JP2014043355A - ガラスプリフォームの製造方法及びガラスプリフォームの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形時に失透が生じにくいガラスプリフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】成形工程では、ガラス融液からなるガラス塊20と成形型11との間に気体を供給し、ガラス塊20を、成形型11から浮上させて保持した状態で冷却することによりガラスプリフォーム21を成形する。ガラス塊20に熱量を付与しながら成形工程を行う。
【選択図】図3
【解決手段】成形工程では、ガラス融液からなるガラス塊20と成形型11との間に気体を供給し、ガラス塊20を、成形型11から浮上させて保持した状態で冷却することによりガラスプリフォーム21を成形する。ガラス塊20に熱量を付与しながら成形工程を行う。
【選択図】図3
Description
本発明は、ガラスプリフォームの製造方法及びガラスプリフォームの製造装置に関する。
従来、ガラスレンズなどのガラス光学素子の製造方法として、ガラスプリフォームをヒートプレス成形する方法が知られている。例えば特許文献1には、ガラスプリフォームの製造方法として、成形型の成形面上に形成したガスクッション上にガラス融液を保持しつつガラスプリフォーム(ガラスゴブ)を成形する方法が記載されている。この方法によれば、ガラス融液を成形型に接触させることなく成形できるため、シワ、傷、汚れ、脈理等の欠陥の少ないガラスプリフォームを製造し得る。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法によりガラスプリフォームを製造した場合、成形時に失透が生じやすく、ガラスプリフォーム中に結晶物が生じやすいという問題がある。
本発明の主な目的は、成形時に失透が生じにくいガラスプリフォームの製造方法を提供することにある。
本発明に係るガラスプリフォームの製造方法は、成形工程を備える。成形工程では、ガラス融液からなるガラス塊と成形型との間に気体を供給し、ガラス塊を、成形型から浮上させて保持した状態で冷却することによりガラスプリフォームを成形する。ガラス塊に熱量を付与しながら成形工程を行う。
ガラス塊に熱線を照射するか、ガラス塊に輻射熱を付与しながら成形工程を行ってもよい。
成形型に熱量を付与することにより、ガラス塊に間接的に熱量を付与してもよい。
本発明に係るガラスプリフォームの製造装置は、成形型と、気体供給機構と、熱量付与機構とを備える。気体供給機構は、成形型の上に供給された、ガラス融液からなるガラス塊と成形型との間に気体を供給する。熱量付与機構は、ガラス塊に熱量を付与する。
熱量付与機構は、ガラス塊に熱線を照射する機構及びガラス塊に輻射熱を付与する機構のうちの少なくとも一方であってもよい。
熱量付与機構は、成形型に熱量を付与するものであってもよい。
本発明によれば、成形時に失透が生じにくいガラスプリフォームの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
(第1の実施形態)
図1〜図4は、本実施形態におけるガラスプリフォームの製造方法を説明するための略図的断面図である。
図1〜図4は、本実施形態におけるガラスプリフォームの製造方法を説明するための略図的断面図である。
本実施形態では、図1〜図4に示す製造装置1を用いて、ガラスプリフォームを製造する。製造装置1は、ガラスプリフォームを成形するための成形型11を有する。本実施形態において、成形型11は、多孔質体により構成されている。成形型11の構成材料は特に限定されない。成形型11は、例えば、炭化ケイ素、炭素材料、金属等により構成することができる。
成形型11の上方には、成形型11の成形面11aの上に、ガラス融液を供給するガラス融液供給機構14を備える。ガラス融液供給機構14は、ガラス溶融炉に接続されたノズル14aを有する。このノズル14aから成形面11aの上にガラス融液22が供給される。
成形型11は、支持管10により支持されている。支持管10には、成形型11に臨む貫通孔10aが形成されている。貫通孔10aには、気体供給機構12に接続されている。気体供給機構12は、貫通孔10aに、空気や、窒素などの不活性ガスを供給する。上述のように成形型11は、多孔質体により構成されているため、貫通孔10aに供給された気体は、成形型11を通過し、成形型11の成形面11aから噴出する。なお、成形面11aは、ガラスプリフォームの成形に供する面であるが、ガラスプリフォームや、ガラスプリフォームを構成するためのガラス塊と接触しない面であってもよい。
成形型11の周囲には、熱量付与機構13が配されている。熱量付与機構13は、成形面11aの上方に位置するガラス塊20(図3を参照)に熱量を付与する機構である。本実施形態において、熱量付与機構13は、ガラス塊20に輻射熱を付与する機構である。熱量付与機構13は、詳細には、ガラス塊20に直接輻射熱を付与すると共に、成形型11に熱量を付与し、それにより、ガラス塊20に間接的に熱量を付与する。熱量付与機構13は、例えば、抵抗発熱体により構成することができる。
次に、製造装置1を用いたガラスプリフォーム21(図4を参照)を製造する方法について詳細に説明する。
まず、図1〜図3に示されるように、気体供給機構12を駆動させ、成形面11aから気体を噴出させた状態で、ノズル14aから、製造しようとするガラスプリフォーム21の重量に応じた重量のガラス融液22を成形面11aの上に供給する。具体的には、図1及び図2に示されるように、成形型11を緩やかに下降させながら成形型11の上にガラス融液22を溜めていく。そして、成形面11aの上に溜まったガラス融液22が所定の重量に達したときに、図3に示されるように、成形型11を急速に降下させる。これにより、所定量のガラス融液22を分離し、ガラス融液からなるガラス塊20を成形型11の成形面11aの上に配置する。なお、ノズル14aから流出するガラス融液を切断することによってガラス塊20を作製してもよい。
ここで、上述のように、成形型11の成形面11aから気体が噴出している。このため、ガラス塊20と成形面11aとの間に気体が供給される。よって、ガラス塊20と成形面11aとの接触が抑制されており、ガラス塊20は、成形面11aから浮上した状態で保持される。この状態で、ガラス塊20を冷却することにより、成形面11aにほとんど接触させることなくガラスプリフォーム21を成形する(成形工程)。
ところで、失透は、ガラス塊の成形時において、ガラス塊中に結晶核が生成した後、当該結晶核が成長することにより生じる現象である。例えば、ガラス塊の成形時にガラス塊の温度が単調に減少した場合は、ガラス塊の温度が、結晶核が生成する温度域を通過しない、あるいは、結晶核が生成する温度域を通過したとしても、その後、結晶が成長する温度域を通過しない。よって、結晶が生じにくく、失透しにくい。
一方、ガラス塊の温度が低下して結晶核が生成する温度域を通過した後に、温度上昇して結晶核が成長する温度域を通過した場合には、結晶が生じやすく、失透しやすい。
ここで、ガラス塊の冷却工程において、ガラス塊の表層部と中央部とでは冷却速度に差が生じる。具体的には、図5に示されるように、表層部の冷却速度が中央部の冷却速度よりも高くなる。ガラス塊の表層部と中央部との間に位置する中間部は、まず、表層部の冷却に伴って冷却され、中間部の温度は、中央部の温度よりも低くなる。その後、中央部から中間部に熱量が付与され、中間部の温度が再び上昇する。このリバウンド現象が発生することにより、中間部は、結晶核が生成する温度域を通過した後に、結晶核が成長する温度域を通過することとなる。従って、中間部において失透が生じやすい。
ここで、本実施形態では、熱量付与機構13によりガラス塊20に熱量を付与しながら成形工程を行う。このため、ガラス塊20の表層部の温度と、中央部との温度との差を小さくすることができる。このため、ガラス塊20の中間部においてリバウンド現象が発生しにくくなる。すなわち、中間部の温度が、結晶核が生成する温度域にまで低下した後に、結晶核が成長する温度域まで再び加熱されることを抑制することができる。よって、失透が生じにくく、均質なガラスプリフォーム21を製造することができる。
従って、熱量付与機構13により、ガラス塊20の表層部の冷却速度を低下させる程度の熱量を付与すればよく、熱量付与機構13によって表層部の温度が上昇するほどの熱量が付与される必要は必ずしもない。なお、ガラス塊へ付与する熱量が大きすぎると、ガラス塊の冷却速度が遅くなりすぎて失透したり、成形面11aにガラス塊が付着したりする場合がある。ガラス塊の表面温度は、サーモグラフィーにより測定することができる。
本実施形態の製造方法は、液相温度における粘度である液相粘度が低い、失透しやすいガラスからなるガラスプリフォーム21の製造に特に好適に適用される。具体的には、本実施形態の製造方法は、液相粘度が、200dPa・s以下のガラス、さらには、150dPa・s以下のガラスからなるガラスプリフォーム21の製造に特に好適である。このような液相粘度が低いガラスとしては、屈折率(nd)が1.65よりも大きなガラスが例示される。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、抵抗発熱体等からなる熱量付与機構13を用いて輻射熱を付与することによりガラス塊20を加熱する例について説明した。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、図6に示されるように、熱量付与機構13を、例えば赤外線ランプやレーザー光源などの熱線を照射する機構により構成し、ガラス塊20に熱線を照射することにより熱量を付与してもよい。もちろん、輻射熱を付与する機構と熱線を照射する機構とにより熱量付与機構13を構成し、ガラス塊20に輻射熱を付与すると共に、熱線を照射してもよい。
第1の実施形態では、抵抗発熱体等からなる熱量付与機構13を用いて輻射熱を付与することによりガラス塊20を加熱する例について説明した。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、図6に示されるように、熱量付与機構13を、例えば赤外線ランプやレーザー光源などの熱線を照射する機構により構成し、ガラス塊20に熱線を照射することにより熱量を付与してもよい。もちろん、輻射熱を付与する機構と熱線を照射する機構とにより熱量付与機構13を構成し、ガラス塊20に輻射熱を付与すると共に、熱線を照射してもよい。
熱線の種類は特に限定されず、例えば、波長が約780nm以上である近赤外線、波長が約2000nm以上である中間赤外線、波長が約4000nm〜約1mmである遠赤外線等が挙げられる。
また、熱量付与機構13は、ガラス塊20に熱量を直接付与する機構、成形型11を介してガラス塊20に熱量を間接的に付与する機構、ガラス塊20に熱量を直接付与すると共に、成形型11を介してガラス塊20に熱量を間接的に付与する機構であってもよい。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、成形型11を多孔質体により構成することにより、貫通孔10aから供給される気体を成形面11aから噴出させる例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図7に示されるように、成形型11を貫通する貫通孔11bを設け、貫通孔11bを経由して成形面11aから気体を噴出させてもよい。この場合は、成形型11が多孔質体からなる必要は必ずしもない。
第1の実施形態では、成形型11を多孔質体により構成することにより、貫通孔10aから供給される気体を成形面11aから噴出させる例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図7に示されるように、成形型11を貫通する貫通孔11bを設け、貫通孔11bを経由して成形面11aから気体を噴出させてもよい。この場合は、成形型11が多孔質体からなる必要は必ずしもない。
(実施例1)
ガラス組成として、SiO2 3.2質量%、B2O3を17質量%、ZnOを13.4質量%、WO3を1.2質量%、TiO2を1.5質量%、La2O3を33.3質量%、Gd2O3を11.5質量%、Ta2O5を14質量%、Nb2O5を0.6質量%、ZrO2を4質量%、Li2Oを0.3質量%、Sb2O3を0.05質量%となるように原料を調製し、1200℃で4時間溶融した。
ガラス組成として、SiO2 3.2質量%、B2O3を17質量%、ZnOを13.4質量%、WO3を1.2質量%、TiO2を1.5質量%、La2O3を33.3質量%、Gd2O3を11.5質量%、Ta2O5を14質量%、Nb2O5を0.6質量%、ZrO2を4質量%、Li2Oを0.3質量%、Sb2O3を0.05質量%となるように原料を調製し、1200℃で4時間溶融した。
図1に描画された製造装置1を使用して、溶融ガラスをガラス塊(質量4g)として成形型上に供給し、成形を行った。具体的には、多孔質体の成形型下方より空気を供給することにより、成形型表面から空気を噴出させ、ガラス塊を浮上させながら成形を行った。この際、ガラス塊の供給直後の20秒間、金属ヒーターでガラス塊近傍が500℃になるよう保持を行った。その後、室温にて放冷することによりガラスプリフォームを得た。
ガラスプリフォーム表面の任意の10箇所につき観察したところ、いずれの箇所にも表面失透は確認されなかった。また、欠けやヒケ等の欠陥も確認されなかった。
なお、得られたガラスプリフォームの物性は、ガラス転移点590℃、軟化点691℃、液相温度1020℃、熱膨張係数75×10−7/℃、屈折率nd1.852、アッベ数νd40.1であった。
(実施例2)
実施例1と同組成の溶融ガラスをガラス塊として成形型上に供給し、成形型下方から供給される空気によりガラス塊を浮上させながら成形を行った。この際、供給直後の1秒後から20秒後まで、図6に示すようにハロゲンランプをガラス表面に照射した。その後、室温にて放冷することによりガラスプリフォームを得た。
実施例1と同組成の溶融ガラスをガラス塊として成形型上に供給し、成形型下方から供給される空気によりガラス塊を浮上させながら成形を行った。この際、供給直後の1秒後から20秒後まで、図6に示すようにハロゲンランプをガラス表面に照射した。その後、室温にて放冷することによりガラスプリフォームを得た。
ガラスプリフォーム表面の任意の10箇所につき観察したところ、いずれの箇所にも表面失透は確認されなかった。また、欠けやヒケ等の欠陥も確認されなかった。
(比較例1)
実施例1と同組成の溶融ガラスをガラス塊として成形型上に供給し、成形型下方から供給される空気によりガラス塊を浮上させながら成形を行った。その後、室温にて放冷することによりプリフォームガラスを得た。
実施例1と同組成の溶融ガラスをガラス塊として成形型上に供給し、成形型下方から供給される空気によりガラス塊を浮上させながら成形を行った。その後、室温にて放冷することによりプリフォームガラスを得た。
ガラスプリフォーム表面の任意の10箇所につき観察したところ、6/10の割合で失透が確認された。また、全ての箇所でヒケが確認され、2/10の割合で欠けが確認された。
1…製造装置
10…支持管
10a…貫通孔
11…成形型
11a…成形面
11b…貫通孔
12…気体供給機構
13…熱量付与機構
14…ガラス融液供給機構
14a…ノズル
20…ガラス塊
21…ガラスプリフォーム
22…ガラス融液
10…支持管
10a…貫通孔
11…成形型
11a…成形面
11b…貫通孔
12…気体供給機構
13…熱量付与機構
14…ガラス融液供給機構
14a…ノズル
20…ガラス塊
21…ガラスプリフォーム
22…ガラス融液
Claims (6)
- ガラス融液からなるガラス塊と成形型との間に気体を供給し、前記ガラス塊を、前記成形型から浮上させて保持した状態で冷却することによりガラスプリフォームを成形する成形工程を備え、
前記ガラス塊に熱量を付与しながら前記成形工程を行う、ガラスプリフォームの製造方法。 - 前記ガラス塊に熱線を照射するか、前記ガラス塊に輻射熱を付与しながら前記成形工程を行う、請求項1に記載のガラスプリフォームの製造方法。
- 前記成形型に熱量を付与することにより、前記ガラス塊に間接的に熱量を付与する、請求項1または2に記載のガラスプリフォームの製造方法。
- 成形型と、
前記成形型の上に供給された、ガラス融液からなるガラス塊と前記成形型との間に気体を供給する気体供給機構と、
前記ガラス塊に熱量を付与する熱量付与機構と、
を備える、ガラスプリフォームの製造装置。 - 前記熱量付与機構は、前記ガラス塊に熱線を照射する機構及び前記ガラス塊に輻射熱を付与する機構のうちの少なくとも一方である、請求項4に記載のガラスプリフォームの製造装置。
- 前記熱量付与機構は、前記成形型に熱量を付与する、請求項4または5に記載のガラスプリフォームの製造装置。
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