JP2009260134A - 光電変換デバイスおよびその製造方法、並びに、放射線画像検出装置 - Google Patents

光電変換デバイスおよびその製造方法、並びに、放射線画像検出装置 Download PDF

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寛子 大森
Michio Izumi
倫生 泉
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Abstract

【課題】暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスを提供する。
【解決手段】この光電変換デバイス100は、ガラス基板1上に、光電変換膜11を含む光電変換部10とスイッチング素子として機能するトランジスタ部20とを備えた画素がアレイ状に配置された画素アレイにおいて、トランジスタ部20が有機半導体層25を含む有機TFT20から構成されており、光電変換部10とトランジスタ部20との間の領域には、光電変換部10の光電変換膜11と有機TFT20の有機半導体層25とを分離する絶縁性の障壁部35a(バンク35)が形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、光電変換デバイスおよびその製造方法、並びに、この光電変換デバイスを備えた放射線画像検出装置に関する。
従来、複数の画素を有し、イメージセンサとして機能する光電変換デバイスが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、光電変換デバイスを含む撮像パネルと、この撮像パネルが搭載された放射線画像検出装置とが記載されている。撮像パネルに含まれる光電変換デバイスは、基板上に複数の画素が二次元アレイ状に配列された構造を有している。また、各画素は、それぞれ、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタと、光電変換を行う光電変換部とを備えている。この光電変換部は、画素電極と、画素電極上に形成され、光電変換機能を有する光電変換膜とを含んでいる。そして、光電変換部の画素電極と薄膜トランジスタのドレイン電極(またはソース電極)とが電気的に接続されることにより、光電変換部と薄膜トランジスタとが電気的に接続されている。
上記薄膜トランジスタは、有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタ(有機TFT)から構成されており、光電変換部の光電変換膜も、有機半導体材料から構成されている。これらの有機半導体材料は、それぞれ、溶媒に溶解可能な高分子系材料などから構成されている。そして、有機TFTの半導体膜および光電変換部の光電変換膜が、有機半導体材料が溶解された溶液を用いて、インクジェット法などの印刷プロセスで形成されている。
上記のように構成された光電変換デバイスでは、各画素に光が入射されると、それぞれの光電変換膜によって、入射された光が電荷に変換され、有機TFTにより、変換された電荷が画素毎に電気信号として読み出される。これにより、画像が電気信号として読み取られる。
また、このような光電変換デバイスを含む撮像パネルを放射線画像検出装置に搭載することによって、医用画像診断などの放射線により取得した画像を、放射線写真フィルムを介さずに直接電気信号として得ることができる。すなわち、上記光電変換デバイスを含む撮像パネルを搭載することによって、デジタル式の放射線画像検出装置を得ることができる。
特開2005−250351号公報
一方、デジタル式の放射線画像検出装置では、高解像度化要求に伴い、画素サイズの縮小化が望まれている。しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の光電変換デバイスでは、量産時に生じる様々なノイズ等によって、有機TFTの半導体膜や光電変換部の光電変換膜を精度よくパターニングすることが困難であるという不都合がある。このため、有機TFTの半導体膜や光電変換膜を微細パターニングすることが困難となるので、画素サイズの縮小化を図ることが困難となる。したがって、高解像度化に対応することが困難になるという問題点がある。
また、上記した従来の光電変換デバイスでは、有機TFTの半導体膜や光電変換部の光電変換膜を精度よくパターニングすることが困難であるため、光電変換デバイスにおける特性のばらつきが大きくなるという問題点がある。さらに、上記した従来の光電変換デバイスにおいて微細パターニングを行った場合には、有機TFTの半導体膜と光電変換部の光電変換膜とが接触するおそれがある。この場合には、光電変換部において暗電流が増加するという問題が生じる。なお、この場合において、有機TFTの半導体膜と光電変換部の光電変換膜との接触が回避されたとしても、同一画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離がばらつくという不都合がある。このため、光電変換膜から半導体膜までの距離がばらつくことによって、応答性のばらつきが大きくなるので、これによっても、光電変換デバイスにおける特性のばらつきが大きくなるという問題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスおよびこの光電変換デバイスを備えた放射線画像検出装置を提供することである。
この発明のもう1つの目的は、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による光電変換デバイスは、基板上に、光電変換膜を含む光電変換部とスイッチング素子として機能するトランジスタ部とを備えた画素がアレイ状に配置された画素アレイにおいて、トランジスタ部が半導体膜を含む薄膜トランジスタから構成されており、光電変換部とトランジスタ部との間の領域には、光電変換部の光電変換膜と薄膜トランジスタの半導体膜とを分離する絶縁性の障壁部が形成されている。
この第1の局面による光電変換デバイスでは、上記のように、光電変換部とトランジスタ部との間の領域に、光電変換部の光電変換膜と薄膜トランジスタの半導体膜とを分離する絶縁性の障壁部を形成することによって、光電変換膜および半導体膜を微細にパターニングする場合でも、光電変換膜と半導体膜とが接触するのを抑制することができる。このため、光電変換膜と半導体膜とが接触することに起因して、暗電流が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。
また、第1の局面による光電変換デバイスでは、絶縁性の障壁部を形成することによって、光電変換膜の形成領域および薄膜トランジスタにおける半導体膜の形成領域を、この障壁部により規定することができるので、量産時においてノイズ等の影響を受ける場合でも、光電変換膜および半導体膜のパターニング精度を向上させることができる。このため、光電変換部の光電変換膜および薄膜トランジスタの半導体膜を微細パターニングすることが可能となるので、画素サイズの縮小化を図ることができる。これにより、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることができる。また、第1の局面による光電変換デバイスでは、上記のように、光電変換膜および半導体膜のパターニング精度を向上させることができるので、光電変換デバイスにおける特性のばらつきを低減することができる。
さらに、第1の局面による光電変換デバイスでは、同一画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離が所定の距離となるように障壁部の大きさを設定することによって、各画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離がばらつくのを抑制することができる。このため、応答性のばらつきを低減することができるので、これによっても、光電変換デバイスの特性のばらつきを低減することができる。
上記第1の局面による光電変換デバイスにおいて、好ましくは、光電変換部の光電変換膜と薄膜トランジスタの半導体膜とは、少なくとも一部が同一の有機半導体材料を用いて形成されており、光電変換膜と半導体膜とを分離する障壁部の表面は、有機半導体材料に対して反発性を有している。このように構成すれば、インクジェット法などの印刷プロセスを用いて、互いに分離された光電変換膜および半導体膜を容易に形成することができる。これにより、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスを容易に形成することができる。また、このように構成すれば、光電変換膜および半導体膜を形成する際に、障壁部上に有機半導体材料が塗布された場合でも、有機半導体材料がはじかれて、光電変換膜の形成領域および半導体膜の形成領域の少なくとも一方の領域に移動するので、光電変換膜と半導体膜とを確実に分離することができる。これにより、効果的に暗電流の増加を抑制することができる。
この場合において、好ましくは、基板上には、光電変換膜が形成される領域を囲む第1開口部と、薄膜トランジスタの半導体膜が形成される領域を囲む第2開口部とを含む絶縁膜が形成されており、この絶縁膜によって上記した障壁部が形成されている。このように構成すれば、絶縁膜の第1開口部および絶縁膜の第2開口部によって、それぞれ、光電変換膜が形成される領域および薄膜トランジスタの半導体膜が形成される領域を規定することができるので、互いに分離された光電変換膜および半導体膜を精度良くパターニングすることができる。このため、容易に、光電変換膜および半導体膜を微細パターニングすることが可能となるので、容易に、光電変換デバイスの高解像度画素サイズの縮小化を図ることができる。
上記絶縁膜を備えた構成において、好ましくは、絶縁膜の表面は、上記有機半導体材料に対して反発性を有している。このように構成すれば、絶縁膜上に有機半導体材料が塗布された場合でも、有機半導体材料がはじかれて、光電変換膜の形成領域および半導体膜の形成領域の少なくとも一方の領域に移動するので、互いに分離された光電変換膜および半導体膜をより精度良くパターニングすることができる。
上記第1の局面による光電変換デバイスにおいて、好ましくは、光電変換膜は、薄膜トランジスタの半導体膜と同一材料からなる第1半導体層と、第1半導体層とは逆導電型の第2半導体層とを含んでいる。このように構成すれば、光電変換膜における光電変換効率を向上させることができるので、高解像度化に伴う感度低下を抑制して、高感度化を図ることができる。
この場合において、第1半導体層および第2半導体層は、それぞれ、有機材料から構成されているのが好ましい。
上記光電変換膜が第1半導体層と第2半導体層とを含む構成において、好ましくは、第1半導体層および第2半導体層の少なくとも一方は、複数層形成されており、光電変換膜は、第1半導体層と第2半導体層とが交互に積層された積層構造を有している。このように構成すれば、光電変換膜における光電変換効率をより向上させることができる。
上記光電変換膜が第1半導体層と第2半導体層とを含む構成において、第2半導体層は、無機材料から構成されていてもよい。
上記有機半導体材料を用いた構成において、好ましくは、有機半導体材料は、P3HT(Poly(3−hexylthiophene))を含む。このように構成すれば、有機半導体材料を、光電変換部の光電変換膜と薄膜トランジスタの半導体膜との両方に用いることができる。また、この有機半導体材料を、光電変換膜の形成領域と半導体膜の形成領域とに一括して塗布することにより、光電変換膜と半導体膜とを同時に形成することが可能となる。これにより、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスをより容易に得ることができる。なお、P3HTを含む有機半導体材料を薄膜トランジスタの半導体膜の形成に用いることによって、P3HTはキャリア移動度が比較的高いことから、トランジスタ部のスイッチング速度を向上させることができる。
この発明の第2の局面による放射線画像検出装置は、上記第1の局面による光電変換デバイスを備えた放射線画像検出装置である。このように構成すれば、容易に、信頼性が高く、かつ、解像度の高い放射線画像検出装置を得ることができる。
この発明の第3の局面による光電変換デバイスの製造方法は、基板上に、薄膜トランジスタからなるトランジスタ部を形成する工程と、基板上に、薄膜トランジスタとともに画素を構成する光電変換部を形成する工程とを備えている。そして、トランジスタ部を形成する工程は、半導体膜を形成する工程を含むとともに、光電変換部を形成する工程は、光電変換機能を有する光電変換膜を形成する工程を含み、半導体膜および光電変換膜を形成する工程に先だって、基板上に、半導体膜と光電変換膜とを分離するための絶縁性の障壁部を形成する工程をさらに有している。
この第3の局面による光電変換デバイスの製造方法では、上記のように、絶縁性の障壁部を形成した後に、薄膜トランジスタの半導体膜および光電変換部の光電変換膜を形成することによって、この障壁部で半導体膜と光電変換膜とを分離することができるので、半導体膜および光電変換膜を微細にパターニングする場合でも、半導体膜と光電変換膜とが接触するのを抑制することができる。このため、半導体膜と光電変換膜とが接触することに起因して、暗電流が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。
また、第3の局面による光電変換デバイスの製造方法では、基板上に絶縁性の障壁部を形成することによって、薄膜トランジスタにおける半導体膜の形成領域および光電変換膜の形成領域を、この障壁部により規定することができるので、量産時においてノイズ等の影響を受ける場合でも、半導体膜および光電変換膜のパターニング精度を向上させることができる。このため、薄膜トランジスタの半導体膜および光電変換部の光電変換膜を微細パターニングすることが可能となるので、画素サイズの縮小化を図ることができる。これにより、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることができる。また、第3の局面による光電変換デバイスの製造方法では、上記のように、半導体膜および光電変換膜のパターニング精度を向上させることができるので、光電変換デバイスにおける特性のばらつきを低減することができる。
さらに、第3の局面による光電変換デバイスの製造方法では、同一画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離が所定の距離となるように障壁部の大きさを設定することによって、各画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離がばらつくのを抑制することができる。このため、応答性のばらつきを低減することができるので、これによっても、光電変換デバイスの特性のばらつきを低減することができる。
さらに、第3の局面による光電変換デバイスの製造方法では、同一画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離が所定の距離となるように、障壁部の大きさを設定することによって、各画素において、光電変換膜から半導体膜までの距離がばらつくのを抑制することができる。このため、応答性のばらつきを低減することができるので、これによっても、光電変換デバイスの特性のばらつきを低減することができる。
上記第3の局面による光電変換デバイスの製造方法において、好ましくは、光電変換部を形成する工程およびトランジスタ部を形成する工程は、流動性の半導体材料を基板上に供給することによって、それぞれ、光電変換膜の少なくとも一部、および、半導体膜を形成する工程を含む。このように構成すれば、印刷プロセスを用いて、互いに分離された光電変換膜および半導体膜を容易に形成することができるので、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスを容易に製造することができる。また、流動性の半導体材料を、光電変換膜の形成領域と半導体膜の形成領域とに一括して塗布すれば、障壁部で流動性の半導体材料が分断されて、光電変換膜と半導体膜とを同時に形成することが可能となる。これにより、光電変換デバイスの製造時における工程数を削減することができるので、互いに分離された光電変換膜および半導体膜をより容易に形成することができる。なお、本発明における「流動性の半導体材料」は、半導体を溶解した溶液および半導体を分散した分散液を含む。
この場合において、好ましくは、障壁部を形成する工程は、基板上に所定の厚みを有する絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の所定領域に第1開口部および第2開口部を形成することによって、光電変換膜が形成される領域および半導体膜が形成される領域を露出させる工程と、障壁部の表面が流動性の半導体材料に対して反発性を有するように、絶縁膜の表面に撥液処理を施す工程とを含む。このように構成すれば、絶縁膜の第1開口部および絶縁膜の第2開口部によって、それぞれ、光電変換膜が形成される領域および薄膜トランジスタの半導体膜が形成される領域を規定することができる。また、絶縁膜の表面には撥液処理が施されるので、絶縁膜上に塗布された流動性の半導体材料は、絶縁膜にはじかれて、光電変換膜が形成される領域および半導体膜が形成される領域の少なくとも一方の領域に移動する。このため、流動性の半導体材料を基板上に供給することによって、互いに分離された光電変換膜および半導体膜を容易に形成することができるとともに、これらの光電変換膜および半導体膜を精度良くパターニングすることができる。これにより、容易に、光電変換膜および半導体膜を微細パターニングすることが可能となるので、容易に、高解像度化された光電変換デバイスを製造することができる。
なお、絶縁膜の表面に撥液処理を施すことによって、光電変換膜を構成する流動性の半導体材料と、半導体膜を構成する流動性の半導体材料とが混ざることなく、確実に障壁部で分離することができるので、効果的に暗電流の増加を抑制することができる。さらに、流動性の半導体材料を光電変換膜の形成領域と半導体膜の形成領域とに一括して塗布した場合でも、容易に、障壁部で流動性の半導体材料を分断することができるので、容易に、光電変換膜と半導体膜とを同時に形成することができる。
上記流動性の半導体材料を用いた構成において、好ましくは、光電変換部を形成する工程およびトランジスタ部を形成する工程は、インクジェット法を用いて、それぞれ、光電変換膜の少なくとも一部および半導体膜を形成する工程を含む。このように構成すれば、互いに分離されるとともに、精度良くパターニングされた光電変換膜および半導体膜を容易に形成することができる。
上記流動性の半導体材料を用いた構成において、好ましくは、光電変換部を形成する工程およびトランジスタ部を形成する工程は、スピンコート法を用いて、それぞれ、光電変換膜の少なくとも一部および半導体膜を形成する工程を含む。このように構成すれば、複数の画素において、互いに分離されるとともに、精度良くパターニングされた光電変換膜および半導体膜を一括して形成することができる。
上記流動性の半導体材料を用いた構成において、好ましくは、光電変換膜上に、半導体材料を少なくとも1回以上供給する工程をさらに備える。このように構成すれば、光電変換膜の光電変換効率を向上させることができるので、高解像度化に伴う感度低下を抑制して、高感度化を図ることができる。
この場合において、好ましくは、光電変換膜上に供給する半導体材料は、流動性の半導体材料と同一の半導体材料からなる。このように構成すれば、光電変換膜の厚みを大きくすることができるので、容易に、光電変換膜の光電変換効率を向上させることができる。
上記光電変換膜上に半導体材料を供給する構成において、好ましくは、光電変換膜上に供給する半導体材料は、流動性の半導体材料と同一の第1半導体材料と、流動性の半導体材料とは異なる流動性の第2半導体材料とを含み、第1半導体材料と第2半導体材料とを光電変換膜上に交互に供給する。このように構成すれば、たとえば、第1半導体材料をp型の半導体材料から構成するとともに、第2半導体材料をn型の半導体材料から構成することによって、p型の半導体層とn型の半導体層とが積層された相互浸透膜を形成することができるので、光電変換膜の光電変換効率をより向上させることができる。
上記光電変換膜上に半導体材料を供給する構成において、好ましくは、光電変換膜上への半導体材料の供給は、少なくとも直前に供給された半導体材料が乾燥しきる前に行う。このように構成すれば、たとえば、p型の半導体層とn型の半導体層との界面に、p型の半導体層の一部とn型の半導体層の一部とが混合された混合層(相互浸透界面)を形成することができるとともに、その混合層(相互浸透界面)の厚みを大きくすることができるので、光電変換膜の光電変換効率をさらに向上させることができる。
上記流動性の半導体材料を用いた構成において、流動性の半導体材料は、流動性の有機半導体材料から構成することができる。
この場合において、好ましくは、有機半導体材料は、P3HTを含む。このように構成すれば、流動性の有機半導体材料を、光電変換部における光電変換膜の形成と薄膜トランジスタにおける半導体膜の形成との両方に用いることができるので、光電変換デバイスの工程数を削減しながら、互いに分離された光電変換膜および半導体膜を容易に形成することができる。なお、P3HTを含む有機半導体材料を薄膜トランジスタの半導体膜の形成に用いることによって、P3HTはキャリア移動度が比較的高いことから、トランジスタ部のスイッチング速度を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスおよびこの光電変換デバイスを備えた放射線画像検出装置を容易に得ることができる。
また、本発明による製造方法によれば、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイスを容易に製造することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの断面図であり、図2は、本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの平面図である。図3は、本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの一部を一部省略して示した平面図であり、図4は、本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの一部を拡大して示した平面図である。なお、図1は、図2の破線で囲まれた部分のA−A線に沿った断面を示している。また、図4は、第1実施形態による光電変換デバイスの一部を省略して示している。まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による光電変換デバイス100の構造について説明する。
第1実施形態による光電変換デバイス100は、図1および図2に示すように、光透過性を有するガラス基板1上に、複数の画素が二次元マトリクス状に配列された構造を有している。すなわち、第1実施形態による光電変換デバイス100は、ガラス基板1上に、画素アレイが形成された構造を有している。画素アレイを構成する各画素は、図1および図2に示すように、それぞれ、光を電荷(電気エネルギ)に変換する光電変換部10(図1参照)と、電荷による電気信号を読み出すためのスイッチング素子であるトランジスタ部20(図1参照)とを備えている。また、これらの画素は、図2に示すように、それぞれ、平面的に見て、一辺の長さaが約150μmの正方形形状に形成されている。また、光電変換部10とトランジスタ部20とは、ガラス基板1上に並置されて形成されている。なお、ガラス基板1は、本発明の「基板」の一例である。
トランジスタ部20は、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)20から構成されている。この有機TFT20は、ボトムゲート型のボトムコンタクト構造に構成されている。また、有機TFT20は、図2に示すように、ガラス基板1上に二次元アレイ(二次元マトリクス)状に配置されており、これによって、ガラス基板1上に有機TFTアレイが形成されている。また、図1および図2に示すように、有機TFT20は、ゲート電極層21、ソース電極層22、ドレイン電極層23、絶縁層24、および有機半導体層25を含んでいる。なお、有機TFT20の有機半導体層25は、本発明の「半導体膜」の一例である。
ガラス基板1上の画素間には、図2および図3に示すように、ゲート線として機能する第1導電層26が行方向(X方向)に延びるように形成されているとともに、データ線(信号線)として機能する第2導電層27が列方向(Y方向)に延びるように形成されている。そして、同一の行に属する画素には、その行に対応する第1導電層26が電気的に接続されており、同一の列に属する画素には、その列に対応する第2導電層27が電気的に接続されている。
具体的には、図3に示すように、ガラス基板1の上面上に、第1導電層26、および第1導電層26と一体的に形成されたゲート電極層21が設けられている。この第1導電層26は、行方向(X方向)に延びるように形成されている一方、ゲート電極層21は、所定の位置において、第1導電層26と直交する方向(Y方向)に延びるように形成されている。なお、第1導電層26およびゲート電極層21は、それぞれ、複数設けられており、同一の行に属するゲート電極層21には、その行に対応する第1導電層26が電気的に接続(一体的に形成)されている。また、ガラス基板1の上面上には、図1に示すように、第1導電層26(図2および図3参照)およびゲート電極層21を覆うように全面に絶縁層24が形成されている。そして、ゲート電極層21上およびガラス基板1上の所定領域に、絶縁層24を介して、ソース電極層22およびドレイン電極層23が形成されている。
また、上記ガラス基板1の上面上には、図2に示すように、絶縁層24(図1参照)を介して第2導電層27が複数形成されている。この第2導電層27は、それぞれ、有機TFT20の近傍に第1導電層26と直交する方向(Y方向:列方向)に延びるように形成されている。そして、同一の列に属する有機TFT20のソース電極層22には、その列に対応する第2導電層27が電気的に接続されている。
また、ゲート電極層21上の所定領域には、図3に示すように、有機半導体層25が形成される領域である有機半導体層形成領域40が設けられている。この有機半導体層形成領域40は、図4に示すように、平面的に見て、略長方形形状を有している。具体的には、有機半導体層形成領域40は、約10μmのX方向の幅W2を有するとともに、約70μmのY方向の長さL2を有している。そして、図1に示すように、この有機半導体層形成領域40に、約100nmの厚みを有する有機半導体層25が、ソース電極層22およびドレイン電極層23の各々の一部を覆うように形成されている。なお、有機半導体層25は、p型半導体ポリマーであるP3HT(poly(3−hexyl thiophene))から構成されている。
光電変換部10は、光電変換可能な有機半導体材料からなる光電変換膜11と、この光電変換膜11を上下に挟む2つの電極層(画素電極層12および共通電極層13)とを含んでいる。
光電変換部10を構成する画素電極層12は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する導電性材料から構成されている。この画素電極層12は、画素毎に分離されているとともに、図2および図3に示すように、画素領域における有機TFT20が形成されている領域以外の所定領域に、所定の平面積(パターン)で形成されている。そして、各々の画素電極層12は、各画素において、有機TFT20のドレイン電極層23と電気的(直接的)に接続されている。なお、画素電極層12は、塗布型電極材料を用いて塗布法で形成されている。
また、図3に示すように、各画素領域内には、それぞれ、光電変換膜11(図1および図2参照)が形成される領域である光電変換膜形成領域30が設けられている。この光電変換膜形成領域30は、図4に示すように、平面的に見て、略長方形形状を有している。具体的には、光電変換膜形成領域30は、約100μmのX方向の幅W1を有するとともに、約140μmのY方向の長さL1を有している。そして、図1に示すように、この光電変換膜形成領域30に、光電変換部10を構成する光電変換膜11が約100nmの厚みで成膜されている。この光電変換膜11は、上記有機半導体層25と同じP3HTから構成されている。
ここで、第1実施形態では、光電変換部10とトランジスタ部(有機TFT)20との間の領域に、光電変換膜11と有機半導体層25とを分離する絶縁性の障壁部35aが形成されている。具体的には、図1および図2に示すように、ガラス基板1の上面上に、光電変換膜形成領域30(図3参照)を露出させる第1開口部35bおよび有機半導体層形成領域40(図3参照)を露出させる第2開口部35cが設けられた絶縁性のバンク35が形成されている。このバンク35は、約2μmの厚みを有するとともに、絶縁性を有する感光性有機高分子膜から構成されている。そして、このバンク35によって、上記障壁部35aが形成されている。なお、バンク35は、本発明の「絶縁膜」の一例である。また、平面図(図2および図4)においては、バンク35はハッチングで示されている。
また、バンク35に設けられた第1開口部35bおよび第2開口部35cは、それぞれ、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を囲むように形成されている。具体的には、図4に示すように、第1開口部35bは、約100μmのX方向の幅W1を有するとともに、約140μmのY方向の長さL1を有する略長方形形状に形成されている。また、第2開口部35cは、約10μmのX方向の幅W2を有するとともに、約70μmのY方向の長さL2を有する略長方形形状に形成されている。これにより、第1開口部35bおよび第2開口部35cによって、それぞれ、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40が規定されている。なお、第1実施形態による光電変換デバイス100では、バンク35は、JSR株式会社製の感光性有機高分子材料(PC403)を用いて形成されている。
また、第1実施形態では、P3HTが溶解された溶液(有機半導体材料)の液滴を、ガラス基板1の上面側に吐出(塗布)することによって、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に、それぞれ、上記光電変換膜11および上記有機半導体層25が形成されている。なお、光電変換膜11と有機半導体層25とは、同一の溶液(P3HTが溶解された溶液)を用いて形成されているため、上述したように、同一の有機半導体材料(P3HT)から構成されている。また、光電変換膜11は、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に形成されることによって、約100μmのX方向の幅を有するとともに、約140μmのY方向の長さを有する略長方形形状に形成されている。ここで、光電変換膜11の平面積は、画素領域の60%以上であるのが好ましい。このため、第1実施形態では、画素領域に占める光電変換膜11の割合(画素領域と光電変換膜11の平面積の割合)が、60%以上(約62%)となるように構成されている。
また、第1実施形態では、バンク35の表面(上面)に、撥液処理が施されている。この撥液処理によって、バンク35(障壁部35a)の表面(上面)は、P3HTが溶解された溶液に対する撥液性が光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40に比べて高くなるように表面改質されている。具体的には、バンク35(障壁部35a)の表面(上面)に対して、P3HTが溶解された溶液の接触角が50°以上となるように構成されている。一方、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40は、材質的に、P3HTが溶解された溶液の接触角が20°以下となる親液性を有している。
また、図1および図2に示すように、光電変換膜11の上面上には、約100nmの厚みを有するAl層からなる上記共通電極層13が所定の平面形状で形成されている。この共通電極層13は、各画素の光電変換部10(光電変換膜11)にバイアスを印加する機能を有しており、平面的に見て、複数の画素に跨るように形成されている。具体的には、共通電極層13は、列方向(Y方向)に延びるように連続的に形成されている。また、共通電極層13は、光電変換膜11を介して、画素電極層12と対向するように形成されている。さらに、上記共通電極層13は、図示しない領域において、同一電位となるように接続されている。なお、第1実施形態では、光電変換部10は、ショットキー型に構成されている。
また、ガラス基板1の上面上には、図1に示すように、画素アレイを保護する絶縁性の保護膜36が全面に形成されている。
上記のように構成された第1実施形態による光電変換デバイス100では、ガラス基板1の裏面側から光が入射されると、入射された光は、ガラス基板1および画素電極層12を透過して光電変換膜11に受光される。これにより、光電変換膜11中において、受光量に応じた電荷(正孔および電子)が発生する。また、光電変換膜11には、共通電極層13によってバイアスが印加されている。このため、正孔は、印加されているバイアスにより一方の電極(画素電極層12)に運ばれる。その一方、電子は、印加されているバイアスによりもう一方の電極(共通電極層13)に運ばれる。これにより、各画素の光電変換部10には、その画素に入射された光の強度に応じた光電流が流れる。そして、有機TFT20の駆動により、入射された光が画素毎に電気信号として第2導電層27から読み出され、画像が電気信号として読み取られる。
第1実施形態では、上記のように、光電変換部10とトランジスタ部(有機TFT)20との間の領域に、光電変換部10の光電変換膜11と有機TFT20の有機半導体層25とを分離する絶縁性の障壁部35aを形成することによって、光電変換膜11および有機半導体層25を微細にパターニングする場合でも、光電変換膜11と有機半導体層25とが接触するのを抑制することができる。このため、光電変換膜11と有機半導体層25とが接触することに起因して、暗電流が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、ガラス基板1上に、光電変換膜11が形成される領域(光電変換膜形成領域30)を囲む第1開口部35bと、有機TFT20の有機半導体層25が形成される領域(有機半導体層形成領域40)を囲む第2開口部35cとを含む絶縁性のバンク35を形成することによって、光電変換膜11と有機半導体層25とを分離する障壁部35aを容易に形成することができる。そして、この障壁部35aによって、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を規定することができるので、量産時においてノイズ等の影響を受ける場合でも、光電変換膜11および有機半導体層25のパターニング精度を向上させることができる。このため、光電変換部10の光電変換膜11および有機TFT20の有機半導体層25を微細パターニングすることが可能となるので、画素サイズの縮小化を図ることができる。これにより、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることができる。
なお、第1実施形態では、第1開口部35bおよび第2開口部35cが設けられたバンク35を形成することによって、第1開口部35bおよび第2開口部35cにより、それぞれ、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を効果的に規定することができる。このため、光電変換膜11および有機半導体層25のパターニング精度をより向上させることができる。これにより、高解像度化を図りながら、光電変換デバイス100における特性のばらつきを低減することができる。
また、上記した第1実施形態の構成では、バンク35の表面(上面)に撥液処理が施されているので、バンク35上に、P3HTが溶解された溶液が吐出された場合でも、この溶液がはじかれて、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に移動するので、互いに分離された光電変換膜11および有機半導体層25を精度よくパターニングすることができる。これにより、光電変換デバイス100における特性のばらつきをより低減することができるとともに、パターニング精度をさらに向上させることができる。
また、第1実施形態では、バンク35の第1開口部35bおよび第2開口部35cによって、それぞれ、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40が規定されているため、同一画素内における第1開口部35bと第2開口部35cとの間の距離d1(図1参照)を一定の距離に設定することによって、光電変換膜11から有機半導体層25までの距離を精度よく制御することが可能となる。このため、各画素において、光電変換膜11から有機半導体層25までの距離がばらつくのを抑制することができるので、応答性のばらつきを低減することができる。特に、塗布型の画素電極層12が形成されている第1実施形態では、効果的に、応答性のばらつきを低減することができる。すなわち、塗布型電極材料を用いて塗布法で画素電極層12を形成した場合には、画素電極層12を容易に形成することが可能となり、製造工程の簡略化が見込めるものの、スパッタ法などを用いて形成した場合と比べて、シート抵抗が大きくなる。このため、光電変換膜11から有機半導体層25までの距離がばらついた場合には、シート抵抗におけるばらつきへの影響が大きくなり、応答性のばらつきが大きくなる。その一方、第1実施形態による光電変換デバイス100では、上記のように、光電変換膜11から有機半導体層25までの距離がばらつくのを抑制することができるので、応答性のばらつきを効果的に低減することができる。このため、これによっても、光電変換デバイス100における特性のばらつきを低減することができる。
また、第1実施形態では、第1開口部35bおよび第2開口部35cによって、それぞれ、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を囲むことにより、同一画素のみでなく、隣り合う画素においても、光電変換膜11と有機半導体層25とを分離することができる。
図5〜図14は、本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図1〜図3および図5〜図14を参照して、本発明の第1実施形態による光電変換デバイス100の製造方法について説明する。なお、図10、図12および図14において、絶縁性のバンク35はハッチングで示されている。
まず、図5および図6に示すように、ガラス基板1の上面上に、複数の有機TFT20からなる有機TFTアレイを形成する。具体的には、ガラス基板1の上面上に、ゲート線として機能する第1導電層26(図5参照)、およびゲート電極層21を形成する。次に、第1導電層26およびゲート電極層21を覆うように、ガラス基板1上の全面に絶縁層24(図6参照)を形成する。次に、ゲート電極層21上およびガラス基板1上の所定領域に、絶縁層24を介してソース電極層22およびドレイン電極層23を形成する。そして、絶縁層24上の所定領域に、データ線として機能する第2導電層27(図5参照)を形成する。この際、第2導電層27は、ソース電極層22と電気的に接続するように形成する。
次に、光電変換部10を構成する画素電極層12を形成する。すなわち、第1実施形態では、有機半導体層25を形成して上記有機TFTアレイを完成させる前に、画素電極層12を形成する。具体的には、たとえば、有機溶剤に導電性フィラーなどの微粒子を分散させた分散液をガラス基板1上に塗布した後、低温乾燥させることによって、図3および図7に示すような画素電極層12を絶縁層24上の画素領域内に形成する。この際、画素電極層12は、ITOなどの光透過性を有する導電性材料を用いることによって、光透過性を有するように構成するとともに、画素領域における有機TFT20が形成されている領域以外の所定領域に、有機TFT20のドレイン電極層23と電気的(直接的)に接続するように形成する。
続いて、図8に示すように、ガラス基板1上の全面に、スピンコート法を用いて、約2μmの厚みを有する感光性有機高分子膜37を形成する。なお、感光性有機高分子膜37の形成には、JSR株式会社製の感光性有機高分子材料(PC403)を用いた。また、スピンコータの回転速度は1000rpmとした。その後、90℃で2分間プリベークを行い、感光性有機高分子膜37を固化させる。
次に、図9および図10に示すように、感光性有機高分子膜37に第1開口部35bおよび第2開口部35cを形成することにより、光電変換膜11(図1参照)を形成する領域(光電変換膜形成領域30)および有機半導体層25(図1参照)を形成する領域(有機半導体層形成領域40)を露出させる。具体的には、露光量200mJ/cm2でパターン露光を行った後、露光したガラス基板1に専用現像液を塗布する。そして、所定時間経過後に純水で専用現像液を洗い流し、現像を停止させ、水洗(リンス)を行う。これにより、感光性有機高分子膜37の光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40に対応する部分が除去されて、感光性有機高分子膜37に光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を露出させる第1開口部35bおよび第2開口部35cが形成される。なお、第1開口部35bおよび第2開口部35cは、同一画素において、第1開口部35bと第2開口部35cとの間の距離d1(図9参照)が所定の距離となるようにそれぞれ形成する。
その後、このガラス基板1を220℃で約1分間加熱することによって、感光性有機高分子膜37を本硬化させる。これにより、絶縁性の感光性有機高分子膜から構成され、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を露出させる第1開口部35bおよび第2開口部35cが設けられたバンク35がガラス基板1の上面上に形成される。
そして、導入ガスにフッ素またはフッ素化合物を含むガスを使用し、フッ素化合物および酸素を含む減圧雰囲気下または大気圧雰囲気下でプラズマ照射を行う減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理によって、バンク35の表面(上面)に撥液処理を施す。なお、フッ素またはフッ素化合物を含むガスとしては、CF4、SF6、およびCHF3などが挙げられる。
次に、光電変換部10の光電変換膜11および有機TFT20の有機半導体層25を形成する。
ここで、第1実施形態では、光電変換部10の光電変換膜11および有機TFT20の有機半導体層25の形成は、インクジェット法を用いて、同時に行う。具体的には、図11および図12に示すように、P3HTが溶解された溶液(流動性の半導体材料)の液滴50をノズル60(図11参照)から各画素に向けて吐出する。この際、図12に示すように、吐出量が14pl程度の液滴50を各画素に対して1回ずつ吐出する。これにより、吐出された液滴50は、着弾直後の直径D1が100μm程度となる。したがって、着弾直後は、上記溶液が、画素の比較的広い範囲に塗布される。そして、第1開口部35bと第2開口部35cとの間に位置する部分(障壁部35a)によって塗布された溶液が分断されて、第1開口部35bの内側の領域および第2開口部35cの内側の領域に、吐出された溶液が充填される。
また、バンク35の表面は撥液処理が施されているため、バンク35の上面(表面)は、P3HTが溶解された溶液に対して反発性を有している。このため、吐出された液滴50がバンク35の上面に塗布された場合でも、バンク35の上面(表面)ではじかれて、第1開口部35bおよび第2開口部35cの少なくとも一方の領域に充填される。これにより、第1開口部35bの内側の領域および第2開口部35cの内側の領域にのみ、P3HTが溶解された溶液が塗布される。なお、上記インクジェット法としては、ピエゾジェット方式および熱による気泡発生により吐出する方式のいずれの方式であってもよいが、加熱によるインク(溶液)の変質がない点でピエゾジェット方式が好ましい。
続いて、上記溶液が塗布されたガラス基板1を、窒素雰囲気下において、加熱温度100℃で約30分間アニール処理する。このアニール処理により、塗布された溶液の溶媒成分が除去されて、溶液の体積が減少する。これにより、図13および図14に示すように、同一の有機半導体材料(P3HT)から構成されるとともに、互いに分離された光電変換膜11および有機半導体層25が得られる。また、光電変換膜11は、バンク35の第1開口部35bによって規定された光電変換膜形成領域30に約100nmの厚みで形成されるとともに、有機半導体層25は、バンク35の第2開口部35cによって規定された有機半導体層形成領域40に約100nmの厚みで形成される。さらに、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40の表面は、材質的に、上記溶液に対して親液性を示すため、良好な密着性を有する光電変換膜11および有機半導体層25が得られる。
なお、P3HTが溶解された溶液は、テトラリンからなる溶媒中にP3HTを5wt%添加し、超音波を5分間印加することによって作製することができる。作製された溶液は、ノズル60から液滴50を吐出させるために、数cPの粘度に調整されている。なお、第1実施形態では、P3HTは、メルク株式会社製のものを使用した。
その後、蒸着法を用いて、光電変換膜11の上面上に、図1および図2に示したようなAl層からなる共通電極層13を形成する。具体的には、まず、成膜レート0.05nm/sec、成膜時間2000secで、約100nmの厚みを有する共通電極層13を光電変換膜11上に所定のパターン形状となるように形成する。そして、N2雰囲気下において、加熱温度100℃で30分間アニール処理を行う。これにより、光電変換膜11上に、画素電極層12と対向する共通電極層13が形成される。
最後に、上記のようにして形成された画素アレイなどを保護する絶縁性の保護膜36を、ガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第1実施形態による裏面入射型の光電変換デバイス100が製造される。
第1実施形態による光電変換デバイス100の製造方法では、上記のように、障壁部35aを含む絶縁性のバンク35を形成した後、光電変換部10の光電変換膜11および有機TFT20の有機半導体層25を形成することによって、バンク35の障壁部35aで、光電変換膜11と有機半導体層25とを分離することができるので、互いに分離された光電変換膜11および有機半導体層25を容易に形成することができる。また、P3HTが溶解された溶液を、各画素に対して1回ずつ吐出することによって、吐出された液滴50は障壁部35aで分断されるので、光電変換膜11と有機半導体層25とを同時に形成することができる。これにより、製造時における工程数を削減することができる。
また、第1実施形態では、バンク35(障壁部35a)によって、光電変換膜11と有機半導体層25とが接触するのを抑制することができるので、光電変換膜11および有機半導体層25を微細にパターニングする場合でも、光電変換膜11と有機半導体層25とが接触するのを抑制することができる。このため、光電変換膜11と有機半導体層25とが接触することに起因して、暗電流が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、ガラス基板1上に、約2μmの厚みを有する感光性有機高分子膜37を形成した後、この感光性有機高分子膜37に、光電変換膜形成領域30を露出させる第1開口部35bおよび有機半導体層形成領域40を露出させる第2開口部35cを形成することによって、ガラス基板1上に、光電変換膜11と有機半導体層25とを分離するための障壁部35aを含むバンク35を容易に形成することができる。また、第1開口部35bおよび第2開口部35cによって、それぞれ、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40を規定することができるので、P3HTが溶解された溶液をガラス基板1上に塗布することによって、互いに分離された光電変換膜11および有機半導体層25を容易に形成することができるとともに、これらの光電変換膜11および有機半導体層25を精度良くパターニングすることができる。これにより、容易に、光電変換膜11および有機半導体層25を微細パターニングすることが可能となるので、容易に、高解像度化された光電変換デバイス100を製造することができる。
また、第1実施形態では、バンク35の表面(上面)に、撥液処理を施すことによって、バンク35の表面(上面)が、P3HTが溶解された溶液に対して反発性を有することになるので、液滴50を各画素に対して1回ずつ吐出した際に、吐出された液滴50を障壁部35aで確実に分断することができる。これにより、容易に、光電変換膜11と有機半導体層25とを同時に形成することができる。
また、上記した第1実施形態の構成では、バンク35の表面(上面)に撥液処理が施されることにより、バンク35の上面に塗布された溶液は、バンク35ではじかれて、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)の少なくとも一方の領域に充填されるので、互いに分離された光電変換膜11および有機半導体層25を容易に形成することができるとともに、これらの光電変換膜11および有機半導体層25を精度良くパターニングすることができる。
また、上記第1実施形態では、上記のように、光電変換膜11および有機半導体層25を精度良くパターニングすることができるので、光電変換デバイス100における特性のばらつきを低減することができる。
なお、第1実施形態では、上記のように、バンク35の表面(上面)に撥液処理が施さているので、液滴50の着弾位置がずれた場合でも、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に確実に溶液を塗布することができる。
また、第1実施形態では、同一画素内における第1開口部35bと第2開口部35cとの間の距離d1(図1および図9参照)を一定の距離に設定することによって、光電変換膜11から有機半導体層25までの距離を精度よく制御することが可能となる。このため、各画素において、光電変換膜11から有機半導体層25までの距離がばらつくのを抑制することができるので、応答性のばらつきを低減することができる。特に、塗布型の画素電極層12が形成されている第1実施形態においては、効果的に応答性のばらつきを低減することができるので、光電変換デバイス100における特性のばらつきを効果的に低減することができる。
また、第1実施形態では、光電変換膜11および有機半導体層25を構成する構成材料に、P3HTを用いることによって、P3HTは、光電変換部10の光電変換膜11と有機TFT20の有機半導体層25との両方の構成材料に用いることができるので、このP3HTが溶解された溶液の液滴50を各画素に吐出することにより、容易に、光電変換膜11と有機半導体層25とを同時に形成することが可能となる。これにより、暗電流の増加を抑制しながら、高解像度化を図ることが可能であり、かつ、特性のばらつきを低減することが可能な光電変換デバイス100を容易に製造することができる。
なお、P3HTを有機TFT20の有機半導体層25の構成材料に用いることによって、P3HTはキャリア移動度が比較的高いことから、有機TFT(トランジスタ部)20のスイッチング速度を向上させることができる。
(第2実施形態)
図15は、本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。図15を参照して、この第2実施形態による光電変換デバイス200では、P3HTが溶解された溶液の液滴が、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40に別々に塗布されることによって、光電変換膜11および有機半導体層25がそれぞれ形成されている。
なお、第2実施形態による光電変換デバイス200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。また、第2実施形態による光電変換デバイス200の効果は、上記第1実施形態と同様である。
図16〜図19は、本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図5〜図10および図15〜図19を参照して、本発明の第2実施形態による光電変換デバイス200の製造方法について説明する。
まず、図5〜図10に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、絶縁性のバンク35が形成されるまでの工程を行う。なお、バンク35の表面には、上記第1実施形態と同様の撥液処理を施す。
次に、図16に示すように、インクジェット法を用いて、P3HTが溶解された溶液の液滴50をノズル60から各画素に向けて吐出することにより、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に上記溶液を塗布する。
ここで、第2実施形態では、図16および図17に示すように、ノズル60を移動させることによって、同一画素において、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)と第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)とに別々に液滴50を吐出する。このとき、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)には、着弾直後の直径D3が約20μmとなるような体積の液滴50a(50)を吐出する。一方、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)には、着弾直後の直径D2が約70μmとなるような体積の液滴50b(50)を吐出する。
なお、バンク35の上面に塗布された溶液は、上記第1実施形態と同様、バンク35の表面(上面)ではじかれて、第1開口部35bの内側の領域および第2開口部35cの内側の領域に、それぞれ充填される。
その後、上記第1実施形態と同様のアニール処理を施すことによって、塗布された溶液の溶媒成分を除去する。これにより、図18に示すように、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に光電変換部10の光電変換膜11が形成されるとともに、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に有機TFT20の有機半導体層25が形成される。なお、光電変換膜11および有機半導体層25は、それぞれ、約100nmの厚みに形成される。
続いて、図19に示すように、光電変換膜11の上面上に、Al層からなる共通電極層13を形成する。この共通電極層13は、上記第1実施形態と同様の方法を用いて、上記第1実施形態と同様の平面形状(パターン)に形成するとともに、約100nmの厚みに形成する。最後に、図15に示したように、上記第1実施形態と同様の保護膜36をガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第2実施形態による裏面入射型の光電変換デバイス200が製造される。
第2実施形態による光電変換デバイス200の製造方法の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図20は、本発明の第3実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。図20を参照して、この第3実施形態による光電変換デバイス300では、スピンコート法によって、光電変換部10の光電変換膜11と有機TFT20の有機半導体層25とが一括して形成されている。なお、光電変換膜11および有機半導体層25は、上記第1および第2実施形態と同様、それぞれ、P3HTから構成されている。また、光電変換膜11および有機半導体層25は、それぞれ、約100nmの厚みに形成されている。
なお、第3実施形態による光電変換デバイス300のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。また、第3実施形態による光電変換デバイス300の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
図21および図22は、本発明の第3実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図5〜図10および図20〜図22を参照して、本発明の第3実施形態による光電変換デバイス300の製造方法について説明する。
まず、上記第2実施形態と同様、図5〜図10に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、絶縁性のバンク35が形成されるまでの工程を行う。なお、バンク35の表面には、上記第1実施形態と同様の撥液処理を施す。
次に、スピンコート法を用いて、P3HTが溶解された溶液(流動性の半導体材料)をガラス基板1上の全面に塗布する。この際、スピンコータの回転数は、1500rpmにする。また、P3HTが溶解された溶液は、上記第1および第2実施形態と異なり、溶媒にクロロベンゼンを用いて作製する。具体的には、クロロベンゼンからなる溶媒中にP3HTを3wt%添加し、超音波を5分間印加することによって作製する。
スピンコート法によってガラス基板1上の全面に塗布された溶液は、その一部がバンク35の上面(表面)ではじかれて、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)にのみ塗布された状態となる。
その後、上記第1実施形態と同様のアニール処理を施すことによって、塗布された溶液の溶媒成分を除去する。これにより、図21および図22に示すように、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に光電変換部10の光電変換膜11が形成されるとともに、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に有機TFT20の有機半導体層25が形成される。なお、光電変換膜11および有機半導体層25は、それぞれ、約100nmの厚みに形成される。
続いて、図20に示したように、光電変換膜11の上面上に、Al層からなる共通電極層13を形成する。この共通電極層13は、上記第1実施形態と同様の方法を用いて、上記第1実施形態と同様の平面形状(パターン)に形成するとともに、約100nmの厚みに形成する。最後に、上記第1実施形態と同様の保護膜36をガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第3実施形態による裏面入射型の光電変換デバイス300が製造される。
第3実施形態による光電変換デバイス300の製造方法では、上記のように、光電変換膜11および有機半導体層25の形成に、スピンコート法を用いることによって、複数の画素において、光電変換膜11および有機半導体層25を一括して形成することができる。これにより、光電変換デバイスの製造時における工程数を容易に削減することができるので、互いに分離された光電変換膜11および有機半導体層25を容易に形成することができる。
なお、第3実施形態の製造方法におけるその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図23は、本発明の第4実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。図1および図23を参照して、この第4実施形態による光電変換デバイス400では、光電変換膜411の厚みが、有機半導体層25の厚みよりも大きい厚みに構成されている。具体的には、第4実施形態では、光電変換膜411は、約150nmの厚みに構成されている。その一方、有機半導体層25は、約100nmの厚みに構成されている。
なお、第4実施形態では、光電変換部10は、光電変換膜11(図1参照)に代えて、光電変換膜411を含んでいる。
第4実施形態による光電変換デバイス400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、上記のように、光電変換膜411の厚みを大きくすることによって、光電変換膜411の光電変換効率を向上させることができるので、高解像度化に伴う感度低下を抑制して、高感度化を図ることができる。
第4実施形態のその他の効果は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
図24〜図26は、本発明の第4実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図5〜図12および図23〜図26を参照して、本発明の第4実施形態による光電変換デバイス400の製造方法について説明する。
まず、図5〜図10に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、絶縁性のバンク35が形成されるまでの工程を行う。なお、バンク35の表面には、上記第1実施形態と同様の撥液処理を施す。
次に、図11および図12に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、P3HTが溶解された溶液を、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に塗布する。
続いて、図24および図25に示すように、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液の上に、同じ溶液(P3HTが溶解された溶液)を重ねて塗布する。具体的には、光電変換膜形成領域30のみに、インクジェット法を用いてP3HTが溶解された溶液の液滴50a(50)を追加で吐出する。このとき、光電変換膜形成領域30(第1開口部35bの内側の領域)のみに溶液が塗布されるように、着弾直後の直径D2(図25参照)が約70μmとなるような体積の液滴50aを吐出する。なお、第4実施形態では、追加で吐出する液滴50aは、画素毎に1回とする。これにより、先に塗布された溶液の上に、同じ溶液が重ねて塗布されるので、光電変換膜形成領域30に塗布される溶液の厚みが大きくなる。
その後、上記第1実施形態と同様のアニール処理を施すことによって、塗布された溶液の溶媒成分を除去する。これにより、図26に示すように、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に、約150nmの厚みを有する光電変換膜411が形成されるとともに、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に、約100nmの厚みを有する有機半導体層25が形成される。
続いて、図23に示したように、光電変換膜411の上面上に、Al層からなる共通電極層13を形成する。この共通電極層13は、上記第1実施形態と同様の方法を用いて、上記第1実施形態と同様の平面形状(パターン)に形成するとともに、約100nmの厚みに形成する。最後に、上記第1実施形態と同様の保護膜36をガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第4実施形態による裏面入射型の光電変換デバイス400が製造される。
第4実施形態による光電変換デバイス400の製造方法では、上記のように、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液上に、さらに1回、同じ溶液を重ねて塗布することによって、厚みの大きい光電変換膜411を形成することができる。これにより、光電変換膜411における光電変換効率を向上させることができるので、感度の高い光電変換デバイス400を製造することができる。
なお、第4実施形態の製造方法におけるその他の効果は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図27は、本発明の第5実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。図1および図27を参照して、この第5実施形態による光電変換デバイス500では、上記第1〜第4実施形態と異なり、ヘテロ接合膜(相互浸透膜)からなる光電変換膜511を備えている。具体的には、光電変換部10の光電変換膜511は、p型半導体ポリマーであるP3HTからなる第1半導体層511aと、第1半導体層511a上に形成され、n型有機半導体分子であるPCBM(phenyl C61−butylic acid methyl ester)からなる第2半導体層511bとから構成されている。また、第1半導体層511aと第2半導体層511bとの界面には、p型の半導体層である第1半導体層511aの一部とn型の半導体層である第2半導体層511bの一部とが混合した混合層(相互浸透界面:図示せず)が所定の厚みで形成されている。
また、第5実施形態では、光電変換膜511は、約150nmの厚みに形成されている。その一方、有機TFT20の有機半導体層25は、約50nmの厚みに形成されている。この有機半導体層25は、光電変換膜511の第1半導体層511aと同じP3HTから構成されている。
なお、第5実施形態では、光電変換部10は、光電変換膜11(図1参照)に代えて、光電変換膜511を含んでいる。
第5実施形態のその他の構成は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
第5実施形態では、上記のように、光電変換膜511を、p型の第1半導体層511aとn型の第2半導体層511bとが積層された相互浸透膜から構成することによって、光電変換膜511における光電変換効率を効果的に向上させることができるので、高解像度化に伴う感度低下を抑制して、効果的に高感度化を図ることができる。
また、第5実施形態では、第1半導体層511aと第2半導体層511bとの界面に混合層(相互浸透界面)が形成されているので、光電変換膜511の光電変換効率をより効果的に向上させることができる。
第5実施形態のその他の効果は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
図28〜図30は、本発明の第5実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図5〜図12および図27〜図30を参照して、本発明の第5実施形態による光電変換デバイス500の製造方法について説明する。
まず、図5〜図10に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、絶縁性のバンク35が形成されるまでの工程を行う。なお、バンク35の表面には、上記第1実施形態と同様の撥液処理を施す。
次に、図11および図12に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、P3HTが溶解された溶液(第1半導体材料)を、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に塗布する。
続いて、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液の上に、P3HTが溶解された溶液およびPCBMが溶解された溶液(第2半導体材料)を、この順に重ねて塗布する。具体的には、光電変換膜形成領域30のみに、インクジェット法を用いてP3HTが溶解された溶液の液滴を追加で吐出する。そして、図28および図29に示すように、追加で吐出された溶液の上に、インクジェット法を用いてPCBMが溶解された溶液の液滴80をさらに追加で吐出する。この際、光電変換膜形成領域30への溶液の追加は、先に塗布された溶液の溶媒が乾ききる前に行う。具体的には、先の液滴が吐出された後、20ms以内に、追加する溶液の液滴を吐出する。また、光電変換膜形成領域30(第1開口部35bの内側の領域)のみに溶液が塗布されるように、着弾直後の直径D2(図29参照)が約70μmとなるような体積の液滴80を追加で吐出する。
なお、PCBMが溶解された溶液の液滴80を吐出する際には、P3HTが溶解された溶液の液滴を吐出するノズル(図示せず)とは異なるノズル90から吐出する。これにより、P3HTが溶解された溶液の上に、この溶液が乾ききる前に、PCBMが溶解された溶液を塗布することができる。
また、P3HTが溶解された溶液は、上記第1実施形態と同様、テトラリンからなる溶媒中にP3HTを5wt%添加し、超音波を5分間印加することによって作製することができる。また、PCBMが溶解された溶液は、テトラリンからなる溶媒中にPCBMを5wt%添加し、超音波を5分間印加することによって作製することができる。これらの溶液は、ノズルから液滴を吐出させるために、数cPの粘度に調整されている。なお、第6実施形態では、P3HTは、上記第1実施形態と同様、メルク株式会社製のものを使用し、PCBMは、フロンティアカーボン株式会社製のものを使用した。
その後、上記第1実施形態と同様のアニール処理を施すことによって、塗布された溶液の溶媒成分を除去する。これにより、図30に示すように、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に、約150nmの厚みを有するとともに、p型の第1半導体層511aとn型の第2半導体層511bとが積層された相互浸透膜からなる光電変換膜511が形成される。また、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)には、約50nmの厚みを有する有機半導体層25が形成される。
続いて、図27に示したように、光電変換膜511の上面上に、Al層からなる共通電極層13を形成する。この共通電極層13は、上記第1実施形態と同様の方法を用いて、上記第1実施形態と同様の平面形状(パターン)に形成するとともに、約100nmの厚みに形成する。最後に、上記第1実施形態と同様の保護膜36をガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第5実施形態による裏面入射型の光電変換デバイス500が製造される。
第5実施形態による光電変換デバイス500の製造方法では、上記のように、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40に、それぞれ、P3HTが溶解された溶液を塗布するとともに、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液の上に、P3HTが溶解された溶液およびPCBMが溶解された溶液を、この順に重ねて塗布することによって、p型の第1半導体層511aとn型の第2半導体層511bとが積層された相互浸透膜からなる光電変換膜511を形成することができる。これにより、光電変換膜511の光電変換効率をより向上させることができるので、より感度の高い光電変換デバイス500を製造することができる。
また、第5実施形態の製造方法では、先に塗布された溶液の溶媒が乾ききる前に追加する溶液の液滴を吐出することによって、P3HTが溶解された溶液の一部とPCBMが溶解された溶液の一部とが混合された混合層(相互浸透界面)を、第1半導体層511aと第2半導体層511bとの界面に形成することができるとともに、その混合層(相互浸透界面)の厚みを大きく構成することができる。これにより、光電変換膜511の光電変換効率をさらに向上させることができる。
なお、第5実施形態の製造方法では、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液の上に、P3HTが溶解された溶液およびPCBMが溶解された溶液をこの順に塗布することによって、P3HTとPCBMとの重量比が制御されている。すなわち、第5実施形態では、光電変換膜511における光電変換効率が高くなるように、P3HTとPCBMとの重量比が調整されている。これにより、効果的に、光電変換膜511の光電変換効率を向上させることができる。
第5実施形態の製造方法におけるその他の効果は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
(第6実施形態)
図31は、本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。図32は、本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの光電変換膜を拡大して示した断面図である。次に、図1、図31および図32を参照して、本発明の第6実施形態による光電変換デバイス600の構造について説明する。
この第6実施形態による光電変換デバイス600では、図31に示すように、上記第5実施形態と同様、ヘテロ接合膜(相互浸透膜)からなる光電変換膜611を備えている。また、第6実施形態では、図32に示すように、光電変換膜611は、p型半導体ポリマーであるP3HTからなる第1半導体層611aとn型有機半導体分子であるPCBMからなる第2半導体層611bとを2層ずつ含んでいる。そして、第1半導体層611aと第2半導体層611bとが交互に積層されている。すなわち、第6実施形態による光電変換デバイス600の光電変換膜611は、p型の第1半導体層611aとn型の第2半導体層611bとが交互に積層された積層構造を有している。具体的には、光電変換膜611は、画素電極層12側から順に、第1半導体層611a、第2半導体層611b、第1半導体層611a、第2半導体層611bが積層されることによって形成されている。
また、第1半導体層611aと第2半導体層611bとの界面には、上記第5実施形態と同様、p型の半導体層である第1半導体層611aの一部とn型の半導体層である第2半導体層611bの一部とが混合した混合層(相互浸透界面:図示せず)が所定の厚みで形成されている。
また、第6実施形態では、光電変換膜611は、約200nmの厚みに形成されている。その一方、有機TFT20の有機半導体層25は、約50nmの厚みに形成されている。この有機半導体層25は、光電変換膜611の第1半導体層611aと同じP3HTから構成されている。
なお、第6実施形態では、光電変換部10は、光電変換膜11(図1参照)に代えて、光電変換膜611を含んでいる。
第6実施形態のその他の構成は、上記第1〜第5実施形態と同様である。
上記のように構成された第6実施形態による光電変換デバイス600では、第5実施形態に比べて、光電流が増加することが確認された。これは、光電変換膜611が良好な相互浸透膜となっているためであると考えられる。また、第6実施形態による光電変換デバイス600では、第5実施形態に比べて、暗電流が減少することが確認された。これは、光電変換膜611の厚みが大きくなっているためであると考えられる。
第6実施形態では、上記のように、光電変換膜611をp型の第1半導体層611aとn型の第2半導体層611bとが積層された相互浸透膜から構成することによって、上記第5実施形態と同様、光電変換膜611における光電変換効率を効果的に向上させることができる。このため、高解像度化に伴う感度低下を抑制して、効果的に高感度化を図ることができる。
また、第6実施形態では、第1半導体層611aと第2半導体層611bとを2層ずつ交互に積層することによって、容易に、光電変換膜611における光電変換効率を向上させることができる。さらに、上記のように構成することによって、第1半導体層611aと第2半導体層611bとの界面に形成される混合層(相互浸透界面)の数を増やすことができるので、より効果的に、光電変換膜611における光電変換効率を向上させることができる。
第6実施形態のその他の効果は、上記第1〜第5実施形態と同様である。
図33および図34は、本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図5〜図12および図31〜図34を参照して、本発明の第6実施形態による光電変換デバイス600の製造方法について説明する。
まず、図5〜図10に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、絶縁性のバンク35が形成されるまでの工程を行う。なお、バンク35の表面には、上記第1実施形態と同様の撥液処理を施す。
次に、図11および図12に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、P3HTが溶解された溶液(第1半導体材料)を、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)および第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)に塗布する。
続いて、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液の上に、PCBMが溶解された溶液(第2半導体材料)、P3HTが溶解された溶液、および、PCBMが溶解された溶液を、この順に重ねて塗布する。具体的には、図33および図34に示すように、光電変換膜形成領域30のみに、インクジェット法を用いてPCBMが溶解された溶液の液滴を追加で吐出する。次に、追加で吐出された溶液の上に、インクジェット法を用いてP3HTが溶解された溶液の液滴を追加で吐出する。そして、この溶液の上に、インクジェット法を用いてPCBMが溶解された溶液の液滴をさらに追加で吐出する。
この際、光電変換膜形成領域30への溶液の追加は、先に塗布された溶液の溶媒が乾ききる前に行う。具体的には、先の液滴が吐出された後、20ms以内に、追加する溶液の液滴をそれぞれ吐出する。また、光電変換膜形成領域30(第1開口部35bの内側の領域)のみに溶液が塗布されるように、着弾直後の直径D2(図34参照)が約70μmとなるような体積の液滴を追加で吐出する。
なお、上記第5実施形態と同様、PCBMが溶解された溶液の液滴80を吐出する際には、P3HTが溶解された溶液の液滴を吐出するノズル(図示せず)とは異なるノズル90から液滴80を吐出する。
また、P3HTが溶解された溶液およびPCBMが溶解された溶液は、上記第5実施形態と同様にして作製する。
その後、上記第1実施形態と同様のアニール処理を施すことによって、塗布された溶液の溶媒成分を除去する。これにより、図31および図32に示したように、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に、約200nmの厚みを有するとともに、p型の第1半導体層611aとn型の第2半導体層611bとが交互に積層された相互浸透膜からなる光電変換膜611が形成される。また、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)には、約50nmの厚みを有する有機半導体層25が形成される。
続いて、光電変換膜611の上面上に、Al層からなる共通電極層13を形成する。この共通電極層13は、上記第1実施形態と同様の方法を用いて、上記第1実施形態と同様の平面形状(パターン)に形成するとともに、約100nmの厚みに形成する。最後に、上記第1実施形態と同様の保護膜36をガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第6実施形態による裏面入射型の光電変換デバイス600が製造される。
第6実施形態による光電変換デバイス600の製造方法では、上記のように、光電変換膜形成領域30および有機半導体層形成領域40に、それぞれ、P3HTが溶解された溶液を塗布するとともに、光電変換膜形成領域30に塗布された溶液の上に、PCBMが溶解された溶液、P3HTが溶解された溶液およびPCBMが溶解された溶液を、この順に重ねて塗布することによって、p型の第1半導体層611aとn型の第2半導体層611bとが交互に積層された相互浸透膜からなる光電変換膜611を形成することができる。これにより、光電変換膜611の光電変換効率をさらに向上させることができるので、さらに感度の高い光電変換デバイス600を製造することができる。
なお、第6実施形態の製造方法におけるその他の効果は、上記第1〜第5実施形態と同様である。
(第7実施形態)
図35は、本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。次に、図1および図35を参照して、本発明の第7実施形態による光電変換デバイス700の構造について説明する。
この第7実施形態による光電変換デバイス700では、上記第1〜第6実施形態と異なり、無機半導体膜を含む光電変換膜711を備えている。すなわち、第7実施形態では、光電変換膜711が、n型無機半導体膜とp型有機半導体膜とが積層されたpn接合膜から構成されている。具体的には、ガラス基板1の上面上に形成され、約50nmの厚みを有するZnO膜711aと、ZnO膜711a上に形成され、約100nmの厚みを有するP3HT膜711bとから光電変換膜711が構成されている。
なお、第7実施形態では、光電変換部10は、光電変換膜11(図1参照)に代えて、光電変換膜711を含んでいる。
第7実施形態のその他の構成は、上記第1〜第6実施形態と同様である。また、第7実施形態の効果は、上記第1〜第6実施形態と同様である。
図36〜図40は、本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための図である。次に、図5、図6、図8〜図12および図35〜図40を参照して、本発明の第7実施形態による光電変換デバイス700の製造方法について説明する。
まず、図5および図6に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、画素電極層12が形成されるまでの工程を行う。次に、図36に示すように、光電変換膜形成領域30に、蒸着法などを用いてZnO膜711aを形成する。
次に、図8〜図10に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、ガラス基板1上に絶縁性のバンク35を形成する。具体的には、まず、図37に示すように、ガラス基板1上の全面に、スピンコート法を用いて、約2μmの厚みを有する感光性有機高分子膜37を形成する。次に、図38に示すように、感光性有機高分子膜37の所定領域に、第1開口部35bおよび第2開口部35cを形成する。これにより、ガラス基板1上に、光電変換膜形成領域30に形成されたZnO膜711aの上面を露出させる第1開口部35bおよび有機半導体層形成領域40を露出させる第2開口部35cが設けられた絶縁性のバンク35が形成される。なお、バンク35の表面には、上記第1実施形態と同様の撥液処理を施す。
続いて、図11および図12に示した第1実施形態と同様の方法を用いて、第1開口部35bの内側の領域および第2開口部35cの内側の領域に、P3HTが溶解された溶液を塗布する。具体的には、図39に示すように、インクジェット法を用いて、P3HTが溶解された溶液の液滴50をノズル60(図39参照)から各画素に向けて吐出する。これにより、第1開口部35bと第2開口部35cとの間に位置する部分(障壁部35a)によって塗布された溶液が分断されて、第1開口部35bの内側の領域および第2開口部35cの内側の領域に、吐出された溶液が充填される。
その後、上記第1実施形態と同様のアニール処理を施すことによって、塗布された溶液の溶媒成分を除去する。これにより、図40に示したように、第1開口部35bの内側の領域(光電変換膜形成領域30)に、ZnO膜711aとP3HT膜711bとが積層された光電変換膜711が形成される。また、第2開口部35cの内側の領域(有機半導体層形成領域40)には、P3HTからなる有機半導体層25が形成される。
続いて、図35に示したように、光電変換膜711の上面上に、Al層からなる共通電極層13を形成する。この共通電極層13は、上記第1実施形態と同様の方法を用いて、上記第1実施形態と同様の平面形状(パターン)に形成するとともに、約100nmの厚みに形成する。最後に、上記第1実施形態と同様の保護膜36をガラス基板1上の全面に形成する。このようにして、第7施形態による裏面入射型の光電変換デバイス700が製造される。
(第8実施形態)
図41は、本発明の第8実施形態による放射線画像検出装置の構造を示した斜視図である。図42は、本発明の第8実施形態による放射線画像検出装置の撮像パネルの一部を示した断面図である。図43は、本発明の第8実施形態による放射線画像検出装置の回路構成を示した図である。次に、図41〜図43を参照して、この第8実施形態では、本発明が適用された撮像パネル1100を備えた放射線画像検出装置1000の一例について説明する。
第8実施形態による放射線画像検出装置1000は、図41に示すように、撮像パネル1100と、放射線画像検出装置1000の動作を制御する制御回路1300と、書き換え可能な読み出し専用メモリ(たとえば、フラッシュメモリ)などを用いて撮像パネル1100から出力された画像信号を記録するメモリ部1400と、放射線画像検出装置1000の動作を切り替えるための操作部1500と、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部1400に所定量の画像信号が書き込まれたことなどを表示する表示部1600と、撮像パネル1100を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電源部1700と、放射線画像検出装置1000と外部機器との間で通信を行うための通信用コネクタ1800と、これらを収納する筐体1900とを備えている。
撮像パネル1100は、図41および図42に示すように、入射された放射線を波長が300nm〜800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)に変換するシンチレータ層1110と、シンチレータ層1110によって変換された光を電気エネルギに変換して蓄積する光電変換デバイス1200と、蓄積された電気エネルギを読み出す走査駆動回路1120と、蓄積された電気エネルギを画像信号として出力する信号選択回路1130とを含んでいる。なお、第8実施形態では、光電変換デバイス1200は上面入射型に構成されている。
光電変換デバイス1200は、ガラス基板1上に、複数の画素が二次元マトリクス状に配列された構造を有している。具体的には、図42に示すように、各画素は、スイッチング素子として機能する有機TFT20と、光電変換を行う光電変換部1210とを備えており、有機TFT20と光電変換部1210とがガラス基板1上に並置されて形成されている。この光電変換部1210は、上記第1〜第7実施形態と同様、画素電極層1212と、光電変換膜1211と、共通電極層1213とを含んでいる。また、第8実施形態では、画素電極層1212と光電変換膜1211との間に、たとえば、PEDOT・PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiphene)・polystyrene sulphonic acid)やポリアニリンなどからなるホールブロック層1214が設けられている。また、光電変換膜1211と共通電極層1213との間には、たとえば、BCP、Alq3、BAlq、C60、LiF、TiOxなどからなる電子ブロック層1215が設けられている。
一方、光電変換部1210の下層側には、電気エネルギを蓄積するためのコンデンサ1216が画素毎に設けられており、上記画素電極層1212は、コンデンサ1216の一方の電極として機能する収集電極層1216aを介して、有機TFT20のドレイン電極層23と電気的に接続されている。なお、画素電極層1212は、クロムなどから構成されている。
画素電極層1212上には、上記ホールブロック層1214が形成されており、このホールブロック層1214上には、光電変換膜1211が形成されている。光電変換膜1211は、上記第1実施形態と同様、p型半導体ポリマーであるP3HTから構成されている。また、ガラス基板1上には、第1開口部35bおよび第2開口部35cが設けられた上記第1〜第7実施形態と同様のバンク35が形成されている。このバンク35の表面には、上記第1〜第7実施形態と同様の撥液処理が施されている。そして、P3HTが溶解された溶液が塗布されることによって、第1開口部35bの内側の領域に光電変換膜1211が形成されているとともに、第2開口部35cの内側の領域に、有機TFT20の有機半導体層25が形成されている。
また、光電変換膜1211の上面上には、電子ブロック層1215が形成されており、この電子ブロック層1215上には、ITOなどの透明導電材料からなる共通電極層1213が形成されている。なお、上記したホールブロック層1214は、画素電極層1212へのキャリア(電子)受け渡し効率を向上させる機能を有しており、電子ブロック層1215は、共通電極層1213へのキャリア(正孔)受け渡し効率を向上させる機能を有している。なお、ホールブロック層1214および電子ブロック層1215は、インクジェット法などの塗布法、または、蒸着法やスパッタ法などを用いて形成することができる。インクジェット法を用いる場合には、第1開口部35bの内側の領域にのみ溶液を塗布(吐出)することによって各層を形成する。また、蒸着法やスパッタ法などを用いる場合には、マスクを用いることによって、第1開口部35bの内側の領域にのみ各層を形成する。
共通電極層1213上およびバンク35の上面上には、ガラス基板1の上面全面を覆うように、絶縁性の隔膜(保護膜)1217が形成されている。そして、この隔膜1217上に、上記したシンチレータ層1110が設けられている。このシンチレータ層1110は、蛍光体を主たる成分とするものであり、入射した放射線に基づいて、波長が300nm〜800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する機能を有している。具体的には、シンチレータ層1110は、セシウムアイオダイド(CsI:Tl)やガドリニウムオキシサルファイド(Gd22S:Tb)などから構成されている。セシウムアイオダイドやガドリニウムオキシサルファイドは、X線吸収および発光効率が高いため、ノイズの低い高画質の画像を得ることができる。また、セシウムアイオダイドについては、柱状結晶構造のシンチレータ層1110を形成することが可能である。この場合、柱状結晶では光ガイド効果、すなわち、結晶内での発光が柱状結晶の側面より外に放射されてしまうことを少なくできる効果が得られる。このため、鮮鋭性の低下を抑制することが可能であり、蛍光体層膜厚を厚くすることによりX線吸収が増加し粒状性を向上できる。
一方、撮像パネル1100(光電変換デバイス1200)の画素間には、図43に示すように、走査線1220−1〜1220−mと信号線1230−1〜1230−nとが直交するように配設されている。この走査線1220−1〜1220−mには、有機TFT20のゲート電極層21(図42参照)が電気的に接続されており、信号線1230−1〜1230−nには、有機TFT20のソース電極層23(図42参照)が電気的に接続されている。
また、撮像パネル1100(光電変換デバイス1200)には、信号線1230−1〜1230−nに、たとえばドレイン電極が接続された初期化用のTFT1240−1〜1240−nが設けられている。このTFT1240−1〜1240−nのソース電極は接地されている。また、TFT1240−1〜1240−nのゲート電極はリセット線1241と接続されている。
走査線1220−1〜1220−mおよびリセット線1241は、走査駆動回路1120に接続されている。走査駆動回路1120から走査線1220−1〜1220−mのうちの1つの走査線1220−p(pは1〜mのいずれかの値)に読出信号RSが供給されると、この走査線1220−pに接続された有機TFT20がオン状態にされて、コンデンサ1216−(p,1)〜1216−(p,n)に蓄積された電気エネルギが信号線1230−1〜1230−nにそれぞれ読み出される。信号線1230−1〜1230−nは、それぞれ、信号選択回路1130の信号変換器1131−1〜1131−nに接続されており、信号変換器1131−1〜1131−nにおいて、信号線1230−1〜1230−n上に読み出された電気エネルギ量に比例する電圧信号SV−1〜SV−nが生成される。この信号変換器1131−1〜1131−nから出力された電圧信号SV−1〜SV−nはレジスタ1132に供給される。
レジスタ1132では、供給された電圧信号が順次選択されて、A/D変換器1133で(たとえば、12ビットないし14ビットの)1つの走査線に対するデジタルの画像信号とされる。また、制御回路1300は、走査線1220−1〜1220−mの各々に、上記した走査駆動回路1120を介して読出信号RSを供給し、画像走査を行うとともに、走査線1220−1〜1220−m毎のデジタル画像信号を取り込んで、放射線画像の画像信号の生成を行う。この画像信号は制御回路1300に供給される。
なお、走査駆動回路1120からリセット信号RTをリセット線1241に供給してTFT1240−1〜1240−nをオン状態にするとともに、走査線1220−1〜1220−mに読出信号RSを供給して有機TFT20をオン状態とすると、コンデンサ1216−(1,1)〜1216−(m,n)に蓄積された電気エネルギが有機TFT20を介して放出され、撮像パネル1100の初期化を行うことができる。
制御回路1300には、メモリ部1400、操作部1500、表示部1600および通信用コネクタ1800などが接続されており、操作部1500からの操作信号PSに基づいて放射線画像検出装置1000の動作が制御される。また、操作部1500には複数のスイッチが設けられており、操作部1500からのスイッチ操作に応じた操作信号PSに基づき、撮像パネル1100の初期化や放射線画像の画像信号の生成が行われる。
また、電源部1700は、マンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池、充電可能な二次電池などからなり、図41に示すように、撮像パネル1100の裏面側に配置されている。また、電源部1700は、放射線画像検出装置1000を薄型化するために、平板状に形成されている。
また、筐体1900は、外部からの衝撃に耐え、かつ重量ができるだけ軽い素材であるアルミニウムまたはその合金から構成されている。筐体1900の放射線入射面側は、放射線を透過し易い非金属(たとえば、カーボン繊維など)を用いて構成されている。また、放射線入射面とは反対側である背面側においては、放射線が放射線画像検出装置1000を透過してしまうのを抑制するために、または、放射線画像検出装置1000を構成する素材が放射線を吸収することで生じる2次放射線からの影響を防ぐために、放射線を効果的に吸収する材料(たとえば、鉛板など)から構成されている。
第8実施形態では、上記のように構成された光電変換デバイス1200を含む撮像パネル1100を搭載することによって、容易に、信頼性が高く、かつ、解像度の高い放射線画像検出装置1000を得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第8実施形態では、基板にガラス基板を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、ガラス基板以外のプラスチックフィルムなどを基板として用いてもよい。プラスチックフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、およびセルロースアセテートプロピオネート(CAP)などからなるフィルムが挙げられる。また、これらのプラスチックフィルムには、トリオクチルホスフェートやジブチルフタレートなどの可塑剤を添加してもよく、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤を添加してもよい。また、テトラエトキシシランなどの無機高分子の原料を添加し、化学触媒や熱、光などのエネルギを付与することにより高分子量化する、いわゆる有機−無機ポリマーハイブリッド法を適用して作製した樹脂を原料として用いてもよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、塗布法を用いて画素電極層を形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、塗布法以外の蒸着法などを用いて画素電極層を形成してもよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、インクジェット法またはスピンコート法を用いて、光電変換膜および有機半導体層を形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、上記した方法以外の方法を用いて、光電変換膜および有機半導体層を形成(パターニング)してもよい。上記以外の方法としては、たとえば、ディップ法や各種印刷(凸版、凹版、孔版他)法などが挙げられる。なお、上記方法を用いて光電変換膜および有機半導体層を形成する際には、半導体材料が溶媒に溶解された溶液を用いる以外に、半導体材料が液体に分散された分散液などを用いることもできる。
また、上記第1〜第8実施形態では、P3HT、または、P3HTとPCBMとを用いて光電変換膜を形成するとともに、P3HTを用いて有機半導体層を形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、上記以外の半導体材料を用いて、光電変換膜および有機半導体層を形成してもよい。たとえば導電性高分子材料(π共役系高分子材料やシリコン系高分子材料など)を用いて光電変換膜を構成してもよい。導電性高分子材料としては、たとえば、ポリ(2−メトキシ、5−(2'エチルヘキシロキシ)−p−フェニレンビニレン)そしてポリ(3−アルキルチオフェン)などが挙げられる。また「有機EL材料とディスプレイ(2001年2月28日株式会社シー・エム・シー発行)」の第190頁〜第203頁に記載されている化合物や、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第81頁〜第99頁に記載されている化合物などが挙げられる。また、図44に示すような基本骨格を有する導電性高分子化合物や、図45〜図48に示すようなπ共役系高分子化合物、さらに、図49および図50に示すようなπ共役系以外の導電性化合物を用いて光電変換膜を形成することもできる。なお、光電変換可能な有機化合物として好ましいものは導電性高分子化合物であり、より好ましいものはπ共役系高分子化合物である。また、高分子材料以外の低分子系材料を用いることもできる。
また、上記第1〜第8実施形態では、JSR株式会社製の感光性有機高分子材料(PC403)を用いてバンクを形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、東レ株式会社製のポリイミド系樹脂(DL−1000)や日本ゼオン株式会社製のノボラッグ系樹脂(WIX−2)などの感光性有機材料を用いてバンクを形成してもよい。また、上記以外の絶縁材料を用いてバンクを形成してもよい。さらに、有機TFTのソース電極層およびドレイン電極層をパターニングする際のレジストを半導体膜形成時のバンクとして用いることもできる。この場合のレジストは、半導体膜を成膜するための半導体材料に対して撥液性を示すものが好ましい。
また、上記第1〜第8実施形態では、光電変換膜形成領域と有機半導体層形成領域とを除く領域上に形成されたバンクによって、光電変換膜と有機半導体層とを分離する障壁部を構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、光電変換膜と有機半導体層とを分離可能に構成されていれば、上記以外の構成の障壁部を形成してもよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、バンクの表面に撥液処理を施した例を示したが、上記処理に加えて、バンクの開口部の内側の領域(光電変換膜形成領域)に親液処理を施してもよい。親液処理の方法としては、たとえば、UVオゾン装置を用いて、光電変換膜形成領域および有機半導体層形成領域にオゾンを照射する方法などが挙げられる。
なお、上記第1〜第8実施形態では、画素領域に占める光電変換膜の割合が約62%となるように、光電変換膜を構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、上記以外の割合となるように光電変換膜を構成してもよい。なお、画素領域に占める光電変換膜の割合が70%以上となるように光電変換膜を構成するのがより好ましい。
また、上記第1〜第8実施形態において、共通電極層は、塗布型電極材料を用いてインクジェット法やディスペンサーなどで塗布することによって形成してもよい。塗布型電極材料としては、たとえば、PEDOT/PSSなどが挙げられる。
また、上記第1〜第7実施形態では、光電変換デバイスを裏面入射型に構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、光電変換デバイスを上面入射型に構成してもよい。この場合、共通電極層は透明であることが必要となるので、共通電極層をITOやZnOなどの透明電極材料を用いて形成すればよい。また、上面入射型に構成することによって、上記第1〜第7実施形態の構成を有する光電変換デバイスを、第8実施形態による放射線画像検出装置の撮像パネルに用いることができる。
また、上記第1〜第7実施形態において、必要に応じて、上記第8実施形態に示したようなブロック層を形成してもよい。具体的には、たとえば、画素電極層と光電変換膜との間にPEDOT・PSSやポリアニリンなどからなるホールブロック層を設けるとともに、光電変換膜と共通電極層との間にBCP、Alq3、BAlq、C60、LiF、TiOxなどからなる電子ブロック層を設けてもよい。また、光電変換膜と各電極(画素電極層、共通電極層)との間に、ブロック層以外の機能層を付加してもよい。
また、上記第4実施形態では、光電変換膜形成領域に塗布された溶液の上に、同じ溶液を1回だけ追加で塗布した例を示したが、本発明はこれに限らず、光電変換膜が所望の厚みになるように、光電変換膜形成領域に塗布された溶液の上に、同じ溶液を複数回追加で塗布してもよい。
また、上記第6実施形態では、P3HTからなる第1半導体層およびPCBMからなる第2半導体層を、それぞれ、2層ずつ含むように光電変換膜を構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、第1半導体層と第2半導体層との層数は、上記以外であってもよい。また、P3HTが溶解された溶液およびPCBMが溶解された溶液を複数回吐出することによって、それぞれ、第1半導体層および第2半導体層を形成してもよい。
また、上記第7実施形態では、無機半導体膜をZnOから構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ZnO以外の無機半導体材料を用いて無機半導体膜を形成してもよい。
また、上記第8実施形態では、本発明の光電変換デバイスを放射線画像検出装置に用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、上記放射線画像検出装置以外のたとえば密着型画像読取装置(スキャナー)などにも本発明の光電変換デバイスを用いることができる。
また、上記第8実施形態では、画素電極層と光電変換膜との間に、ホールブロック層を設けるとともに、光電変換膜と共通電極層との間に、電子ブロック層を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、ホールブロック層および電子ブロック層を設けない構成にしてもよい。
また、上記第8実施形態では、撮像パネル(光電変換デバイス)の光電変換部の下層側に、電気エネルギを蓄積するためのコンデンサを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、上記コンデンサを設けない構成にすることもできる。
なお、上記第8実施形態では、シンチレータ層をセシウムアイオダイドやガドリニウムオキシサルファイドなどから構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、上記以外の蛍光体を主たる成分として構成することができる。セシウムアイオダイドやガドリニウムオキシサルファイド以外の蛍光体としては、CaWO4、CaWO4:Pb、MgWOなどのタングステン酸塩系蛍光体、Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tbなどのテルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体、LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、GdOBr:Tb、GdOBr:Tb,Tm、GdOCl:Tb、GdOCl:Tb,Tmなどのテルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Tm、LaOCl:Tmなどのツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、LaOBr:Gd、LuOCl:Gdなどのガドリニウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、GdOBr:Ce、GdOCl:Ce、(Gd,Y)OBr:Ce、(Gd,Y)OCl:Ceなどのセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+などの硫酸バリウム系蛍光体、Ba3(PO42:Eu2+、(Ba2PO42:Eu2+、Sr3(PO42:Eu2+、(Sr2PO42:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体、BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFCl:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl2・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl2・KCl:Eu2+などの2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tlなどの沃化物系蛍光体、ZnS:Ag、(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Agなどの硫化物系蛍光体、HfP27、HfP27:Cu、Hf3(PO44などの燐酸ハフニウム系蛍光体、YTaO4、YTaO4:Tm、YTaO4:Nb、(Y,Sr)TaO4:Nb、LuTaO4、LuTaO4:Tm、LuTaO4:Nb、(Lu,Sr)TaO4:Nb、GdTaO4:Tm、Mg4Ta29:Nb、Gd23・Ta25・B23:Tbなどのタンタル酸塩系蛍光体、および、Gd22S:Eu3+、(La,Gd,Lu)2Si27:Eu、ZnSiO4:Mn、Sr227:Eu、などが挙げられる。なお、シンチレータ層を構成する蛍光体は、放射線の照射によって可視、紫外または赤外領域などの受光素子が感度を持つ領域の電磁波を出力する蛍光体であれば、上記以外の蛍光体であってもよい。また、蛍光体粒子の直径は、7μm以下、好ましくは、4μm以下である。蛍光体粒子の直径が小さいほど、シンチレータ層内での光の散乱を防ぐことが可能となるので、高い鮮鋭度を得ることができる。
また、上記した蛍光体粒子は、たとえば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、各種合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂などのバインダーに分散される。蛍光体粒子が分散されるバインダーとしては、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースが好ましい。このような好ましいバインダーを用いることで、蛍光体の分散性を高め、蛍光体の充填率を高くすることが可能となり、粒状性の向上に寄与する。
本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの平面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの一部を一部省略して示した平面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの一部を拡大して示した平面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。 本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第2実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第3実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。 本発明の第3実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第3実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第4実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。 本発明の第4実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第4実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第4実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第5実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。 本発明の第5実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第5実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第5実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。 本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの光電変換膜を拡大して示した断面図である。 本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第6実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの構造を示した断面図である。 本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第7実施形態による光電変換デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第8実施形態による放射線画像検出装置の構造を示した斜視図である。 本発明の第8実施形態による放射線画像検出装置の撮像パネルの一部を示した断面図である。 本発明の第8実施形態による放射線画像検出装置の回路構成を示した図である。 導電性高分子化合物の基本骨格を示した図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その1)を示した図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その2)を示した図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その3)を示した図である。 π共役系高分子化合物の具体例(その4)を示した図である。 π共役系以外の導電性高分子化合物の具体例(その1)を示した図である。 π共役系以外の導電性高分子化合物の具体例(その2)を示した図である。
符号の説明
1 ガラス基板(基板)
10 光電変換部
11、411、511、611、711、1211 光電変換膜
12 画素電極層
13 共通電極層
20 トランジスタ部、有機TFT
21 ゲート電極層
22 ソース電極層
23 ドレイン電極層
24 絶縁層
25 有機半導体層(半導体膜)
26 第1導電層
27 第2導電層
30 光電変換膜形成領域
35 バンク(絶縁膜)
35a 障壁部
35b 第1開口部
35c 第2開口部
36、1217 保護膜、隔膜
37 感光性有機高分子膜
40 有機半導体層形成領域
100、150、200、300、400、
500、600、700、1200 光電変換デバイス
1000 放射線画像検出装置
1100 撮像パネル
1110 シンチレータ層
1120 走査駆動回路
1130 信号選択回路
1131 信号変換器
1214 ホールブロック層
1215 電子ブロック層
1216 コンデンサ
1216a 収集電極層
1220 走査線(ゲート線)
1230 信号線

Claims (21)

  1. 基板上に、光電変換膜を含む光電変換部とスイッチング素子として機能するトランジスタ部とを備えた画素がアレイ状に配置された画素アレイにおいて、
    前記トランジスタ部が半導体膜を含む薄膜トランジスタから構成されており、
    前記光電変換部と前記トランジスタ部との間の領域には、前記光電変換部の光電変換膜と前記薄膜トランジスタの半導体膜とを分離する絶縁性の障壁部が形成されていることを特徴とする、光電変換デバイス。
  2. 前記光電変換部の光電変換膜と前記薄膜トランジスタの半導体膜とは、少なくとも一部が同一の有機半導体材料を用いて形成されており、
    前記光電変換膜と前記半導体膜とを分離する前記障壁部の表面は、前記有機半導体材料に対して反発性を有していることを特徴とする、請求項1に記載の光電変換デバイス。
  3. 前記基板上には、前記光電変換膜が形成される領域を囲む第1開口部と、前記薄膜トランジスタの半導体膜が形成される領域を囲む第2開口部とを含む絶縁膜が形成されており、
    前記絶縁膜によって前記障壁部が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の光電変換デバイス。
  4. 前記絶縁膜の表面は、前記有機半導体材料に対して反発性を有していることを特徴とする、請求項3に記載の光電変換デバイス。
  5. 前記光電変換膜は、前記薄膜トランジスタの半導体膜と同一材料からなる第1半導体層と、前記第1半導体層とは逆導電型の第2半導体層とを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換デバイス。
  6. 前記第1半導体層および前記第2半導体層は、それぞれ、有機材料から構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の光電変換デバイス。
  7. 前記第1半導体層および前記第2半導体層の少なくとも一方は、複数層形成されており、
    前記光電変換膜は、前記第1半導体層と前記第2半導体層とが交互に積層された積層構造を有していることを特徴とする、請求項5または6に記載の光電変換デバイス。
  8. 前記第2半導体層は、無機材料から構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の光電変換デバイス。
  9. 前記有機半導体材料は、P3HT(Poly(3−hexylthiophene))を含むことを特徴とする、請求項2〜8のいずれか1項に記載の光電変換デバイス。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換デバイスを備えることを特徴とする、放射線画像検出装置。
  11. 基板上に、薄膜トランジスタからなるトランジスタ部を形成する工程と、
    前記基板上に、前記薄膜トランジスタとともに画素を構成する光電変換部を形成する工程とを備え、
    前記トランジスタ部を形成する工程は、半導体膜を形成する工程を含むとともに、前記光電変換部を形成する工程は、光電変換機能を有する光電変換膜を形成する工程を含み、
    前記半導体膜および前記光電変換膜を形成する工程に先だって、前記基板上に、前記半導体膜と前記光電変換膜とを分離するための絶縁性の障壁部を形成する工程を有することを特徴とする、光電変換デバイスの製造方法。
  12. 前記光電変換部を形成する工程および前記トランジスタ部を形成する工程は、流動性の半導体材料を前記基板上に供給することによって、それぞれ、前記光電変換膜の少なくとも一部、および、前記半導体膜を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  13. 前記障壁部を形成する工程は、
    前記基板上に所定の厚みを有する絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の所定領域に第1開口部および第2開口部を形成することによって、前記光電変換膜が形成される領域および前記半導体膜が形成される領域を露出させる工程と、
    前記障壁部の表面が前記流動性の半導体材料に対して反発性を有するように、前記絶縁膜の表面に撥液処理を施す工程とを含むことを特徴とする、請求項12に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  14. 前記光電変換部を形成する工程および前記トランジスタ部を形成する工程は、インクジェット法を用いて、それぞれ、前記光電変換膜の少なくとも一部および前記半導体膜を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  15. 前記光電変換部を形成する工程および前記トランジスタ部を形成する工程は、スピンコート法を用いて、それぞれ、前記光電変換膜の少なくとも一部および前記半導体膜を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  16. 前記光電変換膜上に、半導体材料を少なくとも1回以上供給する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  17. 前記光電変換膜上に供給する半導体材料は、前記流動性の半導体材料と同一の半導体材料からなることを特徴とする、請求項16に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  18. 前記光電変換膜上に供給する半導体材料は、前記流動性の半導体材料と同一の第1半導体材料と、前記流動性の半導体材料とは異なる流動性の第2半導体材料とを含み、
    前記第1半導体材料と前記第2半導体材料とを前記光電変換膜上に交互に供給することを特徴とする、請求項16に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  19. 前記光電変換膜上への半導体材料の供給は、少なくとも直前に供給された半導体材料が乾燥しきる前に行うことを特徴とする、請求項16〜18のいずれか1項に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  20. 前記流動性の半導体材料は、流動性の有機半導体材料であることを特徴とする、請求項12〜19のいずれか1項に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  21. 前記有機半導体材料は、P3HT(Poly(3−hexylthiophene))を含むことを特徴とする、請求項20に記載の光電変換デバイスの製造方法。
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