JP2005250351A - 放射線画像検出器及び放射線画像検出器の残留電荷除去方法 - Google Patents

放射線画像検出器及び放射線画像検出器の残留電荷除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性有機化合物で光電変換層が形成された放射線撮像パネルを用いた間接方式の放射線画像検出器において、光電変換層の性能を維持しながら、効果的かつ短時間で光電変換層内の残留電荷を除去可能な放射線画像検出器及び残留電荷除去方法とする。
【解決手段】発光層111と、光電変換層112と、信号取出し層113とを基板114上に備え、出力された信号に基づいて放射線画像信号を出力する制御を行うと共に、電場を印加することで画像信号の出力後の光電変換層の残留電荷を除去する制御を行う制御部20を備える放射線画像検出器10及び残留電荷除去方法において、電極間移動時間t(s)=光電変換層の厚さL(cm)×キャリア移動度μ-1(cm2×V-1×s-1)×電界強度E-1(V×cm-1)で表される場合に、残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、2×t≦Tとなるようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、射線画像検出器及び放射線画像検出器の残留電荷除去方法に係り、特には導電性有機化合物を用いて光電変換層が形成されている射線画像検出器及び該放射線画像検出器の残留電荷除去方法に関する。
人体などの被写体を放射線撮像する放射線画像検出器として、近年、放射線像を2次元の放射線撮像パネルに導き、放射線像(潜像)を電気信号(画像信号)として得るようにした放射線画像検出器が開発されている。この放射線画像検出器としては、例えば、放射線像を一旦光信号に変換し、変換した光信号を電気信号に変換するいわゆる間接方式の放射線画像検出器(例えば、特許文献1参照)と、放射線像を直接電気信号に変換するいわゆる直接方式の放射線画像検出器とが知られている。
ところで、放射線画像検出器においては、放射線画像信号の読み取り時に読み出されずに残った電荷、長時間の放置、周囲の温度上昇等により発生する電荷が光電変換層内に溜まって残留電荷となる場合がある。この残留電荷を残したままで次の撮影時や透視時に入ると、残留電荷が次に撮影された放射線像による電荷と混合されて残像となってしまうため、鮮鋭性やS/Nが劣化しあるいは偽画像が発生して、画質の優れた放射線画像信号を得ることができなくなってしまう。
そこで、光電変換層内に残留した残留電荷をどれだけ速くS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するか、また、どのタイミングで除去するかが課題となっている。
ここで、放射線撮像パネルには、導電性無機化合物で作製した光電変換層を持つものと、導電性有機化合物(導電性高分子)で作製した光電変換層を持つものとがある。このうち、導電性無機化合物で作製した光電変換層を持つ放射線撮像パネルを用いた直接方式の放射線画像検出器における残留電荷を除去する方法については、従来から考えられていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−50280号公報 特開平11−218858号公報
しかしながら、導電性有機化合物で作製した光電変換層を持つ放射線撮像パネルを用いた間接方式の放射線画像検出器においては、従来、残留電荷の除去について考慮されていなかった。
そこで、本発明の課題は、導電性有機化合物で光電変換層が形成されている放射線撮像パネルを用いた間接方式の放射線画像検出器において、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を維持しながら、効果的かつ短時間で光電変換層内の残留電荷を除去することができる放射線画像検出器及び放射線画像検出器の残留電荷除去方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
入射した放射線の強度に応じた発光を行う発光層と、
導電性有機化合物を用いて形成され、前記発光層から出力された光を電気エネルギーに変換する光電変換層と、
前記光電変換層で得られた電気エネルギーの蓄積及び該蓄積された電気エネルギーに基づく信号の出力を行う信号取出し層と、
を基板上に備え、
前記信号取出し層から出力された信号に基づいて入射した放射線の画像信号を出力する制御を行うと共に、
前記光電変換層に電場を印加することで前記画像信号の出力後に前記光電変換層に残留する電荷を除去する制御を行う制御部を備える放射線画像検出器において、
前記制御部は、
L(cm)=光電変換層の厚さ、
μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、
E(V×cm-1)=電界強度、
としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、
t=L×μ-1×E-1(式1)
で表される場合に、
前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、
2×t≦T
となるように制御を行うことを特徴としている。
光電変換層に電場を印加することによって残留電荷を除去する場合、残留電荷の除去率と光電変換層の性能維持や長寿命化の観点からは、低電界強度の電場を長時間印加することが望ましい。しかし、除去時間が長くなると、1枚の放射線画像信号を得るために必要な撮影時間+除去時間の1サイクルの時間が長く掛かるようになる。これにより、短時間に多数枚の放射線像を得ることができなくなり、特に連続撮影や透視を行う際に困難が生じる。そのため、撮影サイクルタイム短縮と、光電変換層の性能維持との双方を満たす範囲を規定する必要が生じる。
これに対し、請求項1に記載の発明では、制御部が、L(cm)=光電変換層の厚さ、μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、E(V×cm-1)=電界強度としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、t=L×μ-1×E-1(式1)で表される場合に、残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、2×t≦Tとなるように制御を行うことにより、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要な時間の下限を設定することができ、透視や撮影で1枚の放射線画像信号を得るためのサイクルを短縮することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間Tが、
T≦15(s)
も満たすように制御を行うことを特徴としている。
このように請求項2に記載の発明では、制御部が、残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間Tが、T≦15(s)も満たすように制御を行うことにより、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要十分な時間の上限を設定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記電界強度Eが、
0<E≦5×105
の範囲内となるように直流電場を印加する制御を行うことを特徴としている。
このように請求項3に記載の発明によれば、制御部が、電界強度Eが、0<E≦5×105の範囲内となるように直流電場を印加する制御を行うため、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を長期的に維持することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記電界強度Eが、
−5×105≦E<0
の範囲内となるように直流電場を印加する制御を行うことを特徴としている。
このように請求項4に記載の発明によれば、制御部が、電界強度Eが、−5×105≦E<0の範囲内となるように直流電場を印加する制御を行うため、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を長期的に維持することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記式1に基づいて求められる周期Aが、
1×t≦A≦10×t
の範囲内となるように交流電場を印加する制御を行うことを特徴としている。
このように請求項5に記載の発明によれば、制御部が、式1に基づいて求められる周期Aが、1×t≦A≦10×tの範囲内となるように交流電場を印加する制御を行うため、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要な周期の範囲を設定することができ、透視や撮影で1枚の放射線画像信号を得るためのサイクルを短縮することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記電界強度Eが、
−5×105≦E≦5×105
の範囲内となるように交流電場を印加する制御を行うことを特徴としている。
このように請求項6に記載の発明によれば、制御部が、電界強度Eが、−5×105≦E≦5×105の範囲内となるように交流電場を印加する制御を行うため、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を長期的に維持することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記光電変換層の残留電荷の除去が、放射線源のレディ信号を合図として開始されるように制御を行うことを特徴としている。
このように請求項7に記載の発明によれば、制御部が、光電変換層の残留電荷の除去が、放射線源のレディ信号を合図として開始されるように制御を行うため、残留電荷の除去を行った直後に次の放射線画像の撮影を行うことができ、長時間の放置、周囲の温度上昇等により発生して光電変換層内に溜まった残留電荷が放射線画像に影響することを防止することができる
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記光電変換層の残留電荷の除去が、前記画像信号の出力直後に開始されるように制御を行うことを特徴としている。
このように請求項8に記載の発明によれば、制御部が、光電変換層の残留電荷の除去が、画像信号の出力直後に開始されるように制御を行うため、確実に残留電荷を除去することができ、残留電荷を除去し忘れる等により次の放射線画像の撮影時に電荷が混合することを防止することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記制御部は、
前記光電変換層の残留電荷の除去が、入力部への電荷除去開始信号の入力を合図として開始されるように制御を行うことを特徴としている。
このように請求項9に記載の発明によれば、制御部が、光電変換層の残留電荷の除去が、入力部への電荷除去開始信号の入力を合図として開始されるように制御を行うため、作業を行う者の自由なときに残留電荷の除去作業を行うことができる。
請求項10に記載の発明は、
入射した放射線の強度に応じた発光を行う発光層と、
導電性有機化合物を用いて形成され、前記発光層から出力された光を電気エネルギーに変換する光電変換層と、
前記光電変換層で得られた電気エネルギーの蓄積及び該蓄積された電気エネルギーに基づく信号の出力を行う信号取出し層と、
を基板上に備え、
前記信号取出し層から出力された信号に基づいて入射した放射線の画像信号を出力する制御を行うと共に、
前記光電変換層に電場を印加することで前記画像信号の出力後に前記光電変換層に残留する電荷を除去する制御を行う制御部を備える放射線画像検出器の残留電荷除去方法において、
L(cm)=光電変換層の厚さ、
μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、
E(V×cm-1)=電界強度、
としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、
t=L×μ-1×E-1(式1)
で表される場合に、
前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、
2×t≦T
となるようにすることを特徴としている。
このように請求項10に記載の発明によれば、L(cm)=光電変換層の厚さ、μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、E(V×cm-1)=電界強度としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、t=L×μ-1×E-1(式1)で表される場合に、残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、2×t≦Tとなるようにするため、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要な時間の下限を設定することができ、透視や撮影で1枚の放射線画像信号を得るためのサイクルを短縮することができる。
本発明によれば、導電性有機化合物で光電変換層が形成されている放射線撮像パネルを用いた間接方式の放射線画像検出器において、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を維持しながら、効果的かつ短時間で光電変換層内の残留電荷を除去することができる。
以下、図面を参照しながら本発明に係る放射線画像検出器及び放射線画像検出器の残留電荷除去方法の実施形態について説明する。ただし、本発明は図示例のものに限定されるものではない。
本実施の形態の放射線画像検出器は、導電性有機化合物(導電性高分子)を用いて形成された光電変換層を備えるフラットパネル型の放射線ディテクタ(いわゆる有機FPD)に用いられる放射線画像検出器である。
以下、図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態における放射線画像検出器10の構造について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における放射線画像検出器10は、撮像パネル11、放射線画像検出器10の動作を制御する制御部20、フラッシュメモリなどの書き換え可能な読み出し専用メモリ等を用いて撮像パネル11から出力された画像信号を記憶するメモリ部21、放射線画像検出器10の動作を切り換えるための操作部22、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部21に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部23、撮像パネル11を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電源部24、放射線画像検出器10と画像処理を行う画像処理部(図示省略)間で通信を行うための通信用のコネクタ25及びこれらを収納する筐体30を備えている。また、撮像パネル11は、照射された放射線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出す走査駆動回路15や、蓄積された電気エネルギーを画像信号として出力する信号選択回路17を有している。なお、筐体30の内部や走査駆動回路15、信号選択回路17、制御部20、メモリ部21等は、図示しない放射線遮蔽部材で覆われており、筐体30の内部で放射線の散乱を生じたり、各回路に放射線が照射されることを防止するようになっている。
また筐体30としては、外部からの衝撃に耐えかつ重量ができるだけ軽い素材、すなわちアルミニウムあるいはその合金からなる素材で外形を構成することが好ましい。筐体30の放射線入射面側は、放射線を透過し易い非金属、例えばカーボン繊維などを用いて構成することが好ましい。また、放射線入射面とは逆である背面側においては、放射線が放射線画像検出器10を透過してしまうことを防ぐ目的、あるいは放射線画像検出器10を構成する素材が放射線を吸収することで生ずる2次放射線からの影響を防ぐために、放射線を効果的に吸収する材料、例えば鉛板などを用いることが好ましい。
図2に示すように、本実施の形態における撮像パネル11は、照射された放射線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出すための収集電極120が2次元配置されており、この収集電極120がコンデンサ121の一方の電極とされて、電気エネルギーがコンデンサ121に蓄えられるようになっており、これらにより各変換セルを構成している。ここで、1つの収集電極120は放射線画像の1画素に対応するものである。
画素間には走査線123−1〜123−mと信号線124−1〜124−nが例えば直交するように配設される。コンデンサ121−(1,1)には、シリコン積層構造あるいは有機半導体で構成されたトランジスタ122−(1,1)が接続されている。このトランジスタ122−(1,1)は、例えば電界効果トランジスタであり、ドレイン電極あるいはソース電極が収集電極120−(1,1)に接続されるとともに、ゲート電極は走査線123−1と接続される。ドレイン電極が収集電極120−(1,1)に接続されるときにはソース電極が信号線124−1と接続され、ソース電極が収集電極120−(1,1)に接続されるときにはドレイン電極が信号線124−1と接続される。また、他の画素の収集電極120やコンデンサ121及びトランジスタ122も同様に走査線123や信号線124が接続される。
図3は、撮像パネル11の一部断面図を示している。本実施の形態における撮像パネル11における放射線の照射面側には、入射された放射線の強度に応じて発光を行う発光層111が設けられている。ここで、発光層111には、例えば波長が1Å(1×10-10m)程度であって、人体や船舶、航空機の部材等を透過する電磁波である所謂X線が照射される。このX線は、放射線発生器(図示省略)から出力されるものであり、放射線発生器は、一般に固定陽極あるいは回転陽極X線管が用いられる。また、X線管は、陽極の負荷電圧が10kVから300kVとされるとともに、医療用に用いられる場合は20kVから150kVとされる。
発光層111は、蛍光体を主たる成分とするものであり、入射した放射線に基づいて、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する。なお、発光層111は、一般的にシンチレータ層と呼ばれている。
この発光層111で用いられる蛍光体は、CaWO4、CaWO4:Pb、MgWOなどのタングステン酸塩系蛍光体、Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tbなどのテルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体、LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、GdOBr:Tb、GdOBr:Tb,Tm、GdOCl:Tb、GdOCl:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Tm、LaOCl:Tmなどのツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Gd、LuOCl:Gdなどのガドリニウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、GdOBr:Ce、GdOCl:Ce、(Gd,Y)OBr:Ce、(Gd,Y)OCl:Ceなどのセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+などの硫酸バリウム系蛍光体、Ba3(PO42:Eu2+、(Ba2PO42:Eu2+、Sr3(PO42:Eu2+、(Sr2PO42:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体、BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFCl:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl2・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl2・KCl:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tlなどの沃化物系蛍光体、ZnS:Ag、(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Agなどの硫化物系蛍光体、HfP27、HfP27:Cu、Hf3(PO44などの燐酸ハフニウム系蛍光体、YTaO4、YTaO4:Tm、YTaO4:Nb、(Y,Sr)TaO4:Nb、LuTaO4、LuTaO4:Tm、LuTaO4:Nb、(Lu,Sr)TaO4:Nb、GdTaO4:Tm、Mg4Ta29:Nb、Gd23・Ta25・B23:Tbなどのタンタル酸塩系蛍光体、他に、Gd22S:Eu3+、(La,Gd,Lu)2Si27:Eu、ZnSiO4:Mn、Sr227:Eu、などを用いることができる。
特に、X線吸収及び発光効率が高いことよりセシウムアイオダイド(CsI:Tl)やガドリニウムオキシサルファイド(Gd22S:Tb)が好ましく、これらを用いることで、ノイズの低い高画質の画像を得ることができる。
また、セシウムアイオダイド(CsI:Tl)については、柱状結晶構造のシンチレータ層を形成することが可能である。この場合、柱状結晶では光ガイド効果、すなわち結晶内での発光が柱状結晶の側面より外に放射されてしまうことを少なくできる効果を得られるので、鮮鋭性の低下を抑制することが可能であり、蛍光体層膜厚を厚くすることによりX線吸収が増加し粒状性を向上できる。
ただし、本発明に用いられる蛍光体はこれらに限定されるものではなく、放射線の照射によって可視又は紫外または赤外領域などの、受光素子が感度を持つ領域の電磁波を出力する蛍光体であれば良い。また、本発明で用いられる蛍光体粒子の直径は7μm以下、好ましくは4μm以下である。蛍光体粒子の直径が小さいほどシンチレータ層内での光の散乱を防ぐことが可能となり、高い鮮鋭度を得られるからである。そして、この蛍光体粒子は以下のようなバインダーに分散される。例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、各種合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等があげられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。このような好ましいバインダーを用いることで、蛍光体の分散性を高め、蛍光体の充填率を高くすることが可能となり、粒状性の向上に寄与するからである。
前記バインダー中に分散される蛍光体の重量含有量は90〜99%である。また本発明で用いられる発光層の厚さは、放射線画像の粒状性と鮮鋭性とのバランスから決定されるものであり、発光層が厚いと粒状性は良くなるが鮮鋭性は悪くなり、発光層が薄いと鮮鋭性は良くなるが粒状性は悪くなることから、例えば20μmから1mmとする。また、良好な粒状性と鮮鋭性を得るために好ましくは50μmから300μmとする。
なお、本発明で用いられる蛍光体は一部を除き吸湿性であるので、環境の湿気に影響されないように封止することが好ましい。このため、例えば特開平11−223890、特開平11−249243、特開平11−344598、特開2000−171597に開示されている方法を用いることで、撮像パネル11の全体を封止することができる。
次に、発光層111の放射線照射面側とは逆の面側に、発光層から出力された電磁波(光)を電気エネルギーに変換する光電変換層112が形成される。この光電変換層112は、発光層111側から、隔膜112a、透明電極膜112b、正孔伝導層112c、電荷発生層112d、電子伝導層112e、導電層112fが設けられている。ここで、電荷発生層112dは、光電変換可能な即ち電磁波(光)によって電子や正孔を発生し得る有機化合物を含有するものであり、光電変換を円滑に行うために、いくつかの機能分離された層を有することが好ましく、例えば図3に示すように光電変換層が構成される。
隔膜112aは、発光層111と他の層を分離するためのものであり、例えばOxi−nitrideなどが用いられる。透明電極膜112bは、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。この透明電極膜112bの形成では、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて薄膜を形成できる。また、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいは高いパターン精度を必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この透明電極は透過率を10%より大きくすることが望ましく、またシート抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。膜厚が薄い場合には透明電極がアイランド状になってしまうからであり、膜厚が厚い場合には透明電極の形成に時間を要してしまうからである。電荷発生層112dでは、発光層111から出力された電磁波(光)によって電子と正孔を発生される。ここで発生した正孔は正孔のキャリア輸送層としての正孔伝導層112cに集められ、電子は電子のキャリア輸送層としての電子伝導層112eに集められる。なお、本構造において、正孔伝導層112cと電子伝導層112eは必ずしも必須なものではない。
導電層112fは、例えばクロムなどで生成されている。また、一般の金属電極若しくは前記透明電極の中から選択可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましい。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類全属などが挙げられる。この導電層112fは、これらの電極物質を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて生成できる。また、導電層112fのシート抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50nm〜500nmの範囲で選ばれる。膜厚が薄い場合には導電層がアイランド状になってしまうからであり、膜厚が厚い場合には導電層の形成に時間を要してしまうからである。
次に、上述の正孔伝導層112c,電荷発生層112dそして電子伝導層112eについて詳述する。電荷発生層112dは、いわゆる有機EL素子の構成を適用することができ、前記有機EL素子はその構成材料が低分子系のものでも高分子系のもの(ライトエミッティングポリマーとも言う)でもよい。本発明の電荷発生層112dで用いる光電変換可能な材料としては、導電性高分子材料(π共役系高分子材料やシリコン系高分子材料など)や低分子系有機EL素子に使用される発光材料等が挙げられる。例えば導電性高分子材料としては、ポリ(2−メトキシ、5−(2’エチルヘキシロキシ)−p−フェニレンビニレン)そしてポリ(3−アルキルチオフェン)、などがある。また「有機EL材料とディスプレイ(2001年2月28日株式会社シー・エム・シー発行)」の第190頁〜第203頁に記載されている化合物や、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第81頁〜第99頁に記載されている化合物などが挙げられる。前記低分子系有機EL素子に使用される発光材料としては、例えば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第36頁〜第56頁に記載されている化合物や、「有機EL材料とディスプレイ(2001年2月28日株式会社シー・エム・シー発行)」の第148頁〜第172頁に記載されている化合物等が挙げられる。本発明において、光電変換可能な導電性有機化合物として特に好ましいものは導電性高分子化合物であり、最も好ましいものはπ共役系高分子化合物である。ここで、図4は導電性高分子化合物の基本骨格、図5〜図7はπ共役系高分子化合物の具体例、図8はπ共役系以外の導電性高分子化合物の具体例を示している。なお、導電性高分子材料や低分子系有機EL素子は上述のものに限定されるものではない。
さらに、電荷発生層112dに変換効率や電極へのキャリア受け渡し効率を向上させるために添加剤を加えてもよい。本実施の形態では、該添加剤を別の層として設けて正孔伝導層112cと電子伝導層112eを形成している。添加剤としては、有機EL素子で使用される正孔注入材料や正孔輸送材料,電子輸送材料,電子注入材料等を適用することができる。その具体例としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体(例えばトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリトラート)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリラート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリラート)アルミニウム、ビス(8−キノリラート)亜鉛(Znq2)など)である。
また、光電変換層112において、π共役系高分子化合物を用いる正孔伝導層112c,電荷発生層112dそして電子伝導層112eには、複数のπ共役高分子化合物間でのキャリア授受やキャリアトラップを行う目的で、フラーレンやカーボンナノチューブのような立体的なπ電子雲を有する化合物を添加することが好ましい。
これらの化合物は、例えばフラーレンC−60,フラーレンC−70,フラーレンC−76,フラーレンC−78,フラーレンC−84,フラーレンC−240,フラーレンC−540,ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ(Multi Walled Nanotube)、単層ナノチューブ(Single Walled Nanotube)である。さらに、フラーレンやカーボンナノチューブは溶剤への相溶性を付与する目的で置換基を導入してもよい。
なお、光電変換層と電極との間には、前記したキャリア輸送層以外の機能層が付加されていても良い。
また、前記光電変換層112は、導電性有機高分子化合物を1種類以上用いて形成されている5×10-7cm以上1×10-4cm以下の厚さの層であることが望ましい。これにより、電圧を10V程度にすることができ、カセッテ型FPD内部に電池を入れて使用可能な膜圧とすることができる。
光電変換層112の放射線照射面側とは逆の面側には、光電変換層112で得られた電気エネルギーの蓄積および蓄積された電気エネルギーに基づく信号の出力を行う信号取出し層113が形成されている。信号取出し層113は、光電変換層112で生成された電気エネルギーを画素毎に蓄えるコンデンサ121と、蓄えられた電気エネルギーを信号として出力するためのスイッチング素子であるトランジスタ122を用いて構成されている。なお信号取出し層は、スイッチング素子を用いるものに限られるものではなく、例えば蓄えられた電気エネルギーのエネルギーレベルに応じた信号を生成して出力する構成とすることもできる。
トランジスタ122は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでも良く、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。さらに、Science283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
このように、本発明に用いられるスイッチング素子としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。さらに、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板上にも形成できる。
また、有機半導体を用いたTFTの内、電界効果型トランジスタ(FET)が特に好ましく、具体的には図9の(a)〜図9の(c)に示す構造の有機TFTが好ましい。このうち、図9の(a)に示す有機TFTは、基板114の上にゲート電極122a、ゲート絶縁層122e、ソース・ドレイン電極122b,122c、有機半導体層122dを順に形成したものである。また、図9の(b)に示す有機TFTは、基板114aの上にゲート電極122f、ゲート絶縁層122g、有機半導体層122h、ソース・ドレイン電極122i、122jを順に形成したものである。さらに、図9の(c)に示す有機TFTは、有機半導体単結晶122kの上にソース・ドレイン電極122m,122n、ゲート絶縁層122p、ゲート電極122qを順に形成したものである。本実施の形態のトランジスタ122としては、図9の(a)の構造の有機TFTを用いている。
有機半導体層を形成する化合物は、単結晶材科でもアモルファス材料でもよく、低分子でも高分子でもよいが、特に好ましいものとしては、ペンタセンやトリフェニレン、アントラセン等に代表される縮環系芳香族炭化水素化合物の単結晶や、前記π共役系高分子が挙げられる。
ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極は、金属でも導電性無機化合物でも導電性有機化合物でも何れでもよいが、作製の容易さの観点から導電性有機化合物であることが好ましく、その代表例としては、前記π共役系高分子化合物にルイス酸(塩化鉄、塩化アルミニウム、臭化アンチモン等)やハロゲン(ヨウ素や臭素など)、スルホン酸塩(ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(PSS)、p−トルエンスルホン酸カリウム等)などをドープしたものが挙げられ、具体的にはPEDOTにPSSを添加した導電性高分子が代表例として挙げられる。有機TFTの具体例としては、図9の(a)の構造を用いた図10に示す有機TFTが挙げられる。
スイッチング素子であるトランジスタ122には、図2及び図3に示すように、光電変換層112で生成された電気エネルギーを蓄積するとともに、コンデンサ121の一方の電極となる収集電極120が接続されている。このコンデンサ121には光電変換層112で生成された電気エネルギーが蓄積されるとともに、この蓄積された電気エネルギーはトランジスタ122を駆動することで読み出される。すなわちスイッチング素子を駆動することで放射線画像を画素毎の信号を生成することができる。なお図3において、トランジスタ122は、ゲート電極122a、ソース電極(ドレイン電極)122b、ドレイン電極(ソース電極)122c、有機半導体層122d、絶縁層122eで構成されている。
撮像パネル11の基板114は、前記発光層111、光電変換層112、信号取出し層113をその板上に備えるものである。基板114として好ましく用いられるものは、プラスチックフィルムであり、プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。なお、プラスチックフィルムの他、ガラス基板を用いる場合もある。
更にこれらのプラスチックフィルムには、トリオクチルホスフェートやジブチルフタレート等の可塑剤を添加してもよく、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等の公知の紫外線吸収剤を添加してもよい。また、テトラエトキシシラン等の無機高分子の原料を添加し、化学触媒や熱、光等のエネルギーを付与することにより高分子量化する、いわゆる有機−無機ポリマーハイブリッド法を適用して作製した樹脂を原料として用いることもできる。
更に基板114の信号取出し層側面とは反対面側に、電源部24例えばマンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池、充電可能な二次電池を設けるものとしても良い。この電池の形態としては、放射線画像検出器を薄型化できるように平板状の形態が好ましい。
また、撮像パネル11では、信号線124−1〜124−nに、例えばドレイン電極が接続された初期化用のトランジスタ132−1〜132−nが設けられている。このトランジスタ132−1〜132−nのソース電極は接地されている。また、ゲート電極はリセット線131と接続される。
撮像パネル11の走査線123−1〜123−mとリセット線131は、図2に示すように走査駆動回路15と接続されている。走査駆動回路15から走査線123−1〜123−mのうちの1つ走査線123−p(pは1〜mのいずれかの値)に読出信号RSが供給されると、この走査線123−pに接続されたトランジスタ122−(p,1)〜122−(p,n)がオン状態とされて、コンデンサ121−(p,1)〜121−(p,n)に蓄積された電気エネルギーが信号線124−1〜124−nにそれぞれ読み出される。信号線124−1〜124−nは、信号選択回路17の信号変換器171−1〜171−nに接続されており、信号変換器171−1〜171−nでは信号線124−1〜124−n上に読み出された電気エネルギー量に比例する電圧信号SV−1〜SV−nを生成する。この信号変換器171−1〜171−nから出力された電圧信号SV−1〜SV−nはレジスタ172に供給される。
レジスタ172では、供給された電圧信号が順次選択されて、A/D変換器173で(例えば、12ビットないし14ビットの)1つの走査線に対するディジタルの画像信号とされ、制御部20は、走査線123−1〜123−m各々に、走査駆動回路15を介して読出信号RSを供給して画像走査を行い、走査線毎のディジタル画像信号を取り込んで、放射線画像の画像信号の生成を行う。この画像信号は制御部20に供給される。なお、走査駆動回路15からリセット信号RTをリセット線131に供給してトランジスタ132−1〜132−nをオン状態とするとともに、走査線123−1〜123−mに読出信号RSを供給してトランジスタ122−(1,1)〜122−(m,n)をオン状態とすると、コンデンサ121−(1,1)〜121−(m,n)に蓄えられた電気エネルギーがトランジスタ132−1〜132−nを介して放出して、撮像パネル11の初期化を行うことができる。
制御部20にはメモリ部21や操作部22が接続されており、操作部22からの操作信号PSに基づいて放射線画像検出器10の動作が制御される。操作部22は複数のスイッチが設けられており、操作部22からのスイッチ操作に応じた操作信号PSに基づき、撮像パネル11の初期化や放射線画像の画像信号の生成が行われる。また放射線画像の画像信号の生成は、放射線発生器(図示省略)から放射線照射終了信号がコネクタ25を介して供給されたときに行うものとすることもできる。さらに、生成した画像信号をメモリ部21に記憶させる処理等も行う。
ここで、図1に示すように、放射線画像検出器10に電源部24を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部21を設け、コネクタ25を介して放射線画像検出器10を着脱自在にすれば、放射線画像検出器10を持ち運びできるシステムを構築できる。さらに、不揮発性メモリを用いてメモリ部21を着脱可能に構成すれば、放射線画像検出器10と画像処理部を接続しなくとも、メモリ部21を画像処理部に装着するだけで画像信号を画像処理部に供給できることから、更に放射線画像の撮影及び画像処理が容易となり、操作性を向上できる。
また、本実施の形態では、放射線画像検出器10と画像読処理部とがコネクタ25を介して電線で繋がっている有線方式であるが、電線が繋がっていない無線方式であっても良い。当該無線方式の場合には、電荷除去開始信号として、無線信号・光・赤外線等の信号を用いるのが望ましい。
なお、放射線画像検出器10を据置き型として用いる場合には、コネクタ25を介して電力の供給や画像信号の読み出しを行うことで、メモリ部21や電源部24を設けなくとも、放射線画像の画像信号を得られることは勿論である。
前記したような構成の放射線画像検出器10において、画像信号の読取り時に読み出されずに残った電荷、長時間の放置、周囲の温度上昇等により発生する電荷が光電変換層112内に溜まって残留電荷となることがある。このような残留電荷を残したままで次の撮影時や透視時に入ると、残留電荷が次に撮影された放射線像による電荷と混合されて残像となってしまい、鮮鋭性やS/Nが劣化しあるいは偽画像が発生して、画質の優れた放射線画像信号を得ることができなくなってしまうため、除去する必要がある。
以下に本発明に係る残留電荷の除去方法について説明する。
前記残留電荷を除去するには、電源部24から収集電極120及び透明電極膜112bに繋がる電線を介して直流又は交流電界が撮像パネル11に印加され、光電変換層112内を直流電場又は交流電場とした状態で行われる。
本実施の形態では、電荷が光電変換層112を通過するのに要する電極間移動時間に対応する値をt(s)、光電変換層の厚さをL(cm)、キャリア移動度をμ(cm2×V-1×s-1)、電界強度をE(V×cm-1)としたときの関係が、
式1:t=L×μ-1×E-1
で表されるようになっており、前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、
2×t≦T≦15
となるように制御を行う。なお、残留電荷の除去のために必要な電場の印加時間としては、15秒は十分な時間であると言える。また、前記キャリア移動度において、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度を用いるようになっている。
また、その際の電界強度Eが、直流電場を印加する場合には、
−5×105≦E<0又は0<E≦5×105
の範囲内となるように制御を行うようになっている。
また、交流電場を印加する場合には、前記式1に基づいて求められる周期Aが、
1×t≦A≦10×t
の範囲内となるように制御を行うようになっている。
また、その際の電界強度Eが、
−5×105≦E≦5×105
の範囲内となるように制御を行うようになっている。
なお、電場の印加は、急に前記した規定の電界強度(電圧)まで上げるのではなく、徐々に上げていくのが望ましい。
前記残留電荷の除去を行うタイミング及びその際の制御については、次のようなパターンが挙げられる。
なお、以下に述べる第1〜第3のパターンは、放射線画像検出器10における残留電荷除去のために併用されるようになっていると、より確実に残留電荷の除去を行うことができるため、好ましい。
第1のパターンを以下に述べる。
このパターンにおいては、放射線画像撮影を行う際には、放射線曝射スイッチを2段階で押す。1回目は放射線源を温め始めるための信号であり、2回目は実際に線源から放射線を曝射するための信号である。ここで、1回目の放射線源の準備を開始するための信号をレディ信号と言う。
前記レディ信号が、有機FPDにおいて放射線画像検出器10の外にある制御装置に送られると、当該制御装置は、放射線画像検出器10の制御部20にも信号を送る。
前記制御装置から送信された信号を電荷除去信号として、制御部20は残留電荷除去を開始する。
残留電荷除去においては、放射線画像検出器10内の制御部20からの信号に基づき、放射線画像検出器10内の電源部24が、光電変換層112に前記規定範囲内の電場を印加する。
次に、放射線画像検出器10内の制御部20は、走査駆動回路15にも信号を送信し、走査駆動回路15は、各変換セルに繋がっているリセット線131に信号を送信して変換セルのスイッチング素子であるトランジスタをオンにし、コンデンサからの電荷読み出しを開始する。
そして、電場の規定秒数が経過すると、制御部20から除去終了信号が送信され、光電変換層112への電場印加とコンデンサの電荷読み出しを終了する。
それから、制御装置に除去終了を知らせる信号を送信し、残留電荷除去が終了する。
第2のパターンを以下に述べる。
このパターンにおいては、放射線画像の読み取りが終了すると、制御装置から読み取り終了信号が放射線画像検出器10内の制御部に送信される。
そして、前記制御装置から送信された読み取り終了信号を電荷除去開始信号として、制御部20は残留電荷除去を開始するのである。
なお、残留電荷除去の開始後の流れは前記第1のパターンと同様である。
第3のパターンを以下に述べる。
このパターンにおいては、作業者が操作部22等から除去開始信号を入力した場合に、制御装置から放射線画像検出器10の制御部20へと信号が送信される。
そして、前記制御装置から送信された電荷除去開始信号を合図として残留電荷の除去が開始される。
なお、残留電荷除去の開始後の流れは前記第1のパターンと同様である。
以下、図11〜図15を用いて、本発明の放射線画像検出器10による残留電荷の除去効果を測定した実験について述べる。
この実験においては、放射線画像検出器10の光電変換層112をモデルとした、基板、Al電極、導電性高分子膜、ITO電極、基板という構成の3つの光電変換素子A、B、Cを用いた。各光電変換素子A、B、Cは、キャリア移動度が異なっており、A:0.62、B:0.045、C:0.01である。
前記光電変換素子A、B、Cは、次のような作製方法で作製した。
まず、透明ガラス又はプラスチック基板上にITOを蒸着又はスパッタ法により製膜する。
次に、ITO付き基板上に光電変換材料を塗布又は蒸着により製膜する。
さらに、前記光電変換材料上にAl電極を蒸着する。
最後に、透明ガラス又はプラスチック基板をエポキシ樹脂等の接着剤を用いた接着により取り付ける。
そして、前記光電変換素子A、B、Cの露光時(光電流)と非露光時(暗電流)の電流を測定することにより、残留電荷除去特性値ΔSを求めた。前記残留電荷除去特性値ΔSは、ΔS=Sz(残留電荷値[A])/S(信号値[A])で表される値である。例えば人体を被写体とした場合、残留電荷除去特性値ΔSが0.0001(1/10000)以下であれば、診断に与える影響は無視できるレベルとなることがわかっている。このことから、ΔSが0.0001以下となる電場印加条件を、本発明において光電変換層の残留電荷除去を行う条件として規定することとした。
残留電荷除去特性値ΔSは、次のような測定方法により測定した。
前記作製方法で作製した光電変換素子のITO電極側基板上に増感紙(X線を光に変換する紙)を配置し、発光層の代わりとした。そして、前記増感紙側からX線を照射することにより光電変換素子を露光させ、露光、非露光時の電流値を以下のように測定した。なお、X線照射条件としては、感電圧90kV、感電流200mA、照射時間0.02secである。
まず、光電変換素子を露光させた後、光を当てない状態で除去用の電圧を所定時間T(s)だけ印加して暗電流値を測定し、この測定値を残留電荷値Szとした。それから、前記残留電荷値Szを測定直後の光電変換素子に再度露光させた時の光電流値を測定し、その測定値を信号値Sとした。これらの値を前記した式:ΔS=Sz/Sに当てはめて、残留電荷除去特性値ΔSを求めた。なお、残留電荷の除去に際して、直流電場と交流電場の双方について、実験を行った。
まず、光電変換素子A、B、Cのそれぞれについて直流電場を印加したときの印加時間Tと残留電荷除去特性値ΔSとの関係を図11のグラフに表す。
従来における残留電荷除去特性値ΔSは、従来、光電変換層に直流電場を印加していないことから、電圧印加時間Tが0のときの値となる。この値では、全ての光電変換素子A、B、Cでノイズが大きく残留電荷が画像に影響を与えることとなる。これに対し、光電変換素子に直流電場を印加すると、電圧を印加する時間Tに応じてΔSが下がり、全ての光電変換素子A、B、Cの残留電荷除去特性値ΔSが2t以降で0.0001以下となった。これにより、直流電場の場合、除去用電圧の印加時間Tは2t秒以上かけることが望ましいと言える。
次に、光電変換素子A、B、Cのそれぞれについて交流電場を印加したときの印加時間Tと残留電荷除去特性値ΔSとの関係を図12のグラフに表す。
光電変換素子に交流電場を印加すると、前記した図11の直流電場のときと同様に、電圧を印加する時間Tに応じて残留電荷除去特性値ΔSが下がり、全ての光電変換素子A、B、Cの残留電荷除去特性値ΔSが2t以降で0.0001以下となった。これにより、交流電場の場合も、除去用電圧の印加時間Tは2t秒以上かけることが望ましいと言える。
次に、光電変換素子A、B、Cのそれぞれについて印加時間Tを2tとして、直流電場を印加したときの残留電荷除去特性値ΔSと電界強度Eとの関係を図13のグラフに表す。
従来における残留電荷除去特性値ΔSは、従来、光電変換層に直流電場を印加していないことから、電界強度Eが0のときの値となる。この値では、全ての光電変換素子A、B、Cでノイズが大きく残留電荷が画像に影響を与えることとなる。一方、光電変換素子に直流電場を印加した場合では、全ての光電変換素子A、B、Cについて、電界強度Eが0<E≦5.0×105の範囲では、ディテクタとして使用可能な範囲である0.0001以下に残留電荷除去特性値ΔSが収まっている。これに対し、電界強度Eが5.0×105から7.0×105の間に全ての光電変換素子A、B、Cについて破壊又はノイズの大幅な増大が起こっている。なお、残留電荷除去特性値ΔS=1は、シグナルとノイズが同じで、光電変換素子として機能していないことを示している。これらのことから、電界強度Eが0<E≦5.0×105の範囲で直流電場を印加すると、効果的に残留電荷を除去することができると言える。
次に、光電変換素子A、B、Cのそれぞれについて印加時間Tを2tとして、交流電場を印加したときの残留電荷除去特性値ΔSと電界強度Eとの関係を図14のグラフに表す。
光電変換素子に直流電場を印加した場合では、前記した図13の直流電場を印加した場合と同様に、全ての光電変換素子A、B、Cについて、電界強度Eが0<E≦5.0×105の範囲では、ディテクタとして使用可能な範囲である0.0001以下に残留電荷除去特性値ΔSが収まっており、電界強度Eが5.0×105から7.0×105の間に全ての光電変換素子A、B、Cについて破壊又はノイズの大幅な増大が起こっている。このことから、交流電場の場合も、電界強度Eが0<E≦5.0×105の範囲で電場を印加すると、効果的に残留電荷を除去することができると言える。
次に、光電変換素子Cについて順電圧の直流電場、逆電圧の直流電場、周期Aが0.5t、t、2t、8t、10t、12tの各周期の交流電場を印加したときの印加時間Tと残留電荷除去特性値ΔSとの関係を図15のグラフに表す。
いずれの電場を印加したときでも、印加時間Tが2t秒以上となると、残留電荷除去特性値ΔSがディテクタとして使用可能な範囲である0.0001以下となっている。また、周期Aがt以上の交流電場を印加すると、直流電場を印加した場合よりも残留電荷除去特性値ΔSが低い値となる。さらに、周期Aが10tより大きい12tとなると、交流電場を印加することによって起こる電荷の衝突回数が減少し、直流電場を印加している場合と同じ結果となってしまう。これらのことから、交流電場の周期Aが、1×t≦A≦10×tの範囲であると、より効果的に残留電荷を除去することができると言える。
以上のように、本実施の形態の放射線画像検出器及び該放射線画像検出器の残留電荷除去方法によれば、L(cm)=光電変換層の厚さ、μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、E(V×cm-1)=電界強度としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、t=L×μ-1×E-1(式1)で表される場合に、残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、2×t≦Tとなるようにするため、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要な時間の下限を設定することができ、透視や撮影で1枚の放射線画像信号を得るためのサイクルを短縮することができる。
その結果、導電性有機化合物で光電変換層が形成されている放射線撮像パネルを用いた間接方式の放射線画像検出器において、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を維持しながら、効果的かつ短時間で光電変換層内の残留電荷を除去することができる。
また、本実施の形態では、残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間Tが、T≦15(s)も満たすようになっており、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要十分な時間の上限を設定することができる。
さらに、本実施の形態では、電界強度Eが、0<E≦5×105又は−5×105≦E<0の範囲内となるように直流電場を印加するようになっており、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を長期的に維持することができる。
またさらに、本実施の形態では、式1に基づいて求められる周期Aが、1×t≦A≦10×tの範囲内となるように交流電場を印加するようになっており、光電変換層内に残留した残留電荷をS/Nなどの劣化が問題とならない程度まで除去するために必要な周期の範囲を設定することができ、透視や撮影で1枚の放射線画像信号を得るためのサイクルを短縮することができる。
また、本実施の形態では、電界強度Eが、−5×105≦E≦5×105の範囲内となるように交流電場を印加するようになっており、導電性有機化合物で作製された光電変換層の性能を長期的に維持することができる。
さらに、本実施の形態では、光電変換層の残留電荷の除去が、放射線源のレディ信号を合図として開始されるようになっており、残留電荷の除去を行った直後に次の放射線画像の撮影を行うことができ、長時間の放置、周囲の温度上昇等により発生して光電変換層内に溜まった残留電荷が放射線画像に影響することを防止することができる。
またさらに、本実施の形態では、光電変換層の残留電荷の除去が、画像信号の出力直後に開始されるようになっており、確実に残留電荷を除去することができ、残留電荷を除去し忘れる等により次の放射線画像の撮影時に電荷が混合することを防止することができる。
また、本実施の形態では、光電変換層の残留電荷の除去が、入力部への電荷除去開始信号の入力を合図として開始されるようになっており、作業を行う者の自由なときに残留電荷の除去作業を行うことができる。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
本発明の一実施形態における放射線画像検出器の構造を示す図である。 本実施の形態における放射線画像検出器の回路構成を示す図である。 放射線撮像パネルの一部を示す断面図である。 導電性高分子化合物の基本骨格を示す図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その1)を示す図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その2)を示す図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その3)を示す図である。 π共役系以外の導電性高分子化合物の具体例を示す図である。 有機TFTの構造を示す図である。 有機TFTの具体例を示す図である。 異なる光電変換素子に対して直流電場を印加したときの電圧印加時間と残留電荷除去特性値との関係を示すグラフである。 異なる光電変換素子に対して交流電場を印加したときの電圧印加時間と残留電荷除去特性値との関係を示すグラフである。 異なる光電変換素子に対して直流電場を一定時間印加したときの電界強度と残留電荷除去特性値との関係を示すグラフである。 異なる光電変換素子に対して交流電場を一定時間印加したときの電界強度と残留電荷除去特性値との関係を示すグラフである。 一の光電変換素子に対して種々の電場を印加したときの電圧印加時間と残留電荷除去特性値との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 放射線画像検出器
11 撮像パネル
15 走査駆動回路
17 信号選択回路
20 制御部
21 メモリ部
22 操作部
23 表示部
24 電源部
25 コネクタ
30 筐体
111 発光層
112 光電変換層
112a 隔膜
112b 透明電極膜
112c 正孔伝導層
112d 電荷発生層
112e 電子伝導層
112f 導電層
113 信号取出し層
114 基板
120 収集電極
121 コンデンサ
122,132 トランジスタ
123 走査線
124 信号線
131 リセット線
171 信号変換器
172 レジスタ
173 A/D変換器

Claims (10)

  1. 入射した放射線の強度に応じた発光を行う発光層と、
    導電性有機化合物を用いて形成され、前記発光層から出力された光を電気エネルギーに変換する光電変換層と、
    前記光電変換層で得られた電気エネルギーの蓄積及び該蓄積された電気エネルギーに基づく信号の出力を行う信号取出し層と、
    を基板上に備え、
    前記信号取出し層から出力された信号に基づいて入射した放射線の画像信号を出力する制御を行うと共に、
    前記光電変換層に電場を印加することで前記画像信号の出力後に前記光電変換層に残留する電荷を除去する制御を行う制御部を備える放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    L(cm)=光電変換層の厚さ、
    μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、
    E(V×cm-1)=電界強度、
    としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、
    t=L×μ-1×E-1(式1)
    で表される場合に、
    前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、
    2×t≦T
    となるように制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  2. 請求項1に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間Tが、
    T≦15(s)
    も満たすように制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  3. 請求項1又は2に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記電界強度Eが、
    0<E≦5×105
    の範囲内となるように直流電場を印加する制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  4. 請求項1又は2に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記電界強度Eが、
    −5×105≦E<0
    の範囲内となるように直流電場を印加する制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  5. 請求項1又は2に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記式1に基づいて求められる周期Aが、
    1×t≦A≦10×t
    の範囲内となるように交流電場を印加する制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  6. 請求項5に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記電界強度Eが、
    −5×105≦E≦5×105
    の範囲内となるように交流電場を印加する制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記光電変換層の残留電荷の除去が、放射線源のレディ信号を合図として開始されるように制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記光電変換層の残留電荷の除去が、前記画像信号の出力直後に開始されるように制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
    前記制御部は、
    前記光電変換層の残留電荷の除去が、入力部への電荷除去開始信号の入力を合図として開始されるように制御を行うことを特徴とする放射線画像検出器。
  10. 入射した放射線の強度に応じた発光を行う発光層と、
    導電性有機化合物を用いて形成され、前記発光層から出力された光を電気エネルギーに変換する光電変換層と、
    前記光電変換層で得られた電気エネルギーの蓄積及び該蓄積された電気エネルギーに基づく信号の出力を行う信号取出し層と、
    を基板上に備え、
    前記信号取出し層から出力された信号に基づいて入射した放射線の画像信号を出力する制御を行うと共に、
    前記光電変換層に電場を印加することで前記画像信号の出力後に前記光電変換層に残留する電荷を除去する制御を行う制御部を備える放射線画像検出器の残留電荷除去方法において、
    L(cm)=光電変換層の厚さ、
    μ(cm2×V-1×s-1)=キャリア移動度で、2つのキャリアの移動度が分かっている場合には小さい方の移動度、
    E(V×cm-1)=電界強度、
    としたときの電荷の電極間移動時間t(s)が、
    t=L×μ-1×E-1(式1)
    で表される場合に、
    前記残留電荷を除去するために印加する電場の印加時間T(s)が、
    2×t≦T
    となるようにすることを特徴とする放射線画像検出器の残留電荷除去方法。
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