JP2008240557A - エネルギシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】混合気Mを燃焼室2で圧縮して燃焼させ軸動力を出力するエンジン1と、エンジン1の排熱を回収して熱負荷に供給される熱を発生する排熱回収手段7とを備えたエネルギシステム100であって、熱負荷16での要求熱量の状態に基づいて、エンジン1の燃焼モードを、混合気Mの当量比をストイキ当量比範囲内に設定するストイキ燃焼モードと混合気Mの当量比をストイキ当量比範囲よりも燃料が希薄なリーン当量比範囲内に設定するリーン燃焼モードとの間で切り換える燃焼モード切換制御を実行可能な燃焼モード切換手段53を備えた。
【選択図】図1
Description
前記エンジンの排熱を回収して熱負荷に供給される熱を発生する排熱回収手段とを備えたエネルギシステム、特に、このエネルギシステムに加えて、前記エンジンの軸動力により発電して電力負荷に供給される電力を発生する発電手段を備えて、電力と熱とを出力するように構成されたエネルギシステムに関する。
特に、コージェネレーションシステムでは、刻々と変化する電力負荷での要求電力量に対する熱負荷での要求熱量の比率である要求熱電比率(=要求熱量/要求電力量)に柔軟に対応して、省エネルギ性を向上するために、発電手段の発生電力量に対する排熱回収手段の発生熱量の比率である発生熱電比率(=発生熱量/発生電力量)を上記要求熱電比率の変動に応じて変更可能とすることが望まれている。
特に、発電効率を高めるために、混合気の当量比を燃料が希薄な範囲内に設定して、当該混合気を燃焼室でリーン燃焼させるようなエンジンを用いる場合には、当該エンジンの点火時期の遅角化により失火が起こりやすく、未燃炭化水素の排出が増加するという問題がある。
前記エンジンの排熱を回収して熱負荷に供給される熱を発生する排熱回収手段とを備えたエネルギシステムであって、その第1特徴構成は、前記熱負荷での要求熱量の状態に基づいて、前記エンジンの燃焼モードを、前記燃焼室で燃焼する混合気の当量比をストイキ当量比範囲内に設定するストイキ燃焼モードと前記燃焼室で燃焼する混合気の当量比を前記ストイキ当量比範囲よりも燃料が希薄なリーン当量比範囲内に設定するリーン燃焼モードとの間で切り換える燃焼モード切換制御を実行可能な燃焼モード切換手段を備えた点にある。
尚、当量比とは、混合気の燃空比を理論燃空比で割ったものを言う。即ち、混合気において、燃料成分が少ないほどその混合気の当量比は低いと言え、空気が少ないほどその混合気の当量比は高いと言える。
即ち、ある出力で運転されるエンジンの燃焼モードを、上記ストイキ燃焼モードと上記リーン燃焼モードとで切り換えることで、上記発生熱量を変更することができる。
前記エンジンの出力を前記電力負荷での要求電力量に応じて制御する出力制御手段とを備え、
前記燃焼モード切換手段が、前記電力負荷での要求電力量に対する前記熱負荷での要求熱量の比率に基づいて前記燃焼モード切換制御を実行する点にある。
即ち、ある出力で運転されるエンジンの燃焼モードを、上記ストイキ燃焼モードと上記リーン燃焼モードとで切り換えることで、上記発生熱電比率を変更することができる。
そこで、上記第3特徴構成によれば、エンジン出力を上記要求電力量に応じて調整するにあたり、エンジンの燃焼モード切換制御を実行する出力範囲を、ストイキ燃焼モード時における出力調整可能範囲の下限値以上且つリーン燃焼モード時における出力調整可能範囲の上限値以下の中出力範囲に規定することで、当該中出力範囲内において自由にエンジンの燃焼モードを切り換えることができる。
一方、エンジン出力を中出力範囲の下限値よりも低い上記低出力範囲内に設定したい場合には、要求熱量が比較的大きかったとしても、エンジンの燃焼モードを強制的にリーン燃焼モードに切り換えて、出力を低下させ、小さい要求電力量に見合った電力を発生させることができる。
従って、要求電力量の大幅な変動にも適切に対応して、エンジンの出力を大幅に変更させながら、出力変動範囲の一部である中出力範囲内に出力を設定する場合おいては、燃焼モード切換制御を実行して、要求熱量特に要求熱電比率の変動に柔軟に対応して、適切な発生熱量特に発生熱電比率で電力及び熱を発生することができる。
即ち、上述したようにエンジンの燃焼モードをストイキ燃焼モードとしたときには、燃焼室において温度上昇が顕著になることにより比較的多くのNOxが生成されることになるが、そのNOxを含む排ガスが上記三元触媒を通過することでNOxを還元除去することができ、結果、NOxの排出量を規定量以下に抑制することができる。また、このストイキ燃焼モードでは、排ガスに含まれる酸化性成分と還元性成分とが釣り合っている状態であるので、上記三元触媒では、NOxの還元除去と同時に、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、臭気成分(アルデヒド類、硫化物質、脂肪族類、アミン類等)等の酸化除去を行うことができる。
一方、上述したようにエンジンの燃焼モードをリーン燃焼モードとしたときには、燃焼室において温度上昇が緩慢になることによりNOx(窒素酸化物)の生成が抑制されるので、NOxの排出量を規定量以下に抑制することができ、更に、排ガスが上記三元触媒を通過することでその排ガスに含まれるCO、HC、臭気成分等を酸化除去することができる。
図1に示すエネルギシステム(以下、「本システム」と呼ぶ。)100は、熱に加え電力を発生するコージェネレーションシステムとして構成されている。
即ち、本システム100は、混合気Mを燃焼室2で圧縮して燃焼させ軸動力を出力するエンジン1と、エンジン1の排熱を回収して熱負荷16に供給される熱を発生する排熱回収手段7とを備えており、更には、エンジン1の軸動力により発電して電力負荷21に供給される電力を発生する発電機5(発電手段の一例)を備えている。尚、この発電機5は、商用電力系統20と連系して発電した電力を電気機器などの電力負荷21に供給するように構成されている。
そして、エンジン1の運転を制御する制御装置50は、酸素センサ18で検出される排ガスEの酸素濃度を監視しながら燃料供給弁6の開度を制御することで、吸気路3に形成される混合気Mの当量比を任意に設定する可能に構成されている。
即ち、制御装置50は、上記酸素センサ18で検出される排ガスEの酸素濃度が略ゼロの低酸素濃度となるように燃料供給弁6の開度を比較的大きめに調整することで、吸気路3に形成される混合気Mの当量比を略1.0程度のストイキ当量比範囲内に設定することができる。また、制御装置50は、上記酸素センサ18で検出される排ガスEの酸素濃度が当量比に応じて設定された設定濃度となるように燃料供給弁6の開度を比較的小さめに調整することで、吸気路3に形成される混合気Mの当量比を例えば上記ストイキ当量比範囲よりも燃料が希薄な0.67程度のリーン当量比範囲内に設定することができる。
尚、このストイキ燃焼モード及びリーン燃焼モードは、公知のストイキ燃焼及びリーン燃焼により実現される燃焼モードであり、夫々における燃焼室2での燃焼状態は、ノッキングや失火等の異常燃焼の発生が抑制されて安定したものとなる。
一方、エンジン1が上記リーン燃焼モードで運転することで、燃焼室2に吸気される混合気M中に燃焼熱を奪う空気Aが多いことから、当該燃焼熱による温度上昇が緩慢になり、NOx(窒素酸化物)の生成は抑制されるものの、燃焼室2から排出される排ガスEやエンジン1を冷却した後のジャケット水JWが比較的低温になる。
具体的には、循環ポンプ10を作動させることによりエンジン1とラジエータ13との間で循環するジャケット水JWは、そのエンジン1を冷却して昇温した後に、排気路4に設けられた伝熱管11を通過することで排ガスEの熱を回収して一層加熱される。
その伝熱管11を通過した後の高温のジャケット水JWと湯水HWとの熱交換を行う排熱回収熱交換器8と、当該排熱回収熱交換器8で加熱される湯水を貯える貯湯タンク9とが設けられており、貯湯タンク9に貯えられた高温の湯水HWが熱負荷16に供給される。
即ち、ポンプ15を作動することにより、貯湯タンク9の下端部にある比較的低温の湯水を排熱回収熱交換器8に通過させて適切な目標貯湯温度(例えば75℃)以上に加熱した後に、貯湯タンク9の上端部に戻す。すると、貯湯タンク9は温度成層を形成して湯水HWを貯留することになる。
この貯湯タンク9の上端部から取り出した高温の湯水HWが熱負荷16に供給され、それと同時に、消費された分の湯水HWに相当する給水Wが貯湯タンク9の下端部に補充される。
更に、図2に示すように、エンジン1の燃焼モードを上述したストイキ燃焼モードとしたときには、混合気Mの当量比が略1.0程度のストイキ当量比範囲内に設定されて燃焼室2における温度上昇が顕著になることから、NOxの生成量は促進され、逆に、エンジン1の燃焼モードを上述したリーン燃焼モードとしたときには、混合気Mの当量比が略0.67程度のリーン当量比範囲内に設定されて燃焼室2における温度上昇が緩慢になることから、NOxの生成量は抑制されている。
一方、上述したリーン燃焼モード時に排出される排ガスEがこの三元触媒12を通過すると、主に、その排ガスEに含まれるCO、HC、臭気成分等が酸化除去されることになる。また、このリーン燃焼モード時には、燃焼室2の温度上昇が緩慢になることから、その排ガスEには元々NOxが殆ど含まれておらず、結果、NOxの排出量が規定値以下に抑制されることになる。
以下、第1実施形態における制御装置50が機能する各種手段の詳細構成について説明する。
上記負荷予測手段51は、熱負荷16における過去の消費熱量及び電力負荷21における過去の消費電力量を記憶しておき、それらに基づいて、将来の設定期間(例えば24時間)において、予測される消費熱量を要求熱量として予測し、予測される消費電力量を要求電力量として予測するように構成されている。
尚、上記熱負荷16における消費熱量は、例えば貯湯タンク9から熱負荷16に供給される湯水HWの流量と温度を計測し、それら計測結果から求めることができる。
また、上記電力負荷21における消費電力量は、発電機5及び商用電力系統20から電力負荷21に供給される電力量を計測して求めることができる。
具体的には、出力制御手段52による上記電主運転制御では、発電機5の発生電力量が、電力負荷21の要求電力量と等しい量若しくはそれよりも一定量少ない量になって、要求電力量に追従して変化するように、エンジン1の出力が要求電力量に応じて制御される。
一方、出力制御手段52による上記熱主運転制御では、排熱回収手段7の発生熱量が、熱負荷16の要求熱量と等しい量若しくはそれよりも一定量少ない量になって、要求熱量に追従して変化するように、エンジン1の出力が要求熱量に応じて制御される。
逆に、上記出力制御手段52によりエンジン1の出力を上記と同様の特定の出力に設定する場合を想定して、上記燃焼モード切換手段53によりエンジン1の燃焼モードをリーン燃焼モードとしたときには、燃焼室2から排出される排ガスEやエンジン1を冷却した後のジャケット水JWが比較的低温となるので、排熱回収手段7での発生熱量が発電機5の発生電力量に対して比較的小さくなる。
逆に、上記燃焼モード切換手段53は、上記燃焼モード切換制御において、負荷予測手段51で予測した熱負荷16での要求熱量、特に上記要求熱電比率が、予め設定された設定値未満である場合には、排ガスEやジャケット水JWが低温となるリーン燃焼モードとして、排熱回収手段7での発生熱量、特に上記発生熱電比率を小さくする。
よって、このような燃焼モード切換制御を実行するという比較的簡単な構成により、要求熱量の状態特に要求熱電比率の変動に柔軟に対応するべく、発生熱量特に発生熱電比率を変更することができるのである。
そこで、上記燃焼モード切換手段53は、エンジン1の出力をストイキ燃焼モード時における出力調整可能範囲の下限値Smin以上且つリーン燃焼モード時における出力調整可能範囲の上限値Lmax以下の中出力範囲内(図3において実線で示される範囲内)に設定する場合に燃焼モード切換制御を実行して、自由にエンジン1の燃焼モードを切り換えるように構成されている。
尚、本実施形態において、図3の一点鎖線で示すように、ストイキ燃焼モード時においてエンジン1の出力をリーン燃焼モード時における出力調整可能範囲の上限値Lmaxを上回る範囲で運転したり、リーン燃焼モード時においてエンジン1の出力をストイキ燃焼モード時における出力調整可能範囲の下限値Lminを下回る範囲で運転するように構成しても構わない。
以下、第2実施形態における制御装置50が機能する各種手段の詳細構成について説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成については説明を割愛する場合がある。
上記出力制御手段52は、エンジン1の出力を電力負荷21での要求電力量に応じて制御する所謂電主運転制御を実行する手段として構成されている。
上記負荷予測手段51は、上記第1実施形態と同様に要求熱量と要求電力量とを予測すると共に、上記電主運転制御を実行すると仮定したときの排熱回収手段7での発生熱量を求め、その排熱回収手段7の発生熱量が熱負荷16での要求熱量に対して不足する熱不足状態になるか否かを判定し、更には、その排熱回収手段7の発生熱量が熱負荷16での要求熱量に対して余る熱余り状態となるか否かを判定するように構成されている。
例えば、熱不足状態及び熱余り状態の判定方法としては、温度成層型の貯湯タンク9の上方側に設けられた温度センサ19aにより検出される湯水HWの温度が目標貯湯温度未満である場合には、貯湯タンク9の上方側に貯留されている高温の湯水HWの量が少なすぎるとして、熱不足状態であると判定し、一方、温度成層型の貯湯タンク9の下方側に設けられた温度センサ19bにより検出される湯水HWの温度が目標貯湯温度以上である場合には、貯湯タンク9全体に高温の湯水HWが貯留されている所謂満杯状態であるとして、熱余り状態であると判定することができる。
更に、上記燃焼モード切換手段53は、燃焼モード切換制御において、上記負荷予測手段51で熱余り状態であると判定した場合には、エンジン1の燃焼モードを上述したリーン燃焼モードとして、排熱回収手段7の発生熱量特に発生熱電比率を減少させて上記熱余り状態を解消するように構成されている。
以下、第3実施形態における制御装置50が機能する各種手段の詳細構成について説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成については説明を割愛する場合がある。
上記燃焼モード切換手段53は、図4に示すように、エンジン1の出力をストイキ燃焼モード時における出力調整可能範囲の下限値Smin以上且つリーン燃焼モード時における出力調整可能範囲の上限値Lmax以下の中出力範囲内に設定するように構成されている。
2:燃焼室
4:排気路
5:発電機(発電手段)
7:排熱回収手段
16:熱負荷
21:電力負荷
52:出力制御手段
53:燃焼モード切換手段
100:エネルギシステム
G:燃料
M:混合気
E:排ガス
Claims (6)
- 混合気を燃焼室で圧縮して燃焼させ軸動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの排熱を回収して熱負荷に供給される熱を発生する排熱回収手段とを備えたエネルギシステムであって、
前記熱負荷での要求熱量の状態に基づいて、前記エンジンの燃焼モードを、前記燃焼室で燃焼する混合気の当量比をストイキ当量比範囲内に設定するストイキ燃焼モードと前記燃焼室で燃焼する混合気の当量比を前記ストイキ当量比範囲よりも燃料が希薄なリーン当量比範囲内に設定するリーン燃焼モードとの間で切り換える燃焼モード切換制御を実行可能な燃焼モード切換手段を備えたエネルギシステム。 - 前記エンジンの軸動力により発電して電力負荷に供給される電力を発生する発電手段と、
前記エンジンの出力を前記電力負荷での要求電力量に応じて制御する出力制御手段とを備え、
前記燃焼モード切換手段が、前記電力負荷での要求電力量に対する前記熱負荷での要求熱量の比率に基づいて前記燃焼モード切換制御を実行する請求項1に記載のエネルギシステム。 - 前記燃焼モード切換手段が、前記エンジンの出力を、前記ストイキ燃焼モード時における出力調整可能範囲の下限値以上且つ前記リーン燃焼モード時における出力調整可能範囲の上限値以下の中出力範囲内に設定する場合に前記燃焼モード切換制御を実行する請求項2に記載のエネルギシステム。
- 前記燃焼モード切換手段が、前記エンジンの出力を前記中出力範囲の上限値よりも高い高出力範囲内に設定する場合には前記エンジンの燃焼モードを前記ストイキ燃焼モードとし、前記エンジン出力を前記中出力範囲の下限値よりも低い低出力範囲内に設定する場合には前記エンジンの燃焼モードを前記リーン燃焼モードとする請求項3に記載のエネルギシステム。
- 前記燃焼モード切換手段が、前記燃焼モード切換制御において、前記排熱回収手段での発生熱量が前記熱負荷での要求熱量に対して不足する熱不足状態である場合には前記エンジンの燃焼モードを前記ストイキ燃焼モードとし、前記排熱回収手段での発生熱量が前記熱負荷での要求熱量に対して余る熱余り状態である場合には前記エンジンの燃焼モードを前記リーン燃焼モードとする請求項1〜4の何れか一項に記載のエネルギシステム。
- 前記エンジンの排気路において前記ストイキ燃焼モード時及び前記リーン燃焼モード時に排出される排ガスが通過する部位に三元触媒を配置してなる請求項1〜5の何れか一項に記載のエネルギシステム。
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