JP2011007192A - エンジンの排熱回収装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排熱回収回路4に、排ガス熱交換器19と排熱回収熱交換器13との間に上流端を有すると共に排熱回収熱交換器13の下流側に下流端を有する状態で排熱回収熱交換器13をバイパスするバイパス路30を備え、排熱回収回路4を通流する排熱回収媒体Aの流量を、排熱回収熱交換器13とバイパス路30との何れか一方又は両方に分配して導く流量分配手段31を備える。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載の装置では、排ガス熱交換器に導入されるエンジン冷却水の温度を、熱交換されるエンジンの排ガスの露点よりも低温になるようにすることで、排ガスの潜熱を回収し、排熱回収効率を高めている。
このように、エンジン冷却部に導入されるエンジン冷却水が低温化すると、燃焼室からクランクケース内に混入する燃焼ガス中の水分が凝縮しやすくなる。凝縮した水分がエンジンオイルと混合し攪拌されると、エンジンオイルが乳化しマヨネーズ状のスラッジとなり、潤滑性能が著しく劣化し、エンジンの耐久性に問題が生じる。また、エンジンの燃焼室内とエンジン冷却部の間の温度勾配が高くなり、材料への熱応力が大きくなり、耐久性に問題が生じる。また、エンジン冷却水をエンジンのオイルクーラに導入させた後、排ガス熱交換器に導入するものでは、オイルクーラに導入されるエンジン冷却水が低温になるので、オイル温度が低下することからオイルの粘度が高まり、潤滑性能の悪化、エンジンの効率の低下につながる。
前記エンジンを冷却させるエンジン冷却部と排熱回収熱交換器との間でエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路を備え、前記排熱回収回路には、前記排熱回収媒体の通流方向の上流側から順に、前記エンジンの排ガスと前記排熱回収媒体とを熱交換させる排ガス熱交換器、前記エンジン冷却部を通過したエンジン冷却水と前記排ガス熱交換器を通過した排熱回収媒体とを熱交換させる前記排熱回収熱交換器が備えられ、前記排ガス熱交換器に導入させる排熱回収媒体の温度が前記エンジンの排ガスの露点以下に設定され、
前記排熱回収回路に、前記排ガス熱交換器と前記排熱回収熱交換器との間に上流端を有すると共に前記排熱回収熱交換器の下流側に下流端を有する状態で前記排熱回収熱交換器をバイパスするバイパス路を備え、
前記排熱回収回路を通流する前記排熱回収媒体の流量を、前記排熱回収熱交換器と前記バイパス路との何れか一方又は両方に分配して導く流量分配手段が備えられている点にある。
そして、エンジン冷却水は、エンジン冷却回路を循環しているときで、その温度が排熱回収熱交換器に導入される排熱回収媒体の温度よりも高い場合に、排熱回収熱交換器にて熱を排熱回収媒体に供給すると共にエンジン冷却部にてエンジンの排熱を回収する形態で、エンジンを冷却している。
ここで、エンジンが低温で暖機運転を行うときで、エンジンの暖機時間を短縮したい場合、エンジン冷却水が、エンジン冷却部からエンジン排熱を回収することを抑制する必要がある。一方、排熱回収効率の低下を抑制するためには、当該暖機運転時においても、排ガスの排熱を、適切に回収することが望まれる。
上記特徴構成によれば、エンジンが低温で暖機運転が行われ、エンジンの暖機時間を短縮させたい場合には、流量分配手段が、排熱回収回路を通流する排熱回収媒体のうち、排熱回収熱交換器へ分配して導かれる排熱回収媒体の流量を減少させることで、排熱回収熱交換器にて回収されるエンジン冷却水の熱量を、排熱回収媒体の流量の減少量だけ低減できる。これにより、排熱回収熱交換器にて回収が抑制されたエンジン冷却水の熱量分が、エンジンの暖機に用いられることとなり、エンジンの暖機を優先させて、その暖機時間を短縮することができる。
更に、上述の如く、流量分配手段が、排熱回収媒体の流量を、排熱回収熱交換器の側とバイパス路の側とで分配しても、排ガス熱交換器を通流する排熱回収媒体の流量は変化しないので、排ガスの排熱は、排ガス熱交換器にて排熱回収媒体により適切に回収することができる。
以上より、エンジンの暖機運転時において、その暖機時間を短縮させながらも、排ガスの排熱を適切に回収して、排熱回収効率の低下を抑制できるエンジンの排熱回収装置を実現できる。
前記排熱回収回路には、前記排熱回収媒体を貯留可能な貯湯タンクを備え、当該貯湯タンクは、貯留している前記排熱回収媒体を熱負荷へ供給可能に構成されている点にある。
前記流量分配手段は、三方弁であり、
前記三方弁は、前記排熱回収回路を通流する前記排熱回収媒体の通流状態を、前記排熱回収熱交換器へ導入させる第1通流状態と、前記排熱回収媒体を前記バイパス路に通流させる第2通流状態とに切り替え可能に構成されている点にある。
これにより、例えば、エンジンが低温で暖機運転状態であるときで、エンジンの暖機を優先させて、エンジンの暖機時間を短縮したい場合、排熱回収回路を通流する排熱回収媒体がバイパス路を通流する第2通流状態となるように、三方弁の開閉状態を切り替えて、排熱回収熱交換器によるエンジン冷却水の熱量が回収されない状態とする。これにより、エンジン冷却水の熱量が、排熱回収熱交換器にて、回収されることを防止できる。この結果、排熱回収熱交換器にて回収が防止されたエンジン冷却水の熱量分が、エンジンの暖機に用いられることとなり、エンジンの暖機を優先して、その暖機時間を短縮できる。
一方、このように、排熱回収回路を通流する排熱回収媒体の通流状態を、バイパス路を通流する第2通流状態にした場合であっても、排ガス熱交換器に導入される排熱回収媒体の流量は変動しないので、排ガスの排熱は排ガス熱交換器にて排熱回収媒体により適切に回収して、排熱回収効率の低下を抑制できる。
尚、エンジンが暖機運転状態以外の定常運転状態等であるときは、エンジンの排熱を適切に回収すべく、排熱回収回路を通流する排熱回収媒体が、排熱回収熱交換器を通流する第1通流状態となるように、三方弁の開閉状態を切り替えて、排熱回収熱交換器にてエンジン冷却水の排熱を排熱回収媒体により適切に回収できる。
エンジンオイルの温度、前記エンジン冷却回路の前記エンジン冷却部と前記排熱回収熱交換器との間の前記エンジン冷却水の温度、及び前記排ガス熱交換器にて前記排ガスと熱交換した後の前記排熱回収媒体の温度のうち、少なくとも1つを測定する温度測定手段と、前記温度測定手段の測定温度に基づいて、前記エンジンの運転状態を判定する運転状態判定手段と、
前記運転状態判定手段が前記エンジンの運転状態が暖機運転状態であると判定したときに、前記排熱回収媒体の通流状態を前記第2通流状態とするように、前記三方弁の開閉状態を切り替える切替制御手段とを備えた点にある。
即ち、上記特徴構成によれば、運転状態判定手段は、上記エンジンオイルの温度、上記エンジン冷却水の温度、及び上記排熱回収媒体の温度を測定する温度測定手段の測定温度に基づいて、エンジンの運転状態が暖機運転状態であるか否かを判定できる。そして、運転状態判定手段が、エンジンの運転状態が暖機運転状態であると判定したときに、切替制御手段が、三方弁の開閉状態を制御して、排熱回収媒体の通流状態を第2通流状態に切り替える。これにより、排熱回収回路を通流する排熱回収媒体の通流状態を、エンジンの運転状態に伴わせた状態で適切に切り替えることができ、特に、エンジンが暖機運転状態であるときには、排熱回収回路を通流する排熱回収媒体をバイパス路に通流する第2通流状態として、エンジンの暖機を優先させ、暖機時間を短縮させることができる。
前記三方弁が、前記排熱回収媒体の温度を感知して開閉状態を切り替える感温式の三方弁を備え、前記感温式の三方弁は、前記排ガス熱交換器にて前記排ガスと熱交換した後の前記排熱回収媒体の温度が、所定値より高い場合に前記第1通流状態とし、所定値以下の場合に前記第2通流状態とする点にある。
このコージェネレーションシステムは、図1に示すように、エンジン1にて駆動されて電力負荷3に供給する電力を発生させる発電装置2と、エンジン1の排熱を回収する排熱回収媒体Aを通流させる排熱回収回路4とを備え、排熱回収回路4の排熱回収媒体Aにて回収した熱を熱負荷5に供給自在に構成されている。
例えば、ストイキ燃焼を行うエンジン1から排気される排ガスCの温度が500〜600℃となっており、その500〜600℃の排ガスCが排ガス熱交換器19に導入される。一方、貯湯タンク17に所望温度の排熱回収媒体Aがほとんど貯湯されていないときには、貯湯タンク17の底部から取り出した排熱回収媒体Aの温度が排ガスCの露点以下の20℃程度になっており、その20℃程度の排熱回収媒体Aが排ガス熱交換器19に導入される。そして、排ガス熱交換器19では排ガスCの潜熱をも回収されて、排ガス熱交換器19を通過した排ガスCの温度は25℃程度まで低下する。一方、排ガス熱交換器19を通過した排熱回収媒体Aの温度は60℃程度まで上昇され、その60℃程度の排熱回収媒体Aが排熱回収熱交換器13に導入される。エンジン冷却部12を通過したエンジン冷却水Bは80℃程度まで上昇されており、その80℃程度のエンジン冷却水Bが排熱回収熱交換器13に導入される。排熱回収熱交換器13を通過した排熱回収媒体Aの温度は75℃程度まで上昇され、その75℃程度の排熱回収媒体Aが貯湯タンク17の上部に供給されて貯湯される。一方、排熱回収熱交換器13を通過したエンジン冷却水Bの温度は78℃程度まで低下され、その78℃程度のエンジン冷却水Bがエンジン冷却部12に導入される。
エンジン冷却部12に導入されるエンジン冷却水Bの温度については、エンジン冷却回路14におけるエンジン冷却水Bの循環量を調整することにより、排熱回収熱交換器13を通過したエンジン冷却水Bの温度を調整することで調整することができる。そして、制御装置11は、エンジン冷却部12に導入されるエンジン冷却水Bの温度がエンジン1の耐久性や性能に悪影響を与えない温度範囲(例えば、65℃〜85℃の温度範囲)となるように、エンジン冷却水循環ポンプ16の回転速度を制御してエンジン冷却回路14におけるエンジン冷却水Bの循環量を調整している。
より詳細には、三方弁31は、その開閉状態を切り替えることにより、制御装置11からの制御信号によりその開閉状態を制御可能な電磁式のものから成り、排熱回収回路4を循環する排熱回収媒体Aの通流状態を、排熱回収熱交換器13へ導入させる第1通流状態(図2で点線で示す状態)と、バイパス路30に通流させる第2通流状態(図2で二点鎖線で示す状態)とを、切り替え可能に構成されている。
エンジン冷却回路14には、エンジン冷却部12と排熱回収熱交換器13との間のエンジン冷却水Bの温度を測定する温度センサ32(温度測定手段)が設けられており、当該温度センサ32の測定温度は、エンジン1の運転状態に伴って変動する。具体的には、エンジン1の運転状態が暖機運転状態である場合、比較的低い温度(例えば、65℃以下の温度)となり、暖機運転状態以外の定常運転状態等である場合、比較的高い温度(例えば、65℃より高い温度)程度となる。
当該温度センサ32の測定温度に基づいて、制御装置11は、エンジン1の運転状態を判定する運転状態判定手段として機能する。具体的には、制御装置11は、エンジン1が起動している状態において、温度センサ32により測定されたエンジン冷却水Bの測定温度と暖機運転判定閾値(例えば、65℃)とを比較し、エンジン冷却水Bの測定温度が暖機運転判定閾値以下の温度である場合、エンジン1が暖機運転状態であると判定し、エンジン冷却水Bの測定温度が暖機運転判定閾値よりも高い温度である場合、エンジン1が暖機運転状態以外の定常運転状態等であると判定する。
制御装置11は、温度センサ32により測定されたエンジン冷却水Bの測定温度が暖機運転判定閾値(例えば、65℃)以下の温度である場合、エンジン1が暖機運転状態であると判定し、排熱回収回路4を通流する排熱回収媒体Aの通流状態を、バイパス路30を通流する第2通流状態(図2にて二点鎖線で示す状態)となるように、三方弁31の開閉状態を切り替える。これにより、排熱回収媒体Aは、排熱回収熱交換器13に通流していない状態となる。結果、エンジン冷却回路14にて、エンジン冷却部12と排熱回収熱交換器13との間を循環するエンジン冷却水Bの熱量が、排熱回収熱交換器13にて回収されることを防止できる。これにより、エンジン冷却水Bが排熱回収熱交換器13にて回収が防止された熱量分をエンジン1の暖機に用いる状態で、エンジン1の排熱の量を抑制でき、エンジン1の暖機を優先させて、その暖機時間を短縮できる。
尚、このように、制御装置11が、排熱回収回路4を通流する排熱回収媒体Aの通流状態を、バイパス路30を通流する第2通流状態(図2にて二点鎖線で示す状態)にするように、三方弁31の開閉状態を制御する場合であっても、排ガス熱交換器19に導入される排熱回収媒体Aの流量は変動しないので、排ガスCの排熱は、排ガス熱交換器19にて排熱回収媒体Aにより適切に回収され、排熱回収効率の低下を抑制できる。
このように、制御装置11は、エンジン1の運転状態が暖機運転状態である場合に、排熱回収回路4を通流する排熱回収媒体Aの通流状態を、バイパス路30を通流する第2通流状態(図2にて二点鎖線で示す状態)に切り替える切替制御手段として機能する。
(1)上記実施形態において、エンジン冷却回路14に、エンジン冷却水Bの通流方向でエンジン冷却部12よりも上流側にエンジン1のオイルクーラを設け、エンジン冷却水Bをオイルクーラに導入させたのち、オイルクーラを通過したエンジン冷却水Bをエンジン冷却部12に導入させることもできる。
また、排熱回収回路4に備えた排熱回収媒体循環ポンプ18の作動により排熱回収媒体Aを通流させているが、例えば、給水路20における上水の水圧を利用して排熱回収媒体Aを通流させることもできる。
しかしながら、制御装置11は、エンジン1の暖機状態に伴って変動する温度であれば、エンジン冷却水B以外の温度に基づいて、三方弁31の開閉状態を制御しても、本発明の機能を良好に発揮する。例えば、エンジン1のエンジンオイルの温度等に基づいて、三方弁31の開閉状態を制御することができる。
2 発電装置
3 電力負荷
4 排熱回収回路
10 電気ヒータ
12 エンジン冷却部
13 排熱回収熱交換器
14 エンジン冷却回路
19 排ガス熱交換器
30 バイパス路
31 三方弁(切替手段の一例)
32 温度センサ(温度測定手段の一例)
A 排熱回収媒体
B エンジン冷却水
C 排ガス
Claims (6)
- エンジンの排熱を回収する排熱回収媒体を通流させる排熱回収回路を備えたエンジンの排熱回収装置において、
前記エンジンを冷却させるエンジン冷却部と排熱回収熱交換器との間でエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路を備え、前記排熱回収回路には、前記排熱回収媒体の通流方向の上流側から順に、前記エンジンの排ガスと前記排熱回収媒体とを熱交換させる排ガス熱交換器、前記エンジン冷却部を通過したエンジン冷却水と前記排ガス熱交換器を通過した排熱回収媒体とを熱交換させる前記排熱回収熱交換器が備えられ、前記排ガス熱交換器に導入させる排熱回収媒体の温度が前記エンジンの排ガスの露点以下に設定され、
前記排熱回収回路に、前記排ガス熱交換器と前記排熱回収熱交換器との間に上流端を有すると共に前記排熱回収熱交換器の下流側に下流端を有する状態で前記排熱回収熱交換器をバイパスするバイパス路を備え、
前記排熱回収回路を通流する前記排熱回収媒体の流量を、前記排熱回収熱交換器と前記バイパス路との何れか一方又は両方に分配して導く流量分配手段が備えられているエンジンの排熱回収装置。 - 前記排熱回収回路には、前記排熱回収媒体を貯留可能な貯湯タンクを備え、当該貯湯タンクは、貯留している前記排熱回収媒体を熱負荷へ供給可能に構成されている請求項1に記載のエンジンの排熱回収装置。
- 前記エンジンは、燃焼室で燃焼する混合気の空気過剰率がストイキ範囲内に設定され、前記排ガス熱交換器に三元触媒が配置されている又は前記エンジンの排ガスの通流方向において前記排ガス熱交換器よりも上流側に三元触媒が配置されている請求項1又は2に記載のエンジンの排熱回収装置。
- 前記流量分配手段は、三方弁であり、
前記三方弁は、前記排熱回収回路を通流する前記排熱回収媒体の通流状態を、前記排熱回収熱交換器へ導入させる第1通流状態と、前記排熱回収媒体を前記バイパス路に通流させる第2通流状態とに切り替え可能に構成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載のエンジンの排熱回収装置。 - エンジンオイルの温度、前記エンジン冷却回路の前記エンジン冷却部と前記排熱回収熱交換器との間の前記エンジン冷却水の温度、及び前記排ガス熱交換器にて前記排ガスと熱交換した後の前記排熱回収媒体の温度のうち、少なくとも1つを測定する温度測定手段と、前記温度測定手段の測定温度に基づいて、前記エンジンの運転状態を判定する運転状態判定手段と、
前記運転状態判定手段が前記エンジンの運転状態が暖機運転状態であると判定したときに、前記排熱回収媒体の通流状態を前記第2通流状態とするように、前記三方弁の開閉状態を切り替える切替制御手段とを備えた請求項4に記載のエンジンの排熱回収装置。 - 前記三方弁が、前記排熱回収媒体の温度を感知して開閉状態を切り替える感温式の三方弁を備え、前記感温式の三方弁は、前記排ガス熱交換器にて前記排ガスと熱交換した後の前記排熱回収媒体の温度が、所定値より高い場合に前記第1通流状態とし、所定値以下の場合に前記第2通流状態とする請求項4に記載のエンジンの排熱回収装置。
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