JP2008231459A - ポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来用いられている無電解銅めっき液と比較して安全性の高い無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂に対して、良好な密着性と優れたエッチング性を兼ね備えた導電性皮膜を形成できる方法を提供する。
【解決手段】還元剤として次亜リン酸又はその塩を含む自己触媒型無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂上にニッケル含有率20〜70重量%の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高速化などにより、プリント配線板においても、高配線密度化、高性能化が重要な課題となっており、基板材料についても、誘電率が小さく、絶縁抵抗値が高く、且つ良好な耐熱性を有する材料が要望されている。
かかる要求を満足する材料として、ポリイミド樹脂が注目されており、フレキシブルプリント配線板、テープ自動ボンディングテープ等の素材として頻繁に使用されている(下記特許文献1及び2参照)。ポリイミド樹脂を基板材料として用いる場合には、通常、フィルム状のポリイミド樹脂の表面に金属層として銅を被覆した銅ポリイミド基板が用いられている(下記特許文献3参照)。ポリイミド樹脂フィルムに銅層を形成する方法としては、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、無電解めっき法、キャスティング法、熱圧着法などが知られており、特に、無電解めっき法は、大規模な真空装置を必要とすることなく、安価に大量生産できる点で非常に有利な方法である。
しかしながら、工業的に用いられている一般的な無電解銅めっき液は、強アルカリ性であり、しかも還元剤として発ガン性物質であるホルムアルデヒドを用いている。このため、これに代わり得る安全性の高い無電解めっき液を用いて導電性皮膜を形成することが望まれている。
工業的に用いられている無電解めっき液において、比較的安全性の高いめっき液として次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液が知られている。しかしながら、無電解ニッケルめっき液により形成されるニッケルめっき皮膜は、ポリイミド樹脂に対する密着性は良好であるものの、エッチング性が劣るために、配線密度の高い配線板を形成する場合には、導体間の絶縁性が不足するという重大な欠点がある。
特開平5−55716号公報 特開平9−29835号公報 特開2006−13152号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来用いられている無電解銅めっき液と比較して安全性の高い無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂に対して、良好な密着性と優れたエッチング性を兼ね備えた導電性皮膜を形成できる方法を提供することである。
本発明者は上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、還元剤として次亜リン酸又はその塩を含む安全性の高い無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂上にニッケル含有率が20〜70重量%という特定の範囲内にある銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することによって、ポリイミド樹脂に対して良好な密着性を有し、且つ導体回路を形成するためのエッチング性にも優れた導電性皮膜を形成できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のポリイミド樹脂への導電性皮膜の形成方法を提供するものである。
1.還元剤として次亜リン酸又はその塩を含む自己触媒型無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂上にニッケル含有率20〜70重量%の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法。
2.形成される銅−ニッケル合金めっき皮膜のニッケル含有率が25〜50重量%である上記項1に記載の導電性皮膜の形成方法。
3.ポリイミド樹脂に対して親水化処理及び触媒付与処理を行った後、上記項1又は2に記載の方法で銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法。
4.上記項1〜3のいずれかの方法でポリイミド樹脂上に導電性皮膜を形成した後、電気めっき法によって銅めっき皮膜を形成し、次いで、エッチングによって導体回路を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導体回路の形成方法。
以下、本発明の導電性皮膜の形成方法について具体的に説明する。
ポリイミド樹脂
本発明はポリイミド樹脂に対して導電性皮膜を形成する方法に関するものである。ポリイミド樹脂の種類については特に限定はなく、例えば、非熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等の通常の工業的に用いられている各種のポリイミド樹脂を被処理物とすることができる。特に、本発明方法によれば、密着性及びエッチング性に優れた導電性皮膜を形成できることから、フレキシブル基板の基板材料として用いられているポリイミド樹脂フィルムを被処理物とする場合に、良好なフレキシブル基板を製造することが可能となる点で非常に有用性が高い方法である。尚、通常、フレキシブル基板の基板材料としては、厚さ20〜100μm程度のポリイミド樹脂フィルムが用いられる。
無電解銅−ニッケル合金めっき皮膜
本発明の方法では、還元剤として次亜リン酸塩を含む無電解めっき液を用いて、ニッケル含有率が20〜70重量%程度の範囲内、好ましくはニッケル含有率が25〜50重量%程度の範囲内にある銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することが必要である。この様な特定のニッケル含有率の銅−ニッケル合金めっき皮膜は、ポリイミド樹脂に対して良好な密着性を示し、且つエッチング性にも優れた皮膜である。従って、上記した特定組成の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成した後、必要に応じて、電気めっき処理などを行い、その後、エッチングによって導体回路を形成することによって、ポリイミド樹脂上に良好な導体回路を形成することができる。しかも、本発明で用いる無電解銅−ニッケルめっき液は、還元剤として次亜リン酸又はその塩を含むものであり、ホルマリンを還元剤とする無電解銅めっき液と比較して作業環境に対する悪影響の少ない、安全性の高いめっき液である。
上記した銅−ニッケル合金めっき皮膜は、ニッケル以外の成分としては、銅の他に還元剤である次亜リン酸又はその塩に由来するリンを含むものである。この銅−ニッケル合金めっき皮膜におけるリンの含有量については、通常、2〜10重量%程度の範囲内であればよい。
上記した銅−ニッケル合金めっき皮膜は、水溶性銅化合物、水溶性ニッケル化合物、錯化剤、及び次亜リン酸又はその塩を含有する水溶液からなる無電解銅−ニッケルめっき液を用いて形成することができる。
水溶性銅化合物としては、めっき液中に可溶性の銅化合物であれば、特に限定なく使用できる。この様な銅化合物の具体例としては、硫酸銅、塩化銅等を挙げることができる。銅化合物の含有量は、通常1〜10g/L程度の範囲とすることができる。
水溶性ニッケル化合物としては、めっき液中に可溶性のニッケル銅化合物であれば、特に限定なく使用できる。この様な銅化合物の具体例としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等を挙げることができる。ニッケル化合物の含有量は、通常、1〜10g/L程度の範囲内とすることができる。
錯化剤についても特に限定はなく、無電解めっき液で用いられている公知の錯化剤を用いることができる。この様な錯化剤としては、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;エチレンジアミンジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を例示できる。これらの錯化剤は1種単独又は2種以上混合して用いることができる。
錯化剤の配合量は、5〜180g/L程度とすることが好ましく、10〜120g/L程度とすることがより好ましい。
還元剤としては、次亜リン酸、又は次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸アンモニウムなどの次亜リン酸塩を用いる。次亜リン酸及び次亜リン酸塩は一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
還元剤の濃度は、5〜50g/L程度とすることが好ましく、10〜30g/L程度とすることがより好ましい。
本発明で用いる無電解銅−ニッケルめっき液には、更に、必要に応じて、無電解めっき液において通常用いられている各種の添加剤を配合することができる。例えば、安定剤として、硝酸鉛、酢酸鉛等の鉛塩;硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等のビスマス塩;チオジグリコール酸等の硫黄化合物等を1種単独又は2種以上混合して添加することができる。安定剤の添加量は、特に限定的ではないが、例えば、0.01〜100mg/L程度とすることができる。
また、pH緩衝剤として、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、炭酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を配合することができる。緩衝剤の配合量は特に限定的ではないが、例えば0.1〜200g/L程度とすることができる。
更に、めっき液の浸透性を向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては特に限定はなく、ノニオン性、カチオン性、アニオン性、両性等の各種界面活性剤を1種単独又は2種以上混合して添加することができる。添加量としては、例えば、0.1〜100mg/L程度とすればよい。
本発明の無電解ニッケルめっき液のpHは、通常、8〜11程度とすればよく、8.5〜10程度とすることが好ましい。pH調整には、硫酸、リン酸等の無機酸および水酸化ナトリウム、アンモニア水等を使用することができる。
無電解めっき液の液温については、通常30〜80℃程度とすればよい。
本発明では、上記した無電解銅―ニッケルめっき液を用いて、使用する成分の種類に応じて、具体的なめっき液組成、めっき条件等を調整して、目的とするニッケル含有率の範囲の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成すればよい。通常は、めっき液中のニッケル塩の比率を増大させることによって、形成されるめっき皮膜中のニッケル含有率を増加させることができる。
めっき皮膜の形成工程
本発明のポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法では、上記した無電解銅−ニッケルめっき皮膜を形成する前に、通常、前処理としてポリイミド樹脂表面の親水化処理及び触媒付与処理を行う。更に、必要に応じて、親水化処理の前に、常法に従って、指紋、油脂等の有機物、静電気作用による塵等の付着物等を除去するために、被処理物の表面を清浄化することができる。処理液としては、公知の脱脂剤を用いればよく、例えば、アルカリタイプの脱脂剤等を使用して、常法に従って脱脂処理等を行えばよい。
親水化処理方法については特に限定的ではないが、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリを含む水溶液を処理液として用い、該処理液中に浸漬する方法によって行うことができる。親水化処理液中のアルカリ濃度は、例えば、5〜340g/程度とすればよく、例えば、25〜80℃程度の処理液中に1〜10分程度浸漬する方法によって親水化処理を行うことができる。この処理によって、ポリイミド樹脂表面の一部が開環して、カルボキシル基を生じることによって、樹脂表面の親水性が向上すると考えられる。
また、上記したアルカリ水溶液による処理に代えて、プラズマ処理、短波長紫外線処理等によっても同様の親水化の効果を得ることができる。
また、上記した親水化処理に先だって、ポリイミド樹脂の表面の粗化を行っても良い。粗化方法は常法に従えば良く、例えば、過マンガン酸カリウムを5〜100g/L程度含有する水溶液を処理液として用い、ポリイミド樹脂を該処理液中に、25〜80℃で1〜10分程度浸漬した後、表面に付着した過マンガン酸カリウムを中和除去する方法を採用できる。中和処理方法は、ポリイミド樹脂の表面に残存する過マンガン酸カリウムを除去するための処理であり、通常、ヒドロキシルアミンの硫酸塩、塩酸塩等を1〜10g/L程度含有する水溶液を用い、該処理液中にポリイミド樹脂を1〜10分程度浸漬する方法によって行うことができる。
上記した親水化処理を行った後、必要に応じて、ポリイミド樹脂表面の表面調整を行うことができる。表面調整は、常法に従って行えば良く、通常、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を含有する水溶液中にポリイミド樹脂を浸漬する方法によって行うことができる。表面調整を行うことによって、この後の触媒付与処理において、被めっき物の表面に均一に触媒を付着させることが可能となる。
次いで、ポリイミド樹脂表面に無電解めっき用触媒を付与する。無電解めっき用触媒としては、特に限定されるものはなく、各種の自己触媒型無電解めっきにおいて用いられる触媒金属、例えば、パラジウム、銀、ルテニウム等を用いることができる。これらの触媒の付与方法については特に限定はなく、通常の無電解めっき用触媒の付与方法に従えばよい。パラジウム触媒の付与方法としては、例えば、いわゆる、センシタイジング−アクチベーティング法、キャタライジング法などと称される方法が代表的な方法である。
これらの方法の内で、センシタイジング−アクチベーティング法は、塩化第一錫と塩酸を含む水溶液で感受性化処理(センジタイジング)を行った後、塩化パラジウム等のパラジウム塩を含む水溶液を用いて活性化(アクチベーティング)する方法である。また、キャタライジング法は、塩化パラジウムと塩化第一錫を含む混合コロイド溶液によって被めっき物を触媒化処理(キャタライジング)した後、硫酸水溶液、塩酸水溶液等を用いて活性化する方法である。その他、パラジウムイオンを樹脂表面に吸着させた後、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランなどの還元剤を含む水溶液を用いてパラジウムイオンを還元処理する方法等も用いることができる。これらの方法の具体的な処理方法、処理条件等については、公知の方法に従えばよい。
上記した方法によって無電解めっき用の触媒を付与した後、前述した無電解銅−ニッケルめっき液中に被めっき物であるポリイミド樹脂を浸漬することによって、無電解銅−ニッケルめっき皮膜を形成することができる。
ポリイミド樹脂めっき品
本発明の方法によれば、被処理物であるポリイミド樹脂の表面に、良好な密着性を有するニッケル含有率が20〜70重量%の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することができる。形成される銅−ニッケル合金めっき皮膜は、密着性が良好であることに加えて、エッチング性に優れた皮膜であり、ポリイミド樹脂フィルムを基板材料として導体回路を形成して、フレキシブル基板を作製する目的において特に有効に利用できる。
ポリイミド樹脂上に形成する銅−ニッケル合金めっき皮膜の膜厚については、特に限定的ではないが、プリント配線板を作製する場合には、例えば、0.05〜1μm程度の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成した後、電気銅めっき液を用いて、5〜30μm程度の銅めっき皮膜を形成すればよい。電気銅めっき液については、特に限定的ではなく、例えば、硫酸銅めっき液、ピロリン酸銅めっき液、酢酸銅めっき液等を用いることができる。
その後、形成された銅めっき皮膜上にエッチングレジスト皮膜を形成し、銅めっき皮膜と銅−ニッケル合金めっき皮膜の不要部分をエッチング除去することによって、導体回路を形成することができる。
エッチング処理液については特に限定的ではないが、本発明方法によって形成されるめっき皮膜に対して良好なエッチング性能を有するエッチング液の例として、塩化第二鉄を含有する水溶液、塩化第二銅を含有する水溶液、過酸化水素水を含有する水溶液等を挙げることができる。これらの内で、塩化第二鉄を含有する水溶液としては、例えば、塩化第二鉄を30〜50重量%程度含有し、塩酸を5〜12 重量%程度又は硫酸を13〜17重量%程度含有する水溶液を用いることができる。塩化第二銅を含有する水溶液としては、例えば、塩化第二銅を10〜50重量%程度含有し、さらに塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの塩化物を0〜30重量%程度含有し、塩酸を5〜12重量%程度又は硫酸を13〜17重量%程度含有する水溶液を用いることができる。過酸化水素水を含有する水溶液としては、例えば、過酸化水素水を5〜30重量%程度含有し、硫酸を13 〜17重量%程度含有する水溶液を用いることができる。これらの内で、特に、塩化第二銅を含むエッチング液は、銅に対する溶解性が良好であり、工業的使用に適したものである。
エッチング処理方法については、特に限定できではなく、公知のエッチング処理方法を適宜適用できる。例えば、浸漬法、スプレーエッチング法などによってエッチング処理を行うことができる。これらの場合、エッチング処理液の液温は、通常、25〜80℃程度とすればよい。
本発明方法によれば、安全性の高い還元剤である次亜リン酸又はその塩を含む自己触媒型無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂上に密着性に優れた銅−ニッケルめっき皮膜を形成することができる。形成されるめっき皮膜は、ポリイミド樹脂に対する密着性が良好であることに加えて、エッチング性に優れた皮膜であり、微細なパターンを有する導体回路であっても容易に形成することができ、ポリイミド樹脂を基板材料として高配線密度のプリント配線板を作製することが可能となる。
このため、本発明によれば、安価で大量生産が可能な無電解めっき法を採用し、しかも安全性の高いめっき液を用いて、フレキシブルプリント配線板、テープ自動ボンディングテープなどのプリント配線板の素材となる良好な性能の導電性皮膜が形成されたポリイミド樹脂製品を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
無電解めっき用前処理工程
被めっき物として、ポリイミド樹脂フィルム(商標名:カプトン200H、東レ・デュポン社製、厚さ50μm、大きさ10×50cm)を用いて下記の工程により、無電解めっきの前処理を行った。尚、触媒付与後の還元処理は、めっき液中への還元処理液の持ち込みを低減するために、還元剤濃度を変化させて、2工程の処理を行った。また、各処理工程の間には水洗処理を行った。
(1)粗化
過マンガン酸カリウムを45g/L含有する液温45℃の水溶液中に3分間浸漬した。
(2)中和
市販の中和処理剤(商標名:OPC−1300ニュートライザー、奥野製薬工業製)を用いて45℃の処理液中に3分間浸漬した。
(3)親水化処理
水酸化ナトリウム5mol/L水溶液を用いて25℃の処理液中に2分間浸漬した。
(4)触媒付与
市販のPdイオン含有触媒付与液(商標名:PFPキャタリスト、奥野製薬工業製)を用いて45℃の処理液中に6分間浸漬した。
(5)還元処理
市販の還元剤(商標名:PFPクリスターMU、奥野製薬工業製)を用いて25℃の処理液中に5分間浸漬した後、還元剤濃度を1/2とした処理液中に25℃で1分間浸漬した。
めっき工程
下記表1に示す無電解銅ニッケルめっき液中にポリイミド樹脂フィルムを5分間浸漬して、厚さ約0.1μmの銅−ニッケルめっき皮膜を形成した。表1には、形成されためっき皮膜の組成も示す。
Figure 2008231459
皮膜性能試験
(1)密着強度試験
上記した方法で形成された銅−ニッケル合金めっき皮膜について、下記の方法で密着強度を測定した。結果を下記表2に示す。
まず、ポリイミドフィルム樹脂フィルム上に1cm×5cmの帯状のパターンをマスキングテープで形成した後、無電解めっきを施し、乾燥後、マスキングテープを取り除き、更に、硫酸銅めっきを施して、ポリイミド樹脂フィルム上に金属薄膜を形成した。その後、十分に乾燥し、引張試験機を用いて、銅めっき層をポリイミドフィルム樹脂表面に対して垂直方向に引き剥がすことによって90°ピール強度を測定した。
Figure 2008231459
(2)エッチング試験
ポリイミド樹脂からなるビルドアップ用基板(味の素製 GX-13)に、上記した方法で銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成した後、市販の添加剤(商標名:トップルチナSF、奥野製薬工業製)を含む硫酸銅めっき液を用いて、浴温25℃、陰極電流密度2.5A/dmで、30分間電気銅めっきを行い、厚さ約25μmの銅めっき皮膜を形成した。
次いで、形成されためっき皮膜上に、櫛歯状のパターンのレジスト皮膜(幅約100μm、線間隔約100μm)を形成した後、塩化銅0.68mol/dm、HCl 0.77mol/dm、NaCl 0.77mol/dmを含有する酸性塩化銅溶液をエッチング処理液として用いて、スプレーエッチング法(スプレー圧0.03 MPa、処理温度25℃、処理時間6分)によりエッチング処理を行った。
エッチング処理終了後、レジストを剥離し、図1に示す櫛歯状の銅めっき皮膜からなる導体パターンを形成した。その後、銅からなる導体パターンの両端の端子間の抵抗値を測定した。結果を下記表3に示す。この試験によれば、端子間の抵抗値が大きい場合には、銅めっき皮膜と下地の銅−ニッケル合金めっき皮膜が完全にエッチング除去された状態となっていることが判る。
Figure 2008231459
上記した結果から明らかなように、ニッケル含有率が10〜45重量%の範囲内の銅−ニッケルめっき皮膜を形成した場合には、導体パターン間の抵抗値が無限大となっており、導体回路間の導体皮膜が完全にエッチング除去されていた。また、ニッケル含有率が70重量%の銅−ニッケルめっき皮膜を形成した場合にも、500Ωという高い抵抗値となっており、エッチング処理によってほぼ完全に不要部分の銅−ニッケルめっき皮膜が除去されたことが確認できた。
以上の表2及び表3に記載された、密着性試験及びエッチング試験の結果を総合的に評価すると、めっき浴番号2〜4の無電解銅−ニッケルめっき液を用いて形成されたニッケル含有率27〜62重量%の範囲内の銅−ニッケル合金皮膜は、ポリイミド樹脂に対する密着性とエッチング性の両方の特性が良好であり、プリント配線板作製用の導電性皮膜が形成されたポリイミド基板として優れた特性を有するものであることが明らかである。
実施例1において、エッチング処理後に形成された導体パターンを模式的に示す図面である。

Claims (4)

  1. 還元剤として次亜リン酸又はその塩を含む自己触媒型無電解めっき液を用いて、ポリイミド樹脂上にニッケル含有率20〜70重量%の銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法。
  2. 形成される銅−ニッケル合金めっき皮膜のニッケル含有率が25〜50重量%である請求項1に記載の導電性皮膜の形成方法。
  3. ポリイミド樹脂に対して親水化処理及び触媒付与処理を行った後、請求項1又は2に記載の方法で銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導電性皮膜の形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法でポリイミド樹脂上に導電性皮膜を形成した後、電気めっき法によって銅めっき皮膜を形成し、次いで、エッチングによって導体回路を形成することを特徴とするポリイミド樹脂上への導体回路の形成方法。
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