JP2008239128A - 自動車の側部車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】センターピラー後方の車体側部上部にクォータウインドが設けられていると共に、該クォータウインド下方の車体側部内面を構成する車体内面部材に開口部が設けられ、かつ該車体内面部材における開口部の上部後方の部位に、シートバックの側部に設けられたラッチと係合することにより、シートバックを起立状態にロックするストライカが固定された自動車の側部車体構造において、ストライカが固定される部位における車体内面部材の変位を抑制可能な自動車の側部車体構造を提供する。
【解決手段】前記車体内面部材12における開口部13の上方部分を、ベルトラインレインフォースメント28により構成すると共に、前記車体内面部材12におけるストライカ42が固定される部位に補強部材51を取り付け、かつ、前記ベルトラインレインフォースメント28を後方に延長し、該延長部28aを前記補強部材51と連結する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の側部車体構造に関し、車体構造の技術分野に属する。
センターピラー後方の車体側部上部には、クォータウインドが設けられる場合がある。また、該クォータウインド下方の車体側部内面を構成する車体内面部材には、車体の軽量化等のために開口部が設けられる場合がある。
ところで、クォータウインドの側方には、例えばリヤシートが設けられると共に、該リヤシートのシートバックが可倒式のものである場合、該リヤシートを起立状態に保持するロック装置が車体側部との間に設けられることがある。このロック装置は、例えば、リヤシートの側部に設けられたラッチと、車体側部に設けられたストライカとにより構成されるが、このストライカは、例えば、特許文献1に開示されているように、前記車体内面部材における前記開口部の上部後方の部位に固定されることがある。
一方、前述のように車体内面部材に開口部が設けられた構造では、車体側部の強度が低下しやいため、特許文献2に開示されているように、該車体内面部材におけるクォータウインドの下縁に沿う部位にベルトラインレインフォースメントが設けられることがある。
実開平3−121181号公報 特開平7−149258号公報
ところで、リヤシートに乗員が着座した状態においては、リヤシートに後向きの荷重が加わり、この荷重がロック装置のストライカを介して車体内面部材に加わることとなるが、このときロック装置のストライカには車幅方向内側に引っ張る力も加わり、車体内面部材におけるストライカの固定部が車幅方向内側に変位する。そして、この状態が繰り返し生じると、ロック装置のラッチとストライカとが噛み合いにくくなる等の問題が生じる。なお、特許文献2に記載のもののようにベルトラインレインフォースメントが設けられていたとしても、ストライカとの位置関係によっては、この変位を十分に抑制することができない。
そこで、本発明は、ストライカが固定される部位における車体内面部材の変位を抑制可能な自動車の側部車体構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、センターピラー後方の車体側部上部にクォータウインドが設けられていると共に、該クォータウインド下方の車体側部内面を構成する車体内面部材に開口部が設けられ、かつ該車体内面部材における開口部の上部後方の部位に、シートバックの側部に設けられたラッチと係合することにより、シートバックを起立状態にロックするストライカが固定された自動車の側部車体構造であって、前記車体内面部材における開口部の上方部分が、ベルトラインレインフォースメントにより構成されていると共に、前記車体内面部材におけるストライカが固定される部位に補強部材が取り付けられており、かつ、前記ベルトラインレインフォースメントが後方に延長されて、該延長部が前記補強部材と連結されていることを特徴とする。
ここで、前記車体内面部材における開口部の上方部分が、ベルトラインレインフォースメントにより構成されていることには、この上方部分がベルトラインレインフォースメントのみにより構成されている場合と、ベルトラインレインフォースメントが加えられる場合との両方を含む。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の自動車の側部車体構造において、前記ストライカが前記ベルトラインレインフォースメントの下方後方に設けられており、前記ベルトラインレインフォースメントの延長部は後方下方に延長されて補強部材と連結されていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の自動車の側部車体構造において、前記ベルトラインレインフォースメントの延長部に前後に延びるビードが設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動車の側部車体構造において、前記ストライカが、車体内面部材の車内側に配設された取付ブラケットを介して前記車体内面部材に取り付けられていると共に、前記補強部材が前記車体内面部材の車外側の面に取り付けられており、かつ、前記補強部材には、前方に突出する突出部が設けられていると共に、前記取付ブラケットには、前記車体内面部材を挟んで前記突出部に対向し、該車体内面部材に当接する突出部が設けられていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の自動車の側部車体構造において、前記取付ブラケットは、前記突出部と、車体内面部材に取り付けられる基部と、ストライカが取り付けられ、前記車体内面部材に対して車幅方向内側に膨出する支持部とを有しており、該ブラケットの突出部に、前記車体内面部材側に設けられた位置決め部とで位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の自動車の側部車体構造において、前記ストライカは、ゲート状の構造で、一対の脚部がシートバック側のラッチの回動軌跡上に設けられていると共に、前記ブラケットは、基部として、前記ストライカの脚部同士を結んだ線の延長線上で前記支持部に対して後方に設けられた後側基部と、前記支持部から該延長線に対して直行する方向にそれぞれ設けられた上側基部及び下側基部とを有し、車体内面部材よりも板厚が厚く剛性が高い素材により形成されていると共に、前記ブラケットの突出部は、前記延長線上前方に設けられていることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれかに記載の自動車の側部車体構造において、前記車体内面部材に、前記取付ブラケットが取り付けられる部位において、ビードが形成されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の自動車の側部車体構造において、前記車体内面部材と補強部材とで、前記ストライカが固定される部位に、閉断面構造が形成されていることを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、請求項1に記載の発明によれば、前記車体内面部材における開口部の上方部分が、ベルトラインレインフォースメントにより構成されているので、該上方部分の剛性が向上する。また、前記車体内面部材におけるストライカが固定される部位に補強部材が取り付けられているので、固定部位自体の剛性も向上する。そして、前記ベルトラインレインフォースメントが後方に延長され、該延長部が前記補強部材と連結されているから、ストライカ固定部位の内側変形に対する剛性が向上することとなる。したがって、乗員着座時にストライカに車幅方向内向きの荷重が作用したとしても、ストライカ固定部位が車幅方向内側に変位しにくくなる。
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ストライカがベルトラインレインフォースメントの下方後方、すなわち開口部の後方に設けられる場合に、該ベルトラインレインフォースメントの延長部を後方下方に延長させて補強部材と連結させたから、ベルトラインレインフォースメント全体の上下幅を大きくすることなく、車体内面部材におけるストライカ固定部位の剛性を向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、前記ベルトラインレインフォースメントの延長部に前後に延びるビードが設けられているから、該延長部の車幅方向に対する剛性が向上することとなる。
また、請求項4に記載の発明によれば、車体内面部材におけるストライカが固定される部位からその前方側の部分が、補強部材の突出部と取付ブラケットの突出部とで挟まれることとなり、その結果、この挟まれた部位は、ストライカから内向きの荷重が作用したとしても、車幅方向外側にも内側にも変形できなくなる。したがって、車体内面部材がストライカの固定部位で車幅方向内側に変位するのがより一層抑制されることとなる。
また、請求項5に記載の発明によれば、比較的簡単な構造で取付ブラケットの剛性を向上させることができると共に、前述の突出部を利用することにより取付ブラケットの形状を複雑化させることなく位置決めが可能となる。
すなわち、前記取付ブラケットは、前記突出部と、車体内面部材に取り付けられる基部と、ストライカが取り付けられ、前記車体内面部材に対して車幅方向内側に膨出する形状の基部とで構成されているので、比較的簡単な構造であり、しかも膨出形状により取付ブラケットの剛性が向上することとなる。
また、位置決め用の突出部等を別途設けると構造が複雑化するが、本発明では、もともと設けてある突出部に、車体内面部材の位置決め部とで位置決めするための位置決め部が設けられているから、位置決め用の突出部等を別途形成する必要がなく、取付ブラケットの形状が複雑化するのが防止される。
また、請求項6に記載の発明によれば、ストライカにシートバック側から後ろ向きの荷重が作用したときに、その荷重を効果的に受け止めることができると共に、車体内面部材の変位を一層効果的に抑制させることができる。
すなわち、前記ストライカは、ゲート状の構造で、一対の脚部がシートバック側のラッチの回動軌跡上に設けられた構造であるが、前記ブラケットは、基部として、前記ストライカの脚部を結んだ線の延長線上で前記支持部に対して後方に設けられた後側基部を有しているので、ストライカにシートバック側から後ろ向きの荷重が作用したときに、その荷重を直後方で効果的に受け止めることができる。
また、前記取付ブラケットは、基部としてさらに、前記支持部から該延長線に対して直行する方向にそれぞれ設けられた上側基部及び下側基部を有しているが、この場合、取付ブラケットの後側基部には、上側基部及び下側基部の固定点を結んだ直線軸回りに車外側に変位させようとする力が作用し、その結果、車体内面部材における後側基部側に接する部分が外側に変位する。一方、このように変位すると、車体内面部材における突出部側部分には、車幅方向内側へ変位しようとする力が働くが、取付ブラケットの方が車体内面部材よりも板厚が厚く剛性が高い素材で形成されており、変形しにくいので、車体内面部材は、取付ブラケットの突出部により車幅方向外側に押え付けられることとなる。したがって、車体内面部材の車幅方向内側への変位が一層効果的に抑制されることとなる。
また、請求項7に記載の発明によれば、前記車体内面部材に、前記取付ブラケットが取り付けられる部位において、ビードが形成されているから、該部位の車幅方向に対する剛性が向上することとなる。
また、請求項8に記載の発明によれば、前記車体内面部材と補強部材とで、前記取付ブラケットが取り付けられる部位に、閉断面構造が形成されているから、該部位の剛性が向上することとなり、前述の作用・効果が一層効果的なものとなる。
以下、本発明の実施の形態に係る自動車の側部車体構造について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る自動車1の車室内には、前後2列のシート2,3が配設されていると共に、車体側部には、フロントシート2の側方において乗降用開口4が設けられ、該開口4の後縁部に沿ってセンターピラー5が設けられている。また、センターピラー5後方の車体側部上部には、クォータウインド6が設けられ、その後方にはリヤピラー7が設けられている。また、リヤピラー7の下方には、車室側に膨出するリヤホイールハウス8が設けられていると共に、左右のリヤピラー7間の車体後壁部には、リヤゲート用開口が設けられている。
乗降用開口4よりも後方の車体側部は、図2にも示すように、車体外面を構成するキャブサイドアウタパネル11と、車体内面を構成する複数のパネルでなる車体内面部材12とにより構成されているが、この車体内面部材12には、クォータウインド6の下方において、車体の軽量化やサイドトリムの実装等の観点からサイドインナ開口13が設けられている。具体的には、この車体内面部材12は、前記センターピラー5上部の車体内面を構成するセンターピラーアッパインナパネル21と、センターピラー5下部の車体内面を構成するセンターピラーロアインナパネル22と、ルーフサイドレールの車体内面を構成するルーフサイドインナパネル23と、該ルーフサイドインナパネル23の後部に接合され、リヤピラー7の車体内面を構成するリヤピラーインナパネル24と、リヤピラー7の下方からその前方のセンターピラー5下部に亘って設けられ、リヤホイールハウス8周辺の車体内面及びリヤホイールハウス8の車外側の面を構成するリヤサイドインナパネル25と(図6参照)、リヤホイールハウス8の車内側の面を構成するリヤホイールハウスインナパネル26と、リヤピラー7下方のリヤゲート開口の周辺部の車内側の面を構成するリヤインナパネル27と、前記クォータウインド6の下縁に沿って前後に延び、前記センターピラーアッパインナパネル21とリヤピラーインナパネル24とを連結するベルトラインレインフォースメント28とを有している。
ベルトラインレインフォースメント28は車体側部のベルトラインの剛性を向上させるために、前記キャブサイドアウタパネル11や他のインナパネル21〜27よりも厚くされている。
センターピラー9の内部には、上下に延びる断面ハット状のセンターピラーレインフォースメント31が設けられ、該センターピラーレインフォースメント31と、前記センターピラーアッパインナパネル21及びセンターピラーロアインナパネル22とで上下に延びる閉断面構造が形成されている。
リヤホイールハウス8の上方には、図3、図4にもあわせて示すように、リヤピラー7に取り付けられるリヤシート用シートベルトアンカSの取付部を補強し、水平断面がハット状のインナアンカレインフォースメント32及びアウタアンカレインフォースメント33がリヤサイドインナパネル25を内外から挟むように設けられ、シートベルトアンカSはアウタアンカレインフォースメント33の上部側で固定されている。
また、リヤホイールハウス8の上面と、車体後壁部におけるリヤピラー7下方のリヤゲート開口周辺部との間には、車体後部の剛性を向上させるためのリヤレインフォースメント34が架け渡されている。
ここで、リヤシート3のシートバック3aは、下部に設けられた回動軸3bを中心として回動可能な可倒式のものであり、図1、図2に示すように、該シートバック3aを起立状態に保持するロック装置40のラッチ41が、シートバック3aにおける車体側部側の側部に設けられ、該ラッチ41と係合するストライカ42が、リヤサイドインナパネル25におけるサイドインナ開口13の上部後方、より詳しくはベルトラインレインフォースメント28の後方下方の部位に固定されている。
本実施の形態においては、このストライカ42のリヤサイドインナパネル25への固定部を補強するための構造が設けられている。
すなわち、図3〜図6に示すように、前記リヤサイドインナパネル25におけるストライカ42が固定される部位の車外側の面に補強部材51が設けられている。この補強部材51は、リヤサイドインナパネル25に複数箇所でスポット溶接により接合されている。また、この補強部材51の周縁部には、該部材51単体としての剛性を向上させるための車外側へのフランジ状折り返し部51aが設けられている。
また、ベルトラインレインフォースメント28の後端部下部には、補強部材51に向かって後方下方に延びる延長部28aが設けられていると共に、補強部材51には、ベルトラインレインフォースメント28の延長部28aに向かって前方に延びる突出部51bが形成されている。そして、車外側からベルトラインレインフォースメント28の延長部28a、補強部材51の突出部51b、リヤサイドインナパネル25がこの順番で重ね合わされて(図2も参照)、αで示す複数箇所でスポット溶接により接合され、これにより、ベルトラインレインフォースメント28の延長部28aと補強部材51の突出部51bとが連結されている。また、ベルトラインレインフォースメント28の延長部28aとリヤサイドインナパネル25とはβで示す複数箇所でスポット溶接により接合されている。
また、ベルトラインレインフォースメント28の延長部28aには、図7にも示すように、前後に延びるビード28bが設けられている。
ストライカ42は、図3、図5、図6からよくわかるように、一対の丸棒状脚部42a,42aと、その上端同士を連結する丸棒状バー部42bとを有するゲート状の構造で、これらの脚部42a,42aがシートバック3a側のラッチ41の回動軌跡(前記回動軸3bを中心とする)上に位置するように、取付ブラケット52を介してリヤサイドインナパネル25の車内側の面に取り付けられている。
この取付ブラケット52は、車幅方向内側に膨出する鉢状形状とされて該鉢状形状の底部に前記ストライカ42が固定される支持部52aと、該支持部52aの反底部側からリヤサイドインナパネル25の内面に沿うように概ね上方、下方、及び後方に延びる3つの取付面部52e,52f,52g(基部)とを有し、これらの取付面部52e,52f,52gがリヤサイドインナパネル25と補強部材51との重合部にボルト61…61、ナット62…62で締結されることにより(図4も参照)、リヤサイドインナパネル25に固定されている。
また、取付ブラケット52には、支持部52aの反底部側からリヤサイドインナパネル25の内面に沿うように前方に延びる突出部52iが設けられている。この突出部52iは、リヤサイドインナパネル25を挟んで補強部材51の突出部51bに対向するように設けられ、取付ブラケット52が固定された状態において、リヤサイドインナパネル25に当接している。また、この突出部52iには、該片部52iを貫通する位置決め孔52jが設けられていると共に、リヤサイドインナパネル25及び補強部材51の突出部51bには位置決めピン53が溶着固定されており、この位置決めピン53と前記位置決め孔52jとを嵌合させることにより、取付ブラケット52をリヤサイドインナパネル25に対して所定位置に位置決め可能となっている。
また、取付ブラケット52の後側の取付面部52gのボルト61の挿通位置は、ストライカ42の一対の脚部42a,42aを結んだ直線の延長線L上においてこれらの脚部42a,42aの後方側に設けられていると共に、上側の取付面部52e及び下側の取付面部52fは、前記支持部52aから該延長線Lに対して直行する方向にそれぞれ設けられている。突出部52jは、該延長線L上においてこれらの脚部42a,42aの前方に設けられている。
また、リヤサイドインナパネル25には、図3、図6に示すように、取付ブラケット52の上側取付面部52eの上方及び下方において該面部52eに近接するように前後に延びるビード25a,25bが形成されている。
また、図5に示すように、リヤサイドインナパネル25及び補強部材51は、ストライカ42が固定される部位において離間するように形成されており、これにより閉断面構造Yが形成されている。
また、図4、図6からわかるように、補強部材51の上端部51cは、リヤサイドインナパネル25の上縁部とリヤピラーインナパネル24の下縁部との重合部、すなわち車体内面部材12として剛性の高い部位にさらに重合され、スポット溶接によりこれらが接合されている。また、図3、図6からわかるように、補強部材51の下端部後部51dはリヤサイドインナパネル25とリヤホイールハウスインナパネル26のフランジ部26aとの重合部、すなわち車体内面部材12として剛性の高い部位に重合され、スポット溶接によりこれらが接合されている。したがって、補強部材51hは、上端部51c、下端部51d、及び前端部(突出部51b)が車体内面部材12に三方で接続されることとなり、該補強部材51の車幅方向への変位が生じにくくなっている。
次に、本実施の形態の作用、効果について説明する。
まず、前記車体内面部材12における開口部13の上方部分が、ベルトラインレインフォースメント28により構成されているので、該上方部分の剛性が向上する。また、前記車体内面部材12(リヤサイドインナパネル25)におけるストライカ42が固定される部位に補強部材51が取り付けられているので、固定部位自体の剛性も向上する。そして、前記ベルトラインレインフォースメント28が後方に延長され、該延長部28aが前記補強部材51と連結されているので、ストライカ固定部位の内側変形に対する剛性が向上することとなる。したがって、乗員着座時にストライカ42に車幅方向内向きの荷重が作用したとしても、ベルトラインレインフォースメント28に荷重が分散され、その結果、ストライカ固定部位が車幅方向内側に変位しにくくなる。
そして、特に、ストライカ42がベルトラインレインフォースメント28の下方後方、すなわち開口部13の後方に設けられる場合に、該ベルトラインレインフォースメント28の延長部28aを後方下方に延長させて補強部材51と連結させたから、ベルトラインレインフォースメント全体の上下幅を大きくすることなく、車体内面部材12におけるストライカ固定部位の剛性を向上させることができる。
また、前記ベルトラインレインフォースメント28の延長部28aに前後に延びるビード28bが設けられているから、該延長部28aの車幅方向に対する剛性が向上することとなる。
また、車体内面部材12におけるストライカ42が固定される部位からその前方側の部分が、補強部材51の突出部51bと取付ブラケット52の突出部52iとで挟まれることとなり、その結果、この挟まれた部位は、ストライカ42から内向きの荷重が作用したとしても、車幅方向外側にも内側にも変形できなくなる。したがって、車体内面部材12がストライカ42の固定部位で車幅方向内側に変位するのがより一層抑制されることとなる。
また、前記取付ブラケット52は、突出部52iと、車体内面部材12に取り付けられる取付面部52e,52f,52gと、ストライカ42が取り付けられ、が前記車体内面部材に対して車幅方向内側に膨出する形状とされた支持部52aとで構成されているので、比較的簡単な構造であり、しかも膨出形状により取付ブラケット52の剛性が向上することとなる。
また、位置決め用の突出部等を別途設けると構造が複雑化するが、本実施の形態では、もともと設けてある突出部52iに、車体内面部材12の位置決めピン53とで位置決めするための位置決め孔52jが設けられているから、位置決め用の突出部等を別途形成する必要がなく、取付ブラケットの形状が複雑化するのが防止される。
また、前記ストライカ42は、ゲート状の構造で、一対の脚部42a,42aがシートバック3a側のラッチ41の回動軌跡上に設けられた構造であるが、前記取付ブラケット52は、基部として、ストライカ42の脚部42a,42a同士を結んだ線の延長線L上で前記支持部52aに対して後方に設けられた後側取付面部52dを有しているので、ストライカ42にシートバック3a側から後ろ向きの荷重が作用したときに、その荷重を直後方で効果的に受け止めることができる。
また、取付ブラケット52は、基部として、前記支持部52aから前記延長線Lに対して直行する方向にそれぞれ設けられた上側取付面部52e及び下側取付面部52fを有しているが、この場合、取付ブラケット52の後側取付面部52d、特に後側取付面部52dの付け根(折曲部)には、上側取付面部52e及び下側取付面部52fの固定点を結んだ直線軸M回りに(図3参照)車外側に変位させようとする力が作用し、その結果、車体内面部材12における後側取付面部52dの付け根に接する部分が外側に変位する。一方、このように変位すると、車体内面部材12における取付ブラケット52の突出部52i側部分には、車幅方向内側へ変位しようとする力が働くが、取付ブラケット52の方が車体内面部材12よりも板厚が厚く剛性が高い素材で形成されており、変形しにくいので、車体内面部材12は、取付ブラケット52の突出部52iにより車幅方向外側に押え付けられることとなる。したがって、前記溶接箇所α、βの剥離が防止されると共に、車体内面部材12の車幅方向内側への変位が一層効果的に抑制されることとなる。
また、前記車体内面部材12(リヤサイドインナパネル25)に、前記取付ブラケット52が取り付けられる部位において、ビード25a,25bが形成されているから、該部位の車幅方向に対する剛性が向上することとなる。
また、前記車体内面部材12と補強部材51とで、前記取付ブラケット52が取り付けられる部位に、閉断面構造が形成されているから、該部位の剛性が向上することとなり、前述の作用・効果が一層効果的なものとなる。
ここで、本実施の形態においては、車体内面部材12における開口部13の上方部分が、ベルトラインレインフォースメント28のみにより構成されているが、この上方部分に別のインナパネルが存在しており、該インナパネルの内面あるいは外面にベルトラインレインフォースメントを設ける場合にも適用可能である。
本発明は、センターピラー後方の車体側部上部にクォータウインドが設けられていると共に、該クォータウインド下方の車体側部内面を構成する車体内面部材に開口部が設けられ、かつ該車体内面部材における開口部に対して上方後方の部位に、シートバックの側部に設けられたラッチと係合することにより、シートバックを起立状態にロックするストライカが固定された自動車の側部車体構造に広く適用することができる。
本発明の実施の形態に係る自動車の車体側部の車内側外観図である。 図1のA−A断面図である。 図1の矢印B部分の拡大図である。 図3に示す部分の車外側外観図である(キャブサイドアウタパネルは透視している)。 図3のC−C断面図である。 図1のD−D断面図である。 図3のE−E断面図である。
符号の説明
1 自動車
3a シートバック
5 センターピラー
6 クォータウィンド開口部
12 車体内面部材
13 開口部
25a ビード
28 ベルトラインレインフォースメント
28a 延長部
28b ビード
41 ラッチ
42 ストライカ
42a,42a 脚部
51 補強部材
51b 突出部(補強部材の突出部)
52 取付ブラケット
52d 後側取付面部(後側基部)
52e 上側取付面部(上側基部)
52f 下側取付面部(下側基部)
52i 突出部(取付ブラケットの突出部)
52j 位置決め部(取付ブラケットの位置決め部)
53 位置決めピン(車体内面部材側の位置決め部)
Y 閉断面構造

Claims (8)

  1. センターピラー後方の車体側部上部にクォータウインドが設けられていると共に、該クォータウインド下方の車体側部内面を構成する車体内面部材に開口部が設けられ、かつ該車体内面部材における開口部の上部後方の部位に、シートバックの側部に設けられたラッチと係合することにより、シートバックを起立状態にロックするストライカが固定された自動車の側部車体構造であって、
    前記車体内面部材における開口部の上方部分が、ベルトラインレインフォースメントにより構成されていると共に、
    前記車体内面部材におけるストライカが固定される部位に補強部材が取り付けられており、
    かつ、前記ベルトラインレインフォースメントが後方に延長されて、該延長部が前記補強部材と連結されていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  2. 前記請求項1に記載の自動車の側部車体構造において、
    前記ストライカが前記ベルトラインレインフォースメントの下方後方に設けられており、
    前記ベルトラインレインフォースメントの延長部は後方下方に延長されて補強部材と連結されていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  3. 前記請求項1または請求項2に記載の自動車の側部車体構造において、
    前記ベルトラインレインフォースメントの延長部に前後に延びるビードが設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  4. 前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動車の側部車体構造において、
    前記ストライカが、車体内面部材の車内側に配設された取付ブラケットを介して前記車体内面部材に取り付けられていると共に、
    前記補強部材が前記車体内面部材の車外側の面に取り付けられており、
    かつ、前記補強部材には、前方に突出する突出部が設けられていると共に、
    前記取付ブラケットには、前記車体内面部材を挟んで前記突出部に対向し、該車体内面部材に当接する突出部が設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  5. 前記請求項4に記載の自動車の側部車体構造において、
    前記取付ブラケットは、前記突出部と、車体内面部材に取り付けられる基部と、ストライカが取り付けられ、前記車体内面部材に対して車幅方向内側に膨出する支持部とを有しており、
    該ブラケットの突出部に、前記車体内面部材側に設けられた位置決め部とで位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  6. 前記請求項5に記載の自動車の側部車体構造において、
    前記ストライカは、ゲート状の構造で、一対の脚部がシートバック側のラッチの回動軌跡上に設けられていると共に、
    前記ブラケットは、基部として、前記ストライカの脚部同士を結んだ線の延長線上で前記支持部に対して後方に設けられた後側基部と、前記支持部から該延長線に対して直行する方向にそれぞれ設けられた上側基部及び下側基部とを有し、車体内面部材よりも板厚が厚く剛性が高い素材により形成されていると共に、
    前記ブラケットの突出部は、前記延長線上前方に設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  7. 前記請求項1から請求項6のいずれかに記載の自動車の側部車体構造において、
    前記車体内面部材に、前記取付ブラケットが取り付けられる部位において、ビードが形成されていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
  8. 前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の自動車の側部車体構造において、
    前記車体内面部材と補強部材とで、前記ストライカが固定される部位に、閉断面構造が形成されていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
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