JP4026868B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温軟化状態のガラス塊を成形用素材とし、この成形用素材を一対の成形型でプレス成形し、光学素子を製造する方法及び製造装置に関する。
【0002】
特に、この成形用素材となるガラス塊を、光学ガラスの溶融るつぼの流出パイプから流出する溶融ガラス流から得る方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、高温軟化状態のガラス塊を成形用素材とし、この成形用素材を一対の成形型でプレス成形し、成形光学素子を得る技術が、特に、非球面レンズを安いコストで製造する方法として、脚光を浴び、その開発が進んでいる。特に、最近では、成形用素材となるガラス塊の製造コストを低減するための開発が進んでいる。
【0004】
このようなガラス塊を製造する方法として、溶融ガラス塊を成形する型として多孔質材料からなる型を用い、その多孔質性を利用し、これらの背部から高圧のガスを送り、これらの成形型と溶融ガラスとの間に薄いガス層を形成することにより、これらの成形型と溶融ガラスが直接接触しないようにし、ガラスの融着を防止できることは、古くから知られており、例えば、特公昭48-22977号に開示されている。
【0005】
前記公知例において、多孔質の受け型から高温のガスを噴出している。これは、高温のガスにより溶融ガラス塊を浮上保持することにより、ガラス塊の温度低下を防止しするためである。すなわち、室温のガスによりガラス塊を浮上保持した場合、ガラス塊、特に、その表面部は急冷されてしまうので、それを防止するためである。このようにして、ガラス塊の温度低下を防止した場合、次工程である、光学素子成型工程において、ガラス塊の再加熱無し、もしくは、僅かな再加熱で、このガラス塊をプレス成形し光学素子を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例に開示されている、光学素子の製造方法には、以下に示すような欠点があった。
【0007】
その欠点とは、受け型に受けて得られたガラス塊の下面が、受け型の受け面の形状に比べて大きく凹んでしまうことである。
【0008】
このように下面が大きく凹んだガラス塊を光学素子成形用素材として使用した場合、成形する際に、ガラス塊と下型の間で、ガラス塊の下面の凹み部分にガスを閉じ込めた状態で成形が進む。その結果として、成形光学素子の下面に、「ガス残り」と呼ぶ凹んだ欠陥部分が発生してしまい、この成形品を光学素子として使うことはできない。
【0009】
このように、ガラス塊の下面が大きく凹んでしまうのは、以下の理由による。
【0010】
受け型の受け面から吹き出す高温のガスによって浮上保持されているガラス塊には、その下面に高温のガスが常に当たっている。そして、この状態のガラス塊は、高温の軟化状態であるので、容易に粘性変形する。すなわち、下面に当たるガスの勢いによって、ガラス塊の下面が上方に持ち上げられた形に粘性変形する。その後、ガラス塊の温度が下がるにつれ、ガラス塊は、その形状のまま固化する。その結果、ガラス塊の下面が大きく凹んでしまう。
【0011】
このような下面の大きな凹みを防ぐためには、受け型の受け面から噴出するガスの流量を少なくし、その勢いを弱くすれば良い。しかし、この場合、ガラス塊が受け型から完全に浮上せず、ガラス塊が受け型に接触してしまうことがある。この場合、受け型は細孔を有する多孔質の材料からなっており、また、ガラス塊は、高温の軟化状態であるので、ガラス塊と受け型が接触した場合、受け型の細孔の凸凹形状をガラス塊に転写してしまい、このガラス塊を光学素子成形用素材として利用することはできない。
【0012】
上記説明した従来例の課題を解決するために、以下の目的を達成する、光学素子成形用素材の製造方法を提供する。
【0013】
本出願にかかる発明の目的は、溶融ガラスの流出パイプの出口から流出する溶融ガラス流を、多孔質の材料からなる受け型に受けて、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るに際して、下面に大きな凹みの無いガラス塊を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願にかかる発明は、
溶融ガラスの流出パイプの出口から流出する溶融ガラス流を、多孔質の材料からなる受け型に受けて、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るに際して、
この多孔質の受け型の背面に高圧のガスを供給し、この多孔質の受け型の受け面からこのガスを噴出している状態で、溶融ガラス流を浮上状態で受けることにより、所望のガラス塊を得る工程において、
この多孔質の受け型に供給され噴出されるガスの流量が、この工程の初期段階においては多く噴出させて前記溶融ガラスを浮上状態に維持させ、前記溶融ガラス流を自然切断することで溶融ガラス塊を得た後、前記噴出ガスの流量を減少させて前記溶融ガラス塊を冷却することで、前記ガラス塊の下面に大きな凹み部分の無いガラス塊を得ることを特徴とする。
【0019】
続いて、本発明における作用を説明する。
【0020】
光学ガラス溶融るつぼで溶融された溶融ガラスを、溶融るつぼの下部に設置された流出パイプから流出する。
【0021】
この溶融ガラス流を、多孔質の材料からなる受け型に受ける。この時、受け型の背面には高圧のガスが供給されており、このガスが受け型の細孔を通って受け面から噴出している。
【0022】
溶融ガラス流を受け型に受けガラス塊を得る工程の初期段階、すなわち、溶融ガラス流の先端部が下降して来て、受け型に接近し、さらに、溶融ガラス流を受け型に受け始めるまでの段階は、受け型の受け面から噴出しているガスの流量を比較的多くする。このように、ガラス塊を得る工程の初期段階において、受け面から噴出しているガスの流量を比較的多くすることにより、溶融ガラスと受け型が接触することを確実に防ぎ、溶融ガラスを受け型から確実に浮上した状態で保持することができる。
【0023】
なお、この状態では、噴出しているガスの流量が多いため、溶融ガラスの下面はガスにより上方に持ち上げられ凹んだ形状になっている。
【0024】
続いて、受け面から噴出しているガスの流量を減少する。すると、噴出ガスの勢いが弱くなるため、受け型に受けられている溶融ガラスの下面が自重で下がって来て、受け型の受け面の形状にほぼ倣った形状に、溶融ガラスの下面の形状がなる。この時のガスの流量は、溶融ガラスの下面が受け型の受け面と接触しないような流量に設定されている。
【0025】
このようにして得られたガラス塊は、その下面に大きな凹みはなく、受け型の受け面の形状にほぼ倣っており、また、受け型との接触痕もなく、その上下面ともに非常に滑らかな自由表面からなっているので、光学素子成形用素材として非常に優れている。
【0026】
なお、本発明における、工程の前半におけるガスの流量と工程の後半におけるガスの流量の最適な値は、得ようとするガラス塊の重量や形状によって大きく異なり、実験的に最適な値を求めるのが望ましい。
【0027】
また、流量の切替は、連続的に行うことが望ましいが、段階的に行ってもよい。
【0028】
また、流量の切替を行い、流量を少なくするタイミングは、受け型に受けた溶融ガラスと流出パイプから流出するガラス流とが繋がっている時でも良く、また、これらが切断された後でも良く、その最適なタイミングは、得ようとするガラス塊の重量や形状によって大きく異なり、実験的に最適な値を求めるのが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0030】
なお、以下説明にする各々の実施例において用いた光学ガラスの種類は同一であり、その光学特性は、屈折率nd =1.58、アッベ数νd =60であり、その熱特性は、ガラス転移点温度は 500℃、軟化点温度は 640℃である。そして、各々の実施例において、この光学ガラスを同一の条件で溶融流出し、この光学ガラスを溶融るつぼ内で1200℃に加熱して溶融し、この溶融ガラスを1050℃に保たれた流出パイプから流出し、流出パイプの出口から1000℃の溶融ガラス流を流出した。
【0031】
以下、この溶融ガラス流から、本発明によって、光学素子を得る実施形態を説明する。
【0032】
(第1の実施例)
第1の実施例では、溶融ガラス流を受け型に受けて、光学素子成形用素材となるガラス塊を得る実施形態について説明する。
【0033】
図1は、本発明における第1の実施例による、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装置の受け型の部分の構成を概略説明するための図である。
【0034】
1は多孔質の材料からなる受け型であり、2は受け型1を保持し加熱するための加熱ブロックであり、3は加熱ブロック2の内部に設置されたカートリッジヒータであり、4は加熱ブロック2の内部に設けられたガス供給室であり、5はガス供給室にガスを供給するためのガス供給管であり、6は受け型1の上に得られたガラス塊である。
【0035】
図2は、本発明における第1の実施例による、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装置の受け型へのガス配管の部分の構成を概略説明するための図である。
【0036】
7はガス供給源であり、8は減圧弁であり、9は圧力計であり、10は流量制御バルブであり、11は流量計であり、12は開閉コックである。
【0037】
図3ないし図10は、本実施例における、図1の構成の装置を用いてガラス塊を得るための動作を説明する図である。
【0038】
13は溶融ガラス流出パイプ、14は溶融ガラス流である。
【0039】
図11は、本実施例における、ガス流量の変化を説明する図である。
【0040】
図12および図13は、本実施例の比較例によって得られたガラス塊の形状を説明する図である。
【0041】
図1に示すように、受け型1の背面にはガス供給室4が配置されており、ガス供給管5を通ってガス供給室4へ供給された高圧のガスは、多孔質材料からなる受け型1の内部の細孔を通って、受け型1の上面の受け面へ噴出する。
【0042】
本実施例では、図2に示すように、ガス供給室4へのガスの配管は2系統の配管からなっており、2種類の流量のガスをガス供給室4へ供給し受け型1の受け面から噴出することができる。すなわち、ガス供給源7から供給されたガスは、減圧弁8で所望の圧力に減圧された後、2系統の流量調整用の配管へ分配される。各々の流量調整用配管では、流量制御バルブ10で流量を制御した後、開閉コック12の開閉により、この流量のガスのガス供給室4への供給の有無を選択する。なお、本実施例では、大流量のガスを供給する場合には開閉コック12を2つとも開放し、小流量にする場合は、開閉コック12のうちの1つを閉じた。
【0043】
続いて、図3ないし図10を用いて、本実施例において、溶融ガラス流14から溶融ガラス塊6を得る場合の動作および作用を説明する。
【0044】
なお、図3ないし図10においては、図を単純化するために受け型1のみを示しているが、実際には受け型1の周辺は図1に示す構造になっており、受け型1の背面に供給された高圧のガスを受け面から噴出できるようになっている。また、図2に示すように配管されているので、このガスの噴出流量を2段階に切り替えることができる。すなわち、図2に示す2系統の流量調整用の配管のうち、上部の配管においては小流量のガス流量V1をが流れるように流量制御バルブ10を調整し、また、下部の配管においては大流量のガス流量V2が流れるように調整し、各々の開閉コック12の開閉により、受け型1から噴出するガスの流量を調整した。具体的には、大流量のガスを必要とする時は、2系統の配管の両方の開閉コックを開け、V1+V2=V3の流量のガスを流し、小流量のガスを必要とする時は、下部の配管の開閉コック12を閉じ、上部の配管からV1の流量のガスを流した。
【0045】
さて、図3は、ガラス塊を受ける動作の初期状態を示す図であり、溶融ガラス流14の先端部は、流出パイプ13の出口から僅かに出た状態である。この状態において、流量V3の大流量のガスが受け型1の受け面から噴出している。
【0046】
図4は、図3の状態から溶融ガラス流14の流出が進んだ状態を示している。溶融ガラス流14の先端部の下降が進み、受け型1に接近した状態になっている。この状態においても、受け型1の受け面からは流量V3の大流量のガスが噴出している。
【0047】
図5は、図4の状態から更に溶融ガラス流14の流出が進んだ状態を示している。この状態では、受け型1の上に溶融ガラス流14が溜り始めている。この状態でも、受け型1の受け面から流量V3の大流量のガスが上方へ噴出しているので、溶融ガラス流14の先端が受け型1に接触することはなく、浮上した状態になっている。
【0048】
図6は、図5の状態から更に溶融ガラス流14の流出が進んだ状態を示している。この状態でも受け型1の受け面からは流量V3の大流量のガスが噴出しているので、受け型1に受けられた溶融ガラス流の下面は上方へ持ち上げられ、その中央部は大きく凹んでいる。
【0049】
受け型1の上に溜った溶融ガラス流14の重量が所望の値になった時、受け型1を下方へ所定距離下降させ、溶融ガラス流を括れた状態にした。この状態を図7に示す。この状態においても、受け型1からは流量V3の大流量のガスが噴出している。
【0050】
この状態で保持すると、溶融ガラス流14の細く括れた部分は、温度が高く粘度が低いので、直ちに自然切断され、溶融ガラス塊6を得ることができる。その様子を図8に示す。この状態でも受け型1の受け面からは流量V3の大流量のガスが噴出しているので、この溶融ガラス塊6は受け型1から浮上した状態であり、その下面は大きく凹んでいる。
【0051】
溶融ガラス塊6が溶融ガラス流14から自然切断された後、受け型1の受け面から噴出しているガスの流量を、ガス流量調整用配管の開閉コック12を閉めることにより、流量V1に減じた。その時の様子を図9に示す。
【0052】
この時の溶融ガラス塊6の温度は高く、その粘度は低く、容易に変形する。一方、ガス流量を減じると、受け型1の受け面から噴出しているガスの勢いが弱くなる。したがって、ガス流量を減じると、溶融ガラス塊6は自重で下方へと変形し、その結果、溶融ガラス塊6の下面の大きな凹みは無くなり、溶融ガラス塊6の下面の形状は、受け型1の受け面の形状にほぼ倣った形状になる。この様子を図10に示す。なお、この場合、溶融ガラス塊6は、受け型1の受け面から噴出している流量V1のガスにより僅かに浮上しているので、溶融ガラス塊6と受け型1が接触することはない。
【0053】
図11は、上記で説明した本実施例における溶融ガラス塊6の製造方法における、多孔質の受け型から噴出しているガスの流量の径時変化を説明する図である。溶融ガラス流14を受け型1に受け始める(ゴブ受け開始)以前から一定流量V3の大流量のガスが受け型1の受け面から噴出しており、所定の重量の溶融ガラス塊6を受け型1の上に得た後、受け型1を所定距離下降させ、溶融ガラス流14を自然切断(ガラス流切断)し、溶融ガラス塊6を得た後、流量調整用配管の開閉コック12を閉じ、流量を一定流量V1の小流量に減じていることがわかる。
【0054】
このようにして得られた溶融ガラス塊6を、その状態のまま冷却して得られたガラス塊6は、上下面とも自由表面からなっており、その表面は非常に滑らかであり、その下面の形状は受け型1の形状にほぼ倣っている。このガラス塊6は、大きな凹みが無いために、プレス成形して光学素子に成形した時に、「ガス残り」などの欠陥部分が発生することは無い。また、このガラス塊6は、その表面が非常に滑らかなため、プレス成形して光学素子に成形した時に、表面欠陥が発生することが無い。すなわち、このガラス塊6をプレス成形することにより、非常に優れた品質の成形光学素子を得ることができる。
【0055】
(実施例)
以下、本実施例のより具体的な実施例について説明する。
【0056】
本実施例では、受け型1の材料として、多孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボンの細孔の平均径は、15μm であった。この受け型1の受け面は、半径15mmの球面に加工されている。前記受け型材料として日本カーボン株式会社の品種ビトローP,F(VCP−0.5)を用いるとよい。
【0057】
加熱ブロック2は、ステンレス鋼で作られており、その内部に内蔵されたカートリッジヒータ3により、常時 400℃に保たれている。
【0058】
本実施例では、ガラス塊6を浮上させるためのガスとして、窒素ガスを用いた。図2に示す構造のガス配管に導入された高圧の窒素ガスは、減圧弁8で0.2MPaの圧力に減圧された後、2系統の流量調整用の配管に分配される。図2に示す上部の流量調整用配管では、流量制御バルブ10を調整し、毎分5lの流量の窒素ガスが流れるようにした。また、下部の流量調整用配管では、毎分15lの流量の窒素ガスが流れるように、流量制御バルブを調整した。
【0059】
溶融ガラス流出パイプの出口から液滴状に流出している1000℃の溶融ガラス流を、この受け型1の上に受け、溶融ガラス塊6を得るに際して、図3ないし図10で説明した工程のうち、図3ないし図8の工程においては、2つの流量調整用配管の開閉コック12を両方とも開け、毎分20lの流量の窒素ガスを受け型1の背面のガス供給室4に供給しており、その結果、受け型1の受け面からは毎分20lの窒素ガスが噴出している。また、図9および図10の工程においては、下部の流量調整用配管の開閉コックを閉じ、毎分5lの窒素ガスをガス供給室4に供給し、受け型1の受け面から噴出した。
【0060】
また、図3ないし図6に示す工程において、受け型1は、溶融ガラス流出パイプ13の下方10mmの位置に固定されている。そして、図4に示すように、溶融ガラス流14を受け型1に受け始め、5秒後に、図6に示すように受け型1の上に溶融ガラス流の重量が所望の重量である2gになった。そこで、そこで受け型1を10mm下降させ、図7に示すように、溶融ガラスを細長く括れた状態にした。この状態で保持すると、細長く括れた溶融ガラス流は、直ちに、自然に切断され、図8に示すように、溶融ガラス塊6を受け型1の上に得ることができた。なお、この図3ないし図8の工程の間、受け型1の受け面からは毎分20lの大流量の窒素ガスが噴出しているので、溶融ガラス流14または溶融ガラス塊6が、多孔質の受け型1と接触することは無く、その結果、溶融ガラス塊6の下面は滑らかな自由表面である。しかし、その中央部は、受け型1の受け面から噴出している多量の窒素ガスにより上方に持ち上げられ大きく凹んでいる。
【0061】
図9および図10の工程において、受け型1の受け面から噴出している窒素ガスの流量を毎分5lに減少したので、噴出している窒素ガスの勢いが弱くなった。そして、この時、受け型1の上に浮上保持されている溶融ガラス塊6の温度は 800℃であり、その粘度は低く十分な流動性がある。したがって、溶融ガラス塊6の下面の大きく凹んだ部分は、その自重によって下方へ流動変形する。その結果、溶融ガラス塊6の下面の形状は、受け型1の受け面の形状にほぼ倣った形状になる。なお、この間、受け型1の受け面からは毎分5lの窒素ガスが噴出しているので、溶融ガラス塊6と受け型1が接触することなく、溶融ガラス塊6は、受け型1から浮上した状態で保持され、その下面は滑らかな自由表面になっている。
【0062】
また、この間、加熱ブロック2は 400℃に保たれており、ガス供給室4には室温の窒素ガスを供給しているので、この窒素ガスにより浮上保持されているガラス塊6の温度は徐々に下がり、その状態のまま固化する。したがって、このようにして得られたガラス塊6は、上下面とも滑らかな自由表面からなっており、その下面に凹みも無いので、光学素子成形用素材として優れている。すなわち、このガラス塊6をプレス成形して得た成形光学素子は、「ガス残り」などの形状欠陥や、「曇り」などの外観欠陥が発生しない。
【0063】
次に、本実施例に対する比較例を示す。
【0064】
まず、1点目の比較例として、窒素ガス流量を常に毎分20lとし、その他の条件を本実施例と同じにした場合に得られたガラス塊の断面形状を図12に示す。上記実施例の項で説明したように、毎分20lの窒素ガスで溶融ガラス塊6を浮上保持した場合、溶融ガラス塊6と受け型1が接触することは無いが、その下面は大きく凹んでしまう。本比較例では、その状態のまま固化してしまうので、得られたガラス塊6の下面は大きく凹んでいる。このようなガラス塊6をプレス成形すると、得られた成形光学素子に「ガス残り」と呼ばれる形状欠陥が発生する。
【0065】
次に、2点目の比較例として、窒素ガス流量を常に毎分5lとし、その他の条件を本実施例と同じにした場合に得られたガラス塊の断面形状を図13に示す。毎分5lの窒素ガスを受け型1の受け面から噴出させた状態では、ガスの勢いが弱いので、溶融ガラス流出パイプ13の出口から流出してくる溶融ガラス流14の先端部が受け型1の受け面と接触してしまう。その結果、得られたガラス塊6の下面の中央部には、多孔質の受け型1の細孔の凸凹を転写し、凸凹が発生する。このようなガラス塊6をプレス成形した場合、この凸凹部が「曇り」と呼ばれる外観欠陥になる。
【0066】
本実施例特有の効果としては、
受け型との接触痕である凸凹がなく、上下面とも滑らかな自由表面からなり、下面に大きな凹みのない、光学素子成形用素材として適したガラス塊を、単純な構成の安価な装置で得ることができるので、光学素子成形用として適した高精度のガラス塊を安価に確実に得ることができる点がある。
【0067】
(第2の実施例)
第2の実施例では、溶融ガラス流を受け型に受けて、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るに際して、第1の実施例とは異なる実施形態について説明する。
【0068】
図14は、本実施例による、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装置の受け型の部分の構成を概略説明するための図である。
【0069】
15は多孔質の材料からなる受け型部材であり、4は受け型部材15の受け面の背部に設けられたガス供給室であり、5はガス供給室4にガスを供給するためのガス供給管である。16は受け型部材15のガラス受け部の側面壁の背部に円周状に設けられたガス供給室であり、17はガス供給室16にガスを供給するためのガス供給管である。
【0070】
図15は、本実施例による、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装置の受け型部材へのガス配管の部分の構成を概略説明するための図である。
【0071】
7はガス供給源、8は減圧弁、9は圧力計である。18はガス流量を制御するためのマスフローコントローラであり、10は流量制御バルブ、11は流量計である。
【0072】
図16は、本実施例における、ガス流量の変化を説明する図である。
【0073】
図14に示すように、多孔質の材料からなる受け型部材15は、溶融ガラス流を受けてガラス塊を得るためのガラス受け部が形成されており、そのガラス受け部の受け面の背部にはガス供給室4が、受け型部材15の内部に設けられており、ガス供給管5を通ってガス供給室4へ供給された高圧のガスは、多孔質材料からなる受け型部材15の内部の細孔を通って、受け型部材15の上面の受け面へ噴出する。また、ガラス受け部の側面壁の背部に、円周状のガス供給室16が設けられており、ガス供給管17を通ってガス供給室17へ供給された高圧のガスは、受け型部材17の細孔を通って、受け型部材17のガラス受け部の側面に噴出する。
【0074】
本実施例では、図15に示すように、ガス供給源7から供給されたガスは、減圧弁8で所望の圧力に減圧された後、ガス供給室4とガス供給室17への2系統の配管へ分配される。ガス供給室4への配管には、マスフローコントローラ18が設置されており、ガス供給室4へ供給するガスの流量を連続的に制御することができる。また、ガス供給室17への配管には、流量制御バルブ10がが設置されており、所望の流量のガスを流すことができる。
【0075】
続いて、本実施例において、溶融ガラス流から溶融ガラス塊を得る場合の動作および作用を説明する。
【0076】
本実施例において、ガス供給室17へは常に一定量のガスを供給し側壁から噴出することにより、溶融ガラス塊6が受け型部材15のガラス受け部の側面壁と接触することを防いでいる。
【0077】
一方、ガス供給室4へ供給するガスの流量は、溶融ガラス流を受け型部材15のガラス受け部に受け、所望の溶融ガラス塊6を得る工程において、初期の状態において大量の流量のガスを供給し、溶融ガラス流をガラス受け部に受け始めた後、マスフローコントローラ18により流量を連続的に減少させ、溶融ガラス塊6を得る工程の後半においては、少量の一定流量のガスを供給して、溶融ガラス塊6を受けた。
【0078】
図16に、上記説明した、ガス供給室4に供給されガラス受け部から噴出しているガスの流量の径時変化を示す。
【0079】
このようにガスが噴出している状態で、溶融ガラス流から溶融ガラス塊を得ることにより、以下に示す作用がある。溶融ガラス流をガラス受け部に受け始める時には、ガラス受け部から大量のガスが勢いよく噴出しているので、溶融ガラス流の先端部は浮上した状態になっている。その後、ガス流量を少なくし、噴出するガスの勢いを弱くすると、ガラス受け部に受けられた溶融ガラス流または溶融ガラス塊は自重で下方に下がってくるので、その下面の凹みは無くなり、ガラス受け部の形状にほぼ倣った形状になる。
【0080】
すなわち、このようにして得られた溶融ガラス塊6の下面は、受け型部材15のガラス受け部と接触することはなく滑らかな自由表面であり、その形状はガラス受け部の形状に倣っている。したがって、このガラス塊は、光学素子成形用素材として大変適している。
【0081】
以下、本実施例のより具体的な実施形態について説明する。
【0082】
本実施例では、受け型部材15の材料として、多孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボンの細孔の平均径は、15μmであった。受け型部材15のガラス受け部は、半径30mmの凸球面に加工されている。また、受け型部材15は、ヒータを内蔵していないので、常時室温である。
【0083】
本実施例では、ガラス塊6を浮上させるためのガスとして、窒素ガスを用いた。図15に示す構造のガス配管に導入された高圧の窒素ガスは、減圧弁8で0.2MPaの圧力に減圧された後、ガス供給室4とガス供給室16への配管に分配される。ガス供給室16への配管では、流量制御バルブ10を調整し、毎分5lの流量の窒素ガスが流れるようにした。また、ガス供給室4への配管では、マスフローコントローラ18により、最初毎分20lの窒素が流れるようにし、続いて窒素ガス流量が毎分5lになるまで、2秒かけて連続的に窒素ガス流量を減少するように、ガス流量を制御した。
【0084】
溶融ガラス流出パイプの出口から液滴状に流出している1000℃の溶融ガラス流を、この受け型部材15のガラス受け部の上に受け、溶融ガラス塊6を得るに際して、まず最初、受け型部材15は、溶融ガラス流出パイプの下方10mmの位置に固定される。そして、ガス供給室4から毎分20l、ガス供給室16から毎分5lの流量の窒素ガスがガラス受け部に噴出している状態で、溶融ガラス流を受け型部材15のガラス受け部に受け始める。溶融ガラス流をガラス受け部に受け初め、1秒後に、ガス供給室4に供給されているガスの流量を毎分5lまで2秒かけて連続的に減少させた。ガスの流量が毎分5lになって 0.5秒後に、ガラス受け部の上に溜った溶融ガラス流の重量が所望の重量である3gになった。そこで、受け型部材15を10mm下降させ、溶融ガラス流を細長く括れた状態にした。この状態で保持すると、細長く括れた溶融ガラス流は、直ちに、自然に切断され、溶融ガラス塊をガラス受け部の上に得ることができた。
【0085】
本実施例では、溶融ガラス流を切断して溶融ガラス塊を得た時点において、すでにガラス受け部から噴出する窒素ガスの流量を少なくしているので、この時点において、溶融ガラス塊の下面の形状は、ガラス受け部の形状にほぼ倣った形状をしており、大きな凹みは無い。なお、この間、溶融ガラス流および溶融ガラス塊の下面はガラス受け面から噴出している窒素ガスにより常に浮上しているので、滑らかな自由表面であり、また、ガラス受け部の側面壁からも窒素ガスが噴出しているので、この部分で溶融ガラス塊と受け型部材が接触することもない。
【0086】
また、溶融ガラス塊の上面は、溶融ガラスの表面張力により凸形状をしている。この結果、本実施例で得られたガラス塊の形状は、図14に示すように、凹メニスカス形状をしており、その下面、上面、側面ともに滑らかな自由表面からなっている。
【0087】
本実施例では、加熱していない受け型部材に室温の窒素ガスを供給しているので、この窒素ガスにより浮上保持されているガラス塊は、その状態のまま温度が下がり固化する。したがって、このようにして得られたガラス塊6は、上下面とも滑らかな自由表面からなっており、その下面に凹みも無いので、光学素子成形用素材として優れている。すなわち、このガラス塊6をプレス成形して得た成形光学素子は、「ガス残り」などの形状欠陥や、「曇り」などの外観欠陥が発生しない。
【0088】
本実施例特有の効果としては、以下の点がある。
▲1▼ 多孔質材料からなる受け型部材との接触痕である凸凹がなく、上下面とも滑らかな自由表面からなり、下面に大きな凹みのない、光学素子成形用素材として適したガラス塊を、特に、凹メニスカスレンズ成形用として適した凹メニスカス形状のガラス塊を安価に確実に得ることができる点。
▲2▼ 溶融ガラス流および溶融ガラス塊を浮上保持するためのガスの流量をマスフローコントローラで自在にコントロールできるので、得るガラス塊の形状および大きさに対して、最適の流量および流量変化タイミングを容易に設定することができる点。
▲3▼ 溶融ガラス流を切断する以前の早い時点で、受け型部材から噴出しているガスの流量を小さくするので、その時点におけるガラスの温度が高く変形しやすく、そのため、高温のガスによりガラス塊を浮上保持させる必要がなく、その結果、受け型部材に加熱ヒータを内蔵する必要がなく装置コストが下がる点。
【0089】
(第3の実施例)
第3の実施例では、溶融ガラス流を受け型に受けて溶融ガラス塊を得、この溶融ガラス塊を上型でプレス成形して、光学素子成形用素材となるガラス塊を得る実施形態について説明する。
【0090】
図17は、本実施例による、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るための装置の受け型および上型の部分の構成を概略説明するための図である。
【0091】
1は多孔質の材料からなる受け型、2は受け型1を保持し加熱するための加熱ブロック、3は加熱ブロック2の内部に設置されたカートリッジヒータ、4は加熱ブロック2の内部に設けられたガス供給室、5はガス供給室にガスを供給するためのガス供給管、19はガス供給管5の内部に設置された巻き線ヒータである。また、20は多孔質の材料からなる上型、21は上型20を保持し加熱するための加熱ブロック、22は加熱ブロック21の内部に設置されたカートリッジヒータ、23は加熱ブロック21の内部に設けられたガス供給室、24はガス供給室23にガスを供給するためのガス供給管、25はガス供給管24の内部に設置された巻き線ヒータである。また、6は受け型1の上に得られ、また、上型20でプレス成形して得られたガラス塊である。
【0092】
図18は、本実施例において、受け型1の上に溶融ガラス塊6を受けた状態を説明する図である。
【0093】
図19は、本実施例において、受け型1に供給されるガスの流量の変化を説明する図である。
【0094】
図17に示すように、受け型1の背面および背面外周部にはガス供給室4が配置されており、ガス供給管5を通ってガス供給室4へ供給された高圧のガスは、多孔質材料からなる受け型1の内部の細孔を通って、受け型1の上面の受け面へ噴出する。この時、巻き線ヒータ19を加熱することにより、高温のガスを供給することができる。
【0095】
ガスの流量は、マスフローコントローラ(図示せず)により制御した。
【0096】
受け型1の上に、溶融ガラス流から溶融ガラス塊6を受ける工程は、以下に示すようである。溶融ガラス流を受け型1の上に受け始め、溶融ガラス流を切断し、溶融ガラス塊6を得るまで、大流量のガスを流し、溶融ガラス塊を確実に浮上させた。その後、ガス流量を少なくした状態で、溶融ガラス塊6を浮上させた。その状態を図18に示すが、凹メニスカス形状の溶融ガラス塊6を得ることができた。
【0097】
本実施例では、加熱ブロック2は高温に加熱されており、ガスも巻き線ヒータ19で高温に加熱された状況で供給されているので、このガスで浮上保持されている溶融ガラス塊6の温度の低下は遅い。
【0098】
このような状態の溶融ガラス塊6を、上型20でプレス成形して、所望の形状のガラス塊6を得た。
【0099】
図17に示すように、上型20の背面にはガス供給室23が配置されており、ガス供給管24を通ってガス供給室23へ供給された高圧のガスは、多孔質材料からなる上型20の内部の細孔を通って、上型20の下面の成形面へ噴出する。この時、巻き線ヒータ25を加熱することにより、高温のガスを供給することができる。ガスの流量は、一定値に制御した。
【0100】
この状態の上型20を、上方から溶融ガラス塊6に接近させ、溶融ガラス塊6のプレス成形を開始した。この時、上型20の下降速度を遅くした。このことにより、プレス成形時に、溶融ガラス塊6と受け型1または上型20とが接触することはない。その結果、図17に示すように、所望の形状のガラス塊6を、受け型1からも上型20からも非接触の状態で得ることができた。
【0101】
このガラス塊6は、上下面とも非常に滑らかな自由表面であり、その形状は、受け型1と上型20の形状に倣っているので、光学素子成形用素材として大変適している。
【0102】
以下、本実施例のより具体的な実施形態について説明する。
【0103】
本実施例では、受け型1の材料として、多孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボンの細孔の平均径は、15μm であった。この受け型1の受け面は、半径30mmの凸球面に加工されている。
【0104】
加熱ブロック2は、ステンレス鋼で作られており、その内部に内蔵されたカートリッジヒータ3により、常時 500℃に保たれている。
【0105】
本実施例では、ガラス塊6を浮上させるためのガスとして、窒素ガスを用いた。この窒素ガスは、ガス供給管5の内部に設置された白金製の巻き線ヒータ19により 600℃に加熱されている。窒素ガスの流量は、マスフローメータにより制御され、溶融ガラス流を受け型に受ける時点では、毎分40l流れるようになっている。
【0106】
溶融ガラス流出パイプの出口から液滴状に流出している1000℃の溶融ガラス流を、この受け型1の上に受け、溶融ガラス塊6を得るに際して、まず最初、受け型1は、溶融ガラス流出パイプの下方10mmの位置に固定される。そして、ガス供給室4から毎分40lの流量の窒素ガスがガラス受け面に噴出している状態で、溶融ガラス流を受け型1の受け面に受け始める。溶融ガラス流を受け型1に受け初め5秒後に、ガラス受け部の上に溜った溶融ガラス流の重量が所望の重量の4gになった。そこで、受け型1を10mm下降させ、溶融ガラス流を細長く括れた状態にした。この状態で保持すると、細長く括れた溶融ガラス流は、直ちに、自然に切断され、溶融ガラス塊6を受け型1の上に得ることができた。
【0107】
その後、ガスの流量を2秒かけて毎分10lまで連続的に減少させた。
【0108】
そして、溶融ガラス塊6を受け型1の上に浮上保持した状態で、受け型1を、ガラス溶融るつぼの溶融ガラス流出パイプの下から、上型20からなるプレスステーションへと移動した。この状態の溶融ガラス塊6は、図18のように、凹メニスカス形状をしている。
【0109】
一方、本実施例では、上型20の材料として、多孔質のカーボンを用いた。この多孔質のカーボンの細孔の平均径は、15μm であった。この上型20の成形面は、半径30mmの凸球面に加工されている。
【0110】
加熱ブロック21は、ステンレス鋼で作られており、その内部に内蔵されたカートリッジヒータ22により、常時 500℃に保たれている。
【0111】
本実施例では、上型20から噴出するガスとして、窒素ガスを用いた。この窒素ガスは、ガス供給管24の内部に設置された白金製の巻き線ヒータ25により 600℃に加熱されている。窒素ガスの流量は、流量制御バルブにより制御され、常に毎分10l流れるようになっている。
【0112】
この状態の上型20を、受け型1の上に浮上保持されている溶融ガラス塊6の上方から接近させた。上型20が溶融ガラス塊6の近傍まで下降した後、上型20の下降速度を毎秒0.1mm に減速し、この状態で溶融ガラス塊6のプレス成形を開始した。このようにしてプレス成形することにより、溶融ガラス塊6は、受け型1にも上型20にも接触することなく、常にガスにより浮上した状態に保持されている。したがって、このようにプレス成形して得られたガラス塊6は、上下面とも非常に滑らかな自由表面からなっている。
【0113】
なお、プレス成形時には、溶融光学ガラス塊6の温度は高く粘度が低いので、プレス成形に要する力は弱く、本実施例では、500 Nの力でプレス成形した。
【0114】
プレス成形が終了した後、その状態のまま、巻き線ヒータ19および25によるガスの加熱をやめ、室温のガスを供給した。その状態でガラス塊6を冷却した後、このガラス塊6を取り出した。
【0115】
このようにして得られたガラス塊6は、上下面とも滑らかな自由表面からなっており、その下面に凹みも無く、上下面とも型の形状に倣い、両凹形状をしており、光学素子成形用素材として優れている。すなわち、このガラス塊6をプレス成形して得た成形光学素子は、「ガス残り」などの形状欠陥や、「曇り」などの外観欠陥が発生しない。
【0116】
本実施例特有の効果として以下の点がある。
▲1▼ 多孔質材料からなる受け型および上型との接触痕である凸凹がなく、上下面とも滑らかな自由表面からなり、下面に大きな凹みのない、光学素子成形用素材として適したガラス塊を、特に、両凹レンズ成形用として適した両凹形状のガラス塊を安価に確実に得ることができる点。
▲2▼ 溶融ガラス流および溶融ガラス塊を浮上保持するためのガスの流量をマスフローコントローラで自在にコントロールできるので、得るガラス塊の形状および大きさに対して、最適の流量および流量変化タイミングを容易に設定することができる点。
▲3▼ 高温のガスで溶融ガラス塊を浮上保持しているので、長い時間にわたり溶融ガラス塊を高温に保つ事ができ、上型による溶融ガラス塊のプレスを弱い力で行えるため、簡単な装置で成形を行え、装置コストが安くなる点。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願にかかる発明によれば、
溶融ガラス流を受け型に受けガラス塊を得る場合に、ガラス塊の下面に発生する大きな凹みの発生を防止することができる。
【0118】
このようにして得られたガラス塊は、その下面に大きな凹みはなく、受け型の受け面の形状にほぼ倣っており、また、受け型との接触痕もなく、その上下面ともに非常に滑らかな自由表面からなっているので、光学素子成形用素材として非常に優れている。
【0119】
すなわち、光学素子成形用素材として適したガラス塊を確実に得ることができるので、光学素子成形用素材となるガラス塊の精度を良くすると共に、その製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の装置構成を説明する図
【図2】第1の実施例の動作を説明する図
【図3】第1の実施例の動作を説明する図
【図4】第1の実施例の動作を説明する図
【図5】第1の実施例の動作を説明する図
【図6】第1の実施例の動作を説明する図
【図7】第1の実施例の動作を説明する図
【図8】第1の実施例の動作を説明する図
【図9】第1の実施例の動作を説明する図
【図10】第1の実施例の動作を説明する図
【図11】第1の実施例のガス流量の変化を説明する図
【図12】比較例により得られたガラス塊の形状を説明する図
【図13】比較例により得られたガラス塊の形状を説明する図
【図14】第2の実施例の装置構成を説明する図
【図15】第2の実施例の装置構成を説明する図
【図16】第2の実施例のガス流量の変化を説明する図
【図17】第3の実施例の装置構成を説明する図
【図18】第3の実施例の装置構成を説明する図
【図19】第3の実施例のガス流量の変化を説明する図
【符号の説明】
1 受け型
2 加熱ブロック
4 ガス供給室
5 ガス供給管
6 ガラス塊
13 溶融ガラス流出パイプ
14 溶融ガラス流
20 上型

Claims (1)

  1. 溶融ガラスの流出パイプの出口から流出する溶融ガラス流を、多孔質の材料からなる受け型に受けて、光学素子成形用素材となるガラス塊を得るに際して、
    この多孔質の受け型の背面に高圧のガスを供給し、この多孔質の受け型の受け面からこのガスを噴出している状態で、溶融ガラス流を浮上状態で受けることにより、所望のガラス塊を得る工程において、
    この多孔質の受け型に供給され噴出されるガスの流量が、この工程の初期段階においては多く噴出させて前記溶融ガラスを浮上状態に維持させ、前記溶融ガラス流を自然切断することで溶融ガラス塊を得た後、前記噴出ガスの流量を減少させて前記溶融ガラス塊を冷却することで、前記ガラス塊の下面に大きな凹み部分の無いガラス塊を得ることを特徴とする光学素子の製造方法。
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