JP2015227270A - ガラスプリフォームの製造方法 - Google Patents

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健児 杉▲崎▼
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【課題】本発明は、凹面を有するプリフォームを、浮上成形により効率的に成形可能なプリフォームの製造方法を提供する。【解決手段】成形型10のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、プリフォーム形成面10a上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、溶融ガラスをプリフォーム形成面10a上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有し、溶融ガラス供給工程において、成形型10のプリフォーム形成面10aの曲率半径Rk(mm)を75 ≦ Rk、かつ、プリフォーム形成面10aに供給される溶融ガラスの体積V(cm3)を0.1 ≦ V ≦ 10.0とし、凹形状を有するプリフォーム51を得るガラスプリフォームの製造方法。【選択図】図1C

Description

本発明はガラスプリフォームの製造方法に係り、特に、光学素子等のガラス成形品をプレス成形するために用いられる凹形状を有するガラスプリフォームの製造方法に関する。
近年、非球面ガラスレンズ等の製造方法として、成形型による高精度のプレス成形技術が開発され、広く使用されている。このプレス成形に用いる成形予備体(以下、プリフォームと言う)には、ミリグラム単位の質量精度が要求され、用途上、脈理、傷、泡などの欠陥や洗浄で除去できない表面付着物の存在は許されない。
このようなプリフォームを安価に量産する方法としては、成形面から気体を上方に噴出させながら成形するもの、例えば、凹形状のプリフォーム形成面を有し、該プリフォーム形成面にはガス噴出口が設けられた成形型を用い、被成形物である溶融ガラス塊を上記プリフォーム形成面上で浮上させながら、溶融ガラス塊をプリフォーム形状に成形する浮上成形による方法が知られている。
このようなプリフォームは、一般には球状または両凸形状に形成され、浮上成形により得られたプリフォームを、そのままプレス成形に使用できる。しかし、プレス成形による成形後のガラス成形体が両凸形状やそれに近い形状の場合には問題ないが、ガラス成形体の一方又は両方の面が凹形状を有する場合には、効率的にプレス成形ができない場合があった。すなわち、プレス用の成形型のプレス面(成形体が凹形状を有する場合、その凹形状に対応する凸形状)とプリフォームの表面(凸形状)とが互いに凸形状であるため、プレス時にプリフォームの安定性が悪くなり、位置ずれ等が生じて、片側に偏るなどにより所望の形状に成形できない場合があった。
そのため、凹形状を有するガラス成形体を安定してプレス成型できるようにするため、プリフォーム形状も凹形状とする方法が用いられている。このようにプリフォームをプレス成形に用いる成形型の表面形状に応じて調整することで、位置ずれを抑制したプレス成形を行うことができる。
ところで、上記のようにプリフォーム形状を凹形状とするには、上記浮上成形により一旦形成した球状または両凸形状のプリフォームの片面または両面を研磨して凹面を形成する方法や、プリフォームの凹形状に対応した凸形状を有するプリフォーム形成用の成形型を用いて浮上成形させる方法等が、知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2009−256127号公報 特開2010−18461号公報
しかしながら、研磨による方法は、一旦ガラス塊を形成した後に、所望の形状に研磨する工程が入るため、手間がかかり、さらにガラス塊を削るため廃棄されるガラス量が多くなってしまい、ガラス材料を効率的に使用することができない。
また、上記特許文献の浮上成形方法は、成形型のプリフォーム形成面の形状に沿った、いわば転写形状に近いプリフォーム形状にしようとするもので、異なるプリフォーム形状を得るためにはプリフォーム形状ごとに成形型を準備しなければならず、効率的にプリフォームを形成することが難しい。さらに、上記特許文献の浮上成形は、側壁部をガラス塊に接触させるため、接触部分に皺ができ、これがプレス成形時に残ってしまい、所望のガラス成形体が得られないおそれがあった。
そこで、本発明は、凹形状を有するプリフォームを、浮上成形により効率的に成形可能なプリフォームの製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討した結果、成形型の中央部においてガス溜まりを形成させ得る条件とすることで、成形型のプリフォーム形成面を凹形状に形成できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明のガラスプリフォームの製造方法は、成形型のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、前記プリフォーム形成面上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、前記溶融ガラスを前記プリフォーム形成面上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有するガラスプリフォームの製造方法であって、前記溶融ガラス供給工程において、前記成形型のプリフォーム形成面の曲率半径Rk(mm)が次の式(1)を満たす凹状であり、かつ、前記プリフォーム形成面に供給される前記溶融ガラスの体積V(cm)が次の式(2)を満たすものとし、
75 ≦ Rk …(1)
0.1 ≦ V ≦ 10.0 …(2)
前記プリフォーム形成工程において、得られるプリフォームが凹形状を有することを特徴とする。
また、本発明の他のガラスプリフォームの製造方法は、成形型のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、前記プリフォーム形成面上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、前記溶融ガラスを前記プリフォーム形成面上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有するガラスプリフォームの製造方法であって、前記溶融ガラス供給工程において、前記成形型のプリフォーム形成面が平面形状であり、かつ、前記プリフォーム形成面に供給される前記溶融ガラスの体積V(cm)が次の式(3)を満たし、
0.1 ≦ V ≦ 3.0 …(3)
前記プリフォーム形成工程において、得られるプリフォームが凹形状を有することを特徴とする。
また、本発明のさらに他のガラスプリフォームの製造方法は、成形型のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、前記プリフォーム形成面上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、前記溶融ガラスを前記プリフォーム形成面上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有するガラスプリフォームの製造方法であって、前記溶融ガラス供給工程において、前記成形型のプリフォーム形成面の曲率半径Rk(mm)が次の式(4)を満たす凹状であり、かつ、前記プリフォーム形成面に供給される前記溶融ガラスの体積V(cm)が次の式(5)を満たし、
20 ≦ Rk ≦ 40 …(4)
0.1 ≦ V ≦ 10.0 …(5)
前記プリフォーム形成工程において、前記溶融ガラスの上方に、下方に向かってガスを噴出可能な上押型を配置し、該上押型からガスを噴出させることにより前記溶融ガラスを下方に押しながら冷却し、固化させて得られるプリフォームが凹形状を有することを特徴とする。
本発明のガラスプリフォームの製造方法によれば、プリフォーム形成面において噴出させたガスにより成形面の中央部にガス溜まりを生じさせ、凹形状を有するガラスプリフォームが製造できる。また、本発明のガラスプリフォームの製造方法は、浮上ガスにより形成されるため、表面が滑らかなガラスプリフォームを、簡便な操作により製造できる。さらに、本発明のガラスプリフォームの製造方法は、研削・研磨等を使用せずに済むため、ガラスプリフォームを、低コストで、製造できる。
そして、このようにして得られた凹形状を有するガラスプリフォームを使用することで、プレス成形体が凹形状を有する場合、その凹形状側を合わせることで、安定してプレス成形を行うことができる。
本発明の第1の実施形態に係るガラスプリフォームの製造方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係るガラスプリフォームの製造方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係るガラスプリフォームの製造方法を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に用いる成形型の断面図である。 本発明の第3の実施形態に用いる成形型の断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るガラスプリフォームの製造方法を説明するための図である。 例1において、得られたプリフォーム下面の曲率半径R1とプリフォームの体積との関係を示した図である。 例2において、得られたプリフォーム下面の曲率半径R1とプリフォームの体積との関係を示した図である。 例3において、得られたプリフォーム下面の曲率半径R1とプリフォームの体積との関係を示した図である。 例4において、得られたプリフォーム下面の曲率半径R1とプリフォームの体積との関係を示した図である。 図4〜図7から得られるグラフにおける関係式の傾きとプリフォーム形成面の曲率半径Rkとの関係を示した図である。
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで、図1A〜1Cは本実施形態のプリフォームの製造方法を説明するための図であり、該製造方法に適用する成形型10及び成形時における溶融ガラス等を断面図で示したものである。
これらの図に示しているように、ここで用いる成形型10は、溶融ガラス塊を浮上成形によりガラスプリフォームとするための成形型である。したがって、この成形型10には、その中央部に溶融ガラス塊を収容し、該溶融ガラス塊をプリフォーム形状に成形するためのプリフォーム形成面10aが設けられている。このプリフォーム形成面10aは、成形型の上面に凹状に設けられ、所定の曲率半径を有して形成されている。
ここで、成形型10のプリフォーム形成面10aは、上記の通り所定の曲率半径を有する凹状に形成されるものであるが、この第1の実施形態においては、そのプリフォーム形成面の曲率半径Rkが次の式(1)を満たすものである。
75 ≦ Rk …(1)
なお、ここで、プリフォーム形成面10aの曲率半径Rkは、滴下された溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域における曲率半径である。また、その領域内で曲率半径が変化する場合には、取得するプリフォームの直径と同じ直径の領域内の曲率半径の面積に対する加重平均値をプリフォーム形成面10aの曲率半径とする。この曲率半径Rkは、500mm以下が好ましく、200mm以下がより好ましい。
また、このプリフォーム形成面10aは、溶融ガラス塊を浮上させながらプリフォーム形状とするため、そのプリフォーム形成面10aの表面から溶融ガラス塊50を上方に押し上げる浮上ガスが噴出できるようになっている。
この成形型10は、上記のように浮上ガスが噴出できるように形成されるが、浮上ガスの噴出を可能とするためには、成形型10を多孔質体で形成するか又は成形型10の内部にガスの流路となる貫通孔を形成して、成形型10の内部を通過した浮上ガスがプリフォーム形成面10aから噴出できるようにすればよい。
成形型10を多孔質体により形成するとき、その材質は、多孔質カーボン、多孔質セラミックス、多孔質金属等が挙げられる。また、成形型10にガスの流路として貫通孔を設ける場合には、ガラスプリフォームを形成可能な耐熱性を有すれば特に限定されず、例えば、耐熱性ステンレス、ダクタイル鋳鉄、カーボン、超硬、炭化ケイ素、貴金属等が挙げられる。
次に、第1の実施形態のプリフォームの製造方法について、プリフォームの成形型10を用いた場合を例に、図1A〜1Cを参照しながら以下説明する。図1A〜1Cは、プリフォームの製造方法を説明するためのもので、製造過程を順番に示した図である。
まず、溶融されたガラス材料を流出させることができるノズル80の下方に、プリフォーム成形型10を配置する。このとき、プリフォーム成形型10を所定の温度に加熱しておき、さらに、ノズル80の外周にはヒータを配置してガラス材料が供給時においても所定の流動性を保持するようにノズル80も加熱するようにする。なお、プリフォーム成形型10の加熱温度は、浮上成形が可能な温度であればよく、例えば、100〜500℃に加熱することが好ましい。
次いで、プリフォーム成形型10のプリフォーム形成面10aから浮上ガスを噴出させる(図1A)。ここで、図1Aで示した矢印は浮上ガスの流れを模式的に示したもので、浮上ガスが、成形型10に供給され、さらに、プリフォーム形成面10aから上方に向かって噴出されることを意味する。
このとき使用される浮上ガスは、プリフォーム形成面10aにおいて溶融ガラス塊50を浮上させながらプリフォーム形状にでき、その際、溶融ガラスと反応しないものであれば特に限定されずに用いることができる。例えば、噴出させる気体としては、空気、窒素、乾燥空気等であることが好ましく、そのガスの温度は溶融ガラスが徐々に冷却、固化するように室温〜600℃が好ましく、300〜600℃がより好ましい。
次に、プリフォーム形成面10aからガスを噴出させながら、該プリフォーム形成面10aに溶融ガラスを滴下する。滴下された溶融ガラスを、噴出させたガスにより受け止め、そのまま溶融ガラス塊50が成形面と接触しないようにガスを流し続ける(図1B)。
このとき、滴下される溶融ガラス塊50の体積V(cm)は、次の式(2)を満たすようにする。
0.1 ≦ V ≦ 10.0 …(2)
なお、ここで、溶融ガラス塊の体積は、5.0cm以下が好ましく、3.0cm以下がより好ましい。
このように、使用する成形型のプリフォーム形成面10aの曲率半径Rkと、滴下される溶融ガラス塊50の体積Vと、を上記の式(1)および式(2)を満たすようにすることで、プリフォーム形成面10aの中央部に空気溜まりが形成でき、これにより滴下された溶融ガラス塊50の下面中央部を外周部よりも上に押し上げて凹形状とすることができる。そして、溶融ガラス塊50の形状を整えながら溶融ガラス塊を冷却・固化させてプレス成形用のプリフォーム51とする(図1C)。
プリフォーム形成面10aの曲率半径Rkが上記式(1)よりも小さいと、プリフォーム形成面におけるカーブがきつくなるため、浮上ガスは、主に溶融ガラス塊の外周から上方に抜けてしまい、プリフォーム形成面の中央部にガス溜まりが生じにくくなる。そのため、形成されるプリフォームは両凸形状になる可能性が高い。
また、溶融ガラス塊50の体積Vが上記式(2)の範囲よりも小さいと、その表面張力によりガラス塊50自体が凹形状を形成するのが困難となる。また、溶融ガラス塊50の体積Vが上記式(2)の範囲よりも大きいと、その溶融ガラス塊50自体の質量が大きくなるのはもちろん、特に中央部の質量の増加割合が大きいため、ガス流によって押し上げることが困難となる。したがって、これらの場合にも、形成されるプリフォームは凹形状を有さず、両凸形状になる可能性が高い。
これに対し、本実施形態においては、プリフォーム形成面10aの曲率半径Rkと溶融ガラス塊50の体積Vとをそれぞれ所定の条件を満たすようにすることで、研磨等することなく凹形状を有するプリフォーム51を簡便に形成できる。
さらに、上記曲率半径Rkと上記溶融ガラス塊の体積Vとは、それらの比(Rk/V)が、7.5〜5000であることが好ましく、20〜2000であることがより好ましい。この比が上記範囲内であると、安定して凹形状を有するプリフォームを形成できる。
なお、溶融ガラスの滴下は、溶融ガラスの粘度を3〜20dPa・sなる温度にまでヒータにより加熱しておき、十分に溶融されたガラス材料をノズル80によりプリフォーム形成面10aに滴下、供給して行う。ここで、溶融ガラスは、製造するプリフォームの大きさにより、その供給量が決定され、溶融ガラスが所定体積になるように、例えば、ノズル80と成形型10とを離間させて溶融ガラス流を切断すればよい。
切断された溶融ガラス塊50はそのまま落下し、プリフォーム形成面10a近傍まで近づくが、ここで、溶融ガラス塊50がプリフォーム形成面10aと接触すると、プリフォームの表面に微小ではあるが凹凸形状が残ってしまう。そのため、噴出させるガスにより溶融ガラス塊50がプリフォーム形成面10aとなるべく直接接触しないようにする。ただし、この成形の最中は溶融ガラス塊50が上下動する勢いで、成形面にこする程度の接触は生じるが、これは許容範囲であり、プリフォーム表面に極端な凹凸が出ないものであれば問題ない。
また、浮上ガスの噴出量は、上記体積範囲の溶融ガラス塊50を浮上させ、プリフォーム形成面10aとの接触を抑制しながら固化させて、表面形状の滑らかなプレス成形用のプリフォーム51を得ることができる条件であればよい。このときのガス噴出量としては、例えば、成形型のプリフォーム形成面の直径が20mmの場合には、0.1〜10L/分(毎分0.03〜3.18L/cm)が好ましく、0.5〜2L/分(毎分0.16〜0.64L/cm)がより好ましい。成形型のプリフォーム形成面の直径が異なる場合には、直径比の二乗に比例して上述の浮上ガスの噴出量を調整すると良い。また得られるプリフォームの形状安定化のためにプリフォーム形成面10aのポジションごとにガスの噴出量を適宜変えてもよい。
さらに、滴下する溶融ガラスは、その落下速度が必要以上に大きくならないように、ノズル80の先端部と成形型10のプリフォーム形成面10aとの距離を小さくし、落下距離を小さくすることが好ましい。落下距離が大きいと落下の勢いで落下時の溶融ガラス塊50がプリフォーム形成面10aと勢い良く接触して、凹凸形状が転写されてしまう。したがって、上記のようにして落下距離を小さくすることが望ましい。
本実施形態のプレス成形用プリフォームの成形方法は、例えば、複数個のガラスプリフォームの成形型10が回転テーブル外周に等間隔で装着されている装置で行うことができる。上記回転テーブルは、溶融ガラスのキャストに合わせて間欠的に回転している。成形型10のプリフォーム形成面10aに溶融ガラスを受ける際は、溶融ガラスの流出ノズル80にプリフォーム形成面10aを充分接近させ、溶融ガラスを滴下して溶融ガラス塊50を浮上させながらプリフォーム形成面10aに収容する。この直後に回転テーブルを回転させ、流出ノズル80から成形型を退避させ、これと同時に別の成形型10を流出ノズル80の下に配し、連続的に溶融ガラスを滴下、供給する。なお、この溶融ガラスの滴下は2以上の成形型10に対して同時に行うようにしてもよく、その場合には複数個のガラスプリフォームが同時に製造できる。
溶融ガラスが滴下された成形型10は、プリフォーム形成面10aからのガスの噴出を継続する。このように、ガスの噴出を行いながら、上記の溶融ガラスの滴下を連続的に行っていると、最初に滴下された溶融ガラス塊50は成形型10のプリフォーム形成面10a上で浮上しながら、時間の経過により次第に表面の粘性が高まっていき、冷却・固化してプレス成形用のガラスプリフォームとなる。
また、このようにして得られたガラスプリフォームは、加熱、軟化し、プレス成形型でプレス成形する成形素材として用いられる。プレス成形方法及び成形装置は従来公知のものをそのまま利用できる。なお、本実施形態で得られるプリフォームは凹形状の表面を有しており、プレス成形により形成されるプレス成形体の少なくとも一方の面が凹形状である場合に好ましく適用される。
また、ガス噴出量や成形時間を調節することにより得られるガラスプリフォームの凹形状を変化させることができ、条件を適宜設定することで所望の形状とできる。その際、プリフォームの凸状の上面も条件に応じて変化し、調整できる。上面の曲率半径は、例えば、20〜60mmが好ましい。このように形状を成形条件により調整できるため、本実施形態においては、製造するプリフォーム形状ごとに成形型を準備する必要がなく、同一の成形型から様々な曲率半径を有する凹形状のプリフォームを製造できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、使用する成形型と滴下する溶融ガラスの体積が異なるだけであって、それ以外の操作は第1の実施形態と同様である。
すなわち、この第2の実施形態におけるプリフォームの製造方法に適用する成形型としては、例えば、図2に示した成形型20が挙げられる。この成形型20は、溶融ガラス塊を浮上成形によりガラスプリフォームとするための成形型である。したがって、この成形型20には、その中央部に溶融ガラス塊を収容し、該溶融ガラス塊をプリフォーム形状に成形するためのプリフォーム形成面20aが設けられている。このプリフォーム形成面20aは、成形型の上面に窪んで設けられているが、第1の実施形態とは異なり、そのプリフォーム形成面20aは平面状に形成されている。
ここで、プリフォーム形成面20aの平面状に形成されている領域は、滴下された溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域を指す。また、プリフォーム形成面20aの外周部分は成形型の上面に向かって立ち上がって形成されるため、平面状に形成されている領域が、溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域(面積)の90%以上であればよく、95%以上が好ましく、100%がより好ましい。なお本件で平面とは、型の成形面のφ20mmの範囲の球冠高さが±0.2mm程度の場合を含む。
また、このプリフォーム形成面20aは、溶融ガラス塊を浮上させながらプリフォーム形状とするため、そのプリフォーム形成面20aの表面から溶融ガラス塊を上方に押し上げるように浮上ガスが噴出できるようになっている。この点は第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態のプリフォームの成形方法について、以下説明する。なお、使用する成形型が図2のような成形型20であり、滴下する溶融ガラスの体積範囲が異なる以外は、第1の実施形態と同様の操作により凹形状のプリフォームを製造できる。
すなわち、溶融されたガラス材料を流出させることができるノズルの下方にプリフォーム成形型20を配置する。このとき、プリフォーム成形型20を所定の温度に加熱しておく。また、ガラス材料も第1の実施形態と同様に加熱しておく。
次いで、プリフォーム成形型20のプリフォーム形成面20aから浮上ガスを噴出させる。プリフォーム形成面20aからガスを噴出させながら、該プリフォーム形成面20aに溶融したガラスを滴下する。滴下した溶融ガラスを、噴出させたガスにより受け止め、そのまま溶融ガラス塊が成形面と接触しないようにガスを流し続ける。
このとき、滴下する溶融ガラス塊の体積V(cm)を、次の式(3)を満たすようにする。
0.1 ≦ V ≦ 3.0 …(3)
このように、使用する成形型のプリフォーム形成面20aの形状と、滴下する溶融ガラス塊の体積Vと、を上記形状および式(3)を満たすようにすることで、プリフォーム形成面20aの中央部に空気溜まりが形成でき、これにより滴下された溶融ガラス塊の下面中央部を外周部よりも上に押し上げて凹形状とすることができる。そして、溶融ガラス塊の形状を整えながら溶融ガラス塊を冷却・固化させてプレス成形用のプリフォームとする。
また、第2の実施形態における浮上ガスの噴出量としては、例えば、成形型のプリフォーム形成面の直径が20mmの場合には、0.1〜10L/分(毎分0.03〜3.18L/cm)が好ましく、0.5〜6L/分(毎分0.16〜1.91L/cm)がより好ましい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態では、使用する成形型が異なるだけであって、それ以外の操作は第1の実施形態と同様である。
すなわち、この第3の実施形態におけるプリフォームの製造方法に適用する成形型としては、例えば、図3Aに示した成形型30と上押型31とからなる成形型が挙げられる。この成形型30は、溶融ガラス塊を浮上成形によりガラスプリフォームとするための成形型である。したがって、この成形型30には、その中央部に溶融ガラス塊を収容し、該溶融ガラス塊をプリフォーム形状に成形するためのプリフォーム形成面30aが設けられている。このプリフォーム形成面30aは、成形型の上面に窪んで設けられ、所定の曲率半径を有して形成されている。
ここで、成形型30のプリフォーム形成面30aは、上記の通り所定の曲率半径を有する凹状に形成されるものであるが、この第3の実施形態においては、そのプリフォーム形成面の曲率半径Rkが次の式(4)を満たすものである。
20 ≦ Rk ≦ 40 …(4)
なお、ここで、プリフォーム形成面30aの曲率半径Rkは、滴下された溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域における曲率半径である。また、その領域内で曲率半径が変化する場合には、取得するプリフォームの直径と同じ直径の領域内の曲率半径の面積に対する加重平均値をプリフォーム形成面30aの曲率半径とする。
また、このプリフォーム形成面30aは、溶融ガラス塊を浮上させながらプリフォーム形状とするため、そのプリフォーム形成面30aの表面から溶融ガラス塊を上方に押し上げるように浮上ガスが噴出できるようになっている。この点は第1の実施形態と同様である。
そして、本実施形態においては、さらに、上押型31を使用する。この上押型31は、溶融ガラスがプリフォーム形成面30a上に滴下された後、溶融ガラス塊を上方から下方に上押しするものである。このとき、上押しはガス流により行うものであり、上押型31はその底面(下面)から下方に向けてガスを噴出可能なものとすればよい。このようなガス噴出を可能とするために、上押型31は、成形型30と同様に、多孔質体で形成するか又は上押型31の内部にガスの流路として貫通孔を後から形成して、上押型31の内部を通過したガスが下面から噴出できるようにすればよい。
次に、第3の実施形態のプリフォームの成形方法について、以下説明する。なお、使用する成形型が図3Aに示したような成形型30と上押型31からなるものであり、成形型30のプリフォーム形成面30aの曲率半径Rkの範囲と、プリフォーム形成時に、上押型31を使用する点が異なる以外は、第1の実施形態と同様の操作により実施できる。
すなわち、溶融されたガラス材料を、流出させるノズルの下方にプリフォーム成形型30を配置し、次いで、プリフォーム成形型30のプリフォーム形成面30aから浮上ガスを噴出させる。
次に、プリフォーム形成面30aからガスを噴出させながら、該プリフォーム形成面30aに溶融したガラスを滴下する。滴下した溶融ガラスを、噴出させたガスにより受け止め、そのまま溶融ガラス塊が成形面と接触しないようにガスを流し続ける。
このとき、滴下される溶融ガラス塊の体積V(cm)を、次の式(5)を満たすようにする。
0.1 ≦ V ≦ 10.0 …(5)
なお、ここで、溶融ガラス塊の体積は、5.0cm以下が好ましく、3.0cm以下がより好ましい。
さらに、本実施形態では、そのままでは凹形状にできないため、溶融ガラスの滴下後に上押型31を溶融ガラスの鉛直方向上方に配置し、上押型31の下面から下方に向かってガスを噴出させ、該ガスにより溶融ガラス塊をプレスし下方に押し下げる。
このように、使用する成形型のプリフォーム形成面30aの形状と、滴下する溶融ガラス塊の体積Vと、を上記式(4)および式(5)を満たすようにし、さらに、プリフォーム形成時に溶融ガラス塊を上方から押し付けることで、溶融ガラス塊とプリフォーム形成面30aとを近づけて浮上ガスの逃げ道を狭くし、プリフォーム形成面30aの中央部にガス溜まりが形成できる。このガス溜まりにより滴下された溶融ガラス塊50の下面中央部を外周部よりも上に押し上げて凹形状とすることができる。そして、溶融ガラス塊の形状を整えながら溶融ガラス塊を冷却・固化させてプレス成形用のプリフォーム51とする(図3B)。なお、図3Bで示した矢印はガスの流れを模式的に示したもので、ガスが上押型31に供給され、さらに、その下面から下方に向かって噴出されることを意味する。
また、上押型31からのガスによるプレスは、溶融ガラス塊に凹形状を付与し、これをプリフォームに反映させることができればよく、冷却から固化の全ての段階で行ってもよいし、冷却の初期段階のみで行ってもよい。装置構成を簡素に、かつ、成形方法を簡便に行うことができる観点から、上押型31によるガラス塊のプレスは冷却の初期段階のみで行うようにすることが好ましい。
さらに、上記曲率半径Rkと上記溶融ガラス塊の体積Vとは、それらの比(Rk/V)が、2〜400であることが好ましく、6〜200であることがより好ましい。この比が上記範囲内であると、安定して凹形状を有するプリフォームを形成できる。
なお、上押型31から溶融ガラス塊に向けて噴出させるガスの噴出量は、成形型のプリフォーム形成面の直径が20mmの場合には、1〜10L/分(毎分0.03〜3.18L/cm)の範囲が好ましく、溶融ガラス塊の下面が凹状になるような条件とすればよい。また、この上押型31のガス噴出量は、成形型30のプリフォーム形成面30aのガス噴出量よりも多くすることが好ましく、例えば、プリフォーム形成面30aのガス噴出量に対して、2〜4倍のガス噴出量とすることが好ましい。さらに、この上押型31の温度、上押型31から噴出させるガスの温度、は成形型30と浮上ガス(第1の実施形態における成形型10と浮上ガス)と同様のものとすればよい。
以下、実施例と比較例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、例1、4〜6が実施例、例2〜3が比較例である。
(例1)
図1Aのプリフォームの成形型10を用い、以下の方法によりプリフォームの製造を行った。なお、ここで用いた成形型10は、プリフォーム形成面10aの曲率半径Rkが112mmのものであり(溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域において、全領域が上記曲率半径であり、それより外周部分は立ち上がって成形型10の上面に接続される)、開口部すなわちプリフォーム形成面の直径は20mmである。また、この成形型10は、耐熱ステンレスに貫通孔を設けたもので形成され、プリフォーム形成面から上方にガスが噴出できるようになっている。成形ポジションは第1ポジションから第20ポジションまでを円状に並べて配置し、タクト8秒で間欠的に回転して成形可能とする。第1ポジションで溶融ガラスを受け、第2〜第19ポジションでは、溶融ガラス塊を冷却、固化して、第20ポジションでロボットアームによりプリフォームを取り出す。
まず、成形型10を300℃に加熱し、その後600℃の窒素ガスを供給して、プリフォーム形成面10aから1.2L/分(毎分0.38L/cm)の噴出量で噴出させた。次いで、ホウ酸ランタン系のガラス材料を1040℃に加熱して溶融させた溶融ガラスを、プリフォーム形成面10a上に所定量滴下した。このときの溶融ガラスの流出時粘度は12.3dPa・sであった。
第1ポジションでは滴下後、3秒間は1.2L/分、次に0.5L/分(毎分0.16L/cm)の窒素ガスを噴出させながら、タクト8秒で溶融ガラスをプリフォーム形成面10aとなるべく接触させないように溶融ガラスを成形型上で保持した。第2ポジション以降のポジションでは、窒素ガス流量を2L/分(毎分0.64L/cm)とし、徐々に溶融ガラスの形状を整えつつ冷却、固化させて、第20ポジションで取り出しプリフォームを得た。得られたプリフォームは、形成時の下面が凹状で得られ、表面が滑らかで光学素子成形用のプリフォームとして十分な品質を有するものであった。
このとき、プリフォームの体積(滴下した溶融ガラスの体積)は、0.39cm、0.77cm、0.9cm、1.01cm、1.55cmであり、得られたプリフォームの形状について調べたところ、次の表1に示したものであった。
なお、この表1で、全高はプリフォームの最下面から最上面までの高さ、肉厚はプリフォーム中央部における厚さ、外径はプリフォームを平面視したときの最大径、曲率半径R1は形成時におけるプリフォーム下面の曲率半径、曲率半径R2は形成時におけるプリフォーム上面の曲率半径、を表す。ここで、曲率半径R1、R2は、プリフォーム中央部から直径4mmの範囲におけるプリフォーム形状から算出したものである。形状の測定は、凸部、凹部ともに形状測定器(パナソニック社製、商品名:UA3P)により得られたベストフィットRとした。これらの形状の定義、測定方法等は、以下の例においても同様である。なお、曲率半径R1およびR2の測定値で、正の値はプリフォームが凸状となっていることを表し、負の値はプリフォームが凹状となっていることを表している。
Figure 2015227270
これらの結果から、溶融ガラスの体積と形成されるプリフォームの下面の曲率半径との関係を図4に示した。上記結果および図4を参照することで、例1の条件においては溶融ガラスを凹状にしやすく、適用可能な溶融ガラスの体積も広いことがわかる。なお、この図4から関係式y=3.4798x−24.275が得られる。関係式の算出は、表計算ソフト(エクセル(マイクロソフト社製、商品名:オフィス エクセル 2007))で各プロット点を線形近似することにより行った。
(例2)
図1Aのプリフォームの成形型10を用い、以下の方法によりプリフォームの製造を行った。なお、ここで用いた成形型10は、プリフォーム形成面10aの曲率半径Rkが24mmのものであり(溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域において、全領域が上記曲率半径であり、それより外周部分は立ち上がって成形型10の上面に接続される)、開口部の直径は20mmである。また、この成形型10は、多孔質カーボンで形成され、プリフォーム形成面から上方にガスが噴出できるようになっている。
まず、成形型10を250℃に加熱し、その後500℃の窒素ガスを供給して、プリフォーム形成面10aから1.2L/分(毎分0.38L/cm)の噴出量で噴出させた。次いで、ホウ酸ランタン系のガラス材料を1060℃に加熱して溶融させた溶融ガラスを、プリフォーム形成面10a上に所定量滴下した。このときの溶融ガラスの流出時粘度は 9dPa・sであった。
第1ポジションでは滴下後、3秒間は1.2L/分、次に0.5L/分(毎分0.16L/cm)の窒素ガスを噴出させながら、タクト8秒で溶融ガラスをプリフォーム形成面10aとなるべく接触させないように溶融ガラスを成形型上で保持した。第2ポジション以降のポジションでは、窒素ガス流量を2L/分(毎分0.64L/cm)とし、徐々に溶融ガラスの形状を整えつつ冷却、固化させて、第20ポジションで取り出しプリフォームを得た。得られたプリフォームは、形成時の下面が凸状で得られ、表面が滑らかで光学素子成形用のプリフォームとして十分な品質を有するものであった。
このとき、プリフォームの体積(滴下した溶融ガラスの体積)は、0.86cm、1.16cm、1.62cmであり、得られたプリフォームの形状について調べたところ、次の表2に示したものであった。
Figure 2015227270
これらの結果から、溶融ガラスの体積と形成されるプリフォームの下面の曲率半径との関係を図5に示した。上記結果および図5を参照することで、例2の条件においては溶融ガラスを凹状にするのが難しいことがわかる。なお、この図5から関係式y=−54.388x+116.92が得られる。
(例3)
図1Aのプリフォームの成形型10を用い、以下の方法によりプリフォームの製造を行った。なお、ここで用いた成形型10は、プリフォーム形成面10aの曲率半径Rkが19mmのものである(溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域において、全領域が上記曲率半径であり、それより外周部分は立ち上がって成形型10の上面に接続される)。また、この成形型10は、耐熱ステンレスに貫通孔を設けたもので形成され、プリフォーム形成面から上方にガスが噴出できるようになっている。
まず、成形型10を300℃に加熱し、その後600℃の窒素ガスを供給して、プリフォーム形成面10aから1.2L/分(毎分0.38L/cm)の噴出量で噴出させた。次いで、ホウ酸ランタン系のガラス材料を1040℃に加熱して溶融させた溶融ガラスを、プリフォーム形成面10a上に所定量滴下した。このときの溶融ガラスの流出時粘度は12.3dPa・sであった。
第1ポジションでは滴下後、3秒間は1.2L/分、次に0.5L/分(毎分0.16L/cm)の窒素ガスを噴出させながら、タクト8秒で溶融ガラスをプリフォーム形成面10aとなるべく接触させないように溶融ガラスを成形型上で保持した。2ポジション以降のポジションでは、窒素ガス流量を2L/分(毎分0.64L/cm)とし、徐々に溶融ガラスの形状を整えつつ溶融ガラスを冷却、固化させて第20ポジションで取り出しプリフォームを得た。得られたプリフォームは、形成時の下面が凸状で得られ、表面が滑らかで光学素子成形用のプリフォームとして十分な品質を有するものであった。
このとき、プリフォームの体積(滴下した溶融ガラスの体積)は、0.22cm、0.6cm、0.71cm、1.05cmであり、得られたプリフォームの形状について調べたところ、次の表3に示したものであった。
Figure 2015227270
これらの結果から、溶融ガラスの体積と形成されるプリフォームの下面の曲率半径との関係を図6に示した。上記結果および図6を参照することで、例3の条件においては溶融ガラスを凹状にするのが難しいことがわかる。なお、この図6から関係式y=−100.76x+119.14が得られる。
(例4)
図2のプリフォームの成形型20を用い、以下の方法によりプリフォームの製造を行った。なお、ここで用いた成形型20は、プリフォーム形成面20aが平面形状のものである(溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域において、全領域が直径20mmの平面形状であり、それより外周部分は立ち上がって成形型20の上面に接続される。なお、本明細書において、平面形状の曲率半径Rkは∞と示す。)。また、この成形型20は、耐熱ステンレスに貫通孔を設けたもので形成され、プリフォーム形成面から上方にガスが噴出できるようになっている。
まず、成形型20を200℃に加熱し、その後500℃の窒素ガスを供給して、プリフォーム形成面20aから1.2L/分(毎分0.38L/cm)の噴出量で噴出させた。次いで、ホウ酸ランタン系のガラス材料を1040℃に加熱して溶融させた溶融ガラスを、プリフォーム形成面20a上に所定量滴下した。このときの溶融ガラスの流出時粘度は12.3dPa・sであった。
第1ポジションでは滴下後、3秒間は1.2L/分、次に0.5L/分(毎分0.16L/cm)の窒素ガスを噴出させながら、タクト8秒で溶融ガラスをプリフォーム形成面10aとなるべく接触させないように溶融ガラスを成形型上で保持した。第2ポジション以降のポジションでは、窒素ガス流量を2L/分(毎分0.64L/cm)とし、徐々に溶融ガラスの形状を整えつつ溶融ガラスを冷却、固化させて、第20ポジションで取り出しプリフォームを得た。得られたプリフォームは、形成時の下面が凹状で得られ、表面が滑らかで光学素子成形用のプリフォームとして十分な品質を有するものであった。
このとき、プリフォームの体積(滴下した溶融ガラスの体積)は、0.89cm、0.94cm、1.09cmであり、得られたプリフォームの形状について調べたところ、次の表4に示したものであった。
Figure 2015227270
これらの結果から、溶融ガラスの体積と形成されるプリフォームの下面の曲率半径との関係を図7に示した。上記結果および図7を参照することで、例4の条件においては溶融ガラスを凹状にできるが、若干不安定となり適用可能な溶融ガラスの体積が例1よりも狭いものとなると考えられる。なお、この図7から関係式y=6.9231x−23.538が得られる。
[プリフォーム形成面形状の検討]
凹状プリフォームの製造に適用可能な成形型について、プリフォーム形成面の好ましい曲率半径について検討した。
例1〜例4の結果から、プリフォーム形成面の各曲率半径において、使用する溶融ガラスの体積と得られるプリフォームの下面形状(曲率半径R1)との関係が得られている。ここで、凹形状を得るには、一般に溶融ガラスの体積が大きくなるにつれてプリフォームの曲率半径R1は小さくなり(例1,例4のように、負の側から0に近づく)、大きくなりすぎると凸状となってしまう。このとき、その関係式の直線の傾きが緩やかなほど体積の変動に影響を受けにくく安定した凹形状を形成できる。また、例2,3では、そもそも凹状に形成することが難しい。
これらの結果を総合的に考慮し、各例において線形近似して得られた関係式における傾き(体積変動によるプリフォーム下面の形状変化の度合い)と、成形型のプリフォーム形成面の曲率半径Rkと、の関係をプロットし、プロットした点をできるだけ通るようなラインを引いてみると、図8に示したようなグラフが得られる。このグラフから、グラフの傾きが正に転じるところがプリフォームを凹状に形成可能な成形型であると考えられ、この図8からグラフの傾きが0になるのは、プリフォーム形成面の曲率半径Rkが70mmである。したがって、該曲率半径Rkが75以上となるような成形型を使用することで、凹形状を有するプリフォームが得られる。なお、図8のグラフは、上記以外の異なる曲率半径Rkを有する成形型において同様の方法で求めた値を追加して作成した。
(例5)
図3Aのプリフォームの成形型30及び上押型31を用い、以下の方法によりプリフォームの製造を行った。なお、ここで用いた成形型30は、プリフォーム形成面30aの曲率半径Rkが24mmのものであり(溶融ガラス塊の鉛直方向下方の領域において、全領域が上記曲率半径であり、それより外周部分は立ち上がって成形型30の上面に接続される)、開口部の直径は20mmである。また、この成形型30は、耐熱ステンレスに貫通孔を設けたもので形成され、プリフォーム形成面から上方にガスが噴出できるようになっている。また、上押型31は、直径20mm×高さ10mmの円板状であり、下面から下方にガスが噴出できるようになっている。
成形ポジションは第1ポジションから第20ポジションまでを円状に並べて配置し、タクト8.5秒で間欠的に回転して成形可能とする。第1ポジションで溶融ガラスを受け、第2ポジションには上押型31が設置されており、成形型30上のガラス塊を上方からガスによりプレスし、第3〜第19ポジションでは、上方からのプレスはせずに溶融ガラス塊を冷却、固化して、第20ポジションでロボットアームによりプリフォームを取り出す。
まず、成形型30を250℃に加熱し、その後600℃の窒素ガスを供給して、プリフォーム形成面30aから1L/分(毎分0.32L/cm)の噴出量で噴出させた。次いで、ホウ酸ランタン系のガラス材料を1120℃に加熱して溶融させた0.9cmの溶融ガラスを、プリフォーム形成面10a上に滴下した。このときの溶融ガラスの流出時粘度は3dPa・sであった。
第1ポジションで滴下した溶融ガラスを受けてから8.5秒後、第2ポジションに成形型30を移動させ、窒素ガスの噴出量を2L/分(毎分0.64L/cm)に変更し、上押型31から所定量の窒素ガスを噴出させながら、上押型31を成形型30に近づけ、溶融ガラスを4秒間プレスした。4秒後に上押型31を上方に引き上げた。第3ポジション以降のポジションでは、窒素ガス流量を2L/分(毎分0.64L/cm)とし、徐々に溶融ガラスの形状を整えつつ溶融ガラスを冷却、固化させてプリフォームを得た。得られたプリフォームは、形成時の下面が凹状で得られ、表面が滑らかで光学素子成形用のプリフォームとして十分な品質を有するものであった。なお、ここで上押型31によるガスでのプレスは、溶融ガラスをプリフォーム形成面と接触しないように行った。
このとき、上押型31からの窒素ガスの噴出量は、2L/分(毎分0.64L/cm)、4L/分(毎分1.27L/cm)、6L/分(毎分1.91L/cm)、8L/分(毎分2.55L/cm)とし、それぞれ得られたプリフォームの形状について調べたところ、次の表5に示したものであった。
Figure 2015227270
この結果から、成形型のプリフォーム形成面の曲率半径が小さくなっても、溶融ガラス塊の上方から押圧することで、凹形状のプリフォームが得られることがわかった。また、ガス噴出量が多くなるほど、プリフォーム形成面におけるガス溜まりが形成されやすく、凹形状の曲率半径が小さくなる(カーブがきつくなる)傾向があることがわかった。
(例6)
例5において、上押型からのガス噴出量を6L/分(毎分1.91L/cm)に固定し、上下方向からガス流により押圧する時間(上押キープ時間)を3秒、3.5秒、4秒と変化させた以外は、同一の操作によりプリフォームを製造した。このとき得られたプリフォームの形状について調べたところ、次の表6に示したものであった。
Figure 2015227270
この結果から、溶融ガラス塊の上方から押圧する時間を長くするほど、プリフォーム形成面におけるガス溜まりによる影響が大きくなり、凹形状の曲率半径が小さくなる(カーブがきつくなる)傾向があることがわかった。
上記の例5及び例6の結果から、上押型からのガス噴出量や上押時間により凹形状が変化し、条件の設定により所望の形状に凹形状を調節可能である。
本発明のプリフォームの製造方法は、光学素子等のガラス成形品をプレス成形するためのプリフォームを製造でき、これにより得られるプリフォームは、特に、凹形状を有するガラス成形品の成形素材として好適である。
10,20,30…成形型、10a,20a,30a…プリフォーム形成面、31…上押型、50…溶融ガラス塊、51…プリフォーム、80…ノズル

Claims (16)

  1. 成形型のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、前記プリフォーム形成面上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、前記溶融ガラスを前記プリフォーム形成面上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有するガラスプリフォームの製造方法であって、
    前記溶融ガラス供給工程において、前記成形型のプリフォーム形成面の曲率半径Rk(mm)が次の式(1)を満たす凹状であり、かつ、前記プリフォーム形成面に供給される前記溶融ガラスの体積V(cm)が次の式(2)を満たすものとし、
    75 ≦ Rk …(1)
    0.1 ≦ V ≦ 10.0 …(2)
    前記プリフォーム形成工程において、得られるプリフォームが凹形状を有することを特徴とするガラスプリフォームの製造方法。
  2. 前記曲率半径Rkが、500mm以下である請求項1に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  3. 前記溶融ガラスの体積Vが、5.0cm以下である請求項1または2に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  4. 前記曲率半径Rkと前記溶融ガラスの体積Vの比(Rk/V)が、7.5〜5000である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  5. 前記プリフォーム形成面から噴出されるガスの噴出量が、毎分0.03〜3.18L/cmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  6. 成形型のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、前記プリフォーム形成面上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、前記溶融ガラスを前記プリフォーム形成面上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有するガラスプリフォームの製造方法であって、
    前記溶融ガラス供給工程において、前記成形型のプリフォーム形成面が平面形状であり、かつ、前記プリフォーム形成面に供給される前記溶融ガラスの体積V(cm)が次の式(3)を満たし、
    0.1 ≦ V ≦ 3.0 …(3)
    前記プリフォーム形成工程において、得られるプリフォームが凹形状を有することを特徴とするガラスプリフォームの製造方法。
  7. 前記プリフォーム形成面から噴出されるガスの噴出量が、毎分0.03〜3.18L/cmである請求項6に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  8. 成形型のプリフォーム形成面からガスを噴出させながら、前記プリフォーム形成面上に所定量の溶融ガラスを供給する溶融ガラス供給工程と、前記溶融ガラスを前記プリフォーム形成面上で浮上させながら固化させてプリフォームとするプリフォーム形成工程と、を有するガラスプリフォームの製造方法であって、
    前記溶融ガラス供給工程において、前記成形型のプリフォーム形成面の曲率半径Rk(mm)が次の式(4)を満たす凹状であり、かつ、前記プリフォーム形成面に供給される前記溶融ガラスの体積V(cm)が次の式(5)を満たし、
    20 ≦ Rk ≦ 40 …(4)
    0.1 ≦ V ≦ 10.0 …(5)
    前記プリフォーム形成工程において、前記溶融ガラスの上方に、下方に向かってガスを噴出可能な上押型を配置し、該上押型からガスを噴出させることにより前記溶融ガラスを下方に押しながら冷却し、固化させて得られるプリフォームが凹形状を有することを特徴とするガラスプリフォームの製造方法。
  9. 前記溶融ガラスの体積Vが、5.0cm以下である請求項8に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  10. 前記曲率半径Rkと前記溶融ガラスの体積Vの比(Rk/V)が、2〜400である請求項8または9に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  11. 前記上押型から噴出させるガス噴出量が、毎分0.3〜3.2L/cmである請求項8〜10のいずれか1項に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  12. 前記ガラスプリフォームの上面の曲率半径が20〜60mmである請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラスプリフォームの製造方法。
  13. 前記成形型は、多孔質材料からなる請求項1〜12のいずれか1項記載のガラスプリフォームの製造方法。
  14. 前記成形型の表面温度が、100℃〜500℃である請求項1〜13のいずれか1項記載のガラスプリフォームの製造方法。
  15. 前記上押型は、多孔質材料からなる請求項8〜14のいずれか1項記載のガラスプリフォームの製造方法。
  16. 前記上押型の表面温度が、100℃〜500℃である請求項8〜15のいずれか1項記載のガラスプリフォームの製造方法。
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