JP2008230290A - 車両用天井材への側方ダクトの配設構造 - Google Patents

Abstract

【課題】側方ダクトに破損が生じることを防止することができ、この破損による破片が車内へ飛散することを防止できる車両用天井材への側方ダクトの配設構造を提供すること。
【解決手段】側方ダクト２は、空気を通過させる空気通路２１１を形成してなる筒状のダクト本体部２１と、ダクト本体部２１における車両中央側の側部２１２に突出形成した固定部２２とを有している。側方ダクト２は、固定部２２のみがホットメルト等の接着剤３によって車両用天井材１の裏側上面１０１に固定してある。側方ダクト２に対する車両外側に配設されたカーテンシールドエアバッグ４が展開するときに、このエアバッグ４により、車両用天井材１における左右方向Ｗの端部１３が、ダクト本体部２１を引っ張ることなく押し下げられるよう構成してある。
【選択図】図２

Description

本発明は、車両用天井材の左右に、空気を送風するための側方ダクトを配設した構造に関する。

乗用車等の天井は、薄肉鋼板からなるボディパネルの室内側に、合成樹脂等を用いて構成した車両用天井材を配設してなる。そして、特に、大型の乗用車等は、後部座席にもエアコンディショナーの吹出口を備えており、車両用天井材は、その裏側上面において温調空気供給用のダクトを配設して構成している。
例えば、特許文献１の車両用天井材においては、ダクトを、天井材本体の後方側において左右に伸びる後方ダクト部と、後方ダクト部の左右両端から天井材本体の前方側に向けて伸びる左右一対の側方ダクト部とから構成し、側方ダクト部の前方側に衝撃吸収部を一体的に延設している。

ところで、乗用車の衝突時において乗員を保護するため、天井内における左右（車両用天井材の裏側における左右）には、側方ダクト部に対する車両外側の位置にカーテンシールドエアバッグ（以下、単にエアバッグという。）が配設されることが多い。車両衝突時においてエアバッグが作動したときには、このエアバッグは、車両用天井材の左右の端部を室内側に飛び出させて、サイドウィンドウの室内側に対向して展開される。

しかしながら、上記従来の車両用天井材において、ダクト（後方ダクト部及び側方ダクト部）は、その裏面と天井材本体の裏側上面との間に設けたホットメルト等の接着剤によって、天井材本体に固定している。そのため、エアバッグが作動するときには、車両用天井材の端部によって側方ダクト部が下方に引っ張られるおそれがある。そして、場合によっては、側方ダクト部に破損が生じ、この破損による破片が車両室内へ飛散するおそれがある。

特開２００６−２０６０３０号公報

本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、側方ダクトに破損が生じることを防止することができ、この破損による破片が車内へ飛散することを防止することができる車両用天井材への側方ダクトの配設構造を提供しようとするものである。

本発明は、車両用天井材の裏側上面における左右に、車内に空気を送風するための側方ダクトを配設してなる構造において、
上記側方ダクトは、上記空気を通過させる空気通路を形成してなる筒状のダクト本体部と、該ダクト本体部における車両中央側の側部に突出形成した固定部とを有しており、かつ、該固定部のみが接着剤によって上記車両用天井材の裏側上面に固定してあり、
上記側方ダクトに対する車両外側に配設されたカーテンシールドエアバッグが作動するときには、該カーテンシールドエアバッグにより、上記ダクト本体部を引っ張ることなく上記車両用天井材における左右方向の端部が押し下げられるよう構成したことを特徴とする車両用天井材への側方ダクトの配設構造にある（請求項１）。

本発明においては、カーテンシールドエアバッグ（以下、単にエアバッグという。）の作動時に、車両用天井材に配設した側方ダクトが破損してしまうことを防止する工夫を行っている。
具体的には、本発明の側方ダクトは、ダクト本体部における車両中央側の側部に固定部を突出形成してなり、この固定部のみを接着剤によって車両用天井材の裏側上面に固定している。そして、ダクト本体部と車両用天井材の裏側上面とは、接着剤によって固定されていない。

これにより、車両の衝突時に、側方ダクトに対する車両外側に配設されたエアバッグが作動し、サイドウィンドウの車内側に対向して展開されるときには、車両用天井材の左右方向の端部は、エアバッグによって押されて、側方ダクトのダクト本体部を引っ張ることなく車内へ垂れ下がることができる。
それ故、本発明によれば、側方ダクトに破損が生じることを防止することができ、この破損による破片が車内へ飛散することを防止することができる。

上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記固定部は、上記ダクト本体部の側方における長手方向の複数箇所に分散して形成することができる（請求項２）。
この場合には、固定部の形成箇所を適切にして、側方ダクトの成形に使用する材料を低減させることができ、側方ダクトの質量の増加を抑制することができる。

また、上記側方ダクトは、車両における後部座席の側方に位置していると共に、車両の後部に配設した温調ユニットから送風される空気を上記後部座席へ吹き出すための吹出口を有していることができる（請求項３）。
この場合には、車両の後部に温調ユニットを配設してなる車両において、側方ダクトに破損が生じることを防止することができる。

また、上記側方ダクトは、発泡樹脂から成形することができる（請求項４）。
この場合には、側方ダクトの軽量化を図ると共に、発泡樹脂からなる側方ダクトに破損が生じることを防止することができる。

以下に、本発明の車両用天井材への側方ダクトの配設構造にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の車両用天井材１への側方ダクト２の配設構造は、図１に示すごとく、車両用天井材１の裏側上面１０１における左右に、車内に空気を送風するための側方ダクト２を配設してなる。
図２、図３に示すごとく、側方ダクト２は、空気を通過させる空気通路２１１を形成してなる筒状のダクト本体部２１と、ダクト本体部２１における車両中央側の側部２１２に突出形成した固定部２２とを有している。この側方ダクト２は、固定部２２のみがホットメルト等の接着剤３によって車両用天井材１の裏側上面１０１に固定してある。

そして、本例の側方ダクト２の配設構造は、側方ダクト２に対する車両外側に配設されたカーテンシールドエアバッグ４（以下、単にエアバッグ４という。）が展開するときに、このエアバッグ４により、車両用天井材１における左右方向Ｗの端部１３が、ダクト本体部２１を引っ張ることなく押し下げられるよう構成してある。
なお、図１は、車両用天井材１の全体を示す斜視図であり、図２は、固定部２２の形成位置であってアシストグリップ５２の配設位置における車両用天井材１及び側方ダクト２の周辺を示す断面図であり、図３は、固定部２２の形成位置であって側方ダクト２の吹出口２３の形成位置における車両用天井材１及び側方ダクト２の周辺を示す断面図である。

以下に、本例の車両用天井材１への側方ダクト２の配設構造につき、図１〜図３と共に詳説する。
図２、図３に示すごとく、本例の車両用天井材１は、ミニバン等の３列シートを有する乗用車に用いるものであり、側方ダクト２は、後部座席、すなわち２列目シート及び３列目シートの側方におけるルーフサイド５０内に配設してある。
車両用天井材１は、車両において、アウターパネル及びインナーパネルを用いて構成したルーフパネル５の下側（室内側）に配設されており、樹脂等からなる基材１１の室内側表面に表皮材１２を積層して構成されている。

図１、図３に示すごとく、側方ダクト２は、車両後部に配設した温調ユニット（図示略）から送風される空気（特に冷房用の空気）を、車両室内へ吹き出すための吹出口２３を有している。この吹出口２３は、２列目シート及び３列目シートに対応して、側方ダクト２の前後の２箇所に形成してある。
また、車両用天井材１の裏側上面１０１における後部には、左右の側方ダクト２の後端部を連結する後方ダクト２５が配設してある。また、後方ダクト２５の左右方向Ｗの一端部（本例では右側端部）は、接続ダクト（図示略）を介して温調ユニットに接続してある。

本例では、右側用と左側用とに接続ダクトが分けて形成してあり、温調ユニットから送風される空気は、右側の側方ダクト２と左側の側方ダクト２とに分けて送風される。温調ユニットから送風される空気は、右側用の接続ダクト及び後方ダクト２５の一端部に形成した通路部分を経由して右側の側方ダクト２へ送風されると共に、左側用の接続ダクト及び後方ダクト２５の全体に形成した通路部分を経由して左側の側方ダクト２へ送風される。
また、側方ダクト２及び後方ダクト２５は、軽量化を図るため、発泡樹脂のブロー成形を行うことによって形成してある。

また、図２、図３に示すごとく、車両用天井材１の左右方向Ｗの端部１３は、インナーパネルに配設したレール部材５１の受け部５１１内に差し込んである。
ルーフサイド５０内においては、車両用天井材１の左右方向Ｗの端部１３の裏側上面１０１に、エアバッグ４が配置してあり、このエアバッグ４の上方には、エアバッグ４を展開させるために、エアバッグ４内に注入するガスを発生させるインフレータ４１が配設してある。

図１に示すごとく、本例の側方ダクト２の固定部２２は、ダクト本体部２１の側方における長手方向（車両の前後方向）の複数箇所（本例では４箇所）に分散して形成してある。なお、図１においては、車両用天井材の前方側をＦで示し、アシストグリップ５２の取付部位を１５で示し、車両前方側からＡピラー、Ｂピラー、Ｃピラー及びＤピラーの対応箇所をそれぞれ１６Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄで示した。

また、図２に示すごとく、車両用天井材１の左右における室内側下面１０２には、天井イルミネーション部材５３が配設してあり、この天井イルミネーション部材５３よりも左右方向Ｗの外方には、１列目から３列目の各シートに対応してアシストグリップ５２が配設してある。本例の固定部２２は、天井イルミネーション部材５３の裏側部分（車両用天井材１の裏側上面１０１に対向する部分）に対して、接着剤３を介して固定してある。そして、本例の固定部２２は、天井イルミネーション部材５３を介して車両用天井材１の裏側上面１０１に固定してある。

本例においては、エアバッグ４の作動時に、車両用天井材１に配設した側方ダクト２が破損してしまうことを防止する工夫を行っている。
具体的には、本例の側方ダクト２は、ダクト本体部２１における車両中央側の側部２１２に固定部２２を突出形成してなり、この固定部２２のみを接着剤３によって車両用天井材１の裏側上面１０１に固定している。そして、ダクト本体部２１と車両用天井材１の裏側上面１０１とは、接着剤３によって固定されていない。図２に示すごとく、吹出口２３が形成されていない一般部においては、ダクト本体部２１と車両用天井材１の裏側上面１０１との間には、隙間Ｓが形成されており、図３に示すごとく、吹出口２３の形成箇所に対応する部分においては、ダクト本体部２１は、台座部２１３を介して車両用天井材１の裏側上面１０１に当接している。

これにより、車両の衝突時に、側方ダクト２に対する車両外側に配設されたエアバッグ４が作動し、サイドウィンドウの車内側に対向して展開されるときには、車両用天井材１の左右方向Ｗの端部１３は、エアバッグ４によって押されて、側方ダクト２のダクト本体部２１を引っ張ることなく車内へ垂れ下がることができる。また、車両用天井材１の左右方向Ｗの端部１３は、固定部２２を起点として車内へ垂れ下がることができる。なお、図２、図３において、展開時のエアバッグを４Ａで示し、車内へ垂れ下がった車両用天井材１の左右方向Ｗの端部を１３Ａで示した。
それ故、本例によれば、側方ダクト２に破損が生じることを防止することができ、この破損による破片が車内へ飛散することを防止することができる。

実施例における、車両用天井材への側方ダクトの配設構造を示す斜視図。 実施例における、固定部の形成位置であってアシストグリップの配設位置における車両用天井材及び側方ダクトの周辺を示す断面図。 実施例における、固定部の形成位置であって側方ダクトの吹出口の形成位置における車両用天井材及び側方ダクトの周辺を示す断面図。

符号の説明

１ 車両用天井材
１０１ 裏側上面
１３ 端部
２ 側方ダクト
２１ ダクト本体部
２１１ 空気通路
２１２ 側部
２２ 固定部
２３ 吹出口
３ 接着剤
４ カーテンシールドエアバッグ
５ ルーフパネル
５０ ルーフサイド
Ｗ 左右方向

Claims (4)

1. 車両用天井材の裏側上面における左右に、車内に空気を送風するための側方ダクトを配設してなる構造において、
   上記側方ダクトは、上記空気を通過させる空気通路を形成してなる筒状のダクト本体部と、該ダクト本体部における車両中央側の側部に突出形成した固定部とを有しており、かつ、該固定部のみが接着剤によって上記車両用天井材の裏側上面に固定してあり、
   上記側方ダクトに対する車両外側に配設されたカーテンシールドエアバッグが展開するときには、該カーテンシールドエアバッグにより、上記車両用天井材における左右方向の端部が、上記ダクト本体部を引っ張ることなく押し下げられるよう構成したことを特徴とする車両用天井材への側方ダクトの配設構造。
2. 請求項１において、上記固定部は、上記ダクト本体部の側方における長手方向の複数箇所に分散して形成してあることを特徴とする車両用天井材への側方ダクトの配設構造。
3. 請求項１又は２において、上記側方ダクトは、車両における後部座席の側方に位置していると共に、車両の後部に配設した温調ユニットから送風される空気を上記後部座席へ吹き出すための吹出口を有していることを特徴とする車両用天井材への側方ダクトの配設構造。
4. 請求項１〜３のいずれか一項において、上記側方ダクトは、発泡樹脂から成形してあることを特徴とする車両用天井材への側方ダクトの配設構造。

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