JP2008239441A - ガラス光学素子の製造方法及びガラス光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形法によるガラス光学素子の調製において、プレス成形後に冷却して得られた成形体内部に残留する応力を除去するためのアニール時間の短縮が可能な方法を提供する。
【解決手段】所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却することを含むガラス光学素子の製造方法。冷却後の成形体を再加熱する工程、および次いで、所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有し、かつ、該応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μm の範囲の赤外線を放射する。または、冷却開始後の成形体を所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有し、かつ、該応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μmの範囲の赤外線を放射する。
【選択図】図1

Description

本発明は精密モールドプレスによってガラス光学素子等のガラス光学素子を製造する方法に関する。特に、プレス成形後の成形体をアニールすることによって、(1)内部応力を短時間で緩和する方法、および(2)成形体の屈折率を短時間で調整する方法に関する。
例えば特許文献1(特開昭63-319218号公報)には、光学素子の製造装置における加熱装置において、加熱炉と徐冷炉を併有した小型の加熱装置が開示されている。これによると、成形素材を加圧成形するにあたり、加圧されるべき面の表面付近のみを転移点以上の温度に加熱し、この面に対して加圧すべき型の温度を、前記温度以上として加圧成形する方法が記載されている。
特許文献2(特公平7-119066号公報)には、熱可塑性樹脂成形品を加熱処理して残留応力を低減する方法において、該樹脂を有効な周波数を有する遠赤外線で加熱するに際して、熱風加熱あるいは保温を併用する方法が記載されている。
特開昭63-319218号公報 特公平7-119066号公報
プレス成形法を用いて調製したガラス光学素子は、プレス成形後に冷却して得られた成形体内部に応力が残留することがある。残留応力があると、残留応力によって生じる複屈折のために、研磨成形法により作製されたガラス光学素子と比べて素子内の単位長さあたりの光路長が均一でなくなる。その結果、顕微鏡などの精密光学系に使用できないという問題がある。また、残留応力が極めて大きい場合には、光学素子の変形・割れといった問題も生じる。
プレス成形法を用いて調製したガラス光学素子の内部応力を低減するために、ガラス光学素子をアニール工程に付すことができる。すなわち、成形体を所定温度に再加熱し、所定の冷却速度で冷却する工程によって内部応力を低減できる。アニール方式としては、例えば、熱源にニッケルクロム線等の抵抗発熱体を用いた伝熱加熱炉によるアニールを採用することができる。
この場合、発熱体からの伝熱によって加熱された炉内の気体が、炉内の光学素子に熱を伝える。該方式のアニールにおいては、炉内外の温度の出入りを遮断することによって、炉内温度の空間分布および時間分布を均一にしやすいというメリットがある。しかし、炉内の雰囲気を介した伝熱であるために、昇温/降温に時間がかかるというデメリットがある。
後者は、赤外線の放射によって光学素子を直接加熱する方式のため、昇温/降温の速度が伝熱加熱方式よりも速く、理論上は昇温/降温の時間を前者の方式より短縮できるメリットがある。他方、加熱を続けると光学素子が過熱されてしまうため、温度の制御が困難であるというデメリットがある。
プレス成形法により作製された光学素子の光学歪の原因となる内部応力は、プレス工程および、その後のアニール工程で成形体内部に生じる温度分布に起因している。ガラスは、金属やプラスチックと比較してヤング率が高く、また熱伝導率が低いことから、材料内の温度分布によって生じる残留応力が、金属やプラスチックの10倍から20倍程度大きい。このため、ガラスのアニールにおいては、金属材料やプラスチック材料よりも高い均熱性が要求され、従って、材料中の温度分布が生じないような昇温/降温が望まれる。従って、ガラス光学素子の内部応力を充分に緩和するためには、均熱時間を充分に確保したアニールが望ましい。
ところが、成形体内部の温度分布を小さするためには、アニールにおける加熱・均熱・徐冷の各工程で、成形体内部の均熱時間を長くすることが望ましいが、均熱時間を長くすると光学素子の生産効率が悪化する傾向は大きくなる。逆に、アニールにおける成形体内部の均熱時間を短くすると、成形体内の温度分布が大きくなり、その結果、成形体内部の応力の増加によって成形体の光学面に歪が生じる。最悪の場合、アニール中に光学素子が内部応力に耐え切れず割れたり、あるいは、徐冷後の芯取り加工などの研削工程や研磨工程で生じる光学素子表面のクラックを起点としてガラスが割れるなどして、成形歩留まりの低下により生産効率が悪化する。
つまり、成形体内部の残留応力による光学面の変形量とアニール時間はトレードオフの関係にある。そのため、歪による成形歩留まりの低下とアニール時間の長期化によるスループットの低下を同時に抑制して、光学素子の生産効率を高めることはこれまで不可能であると考えられていた。
特に、成形体の体積が増加するほど、光学素子の歪を完全に除去するために必要なアニール時間は数週間〜数ヶ月と長期化することから、例えば光学素子径12mmを超える中・大口径の光学素子の生産においては、生産効率の低下が更に深刻であった。
例えば、上述した既存のアニール技術で光学素子のアニールを行った場合、成形体内部の均熱速度は成形体の熱容量と、光学素子周りの雰囲気あるいは光学素子表面の昇温/降温の速度のみによって決定される。そのため、成形体の歪を除去するために必要なアニール時間は、硝材によらず、ほぼ24時間〜72時間、より精密な歪除去には100時間〜1000時間単位のアニールを行う必要があった。すなわち、当該技術では、アニール時間短縮と歪の除去を同時に行うことは不可能である。
上記特許文献1によると、加熱炉と徐冷炉を併有した小型の加熱装置には、炉体の内部に発熱体が設けられ、成形素材の加熱の際には発熱体によって加熱し、成形体の徐冷の際には発熱体と搬送部材の間に設けられた冷却部材によって発熱体からの熱を遮蔽して徐冷する。
特許文献1の第一実施例においては赤外線ヒータを用いているが、成形後の成形体の徐冷に際しては、加熱部材と冷却部材を併用して得られた炉内の熱分布によって徐冷を行っている。該実施例ではプレス後の光学素子を順次、炉内の熱分布によって徐冷しているので、充分な徐冷をするためには、生産ラインが長大化し、生産効率が悪化するという問題があった。
上記特許文献2には、ポリカーボネート樹脂等の樹脂成形品に耐候性、耐擦傷性の塗装を形成する際、塗装の割れや疲労を防止する目的で、アニール処理を行い、その際に短時間で、塵や埃を発生させないために、周波数1011〜1014Hzの遠赤外線加熱を行うことが記載されている。しかしながら、ここでは樹脂への塗装形成のためのアニールが、塗装の割れや疲労を防止する効果がある点に言及するのみである。特許文献2は、本発明における光学ガラスの精密モールドプレスとの関連性は全く無ない。
そこで本発明の目的は、プレス成形法によるガラス光学素子の調製において、プレス成形後に冷却して得られた成形体内部に残留する応力を除去するためのアニール時間の短縮が可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、プレスされた光学素子の残留応力は、光学素子の加熱工程および冷却工程において、光学素子中心部から光学素子表面に向かう温度差が原因となって生じており、この温度分布の効率的な減少が、成形体内部の残留応力低減とアニール時間の短縮に寄与すること、さらに温度分布の効率的な減少が放射波長2〜5μmの範囲の赤外線の放射を行うことで可能なことを見出して、本発明を完成させた。
本発明は以下の通りである。
[1]所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却することを含むガラス光学素子の製造方法において、前記冷却後の成形体を再加熱する工程、および次いで、所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有し、かつ、該応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μm の範囲の赤外線を放射することを特徴とする、前記製造方法。
[2]所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却することを含むガラス光学素子の製造方法において、前記冷却開始後の成形体を所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有し、かつ、該応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μmの範囲の赤外線を放射することを特徴とする、前記製造方法。
[3]前記ガラス素材は、酸化物光学ガラスまたはリン酸塩光学ガラスであることを特徴とする、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記赤外線の放射は、連続的にまたは断続的に行う[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記内部応力の緩和により、前記成形体の中心軸部分の屈折率が0.0002以上増大することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記内部応力の緩和により、ガラスの厚さ1cmあたりに生じる光路差が150nm以下に減少することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記応力緩和工程は、複数の成形体について同時に行うことを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記ガラス素材は、水素および/または水を含有するものであることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]前記ガラス素材は、波長2μm〜5μmに吸収係数0.1以上の吸収帯を持つことを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]前記応力緩和工程における所定速度での降温は、前記成形体の温度がガラスの歪点以上屈伏点以下に相当する温度で開始し、1〜106℃/hの冷却速度にて行うことを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法により製造されたガラス光学素子。
本発明の方法によれば、光学歪を充分に低下させ、所望の屈折率を有する光学素子を、効率的に、即ち、従来よりも短いアニール時間で得られる。
本発明は、所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却することを含むガラス光学素子の製造方法に関する。本発明の製造方法は、(1)前記冷却後の成形体を再加熱し、次いで、所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有する(第一の態様)か、または(2)前記冷却開始後の成形体を所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有する(第二の態様)。そして前記応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μmの範囲の赤外線の放射を行うことを特徴とする。
本発明のガラス光学素子の製造方法における、所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却する方法、および条件は、特に制限はなく、従来の方法をそのまま用いることができる。但し、第二の態様においては、成形体の冷却には、本発明の内部応力緩和工程が含まれる。
加熱により軟化したガラス素材のプレス成形は、例えば以下のような方法で行うことができる。プレス成形にあたっては、成形型(上型、下型、及び胴型を含む)とガラス素材をプレスに適した温度域に昇温する。
プレス成形に用いる成形型としては、充分な耐熱性、剛性を有し、緻密な材料を精密加工したものを用いることができる。例えば、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、酸化アルミニウムや炭化チタン、ステンレス等金属、あるいはこれらの表面に炭素、耐熱金属、貴金属合金、炭化物、窒化物、硼化物などの離型膜を被覆したものを挙げることができる。
成形面を被覆する離型膜としては、炭素を含有するものが好ましい。該炭素含有膜としては、非晶質及び/又は結晶質の、グラファイト及び/又はダイヤモンドの、単一成分層又は混合層から構成されているものを用いることが好ましい。この炭素膜は、スパッタリング法、プラズマCVD法、CVD法、イオンプレーティング法等の手段で成膜することができる。
プレス成形は、例えば、ガラス素材と成形型が、ガラス素材の粘度が105〜1010dPa・sになる温度域にあるときを行うことが好ましい。ガラス素材を成形型に導入し、ガラス素材と成形型をともに上記温度範囲に昇温してもよく、又はガラス素材と成形型をそれぞれ上記温度範囲に昇温してから、ガラス素材を成形型内に配置してもよい。更に、ガラス素材を105〜109dPa・s粘度相当、成形型をガラス粘度で109〜1012dPa・s相当の温度にそれぞれ予め加熱しておき、ガラス素材を成形型に供給して直ちにプレス成形する工程を採用してもよい。この場合、成形型の温度変化量を比較的少なくすることができるため、成形装置の昇温/降温サイクルタイムを短縮できるとともに、成形型の熱による劣化を抑制できる効果がある。いずれの場合も、プレス成形開始時、又は開始後に冷却を開始し、適切な荷重スケジュールを適用しつつ、成形面とガラス素子の密着を維持しながら、降温する。この後、離型して成形体を取り出す。離型温度は、1012.5〜1013.5dPa・s相当で行うことが好ましい。
本発明の製造方法は、所定の温度域にある成形体を所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程(内部応力緩和工程)を有する。ここで、所定の温度域とは、内部応力緩和工程を開始するときのガラス素材の好ましい温度範囲であって、具体的には、ガラスの歪点(約1014.5dPa・s)から屈伏点(約1010.5dPa・s)の範囲であり、好ましくはガラス歪点+20℃からガラス転移点(Tg:約1013.3)、さらに好ましくは、ガラス歪点+40℃からガラス転移点−10℃の範囲である。また、降温する速度は、1℃/h〜106℃/hが好ましく、103〜106℃/hがより好ましい。
この内部応力緩和工程において、後述のように、成形体に放射波長2〜5μmの範囲の赤外線の放射を行う。
内部応力緩和工程は、プレス成形した成形体を歪点未満に冷却した後、成形型から成形体を取り出し、上記所定の温度域に達するまで再加熱してから行ってもよく(第一の態様)、あるいは、プレス成形した成形体を上記所定の温度域に達するまで冷却し、成形型から成形体を取り出すことなく行ってもよい(第二の態様)。
なお、冷却後の成形体を成形型から取り出して、内部応力緩和工程を行う場合、複数個の成形体をまとめて同時に再加熱および均熱化した後、該工程に付すことが生産効率上非常に有利である。
内部応力緩和工程の前に成形体を再加熱して均熱化を行う場合、均熱温度をガラス転移点前後の温度、即ちガラスの熱膨張率が急激に変化する温度の前後で行うことにより、その後に行う内部応力緩和工程によってガラス内部の歪が少なくなくなることから有効である。
内部応力緩和工程において赤外線の放射が行われ、その波長域は、2〜5μmとする。好ましくは、放射波長域は2.5〜4.0μmの範囲、より好ましくは2.7〜4.0μmである。このような波長領域の赤外線を成形体に放射することで、内部応力緩和をより短時間に行うことが可能になる。なお、放射波長が2μm未満では、可視光を透過する通常の酸化物光学ガラスにおいては、強い吸収帯が存在しないことが多く、よって高い加熱効率が得られないおそれがある。一方、放射波長が5μmを超えると、吸収光のエネルギー自体が小さくなり、ガラス成形体を加熱するにあたり高い熱効率が得られないおそれがある。
本発明においては、成形体を降温する過程で放射波長2〜5μmの範囲の赤外線を成形体に放射して、電磁誘導による分子振動に伴って成形体内部の応力を緩和させることから、成形体を形成するためのガラス素材は、波長2〜5μmに吸収係数0.1以上の吸収帯を持つものであることが、赤外線の放射を有効に利用できるという観点から、好ましい。特に、成形体を形成するためのガラス素材は、波長2〜5μmに吸収係数0.2以上の吸収帯を持つものであることが特に好ましい。吸収係数の上限は、赤外線を表面だけで吸収してしまわないことが好ましいことから、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、いっそう好ましくは1以下である。
ここで、吸収係数とは、光が媒質に入射したとき、その媒質がどれくらいの光を吸収するかを表した定数であって、媒質に入射する前の入射光強度をI0、媒質中を距離L(cm)だけ移動したときの光の強度をI、媒質の濃度をc(mol/l)、lnを自然対数としたとき、
ln(I/I0)=−α・L・c
の関係(Lambert-Beerの法則)が成り立ち、当該数式のαが吸収係数(1/cm・mol)である。
本発明の製造方法は、前記ガラス素材が、酸化物光学ガラスまたはリン酸塩光学ガラスである場合に特に有効である。特に、ガラス素材が、水素および/または水を含有するものであるときに、発明の効果が特に顕著に得られる。これは、酸化物ガラス内の各成分と酸素との結合あるいは酸素と水素の結合(水酸基)による赤外吸収により、ガラスが吸収係数0.1以上の吸収帯を持つようになるからである。
酸化物光学ガラスの多くはガラス中の各種結合に由来する強い吸収帯を有しており、また波長2.0μmから3.5μmにかけてはガラス中の水酸基あるいは水分子に起因する弱い吸収を有している。このため、これらの光学ガラスは上記2〜5μmの範囲の放射光の内、3.5μm以上の波長の放射光を効率よく吸収すると共に、2.0μmから3.5μmの波長を持つエネルギー密度の高い放射光も吸収することができる。
酸化物光学ガラスとしては、例えば、SiO2を網目形成主成分とするシリカ系ガラス、B23を網目形成主成分とするホウ酸系ガラス、P25を網目形成主成分と燐酸系ガラス等の光学ガラスを例示できる。但し、酸化物光学ガラスは、これらの光学ガラスに限定される意図ではない。
また、リン酸塩光学ガラスは、3.8〜5.0μm付近に網目構造に起因する、吸収係数0.2〜1.5程度の比較的弱い吸収帯を持ち、ガラスの内部にも加熱光を到達させて加熱することが比較的容易であるため、本発明の用途に好適である。
リン酸塩光学ガラスとしては、例えば、P25−Al23系ガラス、P25−B23系ガラス、P25−Nb25系ガラス、P25−Bi23系ガラス等の光学ガラスを例示できる。但し、リン酸塩光学ガラスは、これらの光学ガラスに限定される意図ではない。
本発明の応力緩和工程においては、前記成形体を、ガラスの歪点以上屈伏点未満に相当する温度まで再加熱し、その後、1〜106℃/hの冷却速度にて降温するか(第一の態様)、またはプレス成形後の冷却途中の成形体をガラスの歪点以上屈伏点未満に相当する温度に達するまで冷却し、その後、1〜106℃/hの冷却速度にて降温する(第二の態様)ことが好ましい。より好ましくは、歪点+20℃〜転移点に再加熱または冷却し、降温速度は、103〜105℃/hである。前記応力緩和工程においては、前記赤外線の放射とともに、雰囲気気体を介した対流伝熱による加熱を併用することが好ましい。これは、ガラスを加熱および冷却する複数の加熱手段の組み合わせにより、ガラスの温度の均質化と、冷却速度の制御の容易化を図るためである。冷却するガラスに対し、十分に大きな熱容量あるいは冷却機能を備え、かつ所定の温度を有する冷却用固体等を接触させることも考えられるが、現実には冷却装置の大きさの制約から、上記の加熱および冷却の手段を併用することが現実的である。
更に、2〜5μmの範囲の赤外線の放射は、連続的に行っても、あるいは、断続的に行っても良い。断続的に行う場合、一定間隔で、放射のON(オン)およびOFF(オフ)を繰り返すことができる。赤外線放射の周期は、ガラス内部の温度分布が均一化される時間の1倍〜4倍であることが好ましく、1.5倍から3倍であることがより好ましく、2倍であることが一層好ましい。また、ガラス内部の温度分布が均一化される時間は、おおよそ均熱するガラスの厚みの二乗に比例し、ガラスの熱拡散率に反比例する。例えば、厚み4mm、熱拡散係数0.004cm2/secのガラス板を表面から冷却しつつ均熱化する場合の均熱時間はおよそ1秒から24秒、好ましくは2秒から12秒、より好ましくは3秒から6秒、一層好ましくは5秒であるので、その他の厚み、その他の熱拡散係数を持つガラスの均熱時間は、上に示すような均熱時間とガラスの厚みおよびガラスの熱拡散率との関係から類推することができる。実際のオンとオフの周期は、1〜96秒((1倍〜4倍)×(1秒〜24秒))の間隔でオンとオフを繰り返すことができ、最も好ましくは2倍×5秒=10秒間隔でオンとオフを繰り返す。
その際、ガラスの現在の温度をT1とし、そのガラスの表面を上記の周期の半分の時間τ1/2で冷却した際、ガラスにクラックが入らない最低温度をTcとし、時間τ1/2の赤外線放射によって上記の周期(T1-Tc)/2の温度上昇が可能であるように放射のエネルギーを調節することができる。このようにすることで、温度T1から温度(T1-Tc)/2への冷却を時間τ1/2で行い、かつガラス内の温度分布をほぼ0℃近くに調整することができる。このときのガラス内の温度差は3℃以下、より好ましくは2℃以下、更に好ましくは1.5℃以下、一層好ましくは1℃以下、よりいっそう好ましくは0.5℃以下となる。
次に、ガラスが温度(T1-Tc)/2=T2に到達した後、T2から(T2-Tc)/2への冷却を同様の手順で行うことができる。
例えばT1=600℃、Tc=400℃、厚み8mm、熱拡散係数0.004cm2/secのガラスに上記の冷却を行い、均熱時間を20秒とした場合、ガラスの温度は、冷却開始から20秒で500℃、40秒で450℃、60秒で425℃へ到達する。このときのガラス内部の温度差は1℃以下となる。このときのガラス内のひずみσは、
σ=αE/(1-ν)・2/3・ΔT
で表され、光弾性定数Cとしたときの厚み1cmに換算した光学歪は30nm/cm以下、好ましくは10nm/cm以下、より好ましくは5nm/cm以下となり、歪のない高品質な光学ガラスを得られる。
比較として、上記のガラスを1℃/秒の一定速度で冷却した場合、表面温度が600℃から425℃に到達するのは175秒後であり、かつ、そのときのガラス内の温度差は15℃〜25℃程度となる。このときのガラス内の歪から換算した光学歪は120〜200nm/cmとなる。光学歪は光学素子の複屈折の原因となることから、無いほうが良い特性である。したがって比較例のガラスは、本発明の方法で得たガラスに光学特性面で劣る。
また、例えばT1=600℃、Tc=400℃、厚み4mm、熱拡散係数0.004cm2/secのガラスに上記の冷却を行い、均熱時間を5秒とした場合、ガラスの温度は、冷却開始から5秒で500℃、10秒で450℃、20秒で425℃へ到達する。比較として、上記のガラスを1℃/秒で冷却すると、600℃から425℃に到達するのは175秒後であり、かつ425℃におけるガラス内の温度差は5℃〜6℃以上となる。このため、上記のアニール方法を用いることによって、アニール時間を短縮することも可能である。
なお、本発明において、赤外線ヒータを用いることで成形体に赤外線を放射することができる。赤外線ヒータの一例として、カーボンヒータが挙げられる。
3.5μm以上の波長の赤外線は、主に成形体の最表面で吸収されるが、2.0μmから3.5μmの波長の放射光は、より光学素子の内部にまで透過できるため、成形体を上記波長域の赤外線で加熱することによって、成形体表面に高温、内部に向かってより低温側に傾斜のついた温度分布を付与することが可能になり、成形体内の温度分布をより均一にすることができる。その結果、成形体の内部応力をより短時間で緩和することができる。
赤外線の放射の際、成形体の周囲の雰囲気の温度が成形体より低温であれば、成形体表面の温度は周囲の気体に伝熱され、冷却される。2〜5μmの範囲の赤外線の放射による短時間の加熱と、外部気体への伝熱による冷却の速度を制御することによって、成形体内部の温度分布の周波数が増大し、その結果、成形体全体の均熱に要する時間を短縮することができると推察される。但し、これはあくまでも推察であって、本発明者らは、時間短縮の理論に拘泥するものではない。
比較として、抵抗発熱体を用いたアニール方法を用いる場合、発熱体をONまたはOFFにしても、成形体が加熱され始めるに要する時間、あるいは成形体の加熱が完全に停止する時間が数分〜数十分と長い。そのため、成形体の直径や厚みに相当する数mm〜数cm単位の温度分布を成形体内に生じさせることは不可能である。
上記応力緩和工程を経ることで得られる成形体は、成形体の中心軸部分の屈折率(例えば、nd)が、応力緩和工程を経ることなく得られる成形体に比べて、0.00020以上増大したものであることが好ましい。屈折率の増大は、プレス成形後の急冷により低くなっていたガラス内部の密度が上がったことに起因しており、本発明の方法は、ガラス光学素子の屈折率調整手段としても有意義なものとなる。上記応力緩和工程を経ることで得られる成形体は、成形体の中心軸部分の屈折率が、応力緩和工程を経ることなく得られる成形体に比べて、より好ましくは、0.00050以上増大するように、応力緩和工程の条件を設定することである。
上記応力緩和の工程により、ガラス成形体内部の歪が減少し、光学歪の良化として現われる。歪の減少は、複屈折の数値で評価できる。例えば、得られた成形体について、ガラスの厚さ1cmあたりに生じる光路差を測定することで評価でき、上記応力緩和工程によって行路差が150nm以下に減少することが好ましい。より好ましくは上記応力緩和工程によって行路差が100nm以下、更に好ましくは30nm以下、一層好ましくは10nm以下に減少することである。
本発明の方法では、応力緩和工程において、2〜5μmの範囲の赤外線の放射を併用することで、以下の3つの効果が得られる。
(1)光学素子を冷却する際の温度分布が減少することによって、残留応力による光学素子の面形状の変化が抑制される。
その理由は以下のとおりである。ガラス転移温度Tg以上に加熱されたガラスを冷却する際、ガラスの粘度が低いほど、ガラスの応力緩和が速やかに行われるため、ガラス中に温度差があっても応力は発生しない。更にガラスを冷却すると、ガラスの構造が凍結され、弾性挙動を示すようになるが、ガラス内の温度分布が保たれている限り、応力は発生しない。ところが、ガラス中の温度分布が完全になくなったとき、ガラスは既に弾性体である(流動性は無い)ため、応力の緩和が速やかに行われない。従って、ガラスを冷却する際のガラス内の温度分布の大きさに比例して、ガラス中の残留応力が増加する。
結果として、光学素子を冷却する際の温度分布を減少させるほど光学歪が小さくなり、かつ所望の屈折率を有するガラス光学素子を生産効率よく安定に得られることになる。このため、本発明の方法によれば、徐冷工程による光学素子の形状変化を防ぐための不十分なアニールによる屈折率低下分を、光学素子に歪を生じることなく回復できる。
(2)通常の均熱アニールにおける成形体内の温度分布と同等の温度分布を、より速い昇温/降温時間で得られる。従って、通常のアニール設備で数週間〜数ヶ月を要するアニール時間を、短縮することも可能である。
(3)光学素子のアニールを充分に行うことで得られる屈折率増加を短時間で行うことができるため、アニールによる光学素子の屈折率調整幅が拡大する。但し、上記の屈折率低下の補償あるいは屈折率調整は、光学素子を構成するガラス材料成分の調整によって、材料自体の屈折率をあらかじめ変化させることによっても行える。
本発明の技術は、ガラス材料成分の調整を行うことなく、熱処理工程だけで光学素子の屈折率を回復させられるという点で、上記のような、高度に最適化されたガラス材料に対して特に効果が大きい。高度に最適化されたガラス材料とは、これまでに作製された光学ガラス群のなかで、より高屈折率に属するガラスであり、その中でも、nd=1.55〜1.9、νd=70〜30、その中でもνd≧224−nd×100の低分散領域にあるガラスにおいて、本発明の効果が大きい。これは、これらすべてのガラスにおいて、分散値と熱的安定性を変えずに屈折率だけを高める手段がなく、屈折率だけを高めるためには必ず低分散性の悪化ないし熱的安定性の低下を伴うからである。
高度に最適化されたガラス材料の例としては、高屈折率・低分散ガラスの1種であり、同等の分散値を有するガラスのうち最も屈折率の高いガラスである。このようなガラスは熱的安定性が著しく低く、単位屈折率増加あたりの液相温度の上昇量(あるいは熱的安定性の低下量)が比較的高いガラスであり、例えば、屈折率を0.01高めると、液相温度が20℃以上上昇する(もしくは失透する)ようなガラスである。
以下、本発明を実施例によりさら詳細に説明する。
[実施例1](第一の態様)
凸形状の成形面を有する上型および凹形状の成形面を有する下型を含む成形型を用いて、略球形状に予備成形した硝材A(B2O3等のガラス形成成分=55%、アルカリ成分やアルカリ土類成分等のガラス修飾成分=20%、La2O3などの高屈折率成分=25mol%、Tg=600℃)をガラス素材として、外径11mm、厚さ4mmの凹メニスカス形状の成形体を成形した。
図1は、実施例1のガラス光学素子の製造方法におけるガラス素材もしくは成形体の温度履歴を表した図である。
まず、ガラス素材をプレス温度(700℃)まで加熱して、成形型により軟化したガラス素材を所定の荷重で押圧し、成形面形状をガラス素材に転写した。プレス開始後、ガラス素材に荷重を加えつつ成形型およびガラス素材を−30℃〜−60℃/分の冷却速度で徐冷し、Tg以下の590℃に達したところでプレス圧力を開放した。その後、さらに冷却して、歪点を充分に下回ったところで、成形型から成形体を取り出した。かかるプレス成形工程を複数回繰り返して成形体を所定数量保管し、複数の成形体を保持具に配置してアニール炉内に移した。このアニール炉は、最大照射エネルギー波長が2.5μm のカーボンヒータと抵抗発熱体を共に備えている。
アニール炉において、抵抗加熱により炉内の均熱化を行うとともに、成形体内部の温度差を抑えながら、昇温速度10℃/minで570℃まで昇温(再加熱)した後、1時間保持して均熱した。
その後、アニール炉を降温速度30℃/時で歪点−30℃まで降温する際、断続的にカーボンヒータに通電し、厚み4mm、熱拡散係数0.004cm2/secのガラス成形体に対し、成形体表面に上記カーボンヒータからの赤外光を10秒周期でon/offを繰り返しながら断続的に輻射しながら降温した。(応力緩和工程)
成形体全体の温度が歪点を十分に下回ったら、冷却速度を50℃/分に高め、炉温が室温付近まで冷却(急冷)された後、成形体(光学素子)を取り出した。
本実施例で使用した抵抗発熱体のみを用いて、同じ温度スケジュールで昇温、降温した伝熱方式によるアニール炉でアニールした光学素子の屈折率ndが1.72521であったのに対して、上記実施例1により取り出した光学素子の屈折率ndは、伝熱方式を用いたアニール炉でアニールした光学素子の屈折率ndと比較して+0.00053だけ上昇した。また、取り出した光学素子は、残留歪による光学面の変形もなく、白濁等のない良好な表面を有していた。複屈折の量については1cmあたり100nm以下となり、良好な光学特性を有していた。
[実施例2](第二の態様)
図2は、本発明にかかるガラス光学素子の製造方法の実施例2におけるガラス素材もしくは成形体の温度履歴を表した図である。
実施例1と同様の硝材Aを使用して、実施例1同じ形状の成形体を同様の条件でプレス成形し、Tg−20℃(580℃)まで成形体を冷却した。
その後、成形体を成形型ごとカーボンヒータと抵抗発熱体を共に備えた徐冷域に移動させ、この徐冷域において降温速度30℃/時で歪点−30℃まで降温した。
この冷却の際、カーボンヒータに断続的に通電して、赤外光を成形体に断続的に放射し、輻射熱を与えながら行った。(応力緩和工程)
成形体全体の温度が歪点を十分に下回ったら、冷却速度を50℃/分に高め、炉温が室温付近まで冷却されたのち、成形体(光学素子)を取り出した。
取り出した光学素子のndは、従来の伝熱方式のアニール炉でアニールした光学素子の屈折率ndと比較して+0.00050だけ上昇した。また、取り出した光学素子は、残留歪による光学面の変形もなく、白濁等のない良好な表面を有していた。複屈折の量については1cmあたり100nm以下となり、良好な光学特性を有していた。
[実施例3](第三の態様)
凸形状の成形面を有する上型および凹形状の成形面を有する下型を含む成形型を用いて、略球形状に予備成形した硝材B(P2O5等のガラス形成成分=30%、アルカリ成分やアルカリ土類成分等のガラス修飾成分=40%、Nb2O5等の高屈折率成分=30mol%、Tg=450℃)をガラス素材として、外径8mm、厚さ2mmの凸メニスカス形状の成形体を成形した。
図1は、実施例1のガラス光学素子の製造方法におけるガラス素材もしくは成形体の温度履歴を表した図である。
まず、ガラス素材をプレス温度(550℃)まで加熱して、成形型により軟化したガラス素材を所定の荷重で押圧し、成形面形状をガラス素材に転写した。プレス開始後、ガラス素材に荷重を加えつつ成形型およびガラス素材を−30℃〜−60℃/分の冷却速度で徐冷し、Tg以下の440℃に達したところでプレス圧力を開放した。その後、さらに冷却して、歪点を充分に下回ったところで、成形型から成形体を取り出した。かかるプレス成形工程を複数回繰り返して成形体を所定数量保管し、複数の成形体を保持具に配置してアニール炉内に移した。このアニール炉は、最大照射エネルギー波長が2.5μmのカーボンヒータと抵抗発熱体を共に備えている。
アニール炉において、抵抗加熱により炉内の均熱化を行うとともに、成形体内部の温度差を抑えながら、昇温速度10℃/minで420℃まで昇温(再加熱)した後、1時間保持して均熱した。
その後、アニール炉を降温速度30℃/時で歪点−30℃まで降温する際、断続的にカーボンヒータに通電し、厚み2mm、熱拡散係数0.0035cm2/secのガラス成形体に対し、成形体表面に上記カーボンヒータの赤外光を2.9秒周期でon/offを繰り返しながら断続的に輻射しながら降温した。(応力緩和工程)
成形体全体の温度が歪点を十分に下回ったら、冷却速度を50℃/分に高め、炉温が室温付近まで冷却(急冷)された後、成形体(光学素子)を取り出した。
本実施例で使用した抵抗発熱体のみを用いて、同じ温度スケジュールで昇温、降温した伝熱方式によるアニール炉でアニールした光学素子の屈折率ndが1.81977であったのに対して、上記実施例1により取り出した光学素子の屈折率ndは、伝熱方式を用いたアニール炉でアニールした光学素子の屈折率ndと比較して+0.00056だけ上昇した。また、取り出した光学素子は、残留歪による光学面の変形もなく、白濁等のない良好な表面を有していた。複屈折の量については1cmあたり100nm以下となり、良好な光学特性を有していた。
本発明は、ガラス素材をプレス成形してガラス光学素子を製造する分野に有用である。
本発明にかかる第1実施例におけるガラス素材もしくは成形体の温度履歴を表した図である。 本発明にかかる第2実施例におけるガラス素材もしくは成形体の温度履歴を表した図である。

Claims (11)

  1. 所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却することを含むガラス光学素子の製造方法において、前記冷却後の成形体を再加熱する工程、および次いで、所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有し、かつ、該応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μm の範囲の赤外線を放射することを特徴とする、前記製造方法。
  2. 所定形状に予備成形したガラス素材を加熱により軟化し、成形型を用いてプレス成形した後に成形体を冷却することを含むガラス光学素子の製造方法において、前記冷却開始後の成形体を所定の速度で降温することにより成形体の内部応力を緩和する工程を有し、かつ、該応力緩和工程においては、成形体に放射波長2〜5μmの範囲の赤外線を放射することを特徴とする、前記製造方法。
  3. 前記ガラス素材は、酸化物光学ガラスまたはリン酸塩光学ガラスであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記赤外線の放射は、連続的にまたは断続的に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記内部応力の緩和により、前記成形体の中心軸部分の屈折率が0.0002以上増大することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記内部応力の緩和により、ガラスの厚さ1cmあたりに生じる光路差が150nm以下に減少することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記応力緩和工程は、複数の成形体について同時に行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記ガラス素材は、水素および/または水を含有するものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記ガラス素材は、波長2μm〜5μmに吸収係数0.1以上の吸収帯を持つことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記応力緩和工程における所定速度での降温は、前記成形体の温度がガラスの歪点以上屈伏点以下に相当する温度で開始し、1〜106℃/hの冷却速度にて行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたガラス光学素子。
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