JP2011037671A - ガラス塊製造用成形型及びガラス塊の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ガラス材料やサイズによらず使用でき、材料ロスも少ない、プレス成形用のガラス塊を提供する。
【解決手段】溶融状態のガラス材料を収容する凹部を有するガラス塊製造用成形型であって、凹部が、円形平面又は凹球面で形成される底面2と、底面2から上方に向かって広くなる抜き勾配を有する側面3とからなり、底面2と側面3とが連続した湾曲面で滑らかに接続されるガラス塊製造用成形型1。
【選択図】図1
【解決手段】溶融状態のガラス材料を収容する凹部を有するガラス塊製造用成形型であって、凹部が、円形平面又は凹球面で形成される底面2と、底面2から上方に向かって広くなる抜き勾配を有する側面3とからなり、底面2と側面3とが連続した湾曲面で滑らかに接続されるガラス塊製造用成形型1。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶融ガラスからガラス塊を製造する際に使用するガラス塊製造用成形型、その成形型を用いたガラス塊の製造方法に係り、特に、各種カメラや光学機器の研磨レンズ及びモールドプレス用の研磨プリフォームを得る前段階のガラス塊(ゴブ)を製造するためのガラス塊製造用成形型及びガラス塊の製造方法に関する。
現在、ガラスレンズなどの光学素子を製造する方法として、光学素子成形素材であるガラス塊をプレス成形し、成形面を研磨等せずにそのまま使用することができるプレス成形法が知られている。
このプレス成形においてメニスカス形状や両凹形状のレンズ用に使用する研磨プリフォームは、ガラスの板材から作成するのが主流で、このガラス板材からの作成は、ガラスの溶解→板材の作成→切断研磨による調材→リヒートプレス(RP)→球面研磨加工→芯取り加工→プレス成形という各工程を経て光学素子等を形成するものである(特許文献1参照)。このようにして得られたリヒートプレス品は、ヒケなどは少なく形状精度は優れたものである。
また、このような研磨プリフォームの材料を作成する方法としては、ダイレクトプレス成形により行う方法も知られており、これは外型と、その中で可動し、成形面を形成する中型と、中型とは異なる成形面を形成する上型と、で構成され、溶融したガラス材料を中型で受けてシャー又はシャーレスカットでガラス塊を形成し、ここで形成されたガラス塊は、そのまま、上型で外型を蓋し、中型を上昇させることで上型と中型間で加圧成形して成形品とするものである(特許文献2〜4参照)。ダイレクトプレス成形は、調材がないため材料ロスが少ない利点がある。
また、他にプリフォームを作成する方法としては、気孔体からなるガラス受け部にガスを噴出させて、溶融ガラスをガス浮上させながら受け止めてガラス塊とするファインゴブ成形が知られている(特許文献5参照)。このファインゴブ形成は、ガス浮上により、ガラス材料が型と接触せずに冷却され形成されるため、その表面が滑らかな無欠陥のガラス塊が得られる。したがって、この方法は、調材の必要がないことから材料ロスが少なく、リヒートプレス成形や研磨加工の必要もなく工程数を少なくすることができるため、製造コストを低くすることができる優れたものである。但し、このガラス塊は両凸形状を有する為、メニスカス形状や両凹形状のレンズのプリフォームには適さない。
しかしながら、ガラスの板材から作成するものは、板材の切断、選別、バレルのロス、板形状の不具合による不使用部分が多い等により材料歩留まりが低く、材料ロスが多い。また、この工程によるリヒートプレスでは肉厚バラツキが発生しやすく、研削機やカーブジェネレーター等の加工機による加工代は、その肉厚バラツキの最大値で設定されるため、加工時間が長くなりリードタイム短縮もできず加工費がかさむという問題がある。さらにガラスの板材から調材し、プレス成形するまでの工程数も多いため、製造コストを低減するのが困難であるという問題があった。
ダイレクトプレス成形は、溶融ガラスをプレス用成形型に直接滴下してレンズ形状に研磨代を加えた材料(レンズブランクス)を製作するため材料ロスは少ないが、ガラス塊の芯の温度が高くなるため、成形後の降温過程で熱収縮によるヒケなど表面変形が発生するという問題がある。また、成形性、離型性の確保に離型剤の使用が必須であって離型材凝固物付着などにより表面欠陥が生じたりするおそれがあるため、研磨加工が必須で加工代を大きくとる必要があるという問題があった。
また、ファインゴブ成形は、上記のように表面が非常に滑らかで表面欠陥が無いので研磨加工が必要なく、プレス成形のみで成形品が得られ、材料ロスも少なく非常に優れたものであるが、成形粘性や、ゴブの大きさ、形状による制約が厳しく、この方法を用いることができる成形領域が狭いという問題があった。
そこで、本発明は、以上のような問題を解消するものであり、材料ロスが少なく、プレス品のヒケがなく形状精度にも優れ、加工代を少なくでき、かつ、ガラス材料の種類やガラス塊のサイズによらず使用することできるプレス成形用のガラス塊を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明のガラス塊製造用成形型を用いてガラス塊を製造することにより、上記問題を解決することができることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明のガラス塊製造用成形型は、溶融状態のガラス材料を収容する凹部を有するガラス塊製造用成形型であって、凹部が、円形平面又は凹球面で形成される底面と、底面から上方に向かって広くなる抜き勾配を有する側面とからなり、底面と側面とが湾曲面で滑らかに接続されてなることを特徴とするものである。
また、本発明のガラス塊の製造方法は、本発明のガラス塊製造用成形型に、溶融状態のガラス材料を滴下し、ガラス材料を冷却してガラス塊とすることを特徴とするものである。
本発明のガラス塊製造用成形型は、ガラス塊を収容する凹部が滑らかに接続されており、それ以外の部分形状は特に限定されないため、一体型の成形型として製造することが容易である。このように一体型の成形型とすれば、可動部分がないためメンテナンスが容易であり、簡易なメンテナンスだけで長ライフを確保することができる。また、溶融状態のガラスを流し込みガラス塊とするだけなので、最終製品が異なる形状やサイズのものに対しても、ガラス材料の量によって調整して対応することもでき適用範囲が広い。また、サイズが大きく異なる場合には、成形型の凹部の容積を変更して対応することができ、成形型形状が単純なため、その製造コストも低いものである。
本発明のガラス塊の製造方法は、離型材を使用しないため、生産環境を悪化させることがない。このような離型材を使用しない方法は、他の製法による製品も同一工場内で製造している場合には、他の製品を汚染することがなく、特に好ましいものである。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明の一実施形態であるガラス塊製造用成形型の平面図(図1(a))とそのA−A断面図(図1(b))を示したものである。
まず、図1のガラス塊製造用成形型1は、円形の底板aとこの底板aのほぼ中央に立設された円柱状の外形を有する成形部bとからなり、その成形部bの上部中央には、上方から供給される溶融状態のガラス材料を収容する凹部を有し、その凹部が、凹球面の底面2と、その底面2から上方に向かって広くなる抜き勾配を有する側面3とで構成され、底面2と側面3とが連続した湾曲面で滑らかに接続されてなるものである。なお、底面2は側面3と湾曲面で滑らかに接続されるものであれば、円形平面形状に設けてもよい。
ここで、凹部は、溶融状態のガラス材料が滴下されたときに、ガラス材料を受け止めてガラス塊を形成することができるものであればよく、その底面2及び側面3は、ガラス材料と直接接触してガラス塊の外形を整え、保持するものである。
底面2は、凹球面からなるものであり、側面3は底面2から上方に向かって広くなるように抜き勾配が設けられて形成されている。また、底面2と側面3とは、湾曲面で滑らかに接続されるようになっており、このようにすることで、このガラス塊製造用成形型1で形成されるガラス塊は、扁平球状に安定して形成されるものである。なお、このとき底面2は円形平面とすることもでき、この場合、ガラス塊は側面がやや上方に広がる小判形に形成される。
ここで、側面3の抜き勾配は、底面から上方に向かって広くなるように形成され、その角度は1〜30°であればよく、5〜20°であることが好ましい。このような角度にすることによって、凹部に収容するガラス塊の形状を安定して扁平球状にすることができ、かつ、成形型からガラス塊の取り出しを容易に行うことができる。このガラス塊の取り出しは、吸引ノズルにより行ってもよいし、成形型自体を傾斜させて、ガラス塊を転がり落としてもよい。本発明のガラス塊製造用成形型1は、その側面が抜き勾配を有して形成されているため、成形型からの抵抗を受けることなくガラス塊を取り出すことができる。
また、底面2と側面3とを接続する湾曲面は、底面2と側面3とを滑らかな湾曲面で接続して、段差による凹凸や急激な角度を付与することなく、ガラス塊を扁平球状のものとすることができればよく、その曲率半径は、底面2が凹球面である場合には、底面2の曲率半径よりも小さい曲率半径で底面2と側面3とを接続するものであることが好ましい。例えば、この湾曲面の曲率半径は、1〜15mmであることが好ましい。
また、本発明のガラス塊製造用成形型1で製造されるガラス塊は、上記したように扁平球状に形成されるものであり、ここで扁平球状とは、楕円球状も含むものであり、ガラス材料が自重によりそのような形状となるものである。
そして、ここで形成されるガラス塊は、そのガラス塊製造用成形型の凹部の大きさ、使用するガラス材料の量により決定されるため、所望する大きさのガラス塊になるように成形型を設計、製造するものである。製造されるガラス塊の大きさは、特に限定されるものではないが、通常、その最大直径が1〜30mmの大きさを有するものであることが好ましく、5〜25mmであることがより好ましい。
この製造するガラス塊の最大直径をDmmとしたとき、本発明のガラス塊製造用成形型1の凹部の大きさを次のような範囲とすることが好ましい。
成形型の凹部の上端径(成形型1上端部の内径)は、1〜2×Dmmであることが好ましく、1〜1.4×Dmmであることがより好ましい。また、底面の曲率半径は、1×Dmm以上であることが好ましく、1〜10×Dmmであることがより好ましく、1〜4×Dmmであることが特に好ましい。また、底面2と側面3とを接続する湾曲面は、その曲率半径が0.01〜2×Dmmであることが好ましく、0.1〜1×Dmmであることがより好ましい。さらに、凹部の深さは、0.1〜4×Dmmであることが好ましく、0.2〜1×Dmmであることがより好ましい。
また、ここで、ガラス塊製造用成形型は、例えば、図2に示したように、その凹部の側面に成形型凹部の内側面から外側面に達する複数のスリット(図では周方向に90°間隔で4か所に設けている。)を、成形型上端部から鉛直方向に適宜の深さまで設けたものとしてもよい。
図2に示したガラス塊製造用成形型11は、円形の底板aとこの底板aのほぼ中央に立設された円柱状の外形を有する成形部bとからなり、その成形部bの上部中央には、上方から供給される溶融状態のガラス材料を収容する凹部を有し、その凹部が、円形平面又は凹球面の底面2と、その底面2から上方に向かって広くなる抜き勾配を有する側面3とで構成され、底面2と側面3とが連続した湾曲面で滑らかに接続されてなるものである。また、側面3には、複数のスリット12が設けられており、このガラス塊製造用成形型11は、スリット12が設けられている以外は図1の成形型と同一の構成を有するものである。
このスリット12を設けることによって、凹部内部を外から目視により確認できるようになり、ガラス塊を製造する際に、溶融状態のガラス材料をどの程度収容しているかを確認しながら行うことができるため、製造するガラス塊のバラツキを少なくすることができる。通常は図3におけるノズル51と成形型1の高さ調整、並びにガラス材料53aを切断するための下降のタイミングを確認する。この調整作業は製造前に行い、ガラス塊の製造中まで確認する必要はない。
このスリット12は、成形型の上端部から鉛直下方に形成され、例えば、幅0.5〜2mm、高さは凹部の深さに対して50〜100%のものとして設けることが好ましい。
次に、本発明のガラス塊の製造方法について説明する。図3は、図1のガラス塊製造用成形型1を用いたガラス塊の製造方法を模式的に示したものである。
本発明のガラス塊の製造方法は、まず、溶融されたガラス材料を、流出させるノズル51の下方にガラス塊製造用成形型1を配置する。このとき、ノズル51の外周にはヒーター52が配置されてガラス材料が所定の流動性を保持するようにノズル51を加熱している。
次に、ガラス塊製造用成形型1の凹部にノズル51から溶融したガラス材料53を流出させる(図3(a))。そして、ガラス材料がノズル51から滴下する前に、ガラス塊製造用成形型1の凹部でガラス材料を受けとめ(図3(b))、凹部に所定量のガラス材料を収容したところで、切断する。
ガラス材料を所定量収容する方法としては、溶融状態のガラス材料53が自然滴下しないようにガラス塊製造用成形型1の凹部で受けとめ、そのままガラス塊製造用成形型1を上昇させるがノズル51が濡れないようにしてガラス材料53aを溜めていき、今度は、ゆっくりガラス塊製造用成形型1を下降させて、所定量のガラス材料53aが溜まったところで、素早くガラス塊製造用成形型1を下降させるようにしてガラス流を切断すればよい。
そして、所定量のガラス材料を収容したら、ガラス材料を冷却して固化させ、ガラス塊54とするものである(図3(c))。この冷却は、凹部にガラス塊を収容してから取り出すまでの間に行われるもので、室温に晒すことで自然に冷却されるようにすればよい。
この製造方法において、溶融したガラス材料は、その粘度が3〜20dPa・sとなる温度に加熱し、ガラス塊製造用成形型は用いたガラス材料のガラス転移点Tgに対し−100℃〜−500℃の温度とする。そして、ガラス材料のノズルからの流出量を0.01〜0.25cc/秒として成形型の凹部に収容するようにすることが好ましい。なお、ガラス塊製造用成形型の加熱は、ガラス材料の収容前に、ヒーター、高周波等の加熱手段により加熱すればよい。
このガラス塊の製造方法は、円板からなるターンテーブル上に、ガラス塊製造用成形型を平面から見て円状に複数個並べて、成形型の凹部に溶融状態のガラス材料を流出させ収容する収容ゾーンと、収容されたガラス材料が成形型内で冷却される冷却ゾーンと、冷却して形成されたガラス塊を成形型から取り出す排出ゾーンとがあり、収容ゾーンと排出ゾーンを適宜決定したら、その間が冷却ゾーンとなるものである。
図3(a)及び図3(b)は収容ゾーンでの動作であり、図3(c)は冷却ゾーンでの動作である。また、ガラス材料が冷却してガラス塊となり、そのガラス塊を移送用の吸着ノズルにより移送したり、成形型を傾斜させてガラス塊を転がり落とし、ベルトコンベア等により移送したりする方法により次工程に付すようにする。
ちなみに、このように得られたガラス塊は、その後、例えば、リヒートプレス(RP)→球面研磨加工、芯取加工→プレス成形により研磨プリフォーム形状に加工するものである。
なお、このように本発明のガラス塊の製造方法により得られたガラス塊について、その断面図の一例を図4に示したが、成形型との接触によりガラス材料が冷やされ瞬間的に固化しながら次々に上部から溶融ガラスが連続して流れてくるため、成形型と接触する底面及び側面部分は、複数の凹凸が形成され、そのピッチ(P)は比較的規則的に形成されている。また、このガラス塊54の上面は、成形型との接触がない自由表面となるため、滑らかな面となる。ここで自由表面とは、成形型や他の固体と接することなく形成されたガラス塊の表面のことをいう。
このとき、得られるガラス塊は、その底面及び側面の凹凸のピッチが、0.1〜1.0mmであり、凸部の高さが0.005〜0.1mmであることが好ましい。また、自由表面の算術平均粗さRaが0.01μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において、算術平均粗さRaは、超精密三次元測定機(パナソニック株式会社製、商品名:UA3P)を用い、JIS B0601−2001に準じて測定したものである。
このように製造されたガラス塊54は、図4に示したように、その底面及び側面も直接成形型に接触している部分は、非常に少ないため、大部分が滑らかで、本発明ではガラス塊製造用成形型の形状、特に抜き勾配を形成していることにより、ガラス塊の取り出しが容易で離型剤を使用しなくて済むため、離型剤等による汚染もなく全面が清浄な面のガラス塊が得られる。
なお、このように得られたガラス塊は、その後、製品形状に加工代を加えたレンズブランクスとして加工されるが、このとき、製造するガラス塊の外径をレンズブランクスの最大径の90%以下、好ましくは65〜85%とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
図1のガラス塊製造用成形型を40個セットすることができる円板状のターンテーブルを有するガラス塊製造装置を用いた。
図1のガラス塊製造用成形型を40個セットすることができる円板状のターンテーブルを有するガラス塊製造装置を用いた。
(実施例1)
この実施例で用いたガラス塊製造用成形型は、ダクタイル製であり、成形型の凹部上端の径(形成部bの上端内径)が13.6mmであり、そこから側面が抜き勾配15°で底面に向かって狭くなって形成され、曲率半径R=20mmの底面に接続されている。また、この底面と側面とは曲率半径R=4mmの湾曲面で接続され、その凹部の深さは7mmであった。さらに、図2のように、成形型凹部の側面に幅1mm、高さ5mm(凹部の深さに対して71%)のスリットを周方向に90°間隔で4か所に設けられている。
この実施例で用いたガラス塊製造用成形型は、ダクタイル製であり、成形型の凹部上端の径(形成部bの上端内径)が13.6mmであり、そこから側面が抜き勾配15°で底面に向かって狭くなって形成され、曲率半径R=20mmの底面に接続されている。また、この底面と側面とは曲率半径R=4mmの湾曲面で接続され、その凹部の深さは7mmであった。さらに、図2のように、成形型凹部の側面に幅1mm、高さ5mm(凹部の深さに対して71%)のスリットを周方向に90°間隔で4か所に設けられている。
ターンテーブル上には、成形型の凹部に溶融状態のガラス材料を流出させ収容する収容ゾーンと、収容されたガラス材料が成形型内で冷却される冷却ゾーンと、冷却して形成されたガラス塊を成形型から取り出す排出ゾーンとがあり、収容ゾーンと排出ゾーンの間が冷却ゾーンとなっている。成形型は収容ゾーンの前段で高周波加熱され、接触式温度計で200℃程度の温度で維持される。
溶解槽、清澄槽、均一層を別々に備えた連続炉にて溶解された表1の組成を有するガラス材料を、温度制御された白金製の流出パイプから流出温度1120℃、流出量0.07cc/秒で流出させた。流出したガラス流が自然滴下しない高さで溶融状態のガラス材料を成形型で受け止め、設けたスリットよりガラス流の落下位置や滴下状態などを確認しながら上昇させ、溜まっていくガラス材料がノズルに濡れ上がらないようにゆっくり成形型を下げ、目標重量になったところで成形型を早く下げて表面張力により切断させ、ターンテーブルをインデックス回転させ、次の型が上昇しガラス流を受け止めた。その間のサイクルタイムは8.1秒であった。
その後、並べたガラス塊製造用成形型に順々にガラス材料を収容させていき、ターンテーブル上の冷却ゾーンで充分に冷却しながら、取出ゾーンで、取出用の吸引ノズルを成形型上のガラス塊上面に軽く当たる程度に押しつけて吸引・吸着して搬送し、回収コンベア上に移した。
このようにして得られたガラス塊の最大径はφ11.5mmで、肉厚は8.5mmであった。このようにして連続して製造したガラス塊について、ランダムに3つのサンプルを抽出して、その上面の表面粗さ、底面及び側面の凹凸のピッチ及び高さについて調べたところ、それぞれ表2及び表3に示した結果が得られた。
以上より、そのガラス塊の成形型の当たらない上面は自由表面で非常に滑らかであり、ほとんど無欠陥な面を有し、中心部はわずかにヒケていた。また、成形型が接触している底面及び側面の凹凸形状は比較的規則的に形成されており、面は緩やかな凹凸がおおよそ0.5mm程度のピッチで形成され、成形型と直接接触する面積が少なく、凹凸はあるがこちらも比較的滑らかな面を有するものであった。
このガラス塊に酸化ボロンの粉末を極薄く塗布して、ブロック形状の耐火物に円錐状に加工された凹部にガラス塊を乗せて、最高温度730℃に制御されたベルトコンベアタイプのリヒート炉内を約20分で通過させてガラス塊を再軟化させ、再軟化されたガラス塊をシュターにてリヒートプレス機(RP機)にセットされた6個の成形型内に滑り落として収め、上型にてプレス成形させた。
プレス成形後は、シュターにてベルトコンベアタイプの徐冷炉のベルト上に滑り落とし、徐冷炉を通過させ歪み抜きができる程度の徐冷を実施した。
リヒートプレス成形で得られたレンズブランクスの肉厚はバラツキが0.3mmとガラス板材からの従来品と比べても1/3程度となり良好であった。
また、レンズブランクスの表面は滑らかでわずかに光沢を示す。研磨工程では取代0.3mmでレンズブランクスの粗面が除去され、欠陥のない光学鏡面が得られた。このときの研磨歩留まりは99.5%であった。
(実施例2)
ガラス材料として表4の組成を有するガラス材料を用い、流出パイプから流出温度900℃となるように、また、成形型は収容ゾーンの前段で高周波加熱され、接触式温度計で180℃程度の温度で維持されるようにした以外は実施例1と同様の操作によりガラス塊を製造し、プレス成型まで行った。
この実施例で用いたガラス塊製造用成形型は、ダクタイル製であり、成形型の凹部上端の径(形成部bの上端内径)が11.0mmであり、そこから側面が抜き勾配15°で底面に向かって狭くなって形成され、曲率半径R=25mmの底面に接続されている。また、この底面と側面とは曲率半径R=3.5mmの湾曲面で接続され、その凹部の深さは6mmであった。さらに、図2のように、成形型凹部の側面に幅1mm、高さ3.5mm(凹部の深さに対して58%)のスリットを周方向に90°間隔で4か所に設けられている。
ガラス材料として表4の組成を有するガラス材料を用い、流出パイプから流出温度900℃となるように、また、成形型は収容ゾーンの前段で高周波加熱され、接触式温度計で180℃程度の温度で維持されるようにした以外は実施例1と同様の操作によりガラス塊を製造し、プレス成型まで行った。
この実施例で用いたガラス塊製造用成形型は、ダクタイル製であり、成形型の凹部上端の径(形成部bの上端内径)が11.0mmであり、そこから側面が抜き勾配15°で底面に向かって狭くなって形成され、曲率半径R=25mmの底面に接続されている。また、この底面と側面とは曲率半径R=3.5mmの湾曲面で接続され、その凹部の深さは6mmであった。さらに、図2のように、成形型凹部の側面に幅1mm、高さ3.5mm(凹部の深さに対して58%)のスリットを周方向に90°間隔で4か所に設けられている。
このとき、実施例1と同様に3つのサンプルを取り測定を行ったところ、上面の表面粗さ、底面及び側面の凹凸のピッチ及び高さについて調べたところ、それぞれ表5及び表6に示した結果が得られた。
以上に示したように本発明は滑らかな表面を有するガラス塊を簡便な操作で製造することができ、従来のリヒートプレスでは、最大片面取代1mmだったものが、本発明では0.3mmまで削減できており、加工コストは40%程度下げることができた。芯取レスで精密プレス工程にてモールドプレス成形を行った(最終の光学素子とするプレス成形)が、本発明のガラス塊を使用することで材料ロスの低減、工程削減、加工費用低減、精密プレス工程歩留まりの向上を達成することができた。
本発明のガラス塊製造用成形型及びガラス塊の製造方法は、プレス成形により光学素子等を製造する工程の一部として用いられ、プレス成形の材料として用いる研磨プリフォームを得るためのガラス塊の製造に利用することができる。
1,11…ガラス塊製造用成形型、2…底面、3…側面、12…スリット、51…ノズル、52…ヒーター、53…溶融したガラス材料、54…ガラス塊
Claims (11)
- 溶融状態のガラス材料を収容する凹部を有するガラス塊製造用成形型であって、
前記凹部が、円形平面又は凹球面で形成される底面と、底面から上方に向かって広くなる抜き勾配を有する側面とからなり、前記底面と前記側面とが連続した湾曲面で滑らかに接続されてなることを特徴とするガラス塊製造用成形型。 - 前記底面が凹球面からなり、前記湾曲面の曲率半径が、前記凹球面の曲率半径よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のガラス塊製造用成形型。
- 前記凹部で製造するガラス塊の最大直径をDmmとしたとき、前記湾曲面の曲率半径が0.01〜2×Dmmであることを特徴とする請求項1又は2記載のガラス塊製造用成形型。
- 前記側面の抜き勾配が、1〜30°であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガラス塊製造用成形型。
- 前記側面に、前記凹部の内部を視認できるスリットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のガラス塊製造用成形型。
- 前記スリットが、前記凹部の深さに対して50〜100%の高さで設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のガラス塊製造用成形型。
- 請求項1乃至6のいずれか1項記載のガラス塊製造用成形型に、溶融状態のガラス材料を滴下し、前記ガラス材料を冷却してガラス塊とすることを特徴とするガラス塊の製造方法。
- 前記溶融状態のガラス材料の粘度が、3〜20dPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項7記載のガラス塊の製造方法。
- 前記ガラス塊がレンズブランクスの材料となるものであって、その外径が、前記レンズブランクス外径の90%以下であることを特徴とする請求項7又は8記載のガラス塊の製造方法。
- 前記ガラス塊の底面及び側面が、円状に複数の凹凸を有し、その凹凸の平均ピッチが0.1〜1.0mmであり、凸部の高さが0.005〜0.1mmであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載のガラス塊の製造方法。
- 前記ガラス塊の上面が自由表面であって、該自由表面の算術平均粗さRaが0.01μm以下であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項記載のガラス塊の製造方法。
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