JP2007012982A - 光電変換素子、放射線画像検出器及び放射線画像撮影システム - Google Patents

光電変換素子、放射線画像検出器及び放射線画像撮影システム Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換率が高い光電変換素子、放射線画像検出器及び放射線画像撮影システムを提供すること。
【解決手段】
光電変換素子10aは、入射した電磁波により励起されて電荷を発生する有機化合物を含有する電荷発生層30aと、電荷発生層30aで発生した電荷のうち、一方のキャリアを集める透明電極20と、他方のキャリアを集める対電極40とを備え、有機化合物に、ハロゲン化ペンタセンを含有させるとともに、この光電変換素子10aを適用した放射線画像検出器50及び、放射線画像撮影システム90とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、放射線画像検出器及び放射線画像撮影システムに係り、特に、デジタル式の放射線画像撮影システムに用いられる光電変換素子、放射線画像検出器及び放射線画像撮影システムに関する。
従来より、被写体にX線等の放射線を照射し、当該被写体を透過した放射線の強度分布を検出して得られた放射線画像が広く利用されている。
放射線画像を得るための放射線画像撮影システムとしては、蛍光増感紙と放射線写真フィルムとを組み合わせて放射線画象を得るSFシステム(スクリーンフィルムシステム)が用いられていたが、近年では、撮影に際し放射線を検出して電気信号に変換し、放射線画像情報として蓄積するCR(Computed Radiography)やFPD(Flat Panel Detector)等を用いたデジタル式の放射線画像撮影システムが提案されている。デジタル式の放射線画像撮影システムでは、SFシステムのように、放射線フィルムを用いないので、現像処理等の煩雑なプロセスがなく、迅速に画像表示装置(例えば、陰極管や液晶表示パネル等)の画面上に放射線画像を描くことができる。
ここで、デジタル式の放射線画像撮影システムにおいて得られる放射線画像は、SFシステム同等以上の画質が得られるが、CR及びFPDは高価であり、また軽量なカセッテタイプ(移動タイプ)の放射線画像変換パネルを実現することが困難であった。そこで、以下に示すような安価でかつ軽量で高画質のデジタル放射線画像が得られる放射線画像変換パネルが開発されている。
特許文献1に記載の放射線画像変換パネルは、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するシンチレータ層と、前記シンチレータ層から出力された電磁波を電荷に変換する光電変換層と、前記光電変換層で得られた電荷の蓄積およびその蓄積された電荷に基づく信号の出力を行う画像信号出力層と、前記シンチレータ層から画像信号出力層を支持する基板とを備える放射線画像変換パネルにおいて、前記基板を樹脂で形成したものである。基板を樹脂で形成することにより、基板の軽量化ができるとともに、衝撃に対する耐性を向上させることができ、放射線画像変換パネルの軽量化と耐性の向上が可能である。
特許文献2に記載の放射線画像変換パネルは、特許文献1に記載の放射線画像変換パネルにおいて、前記シンチレータ層に酸素及び希土類元素のガドリニウム、ユウロピウムを含有する蛍光体を用いたものである。前記蛍光体は放射線吸収率が高く、発光効率が高いので、高画質の放射線画像を得ることができる。
また、特許文献3に記載の放射線画像変換パネルは、特許文献1に記載の放射線画像変換パネルにおいて、各層の並び順を変えており、放射線は基板側からシンチレータ層側に向けて入射されるようになっている。このような構成にすることにより、シンチレータ層から光電変換層に発光される電磁波は、より散乱が少ないものとなり、放射線画像変換パネルの鮮鋭度を向上させることができる。
さらに、特許文献4に記載の放射線画像変換パネルは、特許文献1に記載の放射線画像変換パネルにおいて、シンチレータ層の構成要素である蛍光体粒子を、光電変換層に分散させたものである。光電変換層をこのような構成とすることで、シンチレータ層を別途設ける必要が無く、高画質の放射線画像を得ることができる。
特開2003−50280号公報 特開2003−57353号公報 特開2003−60181号公報 特開2003−60178号公報
ここで、従来の光電変換層で用いられる電荷発生可能な材料としては、導電性高分子材料等、有機EL素子に使用されるような発光材料が挙げられる。そして、前記材料に、フラーレンやカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube;以下、「CNT」とする)のような立体的なπ電子雲を有するナノカーボン材料を添加することにより、光電変換率の向上及び信号値の増加が可能となり、高画質の放射線画像を得ることを試みていた。
しかしながら、材料にナノカーボン材料を添加させた場合も含め、電子輸送速度が遅いため、応答性を挙げるために光電変換層の膜厚を薄くしなければならず、一方、光電変換層の膜厚が薄い場合には、発生した電磁波を十分に吸収することができず、透過させてしまうため、光電変換効率を低下させてしまう問題が生じていた。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、光電変換率が高い光電変換素子、放射線画像検出器及び放射線画像撮影システムの提供を目的とするものである。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
入射した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層と、
前記電荷発生層で発生した前記電荷のうち、一方の電荷を集める透明電極と、
他方の電荷を集める対電極とを備え、
前記電荷発生層は、ハロゲン化ペンタセンを含有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、光電変換素子は、電荷発生層と、この電荷発生層で発生した電荷を集める1対の電極(透明電極及び対電極)とを備えるとともに、電荷発生層にハロゲン化ペンタセンを含有している。このハロゲン化ペンタセンは、立体的なπ電子雲を有しているとともに、炭素−ハロゲン原子間が分極しているために、芳香族環内の電子吸引性が非常に高まり、電荷発生層内で発生された電荷を各電極へ移動させる際に、強力な電子受容体として作用して電子移動速度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光電変換素子において、
前記電荷発生層は、電子供与体と、電子受容体とが混在する混合膜を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前記電荷発生層は、電子供与体と、電子受容体とが混在する混合膜を備えるので、電荷発生を混合膜内部全体で行うことができる。また、電荷発生層を製造する際は、混合膜を製造することで、電子供与体と、電子受容体とを含んだ電荷発生層を合成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光電変換素子において、
前記混合膜を構成する前記電子受容体は、前記ハロゲン化ペンタセンであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記混合膜を構成する前記電子受容体は、前記ハロゲン化ペンタセンであるので、混合膜においてハロゲン化ペンタセンは電子受容体として作用する。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の光電変換素子において、
前記混合膜は、塗布法により形成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記混合膜は、塗布法により形成されるので、原材料のロスを抑えつつ、高度な技術や設備を必要としないで製造することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の光電変換素子において、
前記電荷発生層は、電子供与体と、電子受容体とがそれぞれ層をなして積層する積層膜を備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記電荷発生層は、前記電子供与体と、前記電子受容体とがそれぞれ層をなして積層する積層膜を備えるので、電子供与体及び電子受容体の境界面において電荷を発生させることができ、発生電荷が電極へ移動する際に再結合するのを防ぐことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光電変換素子において、
前記積層膜のうち、前記電子受容体により形成される層は、前記ハロゲン化ペンタセン及びn型導電性高分子化合物とが混在する混合膜であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、前記積層膜のうち、前記電子受容体により形成される層は、前記ハロゲン化ペンタセン及びn型導電性高分子化合物とが混在する混合膜であるので、電極への移動中等に発生電荷の再結合を防止することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の光電変換素子において、
前記積層膜のうち、前記電子受容体により形成される層は、塗布法により形成されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、前記積層膜のうち、前記電子受容体により形成される層は、塗布法により形成されるので、原材料のロスを抑えつつ、高度な技術や設備を必要としないで製造することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光電変換素子において、
前記n型導電性高分子化合物は、ポリピリジン又はポリ(p‐ピリジルビニレン)のうち、少なくともいずれか1つを基本骨格とすることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、前記n型導電性高分子化合物は、ポリピリジン又はポリ(p‐ピリジルビニレン)のうち、少なくともいずれか1つを基本骨格としており、π共役系高分子化合物であるので、電子輸送速度を高めることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の光電変換素子において、
前記n型導電性高分子化合物は、ポリ(p‐ピリジルビニレン)を基本骨格とすることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、前記n型導電性高分子化合物は、ポリ(p‐ピリジルビニレン)を基本骨格とするので、電子輸送速度をさらに高めることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の光電変換素子において、
前記電子供与体は、p型導電性高分子化合物であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、前記電子供与体は、p型導電性高分子化合物であるので、励起されると、電子を放出して正孔を発生させることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の光電変換素子において、
前記p型導電性高分子化合物は、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p‐フェニレン)又はポリアニリンのうち、少なくともいずれか1つを基本骨格とすることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、前記p型導電性高分子化合物は、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p‐フェニレン)又はポリアニリンのうち、少なくともいずれか1つを基本骨格としており、π共役系高分子化合物であるので、正孔輸送速度を高めることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の光電変換素子において、
前記p型導電性高分子化合物は、前記ポリチオフェンを基本骨格とすることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、前記p型導電性高分子化合物は、π共役系高分子化合物であるポリチオフェンを基本骨格とするので、さらに正孔輸送速度を高めることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光電変換素子において、
前記電荷発生層は、10nm〜1μmであることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、前記電荷発生層は、10nm〜1μmであるので、光吸収効率を高めつつ、電気抵抗量が増大するのを抑えることができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の光電変換素子において、
前記電荷発生層は、100nm〜1μmであることを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、前記電荷発生層は、100nm〜1μmであるので、光吸収効率を高めつつ、電気抵抗量が増大するのを抑えることができる。
請求項15に記載の発明は、放射線画像検出器において、
入射した放射線のエネルギーを吸収して電磁波を発光する蛍光体粒子と、
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の光電変換素子とを備えることを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、入射した放射線のエネルギーを吸収して電磁波を発光する蛍光体粒子と、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の光電変換素子とを備えるので、電子輸送速度を向上させた放射線画像検出器とすることができる。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の放射線画像検出器において、
前記蛍光体粒子を備えるシンチレータ層と、
前記光電変換素子を備え、前記エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層と、
を放射線照射方向から順に備えることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、前記蛍光体粒子を備えるシンチレータ層と、前記光電変換素子を備え、前記エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層と、を放射線照射方向から順に備えるので、光電変換率の高い放射線画像検出器とすることができる。
請求項17に記載の発明は、請求項15に記載の放射線画像検出器において、
前記光電変換素子を備え、前記エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層と、
前記蛍光体粒子を備えるシンチレータ層と、
を放射線照射方向から順に備えることを特徴とする。
請求項17に記載の発明によれば、前記光電変換素子を備え、前記エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層と、前記蛍光体粒子を備えるシンチレータ層と、を放射線照射方向から順に備えるので、より鮮鋭性の高い放射線画像検出器とすることができる。
請求項18に記載の発明は、請求項16又は請求項17に記載の放射線画像検出器において、
前記光電変換素子は、前記電荷発生層に前記蛍光体粒子を備えることを特徴とする。
請求項18に記載の発明によれば、前記光電変換素子は、前記電荷発生層に前記蛍光体粒子を備えるので、シンチレータ層を光電変換層と区別して備える必要が無く、いわゆる直接型の放射線画像検出器とすることができる。
請求項19に記載の発明は、請求項16から請求項18のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記光電変換層を支持する基板を備えており、前記基板は、樹脂からなることを特徴とする。
請求項19に記載の発明によれば、前記構成要素を支持する基板を樹脂とすることによって、放射線画像検出器の軽量化と耐性の向上が可能である。
請求項20に記載の発明は、請求項15から請求項19のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記蛍光体粒子は、セシウムアイオダイド(CsI:Tl)又はガドリニウムオキシサルファイド(Gd22S:Tb)からなることを特徴とする。
請求項20に記載の発明によれば、前記蛍光体粒子はセシウムアイオダイド(CsI:Tl)又はガドリニウムオキシサルファイド(Gd22S:Tb)からなるので、X線吸収効率および発光効率の高い放射線画像変換パネルとすることができる。
請求項21に記載の発明は、請求項15から請求項20のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記蛍光体粒子の結晶子サイズは、10nm〜100nmであることを特徴とする。
請求項21に記載の発明によれば、前記蛍光体粒子の結晶子サイズは10nm〜100nmであるので、発光効率が高く、粒状性が良い放射線画像変換パネルとすることができる。
ここで、蛍光体粒子の結晶子サイズとは、蛍光体粒子を構成する結晶子の大きさを示す指標であり、ウィルソン法により測定されるものとする。
請求項22に記載の発明は、請求項15から請求項21のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記蛍光体粒子の粒子サイズは、0.2μm〜5μmであることを特徴とする。
請求項22に記載の発明によれば、前記蛍光体粒子の粒子サイズは、0.2μm〜5μmであるので、発光効率が高く、鮮鋭性の高い放射線画像検出器とすることができる。
請求項23に記載の発明は、請求項16から請求項22のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記光電変換層は、前記電荷発生層で得られた電荷を蓄積する電荷蓄積素子と、前記電荷に基づいて画像信号の出力を行う画像信号出力素子とを備えており、
前記電荷蓄積素子及び前記画像信号出力素子は、有機半導体からなることを特徴とする。
請求項23に記載の発明によれば、前記電荷蓄積素子及び前記画像信号出力素子を備えるとともに、これらは有機半導体からなるので、製造コストの低い放射線画像検出器とすることができる。
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の放射線画像検出器において、
前記電荷蓄積素子及び前記画像信号出力素子は、分割されたシリコン積層構造の素子からなることを特徴とする。
請求項24に記載の発明によれば、前記電荷蓄積素子及び前記画像信号出力素子は、分割されたシリコン積層構造の素子からなるので、製造コストの低い放射線画像検出器とすることができる。
請求項25に記載の発明は、請求項15から請求項24のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
可搬構造であることを特徴とする。
請求項25に記載の発明によれば、可搬構造の放射線画像検出器であるので、放射線画像の撮影を容易に行うことができる。
請求項26に記載の発明は、請求項15から請求項25のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
駆動時に必要な電力を供給する電力供給手段を備えることを特徴とする。
請求項26に記載の発明によれば、駆動時に必要な電力を供給する電力供給手段を備えるので、放射線画像の撮影を容易に行うことができる。
請求項27に記載の発明は、請求項23から請求項26のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
出力された前記画像信号を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
請求項27に記載の発明によれば、前記放射線画像検出器は、出力された前記画像信号を記憶する記憶手段を備えるので、放射線画像の撮影を容易に行うことができる。
請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の放射線画像検出器において、
前記記憶手段は着脱可能であることを特徴とする。
請求項28に記載の発明によれば、前記放射線画像検出器は、着脱可能な前記記憶手段を備えるので、放射線画像の撮影を容易に行うことができる。
請求項29に記載の発明は、放射線画像撮影システムにおいて、
請求項15から請求項28のいずれか一項に記載の放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器を操作するコンソールとを備えることを特徴とする。
請求項29に記載の発明によれば、操作者がコンソールを操作することにより、放射線画像を撮影することができる。
請求項30に記載の発明は、請求項29に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールは、
操作者からの指示を入力する入力操作部と、
前記放射線画像検出器による画像信号の転送処理を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記入力操作部からの入力指示に基づいて、前記放射線画像検出器による前記画像信号の転送を行わせることを特徴とする。
請求項30に記載の発明によれば、画像信号を放射線画像検出器の記憶手段に記憶しておき、任意のタイミングで転送を行うことができるため、画像信号を転送している間、例えば患者などの被写体を待たせることなく、効率よく連続して放射線画像の撮影を行うことが可能となる。
請求項1に記載の発明によれば、光電変換素子は、キャリア移動速度を向上させ、光電流値及び光電変換効率を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、発生電荷量を向上させることができ、また、電荷発生層の製造を容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、ハロゲン化ペンタセンは混合膜中の電子供与体から電子を移動させ、電荷を発生させる。
請求項4に記載の発明によれば、低コストで製造することができる。
請求項5に記載の発明によれば、発生した電荷を効率よく電極へ移動させることができ、光電流値及び光電変換効率を向上させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、発生電荷の再結合によるキャリア輸送速度の低下を防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、低コストで製造することができる。
請求項8に記載の発明によれば、光電変換率の高い電荷発生層とすることができる。
請求項9に記載の発明によれば、さらに光電変換率の高い電荷発生層とすることができる。
請求項10に記載の発明によれば、透明電極又は対電極に正の電圧を印加することで、発生した正孔を対電極又は透明電極に移動させることができる。
請求項11に記載の発明によれば、光電変換率の高い電荷発生層とすることができる。
請求項12に記載の発明によれば、さらに光電変換率の高い電荷発生層とすることができる。
請求項13に記載の発明によれば、光電変換効率の高い電荷発生層とすることができる。
請求項14に記載の発明によれば、光電変換効率がさらに高い電荷発生層とすることができる。
請求項15に記載の発明によれば、電子輸送速度を向上させることで、光電変換効率を向上させた放射線画像検出器とすることができる。
請求項16に記載の発明によれば、光電変換率の高い放射線画像変換パネルとすることができ、高画質の放射線画像を得ることができる。
請求項17に記載の発明によれば、鮮鋭性と光電変換率の高い放射線画像変換パネルとすることができ、高画質の放射線画像を得ることができる。
請求項18に記載の発明によれば、光電変換率が高い直接型の放射線画像変換パネルとすることができ、高画質の放射線画像を得ることができる。
請求項19に記載の発明によれば、放射線画像変換パネルの軽量化と耐性の向上が可能であり、耐性の充分な、軽量化された放射線画像検出器を得ることができる。
請求項20〜22に記載の発明によれば、X線吸収効率及び発光効率の高い放射線画像変換パネルとすることができ、高画質の放射線画像を得ることができる。
請求項23、24に記載の発明によれば、製造コストの低い放射線画像変換パネルとすることができる。
請求項25〜28に記載の発明によれば、可搬構造の放射線画像検出器とすることができ、容易に放射線画像を得ることができる。
請求項29に記載の発明によれば、操作者がコンソールを操作することにより、放射線画像を撮影することができる。
請求項30に記載の発明によれば、画像信号を放射線画像検出器の記憶手段に記憶しておき、任意のタイミングで転送を行うことができるため、画像信号を転送している間、例えば患者などの被写体を待たせることなく、効率よく連続して放射線画像の撮影を行うことが可能となる。
以下に、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加え得ることは勿論である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態である光電変換素子について図1を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の光電変換素子10aは、透明電極20と、透明電極20を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層30aと、透明電極20に対しての対極になる対電極40とから構成されている。
透明電極20とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。
電荷発生層30aは、透明電極20の一面側に薄膜状に形成されており、光電変換可能な化合物として電磁波(光)によって電荷分離する有機化合物を含有するものであり、電荷を発生し得る電子供与体としての導電性化合物と電子受容体としての導電性化合物とを含有している。電荷発生層30aでは、電磁波が入射されると、電子供与体は励起されて電子を放出し、放出された電子は電子受容体に移動して、電荷発生層30a内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生するようになっている。
ここで、電荷発生層30aは、電子供与体としての導電性化合物としてp型導電性高分子化合物を含有しており、p型導電性高分子化合物としては、化合物1−1〜化合物1−8に示したポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p‐フェニレン)又はポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい(化合物1−1〜化合物1−8で、xは1以上の整数であることが好ましい)。化合物2−1〜化合物2−4にポリフェニレンビニレン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物2−1〜化合物2−4で、n、m、k、jは0以上の整数、xは2以上の整数である)。化合物3−1〜化合物3−11にポリチオフェン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物3−1〜化合物3−11で、n、mは0以上の整数、kは1以上の整数、xは2以上の整数である)。化合物4−1〜化合物4−3にポリ(チオフェンビニレン)及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物4−1〜化合物4−3で、n、m、k、jは0以上の整数、xは2以上の整数である)。化合物5−1〜化合物5−5にポリアセチレン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物5−1〜化合物5−5で、n、mは0以上の整数、xは2以上の整数である)。化合物6−1〜化合物6−7にポリピロール及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物6−1〜化合物6−7で、nは0以上の整数、kは1以上の整数、xは1以上の整数である)。化合物7−1〜化合物7−8にポリフルオレン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物7−1〜化合物7−8で、n、mは0以上の整数、xは1以上の整数である)。化合物8−1〜化合物8−3にポリ(p−フェニレン)及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物8−1〜化合物8−3で、n、mは0以上の整数、x、yは1以上の整数である)。化合物9−1〜化合物9−4にポリアニリン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物9−1〜化合物9−4で、n、mは0以上の整数、xは1以上の整数である)。なお、導電性高分子は化合物2−1〜化合物9−4に示した具体例に限られず、蛍光体粒子との組み合わせの観点から、ポリチオフェン及びその誘導体が最も好ましい。
Figure 2007012982
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また、電荷発生層30aには、その膜中に電子受容体としての導電性化合物としてハロゲン化ペンタセンが混在されている。ハロゲン化ペンタセンとは、5つのベンゼン環が直線状に並んだ構造であるペンタセンのヒドロキシル基がハロゲン元素で置換されたものであり、例えば、全てのヒドロキシル基がハロゲン元素で置換されたパーフルオロペンタセン、パークロロペンタセン、パーブロモペンタセン、パーヨードペンタセンなどが挙げられる。化合物10にハロゲン化ペンタセンの好ましい具体例を示す。(化合物10でXは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。)
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また、ハロゲン化ペンタセンの合成方法の一例としてパーフルオロペンタセンの合成方法について下記式(1)に示すとともに、以下に説明する。
式(1)に示すように、まず、塩化アルミニウムと塩化ナトリウムの存在下、200℃で4フッ化フタル酸無水物(化合物11−1)のフリーデルクラフツ反応をハイドロキノンで行うことによりアントラキノン(化合物11−2)を得る(収率71%)。そして、この化合物(化合物11−2)をスズとともに還元することで、2,3−ジヒドロ−1,4−アントラセンジオン(化合物11−3)を得る(収率95%)。得られた化合物(化合物11−3)で、再度、4フッ化フタル酸無水物(化合物11−1)のフリーデルクラフツ反応を行うと、6,13−ペンタセンジオン(化合物11−4)が得られる(収率85%)。そして,この化合物(化合物11−4)を4フッ化硫黄とともに,フッ化水素の存在下、150℃でフッ素化を行うと、パーフルオロ−(5,6,7,12,13,14−ヘキサヒドロペンタセン)(化合物11−5)が得られる(収率40%)。得られた化合物(化合物11−5)を亜鉛とともに280℃で脱フッ素化を行うことによりパーフルオロペンタセンが得られる(収率65%)。
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このようなハロゲン化ペンタセンでは、電子移動度が0.2cm2/Vs(数値&引用文献の確認)と高い値を示すとともに、電流のON/OFF比も105と高く、優れた電気伝導性を示すことが報告されている( J. Am. Chem. Soc, 126, 8138, 2004 )。これは、ハロゲン化ペンタセンが、その炭素−ハロゲン原子間の部分極性により、芳香族環内の電子吸引性が高まるために、分子周辺の電子を引き寄せる強力な電子受容体として作用するためであり、電荷発生層30aでは、キャリアが発生する際に電子供与体から移動される電子の移動速度を飛躍的に向上させることが可能となる。
また、ハロゲン化ペンタセンは、従来、電子受容体として使用されているn型導電性化合物の代表例であるフラーレンよりも酸化還元電位が低い値であることが報告されている。したがって、ハロゲン化ペンタセンは、電子供与体から電子を提示されやすく、電子移動性に優れ、非常に強力な電子受容体として作用させることが可能となる。
また、電荷発生層30aには、その膜中にハロゲン化ペンタセンの他に、電子受容体として作用する他の化合物が混在されていてもよい。電荷発生層30aに混在される好ましい他の化合物として、n型導電性高分子化合物が挙げられる。n型導電性高分子化合物としては、化合物12−1〜化合物12−2に示したポリピリジンの基本骨格を持つものが好ましく、特にポリ(p‐ピリジルビニレン)の基本骨格を持つものが好ましい(化合物12−1〜化合物12−2で、xは1以上の整数である)。化合物13−1〜化合物13−22にポリピリジン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物13−1〜化合物13−22で、x,yは1以上の整数であり、Rはアルキル基、Arはアリール基、HEXはヘキシル基である)。化合物14−1〜化合物14−2にポリ(p‐ピリジルビニレン)及びその誘導体の好ましい具体例を示す(化合物14−1〜化合物14−2で、xは1以上の整数である)。
Figure 2007012982
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前述した電荷発生層30aは、一般的に蒸着法により薄膜状に形成可能であるが、p型導電性高分子化合物などの高分子化合物をバインダーとしてハロゲン化ペンタセンを混合させることで塗布法によっても形成可能となる。本実施形態においては、電荷発生層30aは、塗布法で形成されることが好ましく、特に、スピンコート法により形成されることが好ましい。
電荷発生層30aの膜厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
対電極40は、電荷発生層30aの電磁波が入光される側の面と反対側に配置されている。対電極40は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極20の中から選択して用いることが可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするのが好ましい。
また、電荷発生層30aを挟む各電極(透明電極20及び対電極40)との間には、電荷発生層30aとこれら電極が反応しないように緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホナート)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
ここで、光電変換素子10aによる作用について説明する。
光電変換素子10aは、前述したように電荷発生層30aの両側を電極で挟み込む構造をしており、まず、光電変換素子10aの電荷発生層30aに電磁波が照射されると、電荷発生層30aでは、電磁波が吸収され、吸収された電磁波の強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
この状態で透明電極20又は対電極40のうち、いずれか一方の電極に電圧をかけると、電荷発生層30aで発生したキャリアのうち正孔は陰極、電子は陽極にそれぞれ移動する。本実施形態では透明電極100に正の電圧を印加しており、正孔はp型導電性高分子化合物間を通って対電極40側に、電子はハロゲン化ペンタセン間を通って透明電極20側に移動して光電流が流れる。
このとき、電荷発生層30aはハロゲン化ペンタセンを含有しており、電子が電子供与体からハロゲン化ペンタセンへ移動する速度を飛躍的に増加させることができるので、電子の対電極40側への移動速度(電子輸送速度)を飛躍的に増加させる。そして、電子輸送速度を飛躍的に増加させることで電子輸送速度と正孔が透明電極側へ移動する速度(正孔輸送速度)との速度バランスをとることができ、正孔と電子のキャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を防止することができる。
したがって、光電変換素子10aは、正孔と電子のキャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を防止することができるので、光電流値及び光電変換効率を向上させることができる。また、電荷発生層30aにはハロゲン化ペンタセンが混在しているので、大量の電荷を発生することができ、光電変換効率を一層向上させることができる。
また、従来から電荷発生層30aを厚くすると、ピンホールなどによるリーク電流を防ぐことができるが、光応答性や光電変換効率が悪くなってしまうことが知られている。しかしながら、光電変換素子10aでは、光電変換効率を向上させることができるので、電荷発生層30aを厚く形成させた場合に、リーク電流を防止しつつ、光電変換効率を大幅に改善させた素子とすることができる。
また、ハロゲン化ペンタセンを含有する電荷発生層30aは、塗布法により形成できる。一般に、ハロゲン化ペンタセンのような低分子化合物を含む薄膜は、粘度が低いために成膜性が悪く、蒸着法により形成される。しかしながら、ハロゲン化ペンタセンを高分子化合物である前述のp型導電性高分子化合物と混合させることにより、蒸着法に限らず塗布法により成膜することが可能となる。そのため、成膜する際に電荷発生層30aの原材料であるp型導電性高分子化合物及びハロゲン化ペンタセンを液体として扱うことができ、印刷、インクジェット法の適用が可能である。したがって、電荷発生層30aの形成にあたり、蒸着法のように大掛かりな装置や高度な制御技術を必要とせず、また、原材料のロスを防いで、大面積の薄膜形成と低コスト化を可能とする。
なお、本実施形態では、電荷発生層30aを電子供与体としての導電性化合物と、電子受容体としての導電性化合物であるハロゲン化ペンタセンとで構成したが、電荷発生層30aは電子供与体としての導電性化合物を含有していなくてもよい。すなわち、電荷発生層30aはハロゲン化ペンタセンのみを含有して構成されるものであってもよい。この場合においても、光電変換素子は、キャリア移動速度を向上させ、光電流値及び光電変換効率を向上させることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態である光電変換素子について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、第2の実施形態である光電変換素子10bは、第1の実施形態と同様の透明電極20及び対電極40に挟持されて形成された電荷発生層30bを備えている。第1の実施形態においては、電荷発生層30aは電子供与体と電子受容体とが混在する混合膜としたが、本実施形態においては、電荷発生層30bは電子供与体と電子受容体とがそれぞれ層をなして存在する積層膜であり、透明電極20側に薄膜状に形成された電子受容体からなる電子受容体層(電子輸送層)31aと、対電極40側に薄膜状に形成された電子供与体からなる電子供与体層(正孔輸送層)31bとから構成されている。
電子供与体層31bは、第1の実施形態と同様のp型導電性高分子化合物を含有している。電子供与体層31bは、従来から使用されている方法で形成させればよく、蒸着法及び塗布法のいずれの方法でも形成可能であり、使用目的に応じて適宜選択すればよい。
電子受容体層31aは、ハロゲン化ペンタセンと、第1実施形態で例示したn型導電性高分子化合物とが混在されたものを含有している。電子受容体層31aをハロゲン化ペンタセン単独で構成される層とせず、n型導電性高分子化合物のような高分子化合物に混合させて構成させることで、電子受容体層31aを製造する際に液体原料としてハロゲン化ペンタセンを扱うことができ、電子受容体層31aは、蒸着法の他に塗布法により形成可能となる。本実施形態においては、電子受容体層31aは、塗布法で形成されることが好ましく、特に、スピンコート法により形成されることが特に好ましい。
このように形成された電荷発生層30bの膜厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
また、電荷発生層30bを挟持する各電極との間(電子受容体層31aと透明電極20間及び電子供与体層31bと対電極40間)には、第1の実施形態と同様のバッファー層を設けてもよい。
このような構成の光電変換素子10bによる作用について説明すると、まず、電磁波が透明電極20から入射され、電荷発生層30bに到達される。すると、電子供与体層31bにおいて電磁波を吸収した電子供与体は励起されて電子を生じ、生じた電子は電子供与体周辺に存在する電子受容体に奪われて、電子供与体に正孔を生じさせる。つまり、電子受容体層31aと電子供与体層31bとの境界面で電荷の分離が行われる。
そして、この状態で透明電極20又は対電極40のうち、いずれか一方の電極に電圧をかけると、電子受容体層31a及び電子供与体層31bとの境界面で発生したキャリアのうち正孔は陰極としての対電極40、電子は陽極としての透明電極20へそれぞれ移動する。
このとき、正孔は電子供与体層31b内を通り、電子は電子受容体層31a内を通って電極へ移動して光電流が流れるが、電子受容体層31aにはハロゲン化ペンタセンが含有されているため、光電変換素子10bは、電子供与体から放出された電子が電子受容体を介して透明電極へ移動する速度を飛躍的に増加させることができ、キャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を防止することができる。
したがって、光電変換素子10bは、キャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を防止することができるので、光電流値及び光電変換効率を向上させることができる。
また、キャリアが移動する際、電子は、電子受容体層31a中を移動し、正孔は電子供与体層31b中を移動しており、各電極へ移動中の電子と正孔は再結合することがないので、発生したキャリアを効率よく運ぶことができ、電極へ輸送中のキャリアの再結合によるキャリア輸送速度の低下を防止し、光電変換効率を一層向上させることができる。
また、光電変換効率を向上させることができるので、電荷発生層を30b厚く形成させた場合に、リーク電流を防止しつつ、光電変換効率を大幅に改善することができる。
また、ハロゲン化ペンタセンを含有する電荷発生層30bは、塗布法により形成できるので、電荷発生層30bの形成にあたり、蒸着法のように大掛かりな装置や高度な制御技術を必要とせず、原材料のロスを防いで、大面積の薄膜形成と低コスト化を可能とする。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態である光電変換素子について、図3を参照して説明する。
図3に示すように、第3の実施形態である光電変換素子10cは、第2の実施形態と同様の透明電極20及び対電極40に挟持されて形成された電荷発生層30cを備えている。第3の実施形態においては、電荷発生層30cは、第2の実施形態と同様の電子受容体層31a及び電子供与体層31bを備えているが、電荷発生層30bの電子受容体層31aと電子供与体層31bとの境界面に、電荷分離を向上させるための活性層31cが設けられている。
ここで、活性層31cは、電子供与体と電子受容体とが混在する混合膜から形成されていればよく、例えば、立体的なπ電子雲を有して電子受容体として作用するナノカーボン材料と、電子供与体としてのp型導電性高分子とから構成される。
ナノカーボン材料とは、炭素原子が球状または筒状に繋がり、直径がナノサイズのものである。例えば、フラーレンC−60,フラーレンC−70,フラーレンC−76,フラーレンC−78,フラーレンC−84,フラーレンC−240,フラーレンC−540,ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を基本骨格に持つものであり、電荷分離直後のキャリアの再結合防止能が優れている材料として知られる。化合物15−1〜化合物15−5にフラーレン誘導体の好ましい具体例を示す(化合物15−1〜化合物15−5で、nは0以上の整数である)。化合物16−1にカーボンナノチューブ誘導体の好ましい具体例を示す(化合物16−1で、m,nは0以上の整数である)。なお、ナノカーボン材料については、化合物15−1〜化合物15−5、化合物16−1に示した具体例に限られない。
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活性層31cを構成するp型導電性高分子としては、第1の実施形態で例示したものが適用可能であり、特にポリチオフェン及びその誘導体が好ましい。
このような構成の光電変換素子10cによる作用について説明すると、電磁波が透明電極20から入射され、電荷発生層30bに到達されると、電子受容体層31aと活性層31cとの境界面及び活性層31c内、活性層31cと電子供与体層31bとの境界面で電荷の分離が行われる。そして、発生した電荷のうち、正孔は電子供与体層31b内を通り、電子は電子受容体層31a内を通ってそれぞれ透明電極20及び対電極40に移動する。
したがって、光電変換素子10cでは、電子受容体層31aと電子供与体層31bとの境界面だけで電荷の分離を行う第2の実施形態に比べて、電荷発生量を増加させることができる。また、活性層31c中の電子受容体として電荷分離直後のキャリアの再結合防止能が優れているナノカーボン材料を用いることにより、輸送中のキャリアの再結合によるキャリア輸送速度の低下を防止しつつ、電荷発生量を増加させることができ、光電変換効率を一層向上させることができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態として本発明に係る光電変換素子10aを用いた放射線画像検出器50について図4又は図5を参照して説明する。
図4に示すように、放射線画像検出器50aには、放射線画像変換パネル51a、放射線画像検出器50の動作を制御する制御部52、書き換え可能な読み出し専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて放射線画像変換パネル51aから出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、放射線画像変換パネル51aを駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54、等が筐体55の内部に設けられており、筐体55には必要に応じて放射線画像検出器50から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出器50の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
ここで、放射線画像検出器50に電源部54を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して放射線画像検出器50を着脱自在にすれば、放射線画像検出器50を持ち運びできる可搬構造とすることができる。さらに、不揮発性メモリを用いてメモリ部53を着脱可能に構成すれば、放射線画像検出器50と画像処理部51を接続しなくとも、メモリ部53を後述する画像処理部59に装着するだけで画像信号を画像処理部59に供給できることから、更に放射線画像の撮影及び画像処理が容易となり、操作性を向上できる。なお、放射線画像検出器50を据置き型として用いる場合には、コネクタ56を介して電力の供給や画像信号の読み出しを行うことで、メモリ部53や電源部54を設けなくとも、放射線画像の画像信号を得られることは勿論である。
放射線画像変換パネル51aは、図5に示すように、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するシンチレータ層60と、前述の光電変換素子10aを備えてシンチレータ層60からの電磁波を吸収して電荷を発生する光電変換層70と、シンチレータ層60及び光電変換層70を支持する基板80と、からなる。
シンチレータ層60は、蛍光体からなる蛍光体粒子61を主たる成分とするものであり、入射した放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する。
シンチレータ層60で用いられる蛍光体は、CaWO4、CaWO4:Pb、MgWOなどのタングステン酸塩系蛍光体、Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tbなどのテルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体、LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、GdOBr:Tb、GdOBr:Tb,Tm、GdOCl:Tb、GdOCl:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Tm、LaOCl:Tmなどのツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Gd、LuOCl:Gdなどのガドリニウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、GdOBr:Ce、GdOCl:Ce、(Gd,Y)OBr:Ce、(Gd,Y)OCl:Ceなどのセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+などの硫酸バリウム系蛍光体、Ba3(PO42:Eu2+、(Ba2PO42:Eu2+、Sr3(PO42:Eu2+、(Sr2PO42:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体、BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFCl:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl2・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl2・KCl:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tlなどの沃化物系蛍光体、ZnS:Ag、(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Agなどの硫化物系蛍光体、HfP27、HfP27:Cu、Hf3(PO44などの燐酸ハフニウム系蛍光体、YTaO4、YTaO4:Tm、YTaO4:Nb、(Y,Sr)TaO4:Nb、LuTaO4、LuTaO4:Tm、LuTaO4:Nb、(Lu,Sr)TaO4:Nb、GdTaO4:Tm、Mg4Ta29:Nb、Gd23・Ta25・B23:Tbなどのタンタル酸塩系蛍光体、他に、Gd22S:Eu3+、(La,Gd,Lu)2Si27:Eu、ZnSiO4:Mn、Sr227:Eu、などを用いることができる。
特に、X線吸収及び発光効率が高いセシウムアイオダイド(CsI:Tl)やガドリニウムオキシサルファイド(Gd22S:Tb)が好ましく、これらを用いることで、ノイズの低い高画質の画像を得ることができる。
蛍光体粒子61を構成する結晶子の大きさを示す指標である結晶子サイズ(ウィルソン法による)は10nm〜100nmである。結晶子サイズが10nmよりも小さいと発光効率が低くなり、100nmよりも大きいと作製時の蛍光体収集率が悪化するためである。また、蛍光体粒子61の粒子サイズは0.2μm〜5μmとする。粒子サイズが0.2μmよりも小さいと発光効率が低くなり、5μmよりも大きいとシンチレータ層60内での発光の散乱が大きくなり鮮鋭性が悪化するためである。この蛍光体粒子61の粒子サイズは0.5μm〜2μmが好ましい。
さらに、蛍光体粒子61の形状は球状であることが好ましい。球状であることにより、蛍光体粒子61の分散性が高くなり、蛍光体粒子61の充填率を高められるので、粒状性の向上をはかることができるからである。
蛍光体粒子61は以下のようなバインダー62に分散されることとしてもよい。例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、各種合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等があげられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。このような好ましいバインダー62を用いることで、蛍光体粒子61の分散性を高め、蛍光体の充填率を高くすることが可能である。
光電変換層70はシンチレータ層60の放射線照射面側と逆側の面に設けられており、シンチレータ層60側から順に、隔膜71、光電変換素子10a及び画像信号出力層72を備えている。以下、順次説明する。
隔膜71は、シンチレータ層60と他の層を分離するためのものであり、例えばOxi-nitrideなどが用いられる。
光電変換素子10aは、隔膜71側に透明電極が配置されるように設けられている。つまり、隔膜71側から順に透明電極20、電荷発生層30a、対電極40が配置される。
画像信号出力層72は、光電変換素子10aで得られた電荷の蓄積および蓄積された電荷に基づく信号の出力を行うものであり、光電変換素子10aで生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサ73と、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタ74とを用いて構成されている。
トランジスタ74は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよく、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。さらに、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
このように、本発明に用いられるトランジスタ74としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。さらに、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板上にも形成できる。
トランジスタ74には、光電変換素子10aで発生した電荷を蓄積するとともに、コンデンサ73の一方の電極となる収集電極(図示せず)が電気的に接続されている。コンデンサ73には光電変換素子10aで生成された電荷が蓄積されるとともに、この蓄積された電荷はトランジスタ74を駆動することで読み出される。すなわちトランジスタ74を駆動させることで放射線画像の画素毎の信号を出力させることができる。
基板80は、光電変換層70のシンチレータ層60が形成されている面と反対側の面に設けられており、放射線画像変換パネル51aの支持体として機能する。この基板80には樹脂やガラス基板などが用いられるが、耐性の向上や軽量化といった観点から、樹脂を用いるのが好ましい。
次に、放射線画像検出器50の作用について説明する。
まず、放射線画像検出器50に対し入射された放射線は、放射線画像変換パネル51aのシンチレータ層60側から基板80側に向けて放射線を入射する。
すると、シンチレータ層60に入射された放射線は、シンチレータ層60中の蛍光体粒子61が放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波が発光される。発光された電磁波のうち、光電変換層70に入光される電磁波は、光電変換層70の隔膜71、透明電極20を貫通し、電荷発生層30aに到達する。そして、電荷発生層30aにおいて電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
その後、発生した電荷は、電源部54によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界により正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透明電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れる。その際、電荷発生層30aにはハロゲン化ペンタセンが含有されており、電子供与体が放出した電子は電子受容体であるn型導電性高分子化合物に移動する。つまり、電極に移動する電子のうち、ハロゲン化ペンタセンを移動するものが存在するため、電子輸送速度を向上させることができる。その結果、電子輸送速度を飛躍的に増加させることで電子輸送速度と正孔輸送速度との速度バランスをとることができ、正孔と電子のキャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を生じさせない。したがって、光電変換素子10aは、正孔と電子のキャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を防止することができ、光電流値及び光電変換効率を向上させることができる。また、電荷発生層30aにはハロゲン化ペンタセンが混在しているので、大量の電荷を発生することができ、光電変換効率を一層向上させることができる。
その後、電荷発生層30a内で発生した電荷は各電極に運ばれた後、対電極40側に運ばれた正孔は画像信号出力層72のコンデンサ73に蓄積される。蓄積された正孔はコンデンサ73に接続されているトランジスタ74を駆動させると、画像信号を出力すると共に、出力された画像信号はメモリ部53に記憶される。
以上のように本実施形態によれば、放射線画像検出器50は、放射線画像変換パネル51aにハロゲン化ペンタセンを含有する光電変換素子10aを備えているので、電子輸送速度を向上させるとともに、正孔と電子のキャリア輸送速度の違いにより生じていたキャリアの再結合を防止して光電流値及び光電変換率を向上させることができ、光電感度を向上させ、高画質のデジタル画像を得ることができる。
また、電荷発生層30aを厚く形成させた場合に、リーク電流を防止しつつ、光電変換効率を大幅に改善することができる。
また、ハロゲン化ペンタセンを含有する電荷発生層30aを塗布法により形成することができるので、放射線画像検出器50は形成時に大掛かりな装置や高度な制御技術を必要とせず、大画面の放射線画像変換パネル51aの形成と低コスト化を可能とする。
なお、本実施形態において、放射線画像変換パネル51aにハロゲン化ペンタセンを含有する光電変換素子として光電変換素子10aを適用させたが、前述の光電変換素子10b及び光電変換素子10cであってもよい。
光電変換素子10bを適用した場合には、キャリアが移動する際、電子は、電子受容体層31a中を移動し、正孔は電子供与体層31b中を移動して、各電極へ移動中の電子と正孔は再結合することがないので、発生したキャリアを効率よく運ぶことができる。その結果、電極へ輸送中のキャリアの再結合によるキャリア輸送速度の低下を防止することができ、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるため、光電感度を向上させ、高画質のデジタル画像を得ることができる。
また、光電変換素子10cを適用した場合には、電荷の分離を電子受容体層31aと電子供与体層31bとの境界面だけでなく、活性層31cでも行うことができるので、電荷発生量を増加させるとともに、活性層31c中の電子受容体として電荷分離直後のキャリアの再結合防止能が優れているナノカーボン材料を用いることにより、輸送中のキャリアの再結合によるキャリア輸送速度の低下を防止することができ、第3の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるため、光電感度を向上させ、高画質のデジタル画像を得ることができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態である放射線画像検出器について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、第5の実施形態の放射線画像検出器は、第4の実施形態において放射線画像変換パネル51aを備える代わりに、放射線画像変換パネル51bを備える以外は同様の構成の放射線画像検出器である。第4の実施形態において放射線画像変換パネル51aは、シンチレータ層60、隔壁71、光電変換素子10a、画像信号出力層72及び基板80を放射線照射方向から順に備えているものとしたが、本実施形態において放射線画像変換パネル51bは、基板80、画像信号出力層72、光電変換素子10a、隔壁71及びシンチレータ層60を放射線照射方向から順に備えて放射線画像変換パネル51bを構成しており、放射線は基板80からシンチレータ層60側に向けて入射されるようになっている。
このような構成の放射線画像変換パネル51bによる画像信号の出力について説明すると、まず、放射線は基板80に入射し、画像信号出力層72及び光電変換素子10a、隔壁71をこの順に通過し、シンチレータ層60に到達する。すると、シンチレータ層60において放射線の強度に応じて発光される電磁波は散乱がより少なくなる。その後、電磁波は電荷発生層30aにおいて光電変換され、画像信号出力層72から画像信号が出力される。
したがって、放射線画像変換パネル51bは、第4の実施形態と同様の効果を得つつ、放射線画像変換パネル51bの鮮鋭度をさらに向上させることができる。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態である放射線画像検出器について、図7を参照して説明する。
第6の実施形態の放射線画像検出器は、第4の実施形態において放射線画像変換パネル51aを備える代わりに、放射線画像変換パネル51cを備える以外は同様の構成の放射線画像検出器である。
放射線画像変換パネル51cは、蛍光体粒子61を含有するシンチレータ層20を備える代わりに、図7に示すように第4の実施形態における電荷発生層30aに蛍光体粒子61を含有して形成される電荷発生層30dを備えて形成される光電変換素子10dにより構成されており、いわゆる直接型の放射線画像変換パネルである。なお、図7では、放射線画像変換パネル51cの一例として放射線照射方向から順に、光電変換素子10d、画像信号出力層72及び基板80を備える構成について図示する。ここで、直接型の放射線画像変換パネルとは、電荷発生層に蛍光体粒子を含むものをいい、電荷発生層において放射線が直接吸収されて電気エネルギーに変換されるようになっている。これに対して、第4の実施形態に係る放射線画像変換パネル51aは、電荷発生層において放射線のエネルギーが間接的に吸収される、いわゆる間接型の放射線画像変換パネルである。
直接型の放射線画像変換パネルにおいても、蛍光体粒子が放射線を吸収して、エネルギーが蛍光体粒子から導電性高分子化合物に移動して、導電性高分子化合物が電荷分離状態となり電気エネルギーが生成するという原理は同じである。しかしながら、両者においては、放射線を吸収した蛍光体粒子から導電性高分子化合物へエネルギーが伝達する態様が異なっている。直接型では、蛍光体粒子の分子軌道と導電性高分子化合物の分子軌道とが接近している場合、間接型におけるような蛍光体粒子から発光される電磁波によるエネルギーの伝達に加え、蛍光体粒子が電磁波を発光するより早く電子などによりエネルギーは直接導電性高分子化合物に伝達されることがある。
本実施形態における放射線画像変換パネル51cによる画像信号の出力について説明すると、本実施形態の放射線画像変換パネル51cにはシンチレータ層が別途設けられていないので、放射線は電荷発生層30dに入射する。すると、電荷発生層30dに含まれる蛍光体粒子61が放射線を吸収する。吸収されたエネルギーの一部はすぐに電子を媒体として導電性高分子化合物に伝達されるとともに、残りのエネルギーは電磁波となり導電性高分子化合物に伝達される。よって、電荷発生層30dから電荷が発生し、この電荷に基づいて画像信号出力層72から画像信号が出力される。
したがって、直接型の放射線画像変換パネル51cにおいても、第4の実施形態における間接型の放射線画像変換パネルと同様の効果を得ることができる。
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態として、本発明に係る放射線画像検出器50を用いた放射線画像撮影システムについて、図8を参照して説明する。
図8に示すように、本実施形態による放射線画像撮影システム90は、放射線画像撮影に関する情報を管理するサーバ91と、放射線画像撮影に関する操作を行う撮影操作装置92と、例えば無線LAN(Local Area Network)等の無線通信方式による通信を行うための基地局93と、放射線画像検出器50を操作するコンソール94とがネットワーク95を通じて接続されている。撮影操作装置92にはケーブルなどを介して、被写体(本実施形態においては患者96)に放射線を照射して放射線画像の撮影を行う放射線画像撮影装置97が接続されている。ここで、ネットワーク95は、当該システム専用の通信回線であっても良いが、システム構成の自由度が低くなってしまう等の理由のため、イーサネット(Ethernet;登録商標)等の既存の回線である方が好ましい。
サーバ91は、コンピュータで構成されており、サーバ91には、サーバ91を構成する各部を制御する制御部、各種情報や操作者の指示を入力する入力操作部、及び、各種情報を記憶する外部記憶装置等が設けられている(いずれも図示しない)。
サーバ91の制御部は、入力操作部から入力された患者情報や撮影情報等をそれぞれ対応付けた状態で、外部記憶装置に記憶させるようになっている。患者情報とは、患者96の氏名、年齢、性別、生年月日、患者96を特定するための患者ID番号等の患者96に関する情報である。また、撮影情報とは、撮影部位(被撮影者の身体上の撮影する部分)、撮影する方向や方法等の撮影を行うために必要な情報である。
なお、サーバ91に代えて、IDカードに予め書き込まれた患者情報や撮影情報を読み取るカードリーダ等の情報読取装置を設けるようにしてもよい。
放射線画像撮影装置97は、放射線源97aを有しており、この放射線源97aに管電圧が印加されることによって、放射線を発生するようになっている。放射線源97aの放射線照射口には、放射線照射野を調節する絞り装置97bが、開閉自在に設けられている。放射線源97aの下方であって放射線照射範囲には、放射線画像検出器50を介して患者96を載置させる寝台97cが設けられている。
撮影操作装置92は、情報を表示する表示部や操作者である放射線技師からの指示を入力する入力操作部(いずれも図示せず)等を備えるコンピュータで構成されており、撮影条件に対応する管電圧値、放射線の線量及び照射野絞り値により撮影が行われるように、放射線画像撮影装置97の放射線源97a及び絞り装置97b等を制御するようになっている。
コンソール94は、図9に示すように、制御部94a、RAM94b、ROM94c、表示部94d、入力操作部94e、通信部94f等を備えて構成されており、各部はバス94gにより接続されている。
表示部94dは、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成され、制御部94aから出力され入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示するようになっている。
入力操作部94eは、例えば、キーボードやマウス等から構成されており、キーボードで押下操作されたキーの押下信号やマウスによる操作信号を入力信号として制御部94aに対して出力するようになっている。
通信部94fは、無線LAN等の無線通信方式により、基地局93を介して、放射線画像検出器50との間で各種情報の通信を行うものである。
制御部94aは、例えば、CPU等から構成され、ROM94cに格納される所定のプログラムを読み出してRAM94bの作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。
制御部94aは、受信した各種情報を、基地局93を介して無線で放射線画像検出器50に対して送信するようになっている。
また、制御部94aは、前記入力操作部94eからの入力指示に基づいて、放射線画像検出器50に画像信号の転送を行わせるようになっている。
さらに、制御部94aは、前記入力操作部94eからの入力指示に基づいて、放射線画像検出器50に記憶されている画像信号の削除を行わせるようになっている。
次に、放射線画像撮影システム90の作用について説明する。
放射線画像の撮影が行われる際には、サーバ91から撮影操作装置92に対して、患者情報や撮影情報が送信される。撮影操作装置92は受信したこれらの情報を適宜表示部に表示し、放射線技師はこれらの情報を確認しながら放射線画像の撮影を行う。
撮影操作装置92は、受信した撮影情報に含まれる管電圧値、線量及び照射野絞り値に基づいて、放射線画像撮影装置97の放射線源97a及び絞り装置97bを制御し、放射線画像撮影装置97は、これらの条件下で放射線を患者96に対して照射する。
このとき、放射線画像検出器50が、寝台97c上であって患者96の下に差しこまれており、患者96を透過する放射線量を検出し、検出した放射線を電気信号に変換して画像信号を取得し、取得した画像信号をメモリ部53に記憶する。
そして、放射線画像検出器50のメモリ部53に記憶されている放射線画像の画像信号が、基地局93を介して無線によりコンソール94へ送信される。
コンソール94は、通信部94fを介して受信した画像信号と患者情報等と関連付けて、サーバ91に対して送信する。その後、各画像信号は、サーバ91より画像処理がなされた後、適宜出力され、放射線画像として医師による診断に供される。
以上より、本実施形態に係る放射線画像撮影システム90によれば、光電変換率が高い放射線画像変換パネル1aを備える放射線画像検出器50を用いているので、高画質の放射線画像を得ることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔光電変換素子の作製〕
まず、本発明における光電変換素子の実施例について述べる。光電変換素子は、以下に示すようにしてそれぞれ作製した。
(1)実施例1の作成
ガラス基板上に形成されたITO透明電極(縦1cm、横1cm、厚さ0.5mm)上に、光電変換層としてパーフルオロペンタセン(化合物17)の膜を厚さ150nmで蒸着法により形成した。その後、光電変換層上に蒸着法によりアルミニウム対電極を厚さ100nmで形成してサンプル1の光電変換素子を形成し、エポキシ樹脂接着剤により当該素子を封止して、実施例1とした。
Figure 2007012982
(2)実施例2の作製
実施例1の作成において、化合物17の代わりに、オリゴチオフェン誘導体(化合物18)とパーフルオロペンタセン(化合物17)とを当量比1:1の割合で混合・溶解させた混合液を用いた以外は同様の方法でサンプル2の光電変換素子を作成し、エポキシ樹脂接着剤により当該素子を封止して、実施例2とした。
Figure 2007012982
(3)実施例3の作製
ガラス基板上に形成されたITO透明電極(縦1cm、横1cm、厚さ0.5mm)上に、電子輸送層(電子受容体層)としてパーフルオロペンタセン(化合物17)の膜を厚さ75nmで蒸着法により形成した。さらに、電子輸送層上に正孔輸送層(電子受容体層)としてオリゴチオフェン誘導体(化合物18)の膜を厚さ75nmで蒸着法により形成した。その後、正孔輸送層上に蒸着法によりアルミニウム対電極を厚さ100nmで形成して、サンプル3の光電変換素子を作成し、エポキシ樹脂接着剤により当該素子を封止して、実施例3とした。
(4)実施例4の作製
実施例2の作成において、オリゴチオフェン誘導体(化合物18)とパーフルオロペンタセン(化合物17)とを当量比1:1の割合で混合・溶解させた混合液を用いて蒸着法により混合膜を形成させる代わりに、ポリチオフェン誘導体(化合物19)とパーフルオロペンタセン(化合物17)とを当量比1:1の割合でジクロロベンゼンに溶解した溶液を用いてスピンコート法により混合膜を形成させる以外は同様の方法でサンプル4の光電変換素子を作成し、実施例4とした。
Figure 2007012982
(5)実施例5の作製
実施例3の作成において、オリゴチオフェン誘導体(化合物18)を用いて蒸着法により正孔輸送層を形成させる代わりに、ポリチオフェン誘導体(化合物19)をジクロロベンゼンに溶解した溶液を用いてスピンコート法により正孔輸送層を形成させる以外は同様の方法でサンプル5の光電変換素子を作成し、実施例5とした。
(6)実施例6の作製
実施例5の作成において、パーフルオロペンタセン(化合物17)を用いて蒸着法により電子輸送層を形成させる代わりに、パーフルオロペンタセン(化合物17)とポリピリジルビニレン(化合物20)とを当量比1:1の割合でピリジンに溶解した溶液を用いてスピンコート法により電子輸送層を形成させる以外は同様の方法でサンプル6の光電変換素子を作成し、実施例6とした。
Figure 2007012982
(7)実施例7の作製
実施例6の作成において、ガラス基板上に厚さ65nmの電子輸送層を形成させた後に、ポリチオフェン誘導体(化合物19)とパーフルオロペンタセン(化合物17)とを当量比1:1の割合でジクロロベンゼンに溶解した溶液を用いてスピンコート法により膜厚20nmの膜を形成し、これを活性層とした。その後、活性層上にポリチオフェン誘導体(化合物19)をトルエンに溶解した溶液を用いてスピンコート法により厚さに65nmの正孔輸送層を形成させる以外は同様の方法でサンプル7の光電変換素子を作成し、実施例7とした。
(8)実施例8の作製
実施例7の作成において、活性層としてのポリチオフェン誘導体(化合物19)とパーフルオロペンタセン(化合物17)とをジクロロベンゼンに溶解した溶液の代わりに、ポリチオフェン誘導体(化合物19)とフラーレン誘導体(化合物21)とを当量比を5:1の割合でジクロロベンゼンに溶解させた溶液を用いた以外は同様の方法でサンプル8の光電変換素子を作成し、実施例8とした。
Figure 2007012982
(11)比較例1の作製
実施例1の作成において、化合物17の代わりに、オリゴチオフェン誘導体(化合物18)を用いた以外は同様の方法で比較サンプルの光電変換素子を作成し、比較例1とした。
〔評価〕
以上の様にして得られた比較例1及び実施例1〜実施例8のそれぞれの光電変換素子についての評価を次のように行った。
(1)評価方法A
マスキングテープを用いて比較例1及び実施例1〜実施例8の光電変換素子の露出面を0.5cm×0.5cmとし、光電変換素子の作製直後と、光電変換素子を作製してから1カ月後に、ハロゲンランプを用いて、照射波長550nm、光量1mW/cm2および電圧0Vの条件で白色光を光電変換素子の露出面全体に照射し、電流計により光電流の測定を行った。表1に比較例1および実施例1〜実施例8における相対光電流値を示す(尚、相対光電流値とは、比較例1の光電流値を1とした光電流の相対値である。尚、光電流値は、光電変換効率に比例するものである。)。
Figure 2007012982
表1に示すように、比較例1と実施例1とを比べると、実施例1では、相対光電流値が1.5に増加することがわかり、電荷発生層にハロゲン化ペンタセンである化合物17−1を含んでいることにより、相対光電流値を増加させ、光電変換効率を向上させることができる。
また、実施例1と実施例2とを比較すると、相対光電流値が3.4に増加しており、電荷発生層を化合物17単独で形成させるより、化合物17と化合物18で示されるオリゴチオフェンとの混合膜として形成させる方が相対光電流値を増加させることがわかる。
また、実施例1と実施例3とを比較すると、相対光電流値が4.0に増加しており、電荷発生層を化合物17からなる層と、化合物18からなる層とが積層されて構成される積層膜とすることで、相対光電流値を増加させることができる。
また、実施例2と実施例4及び実施例3と実施例5を比較すると、相対光電流値がそれぞれ6.2,8.5に増加しており、電荷発生層に化合物19で示されるポリチオフェンを用いることで、相対光電流値を増加させることがわかる。つまり、電荷発生層に用いる電子供与体としては、ポリチオフェンを用いることが好ましい。
また、実施例5と実施例6とを比較すると、相対光電流値が9.5に増加しており、電子輸送層を化合物18と化合物20で示されるポリピリジルビニレンとの混合膜とすることで、相対光電流値を増加させることがわかる。したがって、電子輸送層は、ハロゲン化ペンタセンと、ポリピリジルビニレンとの混合膜であることが好ましい。
また、実施例6と実施例7とを比較すると、相対光電流値が20.3に増加しており、電子輸送層と正孔輸送層との間に化合物18と化合物19との混合膜からなる活性層を設けることで、相対光電流値を増加させることができる。
また、実施例7と実施例8とを比較すると、相対光電流値が30.7に増加しており、電子輸送層と正孔輸送層との間に設ける活性層を化合物19と化合物21との混合膜とすることで、相対光電流値を増加させることができる。つまり、電子輸送層と正孔輸送層との間に活性層を設けることが好ましく、特に、活性層は化合物19と化合物21との混合膜であることが好ましいことがわかる。
また、実施例4及び実施例6〜実施例8については、光電変換素子を形成させる際に、蒸着プロセスを含まないため、製造が容易であり、製造コストを安価とすることができる。
〔放射線画像検出器の作製〕
次に本発明における放射線画像検出器の実施例について述べる。本発明における放射線画像検出器は、前述した実施例1〜実施例8の光電変換素子を用いて作製された放射線画像検出器であり、放射線画像検出器は、以下に示すようにしてそれぞれ作製した。
(9)実施例9の作成
図5に示すような基板上に画像信号出力層及び光電変換素子、シンチレータ層がそれぞれ順に積層されて放射線画像検出器を形成する。ここで、基板には、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、画像信号出力層には、アモルファスシリコンを用い、薄膜トランジスタ(TFT)を形成した。また、光電変換素子には、アルミニウム対電極の厚さを250nmとする以外はサンプル1の光電変換素子と同様の方法で製造されたものを用いており、シンチレータ層には、セシウムアイオダイド(CsI:Tl)を用い、その厚さを400μmとして形成させることで、実施例9とした。
(10)実施例10の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル2の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例10とした。
(11)実施例11の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル3の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例11とした。
(12)実施例12の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル4の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例12とした。
(13)実施例13の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル5の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例13とした。
(14)実施例14の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル6の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例14とした。
(15)実施例15の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル7の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例15とした。
(16)実施例16の作成
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、サンプル8の光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、実施例16とした。
(17)比較例2の作製
実施例9の作成において、サンプル1の光電変換素子の代わりに、比較サンプルの光電変換素子を用いた以外は同様の方法で放射線画像検出器を作成し、比較例2とした。
〔評価〕
以上の様にして得られた比較例2及び実施例9〜実施例16のそれぞれの放射線画像検出器についての評価を次のように行った。
(1)評価方法B
比較例2及び実施例9〜実施例16放射線画像検出器のシンチレータ層側からX線(50kV)照射を行い、画像信号出力層の薄層トランジスタからの信号値を測定した。表2に比較例2および実施例9〜実施例16における相対信号値を示した(尚、相対信号値とは、比較例2の信号値を1とした相対値である。)。
Figure 2007012982
表2に示すように、比較例2と実施例9及び実施例9と実施例10実施例9と実施例11、実施例10と実施例12、実施例11と実施例13、実施例13と実施例14、実施例14と実施例15、実施例15と実施例16について比較すると、相対光電流値がそれぞれ1.4,3.2,3.9,6.0,8.1,9.3,19.5,31.0に増加していることがわかり、本発明による光電変換素子を放射線画像検出器に適用させた場合においても、相対光電流値が増加することがわかる。
また、実施例12、実施例14〜実施例16については、放射線画像検出器を形成させる際に、蒸着プロセスを経て製造された光電変換素子を含まないため、製造が容易であり、製造コストを安価とすることができる。
第1の実施形態における光電変換素子を示す概略構成図である。 第2の実施形態における光電変換素子を示す概略構成図である。 第3の実施形態における光電変換素子を示す概略構成図である。 図1の光電変換素子を用いた放射線画像検出器の構造の一例を示す図である。 図1の光電変換素子を用いた放射線画像検出器の放射線画像変換パネルを示す概略構成図である。 第4の実施形態における放射線画像検出器の放射線画像変換パネルを示す概略構成図である。 第5の実施形態における放射線画像検出器の放射線画像変換パネルを示す概略構成図である。 図4の放射線画像検出器を用いた放射線画像撮影システムの一例を示す図である。 図8のコンソールの要部構成を示すブロック図である。
符号の説明
10a,10b,10c,10d 光電変換素子
20 透明電極
30a,30b,30c,30d 電荷発生層
31a 電子受容体層(電子輸送層)
31b 電子供与体層(正孔輸送層)
31c 活性層
40 対電極
50 放射線画像検出器
51a,51b,51c 放射線画像変換パネル
52 制御部
53 メモリ部
54 電源部
55 筐体
56 コネクタ
57 操作部
58 表示部
59 画像処理部
60 シンチレータ層
61 蛍光体粒子
62 バインダー
70 光電変換層
71 隔膜
72 画像信号出力層
73 コンデンサ
74 トランジスタ
80 基板
90 放射線画像撮影システム
91 サーバ
92 撮影操作装置
93 基地局
94 コンソール
94a 制御部
94b RAM
94c ROM
94d 表示部
94e 入力操作部
94f 通信部
94g バス
95 ネットワーク
96 患者
97 放射線画像撮影装置
97a 放射線源
97b 絞り装置
97c 寝台

Claims (30)

  1. 入射した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層と、
    前記電荷発生層で発生した前記電荷のうち、一方の電荷を集める透明電極と、
    他方の電荷を集める対電極とを備え、
    前記電荷発生層は、ハロゲン化ペンタセンを含有することを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記電荷発生層は、電子供与体と、電子受容体とが混在する混合膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記混合膜を構成する前記電子受容体は、前記ハロゲン化ペンタセンであることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記混合膜は、塗布法により形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記電荷発生層は、電子供与体と、電子受容体とがそれぞれ層をなして積層する積層膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  6. 前記積層膜のうち、前記電子受容体により形成される層は、前記ハロゲン化ペンタセン及びn型導電性高分子化合物とが混在する混合膜であることを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子。
  7. 前記積層膜のうち、前記電子受容体により形成される層は、塗布法により形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 前記n型導電性高分子化合物は、ポリピリジンを基本骨格とすることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 前記n型導電性高分子化合物は、ポリ(p‐ピリジルビニレン)を基本骨格とすることを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子。
  10. 前記電子供与体は、p型導電性高分子化合物であることを特徴とする請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  11. 前記p型導電性高分子化合物は、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p‐フェニレン)又はポリアニリンのうち、少なくともいずれか1つを基本骨格とすることを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
  12. 前記p型導電性高分子化合物は、前記ポリチオフェンを基本骨格とすることを特徴とする請求項11に記載の光電変換素子。
  13. 前記電荷発生層は、10nm〜1μmであることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  14. 前記電荷発生層は、100nm〜1μmであることを特徴とする請求項13に記載の光電変換素子。
  15. 入射した放射線のエネルギーを吸収して電磁波を発光する蛍光体粒子と、
    前記電磁波のエネルギーを電気エネルギーに変換するための請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の光電変換素子とを備えることを特徴とする放射線画像検出器。
  16. 前記蛍光体粒子を備えるシンチレータ層と、
    前記光電変換素子を備える光電変換層と、
    を放射線照射方向から順に備えることを特徴とする請求項15に記載の放射線画像検出器。
  17. 前記光電変換素子を備える光電変換層と、
    前記蛍光体粒子を備えるシンチレータ層と、
    を放射線照射方向から順に備えることを特徴とする請求項15に記載の放射線画像検出器。
  18. 前記光電変換素子は、前記電荷発生層に前記蛍光体粒子を備えることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の放射線画像検出器。
  19. 前記光電変換層を支持する基板を備えており、前記基板は、樹脂からなることを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  20. 前記蛍光体粒子は、セシウムアイオダイド(CsI:Tl)又はガドリニウムオキシサルファイド(Gd22S:Tb)からなることを特徴とする請求項15から請求項19のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  21. 前記蛍光体粒子の結晶子サイズは、10nm〜100nmであることを特徴とする請求項15から請求項20のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  22. 前記蛍光体粒子の粒子サイズは、0.2μm〜5μmであることを特徴とする請求項15から請求項21のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  23. 前記光電変換層は、前記電荷発生層で得られた電荷を蓄積する電荷蓄積素子と、前記電荷に基づいて画像信号の出力を行う画像信号出力素子とを備えており、
    前記電荷蓄積素子及び前記画像信号出力素子は、有機半導体からなることを特徴とする請求項16から請求項22のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  24. 前記電荷蓄積素子及び前記画像信号出力素子は、分割されたシリコン積層構造の素子からなることを特徴とする請求項23に記載の放射線画像検出器。
  25. 可搬構造であることを特徴とする請求項15から請求項24のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  26. 駆動時に必要な電力を供給する電力供給手段を備えることを特徴とする請求項15から請求項25のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  27. 出力された前記画像信号を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする請求項23から請求項26のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
  28. 前記記憶手段は着脱可能であることを特徴とする請求項27に記載の放射線画像検出器。
  29. 請求項15から請求項28のいずれか一項に記載の放射線画像検出器と、
    前記放射線画像検出器を操作するコンソールとを備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
  30. 前記コンソールは、
    操作者からの指示を入力する入力操作部と、
    前記放射線画像検出器による画像信号の転送処理を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記入力操作部からの入力指示に基づいて、前記放射線画像検出器による前記画像信号の転送を行わせることを特徴とする請求項29に記載の放射線画像撮影システム。
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