JP6315908B2 - エンジンシステム - Google Patents
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更に、このようなエンジンシステムとして、エンジンの軸動力を駆動源とする圧縮機を有する圧縮式のヒートポンプ回路を備え、空調負荷などのヒートポンプ回路の熱負荷に基づいてエンジンの回転速度を制御するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
即ち、制御手段は、エンジン負荷がストイキ領域からリーン領域へ減少側に変化すると、燃焼モードをストイキ燃焼モードからリーン燃焼モードに切り替え、逆に、同エンジン負荷がリーン領域からストイキ領域へ増加側に変化すると、燃焼モードをリーン燃焼モードからストイキ燃焼モードに切り替える。
しかしながら、エミッションの面では、排ガス中のNOxを三元触媒で完全に除去可能なストイキ燃焼モードが有利であるなど、他の面ではストイキ燃焼モードの積算運転量を短くしすぎないほうが良い場合があり、燃焼モード切替負荷値を一義的に決定するのは困難であった。
尚、本願において積算運転量とは、夫々の燃焼モードにおいて蓄積されるエンジンへ負担に関連する量を示し、例えば積算運転時間や、そのエンジン負荷の運転時間での積分値(即ち仕事量)等を、積算運転量とすることができる。
特に、総積算運転量に対するストイキ燃焼モードでの積算運転量の割合であるストイキ燃焼運転割合が、設計時の適正値を過度に上回ることになると、高温に晒される排気バルブなどの構成部品が予測よりも早く熱損傷してしまい、エンジン寿命等が予測を下回ってしまうなどの寿命面での問題が生じる場合がある。更には、リーン燃焼モードによる高効率化が十分に発揮できなくなって全体の効率が低下するなどの効率面での問題が生じる場合がある。
混合気を燃焼室で圧縮して燃焼させて軸動力を出力するエンジンと、
エンジン負荷に応じて、前記燃焼室で燃焼する混合気の空燃比をストイキ範囲内に設定するストイキ燃焼モードと、前記燃焼室で燃焼する混合気の空燃比を前記ストイキ範囲よりも燃料が希薄なリーン範囲内に設定するリーン燃焼モードとの間で、前記エンジンの燃焼モードを切り替える制御手段とを備えたエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記エンジンの軸動力を駆動源とする圧縮機を有する圧縮式のヒートポンプ回路を備え、
前記制御手段が、予め設定されたストイキ燃焼抑制期間において、前記エンジンの燃焼モードの前記ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制するストイキ燃焼抑制処理を実行するものであり、
前記ヒートポンプ回路の熱負荷としての要求負荷の実績データを記録する記録手段を備え、
前記実績データは、過去において1日のうちでストイキ燃焼モードでの運転が他の時間帯に比べて少ない特定時間帯を含むデータであり、
前記制御手段が、前記ヒートポンプ回路の熱負荷に応じて前記エンジン負荷を要求すると共に、前記記録手段に記録された要求負荷の前記実績データに基づいて、1日のうちの特定時間帯から前記ストイキ燃焼抑制期間を設定し、
総積算運転量に対する前記ストイキ燃焼モードでの積算運転量の割合をストイキ燃焼運転割合として計測し、当該計測したストイキ燃焼運転割合が大きいほど前記ストイキ燃焼抑制期間を拡大させる形態で、前記ストイキ燃焼抑制期間を前記ストイキ燃焼運転割合に応じて補正する点にある。
すると、ストイキ燃焼抑制期間が設定されていない場合と比較して、ストイキ燃焼モードでの積算運転量の増加が抑制される。よって、総積算運転量に対するストイキ燃焼モードでの積算運転量の割合であるストイキ燃焼運転割合が適正値を過度に上回ることが防止される。
従って、本発明により、エンジン負荷に応じてストイキ燃焼モードとリーン燃焼モードとにエンジンの燃焼モードを切替自在に構成されたエンジンシステムにおいて、効率やエミッションなどの性能面や寿命面において適切な状態で燃焼モードの切り替えを行うことができる技術を提供することができる。
更に、本特徴構成によれば、要求負荷の実績データを記録手段に記録することで、その記録された実績データから、過去においてはストイキ燃焼モードでの運転の少ない期間で、ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制しても要求負荷に対する追従性があまり問題にならない期間をストイキ燃焼抑制期間とすることができる。これにより、過去の要求負荷の実績に合わせて、ストイキ燃焼運転割合が適正値を過度に上回ることを効率よく防止することができる。
更に、本特徴構成によれば、ストイキ燃焼運転割合が大きいほど、ストイキ燃焼抑制処理が実行されるストイキ燃焼抑制期間が拡大されて、長期間においてストイキ燃焼モードへの燃焼モードの切り替えが抑制されるので、ストイキ燃焼運転割合が適正値を過度に上回ることを一層防止することができる。
前記制御手段が、前記ヒートポンプ回路の熱負荷に応じて前記エンジンの目標回転速度を求め、前記目標回転速度を前記ヒートポンプ回路の熱負荷が大きいほど大きくなるように設定する点にある。
よって、ヒートポンプ回路の熱負荷に対するエンジン負荷の追従性向上による快適性と、ストイキ燃焼運転割合の過度の増加抑制による性能及び寿命向上とのバランスを、適切なものに維持することができる。
図1に示すように、エンジンシステムは、混合気Mを燃焼室2で圧縮して燃焼させて駆動力を出力するエンジン1、要求負荷に応じてエンジン1の出力を制御する制御手段としての制御装置20等を備える。
更に、本実施形態のエンジンシステムは、エンジン1にて駆動される圧縮機31を有する圧縮式のヒートポンプ回路30が設けられて、エンジン駆動式のヒートポンプシステムとして構成されており、制御装置20が、ヒートポンプ回路30の熱負荷を要求負荷として受け付け、その熱負荷に基づいてエンジン1の回転速度(出力軸7の回転速度)を制御する。
吸気路3には、混合器5を介して、天然ガス系都市ガス等の燃料ガスGを供給する燃料供給路6が接続されている。
そして、吸気路3の端部から吸気される空気Aと燃料供給路6から供給される燃料ガスGとが混合器5で混合されて、その混合気Mが吸気路3を通して燃焼室2に吸気され、燃焼室2において、その混合気Mが圧縮されると共に圧縮状態で点火プラグ(図示省略)にて点火されて燃焼・膨張することにより、出力軸7が回転されて駆動力が出力され、燃焼により発生した排ガスEが排気路4を通して排気される。つまり、このエンジン1は、通常の4サイクル式に構成されている。
更に、このエンジン1には、出力軸7にギア連結されて、エンジン1の起動時にバッテリ(図示省略)駆動により出力軸7を強制的に回転させるセルモータ8、及び、エンジン1の回転速度、即ち、エンジン1の回転速度を検出する回転速度センサ9が設けられている。
セルモータ8は、制御装置20により制御され、回転速度センサ9の検出情報は、制御装置20に入力されるように構成されている。
排気路4には、排ガスEの酸素濃度を検出する酸素濃度センサ12、排ガスEが通過自在な三元触媒13、及び、その三元触媒13を出た直後の排ガスEの温度を三元触媒13の温度として検出する触媒温度検出手段としての触媒温度センサ14が夫々設けられている。
燃料供給弁10及びスロットルバルブ11は、制御装置20により制御され、酸素濃度センサ12の検出情報、及び、触媒温度センサ14の検出情報は、夫々、制御装置20に入力されるように構成されている。
尚、酸素濃度センサ12は、排気路4において三元触媒13の上流側の箇所に設けられ、触媒温度センサ14は、排気路4において三元触媒13の下流側の箇所に設けられている。
排ガスEの酸素濃度を検出する酸素濃度センサとして、排気路4における三元触媒13の上流側に設けた酸素濃度センサ12に加えて、排気路4における三元触媒13の下流側の箇所に設けて、その酸素濃度センサの検出情報も制御装置20に入力されるように構成しても良い。又、触媒温度センサ14は、三元触媒13の内部に設けても良い。
動力伝達機構40は、エンジン1の出力軸7に固定されたエンジン側プーリ41と、圧縮機31の駆動軸に電磁クラッチ42を介して連結された圧縮機側プーリ43と、それらエンジン側プーリ41と圧縮機側プーリ43とにわたって巻回されたベルト44等を備えて構成されている。
電磁クラッチ42は、制御装置20により作動制御される。つまり、制御装置20により電磁クラッチ42のオンオフが切り替えられ、これによりエンジン1と圧縮機31との伝動連結が断続されて、エンジン1の軸動力が圧縮機31に伝達される状態と、同軸動力が圧縮機31に伝達されない状態とに切り替えられる。
即ち、室内熱交換器33において冷媒液が吸熱して蒸発する際に発生する冷熱を利用して、空調対象空間の冷房等を行うように構成される。
即ち、室内熱交換器33において冷媒蒸気が放熱して凝縮する際に発生する温熱を利用して、空調対象空間の暖房等を行うように構成される。
これに対し、制御装置20は、空調負荷に応じて目標回転速度を求めて、回転速度センサ9にて検出されるエンジン1の回転速度が目標回転速度になるように、スロットルバルブ11の開度を調整して燃焼室2への混合気Mの吸気量を調整する。このことにより、エンジン1の出力を制御する所謂スロットルバルブ出力制御を行うように構成されている。
そして、エンジン1の目標回転速度をヒートポンプ回路30の熱負荷が大きいほど大きくなるように設定し、エンジン1の回転速度がその設定した目標回転速度になるように、スロットルバルブ出力制御を実行して、スロットルバルブ11の開度を調整する。
即ち、このストイキ領域SAとリーン領域LAとの間の閾値が、ストイキ燃焼モードとリーン燃焼モードとの間で切り替えるときのエンジン負荷の閾値である燃焼モード切替負荷値L0に対応する。
そして、図2の点P1,P2のように、エンジン負荷がリーン領域LAにあるときは、酸素濃度センサ12にて検出される排ガスEの酸素濃度がリーン範囲内の空燃比に応じて設定されたリーン側目標濃度になるように燃料ガスGの供給量を調整すべく、燃料供給弁10の開度を調整して、エンジン1の燃焼モードをリーン燃焼モードに設定する。
一方、図2の点P3,P4,P5のように、エンジン負荷がストイキ領域SAにあるときは、酸素濃度センサ12にて検出される排ガスEの酸素濃度がストイキ範囲内の空燃比に応じて設定されたストイキ側目標濃度(例えば、略ゼロ)になるように燃料ガスGの供給量を調整すべく、燃料供給弁10の開度を調整して、エンジン1の燃焼モードをストイキ燃焼モードに設定する。
例えば、図2の実線矢印(点P1→点P2→点P3)に示すように、エンジン負荷が増加した場合には、そのエンジン負荷の増加の軌跡(点P2→点P3)と境界線BL2との交点に対応するエンジン負荷を、ストイキ燃焼モードとリーン燃焼モードとの間で燃焼モードを切り替えるときのエンジン負荷の閾値である燃焼モード切替負荷値L0(ストイキ燃焼モードとリーン燃焼モードとの間で切り替えるときのエンジン負荷の閾値)に設定し、エンジン1の回転速度がその燃焼モード切替負荷値L0以上となったタイミングで、燃焼モードをリーン燃焼モードからストイキ燃焼モードに切り替えることになる。
つまり、エンジン1がストイキ燃焼モードで運転されるときは、排ガスEが三元触媒13を通過すると、その排ガスE中のNOxが還元されると共に、CO及びHCが酸化されることになり、NOx、CO及びHCが同時に除去される。
一方、エンジン1がリーン燃焼モードで運転されるときは、排ガスEが三元触媒13を通過すると、主に、CO及びHCが酸化されて除去されることになり、又、排ガスEには元々NOxが殆ど含まれていないので、NOxは排出量が規定値以下に抑えられることになる。
そして、設定手段22は、このように認識した期間を、ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制すべきストイキ燃焼抑制期間として設定する。
ストイキ燃焼抑制処理は、効率やエミッションなどの性能面や寿命面において適切な状態で燃焼モードの切り替えを行うための処理であって、ヒートポンプ回路30の熱負荷に対応するエンジン負荷がストイキ領域SAにあったとしても、エンジン1の燃焼モードのストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制する処理として構成されている。
また、制御装置20は、エンジン1の燃焼モードのストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制する抑制操作を複数種有する。以下に、これら複数種の抑制操作について、図3を参照して説明する。
図3の破線に示すように、ヒートポンプ回路30の熱負荷がストイキ領域SAとリーン領域LAとの間で変動したと想定する。ここで、このヒートポンプ回路30の熱負荷の変動は、例えば1日における一般的な熱負荷の変動例を示しており、熱負荷が起動時直後において一時的にストイキ領域SAに突入し、その後の正午までの期間においてリーン領域LAで推移し、正午から夕刻までの期間においてストイキ領域SAで推移し、その後の停止時までの期間においてリーン領域LAで推移する、というものとなっている。
そして、このように変動するヒートポンプ回路30の熱負荷に対して、複数種の抑制操作でストイキ燃焼抑制処理を実行した場合のエンジン負荷の変動パターンを、図3の実線で示す。
具体的に、この第1の抑制操作では、起動時などにおいて、ヒートポンプ回路30の熱負荷が急激に増加し、その増加が一時的なものであった場合には、エンジン負荷の上昇傾向が緩慢なものに抑えられることで、エンジン負荷がストイキ領域SAに一時的に入ることが防止され、結果、エンジン1の燃焼モードがリーン燃焼モードに維持されて、ストイキ燃焼運転割合の過度の増加が良好に防止される。
具体的に、この第2の抑制操作では、ヒートポンプ回路30の熱負荷がストイキ領域SAで推移した場合において、数十分〜1時間程度の一定時間間隔で、エンジン負荷を、その熱負荷とは関係なく強制的に、リーン領域LAの上限付近に変移させて、エンジン1の燃焼モードを強制的にリーン燃焼モードに変更する。
この第2の抑制操作では、ストイキ燃焼モードへの切り替えを完全に禁止するのではないので、ヒートポンプ回路30の熱負荷に対するエンジン負荷の追従性を適度に確保しながら、ストイキ燃焼モードでの積算運転量の増加が抑制され、ストイキ燃焼運転割合の過度の増加が良好に防止される。
具体的に、この第3の抑制操作では、ストイキ燃焼モードへの切り替えを完全に禁止することで、ストイキ燃焼モードでの積算運転量の増加が一層抑制され、ストイキ燃焼運転割合の過度の増加が一層良好に防止される。
即ち、そのヒートポンプ回路30の熱負荷の実績データから、現在のエンジン負荷が今後どのように推移するかを予測し、その予測したエンジン負荷の推移に対して、熱負荷に対するエンジン負荷の追従性やストイキ燃焼運転割合などのバランスが適切なものとなる抑制操作を、上記複数種の抑制操作から選択し採用する。
例えば、エンジン負荷が一時的にストイキ領域に突入し直ぐにリーン燃焼領域に戻ると予測できる場合には、上記第1の抑制操作が採用されて実行され、エンジン負荷の増加傾向が緩和される。
また、エンジン負荷が継続的にストイキ領域に推移すると予測した場合には、上記第2乃至第3の抑制操作が採用されて実行され、エンジン1の燃焼モードのストイキ燃焼モードへの切り替えが連続的又は間欠的に禁止される。
更に、制御装置20は、ストイキ燃焼抑制処理として、第1のストイキ燃焼抑制処理と第2のストイキ燃焼抑制処理とを実行するように構成されており、夫々のストイキ燃焼抑制処理の詳細について以下に説明する。
第1のストイキ燃焼抑制処理は、予め設定されたストイキ燃焼抑制期間において、エンジン1の燃焼モードのストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制する処理として構成されている。
更に、制御装置20は、春秋の中間期、土曜日、日曜日、祝日、18時から翌朝9時の時間帯などのように、ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制してもヒートポンプ回路30の熱負荷に対する追従性があまり問題にならない期間を、ストイキ燃焼抑制期間として予め設定する。
以下、この第1のストイキ燃焼抑制処理を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
第1ストイキ燃焼抑制処理では、現時点が予め設定されたストイキ燃焼抑制期間であると判定した場合においては(ステップ#11)、ヒートポンプ回路30の熱負荷に対応するエンジン負荷が例えストイキ領域SAにあったとしても、上述したように何れかの抑制操作を選択し実行する(ステップ#12)。このことにより、エンジン1の燃焼モードのストイキ燃焼モードへの切り替えが抑制され、ストイキ燃焼運転割合が適正値を過度に上回ることが防止される。
具体的に、制御装置20は、過去の実績データを参照して、過去においてはストイキ燃焼モードでの運転があまり行われていない期間などのように、ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制してもヒートポンプ回路30の熱負荷に対する追従性があまり問題にならない期間を認識し、この認識した期間を上記ストイキ燃焼抑制期間として設定する。このようにストイキ燃焼抑制期間を設定すれば、過去の熱負荷の実績に合わせて、ストイキ燃焼運転割合が適正値を過度に上回ることが効率よく防止される。
即ち、ストイキ燃焼運転割合が比較的大きくそれ以上増加することが性能面や寿命面などにおいて好ましくないと判断できる場合には、例えば春秋の中間期、土曜日、日曜日、祝日、18時から翌朝9時の時間帯として設定されたストイキ燃焼抑制期間がその前後において拡大される。
例えば、18時から翌朝9時までの時間帯をストイキ燃焼抑制期間として設定している場合には、その期間の前後を3時間ずつ拡大して、15時から正午12時までの時間帯をストイキ燃焼抑制期間とすることができる。
次に、第2のストイキ燃焼抑制処理は、計測手段21で計測したストイキ燃焼運転割合が所定の設定割合以上の場合には、エンジンの燃焼モードの前記ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制する処理として構成されている。
以下、この第2のストイキ燃焼抑制処理を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
具体的に、第2のストイキ燃焼抑制処理では、計測手段21により計測されたストイキ燃焼運転割合が、例えばエンジン1の寿命設計時において想定していたストイキ燃焼運転割合に相当する設定割合(例えば25%程度)以上の場合には(ステップ#21)、ヒートポンプ回路30の熱負荷に対応するエンジン負荷が例えストイキ領域SAにあったとしても、上述したように何れかの抑制操作を選択し実行する(ステップ#22)。すると、ストイキ燃焼運転割合が設定割合未満の場合と比較して、ストイキ燃焼モードでの積算運転量の増加が抑制され、結果、ストイキ燃焼運転割合が適正値を過度に上回ることが防止されことになる。
切替負荷値補正処理は、効率やエミッションなどの性能面や寿命面において適切な状態で燃焼モードの切り替えを行うための処理であって、予め設定されたストイキ燃焼抑制期間における燃焼モード切替負荷値を、ストイキ燃焼抑制期間以外の期間における燃焼モード切替負荷値よりも大きくする形態で、当該燃焼モード切替負荷値を補正する処理として構成されている。
以下、この切替負荷値補正処理を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
そして、上記ステップ#31にて現時点がストイキ燃焼抑制期間であると判定された場合には、現在の燃焼モード切替負荷値L0に所定の設定調整幅aを加えて新たな燃焼モード切替負荷値L0とする形態で、燃焼モード切替負荷値L0が増加される(ステップ#33)。このことで、リーン燃焼モードでの運転が積極的に行われることになってストイキ燃焼運転割合Rsの更なる増加が抑制されることになり、寿命や効率の向上が重視された状態となる。
尚、この上限値L0maxは、リーン燃焼モードで運転可能なエンジン負荷の最大値として設定されており、例えば、リーン燃焼モードにおいて、スロットルバルブ11を全開状態としたときのエンジン負荷として決定することができる。
尚、この下限値L0minは、ストイキ燃焼モードで運転可能なエンジン負荷の最小値として設定されており、例えば、ストイキ燃焼モードにおいて、スロットルバルブ11の開度を最小にしたときのエンジン負荷として決定することができる。
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
エンジン負荷に応じて、前記燃焼室で燃焼する混合気の空燃比をストイキ範囲内に設定するストイキ燃焼モードと、前記燃焼室で燃焼する混合気の空燃比を前記ストイキ範囲よりも燃料が希薄なリーン範囲内に設定するリーン燃焼モードとの間で、前記エンジンの燃焼モードを切り替える制御手段とを備えたエンジンシステムとして好適に利用可能である。
2 :燃焼室
7 :出力軸
13 :三元触媒
20 :制御装置(制御手段)
23 :記録手段
30 :ヒートポンプ回路
31 :圧縮機
42 :電磁クラッチ
E :排ガス
L0 :燃焼モード切替負荷値
Rs :ストイキ燃焼運転割合
SA :ストイキ領域
LA :リーン領域
Claims (2)
- 混合気を燃焼室で圧縮して燃焼させて軸動力を出力するエンジンと、
エンジン負荷に応じて、前記燃焼室で燃焼する混合気の空燃比をストイキ範囲内に設定するストイキ燃焼モードと、前記燃焼室で燃焼する混合気の空燃比を前記ストイキ範囲よりも燃料が希薄なリーン範囲内に設定するリーン燃焼モードとの間で、前記エンジンの燃焼モードを切り替える制御手段とを備えたエンジンシステムであって、
前記エンジンの軸動力を駆動源とする圧縮機を有する圧縮式のヒートポンプ回路を備え、
前記制御手段が、予め設定されたストイキ燃焼抑制期間において、前記エンジンの燃焼モードの前記ストイキ燃焼モードへの切り替えを抑制するストイキ燃焼抑制処理を実行するものであり、
前記ヒートポンプ回路の熱負荷としての要求負荷の実績データを記録する記録手段を備え、
前記実績データは、過去において1日のうちでストイキ燃焼モードでの運転が他の時間帯に比べて少ない特定時間帯を含むデータであり、
前記制御手段が、前記ヒートポンプ回路の熱負荷に応じて前記エンジン負荷を要求すると共に、前記記録手段に記録された要求負荷の前記実績データに基づいて、1日のうちの特定時間帯から前記ストイキ燃焼抑制期間を設定し、
総積算運転量に対する前記ストイキ燃焼モードでの積算運転量の割合をストイキ燃焼運転割合として計測し、当該計測したストイキ燃焼運転割合が大きいほど前記ストイキ燃焼抑制期間を拡大させる形態で、前記ストイキ燃焼抑制期間を前記ストイキ燃焼運転割合に応じて補正するエンジンシステム。 - 前記制御手段が、前記ヒートポンプ回路の熱負荷に応じて前記エンジンの目標回転速度を求め、前記目標回転速度を前記ヒートポンプ回路の熱負荷が大きいほど大きくなるように設定する請求項1に記載のエンジンシステム。
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