基である。
A1で表される連結基の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008244412
Figure 2008244412
Figure 2008244412
A1は更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスメチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シシリル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基、フッ素原子である。
A1としては、上記の中で特に下記の2,4,6−トリアジントリイル基が好ましい。
Figure 2008244412
一般式(A−1)におけるZA1は、含窒素ヘテロ環の形成に必要な原子群を表し、ZA1を含んで形成される含窒素ヘテロ環は、単環であっても二環以上の環が縮合した縮環であってもよい。ZA1を含んで形成される含窒素ヘテロ環として好ましくは、5〜8員の含窒素ヘテロ環であり、より好ましくは5〜7員の含窒素ヘテロ環であり、更に好ましくは5又は6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、特に好ましくは5員の芳香族ヘテロ環である。LA1に連結する複数の、ZA1を含んで形成される含窒素ヘテロ環は、同一でも異なっていてもよい。
A1を含んで形成される含窒素ヘテロ環の具体例としては、例えば、ピロール環、インドール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアザイゾール環、アザインドール環、カルバゾール環、カルボリン環(ノルハルマン環)、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環、プリン環、ピラゾ−ル環、インダゾール環、アザインダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、アゼピン環、イミノスチルベン環(ジベンゾアゼピン環)、トリベンゾアゼピン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環等が挙げられ、好ましくはオキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環であり、より好ましくはベンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環である。
A1は可能であればさらに他の環と縮合環を形成してもよく、また置換基を有していてもよい。ZA1に導入可能な置換基としては、例えば、一般式(A−1)におけるLA1の置換基として挙げたものが適用でき、好ましい範囲も同様である。
A1は2以上の整数を表し、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6を表す。
一般式(A−1)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
Figure 2008244412
次に、一般式(B−1)で表される化合物について説明する。
Figure 2008244412
(一般式(B−1)中、LB1は連結基を、ZB1は、芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環の形成に必要な原子群を、nB1は2以上の整数を表す。但し、一般式(B−1)で表される化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の窒素原子を有する。)
一般式(B−1)におけるLB1は連結基を表す。LB1で表される連結基としては、前記一般式(A−1)における連結基LA1の具体例として挙げたものが適用できる。LB1として好ましくは、単結合、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子であり、より好ましくは、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環であり、さらに好ましくは1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,5,6−ベンゼンテトライル基、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサイル基、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン基、2,4,6−ピリジントリイル基、2,3,4,5,6−ピリジンペンタイル基、2,4,6−ピリミジントリイル基、2,4,6−トリアジントリイル基、2,3,4,5−チオフェンテトライル基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子である。
B1はさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、前記一般式(A−1)におけるLA1の置換基として挙げたものが適用でき、好ましい範囲も同様である。
B1としては、上記の中でも特に1,3,5−ベンゼントリイル基が好ましい。
B1は芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表し、ZB1を含んで形成される芳香族炭化水素環、又は芳香族ヘテロ環は、単環であっても二環以上の環が縮合した縮環であってもよい。LB1に連結する複数の、ZB1を含んで形成される芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環は、同一でも異なっていてもよい。
B1を含んで形成される芳香族炭化水素環は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環であり、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、トリフェニレン環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環である。
B1を含んで形成される芳香族ヘテロ環は、単環又は二環以上の環が縮合した縮合環のヘテロ環であり、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜10の芳香族ヘテロ環である。該ヘテロ環として好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の少なくとも一つを含む芳香族ヘテロ環である。ZB1で含んで形成されるヘテロ環の具体例としては、例えば、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、プテリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、ピリミジン環、キナゾリン環、ピリダジン環、シンノリン環、フタラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、インダゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、イソチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、インドール環、イミダゾピリジン環、カルバゾール環、フェナントロリン環等が挙げられ、好ましくはピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、ピリミジン環、キナゾリン環、ピリダジン環、フタラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、インダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾピリジン環、カルバゾール環、フェナントロリン環であり、より好ましくはピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピラジン環、キノキサリン環、ピリミジン環、キナゾリン環、ピリダジン環、フタラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾピリジン環、フェナントロリン環であり、更に好ましくはベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾピリジン環、フェナントロリン環であり、特に好ましくはベンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環である。
B1を含んで形成される芳香族炭化水素環、又は芳香族ヘテロ環は、さらに他の環と縮合環を形成してもよく、また、置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、例えば、前記一般式(A−1)におけるLA1の置換基として挙げたものが適用でき、好ましい範囲も同様である。
B1は2以上の整数を表し、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6を表す。
一般式(B−1)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
Figure 2008244412
上記の電子輸送性材料は、電荷輸送層に含まれるポリマーに対して、0.01wt%以上含むことが好ましく、さらには1〜50wt%の範囲で含むことが好ましい。正孔ブロック性材料が、0.01wt%よりも少ない場合には、正孔ブロックの機能が不十分となり、残像特性が悪化する。逆に50wt%よりも多い場合には、ポリマーのバインダーとしての性能が不十分となり、膜の安定性、光導電層に対する密着性が悪化するため好ましくない。
電荷輸送層に含まれるポリマーとしては、アクリル系有機樹脂、ポリイミド、BCB,PVA、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミドが上げられる。特に、アクリル系有機樹脂、ポリカーボネートが好ましく、中でもポリカーボネートZ(PCz)が特に好ましい。
本発明で示す電子親和力(Ea)とは、真空準位(E)とLUMO(ELUMO)のエネルギー準位の差に相当し、Ea=E−ELUMOで表され、負の値で示される。Ea値は、例えば、イオン化ポテンシャル(Ip)とバンドギャップから算出することができる。Ipは、例えば、紫外線光電子分析装置AC−1(理研計器(株)製)や紫外線光電子分光法(UPS)により測定できる。また、各材料の単層膜の吸収スペクトルからバンドギャップを算出することができ、これと併せて、Eaを算出することができる。
(実施例1)
スイッチングTFTが配列された基板上に、2μmの膜厚の硫化アンチモン(Sb)からなる下部無機中間層を形成した。次に、Asを3%含有したSe原料を蒸着により成膜して膜厚0.15μmの結晶化抑制層を形成した。続いて、Naを10ppm含有したSe原料を蒸着により成膜して、膜厚1000μmの非晶質Seから成る記録用光導電層を形成した。
次に、フラーレンを含有した電荷輸送層を成膜した。フラーレンC60は、フロンティアカーボン株式会社製、nanom purpule(C60)を使用した。o−ジクロロベンゼンに2.5wt%のポリカーボネート樹脂(PCz)、さらにPCzに対して30wt%のフラーレンC60を溶解して、塗布溶液を作製した。この溶液を該記録用光導電層上にスピンコートにより成膜して、真空乾燥機で溶剤を蒸発させ、膜厚0.2μmの電荷輸送層を得た。最後に、金属Auを蒸着により成膜して、膜厚0.1μmの電圧印加電極を形成した。
(実施例2)
実施例1において、フラーレンC60の代わりに、電子輸送材料1(ETM1)をPCzに含有したこと以外は、実施例1と同様にして、放射線検出装置を作製した。
(実施例3)
実施例1において、フラーレンC60の代わりに、電子輸送材料2(ETM2)をPCzに含有したこと以外は、実施例1と同様にして、放射線検出装置を作製した。
(実施例4)
実施例1において、フラーレンC60のPCzに対する含有量を0.01wt%とした以外は、実施例1と同様にして放射線検出装置を作製した。
(実施例5)
実施例1において、フラーレンC60のPCzに対する含有量を50wt%とした以外は、実施例1と同様にして放射線検出装置を作製した。
(実施例6)
実施例1において、外枠とガラス板を用いて、電圧印加電極上に空間を作り、この空間に二液混合型の常温硬化型エポキシ樹脂(Araldite2020)の混合液を注入し、エポキシ樹脂を硬化させた以外は、実施例1と同様にして放射線検出装置を作製した。
(実施例7)
実施例6において、電荷輸送層と電圧印加電極の間に電荷輸送層よりも広い面積で、膜厚0.3μmの硫化アンチモン(Sb23)からなる上部無機中間層を設けた以外は、実施例6と同様にして放射線検出装置を作製した。
(比較例1)
有機層の代わりに、硫化アンチモン(Sb)を蒸着して膜厚0.5μmの電荷輸送層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、放射線検出装置を作製した。
(比較例2)
フラーレンC60を含有させずに、PCzのみをスピンコートにより成膜して、電荷輸送層を成膜したこと以外は、実施例1と同様にして、放射線検出装置を作製した。
(比較例3)
実施例1において、フラーレンC60の代わりに、電子輸送材料3(ETM3)をPCzに含有したこと以外は、実施例1と同様にして、放射線検出装置を作製した。
(比較例4)
フラーレンC60の代わりに、導電性炭素(カーボンパウダー)をPCzに含有したこと以外は、実施例1と同様にして、放射線検出装置を作製した。
実施例および比較例で用いた、ETM1,ETM2,ETM3の構造を以下に示す。
Figure 2008244412
Figure 2008244412
Figure 2008244412
(評価)
暗電流は、基板上のテストパターンで測定した。電圧印加電極に+10kVの電圧を印加し、キャリア収集電極をグランドに接続して測定した。
残像は、管電圧80kVで、計300mRのX線パルスを照射して、パルス照射中の明電流値(I)と、パルス終端から15秒後のリーク電流値(I)の比の常用対数値log(IA/IL)で評価した。この値が大きいほど、残像が少ないことに相当し、本評価のラグ値としては、3.0以上が好ましく、3.2以上がより好ましい。
剥離および電荷輸送層のひび割れは、作製した放射線検出装置を35℃10時間−10℃10時間のサイクルを10回くりかえした後、非晶質Se層と電荷輸送層の剥離の有無、電荷輸送層のひび割れの有無を観察して評価した。結果を表1に示した。
Figure 2008244412
表1から、実施例1〜3と比較例1の比較から、本発明のX線検出装置は、剥離、ひび割れに関して、Sb23よりも良好であることが明らかである。また比較例2との比較から、電子輸送性材料を含有することによって残像が改良されていることが明らかである。また比較例3との比較から、Ea1−Ea2<0.4eVの条件を満たす電子輸送性材料を含有することによって残像が改良されていることが明らかである。また比較例4との比較から、整流特性をもたない材料を電荷輸送層に用いた場合は、暗電流が悪化することがわかる。
また、実施例4との比較から電子輸送性材料の含有量を0.001wt%より少なくすると、残像特性が悪化し、実施例5との比較から50wt%より多くすると、密着性が悪化することがわかる。
さらに、実施例6と7の比較から高圧対策のモールドのためにエポキシ樹脂等を用いる場合には、電荷輸送層と電圧印加電極の間に、Sb等の無機中間層を設けることで、電荷輸送層の溶解が防止され、膜の安定性が得られることがわかる(なお、実施例6では外周部に剥離が生じた)。
(実施例8)
第2の電極層(ITO)を有する基板上に、実施例1と同様にして、フラーレンをC60を30wt%含有するPCz層をスピンコートにより成膜して、膜厚0.2μmの電荷輸送層を形成した。次に、As3%を含有するSe原料を蒸着して膜厚0.15μmの結晶化抑制層を形成し、その上にNaを10ppmを含有するSe原料を蒸着して膜厚10μmの読取用光導電層を形成し、その上にAs2Se3を蒸着して膜厚0.8μmの蓄電部を形成した。更に、Naを10ppmを含有するSe原料を蒸着して膜厚200μmの記録用光導電層を形成し、続いてAs3%を含有するSe原料を蒸着して膜厚0.15μmの結晶化抑制層を形成し、その上に、Auを蒸着して、膜厚80nmの第1の電極層を形成して、放射線検出装置を作製した。本構成の放射線検出装置についても、暗電流、残像、剥離、ひび割れについて良好な結果が得られた。
本発明の放射線画像検出器の一実施の形態を示す概略断面図 本発明の放射線画像検出器の別の実施の形態を示す概略断面図
符号の説明
1 第1の電極層
2 記録用光導電層
4 読取光導電層
5 第2の電極層
6 電荷輸送層
10 放射線画像検出装置
110 放射線画像検出装置
101 電圧印加電極
102 下部無機中間層
103 結晶化抑制層
104 記録用光導電層
105 上部無機中間層
106 電荷輸送層
107 キャリア収集電極

Claims (9)

  1. 記録用の放射線または該放射線の励起により発せられる光に対して透過性を有する第1の電極層、前記記録用の放射線または前記光の照射を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層、前記第1の電極層で発生した潜像極性電荷を蓄積する蓄電部、読取用電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、前記読取用電磁波に対して透過性を有する第2の電極層をこの順に積層してなる放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線検出装置において、
    第1の電極層と第2の電極層の間に電子輸送性材料を含有する電荷輸送層を有し、前記電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVであることを特徴とする放射線検出装置。
  2. 記録用の放射線または該放射線の励起により発せられる光に対して透過性を有し、バイアス電圧が印加される電圧印加電極と、前記放射線または前記光の照射を受けて電荷を発生する記録用光導電層と、キャリア収集電極と、前記記録用光導電層において発生した電荷を蓄積する蓄電部および該蓄電部に蓄積された電荷信号を読み出す読み出し機構と、をこの順に積層してなる放射線検出装置において、
    前記記録用光導電層と前記電圧印加電極との間、または前記記録用光導電層と前記キャリア収集電極との間に電子輸送性材料を含有する電荷輸送層を有し、前記電子輸送性材料の電子親和力をEa1、記録用光導電層の電子親和力をEa2としたときに、Ea1−Ea2<0.4eVであることを特徴とする放射線検出装置。
  3. 前記電子輸送性材料の電子親和力Ea1が−3.3eV以上であることを特徴とする請求項1または2記載の放射線検出装置。
  4. 前記電荷輸送層に含まれる電子輸送性材料のうち、少なくとも1種が、フラーレン、カーボンナノチューブ等のカーボンクラスターであることを特徴とする請求項1、2または3記載の放射線検出装置。
  5. 前記電荷輸送層に含まれる電子輸送材料のうち、少なくとも1種が酸化フラーレンであることを特徴とする請求項4記載の放射線検出装置。
  6. 前記電荷輸送層に含まれる電子輸送性材料のうち、少なくとも1種が、下記一般式(A−1)または一般式(B−1)で表されるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1、2または3記載の放射線検出装置。
    Figure 2008244412
    (一般式(A−1)中、LA1は連結基を、ZA1は含窒素ヘテロ環の形成に必要な原子群を、nA1は2以上の整数を表す。但し、一般式(A−1)で表される化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の窒素原子を有する。)
    Figure 2008244412
    (一般式(B−1)中、LB1は連結基を、ZB1は、芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環の形成に必要な原子群を、nB1は2以上の整数を表す。但し、一般式(B−1)で表される化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の窒素原子を有する。)
  7. 前記電荷輸送層に含まれる電子輸送性材料の濃度が、前記電荷輸送層に含まれるポリマーに対して、0.01wt%〜50wt%であることを特徴とする請求項4〜6いずれか1項記載の放射線検出装置。
  8. 前記電荷輸送層を前記記録用光導電層と前記電圧印加電極との間に設け、かつ前記電荷輸送層に対して前記キャリア収集電極が設けられている側とは反対側の界面に、前記電荷輸送層よりも広い面積で無機中間層を設けることを特徴とする請求項2記載の放射線検出装置。
  9. 前記無機中間層の主成分が、硫化アンチモン(Sb23)であることを特徴とする請求項8記載の放射線検出装置。
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