JPH09221328A - 光学素子の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

光学素子の製造方法及びその製造装置

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JPH09221328A
JPH09221328A JP2662896A JP2662896A JPH09221328A JP H09221328 A JPH09221328 A JP H09221328A JP 2662896 A JP2662896 A JP 2662896A JP 2662896 A JP2662896 A JP 2662896A JP H09221328 A JPH09221328 A JP H09221328A
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昌之 冨田
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勇 執行
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裕之 久保
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    • C03B7/00Distributors for the molten glass; Means for taking-off charges of molten glass; Producing the gob, e.g. controlling the gob shape, weight or delivery tact
    • C03B7/14Transferring molten glass or gobs to glass blowing or pressing machines

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス流出パイプからの溶融ガラスを凹こみ
なく受型に受けるガラス成形方法及び装置を提案する。 【解決手段】 溶融ガラスを受型に受ける際に、受型の
多孔質の孔からの流体の噴出量、圧力を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温軟化状態のガ
ラス塊を成形用素材とし、この成形用素材を一対の成形
型でプレス成形し、光学素子を製造する方法及び製造装
置に関する。
【0002】特に、この成形用素材となるガラス塊を、
光学ガラスの溶融るつぼの流出パイプから流出する溶融
ガラス流から得る方法に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、高温軟化状態のガラス塊を成形用
素材とし、この成形用素材を一対の成形型でプレス成形
し、成形光学素子を得る技術が、特に、非球面レンズを
安いコストで製造する方法として、脚光を浴び、その開
発が進んでいる。特に、最近では、成形用素材となるガ
ラス塊の製造コストを低減するための開発が進んでい
る。
【0004】このようなガラス塊を製造する方法とし
て、溶融ガラス塊を成形する型として多孔質材料からな
る型を用い、その多孔質性を利用し、これらの背部から
高圧のガスを送り、これらの成形型と溶融ガラスとの間
に薄いガス層を形成することにより、これらの成形型と
溶融ガラスが直接接触しないようにし、ガラスの融着を
防止できることは、古くから知られており、例えば、特
公昭48-22977号に開示されている。
【0005】前記公知例において、多孔質の受け型から
高温のガスを噴出している。これは、高温のガスにより
溶融ガラス塊を浮上保持することにより、ガラス塊の温
度低下を防止しするためである。すなわち、室温のガス
によりガラス塊を浮上保持した場合、ガラス塊、特に、
その表面部は急冷されてしまうので、それを防止するた
めである。このようにして、ガラス塊の温度低下を防止
した場合、次工程である、光学素子成型工程において、
ガラス塊の再加熱無し、もしくは、僅かな再加熱で、こ
のガラス塊をプレス成形し光学素子を得ることができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例に開示されている、光学素子の製造方法には、以下
に示すような欠点があった。
【0007】その欠点とは、受け型に受けて得られたガ
ラス塊の下面が、受け型の受け面の形状に比べて大きく
凹んでしまうことである。
【0008】このように下面が大きく凹んだガラス塊を
光学素子成形用素材として使用した場合、成形する際
に、ガラス塊と下型の間で、ガラス塊の下面の凹み部分
にガスを閉じ込めた状態で成形が進む。その結果とし
て、成形光学素子の下面に、「ガス残り」と呼ぶ凹んだ
欠陥部分が発生してしまい、この成形品を光学素子とし
て使うことはできない。
【0009】このように、ガラス塊の下面が大きく凹ん
でしまうのは、以下の理由による。
【0010】受け型の受け面から吹き出す高温のガスに
よって浮上保持されているガラス塊には、その下面に高
温のガスが常に当たっている。そして、この状態のガラ
ス塊は、高温の軟化状態であるので、容易に粘性変形す
る。すなわち、下面に当たるガスの勢いによって、ガラ
ス塊の下面が上方に持ち上げられた形に粘性変形する。
その後、ガラス塊の温度が下がるにつれ、ガラス塊は、
その形状のまま固化する。その結果、ガラス塊の下面が
大きく凹んでしまう。
【0011】このような下面の大きな凹みを防ぐために
は、受け型の受け面から噴出するガスの流量を少なく
し、その勢いを弱くすれば良い。しかし、この場合、ガ
ラス塊が受け型から完全に浮上せず、ガラス塊が受け型
に接触してしまうことがある。この場合、受け型は細孔
を有する多孔質の材料からなっており、また、ガラス塊
は、高温の軟化状態であるので、ガラス塊と受け型が接
触した場合、受け型の細孔の凸凹形状をガラス塊に転写
してしまい、このガラス塊を光学素子成形用素材として
利用することはできない。
【0012】上記説明した従来例の課題を解決するため
に、以下の目的を達成する、光学素子成形用素材の製造
方法を提供する。
【0013】本出願にかかる発明の目的は、溶融ガラス
の流出パイプの出口から流出する溶融ガラス流を、多孔
質の材料からなる受け型に受けて、光学素子成形用素材
となるガラス塊を得るに際して、下面に大きな凹みの無
いガラス塊を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本出願にかかる発明は、溶融ガラスの流出パイプの
出口から流出する溶融ガラス流を、多孔質の材料からな
る受け型に受けて、光学素子成形用素材となるガラス塊
を得るに際して、この多孔質の受け型の背面に高圧のガ
スを供給し、この多孔質の受け型の受け面からこのガス
が噴出している状態で、溶融ガラス流を浮上状態で受け
ることにより、所望のガラス塊を得る工程において、こ
の多孔質の受け型に供給され噴出されるガスの流量が、
この工程の初期段階においては多く、その後、減少する
ことを特徴とする。
【0015】更に本発明の課題は光学素子を成形するた
めに溶融ガラスを多孔質の受部材に受け、該溶融ガラス
を加圧成形して光学素子形状に加工する製造方法におい
て、ノズルから溶融ガラスを流出させるに際し、前記受
部材の多孔質から流体を噴出させ、前記溶融ガラスの流
出量が所定量に達した時点で前記流体の噴出量を漸減さ
せるようにしたことを特徴とした光学素子の製造方法を
提案することにある。
【0016】更に本発明は、光学素子を成形するために
溶融ガラスを多孔質の受部材に受け、該溶融ガラスを加
圧成形して光学素子形状に加工する製造方法において、
ノズルから溶融ガラスを流出させるに際し、前記受部材
の多孔質から流体を噴出させ、前記溶融ガラスの流出量
が所定量に達した時点で前記受部材と前記ノズルとの間
を離間させて溶融ガラスの切断を行うようにしたことを
特徴とした光学素子の製造方法を提案する。
【0017】又本発明の他の課題は溶融ガラスをノズル
から流出させ、該流出したガラスを多孔質の受部材で受
け、該多孔質から流体を噴出させて光学素子を製造する
装置において、前記ノズルから流出する流出ガラスの下
面と、該受部材で受けられるガラスの側面から前記流体
を噴出させるように構成したことを特徴とした光学素子
の製造装置を提案することにある。
【0018】更に本発明は、ガラス材料を光学素子形状
に成形する型部材で加圧成形する製造方法において、前
記型部材は光学素子の光学面を成形するための少なくと
も一対の型部材から成り、前記型部材は前記ガラス材料
に流体を噴出する多孔質材料で構成し、前記型部材に前
記流体を加熱する加熱部を備え、前記加熱部により前記
流体を加熱するとともに、前記多孔質から加熱流体を噴
出させつつ前記型部材により前記ガラス材料を光学素子
に成形するようにしたことを特徴とした光学素子の製造
方法を提案することにある。
【0019】続いて、本発明における作用を説明する。
【0020】光学ガラス溶融るつぼで溶融された溶融ガ
ラスを、溶融るつぼの下部に設置された流出パイプから
流出する。
【0021】この溶融ガラス流を、多孔質の材料からな
る受け型に受ける。この時、受け型の背面には高圧のガ
スが供給されており、このガスが受け型の細孔を通って
受け面から噴出している。
【0022】溶融ガラス流を受け型に受けガラス塊を得
る工程の初期段階、すなわち、溶融ガラス流の先端部が
下降して来て、受け型に接近し、さらに、溶融ガラス流
を受け型に受け始めるまでの段階は、受け型の受け面か
ら噴出しているガスの流量を比較的多くする。このよう
に、ガラス塊を得る工程の初期段階において、受け面か
ら噴出しているガスの流量を比較的多くすることによ
り、溶融ガラスと受け型が接触することを確実に防ぎ、
溶融ガラスを受け型から確実に浮上した状態で保持する
ことができる。
【0023】なお、この状態では、噴出しているガスの
流量が多いため、溶融ガラスの下面はガスにより上方に
持ち上げられ凹んだ形状になっている。
【0024】続いて、受け面から噴出しているガスの流
量を減少する。すると、噴出ガスの勢いが弱くなるた
め、受け型に受けられている溶融ガラスの下面が自重で
下がって来て、受け型の受け面の形状にほぼ倣った形状
に、溶融ガラスの下面の形状がなる。この時のガスの流
量は、溶融ガラスの下面が受け型の受け面と接触しない
ような流量に設定されている。
【0025】このようにして得られたガラス塊は、その
下面に大きな凹みはなく、受け型の受け面の形状にほぼ
倣っており、また、受け型との接触痕もなく、その上下
面ともに非常に滑らかな自由表面からなっているので、
光学素子成形用素材として非常に優れている。
【0026】なお、本発明における、工程の前半におけ
るガスの流量と工程の後半におけるガスの流量の最適な
値は、得ようとするガラス塊の重量や形状によって大き
く異なり、実験的に最適な値を求めるのが望ましい。
【0027】また、流量の切替は、連続的に行うことが
望ましいが、段階的に行ってもよい。
【0028】また、流量の切替を行い、流量を少なくす
るタイミングは、受け型に受けた溶融ガラスと流出パイ
プから流出するガラス流とが繋がっている時でも良く、
また、これらが切断された後でも良く、その最適なタイ
ミングは、得ようとするガラス塊の重量や形状によって
大きく異なり、実験的に最適な値を求めるのが望まし
い。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。
【0030】なお、以下説明にする各々の実施例におい
て用いた光学ガラスの種類は同一であり、その光学特性
は、屈折率nd =1.58、アッベ数νd =60であり、その
熱特性は、ガラス転移点温度は 500℃、軟化点温度は 6
40℃である。そして、各々の実施例において、この光学
ガラスを同一の条件で溶融流出し、この光学ガラスを溶
融るつぼ内で1200℃に加熱して溶融し、この溶融ガラス
を1050℃に保たれた流出パイプから流出し、流出パイプ
の出口から1000℃の溶融ガラス流を流出した。
【0031】以下、この溶融ガラス流から、本発明によ
って、光学素子を得る実施形態を説明する。
【0032】(第1の実施例)第1の実施例では、溶融
ガラス流を受け型に受けて、光学素子成形用素材となる
ガラス塊を得る実施形態について説明する。
【0033】図1は、本発明における第1の実施例によ
る、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装
置の受け型の部分の構成を概略説明するための図であ
る。
【0034】1は多孔質の材料からなる受け型であり、
2は受け型1を保持し加熱するための加熱ブロックであ
り、3は加熱ブロック2の内部に設置されたカートリッ
ジヒータであり、4は加熱ブロック2の内部に設けられ
たガス供給室であり、5はガス供給室にガスを供給する
ためのガス供給管であり、6は受け型1の上に得られた
ガラス塊である。
【0035】図2は、本発明における第1の実施例によ
る、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装
置の受け型へのガス配管の部分の構成を概略説明するた
めの図である。
【0036】7はガス供給源であり、8は減圧弁であ
り、9は圧力計であり、10は流量制御バルブであり、11
は流量計であり、12は開閉コックである。
【0037】図3ないし図10は、本実施例における、図
1の構成の装置を用いてガラス塊を得るための動作を説
明する図である。
【0038】13は溶融ガラス流出パイプ、14は溶融ガラ
ス流である。
【0039】図11は、本実施例における、ガス流量の変
化を説明する図である。
【0040】図12および図13は、本実施例の比較例によ
って得られたガラス塊の形状を説明する図である。
【0041】図1に示すように、受け型1の背面にはガ
ス供給室4が配置されており、ガス供給管5を通ってガ
ス供給室4へ供給された高圧のガスは、多孔質材料から
なる受け型1の内部の細孔を通って、受け型1の上面の
受け面へ噴出する。
【0042】本実施例では、図2に示すように、ガス供
給室4へのガスの配管は2系統の配管からなっており、
2種類の流量のガスをガス供給室4へ供給し受け型1の
受け面から噴出することができる。すなわち、ガス供給
源7から供給されたガスは、減圧弁8で所望の圧力に減
圧された後、2系統の流量調整用の配管へ分配される。
各々の流量調整用配管では、流量制御バルブ10で流量を
制御した後、開閉コック12の開閉により、この流量のガ
スのガス供給室4への供給の有無を選択する。なお、本
実施例では、大流量のガスを供給する場合には開閉コッ
ク12を2つとも開放し、小流量にする場合は、開閉コッ
ク12のうちの1つを閉じた。
【0043】続いて、図3ないし図10を用いて、本実施
例において、溶融ガラス流14から溶融ガラス塊6を得る
場合の動作および作用を説明する。
【0044】なお、図3ないし図10においては、図を単
純化するために受け型1のみを示しているが、実際には
受け型1の周辺は図1に示す構造になっており、受け型
1の背面に供給された高圧のガスを受け面から噴出でき
るようになっている。また、図2に示すように配管され
ているので、このガスの噴出流量を2段階に切り替える
ことができる。すなわち、図2に示す2系統の流量調整
用の配管のうち、上部の配管においては小流量のガス流
量V1をが流れるように流量制御バルブ10を調整し、ま
た、下部の配管においては大流量のガス流量V2が流れる
ように調整し、各々の開閉コック12の開閉により、受け
型1から噴出するガスの流量を調整した。具体的には、
大流量のガスを必要とする時は、2系統の配管の両方の
開閉コックを開け、V1+V2=V3の流量のガスを流し、小
流量のガスを必要とする時は、下部の配管の開閉コック
12を閉じ、上部の配管からV1の流量のガスを流した。
【0045】さて、図3は、ガラス塊を受ける動作の初
期状態を示す図であり、溶融ガラス流14の先端部は、流
出パイプ13の出口から僅かに出た状態である。この状態
において、流量V3の大流量のガスが受け型1の受け面か
ら噴出している。
【0046】図4は、図3の状態から溶融ガラス流14の
流出が進んだ状態を示している。溶融ガラス流14の先端
部の下降が進み、受け型1に接近した状態になってい
る。この状態においても、受け型1の受け面からは流量
V3の大流量のガスが噴出している。
【0047】図5は、図4の状態から更に溶融ガラス流
14の流出が進んだ状態を示している。この状態では、受
け型1の上に溶融ガラス流14が溜り始めている。この状
態でも、受け型1の受け面から流量V3の大流量のガスが
上方へ噴出しているので、溶融ガラス流14の先端が受け
型1に接触することはなく、浮上した状態になってい
る。
【0048】図6は、図5の状態から更に溶融ガラス流
14の流出が進んだ状態を示している。この状態でも受け
型1の受け面からは流量V3の大流量のガスが噴出してい
るので、受け型1に受けられた溶融ガラス流の下面は上
方へ持ち上げられ、その中央部は大きく凹んでいる。
【0049】受け型1の上に溜った溶融ガラス流14の重
量が所望の値になった時、受け型1を下方へ所定距離下
降させ、溶融ガラス流を括れた状態にした。この状態を
図7に示す。この状態においても、受け型1からは流量
V3の大流量のガスが噴出している。
【0050】この状態で保持すると、溶融ガラス流14の
細く括れた部分は、温度が高く粘度が低いので、直ちに
自然切断され、溶融ガラス塊6を得ることができる。そ
の様子を図8に示す。この状態でも受け型1の受け面か
らは流量V3の大流量のガスが噴出しているので、この溶
融ガラス塊6は受け型1から浮上した状態であり、その
下面は大きく凹んでいる。
【0051】溶融ガラス塊6が溶融ガラス流14から自然
切断された後、受け型1の受け面から噴出しているガス
の流量を、ガス流量調整用配管の開閉コック12を閉める
ことにより、流量V1に減じた。その時の様子を図9に示
す。
【0052】この時の溶融ガラス塊6の温度は高く、そ
の粘度は低く、容易に変形する。一方、ガス流量を減じ
ると、受け型1の受け面から噴出しているガスの勢いが
弱くなる。したがって、ガス流量を減じると、溶融ガラ
ス塊6は自重で下方へと変形し、その結果、溶融ガラス
塊6の下面の大きな凹みは無くなり、溶融ガラス塊6の
下面の形状は、受け型1の受け面の形状にほぼ倣った形
状になる。この様子を図10に示す。なお、この場合、溶
融ガラス塊6は、受け型1の受け面から噴出している流
量V1のガスにより僅かに浮上しているので、溶融ガラス
塊6と受け型1が接触することはない。
【0053】図11は、上記で説明した本実施例における
溶融ガラス塊6の製造方法における、多孔質の受け型か
ら噴出しているガスの流量の径時変化を説明する図であ
る。溶融ガラス流14を受け型1に受け始める(ゴブ受け
開始)以前から一定流量V3の大流量のガスが受け型1の
受け面から噴出しており、所定の重量の溶融ガラス塊6
を受け型1の上に得た後、受け型1を所定距離下降さ
せ、溶融ガラス流14を自然切断(ガラス流切断)し、溶
融ガラス塊6を得た後、流量調整用配管の開閉コック12
を閉じ、流量を一定流量V1の小流量に減じていることが
わかる。
【0054】このようにして得られた溶融ガラス塊6
を、その状態のまま冷却して得られたガラス塊6は、上
下面とも自由表面からなっており、その表面は非常に滑
らかであり、その下面の形状は受け型1の形状にほぼ倣
っている。このガラス塊6は、大きな凹みが無いため
に、プレス成形して光学素子に成形した時に、「ガス残
り」などの欠陥部分が発生することは無い。また、この
ガラス塊6は、その表面が非常に滑らかなため、プレス
成形して光学素子に成形した時に、表面欠陥が発生する
ことが無い。すなわち、このガラス塊6をプレス成形す
ることにより、非常に優れた品質の成形光学素子を得る
ことができる。
【0055】(実施例)以下、本実施例のより具体的な
実施例について説明する。
【0056】本実施例では、受け型1の材料として、多
孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボンの細孔
の平均径は、15μm であった。この受け型1の受け面
は、半径15mmの球面に加工されている。前記受け型材料
として日本カーボン株式会社の品種ビトローP,F(V
CP−0.5)を用いるとよい。
【0057】加熱ブロック2は、ステンレス鋼で作られ
ており、その内部に内蔵されたカートリッジヒータ3に
より、常時 400℃に保たれている。
【0058】本実施例では、ガラス塊6を浮上させるた
めのガスとして、窒素ガスを用いた。図2に示す構造の
ガス配管に導入された高圧の窒素ガスは、減圧弁8で0.
2MPaの圧力に減圧された後、2系統の流量調整用の配管
に分配される。図2に示す上部の流量調整用配管では、
流量制御バルブ10を調整し、毎分5lの流量の窒素ガス
が流れるようにした。また、下部の流量調整用配管で
は、毎分15lの流量の窒素ガスが流れるように、流量制
御バルブを調整した。
【0059】溶融ガラス流出パイプの出口から液滴状に
流出している1000℃の溶融ガラス流を、この受け型1の
上に受け、溶融ガラス塊6を得るに際して、図3ないし
図10で説明した工程のうち、図3ないし図8の工程にお
いては、2つの流量調整用配管の開閉コック12を両方と
も開け、毎分20lの流量の窒素ガスを受け型1の背面の
ガス供給室4に供給しており、その結果、受け型1の受
け面からは毎分20lの窒素ガスが噴出している。また、
図9および図10の工程においては、下部の流量調整用配
管の開閉コックを閉じ、毎分5lの窒素ガスをガス供給
室4に供給し、受け型1の受け面から噴出した。
【0060】また、図3ないし図6に示す工程におい
て、受け型1は、溶融ガラス流出パイプ13の下方10mmの
位置に固定されている。そして、図4に示すように、溶
融ガラス流14を受け型1に受け始め、5秒後に、図6に
示すように受け型1の上に溶融ガラス流の重量が所望の
重量である2gになった。そこで、そこで受け型1を10
mm下降させ、図7に示すように、溶融ガラスを細長く括
れた状態にした。この状態で保持すると、細長く括れた
溶融ガラス流は、直ちに、自然に切断され、図8に示す
ように、溶融ガラス塊6を受け型1の上に得ることがで
きた。なお、この図3ないし図8の工程の間、受け型1
の受け面からは毎分20lの大流量の窒素ガスが噴出して
いるので、溶融ガラス流14または溶融ガラス塊6が、多
孔質の受け型1と接触することは無く、その結果、溶融
ガラス塊6の下面は滑らかな自由表面である。しかし、
その中央部は、受け型1の受け面から噴出している多量
の窒素ガスにより上方に持ち上げられ大きく凹んでい
る。
【0061】図9および図10の工程において、受け型1
の受け面から噴出している窒素ガスの流量を毎分5lに
減少したので、噴出している窒素ガスの勢いが弱くなっ
た。そして、この時、受け型1の上に浮上保持されてい
る溶融ガラス塊6の温度は 800℃であり、その粘度は低
く十分な流動性がある。したがって、溶融ガラス塊6の
下面の大きく凹んだ部分は、その自重によって下方へ流
動変形する。その結果、溶融ガラス塊6の下面の形状
は、受け型1の受け面の形状にほぼ倣った形状になる。
なお、この間、受け型1の受け面からは毎分5lの窒素
ガスが噴出しているので、溶融ガラス塊6と受け型1が
接触することなく、溶融ガラス塊6は、受け型1から浮
上した状態で保持され、その下面は滑らかな自由表面に
なっている。
【0062】また、この間、加熱ブロック2は 400℃に
保たれており、ガス供給室4には室温の窒素ガスを供給
しているので、この窒素ガスにより浮上保持されている
ガラス塊6の温度は徐々に下がり、その状態のまま固化
する。したがって、このようにして得られたガラス塊6
は、上下面とも滑らかな自由表面からなっており、その
下面に凹みも無いので、光学素子成形用素材として優れ
ている。すなわち、このガラス塊6をプレス成形して得
た成形光学素子は、「ガス残り」などの形状欠陥や、
「曇り」などの外観欠陥が発生しない。
【0063】次に、本実施例に対する比較例を示す。
【0064】まず、1点目の比較例として、窒素ガス流
量を常に毎分20lとし、その他の条件を本実施例と同じ
にした場合に得られたガラス塊の断面形状を図12に示
す。上記実施例の項で説明したように、毎分20lの窒素
ガスで溶融ガラス塊6を浮上保持した場合、溶融ガラス
塊6と受け型1が接触することは無いが、その下面は大
きく凹んでしまう。本比較例では、その状態のまま固化
してしまうので、得られたガラス塊6の下面は大きく凹
んでいる。このようなガラス塊6をプレス成形すると、
得られた成形光学素子に「ガス残り」と呼ばれる形状欠
陥が発生する。
【0065】次に、2点目の比較例として、窒素ガス流
量を常に毎分5lとし、その他の条件を本実施例と同じ
にした場合に得られたガラス塊の断面形状を図13に示
す。毎分5lの窒素ガスを受け型1の受け面から噴出さ
せた状態では、ガスの勢いが弱いので、溶融ガラス流出
パイプ13の出口から流出してくる溶融ガラス流14の先端
部が受け型1の受け面と接触してしまう。その結果、得
られたガラス塊6の下面の中央部には、多孔質の受け型
1の細孔の凸凹を転写し、凸凹が発生する。このような
ガラス塊6をプレス成形した場合、この凸凹部が「曇
り」と呼ばれる外観欠陥になる。
【0066】本実施例特有の効果としては、受け型との
接触痕である凸凹がなく、上下面とも滑らかな自由表面
からなり、下面に大きな凹みのない、光学素子成形用素
材として適したガラス塊を、単純な構成の安価な装置で
得ることができるので、光学素子成形用として適した高
精度のガラス塊を安価に確実に得ることができる点があ
る。
【0067】(第2の実施例)第2の実施例では、溶融
ガラス流を受け型に受けて、光学素子成形用素材となる
ガラス塊を得るに際して、第1の実施例とは異なる実施
形態について説明する。
【0068】図14は、本実施例による、光学素子成形用
素材となるガラス塊を得るための装置の受け型の部分の
構成を概略説明するための図である。
【0069】15は多孔質の材料からなる受け型部材であ
り、4は受け型部材15の受け面の背部に設けられたガス
供給室であり、5はガス供給室4にガスを供給するため
のガス供給管である。16は受け型部材15のガラス受け部
の側面壁の背部に円周状に設けられたガス供給室であ
り、17はガス供給室16にガスを供給するためのガス供給
管である。
【0070】図15は、本実施例による、光学素子成形用
素材となるガラス塊を得るための装置の受け型部材への
ガス配管の部分の構成を概略説明するための図である。
【0071】7はガス供給源、8は減圧弁、9は圧力計
である。18はガス流量を制御するためのマスフローコン
トローラであり、10は流量制御バルブ、11は流量計であ
る。
【0072】図16は、本実施例における、ガス流量の変
化を説明する図である。
【0073】図14に示すように、多孔質の材料からなる
受け型部材15は、溶融ガラス流を受けてガラス塊を得る
ためのガラス受け部が形成されており、そのガラス受け
部の受け面の背部にはガス供給室4が、受け型部材15の
内部に設けられており、ガス供給管5を通ってガス供給
室4へ供給された高圧のガスは、多孔質材料からなる受
け型部材15の内部の細孔を通って、受け型部材15の上面
の受け面へ噴出する。また、ガラス受け部の側面壁の背
部に、円周状のガス供給室16が設けられており、ガス供
給管17を通ってガス供給室17へ供給された高圧のガス
は、受け型部材17の細孔を通って、受け型部材17のガラ
ス受け部の側面に噴出する。
【0074】本実施例では、図15に示すように、ガス供
給源7から供給されたガスは、減圧弁8で所望の圧力に
減圧された後、ガス供給室4とガス供給室17への2系統
の配管へ分配される。ガス供給室4への配管には、マス
フローコントローラ18が設置されており、ガス供給室4
へ供給するガスの流量を連続的に制御することができ
る。また、ガス供給室17への配管には、流量制御バルブ
10がが設置されており、所望の流量のガスを流すことが
できる。
【0075】続いて、本実施例において、溶融ガラス流
から溶融ガラス塊を得る場合の動作および作用を説明す
る。
【0076】本実施例において、ガス供給室17へは常に
一定量のガスを供給し側壁から噴出することにより、溶
融ガラス塊6が受け型部材15のガラス受け部の側面壁と
接触することを防いでいる。
【0077】一方、ガス供給室4へ供給するガスの流量
は、溶融ガラス流を受け型部材15のガラス受け部に受
け、所望の溶融ガラス塊6を得る工程において、初期の
状態において大量の流量のガスを供給し、溶融ガラス流
をガラス受け部に受け始めた後、マスフローコントロー
ラ18により流量を連続的に減少させ、溶融ガラス塊6を
得る工程の後半においては、少量の一定流量のガスを供
給して、溶融ガラス塊6を受けた。
【0078】図16に、上記説明した、ガス供給室4に供
給されガラス受け部から噴出しているガスの流量の径時
変化を示す。
【0079】このようにガスが噴出している状態で、溶
融ガラス流から溶融ガラス塊を得ることにより、以下に
示す作用がある。溶融ガラス流をガラス受け部に受け始
める時には、ガラス受け部から大量のガスが勢いよく噴
出しているので、溶融ガラス流の先端部は浮上した状態
になっている。その後、ガス流量を少なくし、噴出する
ガスの勢いを弱くすると、ガラス受け部に受けられた溶
融ガラス流または溶融ガラス塊は自重で下方に下がって
くるので、その下面の凹みは無くなり、ガラス受け部の
形状にほぼ倣った形状になる。
【0080】すなわち、このようにして得られた溶融ガ
ラス塊6の下面は、受け型部材15のガラス受け部と接触
することはなく滑らかな自由表面であり、その形状はガ
ラス受け部の形状に倣っている。したがって、このガラ
ス塊は、光学素子成形用素材として大変適している。
【0081】以下、本実施例のより具体的な実施形態に
ついて説明する。
【0082】本実施例では、受け型部材15の材料とし
て、多孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボン
の細孔の平均径は、15μmであった。受け型部材15のガ
ラス受け部は、半径30mmの凸球面に加工されている。ま
た、受け型部材15は、ヒータを内蔵していないので、常
時室温である。
【0083】本実施例では、ガラス塊6を浮上させるた
めのガスとして、窒素ガスを用いた。図15に示す構造の
ガス配管に導入された高圧の窒素ガスは、減圧弁8で0.
2MPaの圧力に減圧された後、ガス供給室4とガス供給室
16への配管に分配される。ガス供給室16への配管では、
流量制御バルブ10を調整し、毎分5lの流量の窒素ガス
が流れるようにした。また、ガス供給室4への配管で
は、マスフローコントローラ18により、最初毎分20lの
窒素が流れるようにし、続いて窒素ガス流量が毎分5l
になるまで、2秒かけて連続的に窒素ガス流量を減少す
るように、ガス流量を制御した。
【0084】溶融ガラス流出パイプの出口から液滴状に
流出している1000℃の溶融ガラス流を、この受け型部材
15のガラス受け部の上に受け、溶融ガラス塊6を得るに
際して、まず最初、受け型部材15は、溶融ガラス流出パ
イプの下方10mmの位置に固定される。そして、ガス供給
室4から毎分20l、ガス供給室16から毎分5lの流量の
窒素ガスがガラス受け部に噴出している状態で、溶融ガ
ラス流を受け型部材15のガラス受け部に受け始める。溶
融ガラス流をガラス受け部に受け初め、1秒後に、ガス
供給室4に供給されているガスの流量を毎分5lまで2
秒かけて連続的に減少させた。ガスの流量が毎分5lに
なって 0.5秒後に、ガラス受け部の上に溜った溶融ガラ
ス流の重量が所望の重量である3gになった。そこで、
受け型部材15を10mm下降させ、溶融ガラス流を細長く括
れた状態にした。この状態で保持すると、細長く括れた
溶融ガラス流は、直ちに、自然に切断され、溶融ガラス
塊をガラス受け部の上に得ることができた。
【0085】本実施例では、溶融ガラス流を切断して溶
融ガラス塊を得た時点において、すでにガラス受け部か
ら噴出する窒素ガスの流量を少なくしているので、この
時点において、溶融ガラス塊の下面の形状は、ガラス受
け部の形状にほぼ倣った形状をしており、大きな凹みは
無い。なお、この間、溶融ガラス流および溶融ガラス塊
の下面はガラス受け面から噴出している窒素ガスにより
常に浮上しているので、滑らかな自由表面であり、ま
た、ガラス受け部の側面壁からも窒素ガスが噴出してい
るので、この部分で溶融ガラス塊と受け型部材が接触す
ることもない。
【0086】また、溶融ガラス塊の上面は、溶融ガラス
の表面張力により凸形状をしている。この結果、本実施
例で得られたガラス塊の形状は、図14に示すように、凹
メニスカス形状をしており、その下面、上面、側面とも
に滑らかな自由表面からなっている。
【0087】本実施例では、加熱していない受け型部材
に室温の窒素ガスを供給しているので、この窒素ガスに
より浮上保持されているガラス塊は、その状態のまま温
度が下がり固化する。したがって、このようにして得ら
れたガラス塊6は、上下面とも滑らかな自由表面からな
っており、その下面に凹みも無いので、光学素子成形用
素材として優れている。すなわち、このガラス塊6をプ
レス成形して得た成形光学素子は、「ガス残り」などの
形状欠陥や、「曇り」などの外観欠陥が発生しない。
【0088】本実施例特有の効果としては、以下の点が
ある。 多孔質材料からなる受け型部材との接触痕である凸
凹がなく、上下面とも滑らかな自由表面からなり、下面
に大きな凹みのない、光学素子成形用素材として適した
ガラス塊を、特に、凹メニスカスレンズ成形用として適
した凹メニスカス形状のガラス塊を安価に確実に得るこ
とができる点。 溶融ガラス流および溶融ガラス塊を浮上保持するた
めのガスの流量をマスフローコントローラで自在にコン
トロールできるので、得るガラス塊の形状および大きさ
に対して、最適の流量および流量変化タイミングを容易
に設定することができる点。 溶融ガラス流を切断する以前の早い時点で、受け型
部材から噴出しているガスの流量を小さくするので、そ
の時点におけるガラスの温度が高く変形しやすく、その
ため、高温のガスによりガラス塊を浮上保持させる必要
がなく、その結果、受け型部材に加熱ヒータを内蔵する
必要がなく装置コストが下がる点。
【0089】(第3の実施例)第3の実施例では、溶融
ガラス流を受け型に受けて溶融ガラス塊を得、この溶融
ガラス塊を上型でプレス成形して、光学素子成形用素材
となるガラス塊を得る実施形態について説明する。
【0090】図17は、本実施例による、光学素子成形用
素材となるガラス塊を得るための装置の受け型および上
型の部分の構成を概略説明するための図である。
【0091】1は多孔質の材料からなる受け型、2は受
け型1を保持し加熱するための加熱ブロック、3は加熱
ブロック2の内部に設置されたカートリッジヒータ、4
は加熱ブロック2の内部に設けられたガス供給室、5は
ガス供給室にガスを供給するためのガス供給管、19はガ
ス供給管5の内部に設置された巻き線ヒータである。ま
た、20は多孔質の材料からなる上型、21は上型20を保持
し加熱するための加熱ブロック、22は加熱ブロック21の
内部に設置されたカートリッジヒータ、23は加熱ブロッ
ク21の内部に設けられたガス供給室、24はガス供給室23
にガスを供給するためのガス供給管、25はガス供給管24
の内部に設置された巻き線ヒータである。また、6は受
け型1の上に得られ、また、上型20でプレス成形して得
られたガラス塊である。
【0092】図18は、本実施例において、受け型1の上
に溶融ガラス塊6を受けた状態を説明する図である。
【0093】図19は、本実施例において、受け型1に供
給されるガスの流量の変化を説明する図である。
【0094】図17に示すように、受け型1の背面および
背面外周部にはガス供給室4が配置されており、ガス供
給管5を通ってガス供給室4へ供給された高圧のガス
は、多孔質材料からなる受け型1の内部の細孔を通っ
て、受け型1の上面の受け面へ噴出する。この時、巻き
線ヒータ19を加熱することにより、高温のガスを供給す
ることができる。
【0095】ガスの流量は、マスフローコントローラ
(図示せず)により制御した。
【0096】受け型1の上に、溶融ガラス流から溶融ガ
ラス塊6を受ける工程は、以下に示すようである。溶融
ガラス流を受け型1の上に受け始め、溶融ガラス流を切
断し、溶融ガラス塊6を得るまで、大流量のガスを流
し、溶融ガラス塊を確実に浮上させた。その後、ガス流
量を少なくした状態で、溶融ガラス塊6を浮上させた。
その状態を図18に示すが、凹メニスカス形状の溶融ガラ
ス塊6を得ることができた。
【0097】本実施例では、加熱ブロック2は高温に加
熱されており、ガスも巻き線ヒータ19で高温に加熱され
た状況で供給されているので、このガスで浮上保持され
ている溶融ガラス塊6の温度の低下は遅い。
【0098】このような状態の溶融ガラス塊6を、上型
20でプレス成形して、所望の形状のガラス塊6を得た。
【0099】図17に示すように、上型20の背面にはガス
供給室23が配置されており、ガス供給管24を通ってガス
供給室23へ供給された高圧のガスは、多孔質材料からな
る上型20の内部の細孔を通って、上型20の下面の成形面
へ噴出する。この時、巻き線ヒータ25を加熱することに
より、高温のガスを供給することができる。ガスの流量
は、一定値に制御した。
【0100】この状態の上型20を、上方から溶融ガラス
塊6に接近させ、溶融ガラス塊6のプレス成形を開始し
た。この時、上型20の下降速度を遅くした。このことに
より、プレス成形時に、溶融ガラス塊6と受け型1また
は上型20とが接触することはない。その結果、図17に示
すように、所望の形状のガラス塊6を、受け型1からも
上型20からも非接触の状態で得ることができた。
【0101】このガラス塊6は、上下面とも非常に滑ら
かな自由表面であり、その形状は、受け型1と上型20の
形状に倣っているので、光学素子成形用素材として大変
適している。
【0102】以下、本実施例のより具体的な実施形態に
ついて説明する。
【0103】本実施例では、受け型1の材料として、多
孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボンの細孔
の平均径は、15μm であった。この受け型1の受け面
は、半径30mmの凸球面に加工されている。
【0104】加熱ブロック2は、ステンレス鋼で作られ
ており、その内部に内蔵されたカートリッジヒータ3に
より、常時 500℃に保たれている。
【0105】本実施例では、ガラス塊6を浮上させるた
めのガスとして、窒素ガスを用いた。この窒素ガスは、
ガス供給管5の内部に設置された白金製の巻き線ヒータ
19により 600℃に加熱されている。窒素ガスの流量は、
マスフローメータにより制御され、溶融ガラス流を受け
型に受ける時点では、毎分40l流れるようになってい
る。
【0106】溶融ガラス流出パイプの出口から液滴状に
流出している1000℃の溶融ガラス流を、この受け型1の
上に受け、溶融ガラス塊6を得るに際して、まず最初、
受け型1は、溶融ガラス流出パイプの下方10mmの位置に
固定される。そして、ガス供給室4から毎分40lの流量
の窒素ガスがガラス受け面に噴出している状態で、溶融
ガラス流を受け型1の受け面に受け始める。溶融ガラス
流を受け型1に受け初め5秒後に、ガラス受け部の上に
溜った溶融ガラス流の重量が所望の重量の4gになっ
た。そこで、受け型1を10mm下降させ、溶融ガラス流を
細長く括れた状態にした。この状態で保持すると、細長
く括れた溶融ガラス流は、直ちに、自然に切断され、溶
融ガラス塊6を受け型1の上に得ることができた。
【0107】その後、ガスの流量を2秒かけて毎分10l
まで連続的に減少させた。
【0108】そして、溶融ガラス塊6を受け型1の上に
浮上保持した状態で、受け型1を、ガラス溶融るつぼの
溶融ガラス流出パイプの下から、上型20からなるプレス
ステーションへと移動した。この状態の溶融ガラス塊6
は、図18のように、凹メニスカス形状をしている。
【0109】一方、本実施例では、上型20の材料とし
て、多孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボン
の細孔の平均径は、15μm であった。この上型20の成形
面は、半径30mmの凸球面に加工されている。
【0110】加熱ブロック21は、ステンレス鋼で作られ
ており、その内部に内蔵されたカートリッジヒータ22に
より、常時 500℃に保たれている。
【0111】本実施例では、上型20から噴出するガスと
して、窒素ガスを用いた。この窒素ガスは、ガス供給管
24の内部に設置された白金製の巻き線ヒータ25により 6
00℃に加熱されている。窒素ガスの流量は、流量制御バ
ルブにより制御され、常に毎分10l流れるようになって
いる。
【0112】この状態の上型20を、受け型1の上に浮上
保持されている溶融ガラス塊6の上方から接近させた。
上型20が溶融ガラス塊6の近傍まで下降した後、上型20
の下降速度を毎秒0.1mm に減速し、この状態で溶融ガラ
ス塊6のプレス成形を開始した。このようにしてプレス
成形することにより、溶融ガラス塊6は、受け型1にも
上型20にも接触することなく、常にガスにより浮上した
状態に保持されている。したがって、このようにプレス
成形して得られたガラス塊6は、上下面とも非常に滑ら
かな自由表面からなっている。
【0113】なお、プレス成形時には、溶融光学ガラス
塊6の温度は高く粘度が低いので、プレス成形に要する
力は弱く、本実施例では、500 Nの力でプレス成形し
た。
【0114】プレス成形が終了した後、その状態のま
ま、巻き線ヒータ19および25によるガスの加熱をやめ、
室温のガスを供給した。その状態でガラス塊6を冷却し
た後、このガラス塊6を取り出した。
【0115】このようにして得られたガラス塊6は、上
下面とも滑らかな自由表面からなっており、その下面に
凹みも無く、上下面とも型の形状に倣い、両凹形状をし
ており、光学素子成形用素材として優れている。すなわ
ち、このガラス塊6をプレス成形して得た成形光学素子
は、「ガス残り」などの形状欠陥や、「曇り」などの外
観欠陥が発生しない。
【0116】本実施例特有の効果として以下の点があ
る。 多孔質材料からなる受け型および上型との接触痕で
ある凸凹がなく、上下面とも滑らかな自由表面からな
り、下面に大きな凹みのない、光学素子成形用素材とし
て適したガラス塊を、特に、両凹レンズ成形用として適
した両凹形状のガラス塊を安価に確実に得ることができ
る点。 溶融ガラス流および溶融ガラス塊を浮上保持するた
めのガスの流量をマスフローコントローラで自在にコン
トロールできるので、得るガラス塊の形状および大きさ
に対して、最適の流量および流量変化タイミングを容易
に設定することができる点。 高温のガスで溶融ガラス塊を浮上保持しているの
で、長い時間にわたり溶融ガラス塊を高温に保つ事がで
き、上型による溶融ガラス塊のプレスを弱い力で行える
ため、簡単な装置で成形を行え、装置コストが安くなる
点。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本出願にかかる発
明によれば、溶融ガラス流を受け型に受けガラス塊を得
る場合に、ガラス塊の下面に発生する大きな凹みの発生
を防止することができる。
【0118】このようにして得られたガラス塊は、その
下面に大きな凹みはなく、受け型の受け面の形状にほぼ
倣っており、また、受け型との接触痕もなく、その上下
面ともに非常に滑らかな自由表面からなっているので、
光学素子成形用素材として非常に優れている。
【0119】すなわち、光学素子成形用素材として適し
たガラス塊を確実に得ることができるので、光学素子成
形用素材となるガラス塊の精度を良くすると共に、その
製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の装置構成を説明する図
【図2】第1の実施例の動作を説明する図
【図3】第1の実施例の動作を説明する図
【図4】第1の実施例の動作を説明する図
【図5】第1の実施例の動作を説明する図
【図6】第1の実施例の動作を説明する図
【図7】第1の実施例の動作を説明する図
【図8】第1の実施例の動作を説明する図
【図9】第1の実施例の動作を説明する図
【図10】第1の実施例の動作を説明する図
【図11】第1の実施例のガス流量の変化を説明する図
【図12】比較例により得られたガラス塊の形状を説明
する図
【図13】比較例により得られたガラス塊の形状を説明
する図
【図14】第2の実施例の装置構成を説明する図
【図15】第2の実施例の装置構成を説明する図
【図16】第2の実施例のガス流量の変化を説明する図
【図17】第3の実施例の装置構成を説明する図
【図18】第3の実施例の装置構成を説明する図
【図19】第3の実施例のガス流量の変化を説明する図
【符号の説明】
1 受け型 2 加熱ブロック 4 ガス供給室 5 ガス供給管 6 ガラス塊 13 溶融ガラス流出パイプ 14 溶融ガラス流 20 上型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 余語 瑞和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融ガラスの流出パイプの出口から流出
    する溶融ガラス流を、多孔質の材料からなる受け型に受
    けて、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るに際し
    て、 この多孔質の受け型の背面に高圧のガスを供給し、この
    多孔質の受け型の受け面からこのガスが噴出している状
    態で、溶融ガラス流を浮上状態で受けることにより、所
    望のガラス塊を得る工程において、 この多孔質の受け型に供給され噴出されるガスの流量
    が、この工程の初期段階においては多く、その後、減少
    することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 光学素子を成形するために溶融ガラスを
    多孔質の受部材に受け、該溶融ガラスを加圧成形して光
    学素子形状に加工する製造方法において、パイプから溶
    融ガラスを流出させるに際し、前記受部材の多孔質から
    流体を噴出させ、前記溶融ガラスの流出量が所定量に達
    した時点で前記流体の噴出量を漸減させるようにしたこ
    とを特徴とした光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 光学素子を成形するために溶融ガラスを
    多孔質の受部材に受け、該溶融ガラスを加圧成形して光
    学素子形状に加工する製造方法において、パイプから溶
    融ガラスを流出させるに際し、前記受部材の多孔質から
    流体を噴出させ、前記溶融ガラスの流出量が所定量に達
    した時点で前記受部材と前記ノズルとの間を離間させて
    溶融ガラスの切断を行うようにしたことを特徴とした光
    学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶融ガラスをパイプから流出させ、該流
    出したガラスを多孔質の受部材で受け、該多孔質から流
    体を噴出させて光学素子を製造する装置において、前記
    ノズルから流出する流出ガラスの下面と、該受部材で受
    けられるガラスの側面から前記流体を噴出させるように
    構成したことを特徴とした光学素子の製造装置。
  5. 【請求項5】 ガラス材料を光学素子形状に成形する型
    部材で加圧成形する製造方法において、前記型部材は光
    学素子の光学面を成形するための少なくとも一対の型部
    材から成り、前記型部材は前記ガラス材料に流体を噴出
    する多孔質材料で構成し、前記型部材に前記流体を加熱
    する加熱部を備え、前記加熱部により前記流体を加熱す
    るとともに、前記多孔質から加熱流体を噴出させつつ前
    記型部材により前記ガラス材料を光学素子に成形するよ
    うにしたことを特徴とした光学素子の製造方法。
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