本発明は、例えば、3次元像(立体画像)といった画像を表示するための画像表示方法に関する。
観察者の両目が、それぞれ、視差画像と呼ばれる異なる画像を観察することによって立体画像を得る2眼式立体画像技術や、視差画像を複数組用意することによって異なる視点からの立体画像を複数得る多眼式立体画像技術が知られており、これらに関連する技術が多く開発されている。しかしながら、2眼式立体画像技術や多眼式立体画像技術にあっては、立体画像は、立体画像として意図した空間に位置するのではなく、例えば2次元のディスプレイ面上に存在し、常に、一定の位置に位置する。従って、特に視覚系生理反応である輻輳と調節とが連動せず、これに伴う眼精疲労が問題となっている。
一方、実世界において、物体表面の情報は、光波を媒体として観察者の眼球まで伝搬する。そして、実世界において物理的に存在する物体表面からの光波を人工的に再現する技術として、ホログラフィ技術が知られている。ホログラフィ技術を用いた立体画像は、光の干渉に基づき生成された干渉縞を用い、この干渉縞を光で照明した際に生じる回折波面そのものを画像情報媒体として用いる。従って、観察者が実世界において物体を観察しているときと同様の輻輳、調節などの視覚系生理反応が生じ、眼精疲労の少ない画像を得ることができる。更には、物体からの光波面が再現されているということは、画像情報を伝達する方向に対して連続性が確保されていることを意味する。従って、観察者の視点が移動しても、その移動に応じた異なる角度からの適切な画像を連続的に提示することが可能であり、運動視差が連続的に提供されることとなる。
しかしながら、ホログラフィ技術においては、物体の3次元空間情報を2次元空間における干渉縞として記録しており、その情報量は、同じ物体を撮影した写真等の2次元空間の情報量と比較すると極めて膨大な量となる。これは、3次元空間情報を2次元空間情報に変換する際に、その情報が2次元空間上における密度に変換されていると考えることができるからである。そのために、CGH(Computer Generated Hologram)による干渉縞を表示する表示装置に求められる空間分解能は極めて高く、また、膨大な情報量が必要であり、実時間ホログラムに基づき立体画像を実現することは、現状において、技術的に困難である。
ホログラフィ技術においては、連続的な情報と見做すことのできる光波を情報媒体として用い、物体からの情報を伝達する。一方、光波を離散化し、理論的にはほぼ実世界における光波から成る場と等価である状況を光線によって再現することで立体画像を生成する技術として、光線再生法(インテグラルフォトグラフィ法とも呼ばれる)が知られている。光線再生法にあっては、予め、多くの方向へ伝搬する多数の光線から構成された光線群を、光学的手段によって空間に散布する。次に、任意の位置に位置する仮想的な物体の表面から伝搬される光線をこの光線群から選択し、選択された光線の強度や位相の変調を行うことによって、光線から成る像を空間に生成する。観察者は、この像を立体画像として観察することができる。光線再生法による立体画像は、任意の点において、複数の方向からの像が多重結像されたものであり、実世界における3次元物体を見たときと同様に、任意の点について、見る位置によって見え方が異なる。
以上に述べた光線再生法を実現するための装置として、液晶表示装置やプラズマ表示装置等の平面型表示装置とマイクロレンズアレイやピンホールアレイとを組み合わせた装置が提案されている(例えば、以下の特許文献1〜特許文献7を参照のこと)。また、プロジェクタ・ユニットを多数並べた装置も考えられる。図49に、プロジェクタ・ユニットを用いて光線再生法を実現する3次元像表示装置の一構成例を示す。この装置は、多数のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置し、各プロジェクタ・ユニット301から角度の異なる光線を出射するようにしたものである。これにより、ある断面302内の任意の点において多視角の像を多重再生し、立体画像を実現している。
特開2003−173128号公報
特開2003−161912号公報
特開2003−295114号公報
特開2003−75771号公報
特開2002−72135号公報
特開2001−56450号公報
特許第3523605号公報
上述の光線再生法によれば、2眼式立体画像技術や多眼式立体画像では不可能であった視覚機能としての焦点調節及び両眼輻輳角調節に対して有効に働く程度の光線によって画像を生成するので、眼精疲労が極めて少ない立体画像を提供することができる。それだけでなく、仮想物体上の同一要素から複数の方向へ連続的に光線が出射されていることから、視点位置の移動に伴う画像の変化を連続的に提供することができる。
しかしながら、現状の光線再生法によって生成された画像は、実世界における物体と比較すると臨場感に欠ける。これは、現状の光線再生法による立体画像が、実世界の物体から観察者が得る情報量に対して非常に少量の情報、即ち、少量の光線によって生成されていることに起因していると考えられる。一般に、人間の視認限界は角度分解能で1分程度と云われており、現状の光線再生法による立体画像は、この人間の視覚に対して不十分な光線によって生成されている。従って、実世界の物体が有する高い臨場感やリアリティを有する立体画像を生成するためには、少なくとも多量の光線によって画像を生成することが課題である。
そして、その実現のためには、空間的に高い密度で光線群を生成することのできる技術が必要とされ、液晶表示装置等の表示装置の表示密度を高くすることが考えられる。あるいは又、図49に示した多数のプロジェクタ・ユニット301を配置する装置の場合、各プロジェクタ・ユニット301を出来るだけ小型化し、空間的に高い密度で並べることが考えられる。しかしながら、現在の表示装置における表示密度の飛躍的な向上は、光利用効率や回折限界の問題から困難である。また、図49に示した装置の場合、各プロジェクタ・ユニット301を小型化するのには限界があるため、空間的に高い密度で並べることは困難であると考えられる。いずれの場合にあっても、高密度の光線群を生成するためには、複数のデバイスが必要となり、装置全体の大型化は避けられない。
また、現在の表示装置では、特に、投影光学系において、レンズ系の周辺部に角度を持って入射する光が、立体画像における種々の収差発生の原因となっており、収差の無い、所望の立体画像を得ることが困難である。係る収差を表示装置の光学系で補正するためには、即ち、適切な収差補正を行うためには、レンズ系に複雑な機構を付与する必要があり、表示装置の製造コスト増、スペース増、重量増といった問題が生じる。
従って、本発明の目的は、画像表示装置全体を大型化することなく、例えば立体画像といった画像の表示に必要な光線群を空間的に高い密度で生成・散布することができ、例えば実世界の物体と同質に近い光線による立体画像を得ることを可能とする画像表示装置を用いて、収差の無い、あるいは、収差の少ない元画像を表示する画像表示方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第1の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)複数の画素を有し、光源からの光を各画素によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光変調手段、
(B)光変調手段から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成するフーリエ変換像形成手段、
(C)前記複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段、並びに、
(D)フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記光変調手段において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第1の態様における画像表示装置において、共役像形成手段には、フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、光変調手段によって生成された2次元画像の実像を形成する逆フーリエ変換手段が含まれる構成とすることが好ましい。
上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様における画像表示装置において、光変調手段は2次元的に配列された複数の画素を有する2次元空間光変調器から成り、各画素は開口を備えている形態とすることができ、この場合、2次元空間光変調器を、液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)、あるいは、2次元空間光変調器の各開口内には可動ミラーが設けられている構成(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る構成)とすることが好ましい。ここで、開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、後述するように、M×N組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって、入射光波の振幅(強度)を周期的に変調し、格子の光透過率分布に一致した光量分布が得られる振幅格子が形成される。
あるいは又、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様における画像表示装置において、光変調手段は、
(A−1)1次元画像を生成する1次元空間光変調器、
(A−2)1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系、及び、
(A−3)2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する格子フィルタ、
から成る形態とすることができる。尚、格子フィルタは、振幅格子から構成されていてもよいし、透過光量の位相を変調する、即ち、光の振幅(強度)はそのままで、位相を変調する位相格子から構成されていてもよい。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像形成手段はレンズから成り、このレンズの前側焦点面に光変調手段が配置されており、このレンズの後側焦点面にフーリエ変換像選択手段が配置されている構成とすることができる。
また、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像選択手段は、前記複数の回折次数に対応する数の開閉制御可能な開口部を有する構成とすることができ、この場合、フーリエ変換像選択手段は液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る形態とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、フーリエ変換像選択手段においては、光変調手段による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択する構成とすることができる。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様における画像表示装置において、前記2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数(搬送周波数)とした画像情報に相当する構成とすることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第2の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列されたP×Q個(但し、P及びQは任意の正の整数)の開口を有し、光源からの光の通過、反射、あるいは回折を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光を生成する2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部を有する空間フィルタ、
(D)その前側焦点面に空間フィルタが配置されている第2のレンズ、並びに、
(E)第2のレンズの後側焦点に、その前側焦点が位置している第3のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第2の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、2次元的に配列されたP×Q個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成り、各画素には開口が備えられている形態とすることができ、あるいは、2次元画像形成装置における各開口には可動ミラーが設けられている構成(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された開口のそれぞれに配置された2次元型のMEMSから成る構成)とすることが好ましい。ここで、開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M×N組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって振幅格子が形成される。
上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第2の態様における画像表示装置においては、空間フィルタはM×N個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る構成とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、空間フィルタにおいては、2次元画像形成装置による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とする構成とすることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第3の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)X方向に沿ってP個の画素を有し、1次元画像を生成する1次元空間光変調器;1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系;及び、2次元画像の生成面に配置され、画素毎に、第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)回折光を生成する回折光生成手段から成る2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に回折光生成手段が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個(但し、Nは正の整数)の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部を有する空間フィルタ、
(D)その前側焦点面に空間フィルタが配置されている第2のレンズ、並びに、
(E)第2のレンズの後側焦点に、その前側焦点が位置している第3のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第3の態様における画像表示装置において、1次元空間光変調器は、光源からの光を回折することによって1次元画像を生成する構成とすることができる。
上記の好ましい構成を含む本発明の第3の態様における画像表示装置において、空間フィルタはM×N個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る構成とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、空間フィルタにおいては、2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とする構成とすることができる。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第3の態様における画像表示装置において、第3のレンズの後方には、更に、異方性の光拡散を生じさせる部材(異方性拡散フィルタ、異方性拡散シート、あるいは、異方性拡散フィルム)が配置されている形態とすることもできる。
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第4の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)複数の画素を有し、光源からの光を各画素によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光変調手段、
(B)光変調手段から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記各画素から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成し、該フーリエ変換像の内の所定のフーリエ変換像のみを選択し、更には、該選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換して、光変調手段によって生成された2次元画像の共役像を形成する画像制限・生成手段、
(C)複数の開口領域を有し、2次元画像の共役像における空間周波数を、各開口領域から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射するオーバーサンプリングフィルタ、
(D)オーバーサンプリングフィルタから出射された2次元画像の共役像における空間周波数をフーリエ変換して、前記各開口領域から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成するフーリエ変換像形成手段、
(E)前記各開口領域から生じる複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段、並びに、
(F)フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記光変調手段において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第4の態様における画像表示装置において、共役像形成手段には、フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、画像制限・生成手段によって生成された2次元画像の共役像の実像を形成する逆フーリエ変換手段が含まれる構成とすることが好ましい。
上記の好ましい構成を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、光変調手段は、2次元的に配列された複数の画素を有する2次元空間光変調器から成り、各画素は開口を備えている形態とすることができ、この場合、2次元空間光変調器を、液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)、あるいは、2次元空間光変調器の各開口内には可動ミラーが設けられている構成(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る構成)とすることが好ましい。ここで、開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M0×N0組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって、入射光波の振幅(強度)を周期的に変調し、格子の光透過率分布に一致した光量分布が得られる振幅格子が形成される。
あるいは又、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、光変調手段は、
(A−1)1次元画像を生成する1次元空間光変調器、
(A−2)1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系、及び、
(A−3)2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する格子フィルタ、
から成る形態とすることができる。尚、格子フィルタは、振幅格子から構成されていてもよいし、透過光量の位相を変調する、即ち、光の振幅(強度)はそのままで、位相を変調する位相格子から構成されていてもよい。
更には、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、画像制限・生成手段は、
(B−1)2枚のレンズ、及び、
(B−2)該2枚のレンズの間に配置され、前記所定のフーリエ変換像のみを通過させる散乱回折制限開口部、
から構成されている形態とすることができる。
また、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、オーバーサンプリングフィルタは、回折光生成部材、より具体的には、例えば格子フィルタから成る形態とすることができる。尚、格子フィルタは、振幅格子から構成されていてもよいし、位相格子から構成されていてもよい。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像形成手段はレンズから成り、このレンズの前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタが配置されており、このレンズの後側焦点面にフーリエ変換像選択手段が配置されている構成とすることができる。
また、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像選択手段は、前記各開口領域から生じる複数の回折次数に対応する数の開閉制御可能な開口部を有する構成とすることができ、この場合、フーリエ変換像選択手段は液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る形態とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、フーリエ変換像選択手段においては、光変調手段による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択する構成とすることができる。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様における画像表示装置において、前記2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する構成とすることができ、更には、前記2次元画像の共役像における空間周波数は、前記2次元画像における空間周波数から画素構造の空間周波数が除去された空間周波数である構成とすることができる。即ち、平面波成分の0次回折をキャリア周波数とする1次回折として得られるものであって、光変調手段の画素構造(開口構造)の空間周波数の半分以下の空間周波数が、画像制限・生成手段において選択され、あるいは又、散乱回折制限開口部を通過する。光変調手段あるいは後述する2次元画像形成装置に表示された空間周波数は全て伝達される。
上記の目的を達成するための本発明の第5の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第5の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された開口を有し、光源からの光の通過、反射、あるいは回折を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、複数の回折次数の回折光を生成する2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光のみを通過させる散乱回折制限開口部、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部が配置されている第2のレンズ、
(E)第2のレンズの後側焦点面に配置され、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列されたPOSF×QOSF個(但し、POSF及びQOSFは任意の正の整数)の開口領域を有し、第2のレンズによって生成された2次元画像の共役像に基づき、開口領域毎に、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光を生成するオーバーサンプリングフィルタ、
(F)その前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタが配置されている第3のレンズ、
(G)第3のレンズの後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部を有する空間フィルタ、
(H)その前側焦点面に空間フィルタが配置されている第4のレンズ、並びに、
(I)第4のレンズの後側焦点に、その前側焦点が位置している第5のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第5の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、2次元的に配列されたP×Q個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成り、各画素には開口が備えられており、POSF>P,QOSF>Qを満足する形態とすることができ、あるいは、2次元画像形成装置には、P×Q個の開口が設けられており、各開口には可動ミラーが設けられており(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された開口のそれぞれに配置された2次元型のMEMSから成る構成)、POSF>P,QOSF>Qを満足する形態とすることができる。開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M0×N0組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって振幅格子が形成される。また、オーバーサンプリングフィルタは、回折光生成部材、より具体的には、例えば格子フィルタから成る形態とすることができる。尚、格子フィルタは、振幅格子から構成されていてもよいし、位相格子から構成されていてもよい。
上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第5の態様における画像表示装置においては、空間フィルタはM×N個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る構成とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、空間フィルタにおいては、2次元画像形成装置による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とする構成とすることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第6の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第6の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)1次元画像を生成する1次元空間光変調器;1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系;及び、2次元画像の生成面に配置され、画素毎に、複数の回折次数の回折光を生成する回折光生成手段から成る2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に回折光生成手段が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光のみを通過させる散乱回折制限開口部、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部が配置されている第2のレンズ、
(E)第2のレンズの後側焦点面に配置され、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列されたPOSF×QOSF個(但し、POSF及びQOSFは任意の正の整数)の開口領域を有し、第2のレンズによって生成された2次元画像の共役像に基づき、開口領域毎に、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光を生成するオーバーサンプリングフィルタ、
(F)その前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタが配置されている第3のレンズ、
(G)第3のレンズの後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部を有する空間フィルタ、
(H)その前側焦点面に空間フィルタが配置されている第4のレンズ、並びに、
(I)第4のレンズの後側焦点に、その前側焦点が位置している第5のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第6の態様における画像表示装置において、1次元空間光変調器は、X方向に沿ってP個の画素を有し、光源からの光を回折することによって1次元画像を生成し、POSF>Pを満足する形態とすることができる。オーバーサンプリングフィルタは、回折光生成部材、より具体的には、例えば格子フィルタから成る形態とすることができる。尚、格子フィルタは、振幅格子から構成されていてもよいし、位相格子から構成されていてもよい。
上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第6の態様における画像表示装置において、空間フィルタはM×N個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る構成とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、空間フィルタにおいては、2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とする構成とすることができる。
以上に説明した種々の好ましい構成、形態を含む本発明の第4の態様〜第6の態様における画像表示装置において、オーバーサンプリングフィルタを構成する格子フィルタの構造として、平板ガラスにPOSF×QOSF個の凹部が2次元マトリクス状に形成された構造(位相格子タイプ)を例示することができる。ここで、係る凹部が開口領域に相当する。開口領域(凹部)の平面形状を、例えば、矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M×N組の回折光が生成される。また、上述したとおり、POSF>P,QOSF>Qを満足することが好ましいが、より具体的には、1<POSF/P≦4、1<QOSF/Q≦4を例示することができる。
上記の目的を達成するための本発明の第7の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第7の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)複数の画素を有し、光源からの光に基づき2次元画像を生成する2次元画像形成装置、
(B)入射する光を屈折させて略一点に集光する光学パワーを有する光学素子が2次元マトリクス状に配列されて成り、透過する光の位相を変調する位相格子としての機能を有し、入射した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光学装置、
(C)光学装置から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成するフーリエ変換像形成手段、
(D)前記複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段、並びに、
(E)フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第7の態様における画像表示装置において、共役像形成手段には、フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、2次元画像形成装置によって生成された2次元画像の実像を形成する逆フーリエ変換手段が含まれる構成とすることが好ましい。
上記の好ましい構成を含む本発明の第7の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置を液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から構成することが好ましい。
あるいは又、上記の好ましい構成を含む本発明の第7の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、
(A−1)1次元画像を生成する1次元画像形成装置、及び、
(A−2)1次元画像形成装置によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系、
から成る形態とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第7の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像形成手段はレンズから成り;該レンズの前側焦点面に、光学装置を構成する光学素子の焦点が位置しており;該レンズの後側焦点面にフーリエ変換像選択手段が配置されている構成とすることができる。
また、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第7の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像選択手段は、前記複数の回折次数に対応する数の開閉制御可能な開口部を有する構成とすることができ、この場合、フーリエ変換像選択手段は液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る形態とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、フーリエ変換像選択手段においては、2次元画像形成装置による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択する構成とすることができる。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第7の態様における画像表示装置において、前記2次元画像における空間周波数は、2次元画像形成装置における画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する構成とすることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第8の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第8の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)複数の画素を有し、光源からの光に基づき2次元画像を生成する2次元画像形成装置、
(B)入射する光を屈折させて略一点に集光する光学パワーを有する光学素子が、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状にPOD×QOD個(但し、POD及びQODは任意の正の整数)配列されて成り、透過する光の位相を変調する位相格子としての機能を有し、入射した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数(総数M×N)に対応した回折角に沿って出射する光学装置、
(C)その前側焦点面に光学装置を構成する光学素子の焦点が位置している第1のレンズ、
(D)第1のレンズの後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部を有する空間フィルタ、
(E)その前側焦点面に空間フィルタが配置されている第2のレンズ、並びに、
(F)第2のレンズの後側焦点に、その前側焦点が位置している第3のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第8の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、2次元的に配列されたP×Q個(但し、POD≧P,QOD≧Q)の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る構成とすることができる。尚、PODとP、QODとQのより具体的な関係として、1≦POD/P≦4、1≦QOD/Q≦4を例示することができる。
あるいは又、本発明の第8の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、
(A−1)1次元画像を生成する1次元画像形成装置、及び、
(A−2)1次元画像形成装置によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系、
から成る構成とすることができる。そして、この場合にあっては、1次元画像形成装置は、光源からの光を回折することによって1次元画像を生成する構成とすることができる。更には、第3のレンズの後方には、更に、異方性の光拡散を生じさせる部材(異方性拡散フィルタ、異方性拡散シート、あるいは、異方性拡散フィルム)が配置されている形態とすることもできる。
上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第8の態様における画像表示装置においては、空間フィルタはM×N個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成る構成とすることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る形態とすることもできる。また、空間フィルタにおいては、2次元画像形成装置による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とする構成とすることができる。
以上に説明した種々の好ましい構成、形態を含む本発明の第7の態様及び第8の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置における各画素は、平面形状が矩形の開口を有している。そして、本発明の第7の態様及び第8の態様における画像表示装置における光学装置の具体的な構造として、以下の構成を例示することができる。即ち、光学素子の平面形状を、対応する画素の開口の平面形状と同一の形状あるいは相似の形状とすることが好ましい。また、各光学素子は、正の光学パワーを有する凸レンズから構成されており、あるいは又、負の光学パワーを有する凹レンズから構成されており、あるいは又、正の光学パワーを有するフレネルレンズから構成されており、あるいは又、負の光学パワーを有するフレネルレンズから構成されていることが望ましい。云い換えれば、各光学素子は屈折型の格子状素子から成る。そして、光学装置は、一種のマイクロレンズアレイから構成されており、光学装置を構成する材料としてガラスやプラスチックを挙げることができ、マイクロレンズアレイを製造する周知の方法に基づき作製することができる。尚、光学装置は、2次元画像形成装置の後方に隣接して配置されている。このように、光学装置を2次元画像形成装置の後方に隣接して配置することで、2次元画像形成装置に起因した回折現象の影響を無視することができる。あるいは又、2次元画像形成装置と光学装置との間に、例えば、2枚の凸レンズを配置し、一方の凸レンズの前側焦点面に2次元画像形成装置を配置し、一方の凸レンズの後側焦点に他方の凸レンズの前側焦点を位置させ、他方の凸レンズの後側焦点面に光学装置を配置する構成とすることもできる。一般に、回折格子を2つの範疇に分類すると、入射光波の振幅(強度)を周期的に変調し、格子の光透過率分布に一致した光量分布が得られる振幅格子と、透過光量の位相を変調する、即ち、光の振幅(強度)はそのままで、位相を変調する位相格子とに分類することができるが、本発明の第7の態様及び第8の態様における画像表示装置にあっては、光学装置は、後者の位相格子として機能する。
上記の目的を達成するための本発明の第9の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第9の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)複数の画素を有し、光源からの光を各画素によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光変調手段、
(B)光変調手段から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記各画素から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成し、該フーリエ変換像の内の所定のフーリエ変換像のみを選択し、更には、該選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換して、光変調手段によって生成された2次元画像の共役像を形成する画像制限・生成手段、
(C)画像制限・生成手段から出射された光線の進行方向を変更する(変化させる)光線進行方向変更手段、並びに、
(D)光線進行方向変更手段から出射された光線を結像させる結像手段、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記光変調手段において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第9の態様における画像表示装置において、光変調手段は、2次元的に配列された複数の画素を有する2次元空間光変調器から成り、各画素は開口を備えている形態とすることができ、この場合、2次元空間光変調器を、液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)、あるいは、2次元空間光変調器の各開口内には可動ミラーが設けられている構成(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る構成)とすることが好ましい。ここで、開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M0×N0組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって、入射光波の振幅(強度)を周期的に変調し、格子の光透過率分布に一致した光量分布が得られる振幅格子が形成される。
あるいは又、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第9の態様における画像表示装置において、光変調手段は、
(A−1)1次元画像を生成する1次元空間光変調器、
(A−2)1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系、及び、
(A−3)2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する格子フィルタ、
から成る形態とすることができる。尚、格子フィルタは、振幅格子から構成されていてもよいし、透過光量の位相を変調する、即ち、光の振幅(強度)はそのままで、位相を変調する位相格子から構成されていてもよい。
更には、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第9の態様における画像表示装置において、画像制限・生成手段は、
(B−1)光変調手段から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記各画素から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成する第1のレンズ、
(B−2)第1のレンズよりも光線進行方向変更手段側に配置され、該フーリエ変換像の内の所定のフーリエ変換像のみを選択する散乱回折制限開口部、並びに、
(B−3)散乱回折制限開口部よりも光線進行方向変更手段側に配置され、該選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換して、光変調手段によって生成された2次元画像の共役像を形成する第2のレンズ、
から構成されており、
第1のレンズの後側焦点面であって第2のレンズの前側焦点面に、散乱回折制限開口部が配置されている形態とすることができる。
また、以上に説明した種々の好ましい構成、形態を含む本発明の第9の態様における画像表示装置において、光線進行方向変更手段は、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる反射型光学手段、具体的には、例えば、鏡から成る構成とすることができ、あるいは又、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる透過型光学手段、具体的には、例えば、プリズムから成る構成とすることができる。
更には、上記の種々の好ましい構成、形態を含む本発明の第9の態様における画像表示装置において、前記2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する構成とすることができ、更には、前記2次元画像の共役像における空間周波数は、前記2次元画像における空間周波数から画素構造の空間周波数が除去された空間周波数である構成とすることができる。即ち、平面波成分の0次回折をキャリア周波数とする1次回折として得られるものであって、光変調手段の画素構造(開口構造)の空間周波数の半分以下の空間周波数が、画像制限・生成手段において選択され、あるいは又、散乱回折制限開口部を通過する。光変調手段あるいは後述する2次元画像形成装置に表示された空間周波数は全て伝達される。
上記の目的を達成するための本発明の第10の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第10の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された開口を有し、光源からの光の通過、反射、あるいは回折を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、複数の回折次数の回折光を生成する2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光のみを通過させる散乱回折制限開口部、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部が配置されている第2のレンズ、
(E)第2のレンズの後方に配置され、第2のレンズから出射された光線の進行方向を変更する(変化させる)光線進行方向変更手段、並びに、
(F)光線進行方向変更手段から出射された光線を結像させる第3のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第10の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、2次元的に配列されたP×Q個の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成り、各画素には開口が備えられている形態とすることができ、あるいは、2次元画像形成装置には、P×Q個の開口が設けられており、各開口には可動ミラーが設けられている(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された開口のそれぞれに配置された2次元型のMEMSから成る)形態とすることができる。開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M×N組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって振幅格子が形成される。
上記の目的を達成するための本発明の第11の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第11の態様』と略称する)は、光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)1次元画像を生成する1次元空間光変調器;1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系;及び、2次元画像の生成面に配置され、画素毎に、複数の回折次数の回折光を生成する回折光生成手段から成る2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に回折光生成手段が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光のみを通過させる散乱回折制限開口部、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部が配置されている第2のレンズ、
(E)第2のレンズの後方に配置され、第2のレンズから出射された光線の進行方向を変更する(変化させる)光線進行方向変更手段、並びに、
(F)光線進行方向変更手段から出射された光線を結像させる第3のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第11の態様における画像表示装置において、1次元空間光変調器は、X方向に沿ってP個の画素を有し、光源からの光を回折することによって1次元画像を生成する形態とすることができる。
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第10の態様あるいは第11の態様における画像表示装置において、光線進行方向変更手段は、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる反射型光学手段、具体的には、例えば、鏡から成る構成とすることができ、あるいは又、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる透過型光学手段、具体的には、例えば、プリズムから成る構成とすることができる。
本発明の第9の態様〜第11の態様における画像表示装置の説明において、光線進行方向変更手段までの光軸の部分をz軸とし、z軸に直交する平面内での直交座標をx軸、y軸とし、x軸と平行な方向をX方向、y軸と平行な方向をY方向とする。X方向を、例えば画像表示装置における水平方向とし、Y方向を、例えば画像表示装置における垂直方向とする。また、光線進行方向変更手段以降の光軸の部分をz’軸とし、z’軸に直交する平面内での直交座標をx’軸、y’軸とし、x’軸と平行な方向をX’方向、y’軸と平行な方向をY’方向とする。X’方向を、例えば画像表示装置における水平方向とし、Y’方向を、例えば画像表示装置における垂直方向とする。
本発明の第9の態様〜第11の態様における画像表示装置にあっては、光線進行方向変更手段による光線の進行方向の変更を、光変調手段(2次元画像形成装置)に基づく2次元画像の生成と同期させる必要がある。ここで、光線進行方向変更手段によって、以下に説明する結像面に或る像を結像した後、光線進行方向変更手段の位置を変更し(変化させ)、光線進行方向変更手段によって結像面に次の像を結像するまでの間は、光源の動作を中断し、光変調手段(2次元画像形成装置)によって2次元画像を生成させないことが必要とされる。
このように、結像面において結像する位置をS0×T0箇所の2次元マトリクス的に配された位置とするためには、光線進行方向変更手段として鏡を採用する場合、例えば、鏡をポリゴン・ミラーから構成し、ポリゴン・ミラーをその回転軸を中心として回転させながら、回転軸の傾斜角を制御すればよい。また、光線進行方向変更手段としてプリズムを採用する場合、例えば、z軸を中心としてプリズムを所望の方向に回動(変化)させるような構成とすればよい。プリズムとして、従来のプリズムの他、例えば、液晶レンズから成るプリズムを用いることもできる。尚、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された鏡は、ピクセル構造を有しているので、係るピクセル構造がキャリアとなって新たな回折像が生じてしまうが故に、光線進行方向変更手段として使用することはできない。
本発明の第9の態様〜第11の態様における次元像表示装置にあっては、光線進行方向変更手段から出射された光線が結像手段あるいは第3のレンズによって結像されるとき、係る像が結像する位置(X’Y’平面内における位置である)を、S0×T0箇所の2次元マトリクス的に配された位置とすることが好ましい。ここで、S0及びT0の数として、限定するものではないが、4≦S0≦11、好ましくは、例えば、7≦S0≦9を挙げることができ、また、4≦T0≦11、好ましくは、例えば、7≦T0≦9を挙げることができる。S0の値とT0の値は、等しくてもよいし、異なっていてもよい。尚、光線進行方向変更手段から出射された光線が結像手段あるいは第3のレンズによって結像されるX’Y’平面を、以下、結像面と呼ぶ。
上記の目的を達成するための本発明の第12の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第12の態様』と略称する)は、離散して配された複数の光出射位置から光を出射する光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)複数の画素を有し、光源の異なる光出射位置から順次出射され、入射方向が異なる光を各画素によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光変調手段、並びに、
(B)光変調手段から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成し、該フーリエ変換像を結像させるフーリエ変換像形成手段、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記光変調手段において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第12の態様における画像表示装置にあっては、
(C)フーリエ変換像形成手段によって結像されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段、
を更に備えていることが好ましい。
上記の目的を達成するための本発明の第13の態様に係る画像表示方法(以下、『本発明の第13の態様』と略称する)は、離散して配された複数の光出射位置から光を出射する光源、及び、光学系を備えており、
該光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された開口を有し、光源の異なる光出射位置から順次出射され、入射方向が異なる光の通過あるいは反射を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、複数の回折次数の回折光を生成する2次元画像形成装置、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置が配置されている第1のレンズ、
(C)第1のレンズの後側焦点面に、その前側焦点面が位置している第2のレンズ、並びに、
(D)第2のレンズの後側焦点面に、その前側焦点面が位置している第3のレンズ、
を備えている画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
該光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、前記2次元画像形成装置において2次元画像を生成することを特徴とする。
本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置において、離散して配された光出射位置の数をLEPTotalとしたとき、各光出射位置から出射され、光変調手段あるいは2次元画像形成装置への入射方向が異なる光(以下、照明光と呼ぶ場合がある)によって生成されるフーリエ変換像の数は、(複数の回折次数)×LEPTotal個となる。また、照明光に基づき得られたフーリエ変換像は、各光出射位置に対応して、離散した位置に、フーリエ変換像形成手段あるいは第1のレンズによってスポット状に結像される。尚、後述するフーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタを配置すれば、照明光によって生成されるフーリエ変換像の数は、最終的に、例えば、LEPTotal個となる。尚、離散して配された複数の光出射位置が、2次元マトリクス状に離間されて配されている場合、係る光出射位置の数を「U0×V0」と表現する。ここで、U0×V0=LEPTotalである。
本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置において、光源は、2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子を具備している構成とすることができる。尚、この場合、2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子の個数をU0’×V0’個とすると、光源の仕様に依り、U0’=U0,V0’=V0の場合もあるし、例えば、U0’/3=U0,V0’/3=V0の場合もある。そして、この場合、光源と光変調手段あるいは2次元画像形成装置との間にはレンズ(例えば、コリメータレンズ)が配置されており、光源は、このレンズの前側焦点面(あるいは前側焦点面近傍)に位置することが、レンズから出射された光(照明光)が平行光(概ね平行光)となるので好ましい。あるいは又、本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置において、光源は、発光素子、及び、該発光素子から出射された光であって、光変調手段あるいは2次元画像形成装置に入射する光の入射方向を変更するための光線進行方向変更手段を備えている構成とすることができる。そして、この場合、光線進行方向変更手段として、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる屈折型光学手段(例えば、レンズ、より具体的には、例えば、コリメータレンズやマイクロレンズアレイ)、あるいは又、入射する光線に対して出射する光線の位置及び角度を変更する(変化させる)ことができる反射型光学手段(具体的には、例えば、鏡、より具体的には、例えば、ポリゴン・ミラーや、ポリゴン・ミラーと鏡の組合せ、曲面から構成された凸面鏡、曲面から構成された凹面鏡、多面体から構成された凸面鏡、多面体から構成された凹面鏡)を挙げることができる。
上述したとおり、本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置において、光源が2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子を具備している構成とする場合、各発光素子から出射される光の出射方向が異なり、光変調手段あるいは2次元画像形成装置への入射方向が異なるように各発光素子を配置することが望ましい。また、上述したとおり、光線進行方向変更手段として屈折型光学手段を採用する場合、2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子を具備している構成とすることが好ましく、この場合には、各発光素子から順次出射され、屈折型光学手段に入射し、屈折型光学手段から出射するときの光の出射方向を屈折型光学手段によって変えることができる結果、光変調手段あるいは2次元画像形成装置に入射する光の入射方向を変えることができる。尚、この場合、各発光素子から出射される光の出射方向は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。一方、上述したとおり、光線進行方向変更手段として反射型光学手段を採用する場合、発光素子の数は、1つであってもよいし、例えば、U0個であってもよい。そして、反射型光学手段から出射するときの光出射位置の数を、反射型光学手段の位置等の制御を行うことで、U0×V0=LEPTotalとすればよい。具体的には、例えば、ポリゴン・ミラーをその回転軸を中心として回転させながら、回転軸の傾斜角を制御すればよいし、あるいは又、発光素子から鏡に入射する光の位置を制御すればよいし、あるいは又、鏡から出射される照明光の位置を制御すればよいし、あるいは又、鏡から出射される照明光の状態(例えば、照明光の通過、遮断)を制御すればよい。そして、これによって、光変調手段あるいは2次元画像形成装置に入射する光の入射方向を変えることができる。
更には、上記の好ましい構成を含む本発明の第12の態様における画像表示装置において、フーリエ変換像形成手段はレンズ(第1のレンズ)から成り、このレンズ(第1のレンズ)の前側焦点面に光変調手段が配置されている構成とすることができる。
本発明の第12の態様における画像表示装置においては、フーリエ変換像形成手段によって生成され、結像される像は複数の回折次数に対応しているが、低次の回折次数に基づき得られる像は明るく、高次の回折次数に基づき得られる像は暗いので、十分な画質の画像(例えば立体画像)を得ることができる。但し、より一層の画質の向上のためには、
(D)前記複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段、
を更に備えており、このフーリエ変換像選択手段は、フーリエ変換像が結像される位置に配置されている構成とすることが好ましい。
あるいは又、本発明の第13の態様における画像表示装置においても、第1のレンズによって生成され、結像される像は複数の回折次数に対応しているが、低次の回折次数に基づき得られる像は明るく、高次の回折次数に基づき得られる像は暗いので、十分な画質の画像(例えば立体画像)を得ることができる。但し、より一層の画質の向上のためには、
(E)光出射位置の数に対応した数の開閉制御可能な開口部を有し、第1のレンズの後側焦点面に位置する空間フィルタ、
を更に備えている構成とすることが好ましい。そして、この場合、空間フィルタにおいては、2次元画像形成装置による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とすることが望ましい。あるいは又、
(E)光出射位置の数に対応した数の開口部を有し、第1のレンズの後側焦点面に位置する散乱回折制限部材、
を更に備えている構成とすることが好ましい。空間フィルタあるいは散乱回折制限部材を配設することで、生成した複数の回折次数の回折光の内、所望の回折光のみを通過させることができる。
そして、これらの場合、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタは、光出射位置の数(LEPTotalであり、例えば、U0×V0)に対応した数(LEPTotalであり、例えば、U0×V0)の開口部を有することが望ましい。開口部は、開閉制御可能であってもよいし、常に開状態であってもよい。あるいは又、開閉制御可能な開口部を有するフーリエ変換像選択手段として、液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)を挙げることができるし、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSを挙げることもできる。また、開閉制御可能な開口部を有するフーリエ変換像選択手段においては、光変調手段(2次元画像形成装置)による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択する構成とすることができる。開口部の位置は、フーリエ変換像選択手段あるいは第1のレンズによって得られるフーリエ変換像(あるいは回折光)の内の所望のフーリエ変換像(あるいは回折光)が結像する位置とすればよく、係る開口部の位置は、離散して配された光出射位置に対応している。
以上に説明した好ましい構成を含む本発明の第12の態様における画像表示装置は、フーリエ変換像形成手段によって結像されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、光変調手段によって生成された2次元画像の実像を形成する逆フーリエ変換手段を更に備えていることが好ましい。
また、以上に説明した好ましい構成を含む本発明の第12の態様における画像表示装置において、光変調手段は2次元的に配列された複数(P×Q個)の画素を有する2次元空間光変調器から成り、各画素は開口を備えている形態とすることができ、この場合、2次元空間光変調器を、液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)、あるいは、2次元空間光変調器の各開口内には可動ミラーが設けられている構成(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る構成)とすることが好ましい。また、以上に説明した好ましい構成を含む本発明の第13の態様における画像表示装置において、2次元画像形成装置は、2次元的に配列された複数(P×Q個)の画素を有する液晶表示装置(より具体的には、透過型若しくは反射型の液晶表示装置)から成り、各画素には開口が備えられている形態とすることができ、あるいは又、2次元画像形成装置には、複数(P×Q個)の開口が設けられており、各開口には可動ミラーが設けられている(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された開口のそれぞれに配置された2次元型のMEMSから成る)形態とすることができる。ここで、開口の平面形状は矩形とすることが望ましい。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M×N組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって、入射光波の振幅(強度)を周期的に変調し、格子の光透過率分布に一致した光量分布が得られる振幅格子が形成される。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第12の態様における画像表示装置において、前記2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する構成とすることができ、更には、後述する2次元画像の共役像における空間周波数は、2次元画像における空間周波数から画素構造の空間周波数が除去された空間周波数である構成とすることができる。即ち、平面波成分の0次回折をキャリア周波数とする1次回折として得られるものであって、光変調手段の画素構造(開口構造)の空間周波数の半分以下の空間周波数が、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタにおいて選択され、あるいは又、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタを通過する。光変調手段あるいは2次元画像形成装置に表示された空間周波数は全て伝達される。
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置において、U0,V0の数として、限定するものではないが、4≦U0≦12、好ましくは、例えば、9≦U0≦11を挙げることができ、また、4≦V0≦12、好ましくは、例えば、9≦V0≦11を挙げることができる。U0の値とV0の値は、等しくてもよいし、異なっていてもよい。尚、フーリエ変換像形成手段によってフーリエ変換像が結像される平面(XY平面)を、以下、結像面と呼ぶ場合がある。
本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置にあっては、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像が、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタにおいて選択され、あるいは又、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタを通過するが、ここで、所望の回折次数として、限定するものではないが、0次の回折次数を挙げることができる。
以上に説明した種々の好ましい構成、形態を含む本発明の第12の態様あるいは第13の態様にあっては、画像表示装置における光源として、レーザ、発光ダイオード(LED)や白色光源を挙げることができる。光源と光変調手段あるいは2次元画像形成装置との間に、照明光を整形するための照明光学系を配置してもよい。画像表示装置の仕様に依り、光源から単色光あるいは白色光が出射される場合があり、あるいは又、光源は、赤色発光素子、緑色発光素子、及び、青色発光素子を備え、これらの発光素子を順次駆動することで、光源から光(赤色光、緑色光、及び、青色光)を出射してもよく、これによっても、離散して配された複数の光出射位置から出射され、光変調手段あるいは2次元画像形成装置への入射方向が異なる照明光を得ることができる。
本発明の第12の態様あるいは第13の態様における画像表示装置にあっては、共役像形成手段によって形成された共役像を投射する光学的手段を備えていてもよいし、あるいは第3のレンズの後方に、第3のレンズによって形成された像を投射する光学的手段を備えていてもよい。
本発明の第2の態様〜第3の態様あるいは第5の態様〜第6の態様における画像表示装置において、m及びm’は整数であり、Mは正の整数であるが、m,m’,Mの関係は、m≦m’であり、且つ、M=m’−m+1である。また、n及びn’は整数であり、Nは正の整数であるが、n,n’,Nの関係は、n≦n’であり、且つ、N=n’−n+1である。また、回折次数の総数に相当するM,Nの数として、限定するものではないが、
0≦M(=m’−m+1)≦21
好ましくは、例えば、
5≦M(=m’−m+1)≦21
また、
0≦N(=n’−n+1)≦21
好ましくは、例えば、
5≦N(=n’−n+1)≦21
を例示することができる。Mの値とNの値は、等しくてもよいし、異なっていてもよいし、|m’|の値と|m|の値は、等しくてもよいし、異なっていてもよいし、|n’|の値と|n|の値は、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
また、第7の態様〜第8の態様における画像表示装置にあっては、光学装置において、入射した2次元画像における空間周波数が、複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射されるが、ここで、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光が生成されるとしたとき、m,m’,Mの関係、n,n’,Nの関係は、上記のとおりとすることができる。
以上に説明した種々の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第11の態様における画像表示装置での光源として、レーザ、発光ダイオード(LED)や白色光源を挙げることができる。光源と光変調手段あるいは2次元画像形成装置との間に、光源から出射された光を整形するための照明光学系を配置してもよい。
2次元空間光変調器あるいは2次元画像形成装置を構成する液晶表示装置においては、例えば、次に述べる透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域が、1画素(1ピクセル)に相当する。そして、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって、即ち、各画素の光透過率を制御することによって、光源から出射された光(照明光)の光透過率を制御し、全体として、2次元画像を得ることができる。透明第1電極と透明第2電極の重複領域に矩形の開口を設けることで、光源から出射された光(照明光)が係る開口を通過することによって、画素毎に、フラウンホーファー回折が生じ、例えば、M×N組の回折光が生成される。
液晶表示装置は、例えば、透明第1電極を備えたフロント・パネル、透明第2電極を備えたリア・パネル、及び、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配された液晶材料から成る。フロント・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板やシリコン基板から成る第1の基板と、第1の基板の内面に設けられた透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第1の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。更には、透明第1電極上には配向膜が形成されている。一方、リア・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板やシリコン基板から成る第2の基板と、第2の基板の内面に形成されたスイッチング素子と、スイッチング素子によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第2の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。透明第2電極を含む全面には配向膜が形成されている。これらの透過型の液晶表示装置を構成する各種の部材や液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができる。尚、スイッチング素子として、単結晶シリコン半導体基板に形成されたMOS型FETや薄膜トランジスタ(TFT)といった3端子素子や、MIM素子、バリスタ素子、ダイオード等の2端子素子を例示することができる。あるいは又、複数の走査電極が第1の方向に延び、複数のデータ電極が第2の方向に延びる、所謂マトリックス電極構成を有する液晶表示装置とすることもできる。透過型の液晶表示装置にあっては、光源からの光(照明光)は、第2の基板から入射し、第1の基板から出射される。一方、反射型の液晶表示装置にあっては、光源からの光(照明光)は、第1の基板から入射し、例えば、第2の基板の内面に形成された第2電極(画素電極)によって反射され、再び、第1の基板から出射される。開口は、例えば、透明第2電極と配向膜との間に、光源からの光(照明光)に不透明な絶縁材料層を形成し、係る絶縁材料層に開口を形成することで得ることができる。尚、反射型の液晶表示装置として、その他、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)タイプを用いることもできる。
光変調手段(2次元画像形成装置)として、例えば、強誘電性液晶から構成された液晶表示装置を使用する場合、駆動電圧の印加に際して、DC的にプラス・マイナス0に近づける必要がある。即ち、プラス電位、又は、マイナス電位を、或る期間、印加した場合(ここで、印加した電圧×時間をV×tとする)、同じV×tの量を打ち消すような電圧を、或る期間、印加する必要がある。強誘電性液晶においては、このような操作を行わないと、強誘電性液晶内部に電荷が蓄積され、一種の焼付けが発生してしまう。従って、光変調手段あるいは2次元画像形成装置によって2次元画像を生成し、次いで、生成させないといったシーケンスを継続する必要がある場合には、あるいは又、係るシーケンスを採用することができる場合には、高速動作が可能な強誘電性液晶から構成された液晶表示装置を使用することは好適である。
また、1次元空間光変調器(1次元画像形成装置)として、より具体的には、回折格子−光変調素子(GLV:Grating Light Valve)が一次元的にアレイ状に配列されて成る装置(以下、回折格子−光変調装置と呼ぶ場合がある)を挙げることができる。
本発明の第1の態様〜第8の態様、第12の態様〜本発明の第13の態様における画像表示装置にあっては、共役像形成手段によって形成された共役像を投射する光学的手段を備えていてもよいし、第3のレンズや第5のレンズの後方に、第3のレンズや第5のレンズによって形成された像を投射する光学的手段を備えていてもよい。また、本発明の第9の態様〜第10の態様における画像表示装置にあっては、結像手段によって結像された像を投射する光学的手段を備えていてもよいし、あるいは第3のレンズの後方に、第3のレンズによって結像された像を投射する光学的手段を備えていてもよい。
本発明の第1の態様〜第13の態様における画像表示装置において、2次元画像の画素(ピクセル)の数P×Qを(P,Q)で表記したとき、(P,Q)の値として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
本発明の第1の態様〜第13の態様に係る画像表示方法にあっては、光変調手段や2次元画像形成装置の動作の制御は、周知のパーソナルコンピュータや、所謂ワークステーションといったコンピュータによって行うことができ、係るコンピュータに記録手段を備えておけばよい。ここで、記録手段に、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データを記録しておけばよい。記録手段として、ハードディスクや、各種固体メモリを挙げることができる。
収差補正前の2次元画像データData(A)に基づき理想的に再生された収差が無い画像(例えば、3次元像,立体画像)を「A」、実際に、2次元画像データData(A)に基づき再生されたときの画像(例えば、3次元像,立体画像)を「a」(各種の収差が含まれている)とする。このとき、実際に再生されたときの画像が「A」となるように、元の2次元画像データData(A)を、例えば、シミュレーションに基づき補正し、あるいは又、試行錯誤で補正する。そして、実際に再生されたときの画像が「A」となるように、元の2次元画像データData(A)を最終的に補正して得られた2次元画像データをData(A’)とする。すると、例えば、(m,n)の値、(P,Q)の値、(M,N)の値、(S0,T0)の値、(U0,V0)の値等が決まれば、元の収差補正前の2次元画像データData(A)と最終的に収差補正された2次元画像データData(A’)との間には、一定の関係が存在する。即ち、(m,n)の値、(P,Q)の値、(M,N)の値、(S0,T0)の値、(U0,V0)の値等をパラメータとした一種の演算子を得ることができる。従って、元の収差補正前の2次元画像データを係る関係(例えば、演算子)に基づき収差補正した2次元画像データ(即ち、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データ)を記録手段に記録しておき、この収差補正後の2次元画像データによって画像を再生すればよい。あるいは又、画像表示装置に外部から送られてくる2次元画像データData(A)に対して、リアルタイムで演算子に基づき収差補正を施し、収差補正された2次元画像データData(A’)に基づき、画像表示装置において画像を再生すればよい。尚、画像表示装置を、例えば、フィールド・シーケンシャル駆動すれば、ザイデルの5収差の補正のみならず、色収差の補正も行うことができる。
本発明の第1の態様〜第13の態様に係る画像表示方法にあっては、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データに基づき、光変調手段あるいは2次元画像形成装置において2次元画像を生成する。従って、光学的手段のみでは解決できない収差の補正を行うことができ、単純な光学系にあっても、収差の無い、あるいは、収差の少ない画像(例えば、3次元画像,立体画像)を表示することができる。しかも、例えば、フーリエ変換像選択手段や空間フィルタは、一種の絞りとして機能するので、光学系の焦点深度を深くすることができ、鮮明な画像を得ることができる。
本発明の第1の態様〜本発明の第3の態様における画像表示装置にあっては、光変調手段あるいは2次元画像形成装置等によって、2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数が各画素や回折光生成手段から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段あるいは第1のレンズによって空間周波数をフーリエ変換して、複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタによって、複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内の所望の回折次数に対応するフーリエ変換像が2次元画像の形成タイミングと同期して選択され、共役像形成手段(第2のレンズ及び第3のレンズ)によって、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタに基づき選択されたフーリエ変換像の共役像が形成され、最終的に観察者に到達するといった操作が、順次、時系列的に繰り返されることで、複数の回折次数に相当する光線群を、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、生成・散布することができる結果、係る光線群により、従来には無い、光の回折現象を効率的に利用した光線再生法に基づき、画像表示装置全体を大型化することなく、実世界の物体に近い質感の立体画像を得ることができる。
また、本発明の第4の態様〜本発明の第6の態様における画像表示装置にあっては、光変調手段(2次元画像形成装置)によって、2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数が各画素等から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、画像制限・生成手段(第1のレンズ)によって空間周波数がフーリエ変換されて複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、その内の所定のフーリエ変換像のみが画像制限・生成手段(散乱回折制限開口部)によって選択され、画像制限・生成手段(第2のレンズ)によって2次元画像の共役像が生成される。そして、係る2次元画像の共役像における空間周波数が、オーバーサンプリングフィルタから、各開口領域から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段(第3のレンズ)によって空間周波数がフーリエ変換されて、各開口領域から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成される。次いで、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)によって、各開口領域から生じる複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内の所望の回折次数に対応するフーリエ変換像が2次元画像の形成タイミングと同期して選択され、共役像形成手段(第2のレンズ及び第3のレンズ)によって、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)に基づき選択されたフーリエ変換像の共役像が形成され、最終的に観察者に到達する。そして、このような操作が、順次、時系列的に繰り返されることで、オーバーサンプリングフィルタにおける各開口領域から生じる複数の回折次数に相当する光線群を、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、生成・散布することができる結果、係る光線群により、従来には無い、光の回折現象を効率的に利用した光線再生法に基づき、画像表示装置全体を大型化することなく、実世界の物体に近い質感の画像(立体画像)を得ることができる。しかも、本発明の第4の態様〜本発明の第6の態様における画像表示装置にあっては、オーバーサンプリングフィルタを配置することによって、即ち、光変調手段(2次元画像形成装置)とは独立して、読み出した画像(2次元画像の共役像)を新たに空間的にサンプリングするので、最終的に得られる画像の大きさと視野角とを、独立して制御することができる。従って、観察される画像(立体画像)の領域を広げつつ、表示される画像(立体画像)のスケール(大きさ)を大きくすることが可能となる。
本発明の第7の態様〜本発明の第8の態様における画像表示装置においては、2次元画像形成装置によって2次元画像が生成され、生成された2次元画像における空間周波数が、屈折型の格子状素子から成る光学素子の集合体である光学装置によって複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段あるいは第1のレンズによって空間周波数をフーリエ変換して、複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタによって、複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内の所望の回折次数に対応するフーリエ変換像が2次元画像の形成タイミングと同期して選択され、共役像形成手段(第2のレンズ及び第3のレンズ)によって、フーリエ変換像選択手段あるいは空間フィルタに基づき選択されたフーリエ変換像の共役像が形成され、最終的に観察者に到達するといった操作が、順次、時系列的に繰り返されることで、複数の回折次数に相当する光線群を、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、生成・散布することができる結果、係る光線群により、従来には無い、光の回折現象を効率的に利用した光線再生法に基づき、画像表示装置全体を大型化することなく、実世界の物体に近い質感の画像(立体画像)を得ることができる。
2次元画像形成装置によって生成された2次元画像における空間周波数を、矩形の開口を有し、係る矩形の開口に基づきフラウンホーファー回折を発生させる振幅格子によって複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射させた場合、高い開口率を有する振幅格子の作製が困難な場合がある。そして、光利用効率は開口の開口率に依存するが故に、高い光利用効率を達成することが困難となる虞がある。一方、2次元画像における空間周波数をフーリエ変換してフーリエ変換像を生成するとき、複数の回折次数に対応したフーリエ変換像間のユニフォーミティ(回折次数間の光強度の均一性)は、開口が小さい程、向上する。本発明の第7の態様〜本発明の第8の態様における画像表示装置においては、振幅格子ではなく、屈折型の格子状素子から成る光学素子の集合体である光学装置を採用することで、光学素子それ自体に高い開口率を与えることができ、光利用効率の向上を実現することができるだけでなく、光学素子に入射した光は略一点に集光されるので、小さな開口を得たと等価となり、複数の回折次数に対応したフーリエ変換像間において高いユニフォーミティを達成することができる。しかも、光学装置の最適化を図ることで、高い次数の回折に対しても多くのエネルギーを分配することが可能となる。尚、例えばガラス平板に多数の凹部を形成した位相格子を採用すれば、光利用効率を高めることは可能である。しかしながら、位相変調によるパターン生成の場合、特定の面内において任意のパターン生成は可能であるが、任意の面内において光線による画像を生成するシステムにあっては、任意の面内において特定のパターンを生成することは極めて困難である。本発明の第7の態様〜本発明の第8の態様における画像表示装置においては、位相格子の代わりに、屈折型の格子状素子から成る光学素子の集合体である光学装置を採用することで、このような位相格子における問題を解消することができる。
本発明の第9の態様〜第11の態様における画像表示装置においては、光変調手段(2次元画像形成装置)によって、2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数が各画素等から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、画像制限・生成手段(第1のレンズ)によって空間周波数がフーリエ変換されて複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、その内の所定のフーリエ変換像のみが画像制限・生成手段(散乱回折制限開口部)によって選択され、画像制限・生成手段(第2のレンズ)によって2次元画像の共役像が生成される。そして、係る2次元画像の共役像における空間周波数が、光線進行方向変更手段から、光軸であるz’軸に対して所望の角度で出射される。そして、更には、結像手段(第3のレンズ)によって、光線進行方向変更手段から出射されたフーリエ変換像の共役像が結像面に結像され、最終的に観察者に到達する。そして、このような操作が、順次、時系列的に繰り返されることで、光線進行方向変更手段から出射された光線群を、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、生成・散布することができる結果、係る光線群により、従来には無い、画像(立体画像)を構成するための光線の方向成分を効率的に制御した光線再生法に基づき、画像表示装置全体を大型化することなく、実世界の物体に近い質感の画像(立体画像)を得ることができる。しかも、本発明の第9の態様〜第11の態様における画像表示装置にあっては、光線進行方向変更手段における光量の損失は無視できる程度に小さいので、最終的に観察者に到達する像のコントラストが低下することがなく、クリアーでぼけの無い画像(立体画像)を観察することができる。
本発明の第12の態様〜第13の態様における画像表示装置においては、光源の異なる光出射位置から順次出射され、入射方向が異なる光(照明光)に基づき、光変調手段(2次元画像形成装置)によって、2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数が各画素等から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段(第1のレンズ)によって空間周波数がフーリエ変換されて複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像(回折光)が生成され、結像され、最終的に観察者に到達する。この観察者に到達する画像には、光変調手段(2次元画像形成装置)への光(照明光)の入射方向の成分が含まれている。そして、このような操作が、順次、時系列的に繰り返されることで、フーリエ変換像形成手段(第1のレンズ)から出射された光線群(例えば、LEPTotal本の光線)を、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、生成・散布することができる結果、係る光線群により、従来には無い、画像(立体画像)を構成するための光線の方向成分を効率的に制御した光線再生法に基づき、画像表示装置全体を大型化することなく、実世界の物体に近い質感の画像(立体画像)を得ることができる。しかも、本発明の第12の態様〜第13の態様の画像表示装置において、例えば、0次の回折光に基づき画像(立体画像)を構成すれば、明るく、クリアーで、高品質の画像(立体画像)を得ることができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第1の態様及び第2の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。図1、図2及び図3に、単色表示の実施例1の画像表示装置の概念図を示す。尚、図1において、光軸をz軸とし、z軸に直交する平面内での直交座標をx軸、y軸とし、x軸と平行な方向をX方向、y軸と平行な方向をY方向とする。X方向を、例えば画像表示装置における水平方向とし、Y方向を、例えば画像表示装置における垂直方向とする。ここで、図1は、yz平面における実施例1の画像表示装置の概念図である。xz平面における実施例1の画像表示装置の概念図も、実質的には図1と同様である。また、図2は、実施例1の画像表示装置を斜めから見たときの概念図であり、図3は、実施例1の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。尚、z軸(光軸に相当する)は、各実施例の画像表示装置を構成する各構成要素の中心を通り、しかも、画像表示装置を構成する各構成要素と直交する。
従来の光線再生法による立体画像の表示では、任意の位置に存在する仮想物体表面を仮想的な原点とした複数の光線を出射することを目的として、予め、様々な角度で出射する光線を提供できる装置を備えておく必要がある。即ち、例えば、図49に示した装置にあっては、多数(例えば、M×N個)のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置しなければならない。
一方、実施例1の画像表示装置1Aにあっては、図1、図2及び図3に示した構成要素を備える画像表示装置単体で、従来の技術と比較して、空間的に密度が高く、且つ、大量の光線群を生成・形成することが可能である。実施例1の画像表示装置1Aは、1つの画像表示装置で、図49に示した多数(M×N個)のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置した装置と等価の機能を有する。尚、例えばマルチユニット方式を採用する場合には、図48に示すように、分割された3次元画像の数だけ、実施例1の画像表示装置1Aを備えればよい。図48においては、実施例1の画像表示装置1Aを、4×4=16、備えた装置を例示している。
本発明の第1の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例1の画像表示装置1Aは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置1Aである。そして、この光学系は、
(A)複数の画素31を有し、光源からの光を各画素31によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射する光変調手段30、
(B)光変調手段30から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記複数の回折次数(総計M×N)に対応する数のフーリエ変換像を生成するフーリエ変換像形成手段40、
(C)前記複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段50、並びに、
(D)フーリエ変換像選択手段によって選択されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段60、
を備えている。
更には、共役像形成手段60には、フーリエ変換像選択手段50によって選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、光変調手段30によって生成された2次元画像の実像を形成する逆フーリエ変換手段(具体的には、後述する第2のレンズL2)が備えられている。また、フーリエ変換像形成手段40はレンズから成り、このレンズの前側焦点面に光変調手段30が配置されており、このレンズの後側焦点面にフーリエ変換像選択手段50が配置されている。フーリエ変換像選択手段50は、複数の回折次数に対応する数の開閉制御可能な開口部51を有する。
ここで、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。
また、本発明の第2の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例1の画像表示装置1Aは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列されたP×Q個(但し、P及びQは任意の正の整数である)の開口を有し、光源10からの光の通過を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光を生成する2次元画像形成装置30、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置30が配置されている第1のレンズ(より具体的には、実施例1にあっては凸レンズ)L1、
(C)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部51を有する空間フィルタSF、
(D)その前側焦点面に空間フィルタSFが配置されている第2のレンズ(より具体的には、実施例1にあっては凸レンズ)L2、並びに、
(E)第2のレンズL2の後側焦点に、その前側焦点が位置している第3のレンズ(より具体的には、実施例1にあっては凸レンズ)L3、
を備えている。
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2や実施例11にあっては、P=1024、Q=768であり、m=−5、m’=5、M=m’−m+1=11、n=−5、n’=5、N=n’−n+1=11である。但し、これらの値に限定するものではない。本発明の第1の態様における画像表示装置の構成要素と本発明の第2の態様あるいは第3の態様における画像表示装置の構成要素とを対比すると、光変調手段30は2次元画像形成装置30に対応し、フーリエ変換像形成手段40は第1のレンズL1に対応し、フーリエ変換像選択手段50は空間フィルタSFに対応し、逆フーリエ変換手段は第2のレンズL1に対応し、共役像形成手段60は第2のレンズL2及び第3のレンズL3に対応している。それ故、便宜上、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、空間フィルタSF、第2のレンズL1、及び、第3のレンズL3という用語に基づき、以下、説明を行う。
光源10と2次元画像形成装置30との間には、光源10から出射された光を整形するための照明光学系20が配置されている。そして、光源10から出射され、照明光学系20を通過した光(照明光)によって、2次元画像形成装置30が照明される。照明光として、例えば、空間コヒーレンスの高い光源10からの光を照明光学系20によって平行光に整形された光を用いる。尚、照明光の特性、及び、係る照明光を得るための具体的な構成例に関しては、後述する。
2次元画像形成装置30は、2次元的に配列された複数の画素31を有する2次元空間光変調器から成り、各画素31は開口を備えている。具体的には、2次元画像形成装置30あるいは2次元空間光変調器は、2次元的に配列された、即ち、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成り、各画素31には開口が備えられている。
1つの画素31は、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域から構成されている。そして、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって、即ち、各画素31の光透過率を制御することによって、光源10から出射された光の光透過率を制御し、全体として、2次元画像を得ることができる。透明第1電極と透明第2電極の重複領域には、矩形の開口が設けられており、係る開口を光源10から出射された光が通過するとフラウンホーファー回折が生じる結果、各画素31において、M×N組=121組の回折光が生成される。云い換えれば、画素31の数はP×Qであるが故に、総計、(P×Q×M×N)本の回折光が生じると考えることもできる。2次元画像形成装置30においては、2次元画像における空間周波数が、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って2次元画像形成装置30から出射される。尚、2次元画像における空間周波数によっても回折角は異なる。
焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面(光源側の焦点面)には2次元画像形成装置30が配置されており、第1のレンズL1の後側焦点面(観察者側の焦点面)には空間フィルタSFが配置されている。第1のレンズL1によって、複数の回折次数に対応する数であるM×N=121個のフーリエ変換像が生成され、これらのフーリエ変換像は、空間フィルタSF上に結像する。尚、図2においては、便宜上、64個のフーリエ変換像を点状にて図示した。
空間フィルタSFは、具体的には、フーリエ変換像を、空間的、且つ、時間的にフィルタリングするための時間的な開閉制御が可能な空間フィルタである。より具体的には、空間フィルタSFは、複数の回折次数に対応する数(具体的には、M×N=121)の開閉制御可能な開口部51を有する。そして、空間フィルタSFにおいては、2次元画像形成装置30による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の1つの開口部51を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応する1つのフーリエ変換像を選択する。より具体的には、空間フィルタSFを、例えば、M×N個の画素を有する強誘電性液晶を用いた透過型の液晶表示装置又は反射型の液晶表示装置、あるいは、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された装置を含む2次元型のMEMSから構成することができる。尚、液晶表示装置から成る空間フィルタSFの模式的な正面図を図4に示す。図4中、数字(m0,n0)は、開口部51の番号を示し、且つ、回折次数を示す。即ち、例えば、第(3,2)番目の開口部51には、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像が入射する。
前述したとおり、共役像形成手段60は、具体的には、第2のレンズL2及び第3のレンズL3から構成されている。そして、焦点距離f2を有する第2のレンズL2は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の実像RIを形成する。また、焦点距離f3を有する第3のレンズL3は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIを形成する。
第2のレンズL2は、その前側焦点面上に、空間フィルタSFが位置するように配置され、その後側焦点面に、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の実像RIが形成されるように配置されている。ここで得られる実像RIの2次元画像形成装置30に対する倍率は、第2のレンズL2の焦点距離f2を任意に選択することによって変化させることができる。
一方、第3のレンズL3は、その前側焦点面が第2のレンズL2の後側焦点面に一致するように配置され、その後側焦点面にフーリエ変換像の共役像CIが形成されるように配置されている。ここで、第3のレンズL3の後側焦点面は空間フィルタSFの共役面であることから、空間フィルタSF上の1つの開口部51に相当する部分から、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像が出力されていることと等価となる。そして、最終的に生成・出力される光線の量は、画素数分(P×Q)の光線に、光学系を透過した複数の回折次数(具体的にはM×N)を乗じた量で定義することができる。また、第3のレンズL3の後側焦点面にはフーリエ変換像の共役像CIが形成されるが、第3のレンズL3の後側焦点面においては、光線群が2次元的に整然と配置されているとみなせる。即ち、全体としては、第3のレンズL3の後側焦点面に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数の回折次数分(具体的にはM×N個)、配置されている状態と等価である。
図2及び図5に模式的に示すように、2次元画像形成装置30における1つの画素31によって、X方向に沿って第−5次から第+5次までの11組の、Y方向に沿って第−5次から第+5’次までの11組の、合計、M×N組=121組の回折光が生成される。尚、図5では、0次光(n0=0)、±1次光(n0=±1)、及び、±2次光(n0=±2)の回折光のみを代表して図示しているが、実際には、更に高次の回折光が生成され、これらの回折光に基づき、最終的に立体画像が形成される。ここで、各回折次数の回折光(光束)には、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報(全ての画素の情報)が集約されている。2次元画像形成装置30上の同一画素から回折によって生成される複数の光線群(11×11=121の光線群)は、同時刻において、全て、同一の画像情報を有する。云い換えれば、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成る2次元画像形成装置30においては、光源10からの光が各画素31によって変調されて2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数は、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射される。即ち、2次元画像のM×N個の一種のコピーが2次元画像形成装置30から、複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射される。
そして、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報が集約された2次元画像における空間周波数は、第1のレンズL1によってフーリエ変換され、複数の回折次数(総計M×N)に対応する数のフーリエ変換像が生成され、係るフーリエ変換像は空間フィルタSF上に結像される。第1のレンズL1において、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射された2次元画像における空間周波数のフーリエ変換像が生成されるので、空間的に高い密度にてフーリエ変換像を得ることができる。
ここで、光源10から出射された光(照明光)の波長をλ(mm)、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数をν(lp/mm)、第1のレンズL1の焦点距離をf1(mm)とすると、第1のレンズL1の後側焦点面では、光軸から距離Y1(mm)の位置に、空間周波数νを有する光(フーリエ変換像)が現れる。
Y1=f1・λ・ν (1)
第1のレンズL1における集光状態を、図6に模式的に示す。尚、図6中、「Y0」は、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像のy軸方向の長さを示し、「Y1」は、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像に基づく空間フィルタSF上でのフーリエ変換像のy軸方向の間隔を示す。また、0次の回折光を実線で示し、第1次の回折光を点線で示し、第2次の回折光を一点鎖線で示す。各回折次数の回折光が、云い換えれば、回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像が、第1のレンズL1によって空間フィルタSF上の異なる開口部51に集光される(図2も参照)。開口部51の数は、先に説明したとおりM×N個=121個である。空間フィルタSFへの集光角(空間フィルタSFから出射された後の発散角)θは、回折次数が同じフーリエ変換像(あるいは回折光)にあっては、P×Q個の画素31において同一である。空間フィルタSF上において、隣接する回折次数のフーリエ変換像の間の間隔は、式(1)から求めることができる。式(1)から、第1のレンズL1の焦点距離f1を任意に選択することによって、フーリエ変換像の位置(空間フィルタSF上の結像位置)を変化させることが可能である。
第1のレンズL1において、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射された2次元画像における空間周波数を透過させるためには、利用する回折次数に応じて第1のレンズL1の開口率NAを選択する必要があり、焦点距離に拘わらず、第1のレンズL1以降の全てのレンズの開口率は、第1のレンズL1の開口率NA以上であることが要求される。
開口部51の大きさは、式(1)におけるY1の値と同じ値とすればよい。一例として、照明光の波長λを532nm、第1のレンズL1の焦点距離f1を50mm、2次元画像形成装置30の1画素31の大きさを13μm〜14μm程度とすると、Y1の値は約2mmとなる。これは、空間フィルタSF上において、約2mm間隔という高い密度で各回折次数に対応したフーリエ変換像を得ることができることを意味する。云い換えれば、空間フィルタSF上において、X方向、Y方向のいずれの方向においても、約2mm間隔で、11×11=121個のフーリエ変換像を得ることができる。
ここで、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数νは、2次元画像がP×Q個の画素31から構成される2次元画像形成装置30によって生成されているので、最高でも、2次元画像形成装置30を構成する連続した2つの画素31から成る周期を有する周波数である。
図7の(A)に、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が最も低い状態にある2次元画像形成装置30の模式的な正面図を示す。ここで、最も空間周波数が低い状態とは、全ての画素を、黒表示、又は、白表示にした場合であり、この場合の2次元画像における空間周波数は、平面波成分のみ(DC成分)を有する。尚、図7の(A)では白表示とした場合を示す。この場合における、第1のレンズL1によって結像されたフーリエ変換像の光強度の周波数特性を模式的に図8の(A)に示すが、フーリエ変換像の光強度のピークは周波数ν1の間隔で現れる。
一方、図7の(B)に、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が最も高い状態にある2次元画像形成装置30の模式的な正面図を示す。ここで、最も空間周波数が高い状態とは、全ての画素が、黒表示と白表示とを交互に表示する場合である。この場合における、第1のレンズL1によって結像されたフーリエ変換像の光強度の周波数特性を模式的に図8の(B)に示すが、フーリエ変換像の光強度のピークは周波数ν2(=ν1/2)の間隔で現れる。図9の(A)に、空間フィルタSF上(xy平面上)におけるフーリエ変換像の分布を模式的に示し、図9の(B)及び(C)に、図9の(A)のx軸(点線で表す)上におけるフーリエ変換像の光強度分布を模式的に示す。尚、図9の(B)は最低空間周波数成分(平面波成分)を示し、図9の(C)は最高空間周波数成分を示す。
尚、図7の(A)、(B)に示した空間周波数が最も低い状態、空間周波数が最も高い状態、図8の(A)、(B)に示したフーリエ変換像の光強度の周波数特性、図9の(A)、(B)、(C)に示した空間フィルタSF上におけるフーリエ変換像の分布、フーリエ変換像の光強度分布に関する議論は、後述する他の実施例2にも適用することができる。
空間フィルタSFにおける開口部51の平面形状は、フーリエ変換像の形状に基づき決定すればよい。更には、フーリエ変換像の平面波成分のピーク位置が中心となるように、各々の回折次数に対して開口部51を設ければよい。これによって、各開口部51の中心位置52に、フーリエ変換像の光強度のピークが位置する。即ち、2次元画像における空間周波数が最低空間周波数成分(平面波成分)の場合におけるフーリエ変換像の周期的なパターンを中心として、2次元画像における正負の最高空間周波数を全て通過させ得るような開口部51とすればよい。
ところで、最も空間周波数が高い状態とは、図7の(B)に示したように、全ての画素が、黒表示と白表示とを交互に表示する場合である。また、2次元画像形成装置30における画素構造の空間周波数と、2次元画像における空間周波数との関係は、以下のとおりである。即ち、開口が画素の全てを占めていると仮定したとき、2次元画像における最高空間周波数は、画素構造の空間周波数の(1/2)である。また、開口が画素の或る割合(1未満)を占めている場合には、2次元画像における最高空間周波数は、画素構造の空間周波数の(1/2)を下回る。それ故、空間フィルタSFにおいて現れる画素構造に起因した周期的なパターンの間隔の半分の位置までに、2次元画像における空間周波数は全て出現する。このことから、全ての開口部51を、空間的に相互に干渉することなく配置することができる。即ち、例えば、第(3,2)番目の開口部51には、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像が入射する一方、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像は、他の開口部51には入射しない。これにより、フーリエ変換像毎に独立した開口部51を有する空間フィルタSF上において、1つの開口部51に位置するフーリエ変換像内に、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が存在する一方、開口部51の空間的な制限によって2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が欠落することはない。尚、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とみなすことができ、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。
そして、空間フィルタSFにおいては、M×N個のフーリエ変換像のそれぞれの通過/不通過を制御するために、開口部51の開閉制御が行われる。空間フィルタSFを、例えば液晶表示装置から構成すれば、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって開口部51の開閉制御を行うことができる。
尚、回折次数に依存して、得られる画像の明るさが相違する場合には、最も暗い画像を基準として、明るい画像を減光する減光フィルタを、第3のレンズL3(あるいは、最も後方に位置するレンズ)の後側焦点面に配置すればよい。後述する他の実施例においても同様である。
また、空間フィルタSFに設けられた開口部51の開閉制御を、全ての開口部51に対して行わなくともよい。即ち、例えば、1つおきに開口部51の開閉制御を行ってもよいし、所望の位置に位置する開口部51だけの開閉制御を行ってもよい。後述する他の実施例においても同様である。
空間フィルタSFにおける開口部51の開閉制御のタイミングについては、後述する。また、光源及び照明光学系の構成例も、後述する。
実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例11の画像表示装置にあっては、光変調手段や2次元画像形成装置の動作の制御は、図示しないパーソナルコンピュータによって行われる。即ち、パーソナルコンピュータに備えられた記録手段(例えば、ハードディスク)に、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差(例えば、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲といった所謂ザイデルの5収差)を補正した2次元画像データを記録しておく。あるいは又、例えば、(m,n)の値、(P,Q)の値、(M,N)の値、(S0,T0)の値、(U0,V0)の値をパラメータとした、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差を補正するための演算子をパーソナルコンピュータに備えられた記録手段に記録しておく。
収差補正前の2次元画像データData(A)[ビデオ信号に相当する]に基づき理想的に再生された収差が無い3次元像(立体画像)を「A」、実際に、2次元画像データData(A)に基づき再生されたときの3次元像(立体画像)を「a」(各種の収差が含まれている)とする。2次元画像データData(A)として、限定するものではないが、例えば、テストパターンを挙げることができる。このとき、実際に再生されたときの3次元像(立体画像)が「A」となるように、元の2次元画像データData(A)を、例えば、シミュレーションに基づき補正し、あるいは又、試行錯誤で補正する。即ち、例えば、テストパターンが所定の画像となるように、元の2次元画像データData(A)を補正する。より具体的には、例えば、テストパターンの画像を2次元画像形成装置30から出射する。そして、最も収差の少ない画像である第(0,0)番目の開口部51を開口して得られた再生3次元像(立体画像)と、所定の第(m,n)番目の開口部51を開口して得られた再生3次元像(立体画像)とを画像処理することで比較し、これらの2つの再生3次元像に差が生じないように、あるいは又、差が少なくなるように、テストパターンのデータを、例えば、作業者が補正するといった作業を繰り返し行うことで、例えば、(m,n)の値、(P,Q)の値、(M,N)の値、(S0,T0)の値、(U0,V0)の値をパラメータとした一種の演算子を得ることができる。こうして、実際に再生されたときの3次元像(立体画像)が「A」となるように、元の2次元画像データData(A)を最終的に補正して得られた2次元画像データをData(A’)としたとき、例えば、(m,n)の値、(P,Q)の値、(M,N)の値、(S0,T0)の値、(U0,V0)の値等が決まれば、元の収差補正前の2次元画像データData(A)と最終的に収差補正された2次元画像データData(A’)との間の一定の関係(一種の演算子)を得ることができる。云い換えれば、係る一定の関係(演算子)を求め、決定する。そして、元の収差補正前の2次元画像データ(ビデオ信号に相当する)を係る関係に基づき収差補正した2次元画像データ(即ち、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差を補正した2次元画像データ)を記録手段に記録しておき、この収差補正後の2次元画像データによって3次元像(立体画像)を再生する。あるいは又、画像表示装置に外部から送られてくる2次元画像データData(A)[ビデオ信号に相当する]に対して、リアルタイムで係る演算子に基づき収差補正を施し、収差補正された2次元画像データData(A’)に基づき、画像表示装置において3次元像(立体画像)を再生する。こうして、画像表示装置を構成する光学系(例えば、照明光学系20、光変調手段(2次元画像形成装置)30、フーリエ変換像形成手段40、フーリエ変換像選択手段50、共役像形成手段60)によって生じる収差を予め補正した2次元画像データに基づき、光変調手段(2次元画像形成装置)30において2次元画像を生成するので、収差の無い、あるいは、収差の少ない3次元画像(立体画像)を表示することができる。また、画像表示装置を、例えば、フィールド・シーケンシャル駆動すれば、ザイデルの5収差の補正のみならず、色収差の補正も行うことができる。
以上に説明したように、実施例1の画像表示装置1Aによれば、光変調手段(2次元画像形成装置)30によって生成された2次元画像における空間周波数が、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段40(第1のレンズL1)によってフーリエ変換されることで得られたフーリエ変換像は、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)によって、空間的、且つ、時間的にフィルタリングされ、そのフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIが形成される構成を有するので、画像表示装置全体を大型化することなく、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、光線群を生成・散布することができる。また、光線群の構成要素である個々の光線を、独立して、時間的及び空間的に制御することができる。これにより、実世界の物体と同質に近い光線による立体画像を得ることができる。
また、実施例1の画像表示装置1Aによれば、光線再生法を利用しているので、焦点調節、輻輳、運動視差などの視覚機能を満足した立体画像を提供することが可能である。更には、実施例1の画像表示装置1Aによれば、高次回折光を効率的に利用しているので、従来の画像出力手法と比較して、1つの画像出力デバイス(2次元画像形成装置30)によって制御可能な光線(2次元画像の一種のコピー)を、複数の回折次数分だけ(即ち、M×N個)、得ることができる。しかも、実施例1の画像表示装置1Aによれば、空間的、且つ、時間的にフィルタリングを行うので、画像表示装置の時間的特性を、画像表示装置の空間的特性に変換することができる。また、拡散スクリーン等を用いること無く、立体画像を得ることができる。更には、どのような方向からの観察に対しても適切な立体画像を提供することができる。また、空間的に高い密度で光線群を生成・散布することができるので、視認限界に近い精細な空間画像を提供することができる。
尚、後述する実施例2〜実施例11における画像表示方法それ自体は、実質的に、実施例1にて説明した画像表示方法と同じであるので、詳細な説明は省略し、以下、専ら、本発明の各態様における画像表示装置の説明を行う。
実施例2は、本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第1の態様及び第3の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。実施例2の画像表示装置の概念図を図10に示す。
実施例2における光変調手段130は、実施例1における液晶表示装置とは異なり、P個(例えば、1920個)に区画された1次元画像を生成する1次元空間光変調器(具体的には、回折格子−光変調装置201);1次元空間光変調器(回折格子−光変調装置201)によって生成され、P個に区画された1次元画像を2次元的に展開して(走査して)、P×Q個に区画された2次元画像を形成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205);及び、2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数(具体的には、総数M×N)に対応した回折角に沿って出射する格子フィルタ(回折格子フィルタ)132を備えている。ここで、走査光学系(スキャンミラー205)によって形成され、P×Q個に区画された2次元画像の区画毎に、格子フィルタ132によってM×N組の回折光が生成される。尚、格子フィルタ132は、振幅格子から構成されていてもよいし、位相格子から構成されていてもよい。尚、後述する実施例4、実施例6、実施例8においても、光変調手段130の構成、構造は、同様とすることができる。
あるいは又、本発明の第3の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例2の画像表示装置は、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)X方向に沿ってP個の画素を有し、1次元画像を生成する1次元空間光変調器(具体的には、回折格子−光変調装置201);1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205);及び、2次元画像の生成面に配置され、画素毎に、第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)回折光を生成する回折光生成手段(具体的には、格子フィルタ132)から成る2次元画像形成装置130、
(B)その前側焦点面に回折光生成手段が配置されている第1のレンズ(具体的には、実施例2にあっては凸レンズ)L1、
(C)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個(但し、Nは正の整数)の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部51を有する空間フィルタSF、
(D)その前側焦点面に空間フィルタSFが配置されている第2のレンズ(具体的には、実施例2にあっては凸レンズ)L2、並びに、
(F)第2のレンズL2の後側焦点に、その前側焦点が位置している第3のレンズ(具体的には、実施例2にあっては凸レンズ)L3、
を備えている。
ここで、1次元画像はX方向に延びているとする。また、走査方向はY方向であり、2次元画像はX方向及びY方向に沿って生成されているとする。但し、代替的に、X方向とY方向とを交換してもよい。尚、後述する実施例4、実施例6、実施例8においても同様である。また、図10、あるいは、後述する図16、図22、図26においては、照明光学系20の図示を省略している。
回折格子−光変調装置を含む光変調手段(2次元画像形成装置)130の概念図を図11に示す。即ち、実施例2の光変調手段130は、レーザを出射する光源10、この光源10から出射された光を集光する集光レンズ(図示せず)、集光レンズを通過した光が入射する回折格子−光変調装置201、回折格子−光変調装置201から出射された光が通過するレンズ203及び空間フィルタ204、空間フィルタ204を通過した1本の光束を結像させる結像レンズ(図示せず)、結像レンズを通過した1本の光束を走査するスキャンミラー205から構成されている。
1次元空間光変調器(1次元画像形成装置,回折格子−光変調装置201)は、光源10からの光を回折することによって1次元画像を生成する。より具体的には、回折格子−光変調装置201は、回折格子−光変調素子(GLV)210が一次元的にアレイ状に配列されて成る。回折格子−光変調素子210は、マイクロマシン製造技術を応用して製造され、反射型の回折格子から構成されており、光スイッチング作用を有し、光のオン/オフ制御を電気的に制御することで画像を表示する。そして、光変調手段(2次元画像形成装置)130にあっては、回折格子−光変調素子210のそれぞれから出射された光を、ガルバノミラーやポリゴンミラーから成るスキャンミラー205で走査して2次元画像を得る。従って、P×Q(例えば1920×1080)の画素(ピクセル)から構成された2次元画像を表示するために、P個(=1920個)の回折格子−光変調素子210から回折格子−光変調装置201を構成すればよい。
スキャンミラー205で走査して得られた2次元画像に基づき、回折光を生成させる必要がある。そのために、振幅型若しくは位相型のフィルタを2次元展開された面に配置することで、回折光を生成させる。具体的には、スキャンミラー205で走査して得られた2次元画像は、走査用レンズ系131を通過し、2次元画像の生成面に配置された格子フィルタ(回折格子フィルタ)132に入射し、格子フィルタ132において、P×Q個に区画された2次元画像の区画毎に、M×N組の回折光が生成される。即ち、格子フィルタ132からは、生成した2次元画像における空間周波数が、格子フィルタ132の各区画(画素に相当する)から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射される。格子フィルタ132は、焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面上に配置されている。
1次元空間光変調器(1次元画像形成装置)を用いる場合、生成される画像が1次元であることから、回折も1次元空間において起こる。従って、得られる回折光をY方向に拡散させることを目的とした光学系が必要となる。実施例2の画像表示装置にあっては、第3のレンズL3(共役像形成手段60)よりも下流(観察者側)に、1次元方向に生じている回折光を2次元方向に拡散させる異方性の光拡散を生じさせる部材(異方性拡散フィルタ、異方性拡散フィルムあるいは異方性拡散シートとも呼ばれる)133が配置されている。
以上の点を除き、実施例2の画像表示装置の構成、構造は、実施例1において説明した画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。回折格子−光変調素子210の構成、構造については後述する。
実施例3は、本発明の第4の態様及び第5の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第4の態様及び第5の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。図12、図13及び図14に、単色表示の実施例3の画像表示装置の概念図を示す。尚、図12において、光軸をz軸とし、z軸に直交する平面内での直交座標をx軸、y軸とし、x軸と平行な方向をX方向、y軸と平行な方向をY方向とする。X方向を、例えば画像表示装置における水平方向とし、Y方向を、例えば画像表示装置における垂直方向とする。ここで、図12は、yz平面における実施例3の画像表示装置の概念図である。xz平面における実施例3の画像表示装置の概念図も、実質的には図12と同様である。また、図13は、実施例3の画像表示装置を斜めから見たときの概念図であり、図14は、実施例3の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。
実施例3の画像表示装置1Bにあっても、図12、図13及び図14に示した構成要素を備える画像表示装置単体で、従来の技術と比較して、空間的に密度が高く、且つ、大量の光線群を生成・形成することが可能である。実施例3の画像表示装置1Bは、1つの画像表示装置で、図49に示した多数(M×N個)のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置した装置と等価の機能を有する。尚、例えばマルチユニット方式を採用する場合には、図48に示すように、分割された3次元画像の数だけ、実施例3の画像表示装置1Bを備えればよい。図48においては、実施例3の画像表示装置1Bを、4×4=16、備えた装置を例示している。
本発明の第4の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例3の画像表示装置1Bは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)複数の画素31を有し、光源10からの光を各画素31によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素31から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光変調手段30、
(B)光変調手段30から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記各画素31から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成し、これらのフーリエ変換像の内の所定のフーリエ変換像(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを選択し、更には、この選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換して、光変調手段30によって生成された2次元画像の共役像(2次元画像の実像)を形成する画像制限・生成手段32、
(C)複数の開口領域34を有し、2次元画像の共役像における空間周波数を、各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射するオーバーサンプリングフィルタ(回折光生成部材)OSF、
(D)オーバーサンプリングフィルタOSFから出射された2次元画像の共役像における空間周波数をフーリエ変換して、各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成するフーリエ変換像形成手段40、
(E)各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段50、並びに、
(F)フーリエ変換像選択手段50によって選択されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段60、
を備えている。
更には、共役像形成手段60には、フーリエ変換像選択手段50によって選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、画像制限・生成手段32によって生成された2次元画像の共役像(以下、単に、「2次元画像の共役像」と呼ぶ場合がある)を形成する逆フーリエ変換手段(具体的には、後述する第4のレンズL4)が備えられている。また、フーリエ変換像形成手段40はレンズから成り、このレンズの前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタOSFが配置されており、このレンズの後側焦点面にフーリエ変換像選択手段50が配置されている。フーリエ変換像選択手段50は、各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応する数の開閉制御可能な開口部51を有する。
ここで、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。また、2次元画像の共役像における空間周波数は、2次元画像における空間周波数から画素構造の空間周波数が除去された空間周波数である。
また、本発明の第5の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例3の画像表示装置1Bは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された開口(個数:P×Q)を有し、光源10からの光の通過、反射、あるいは回折を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、複数の回折次数の回折光を生成する2次元画像形成装置30、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置30が配置されている第1のレンズL1、
(C)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを通過させる散乱回折制限開口部33、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部33が配置されている第2のレンズL2、
(E)第2のレンズL2の後側焦点面に配置され、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列されたPOSF×QOSF個(但し、POSF及びQOSFは任意の正の整数)の開口領域34を有し、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像に基づき、開口領域34毎に、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光を生成するオーバーサンプリングフィルタ(回折光生成部材)OSF、
(F)その前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタOSFが配置されている第3のレンズL3、
(G)第3のレンズL3の後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部51を有する空間フィルタSF、
(H)その前側焦点面に空間フィルタSFが配置されている第4のレンズL4、並びに、
(I)第4のレンズL4の後側焦点に、その前側焦点が位置している第5のレンズL5、
を備えている。
尚、実施例3にあっては、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5は、具体的には、凸レンズから構成されている。また、画像制限・生成手段32は、2枚のレンズ(第1のレンズL1及び第2のレンズL2)、及び、これらの2枚のレンズ(第1のレンズL1及び第2のレンズL2)の間に配置され、所定のフーリエ変換像(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを通過させる散乱回折制限開口部33から構成されている。更には、オーバーサンプリングフィルタ(回折光生成部材)OSFは格子フィルタ(回折格子フィルタ)から成り、より具体的には、平板ガラスにPOSF×QOSF個の凹部(開口領域に相当し、平面形状は矩形である)が2次元マトリクス状に形成された構造を有する。即ち、オーバーサンプリングフィルタ(回折光生成部材)OSFは、位相格子から構成されている。後述する実施例4や実施例11にあっても同様である。
ここで、実施例3あるいは後述する実施例4や実施例11にあっては、POSF=2048、QOSF=1536であり、P=1024、Q=768であり、m=−5、m’=5、M=m’−m+1=11、n=−5、n’=5、N=n’−n+1=11である。但し、これらの値に限定するものではない。本発明の第4の態様における画像表示装置の構成要素と本発明の第5の態様あるいは第6の態様における画像表示装置の構成要素とを対比すると、光変調手段30は2次元画像形成装置30に対応し、画像制限・生成手段32は、第1のレンズL1、散乱回折制限開口部33及び第2のレンズL2に対応し、フーリエ変換像形成手段40は第3のレンズL3に対応し、フーリエ変換像選択手段50は空間フィルタSFに対応し、逆フーリエ変換手段は第4のレンズL4に対応し、共役像形成手段60は第4のレンズL4及び第5のレンズL5に対応している。それ故、便宜上、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、散乱回折制限開口部33、第2のレンズL2、第3のレンズL3、空間フィルタSF、第4のレンズL4、及び、第5のレンズL5という用語に基づき、以下、説明を行う。
実施例1と同様に、光源10と2次元画像形成装置30との間には、光源10から出射された光を整形するための照明光学系20が配置されている。そして、光源10から出射され、照明光学系20を通過した光(照明光)によって、2次元画像形成装置30が照明される。照明光学系20に関しては後述する。
2次元画像形成装置30は、2次元的に配列された複数の画素31を有する2次元空間光変調器から成り、各画素31は開口を備えている。具体的には、2次元画像形成装置30あるいは2次元空間光変調器は、2次元的に配列された、即ち、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成り、各画素31には開口が備えられている。
1つの画素31は、実施例1と同様に、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域から構成されている。そして、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって、即ち、各画素31の光透過率を制御することによって、光源10から出射された光の光透過率を制御し、全体として、2次元画像を得ることができる。透明第1電極と透明第2電極の重複領域には、矩形の開口が設けられており、係る開口を光源10から出射された光が通過するとフラウンホーファー回折が生じる結果、各画素31において、M0×N0の回折光が生成される。云い換えれば、画素31の数はP×Qであるが故に、総計、(P×Q×M0×N0)本の回折光が生じると考えることもできる。2次元画像形成装置30においては、2次元画像における空間周波数が、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M0×N0)に対応した回折角に沿って2次元画像形成装置30から出射される。尚、2次元画像における空間周波数によっても回折角は異なる。
焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面(光源側の焦点面)には2次元画像形成装置30が配置されており、第1のレンズL1の後側焦点面(観察者側の焦点面)には散乱回折制限開口部33が配置されている。第1のレンズL1によって、複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、これらのフーリエ変換像は、散乱回折制限開口部33が位置する平面内に結像する。そして、所定回折次数の回折光(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみが散乱回折制限開口部33を通過する。また、焦点距離f2を有する第2のレンズL2の前側焦点面には散乱回折制限開口部33が配置されており、第2のレンズL2の後側焦点面にはオーバーサンプリングフィルタOSFが配置されている。更には、焦点距離f3を有する第3のレンズL3の前側焦点面にはオーバーサンプリングフィルタOSFが配置されており、第3のレンズL3の後側焦点面には空間フィルタSFが配置されている。第3のレンズL3によって、各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応する数であるM×N=121個のフーリエ変換像が生成され、これらのフーリエ変換像は、空間フィルタSF上に結像する。尚、図13においては、便宜上、64個のフーリエ変換像を点状にて図示した。
空間フィルタSFは、具体的には、フーリエ変換像を、空間的、且つ、時間的にフィルタリングするための時間的な開閉制御が可能な空間フィルタである。より具体的には、空間フィルタSFは、各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応する数(具体的には、M×N=121)の開閉制御可能な開口部51を有する。そして、空間フィルタSFにおいては、2次元画像形成装置30による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の1つの開口部51を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応する1つのフーリエ変換像を選択する。より具体的には、空間フィルタSFを、例えば、M×N個の画素を有する強誘電性液晶を用いた透過型の液晶表示装置又は反射型の液晶表示装置、あるいは、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された装置を含む2次元型のMEMSから構成することができる。尚、液晶表示装置から成る空間フィルタSFの模式的な正面図は、図4に示したと同様である。
前述したとおり、共役像形成手段60は、具体的には、第4のレンズL4及び第5のレンズL5から構成されている。そして、焦点距離f4を有する第4のレンズL4は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像の実像RIを形成する。また、焦点距離f5を有する第5のレンズL5は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIを形成する。
第4のレンズL4は、その前側焦点面上に、空間フィルタSFが位置するように配置され、その後側焦点面に、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像の実像RIが形成されるように配置されている。ここで得られる実像RIの第2のレンズL2によって形成された実像に対する倍率は、第4のレンズL4の焦点距離f4を任意に選択することによって変化させることができる。
一方、第5のレンズL5は、その前側焦点面が第4のレンズL4の後側焦点面に一致するように配置され、その後側焦点面にフーリエ変換像の共役像CIが形成されるように配置されている。ここで、第5のレンズL5の後側焦点面は空間フィルタSFの共役面であることから、空間フィルタSF上の1つの開口部51に相当する部分から、2次元画像の共役像が出力されていることと等価となる。そして、最終的に生成・出力される光線の量は、画素数分(P×Q)であって、散乱回折制限開口部33を通過した光線に、光学系を透過した複数の回折次数(具体的にはM×N)を乗じた量で定義することができる。また、第5のレンズL5の後側焦点面にはフーリエ変換像の共役像CIが形成されるが、第5のレンズL5の後側焦点面においては、光線群が2次元的に整然と配置されているとみなせる。即ち、全体としては、第5のレンズL5の後側焦点面に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数の回折次数分(具体的にはM×N個)、配置されている状態と等価である。
図5に模式的に示したと同様に、2次元画像形成装置30における1つの画素31によって、X方向及びY方向に沿って、合計、M0×N0組の回折光が生成される。尚、図5では、0次光(n0=0)、±1次光(n0=±1)、及び、±2次光(n0=±2)の回折光のみを代表して図示したが、実際には、更に高次の回折光が生成され、これらの回折光の一部に基づき、最終的に立体画像が形成される。ここで、各回折次数の回折光(光束)には、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報(全ての画素の情報)が集約されている。2次元画像形成装置30上の同一画素から回折によって生成される複数の光線群は、同時刻において、全て、同一の画像情報を有する。云い換えれば、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成る2次元画像形成装置30においては、光源10からの光が各画素31によって変調されて2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数は、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M0×N0)に対応した回折角に沿って出射される。即ち、2次元画像のM0×N0個の一種のコピーが2次元画像形成装置30から、複数の回折次数(総計M0×N0)に対応した回折角に沿って出射される。
そして、2次元画像形成装置30から出射された2次元画像における空間周波数は、第1のレンズL1によってフーリエ変換され、各画素31から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成される。そして、これらのフーリエ変換像の内、所定のフーリエ変換像(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみが散乱回折制限開口部33を通過し、更には、この選択されたフーリエ変換像が第2のレンズL2によって逆フーリエ変換され、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の共役像が形成され、この2次元画像の共役像は、オーバーサンプリングフィルタOSF上に結像する。尚、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当するが、0次の平面波を搬送波とする画像情報の領域のみ(即ち、画素構造の空間周波数の最大1/2の空間周波数まで)が、云い換えれば、平面波成分の0次回折をキャリア周波数とする1次回折として得られるものであって、光変調手段の画素構造(開口構造)の空間周波数の半分以下の空間周波数が、散乱回折制限開口部33を通過する。こうして、オーバーサンプリングフィルタOSF上に結像された2次元画像の共役像にあっては、2次元画像形成装置30の画素構造は含まれず、一方、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数の全てが含まれている。
2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報が集約された2次元画像の共役像における空間周波数は、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、第3のレンズL3によってフーリエ変換され、複数の回折次数(総計M×N)に対応する数のフーリエ変換像が生成され、係るフーリエ変換像は空間フィルタSF上に結像される。第3のレンズL3において、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射された2次元画像の共役像における空間周波数のフーリエ変換像が生成されるので、空間的に高い密度にてフーリエ変換像を得ることができる。
ここで、光源10から出射された光(照明光)の波長をλ(mm)、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像における空間周波数をν(lp/mm)、第3のレンズL3の焦点距離をf3(mm)とすると、第3のレンズL3の後側焦点面では、以下の式(1)で表される光軸から距離Y1(mm)の位置に、空間周波数νを有する光(フーリエ変換像)が現れる。
第3のレンズL3における集光状態を、図15に模式的に示す。尚、図15中、「Y0」は、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像のy軸方向の長さを示し、「Y1」は、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像に基づく空間フィルタSF上でのフーリエ変換像のy軸方向の間隔を示す。また、0次の回折光を実線で示し、第1次の回折光を点線で示し、第2次の回折光を一点鎖線で示す。各回折次数の回折光が、云い換えれば、回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像が、第3のレンズL3によって空間フィルタSF上の異なる開口部51に集光される(図13も参照)。開口部51の数は、先に説明したとおりM×N個=121個である。空間フィルタSFへの集光角(空間フィルタSFから出射された後の発散角であり、視野角でもある)θは、回折次数が同じフーリエ変換像(あるいは回折光)にあっては、POSF×QOSF個の開口領域34において同一であり、以下の式(2)から求めることができる。空間フィルタSF上において、隣接する回折次数のフーリエ変換像の間の間隔は、式(1)から求めることができる。式(1)から、第3のレンズL3の焦点距離f3を任意に選択することによって、フーリエ変換像の位置(空間フィルタSF上の結像位置)を変化させることが可能である。尚、式(2)中、「w」は、オーバーサンプリングフィルタOSFに投影された2次元画像の共役像のY方向の長さであり、第2のレンズL2の焦点距離f2を任意に選択することによって変化させることができる。
Y1=f3・λ・ν (1)
θ =2×arctan(w/2f3) (2)
第3のレンズL3において、各開口領域34から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射された2次元画像の共役像における空間周波数を透過させるためには、利用する回折次数に応じて第3のレンズL3の開口率NAを選択する必要があり、焦点距離に拘わらず、第3のレンズL3以降の全てのレンズの開口率は、第3のレンズL3の開口率NA以上であることが要求される。
開口部51の大きさは、式(1)におけるY1の値と同じ値とすればよい。一例として、照明光の波長λを532nm、第3のレンズL3の焦点距離f3を50mm、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける開口領域34の大きさを13μm〜14μm程度とすると、Y1の値は約2mmとなる。これは、空間フィルタSF上において、約2mm間隔という高い密度で各回折次数に対応したフーリエ変換像を得ることができることを意味する。云い換えれば、空間フィルタSF上において、X方向、Y方向のいずれの方向においても、約2mm間隔で、11×11=121個のフーリエ変換像を得ることができる。
ここで、2次元画像の共役像における空間周波数νは、オーバーサンプリングフィルタOSFがPOSF×QOSF個の開口領域34から構成されているので、最高でも、オーバーサンプリングフィルタOSFを構成する連続した2つの開口領域34から成る周期を有する周波数である。
2次元画像の共役像における空間周波数が最も低い状態にある2次元画像形成装置30の模式的な正面図は、図7の(A)に示したと同様であるし、この場合における、第3のレンズL3によって結像されたフーリエ変換像の光強度の周波数特性は、図8の(A)に示したと同様である。一方、2次元画像の共役像における空間周波数が最も高い状態にある2次元画像形成装置30の模式的な正面図は、図7の(B)に示したと同様であるし、この場合における、第3のレンズL3によって結像されたフーリエ変換像の光強度の周波数特性は、図8の(B)に示したと同様である。更には、空間フィルタSF上(xy平面上)におけるフーリエ変換像の分布等は、図9の(A)、(B)、(C)に示したと同様である。また、空間フィルタSFにおける開口部51の平面形状は、実施例1と同様とすればよい。
ところで、最も空間周波数が高い状態とは、図7の(B)に示したように、全ての画素が、黒表示と白表示とを交互に表示する場合である。また、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける開口領域構造の空間周波数と、2次元画像の共役像における空間周波数との関係は、以下のとおりである。即ち、開口領域34の開口率が100%であると仮定したとき、2次元画像の共役像における最高空間周波数は、開口領域構造の空間周波数の(1/2)である。また、開口領域34の開口率が或る割合(100%未満)を占めている場合には、2次元画像の共役像における最高空間周波数は、開口領域構造の空間周波数の(1/2)を下回る。それ故、空間フィルタSFにおいて現れる開口領域構造に起因した周期的なパターンの間隔の半分の位置までに、2次元画像の共役像における空間周波数は全て出現する。このことから、全ての開口部51を、空間的に相互に干渉することなく配置することができる。即ち、例えば、第(3,2)番目の開口部51には、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像が入射する一方、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像は、他の開口部51には入射しない。これにより、フーリエ変換像毎に独立した開口部51を有する空間フィルタSF上において、1つの開口部51に位置するフーリエ変換像内に、2次元画像の共役像における空間周波数が存在する一方、開口部51の空間的な制限によって2次元画像の共役像における空間周波数が欠落することはない。尚、開口領域構造の空間周波数をキャリア周波数とみなすことができ、2次元画像の共役像における空間周波数は、開口領域構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。
そして、空間フィルタSFにおいては、M×N個のフーリエ変換像のそれぞれの通過/不通過を制御するために、開口部51の開閉制御が行われる。空間フィルタSFを、例えば液晶表示装置から構成すれば、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって開口部51の開閉制御を行うことができる。
開口領域34から生じる回折次数に依存して、得られる画像の明るさが相違する場合には、前述したとおり、最も暗い画像を基準として、明るい画像を減光する減光フィルタを第5のレンズL5の後側焦点面に配置すればよい。
実施例3の画像表示装置において、オーバーサンプリングフィルタOSFを取り除いた画像表示装置を比較のために想定する。尚、このような画像表示装置を、便宜上、比較用画像表示装置と呼ぶ。実施例3の画像表示装置と比較用画像表示装置とを対比して、以下、説明を行う。
尚、光源10から出射された光(照明光)の波長をλ(mm)、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数をν0(lp/mm)とする。
ところで、投影角(視野角)θは、観察される立体画像の領域を決定する重要なパラメータである。一方、空間フィルタSF上におけるフーリエ変換像の位置及び間隔(Y1)は、表示される立体画像及び運動視差の連続性、表示される立体画像のスケール(大きさ)を決定する重要なパラメータである。そして、投影角(視野角)θの値、及び、空間フィルタSF上におけるフーリエ変換像の位置及び間隔に相当するY1の値は、大きければ大きいほど、好ましい。
ところで、前述した式(1)から、Y1を制御する変数は、光(照明光)の波長λ、及び、第3のレンズL3の焦点距離f3であり、更には、空間周波数νの基となる2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数ν0である。ここで、光(照明光)の波長λは、画像の色調に変化が生じるので、現実的には任意の値をとることができない。しかも、可視光の波長は約400nmから約700nmであり、変化量は高々1.75倍であり、操作領域が狭い。また、空間周波数ν0の値を高くするためには、2次元画像形成装置30における画素のピッチを細かくする必要があるが、2次元画像形成装置30における画素のピッチを細かくすることは、現実的には困難である。従って、式(1)におけるY1の値を大きくするためには、第3のレンズL3の焦点距離f3を長くすることが最も現実的である。然るに、焦点距離f3を長くすると、式(2)から、オーバーサンプリングフィルタOSFに投影された2次元画像の共役像のY方向の長さwを一定とした場合、即ち、第2のレンズL2の焦点距離f2を一定とした場合、投影角(視野角)θの値が小さくなる。即ち、式(1)と式(2)とは独立の関係には無く、Y1の値と投影角(視野角)θの値とは、所謂トレードオフの関係にある。
ところで、実施例3の画像表示装置1Bにあっては、光変調手段あるいは2次元画像形成装置30によって2次元画像が生成されるが、この2次元画像における空間周波数ν0は、2次元画像形成装置を構成する開口の開口構造に依存した値である。一方、この2次元画像の共役像における空間周波数νは、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける開口領域34の開口領域構造に依存しており、POSF>P,QOSF>Qであるが故に、2次元画像形成装置30における画素構造(開口構造)の空間周波数(キャリア周波数)よりも、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける開口領域構造の空間周波数(キャリア周波数)の方が高く、ν>ν0である。尚、オーバーサンプリングフィルタOSFは、例えば、平板ガラスに、直接、格子模様を形成することで作製することができるので、格子模様のピッチを細かくすれば、キャリア周波数を高くすることができ、2次元画像の共役像におけるオーバーサンプリングフィルタOSFによって生成された空間周波数νの値を容易に高くすることができる。従って、空間周波数νの値を容易に大きくすることができ、式(1)から求められるY1の値を大きくすることができる。尚、たとえ第3のレンズL3の焦点距離f3を短く設定しても、式(1)から求められるY1の値を大きくすることができる。一方、第3のレンズL3の焦点距離f3を短く設定できるので、式(2)から求められる視野角θの値を大きくすることができる。あるいは又、第2のレンズL2の焦点距離f2を適切に設定することでwの値を大きくすることができ、その結果、式(2)から求められる視野角θの値を大きくすることができる。
このように、実施例3の画像表示装置1Bにあっては、Y1の値と投影角(視野角)θの値とを、独立して制御することができる。従って、観察される立体画像の領域を広げつつ、表示される立体画像のスケール(大きさ)を大きくすることが可能となる。しかも、そのために、光源からの光の波長を変える必要が無く、波長変動に伴う色調の変化も全くない。また、第3のレンズL3の焦点距離f3を変更する必要も、本質的には無い。
例えば、比較用画像表示装置において、2次元画像形成装置30のサイズが対角0.7インチであり、正方形の平面形状の開口(P×Q=1024×768)を有しているとする。また、開口の間隔を14μm、光源10から出射される光の波長λを532nm、f2=f3=f4=f5=50mmとした場合、第5のレンズL5を透過した後の空間フィルタSFの共役面における共役像の間隔は1.9mm、2次元画像形成装置30のY方向に対応する視野角θYは16.1度、2次元画像形成装置30のX方向に対応する視野角θXは12.1度となる。
また、比較用画像表示装置において、第2のレンズL2によって結像される2次元画像の共役像の大きさを大きくするために、第2のレンズL2の焦点距離f2を100mmとした場合、視野角θYは31.5度、視野角θXは23.9度となり、視野角を大きくすることができる。然るに、2次元画像の共役像の大きさが2倍となったが故に、式(1)におけるνの値が半分となってしまうので、第5のレンズL5を透過した後の空間フィルタSFの共役面における共役像の間隔は、0.95mmとなってしまう。この場合、通常よりも空間的に密度の高い光線群が生成されるが、光線群の1つ当たりの生成面積が1/4になるので、観察像の大きさが1/4となってしまう。
そこで、14μmの間隔(=Y0)を有する正方格子を備えた回折フィルタから成るオーバーサンプリングフィルタOSFを配置すると、2倍に拡大された2次元画像の共役像に対する新たな空間的なサンプリングを、元の2次元画像形成装置30の画素間隔と同様の空間周波数で行うことになり、視野角θYは31.5度、視野角θXは23.9度となり、視野角を大きくすることができると共に、第5のレンズL5を透過した後の空間フィルタSFの共役面における共役像の間隔を1.9mmとすることができる。即ち、この場合、通常よりも空間的に密度の高い光線群が生成され、しかも、光線群の1つ当たりの生成面積は変わらず、観察像の大きさも変わらない。このオーバーサンプリングフィルタOSFは、平板ガラスにピッチ14μmの2次元マトリクス状に配列された格子を描画するのみで作製することができる。
以上に説明したように、実施例3の画像表示装置1Bによれば、光変調手段(2次元画像形成装置)30によって生成された2次元画像における空間周波数が、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、所定回折次数に対応するフーリエ変換像のみが画像制限・生成手段32によって選択され、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像がフーリエ変換像形成手段40(第3のレンズL3)によってフーリエ変換されることで得られたフーリエ変換像は、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)によって、空間的、且つ、時間的にフィルタリングされ、そのフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIが形成される構成を有するので、画像表示装置全体を大型化することなく、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、光線群を生成・散布することができる。また、2次元画像形成装置30とオーバーサンプリングフィルタOSFとを設けることによって、観察される立体画像の領域を広げつつ、表示される立体画像のスケール(大きさ)を大きくすることが可能となる。しかも、光線群の構成要素である個々の光線を、独立して、時間的及び空間的に制御することができる。これにより、実世界の物体と同質に近い光線による立体画像を得ることができる。
また、実施例3の画像表示装置1Bによれば、光線再生法を利用しているので、焦点調節、輻輳、運動視差などの視覚機能を満足した立体画像を提供することが可能である。更には、実施例3の画像表示装置1Bによれば、高次回折光を効率的に利用しているので、従来の画像出力手法と比較して、1つの画像出力デバイス(2次元画像形成装置30)によって制御可能な光線(2次元画像の一種のコピー)を、複数の回折次数分だけ(即ち、M×N個)、オーバーサンプリングフィルタOSFによって得ることができる。しかも、実施例3の画像表示装置1Bによれば、空間的、且つ、時間的にフィルタリングを行うので、画像表示装置の時間的特性を、画像表示装置の空間的特性に変換することができる。また、拡散スクリーン等を用いること無く、立体画像を得ることができる。更には、どのような方向からの観察に対しても適切な立体画像を提供することができる。また、空間的に高い密度で光線群を生成・散布することができるので、視認限界に近い精細な空間画像を提供することができる。
更には、実施例3の画像表示装置1Bにあっては、第5のレンズを透過した後の空間フィルタSFの共役面における共役像の大きさと投影角(視野角)とを、独立して制御することができる。従って、観察される立体画像の領域を広げつつ、表示される立体画像のスケール(大きさ)を大きくすることが可能となる。
実施例4は、本発明の第4の態様及び第6の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第4の態様及び第6の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。実施例4の画像表示装置の概念図を図16に示す。
実施例4における光変調手段130は、実施例3における液晶表示装置とは異なり、P個(例えば、1920個)に区画された1次元画像を生成する1次元空間光変調器(具体的には、回折格子−光変調装置201);1次元空間光変調器(回折格子−光変調装置201)によって生成され、P個に区画された1次元画像を2次元的に展開して(走査して)、P×Q個に区画された2次元画像を形成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205);及び、2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数(具体的には、総数M0×N0)に対応した回折角に沿って出射する格子フィルタ(回折格子フィルタ)132を備えている。ここで、走査光学系(スキャンミラー205)によって形成され、P×Q個に区画された2次元画像の区画毎に、格子フィルタ132によってM0×N0組の回折光が生成される。尚、格子フィルタ132は、振幅格子から構成されていてもよいし、位相格子から構成されていてもよい。
あるいは又、本発明の第6の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例4の画像表示装置は、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)1次元画像を生成する1次元空間光変調器(具体的には、回折格子−光変調装置201);1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205);及び、2次元画像の生成面に配置され、画素毎に、複数の回折次数の回折光を生成する回折光生成手段(具体的には、格子フィルタ132)から成る2次元画像形成装置130、
(B)その前側焦点面に回折光生成手段(格子フィルタ132)が配置されている第1のレンズL1、
(C)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを通過させる散乱回折制限開口部33、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部33が配置されている第2のレンズL2、
(E)第2のレンズL2の後側焦点面に配置され、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列されたPOSF×QOSF個(但し、POSF及びQOSFは任意の正の整数であり、POSF>P)の開口を有し、第2のレンズL2によって形成された2次元画像の実像に基づき、開口毎に、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光を生成するオーバーサンプリングフィルタOSF、
(F)その前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタOSFが配置されている第3のレンズL3、
(G)第3のレンズL3の後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部51を有する空間フィルタSF、
(H)その前側焦点面に空間フィルタSFが配置されている第4のレンズL4、並びに、
(I)第4のレンズL4の後側焦点に、その前側焦点が位置している第5のレンズL5、
を備えている。
回折格子−光変調装置を含む光変調手段(2次元画像形成装置)130の概念図は、図11に示した実施例2の光変調手段130と同様であるので、詳細な説明は省略するが、格子フィルタ132において、P×Q個に区画された2次元画像の区画毎に、M0×N0組の回折光が生成される。
1次元空間光変調器(回折格子−光変調装置201)、回折格子−光変調素子210については、後述する。
以上の点を除き、実施例4の画像表示装置の構成、構造は、実施例3において説明した画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例5は、本発明の第7の態様及び第8の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第7の態様及び第8の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。図17、図18、図19及び図20に、単色表示の実施例5の画像表示装置の概念図を示す。尚、図17において、光軸をz軸とし、z軸に直交する平面内での直交座標をx軸、y軸とし、x軸と平行な方向をX方向、y軸と平行な方向をY方向とする。X方向を、例えば画像表示装置における水平方向とし、Y方向を、例えば画像表示装置における垂直方向とする。ここで、図17は、yz平面における実施例5の画像表示装置の概念図である。xz平面における実施例5の画像表示装置の概念図も、実質的には図17と同様である。また、図19は、実施例5の画像表示装置を斜めから見たときの概念図であり、図20は、実施例5の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。
実施例5の画像表示装置1Cにあっても、図17、図18、図19及び図20に示した構成要素を備える画像表示装置単体で、従来の技術と比較して、空間的に密度が高く、且つ、大量の光線群を生成・形成することが可能である。実施例5の画像表示装置1Cは、1つの画像表示装置で、図49に示した多数(M×N個)のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置した装置と等価の機能を有する。尚、例えばマルチユニット方式を採用する場合には、図48に示すように、分割された3次元画像の数だけ、実施例5の画像表示装置1Cを備えればよい。図48においては、実施例5の画像表示装置1Cを、4×4=16、備えた装置を例示している。
本発明の第7の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例5の画像表示装置1Cは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)複数の画素31を有し、光源10からの光に基づき2次元画像を生成する2次元画像形成装置30、
(B)入射する光を屈折させて略一点に集光する光学パワーを有する光学素子36が2次元マトリクス状に配列されて成り、透過する光の位相を変調する位相格子としての機能を有し、2次元画像形成装置30から入射した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射する光学装置35、
(C)光学装置35から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記複数の回折次数(総計M×N)に対応する数のフーリエ変換像を生成するフーリエ変換像形成手段40、
(D)前記複数の回折次数(総計M×N)に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段50、並びに、
(E)フーリエ変換像選択手段50によって選択されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段60、
を備えている。
更には、共役像形成手段60には、フーリエ変換像選択手段50によって選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の実像を形成する逆フーリエ変換手段(具体的には、後述する第2のレンズL2)が備えられている。また、フーリエ変換像形成手段40はレンズから成り、このレンズの前側焦点面に光学装置35を構成する光学素子36の焦点(実施例5にあっては、後側焦点)が位置しており、このレンズの後側焦点面にフーリエ変換像選択手段50が配置されている。フーリエ変換像選択手段50は、複数の回折次数(総計M×N)に対応する数の開閉制御可能な開口部51を有する。
ここで、2次元画像における空間周波数は、2次元画像形成装置30における画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。
また、本発明の第8の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例5の画像表示装置1Cは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)複数(P×Q個)の画素31を有し、光源10からの光に基づき2次元画像を生成する2次元画像形成装置30、
(B)入射する光を屈折させて略一点に集光する光学パワーを有する光学素子36が、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状にPOD×QOD個(但し、POD及びQODは任意の正の整数)配列されて成り、透過する光の位相を変調する位相格子としての機能を有し、入射した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射する光学装置35、
(C)その前側焦点面に光学装置35を構成する光学素子36の焦点(実施例5にあっては、後側焦点)が位置している(より具体的には、実施例5にあっては凸レンズ)L1、
(D)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、X方向に沿ってM個、Y方向に沿ってN個の、合計、M×N個の開閉制御可能な開口部51を有する空間フィルタSF、
(E)その前側焦点面に空間フィルタSFが配置されている第2のレンズ(より具体的には、実施例5にあっては凸レンズ)L2、並びに、
(F)第2のレンズL2の後側焦点に、その前側焦点が位置している第3のレンズ(より具体的には、実施例5にあっては凸レンズ)L3、
を備えている。
ここで、実施例5あるいは後述する実施例6や実施例11にあっては、光学装置35において、X方向に沿って第m次から第m’次までのM組の(但し、m及びm’は整数であり、Mは正の整数)、Y方向に沿って第n次から第n’次までのN組の(但し、n及びn’は整数であり、Nは正の整数)の、合計、M×N組の回折光が生成される。ここで、POD=P=1024、QOD=Q=768であり、m=−5、m’=5、M=m’−m+1=11、n=−5、n’=5、N=n’−n+1=11である。但し、これらの値に限定するものではない。本発明の第7の態様における画像表示装置の構成要素と本発明の第8の態様における画像表示装置の構成要素とを対比すると、フーリエ変換像形成手段40は第1のレンズL1に対応し、フーリエ変換像選択手段50は空間フィルタSFに対応し、逆フーリエ変換手段は第2のレンズL1に対応し、共役像形成手段60は第2のレンズL2及び第3のレンズL3に対応している。それ故、便宜上、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、空間フィルタSF、第2のレンズL1、及び、第3のレンズL3という用語に基づき、以下、説明を行う。
実施例1と同様に、光源10と2次元画像形成装置30との間には、光源10から出射された光を整形するための照明光学系20が配置されている。そして、光源10から出射され、照明光学系20を通過した光(照明光)によって、2次元画像形成装置30が照明される。照明光学系20に関しては後述する。
2次元画像形成装置30は、2次元的に配列された複数の画素31を有しており、各画素31は開口を備えている。具体的には、2次元画像形成装置30は、2次元的に配列された、即ち、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成り、各画素31には開口が備えられている。
1つの画素31は、実施例1と同様に、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域から構成されている。そして、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって、即ち、各画素31の光透過率を制御することによって、光源10から出射された光の光透過率を制御し、全体として、2次元画像を得ることができる。透明第1電極と透明第2電極の重複領域には、矩形の開口が設けられており、係る開口を光源10から出射された光が通過することで2次元画像が生成される。
2次元画像形成装置30の後方に隣接して(例えば、2次元画像形成装置30と密着して、あるいは、若干の隙間を介して)光学装置35が配置されている。尚、光学装置35を2次元画像形成装置30に隣接して配置することで、2次元画像形成装置30を構成する画素31の開口を通過する光に起因した回折現象の影響を無視することができる。ここで、実施例5において、光学装置35を構成する光学素子36の平面形状は、対応する画素31の開口の平面形状と相似形の矩形形状であり、各光学素子36は正の光学パワーを有する屈折型の格子状素子、具体的には、凸レンズ(焦点距離f0)から構成されている。そして、光学装置35は、一種のマイクロレンズアレイから構成されており、マイクロレンズアレイを製造する周知の方法に基づき、ガラスから作製されている。
光学装置35は位相格子として機能する。即ち、2次元画像形成装置30において生成された2次元画像にあっては、各画素31から出射された光(この光は平行光と見做すことができる)は、2次元画像形成装置30に隣接して配置された光学装置35における対応する光学素子36に入射する。そして、光学素子36に入射した光は、屈折して、焦点距離f0の所で略一点に集光され、更には、その点から後方に向かって進行していく。このような状態を別の観点から眺めると、図18に概念図を示すように、光学装置35の後方の距離f0の所に、恰も、光学素子36に対応した矩形の開口領域(一種のピンホール)37が存在し、光学素子36から出射された光は、係る仮想の開口領域37を通過すると見做すことができる。その結果、フラウンホーファー回折が生じたと等価の現象が生じ、各画素31に対応する光学素子36において(より具体的には、光学素子36に対応する仮想の開口領域37において)、M×N組=121組の回折光が生成される。云い換えれば、画素31及び光学素子36の数はP×Q=POD×QODであるが故に、総計、(POD×QOD×M×N)本の回折光が光学装置35において生じると考えることもできる。そして、2次元画像における空間周波数が、各光学素子36から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って光学装置35から出射される。尚、2次元画像における空間周波数によっても回折角は異なる。焦点距離f0の値は、本質的に任意の値とすることができるが、光学装置35を構成する多数の光学素子36は同一の焦点距離f0を有する。光学素子36から出射される光は、図18に示すように、光学素子36の開口数で決まる角度で伝播するが、伝播する光は広がり、しかも、光量の損失がほぼ無い状況を得ることができる。ここで、光学素子36の配列ピッチあるいは大きさをd0とすると、波長λの平行光が、大きさd0、焦点距離f0の光学素子36によって集光される光の幅Dは、
D=2.44λ/sin(arctan(d0/2f0))
で表すことができる。このことから、光学素子36を用いることによって光学的な開口率は(D2/d0 2)で表すことができるが、開口率の低下に伴う光量損失は生じない。
更には、焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面(光源側の焦点面)には光学装置35を構成する光学素子36の後側焦点(焦点距離f0)が位置しており、第1のレンズL1の後側焦点面(観察者側の焦点面)には空間フィルタSFが配置されている。第1のレンズL1によって、複数の回折次数に対応する数であるM×N=121個のフーリエ変換像が生成され、これらのフーリエ変換像は、空間フィルタSF上に結像する。尚、図19においては、便宜上、64個のフーリエ変換像を点状にて図示した。
空間フィルタSFは、図4を参照して実施例1において説明したと同様に、具体的には、フーリエ変換像を、空間的、且つ、時間的にフィルタリングするための時間的な開閉制御が可能な空間フィルタである。より具体的には、空間フィルタSFは、複数の回折次数に対応する数(具体的には、M×N=121)の開閉制御可能な開口部51を有する。そして、空間フィルタSFにおいては、2次元画像形成装置30による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の1つの開口部51を開状態とすることによって、所望の回折次数に対応する1つのフーリエ変換像を選択する。より具体的には、空間フィルタSFを、例えば、M×N個の画素を有する強誘電性液晶を用いた透過型の液晶表示装置又は反射型の液晶表示装置、あるいは、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された装置を含む2次元型のMEMSから構成することができる。
前述したとおり、共役像形成手段60は、具体的には、第2のレンズL2及び第3のレンズL3から構成されている。そして、焦点距離f2を有する第2のレンズL2は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の実像RIを形成する。また、焦点距離f3を有する第3のレンズL3は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIを形成する。
第2のレンズL2は、その前側焦点面上に、空間フィルタSFが位置するように配置され、その後側焦点面に、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の実像RIが形成されるように配置されている。ここで得られる実像RIの2次元画像形成装置30に対する倍率は、第2のレンズL2の焦点距離f2を任意に選択することによって変化させることができる。
一方、第3のレンズL3は、その前側焦点面が第2のレンズL2の後側焦点面に一致するように配置され、その後側焦点面にフーリエ変換像の共役像CIが形成されるように配置されている。ここで、第3のレンズL3の後側焦点面は空間フィルタSFの共役面であることから、空間フィルタSF上の1つの開口部51に相当する部分から、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像が出力されていることと等価となる。そして、最終的に生成・出力される光線の量は、画素数分(P×Q)の光線に、光学系を透過した複数の回折次数(具体的にはM×N)を乗じた量で定義することができる。また、第3のレンズL3の後側焦点面にはフーリエ変換像の共役像CIが形成されるが、第3のレンズL3の後側焦点面においては、光線群が2次元的に整然と配置されているとみなせる。即ち、全体としては、第3のレンズL3の後側焦点面に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数の回折次数分(具体的にはM×N個)、配置されている状態と等価である。
図19及び図21に模式的に示すように、光学装置35における1つの光学素子36によって(より具体的には、光学素子36の後側焦点に位置する仮想の開口領域37において)、X方向に沿って第−5次から第+5次までの11組の、Y方向に沿って第−5次から第+5’次までの11組の、合計、M×N組=121組の回折光が生成される。尚、図21では、0次光(n0=0)、±1次光(n0=±1)、及び、±2次光(n0=±2)の回折光のみを代表して図示しているが、実際には、更に高次の回折光が生成され、これらの回折光に基づき、最終的に立体画像が形成される。ここで、各回折次数の回折光(光束)には、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報(全ての画素の情報)が集約されている。2次元画像形成装置30上の同一画素から回折によって生成される複数の光線群(11×11=121の光線群)は、同時刻において、全て、同一の画像情報を有する。云い換えれば、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成る2次元画像形成装置30においては、光源10からの光に基づき2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数は、各光学素子36から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って光学装置35から出射される。即ち、2次元画像のM×N個の一種のコピーが2次元画像形成装置30から、複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射される。
そして、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報が集約された2次元画像における空間周波数は、第1のレンズL1によってフーリエ変換され、複数の回折次数(総計M×N)に対応する数のフーリエ変換像が生成され、係るフーリエ変換像は空間フィルタSF上に結像される。第1のレンズL1において、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射された2次元画像における空間周波数のフーリエ変換像が生成されるので、空間的に高い密度にてフーリエ変換像を得ることができる。
ここで、光源10から出射された光(照明光)の波長をλ(mm)、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数をν(lp/mm)、第1のレンズL1の焦点距離をf1(mm)とすると、第1のレンズL1の後側焦点面では、前述した式(1)に基づき、光軸から距離Y1(mm)の位置に、空間周波数νを有する光(フーリエ変換像)が現れる。
第1のレンズL1における集光状態は、図6に模式的に示したと同様であるので、詳細な説明は省略する。
第1のレンズL1において、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射された2次元画像における空間周波数を透過させるためには、利用する回折次数に応じて第1のレンズL1の開口率NAを選択する必要があり、焦点距離に拘わらず、第1のレンズL1以降の全てのレンズの開口率は、第1のレンズL1の開口率NA以上であることが要求される。
開口部51の大きさは、実施例1において説明したと同様に、式(1)におけるY1の値と同じ値とすればよい。一例として、照明光の波長λを532nm、第1のレンズL1の焦点距離f1を50mm、2次元画像形成装置30における1画素31の大きさを13μm〜14μm程度とすると、Y1の値は約2mmとなる。これは、空間フィルタSF上において、約2mm間隔という高い密度で各回折次数に対応したフーリエ変換像を得ることができることを意味する。云い換えれば、空間フィルタSF上において、X方向、Y方向のいずれの方向においても、約2mm間隔で、11×11=121個のフーリエ変換像を得ることができる。
ここで、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数νは、2次元画像がP×Q個の画素31から構成される2次元画像形成装置30によって生成されているので、最高でも、2次元画像形成装置30を構成する連続した2つの画素31から成る周期を有する周波数である。
2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が最も低い状態にある2次元画像形成装置30の模式的な正面図は、図7の(A)に示したと同様であるし、この場合における、第1のレンズL1によって結像されたフーリエ変換像の光強度の周波数特性は、図8の(A)に示したと同様である。一方、2次元画像の共役像における空間周波数が最も高い状態にある2次元画像形成装置30の模式的な正面図は、図7の(B)に示したと同様であるし、この場合における、第1のレンズL1によって結像されたフーリエ変換像の光強度の周波数特性は、図8の(B)に示したと同様である。更には、空間フィルタSF上(xy平面上)におけるフーリエ変換像の分布等は、図9の(A)、(B)、(C)に示したと同様である。また、空間フィルタSFにおける開口部51の平面形状は、実施例1と同様とすればよい。
ところで、最も空間周波数が高い状態とは、図7の(B)に示したように、全ての画素が、黒表示と白表示とを交互に表示する場合である。また、2次元画像形成装置30における画素構造の空間周波数と、2次元画像における空間周波数との関係は、以下のとおりである。即ち、開口が画素の全てを占めている(即ち、開口率100%)と仮定したとき、2次元画像における最高空間周波数は、画素構造の空間周波数の(1/2)である。また、開口が画素の或る割合(100%未満)を占めている場合には、2次元画像における最高空間周波数は、画素構造の空間周波数の(1/2)を下回る。それ故、空間フィルタSFにおいて現れる画素構造に起因した周期的なパターンの間隔の半分の位置までに、2次元画像における空間周波数は全て出現する。このことから、全ての開口部51を、空間的に相互に干渉することなく配置することができる。即ち、例えば、第(3,2)番目の開口部51には、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像が入射する一方、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像は、他の開口部51には入射しない。これにより、フーリエ変換像毎に独立した開口部51を有する空間フィルタSF上において、1つの開口部51に位置するフーリエ変換像内に、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が存在する一方、開口部51の空間的な制限によって2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が欠落することはない。尚、画素構造の空間周波数をキャリア周波数と見做すことができ、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。
そして、空間フィルタSFにおいては、M×N個のフーリエ変換像のそれぞれの通過/不通過を制御するために、開口部51の開閉制御が行われる。空間フィルタSFを、例えば液晶表示装置から構成すれば、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって開口部51の開閉制御を行うことができる。
尚、回折次数に依存して、得られる画像の明るさが相違する場合には、前述したとおり、最も暗い画像を基準として、明るい画像を減光する減光フィルタを第3のレンズL3の後側焦点面に配置すればよい。後述する実施例6や実施例11においても同様である。
以上に説明したように、実施例5の画像表示装置1Cによれば、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数が、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段40(第1のレンズL1)によってフーリエ変換されることで得られたフーリエ変換像は、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)によって、空間的、且つ、時間的にフィルタリングされ、そのフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIが形成される構成を有するので、画像表示装置全体を大型化することなく、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、光線群を生成・散布することができる。また、光線群の構成要素である個々の光線を、独立して、時間的及び空間的に制御することができる。これにより、実世界の物体と同質に近い光線による立体画像を得ることができる。
また、実施例5の画像表示装置1Cによれば、光線再生法を利用しているので、焦点調節、輻輳、運動視差などの視覚機能を満足した立体画像を提供することが可能である。更には、実施例5の画像表示装置1Cによれば、高次回折光を効率的に利用しているので、従来の画像出力手法と比較して、1つの画像出力デバイス(2次元画像形成装置30及び光学装置35)によって制御可能な光線(2次元画像の一種のコピー)を、複数の回折次数分だけ(即ち、M×N個)、得ることができる。しかも、実施例5の画像表示装置1Cによれば、空間的、且つ、時間的にフィルタリングを行うので、画像表示装置の時間的特性を、画像表示装置の空間的特性に変換することができる。また、拡散スクリーン等を用いること無く、立体画像を得ることができる。更には、どのような方向からの観察に対しても適切な立体画像を提供することができる。また、空間的に高い密度で光線群を生成・散布することができるので、視認限界に近い精細な空間画像を提供することができる。
実施例6は、実施例5の変形である。実施例6の画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)の概念図を図22に示す。
実施例6における2次元画像形成装置130は、実施例5における液晶表示装置とは異なり、P個(例えば、1920個)に区画された1次元画像を生成する1次元画像形成装置(具体的には、回折格子−光変調装置201);及び、1次元画像形成装置(回折格子−光変調装置201)によって生成され、P個に区画された1次元画像を2次元的に展開して(走査して)、P×Q個に区画された2次元画像を形成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205)を備えている。そして、走査光学系の後方に光学装置35が配置されている。光学装置35によって、2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数は、複数の回折次数(具体的には、総数M0×N0)に対応した回折角に沿って出射される。
回折格子−光変調装置を含む2次元画像形成装置130の概念図は、図11に示した実施例2の光変調手段130と同様であるので、詳細な説明は省略するが、スキャンミラー205で走査して得られた2次元画像は、走査用レンズ系131を通過し、2次元画像の生成面に配置された光学装置35に入射し、光学装置35において、P×Q個に区画された2次元画像の区画毎に、M×N組の回折光が生成される。具体的には、光学装置35からは、生成した2次元画像における空間周波数が、光学装置35の各光学素子36から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射される。光学装置35の後側焦点は、焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面上に配置されている。尚、1次元空間光変調器(回折格子−光変調装置201)、回折格子−光変調素子210については、後述する。
以上の点を除き、実施例6の画像表示装置の構成、構造は、実施例5において説明した画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例7は、本発明の第9の態様及び第10の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第9の態様及び第10の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。図23、図24及び図25に、単色表示の実施例7の画像表示装置の概念図を示す。ここで、図23は、xz平面、x’z’平面における実施例7の画像表示装置の概念図である。yz平面、y’z’平面における実施例7の画像表示装置の概念図は、後述する結像手段82(第3のレンズL3)及びビームスプリッタ81の配置を除き、実質的には図23と同様である。また、図24は、実施例7の画像表示装置を斜めから見たときの概念図であり、図25は、実施例7の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。尚、図24においては、画像表示装置の構成要素の大部分を省略し、光線の図示も簡素化してあり、図23や図25とは異なっている。更には、図24においては、2次元画像形成装置から出射された光線の一部分のみを図示している。
実施例7の画像表示装置1Dにあっても、図23、図24及び図25に示した構成要素を備える画像表示装置単体で、従来の技術と比較して、空間的に密度が高く、且つ、大量の光線群を生成・形成することが可能である。実施例7の画像表示装置1Dは、1つの画像表示装置で、図49に示した多数(S0×T0個)のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置した装置と等価の機能を有する。尚、例えばマルチユニット方式を採用する場合には、分割された3次元画像の数(例えば、4×4=16)だけ、実施例7の画像表示装置1Dを備えればよい。
本発明の第9の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例7の画像表示装置1Dは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)複数の画素31を有し、光源10からの光を各画素31によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素31から生じる複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射する光変調手段30、
(B)光変調手段30から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記各画素31から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成し、これらのフーリエ変換像の内の所定のフーリエ変換像(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを選択し、更には、この選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換して、光変調手段30によって生成された2次元画像の共役像(2次元画像の実像)を形成する画像制限・生成手段32、
(C)画像制限・生成手段から出射された光線の進行方向を変更する(変化させる)光線進行方向変更手段80、並びに、
(D)光線進行方向変更手段80から出射された光線を結像させる結像手段82、
を備えている。
ここで、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。また、2次元画像の共役像における空間周波数は、2次元画像における空間周波数から画素構造の空間周波数が除去された空間周波数である。
そして、画像制限・生成手段32は、
(B−1)光変調手段30から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、各画素から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像を生成する第1のレンズL1、
(B−2)第1のレンズL1よりも光線進行方向変更手段側に配置され、これらのフーリエ変換像の内の所定のフーリエ変換像(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを選択する散乱回折制限開口部(画像制限開口部)33、並びに、
(B−3)散乱回折制限開口部33よりも光線進行方向変更手段側に配置され、この選択されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換して、光変調手段30によって生成された2次元画像の共役像を形成する第2のレンズL2、
から構成されている。そして、散乱回折制限開口部33は、第1のレンズL1の後側焦点面であって、しかも、第2のレンズL2の前側焦点面に配置されている。後述する実施例8や実施例11にあっても同様である。
また、本発明の第10の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例7の画像表示装置1Dは、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された開口(個数:P0×Q0)を有し、光源10からの光の通過、反射、あるいは回折を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、該2次元画像に基づき、開口毎に、複数の回折次数の回折光を生成する2次元画像形成装置30、
(B)その前側焦点面に2次元画像形成装置30が配置されている第1のレンズL1、
(C)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを通過させる散乱回折制限開口部(画像制限開口部)33、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部33が配置されている第2のレンズL2、
(E)第2のレンズL2の後側焦点面に配置され、第2のレンズL2から出射された光線の進行方向を変更する(変化させる)光線進行方向変更手段80、並びに、
(F)光線進行方向変更手段80から出射された光線を結像させる第3のレンズL3、
を備えている。
尚、実施例7にあっては、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3は、具体的には、凸レンズから構成されている。
ここで、実施例7あるいは後述する実施例8や実施例11にあっては、P0=1024、Q0=768であり、S0=8、T0=8である。但し、これらの値に限定するものではない。また、光線進行方向変更手段80までの光軸の部分であるz軸は、実施例7あるいは後述する実施例8や実施例11の画像表示装置1Dを構成する光線進行方向変更手段80までの各構成要素の中心を通り、しかも、画像表示装置1Dを構成するこれらの構成要素と直交する。本発明の第9の態様における画像表示装置の構成要素と本発明の第10の態様あるいは第11の態様における画像表示装置の構成要素とを対比すると、光変調手段30は2次元画像形成装置30に対応し、画像制限・生成手段32は、第1のレンズL1、散乱回折制限開口部(画像制限開口部)33及び第2のレンズL2に対応し、結像手段82は第3のレンズL3に対応している。それ故、便宜上、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、散乱回折制限開口部33、第2のレンズL2、第3のレンズL3という用語に基づき、以下、説明を行う。
実施例1と同様に、光源10と2次元画像形成装置30との間には、光源10から出射された光を整形するための照明光学系20が配置されている。そして、光源10から出射され、照明光学系20を通過した光(照明光)によって、2次元画像形成装置30が照明される。照明光学系20に関しては後述する。
2次元画像形成装置30は、2次元的に配列された複数の画素31を有する2次元空間光変調器から成り、各画素31は開口を備えている。具体的には、2次元画像形成装置30あるいは2次元空間光変調器は、2次元的に配列された、即ち、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された、P0×Q0個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成り、各画素31には開口が備えられている。
1つの画素31は、実施例1と同様に、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域から構成されている。そして、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって、即ち、各画素31の光透過率を制御することによって、光源10から出射された光の光透過率を制御し、全体として、2次元画像を得ることができる。透明第1電極と透明第2電極の重複領域には、矩形の開口が設けられており、係る開口を光源10から出射された光が通過するとフラウンホーファー回折が生じる結果、各画素31において、M0×N0の回折光が生成される。云い換えれば、画素31の数はP0×Q0であるが故に、総計(P0×Q0×M0×N0)本の回折光が生じると考えることもできる。2次元画像形成装置30においては、2次元画像における空間周波数が、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M0×N0)に対応した回折角に沿って2次元画像形成装置30から出射される。尚、2次元画像における空間周波数によっても回折角は異なる。
焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面(光源側の焦点面)には2次元画像形成装置30が配置されており、第1のレンズL1の後側焦点面(観察者側の焦点面)には散乱回折制限開口部33が配置されている。第1のレンズL1によって、複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、これらのフーリエ変換像は、散乱回折制限開口部33が位置する平面内に結像する。そして、所定回折次数の回折光(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみが散乱回折制限開口部33を通過する。また、焦点距離f2を有する第2のレンズL2の前側焦点面には散乱回折制限開口部33が配置されている。更には、第2のレンズL2の後側焦点面であって、しかも、焦点距離f3を有する第3のレンズL3の前側焦点面には、光線進行方向変更手段80が配置されている。第3のレンズL3の後側焦点面が結像面ISに相当する。尚、第2のレンズL2と光線進行方向変更手段80との間には、ビームスプリッタ81が配置されており、第2のレンズL2からの光線は、ビームスプリッタ81を通過して光線進行方向変更手段80に入射する。
光線進行方向変更手段80は、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる反射型光学手段、具体的には、例えば、鏡から構成されている。より具体的には、鏡はポリゴン・ミラーから構成されており、ポリゴン・ミラーをその回転軸を中心として回転させながら、回転軸の傾斜角を制御することで、結像面ISにおいて、像が結像する位置をS0×T0箇所の2次元マトリクス的に配された位置とすることができる。
尚、光線進行方向変更手段80を、入射する光線に対して出射する光線の角度を変更する(変化させる)ことができる透過型光学手段、具体的には、例えば、プリズムから成る構成とすることができる。そして、この場合には、例えば、z軸を中心としてプリズムを所望の方向に回動(変化)させるような機構を設ければよい。
第3のレンズL3は、その前側焦点面が第2のレンズL2の後側焦点面に一致するように配置され、その後側焦点面(結像面IS)にフーリエ変換像の共役像CIが形成されるように配置されている。光線進行方向変更手段80にて反射された光線は、ビームスプリッタ81で反射され、第3のレンズL3に入射する。ここで、第3のレンズL3の後側焦点面は散乱回折制限開口部33の共役面であることから、散乱回折制限開口部33から、2次元画像の共役像が出力されていること(但し、この2次元画像の共役像の最終的な方向成分は、光線進行方向変更手段80によって規定される)と等価となる。そして、最終的に生成・出力される光線の量は、画素数分(P0×Q0)であって、散乱回折制限開口部33を通過した光線である。即ち、散乱回折制限開口部33を通過する光線の光量が、それ以降の画像表示装置の構成要素を通過、反射することによって減少することは、実質的に無い。また、第3のレンズL2の後側焦点面にはフーリエ変換像の共役像CIが形成されるが、2次元画像の共役像の方向成分は光線進行方向変更手段80によって規定されるので、第3のレンズL3の後側焦点面においては、光線群が2次元的に整然と配置されているとみなせる。即ち、全体としては、第3のレンズL3の後側焦点面(結像面IS)に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数の数(具体的にはS0×T0個)、配置されている状態と等価である。尚、以下の説明において、光線進行方向変更手段80から出射された光線が、第3のレンズL3の後側焦点面(結像面IS)において、第(m,n)番目の位置に結像されたとき、係る結像を第(m,n)番目の結像と呼ぶ場合がある。尚、図24においては、便宜上、64個の結像を点状にて図示した。
図5に模式的に示したと同様に、2次元画像形成装置30における1つの画素31によって、X方向及びY方向に沿って、合計、M0×N0組の回折光が生成される。尚、図5では、0次光(n0=0)、±1次光(n0=±1)、及び、±2次光(n0=±2)の回折光のみを代表して図示したが、実際には、更に高次の回折光が生成され、これらの回折光の一部に基づき、最終的に立体画像が形成される。ここで、各回折次数の回折光(光束)には、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報(全ての画素の情報)が集約されている。2次元画像形成装置30上の同一画素から回折によって生成される複数の光線群は、同時刻において、全て、同一の画像情報を有する。云い換えれば、P0×Q0個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成る2次元画像形成装置30においては、光源10からの光が各画素31によって変調されて2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数は、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M0×N0)に対応した回折角に沿って出射される。即ち、2次元画像のM0×N0個の一種のコピーが2次元画像形成装置30から、複数の回折次数(総計M0×N0)に対応した回折角に沿って出射される。
そして、2次元画像形成装置30から出射された2次元画像における空間周波数は、第1のレンズL1によってフーリエ変換され、各画素31から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成される。そして、これらのフーリエ変換像の内、所定のフーリエ変換像(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみが散乱回折制限開口部33を通過し、更には、この選択されたフーリエ変換像が第2のレンズL2によって逆フーリエ変換され、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の共役像が形成され、この2次元画像の共役像は、光線進行方向変更手段80に入射する。尚、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当するが、0次の平面波を搬送波とする画像情報の領域のみ(即ち、画素構造の空間周波数の最大1/2の空間周波数まで)が、云い換えれば、平面波成分の0次回折をキャリア周波数とする1次回折として得られるものであって、光変調手段の画素構造(開口構造)の空間周波数の半分以下の空間周波数が、散乱回折制限開口部33を通過する。こうして、光線進行方向変更手段80上に結像された2次元画像の共役像にあっては、2次元画像形成装置30の画素構造は含まれず、一方、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数の全てが含まれている。
2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報が集約された2次元画像の共役像における空間周波数は、光線進行方向変更手段80から方向成分を変えられた状態で出射され、第3のレンズL3によって結像面ISに結像される。第3のレンズL3において、光線進行方向変更手段80から出射された2次元画像の共役像における空間周波数のフーリエ変換像が生成されるので、空間的に高い密度にてフーリエ変換像を得ることができる。
以上に説明したように、実施例7の画像表示装置1Dによれば、光変調手段(2次元画像形成装置)30によって生成された2次元画像における空間周波数が、光線進行方向変更手段80から所定の角度に沿って出射され、共役像CIが結像面ISに結像される構成を有するので、画像表示装置全体を大型化することなく、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、光線群を生成・散布することができる。また、光線進行方向変更手段80とを設けることによって、得られる像のコントラストの低下を招くことが無くなり、クリアーでぼけの無い立体画像を観察することができる。しかも、光線群の構成要素である個々の光線を、独立して、時間的及び空間的に制御することができる。これにより、実世界の物体と同質に近い光線による立体画像を得ることができる。
また、実施例7の画像表示装置1Dによれば、光線再生法を利用しているので、焦点調節、輻輳、運動視差などの視覚機能を満足した立体画像を提供することが可能である。更には、実施例7の画像表示装置1Dによれば、光線進行方向変更手段80によって画像の方向成分を制御しており、しかも、実施例7の画像表示装置1Dによれば、光線進行方向変更手段80によって空間的、且つ、時間的に一種のフィルタリングを行うので、画像表示装置の時間的特性を、画像表示装置の空間的特性に変換することができる。また、拡散スクリーン等を用いること無く、立体画像を得ることができる。更には、どのような方向からの観察に対しても適切な立体画像を提供することができる。また、空間的に高い密度で光線群を生成・散布することができるので、視認限界に近い精細な空間画像を提供することができる。
実施例8は、本発明の第9の態様及び第11の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第9の態様及び第11の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。実施例8の画像表示装置の概念図を図26に示す。
実施例8における光変調手段130は、実施例7における液晶表示装置とは異なり、P0個(例えば、1920個)に区画された1次元画像を生成する1次元空間光変調器(具体的には、回折格子−光変調装置201);1次元空間光変調器(回折格子−光変調装置201)によって生成され、P0個に区画された1次元画像を2次元的に展開して(走査して)、P0×Q0個に区画された2次元画像を生成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205);及び、2次元画像の生成面に配置され、生成した2次元画像における空間周波数を、複数の回折次数(具体的には、総数M0×N0)に対応した回折角に沿って出射する格子フィルタ(回折格子フィルタ)132を備えている。ここで、走査光学系(スキャンミラー205)によって形成され、P0×Q0個に区画された2次元画像の区画毎に、格子フィルタ132によってM0×N0組の回折光が生成される。尚、格子フィルタ132は、振幅格子から構成されていてもよいし、位相格子から構成されていてもよい。
あるいは又、本発明の第11の態様における画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例8の画像表示装置は、光源10、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)1次元画像を生成する1次元空間光変調器(具体的には、回折格子−光変調装置201);1次元空間光変調器によって生成された1次元画像を2次元的に展開して2次元画像を生成する走査光学系(具体的には、スキャンミラー205);及び、2次元画像の生成面に配置され、画素毎に、複数の回折次数の回折光を生成する回折光生成手段(具体的には、格子フィルタ132)から成る2次元画像形成装置130、
(B)その前側焦点面に回折光生成手段(格子フィルタ132)が配置されている第1のレンズL1、
(C)第1のレンズL1の後側焦点面に配置され、所定回折次数の回折光(例えば、平面波成分の0次回折を搬送周波数とする1次回折に対応するフーリエ変換像)のみを通過させる散乱回折制限開口部33、
(D)その前側焦点面に散乱回折制限開口部33が配置されている第2のレンズL2、
(E)第2のレンズL2の後方に配置され、第2のレンズL2から出射された光線の進行方向を変更する(変化させる)光線進行方向変更手段80、並びに、
(F)光線進行方向変更手段80から出射された光線を結像させる第3のレンズL3、
を備えている。
回折格子−光変調装置を含む2次元画像形成装置130の概念図は、図11に示した実施例2の光変調手段130と同様であるので、詳細な説明は省略するが、格子フィルタ132において、P0×Q0個に区画された2次元画像の区画毎に、M0×N0組の回折光が生成される。
以上の点を除き、実施例8の画像表示装置の構成、構造は、実施例7において説明した画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例9は、本発明の第12の態様及び第13の態様に係る画像表示方法(より具体的には、3次元像の表示方法)に関し、更には、本発明の第12の態様及び第13の態様における画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)に関する。図27に、単色表示の実施例9の画像表示装置の概念図を示す。尚、図27において、光軸をz軸とし、z軸に直交する平面内での直交座標をx軸、y軸とし、x軸と平行な方向をX方向、y軸と平行な方向をY方向とする。X方向を、例えば画像表示装置における水平方向とし、Y方向を、例えば画像表示装置における垂直方向とする。ここで、図27は、yz平面における実施例9の画像表示装置の概念図である。xz平面における実施例9の画像表示装置の概念図も、実質的には図27と同様である。また、実施例9の画像表示装置を斜めから見たときの概念図は、図2に示したと同様であり、図28は、実施例9の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。また、光変調手段(2次元画像形成装置)、フーリエ変換像形成手段(第1のレンズ)、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)の近傍を拡大した概念図を、図29、及び、図30の(A)、(B)に示す。更には、光源の模式的な正面図を図31に示し、空間フィルタの模式的な正面図を図32に示す。
実施例9の画像表示装置1Eにあっても、図27等に示した構成要素を備える画像表示装置単体で、従来の技術と比較して、空間的に密度が高く、且つ、大量の光線群を生成・形成することが可能である。実施例9の画像表示装置1Eは、1つの画像表示装置で、図49に示した多数(U0×V0個)のプロジェクタ・ユニット301を水平方向及び垂直方向に並列的に配置した装置と等価の機能を有する。尚、例えばマルチユニット方式を採用する場合には、図48に概念図を示すように、分割された3次元画像の数(例えば、4×4=16)だけ、実施例9の画像表示装置1Eを備えればよい。
本発明の第12の態様に係る画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例9の画像表示装置1Eは、離散して配された複数の光出射位置から光を出射する光源10E、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)複数の画素(個数:P×Q)31を有し、光源10Eの異なる光出射位置から順次出射され、入射方向が異なる光(照明光)を各画素31によって変調して2次元画像を生成し、且つ、生成した2次元画像における空間周波数を、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射する光変調手段30、並びに、
(B)光変調手段30から出射された2次元画像における空間周波数をフーリエ変換して、前記複数の回折次数(総計M×N)に対応する数のフーリエ変換像を生成し、該フーリエ変換像を結像させるフーリエ変換像形成手段40、
を備えており、更には、
(C)フーリエ変換像形成手段40によって結像されたフーリエ変換像の共役像を形成する共役像形成手段60、
を備えている。
あるいは又、本発明の第13の態様に係る画像表示装置の構成要素に沿って説明すると、実施例9の画像表示装置1Eは、離散して配された複数の光出射位置から光を出射する光源10E、及び、光学系を備えた画像表示装置である。そして、この光学系は、
(A)X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された開口(個数:P×Q)を有し、光源10Eの異なる光出射位置から順次出射され、入射方向が異なる光(照明光)の通過を開口毎に制御することで2次元画像を生成し、且つ、この2次元画像に基づき、開口毎に、複数の回折次数(総計M×N)の回折光を生成する2次元画像形成装置30、
(C)その前側焦点面(光源側の焦点面)に2次元画像形成装置30が配置されている第1のレンズL1、
(D)第1のレンズL1の後側焦点面(観察者側の焦点面)に、その前側焦点面(光源側の焦点面)が位置している第2のレンズL2、並びに、
(E)第2のレンズL2の後側焦点面に、その前側焦点面が位置している第3のレンズL3、
を備えている。
ここで、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当する。
実施例9の画像表示装置1Eにおいて、光源10Eは、発光素子11、及び、発光素子11から出射された光であって、光変調手段あるいは2次元画像形成装置30に入射する光の入射方向を変更するための光線進行方向変更手段を備えている。ここで、複数の発光素子11(具体的には、発光ダイオード)が備えられ、複数の発光素子11は、2次元マトリクス状に配列されている。尚、2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子11の個数はU0’×V0’個であり、光源10Eにおける離散して配された光出射位置の数はU0×V0(但し、U0=U0’,V0=V0’)である。実施例9にあっては、P=1024、Q=768であり、U0=11、V0=11である。但し、これらの値に限定するものではない。また、光線進行方向変更手段は、屈折型光学手段、具体的には、レンズ、より具体的には、コリメータレンズ12から構成されている。ここで、コリメータレンズ12の前側焦点面近傍に複数の発光素子11が配置されており、各発光素子11から出射され、コリメータレンズ12に入射し、コリメータレンズ12から出射するときの光(平行光)の出射方向を、コリメータレンズ12によって立体的に変えることができる結果、光変調手段あるいは2次元画像形成装置30に入射する光(照明光)の入射方向を立体的に変えることができる(図29参照)。尚、各発光素子11から出射される光の出射方向を、実施例9にあっては同じとしたが(具体的には、光軸に平行としたが)、異なっていてもよい。あるいは又、云い換えれば、光源である複数の発光素子11と光変調手段あるいは2次元画像形成装置30との間にはレンズ(具体的には、コリメータレンズ12)が配置されており、複数の発光素子11は、このコリメータレンズ12の前側焦点面あるいは前側焦点面近傍に位置している。
本発明の第12の態様に係る画像表示装置の構成要素と本発明の第13の態様に係る画像表示装置の構成要素とを対比すると、光変調手段30は2次元画像形成装置30に対応し、フーリエ変換像形成手段40は第1のレンズL1に対応し、後述するフーリエ変換像選択手段50は空間フィルタSFに対応し、逆フーリエ変換手段は第2のレンズL2に対応し、共役像形成手段60は第2のレンズL2及び第3のレンズL3に対応している。それ故、便宜上、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、空間フィルタSF、第2のレンズL2、及び、第3のレンズL3という用語に基づき、以下、説明を行う。
光源10Eを構成する発光素子11A,11B,11Cから出射された光束が、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、及び、空間フィルタSFを通過する状態を、模式的に、図29に示す。図29においては、光源10Eを構成する発光素子11Aから出射された光束を実線で示し、発光素子11Bから出射された光束を一点鎖線で示し、発光素子11Cから出射された光束を点線で示す。また、発光素子11A,11B,11Cから出射された照明光によって形成された空間フィルタSFにおける像の位置を、それぞれ、符号(11A),(11B),(11C)で示す。尚、光源10Eを構成する発光素子11A,11B,11Cのそれぞれの位置番号(これについては後述する)は、例えば、第(5,0)番目、第(0,0)番目、及び、第(−5,0)番目である。ここで、或る発光素子が発光状態にあるときには、他の全ての発光素子は消灯状態となる。
発光素子11と2次元画像形成装置30との間には、上述したとおり、コリメータレンズ12が配置されている。そして、発光素子11から出射され、コリメータレンズ12を通過した照明光によって、2次元画像形成装置30が照明されるが、上述したとおり、照明光の2次元画像形成装置30への入射方向は、発光素子11の2次元的な位置(光出射位置)に依存して立体的に異なっている。
光変調手段30は、2次元的に配列された複数の画素31を有する2次元空間光変調器から成り、各画素31は開口を備えている。ここで、2次元空間光変調器あるいは2次元画像形成装置30は、具体的には、2次元的に配列された、即ち、X方向及びY方向に沿って2次元マトリクス状に配列された、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成り、各画素31には開口が備えられている。尚、開口の平面形状は矩形である。開口の平面形状を矩形とするとき、フラウンホーファー回折が生じ、M×N組の回折光が生成される。即ち、係る開口によって、入射光波の振幅(強度)を周期的に変調し、格子の光透過率分布に一致した光量分布が得られる振幅格子が形成される。
1つの画素31は、実施例1と同様に、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域から構成されている。そして、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって、即ち、各画素31の光透過率を制御することによって、光源10Eから出射された照明光の光透過率を制御し、全体として、2次元画像を得ることができる。透明第1電極と透明第2電極の重複領域には、矩形の開口が設けられており、係る開口を光源10Eから出射された照明光が通過するとフラウンホーファー回折が生じる結果、各画素31において、M×Nの回折光が生成される。云い換えれば、画素31の数はP×Qであるが故に、総計(P×Q×M×N)本の回折光が生じると考えることもできる。2次元画像形成装置30においては、2次元画像における空間周波数が、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って2次元画像形成装置30から出射される。尚、2次元画像における空間周波数によっても回折角は異なる。
実施例9の画像表示装置1Eにあっては、フーリエ変換像形成手段40はレンズ(第1のレンズL1)から成り、このレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面(光源側の焦点面)に光変調手段30が配置されている。
実施例9の画像表示装置1Eには、複数の回折次数に対応する数だけ生成されたフーリエ変換像の内、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段50が備えられている。ここで、このフーリエ変換像選択手段50は、フーリエ変換像が結像される位置(フーリエ変換像形成手段40によってフーリエ変換像が結像されるXY平面、結像面)に配置されている。具体的には、フーリエ変換像選択手段50は、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の後側焦点面(観察者側の焦点面)に配置されている。あるいは又、云い換えれば、実施例9の画像表示装置1Eは、光源10Eの光出射位置の数に対応した数の開閉制御可能な開口部51を有し、第1のレンズL1の後側焦点面に位置する空間フィルタSFを備えている。即ち、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)は、光源10Eの離散して配された光出射位置の数(U0×V0=LEPTotal)に対応した数(U0×V0=LEPTotal)の開口部51を有する。
ここで、フーリエ変換像選択手段50(あるいは空間フィルタSF)は、より具体的には、例えば、U0×V0個の画素を有する強誘電性液晶を用いた透過型の液晶表示装置又は反射型の液晶表示装置、あるいは、可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された装置を含む2次元型のMEMSから構成することができる。ここで、例えば、液晶セルを一種の光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって開口部51の開閉制御を行うことができるし、可動ミラーの移動/非移動によって開口部51の開閉制御を行うことができる。フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)においては、光変調手段30による2次元画像の生成タイミングと同期して所望の開口部51(具体的には、0次の回折光を通過させるための開口部51)を開状態とすることによって、所望の回折次数(0次)に対応するフーリエ変換像を選択することができる。
更には、画像表示装置1Eは、フーリエ変換像形成手段40によって結像されたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、光変調手段30によって生成された2次元画像の実像RIを形成する逆フーリエ変換手段(具体的には、後述する第2のレンズL2)を更に備えている。
実施例9にあっては、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3は、具体的には、凸レンズから構成されている。
上述したとおり、焦点距離f1を有する第1のレンズL1の前側焦点面(光源側の焦点面)には2次元画像形成装置30が配置されており、第1のレンズL1の後側焦点面(観察者側の焦点面)には、フーリエ変換像を、空間的、且つ、時間的にフィルタリングするための時間的な開閉制御が可能な空間フィルタSFが配置されている。そして、第1のレンズL1によって、複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成され、これらのフーリエ変換像は空間フィルタSF上に結像する。
2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子から成る光源10Eの模式的な正面図を図31に示し、液晶表示装置から成る空間フィルタSFの模式的な正面図を図32に示す。図31及び図32中、数字(u,v)は、光源10Eを構成する発光素子あるいは空間フィルタSFを構成する開口部51の位置番号を示す。即ち、例えば、第(3,2)番目の開口部51には、第(3,2)番目に位置する発光素子による2次元画像の所望のフーリエ変換像(例えば0次の回折に対応するフーリエ変換像)のみが入射し、第(3,2)番目の開口部51を通過する。第(3,2)番目に位置する発光素子による2次元画像の所望のフーリエ変換像以外のフーリエ変換像は、空間フィルタSFによって遮られる。焦点距離f2を有する第2のレンズL2の前側焦点面には空間フィルタSFが配置されている。更には、第2のレンズL2の後側焦点面と、焦点距離f3を有する第3のレンズL3の前側焦点面とが一致するように、第2のレンズL2及び第3のレンズL3が配置されている。空間フィルタSFにおける開口部51の平面形状は、実施例1と同様とすればよい。
前述したとおり、共役像形成手段60は、具体的には、第2のレンズL2及び第3のレンズL3から構成されている。そして、焦点距離f2を有する第2のレンズL2は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像を逆フーリエ変換することにより、2次元画像形成装置30によって形成された2次元画像の実像RIを形成する。即ち、第2のレンズL2の後側焦点面に、2次元画像形成装置30によって形成された2次元画像の実像RIが形成されるように配置されている。ここで得られる実像RIの2次元画像形成装置30に対する倍率は、第2のレンズL2の焦点距離f2を任意に選択することによって変化させることができる。また、焦点距離f3を有する第3のレンズL3は、空間フィルタSFによってフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIを形成する。
ここで、第3のレンズL3の後側焦点面は空間フィルタSFの共役面であることから、空間フィルタSF上の1つの開口部51に相当する部分から、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像が出力されていることと等価となる。そして、最終的に生成・出力される光線の量は、画素数分(P×Q)であって、空間フィルタSFを通過した光線である。即ち、空間フィルタSFを通過する光線の光量が、それ以降の画像表示装置の構成要素を通過、反射することによって減少することは、実質的に無い。また、第3のレンズL3の後側焦点面にはフーリエ変換像の共役像CIが形成されるが、2次元画像の共役像の方向成分は光源10Eから出射され、2次元画像形成装置30に入射する照明光の方向成分によって規定されるので、第3のレンズL3の後側焦点面においては、光線群が2次元的に整然と配置されているとみなせる。即ち、全体としては、第3のレンズL3の後側焦点面(共役像CIが形成される面)に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数の数(具体的にはU0×V0個)、配置されている状態と等価である。
図30の(A)及び(B)に模式的に示すように、2次元画像形成装置30における1つの画素31によって、X方向及びY方向に沿って、合計、M×N組の回折光が生成される。尚、図30の(A)及び(B)では、0次光(n0=0)、±1次光(n0=±1)、及び、±2次光(n0=±2)の回折光のみを代表して図示しているが、実際には、更に高次(例えば、±5次)の回折光が生成され、これらの回折光の一部(具体的には、例えば、0次光)に基づき、最終的に立体画像が形成される。尚、図30の(A)は、発光素子11Bから出射された光線によって形成された回折光を模式的に示し、図30の(B)は、発光素子11Aから出射された光線によって形成された回折光を模式的に示す。ここで、各回折次数の回折光(光束)には、2次元画像形成装置30によって形成された2次元画像の全画像情報(全ての画素の情報)が集約されている。2次元画像形成装置30上の同一画素から回折によって生成される複数の光線群は、同時刻において、全て、同一の画像情報を有する。云い換えれば、P×Q個の画素31を有する透過型の液晶表示装置から成る2次元画像形成装置30においては、光源10Eからの照明光が各画素31によって変調されて2次元画像が生成され、且つ、生成された2次元画像における空間周波数は、各画素31から生じる複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射される。即ち、2次元画像のM×N個の一種のコピーが2次元画像形成装置30から、複数の回折次数(総計M×N)に対応した回折角に沿って出射される。
そして、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の全画像情報が集約された2次元画像における空間周波数は、第1のレンズL1によってフーリエ変換され、各画素31から生じる複数の回折次数に対応する数のフーリエ変換像が生成される。そして、これらのフーリエ変換像の内、所定のフーリエ変換像(例えば、0次の回折に対応するフーリエ変換像)のみを空間フィルタSFを通過させ、更には、この選択されたフーリエ変換像が第2のレンズL2によって逆フーリエ変換され、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像の共役像が形成され、この2次元画像の共役像は、第3のレンズL3に入射し、第3のレンズL3によって共役像CIが結像される。尚、2次元画像における空間周波数は、画素構造の空間周波数をキャリア周波数とした画像情報に相当するが、0次の平面波を搬送波とする画像情報の領域のみ(即ち、画素構造の空間周波数の最大1/2の空間周波数まで)が、云い換えれば、平面波成分の0次回折をキャリア周波数とする1次回折として得られるものであって、光変調手段の画素構造(開口構造)の空間周波数の半分以下の空間周波数が、空間フィルタSFを通過する。こうして、第3のレンズL3によって結像された2次元画像の共役像にあっては、2次元画像形成装置30の画素構造は含まれず、一方、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像における空間周波数の全てが含まれている。そして、第3のレンズL3において、2次元画像の共役像における空間周波数のフーリエ変換像が生成されるので、空間的に高い密度にてフーリエ変換像を得ることができる。
以上に説明したように、実施例9の画像表示装置1Eによれば、所定の発光素子11を発光させる一方、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)における所望の開口部51を開口する。従って、光変調手段(2次元画像形成装置)30によって生成された2次元画像における空間周波数が、複数の回折次数に対応した回折角に沿って出射され、フーリエ変換像形成手段40(第1のレンズL1)によってフーリエ変換されることで得られたフーリエ変換像は、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)によって、空間的、且つ、時間的にフィルタリングされ、そのフィルタリングされたフーリエ変換像の共役像CIが形成される構成を有するので、画像表示装置全体を大型化することなく、空間的に高い密度で、しかも、複数の方向に分布した状態で、光線群を生成・散布することができる。また、光線群の構成要素である個々の光線を、独立して、時間的及び空間的に制御することができる。これにより、実世界の物体と同質に近い光線による立体画像を得ることができる。
また、実施例9の画像表示装置1Eによれば、光線再生法を利用しているので、焦点調節、輻輳、運動視差などの視覚機能を満足した立体画像を提供することが可能である。更には、実施例9の画像表示装置1Eによれば、複数の離散して配された光出射位置に依存して2次元画像形成装置30への入射方向が異なる照明光を効率的に利用しているので、従来の画像出力手法と比較して、1つの画像出力デバイス(2次元画像形成装置30)によって制御可能な光線を、離散して配された光出射位置の数だけ(即ち、U0×V0個)、得ることができる。しかも、実施例9の画像表示装置1Eによれば、空間的、且つ、時間的にフィルタリングを行うので、画像表示装置の時間的特性を、画像表示装置の空間的特性に変換することができる。また、拡散スクリーン等を用いること無く、立体画像を得ることができる。更には、どのような方向からの観察に対しても適切な立体画像を提供することができる。また、空間的に高い密度で光線群を生成・散布することができるので、視認限界に近い精細な空間画像を提供することができる。
実施例10は、実施例9の変形である。実施例10にあっては、光源10Eが2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子11を具備し、各発光素子11から出射される光の出射方向が異なるように各発光素子11を配置している。これによって、光源の異なる光出射位置から順次出射され、入射方向が異なる照明光によって、光変調手段あるいは2次元画像形成装置を照明することができる。実施例9の画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)において、このような構成の光源を採用したときの画像表示装置の概念図を、図33に示す。尚、図33においては、光源10Eを構成する発光素子11Aから出射された光束の1本を実線で示し、発光素子11Bから出射された光束の1本を一点鎖線で示し、発光素子11Cから出射された光束の1本を点線で示す。また、発光素子11A,11B,11Cから出射された照明光によって形成された空間フィルタSFにおける像の位置を、それぞれ、符号(11A),(11B),(11C)で示し、発光素子11A,11B,11Cから出射された照明光によって形成された第3のレンズL3の後側焦点面における像の位置を、それぞれ、符号(11a),(11b),(11c)で示す。また、光変調手段(2次元画像形成装置)30、フーリエ変換像形成手段40(第1のレンズL1)、フーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)の近傍を拡大した概念図であって、光源10Eを構成する発光素子11A,11B,11Cから出射された光束が、2次元画像形成装置30、第1のレンズL1、及び、空間フィルタSFを通過する状態を、模式的に、図34、図35、及び、図36に示す。尚、光源10Eを構成する発光素子11A,11B,11Cのそれぞれの位置番号は、例えば、第(5,0)番目、第(0,0)番目、及び、第(−5,0)番目である。ここで、或る発光素子が発光状態にあるときには、他の全ての発光素子は消灯状態となる。尚、図33において、参照番号20は、照明光を整形するためのレンズから構成された照明光学系である。
実施例9あるいは実施例10にあっては、光源を、発光素子、及び、該発光素子から出射された光の進行方向を変更するための光線進行方向変更手段を備えている構成とすることもできる。具体的には、例えば、ポリゴン・ミラーをその回転軸を中心として回転させながら、回転軸の傾斜角を制御すればよい。あるいは又、光線進行方向変更手段を、曲面から構成された凸面鏡、曲面から構成された凹面鏡、多面体から構成された凸面鏡、多面体から構成された凹面鏡)から構成し、鏡から出射するときの照明光の光出射位置を、鏡の位置等の制御を行うことで変化(変更)すればよい。
実施例9あるいは実施例10にあっては、また、空間フィルタSF(フーリエ変換像選択手段50)の代わりに、光出射位置の数に対応した数の開口部を有し、第1のレンズL1の後側焦点面に位置する散乱回折制限部材を備えている構成とすることもできる。この散乱回折制限部材は、例えば、光を通さない板状部材に開口部(例えば、ピンホール)を設けることで作製することができる。ここで、開口部の位置は、フーリエ変換像選択手段あるいは第1のレンズによって得られるフーリエ変換像(あるいは回折光)の内の所望の(例えば、0次の回折次数を有する)フーリエ変換像(あるいは回折光)が結像する位置とすればよく、係る開口部の位置は、離散して配された光出射位置に対応させればよい。
実施例11は、以上に説明した種々の実施例の変形である。実施例11の画像表示装置(より具体的には、3次元像表示装置)の概念図を、図37に示す。実施例1〜実施例10の画像表示装置にあっては、光透過型の2次元画像形成装置30を用いた。一方、実施例11の画像表示装置にあっては、反射型の光変調手段(2次元画像形成装置)30’を用いる。反射型の光変調手段(2次元画像形成装置)30’として、例えば、反射型の液晶表示装置を挙げることができる。
実施例11の画像表示装置にあっては、z軸(光軸)上にビームスプリッタ70が備えられている。ビームスプリッタ70は、偏光成分の違いにより光を透過又は反射させる機能を有する。ビームスプリッタ70は、光源10,10Eから出射された光(照明光)を反射型の光変調手段(2次元画像形成装置)30’に向けて反射する。また、光変調手段(2次元画像形成装置)30’からの反射光を透過する。この点を除き、実施例11の画像表示装置の構成、構造は、実施例1〜実施例10の画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
尚、反射型の光変調手段(2次元画像形成装置)として、実施例の形態に依っては、代替的に、各開口内に可動ミラーが設けられている構成(可動ミラーが2次元マトリクス状に配列された2次元型のMEMSから成る構成)を採用することもでき、この場合には、可動ミラーの移動/非移動によって2次元画像が生成され、しかも、開口によってフラウンホーファー回折が発生する。尚、2次元型のMEMSを採用する場合にはビームスプリッタは不要であり、2次元型のMEMSに対して斜め方向から照明光を入射させればよい。
以下、実施例1〜実施例6、実施例9〜実施例10における空間フィルタSFにおける開口部51の開閉制御のタイミングについて説明する。
空間フィルタSFにおいては、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するために、2次元画像形成装置30の画像出力と同期して、開口部51の開閉制御を行う。この操作を、図38、図39、及び、図40を参照して説明する。尚、図38の最上段は、2次元画像形成装置30における画像出力のタイミングを示しており、図38の中段は、空間フィルタSFにおける第(3,2)番目の開口部51の開閉タイミングを示し、図38の下段は、第(3,3)番目の開口部51の開閉タイミングを示す。
図38に示すように、2次元画像形成装置30において、例えば時間t1S〜t1Eの間(期間TM1)に画像「A」が表示され、時間t2S〜t2Eの間(期間TM2)に画像「B」が表示されるとする。このとき、実施例1〜実施例6において、空間フィルタSFにあっては、図38に示すように、期間TM1では第(3,2)番目の開口部51を、期間TM2では第(3,3)番目の開口部51を開状態とする。こうして、2次元画像形成装置30における同じ画素31(あるいは又、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける同じ開口領域34、あるいは又、光学装置35を構成する同じ光学素子36)において異なる回折次数として生成され、第1のレンズL1あるいは第3のレンズL3によって生成されるフーリエ変換像に、異なる画像情報を付加することができる。云い換えれば、期間TM1では、2次元画像形成装置30における或る画素31(あるいは又、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける或る開口領域34、あるいは又、光学装置35を構成する或る光学素子36)において得られるm0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像には、画像「A」に関する画像情報が含まれている。一方、期間TM2では、2次元画像形成装置30における同じ或る画素31(あるいは又、オーバーサンプリングフィルタOSFにおける同じ或る開口領域34、あるいは又、光学装置35を構成する同じ或る光学素子36)において得られるm0=3,n0=3の回折次数を有するフーリエ変換像には、画像「B」に関する画像情報が含まれている。
また、実施例9にあっても、図38に示すように、2次元画像形成装置30において、例えば時間t1S〜t1Eの間(期間TM1)に画像「A」が表示され、時間t2S〜t2Eの間(期間TM2)に画像「B」が表示されるとする。このとき、光源10Eにおいては、期間TM1では第(3,2)番目の発光素子のみを発光状態とし、期間TM2では第(3,3)番目の発光素子のみを発光状態とする。このように、離散して配された複数の光出射位置から順次出射され、2次元画像形成装置30への入射方向が異なる照明光を使用し、しかも、係る照明光を各画素31によって変調する。一方、空間フィルタSFにおいては、図38に示すように、期間TM1では第(3,2)番目の開口部51を、期間TM2では第(3,3)番目の開口部51を開状態とする。こうして、2次元画像形成装置30における同じ画素31において異なる回折次数として生成され、第1のレンズL1によって生成されるフーリエ変換像に、異なる画像情報を付加することができる。云い換えれば、期間TM1では、第(3,2)番目の発光素子を発光状態とすることで、2次元画像形成装置30における或る画素31において得られる0次の回折次数を有するフーリエ変換像には、画像「A」に関する画像情報、及び、照明光の2次元画像形成装置30への入射方向情報が含まれている。一方、期間TM2では、第(3,3)番目の発光素子を発光状態とすることで、2次元画像形成装置30における同じ或る画素において得られる0次の回折次数を有するフーリエ変換像には、画像「B」に関する画像情報、及び、照明光の2次元画像形成装置30への入射方向情報が含まれている。
図39に、2次元画像形成装置30における画像形成のタイミングと開口部51の制御のタイミングとを模式的に示す。期間TM1では、2次元画像形成装置30において画像「A」が表示され、M×N個のフーリエ変換像が空間フィルタSFの対応する第(3,2)番目の開口部51にフーリエ変換像「α」として集光される。期間TM1では、第(3,2)番目の開口部51のみを開くので、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像「α」のみ(実施例9にあっては、0次の回折次数を有するフーリエ変換像「α」のみ)が空間フィルタSFを通過する。次の期間TM2にあっては、2次元画像形成装置30において画像「B」が表示され、同様にM×N個のフーリエ変換像が空間フィルタSFの対応する第(3,3)番目の開口部51にフーリエ変換像「β」として集光される。期間TM2では、第(3,3)番目の開口部51のみを開くので、m0=3,n0=3の回折次数を有するフーリエ変換像「β」のみ(実施例9にあっては、0次の回折次数を有するフーリエ変換像「β」のみ)が空間フィルタSFを通過する。以下、順次、2次元画像形成装置30の画像形成タイミングに同期して、空間フィルタSFにおける開口部51の開閉制御を行う。尚、図39において、開状態の開口部51を実線で囲み、閉状態の開口部51を点線で囲んだ。ここで、実施例9にあっては、空間フィルタSFが占める空間を或る時間長さで眺めた場合、U0×V0個の輝点(フーリエ変換像)が2次元マトリクス状に並んだ状態(図2に示した状態に類似した状態)が見られるであろう。
このようなタイミングで2次元画像形成装置30における画像形成と開口部51の開閉制御とを行った場合に、この画像表示装置の最終出力として得られる画像を、図40に模式的に示す。図40において、画像「A’」は、第(3,2)番目の開口部51のみを開くので、m0=3,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像「α」のみ(実施例9にあっては、第(3,2)番目の発光素子が発光状態にあるときの0次の回折次数を有するフーリエ変換像「α」のみ)が空間フィルタSFを通過する結果得られる画像である。また、画像「B’」は、第(3,3)番目の開口部51のみを開くので、m0=3,n0=3の回折次数を有するフーリエ変換像「β」のみ(実施例9にあっては、第(3,3)番目の発光素子が発光状態にあるときの0次の回折次数を有するフーリエ変換像「β」のみ)が空間フィルタSFを通過する結果得られる画像である。更には、画像「C’」は、第(4,2)番目の開口部51のみを開くので、m0=4,n0=2の回折次数を有するフーリエ変換像「γ」のみ(実施例9にあっては、第(4,2)番目の発光素子が発光状態にあるときの0次の回折次数を有するフーリエ変換像「γ」のみ)が空間フィルタSFを通過する結果得られる画像である。尚、図40に示す画像は、観察者が眺める画像である。図40においては、便宜上、画像と画像とを実線で区分したが、係る実線は仮想の実線である。また、正確には、同時刻に、図40に示した画像が得られるわけではないが、画像の切り替え期間は非常に短時間なので、観察者の目には同時に表示されているように観察される。例えば、1フレームの表示期間内に、2次元画像形成装置30(あるいは、オーバーサンプリングフィルタOSF)における全ての次数分(M×N)の画像形成と、空間フィルタSFにおける1つの画像の選択が行われるし、実施例9にあっては、1フレームの表示期間内に、全ての離散して配された光出射位置に基づく(U0×V0)個の画像の選択が行われる。また、図40では平面的に図示しているが、観察者に実際に観察されるのは立体画像である。
即ち、実施例1〜実施例6、実施例9〜実施例10においては、前述したように、第3のレンズL3あるいは第5のレンズL5の後側焦点面からは、2次元画像形成装置30によって生成された2次元画像、あるいは又、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像(例えば、時系列的に、画像「A’」、画像「B’」・・・画像「C’」)が出力される。即ち、全体としては、第3のレンズL3あるいは第5のレンズL5の後側焦点面に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数の回折次数分(具体的にはM×N個)、あるいは又、複数の離散して配された光出射位置の数(具体的にはU0×V0個)、配置されており、時系列的に、或るプロジェクタ・ユニット301から画像「A’」が出力され、別のプロジェクタ・ユニット301から画像「B’」が出力され、更に別のプロジェクタ・ユニット301から画像「C’」が出力されると等価となる。そして、例えば、或る物体を種々の位置(角度)から撮影した多数の画像(あるいは、コンピュータによって作成した画像)のデータに基づき、2次元画像形成装置30において画像を時系列的に再生すれば、これらの画像に基づき立体画像を得ることができる。
次に、実施例7あるいは実施例8における光線進行方向変更手段80の位置制御のタイミング等について説明する。
方向成分を有する像を第3のレンズL3によって結像させるために、2次元画像形成装置30の画像出力と同期して、光線進行方向変更手段80の位置制御を行う。この操作を、図38、図39、図40、及び、図41を参照して説明する。尚、図38の最上段は、2次元画像形成装置30における画像出力のタイミングを示しており、図38の中段は、光線進行方向変更手段80における第(3,2)番目の結像の位置制御のタイミングを示し、図38の下段は、第(3,3)番目の結像の位置制御のタイミングを示す。
図38に示すように、2次元画像形成装置30において、例えば時間t1S〜t1Eの間(期間TM1)に画像「A」が表示され、時間t2S〜t2Eの間(期間TM2)に画像「B」が表示されるとする。このとき、光線進行方向変更手段80においては、図38に示すように、期間TM1では、第(3,2)番目の結像が得られるような位置制御がなされ、期間TM2では、第(3,3)番目の結像が得られるような位置制御がなされる。尚、図41にあっては、第(3,2)番目の結像が得られるような位置制御の状態にある光線進行方向変更手段80を点線で示し、結像面ISにおいて得られた像を概念的に「A」で示し、第(3,3)番目の結像が得られるような位置制御の状態にある光線進行方向変更手段80を実線で示し、結像面ISにおいて得られた像を概念的に「B」で示す。こうして、第1のレンズL1によって生成されるフーリエ変換像に、異なる画像情報(方向成分)を付加することができる。云い換えれば、期間TM1では、フーリエ変換像には、画像「A」に関する画像情報が含まれている。一方、期間TM2では、フーリエ変換像には、画像「B」に関する画像情報が含まれている。
図39に、2次元画像形成装置30における画像形成のタイミングと光線進行方向変更手段80の位置制御のタイミングとを模式的に示す。期間TM1では、2次元画像形成装置30において画像「A」が表示され、光線進行方向変更手段80にフーリエ変換像「α」として集光される。そして、期間TM1では、第(3,2)番目の結像が得られる。次の期間TM2では、2次元画像形成装置30において画像「B」が表示され、同様に光線進行方向変更手段80にフーリエ変換像「β」として集光される。そして、期間TM2では、第(3,3)番目の結像が得られる。以下、順次、2次元画像形成装置30の画像形成タイミングに同期して、光線進行方向変更手段80の位置制御を行う。尚、図39において、結像面ISにおける結像位置を実線で囲み、光線進行方向変更手段80の位置制御の他のタイミングにおける結像位置を点線で囲んだ。
尚、光線進行方向変更手段80による光線の進行方向の変更を、2次元画像形成装置30に基づく2次元画像の生成と同期させる必要があるが、光線進行方向変更手段80によって結像面ISに或る像(例えば「α」)を結像した後、光線進行方向変更手段80の位置を変更し(変化させ)、光線進行方向変更手段80によって結像面ISに次の像(例えば「β」)を結像するまでの間は、光源10の動作を中断し、2次元画像形成装置30によって2次元画像を生成させない。
このようなタイミングで2次元画像形成装置30における画像形成と光線進行方向変更手段80の位置制御とを行った場合に、この画像表示装置の最終出力として得られる画像を、図40に模式的に示す。図40において、画像「A’」は、第(3,2)番目の結像の結果得られる画像であり、画像「B’」は、第(3,3)番目の結像の結果得られる画像であり、画像「C’」は、第(4,2)番目の結像の結果得られる画像である。例えば、1フレームの表示期間内に、(S0×T0)の回数の2次元画像の生成及び光線進行方向変更手段80の位置制御が行われる。
即ち、実施例7あるいは実施例8においては、前述したように、第3のレンズL3の後側焦点面(結像面IS)からは、第2のレンズL2によって生成された2次元画像の共役像(例えば、時系列的に、画像「A’」、画像「B’」・・・画像「C’」)が出力される。即ち、全体としては、第3のレンズL3の後側焦点面に、図49に示したプロジェクタ・ユニット301が複数個(具体的にはS0×T0個)、配置されており、時系列的に、或るプロジェクタ・ユニット301から画像「A’」が出力され、別のプロジェクタ・ユニット301から画像「B’」が出力され、更に別のプロジェクタ・ユニット301から画像「C’」が出力されると等価となる。そして、例えば、或る物体を種々の位置(角度)から撮影した多数の画像(あるいは、コンピュータによって作成した画像)のデータに基づき、2次元画像形成装置30において画像を時系列的に再生すれば、これらの画像に基づき立体画像を得ることができる。
次に、回折格子−光変調素子210の構成、構造を説明する。
回折格子−光変調素子210を構成する下部電極212、固定電極221、可動電極222等の配置を、図42に模式的に示す。尚、図42においては、下部電極212、固定電極221、可動電極222、支持部214,215,217,218を明示するために、これらに斜線を付した。
この回折格子−光変調素子210は、下部電極212、帯状(リボン状)の固定電極221、並びに、帯状(リボン状)の可動電極222から成る。下部電極212は支持体211上に形成されている。また、固定電極221は、支持部214,215に支持され、下部電極212の上方に支持、張架されている。更には、可動電極222は、支持部217,218に支持され、下部電極212の上方に支持、張架されており、固定電極221に対して並置されている。図示した例において、1つの回折格子−光変調素子210は、3本の固定電極221と3本の可動電極222から構成されている。3本の可動電極222は纏めて制御電極に接続され、制御電極は、図示しない接続端子部に接続されている。一方、3本の固定電極221は纏めてバイアス電極に接続されている。バイアス電極は、複数の回折格子−光変調素子210において共通とされており、図示しないバイアス電極端子部を介して接地されている。下部電極212も、複数の回折格子−光変調素子210において共通とされており、図示しない下部電極端子部を介して接地されている。
接続端子部、制御電極を介して可動電極222へ電圧を印加し、且つ、下部電極212へ電圧を印加すると(実際には、下部電極212は接地状態にある)、可動電極222と下部電極212との間に静電気力(クーロン力)が発生する。そして、この静電気力によって、下部電極212に向かって可動電極222が下方に変位する。尚、可動電極222の変位前の状態を図43の(A)及び図43の(C)の左側に示し、変位後の状態を図43の(B)及び図43の(C)の右側に示す。そして、このような可動電極222の変位に基づき、可動電極222と固定電極221とによって反射型の回折格子が形成される。ここで、図43の(A)は、図42の矢印B−Bに沿った固定電極等の模式的な断面図、及び、図42の矢印A−Aに沿った可動電極等の模式的な断面図(但し、回折格子−光変調素子が作動していない状態にある)であり、図43の(B)は、図42の矢印A−Aに沿った可動電極等の模式的な断面図であり(但し、回折格子−光変調素子が作動している状態にある)、図43の(C)は、図42の矢印C−Cに沿った固定電極、可動電極等の模式的な断面図である。
隣接する固定電極221の間の距離をd(図43の(C)参照)、可動電極222及び固定電極221に入射する光(入射角:θi)の波長をλ、回折角をθmとすると、
d[sin(θi)−sin(θm)]=mDif・λ
で表すことができる。ここで、mDifは次数であり、0,±1,±2・・・の値をとる。
そして、可動電極222の頂面と固定電極221の頂面の高さの差Δh1(図43の(C)参照)が(λ/4)のとき、回折光の光強度は最大の値となる。
光変調手段にあっては、可動電極222が図43の(A)及び図43の(C)の左側に示した状態である回折格子−光変調素子210の不作動時、可動電極222及び固定電極221の頂面で反射された光は空間フィルタ204で遮られる。一方、可動電極222が図43の(B)及び図43の(C)の右側に示した状態である回折格子−光変調素子210の作動時、可動電極222及び固定電極221で回折された±1次(mDif=±1)の回折光は空間フィルタ204を通過する。このような構成にすることで、光のオン/オフ制御を制御することができる。また、可動電極222に印加する電圧を変化させることで、可動電極222の頂面と固定電極221の頂面の高さの差Δh1を変化させることができ、その結果、回折光の強度を変化させて、階調制御を行うことができる。
次に、実施例1〜実施例8における光源及び照明光学系の構成例を、図44の(A)〜(C)、図45の(A)〜(B)に示す。ここで、光源によって出射され、照明光学系によって整形され、2次元画像形成装置30を照明する光(照明光)の特性を、以下、空間コヒーレンスを用いて説明する。
空間コヒーレンスは、任意の空間における断面で生じる光の干渉性を示し、その度合いは、生成される干渉縞のコントラストで示すことができる。干渉縞の生成過程において、最もコントラストの高い干渉縞は、平面波若しくは平面波と光学的に交換可能な球面波の干渉によって生成される。このことから、空間コヒーレンスの最も高い光は、平面波(若しくは球面波)であることが分かる。1つの進行方向の成分のみを有する例えば平面波は空間コヒーレンスが最も高く、空間コヒーレンスの度合いが低くなるに従い、進行方向の成分が複数存在するようになる。また、光の進行方向成分の分布は、発光原点若しくは2次発光点の空間的な大きさを議論することと等価である。以上のことから、空間コヒーレンスは、発光原点若しくは2次発光点の空間的な大きさに基づき議論することができる。空間コヒーレンス、即ち、光源の空間的な大きさは、画像表示装置における画像の空間周波数特性を決定する要因となる。完全な空間コヒーレンスを有する光以外を照明光に用いると、高周波成分から順番にコントラストの低下が生じる。得られる画像の空間周波数特性は、具体的なアプリケーションによって異なる要求があることから、ここでは、具体的数値に言及せず、異なる要求に柔軟に対応するための様々な構成方法について述べる。
実施例1〜実施例8の画像表示装置1A〜1Dにおいては、照明光として空間コヒーレンスの高い光を用いる場合と、そうでない場合において、光源及び照明光学系の構成方法が異なる。また、光源の特性により照明光学系の構成が異なる。以下では、光源及び照明光学系における構成方法の組み合わせについて説明する。尚、光源は全ての場合において、単色若しくは単色に近い光源であることを前提としている。
図44の(A)は、第1構成例として、空間コヒーレンスの高い光源101により、全体として空間コヒーレンスの高い照明光学系201を構成した例を示している。光源101は、例えばレーザから構成されている。照明光学系201は、光源側から順に、レンズ211、円形開口板221、及び、レンズ241から構成されている。円形開口板221には、中央に円形のアパーチャ231が設けられている。レンズ241における集光位置にアパーチャ231が配置されている。レンズ241は、コリメータレンズとして機能する。
図44の(B)は、第2構成例として、空間コヒーレンスの高い光源102を用いて、全体として空間コヒーレンスの高くない照明光学系202を構成した例を示している。光源102は、例えばレーザから構成されている。照明光学系202は、光源側から順に、レンズ212、拡散板222、及び、レンズ242から構成されている。拡散板222は、可動拡散板であってもよい。
図44の(C)及び図45の(A)は、第3構成例及び第4構成例として、空間コヒーレンスの高くない光源103,104を用いて、全体として空間コヒーレンスの高い照明光学系203,204を構成した例を示している。光源103,104としては、例えば発光ダイオード(LED)や白色光源を用いる。図44の(C)の照明光学系203は、光源側から順に、レンズ213、円形開口板222、及び、レンズ243から構成されている。円形開口板222には、中央に円形のアパーチャ233が設けられている。レンズ243における集光位置に、アパーチャ233が配置されている。レンズ243は、コリメータレンズとして機能する。一方、図45の(A)の照明光学系204は、図44の(C)の照明光学系203に比べてレンズ213が省略され、光源側から順に、円形開口板224、アパーチャ234、及び、レンズ244から構成されている。
図45の(B)は、第5構成例として、空間コヒーレンスの高くない光源105を用いて、全体として空間コヒーレンスの高くない照明光学系205を構成した例を示している。光源105の他は、レンズ245のみで構成されている。
各構成例において、全体として空間コヒーレンスの高い照明光学系を構築する場合には、光源に依存することなく2次発光点を小さくしている。また、全体として空間コヒーレンスの高くない照明光学系を構築する場合には、光源に依存すること無く、2次発光点を大きくしている。
以上、本発明の画像表示装置を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。各実施例にあっては、画像表示方法、画像表示装置を、3次元像の表示方法、3次元像表示装置に基づき説明したが、本発明の画像表示方法は、3次元像の表示方法に限定するものではなく、広くは、2次元像及び3次元像を含む画像の表示方法に適用することができる。また、各実施例において説明した画像表示装置によって、最終的に、3次元像だけでなく、2次元像を表示することができる。
実施例1〜実施例11の画像表示装置にあっては、前述したとおり、光変調手段や2次元画像形成装置の動作の制御は、図示しないパーソナルコンピュータによって行われる。従って、実施例1〜実施例11の画像表示装置は、実施例1〜実施例11において説明した構成要素に加えて、記録手段(例えば、ハードディスク)を備えたコンピュータを有している。そして、この記録手段には、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差(例えば、ザイデルの5収差や、色収差)を補正した2次元画像データが記録されている。あるいは又、例えば、(m,n)の値、(P,Q)の値、(M,N)の値、(S0,T0)の値、(U0,V0)の値をパラメータとした、画像表示装置を構成する光学系によって生じる収差を補正するための演算子が記録されている。そして、コンピュータによって、光変調手段や2次元画像形成装置における2次元画像の生成を制御する。尚、フーリエ変換像選択手段や空間フィルタは、光学系においては、所謂瞳面に配置されている。従って、所望の回折次数に対応するフーリエ変換像を選択するフーリエ変換像選択手段の動作や開閉制御可能な開口部を有する空間フィルタの動作によって、瞳面は分割された状態となり、瞳が縮小されたことと等価となる。従って、光学系の瞳面を分割し、光変調手段や2次元画像形成装置における2次元画像の生成、及び、分割された瞳面を、時系列的に制御することで、2次元画像の生成及び分割された瞳面の時系列的な制御と同期した動的な画像出力によって、所望の画像を得ることができる。
実施例3や実施例4においては、オーバーサンプリングフィルタを構成する格子フィルタを位相格子から構成したが、代替的に振幅格子から構成してもよい。
また、実施例5にあっては、2次元画像形成装置30と光学装置35との間に、例えば、2枚の凸レンズを配置し、一方の凸レンズの前側焦点面に2次元画像形成装置30を配置し、一方の凸レンズの後側焦点に他方の凸レンズの前側焦点を位置させ、他方の凸レンズの後側焦点面に光学装置35を配置する構成とすることもできる。また、光学装置35を構成する光学素子36を、代替的に凹レンズから構成することもできる。この場合には、仮想の開口領域37は、2次元画像形成装置30の前方(光源側)に位置する。更には、光学素子36を、通常のレンズに代えて、フレネルレンズから構成してもよい。
実施例9においては、光源10Eと光変調手段(2次元画像形成装置)30との間にコリメータレンズ12を配置したが、その代わりに、マイクロレンズが2次元マトリクス状に配列されたマイクロレンズアレイを用いることもできる。
実施例1や実施例2においては、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面に光変調手段(2次元画像形成装置)30や回折光生成手段が配置されており、後側焦点面にフーリエ変換像選択手段が配置されている構成としたが、場合によっては、2次元画像における空間周波数にクロストークが生じる結果、最終的に得られる立体画像に劣化が生じるものの、係る劣化が許容されるならば、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面からずれた位置に光変調手段(2次元画像形成装置)30や回折光生成手段を配置してもよいし、後側焦点面からずれた位置にフーリエ変換像選択手段を配置してもよい。また、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3は凸レンズに限定されず、適宜、適切なレンズを選択すればよい。
実施例3や実施例4においても、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第3のレンズL3)の前側焦点面にオーバーサンプリングフィルタOSFが配置されており、後側焦点面にフーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)が配置されている構成としたが、場合によっては、2次元画像の共役像における空間周波数にクロストークが生じる結果、最終的に得られる立体画像に劣化が生じるものの、係る劣化が許容されるならば、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第3のレンズL3)の前側焦点面からずれた位置にオーバーサンプリングフィルタOSFを配置してもよいし、後側焦点面からずれた位置にフーリエ変換像選択手段50(空間フィルタSF)を配置してもよい。また、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4、第5のレンズL5は凸レンズに限定されず、適宜、適切なレンズを選択すればよい。
また、実施例5や実施例6においては、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面に光学装置35を構成する光学素子36の焦点が位置しており、後側焦点面にフーリエ変換像選択手段が配置されている構成としたが、場合によっては、2次元画像における空間周波数にクロストークが生じる結果、最終的に得られる立体画像に劣化が生じるものの、係る劣化が許容されるならば、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面からずれた位置に光学装置35を構成する光学素子36の焦点を位置させてもよいし、後側焦点面からずれた位置にフーリエ変換像選択手段を配置してもよい。また、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3は凸レンズに限定されず、適宜、適切なレンズを選択すればよい。
更には、実施例7においては、第2のレンズL3の後側焦点面であって、第3のレンズL2の前側焦点面に、光線進行方向変更手段80を配置したが、場合によっては、これらの焦点面からずれた位置に光線進行方向変更手段80を配置してもよい。また、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3は凸レンズに限定されず、適宜、適切なレンズを選択すればよい。
更には、実施例9や実施例10においては、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面に光変調手段(2次元画像形成装置)30や回折光生成手段が配置されており、後側焦点面にフーリエ変換像選択手段が配置されている構成としたが、場合によっては、最終的に得られる立体画像に劣化が生じるものの、係る劣化が許容されるならば、フーリエ変換像形成手段40を構成するレンズ(第1のレンズL1)の前側焦点面からずれた位置に光変調手段(2次元画像形成装置)30や回折光生成手段を配置してもよいし、後側焦点面からずれた位置に空間フィルタSF(フーリエ変換像選択手段50)を配置してもよい。また、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3は凸レンズに限定されず、適宜、適切なレンズを選択すればよい。
実施例においては、光源は全ての場合において単色若しくは単色に近い光源であることを前提としているが、光源は、このような構成に限定するものではない。光源の波長帯域が複数の帯域に及んでもよい。但し、この場合には、例えば、実施例1における画像表示装置1Aを例にとり説明すると、図46の(A)に示すように、照明光学系20と光変調手段(2次元画像形成装置)30との間に、あるいは又、実施例9における画像表示装置1Eを例にとり説明すると、コリメータレンズ12と光変調手段(2次元画像形成装置)30との間に、波長選択を行う狭帯域フィルタ71を配置することが好ましく、これによって、波長帯域を分別、選択し、単色光を抽出することができる。
あるいは又、光源10の波長帯域が広帯域に及んでもよい。但し、この場合には、図46の(B)に示すように、照明光学系20と光変調手段(2次元画像形成装置)30との間に、あるいは又、コリメータレンズ12と光変調手段(2次元画像形成装置)30との間に、ダイクロイックプリズム72及び波長選択を行う狭帯域フィルタ71Gを配置することが好ましい。具体的には、ダイクロイックプリズム72は、例えば赤色光、青色光を別々の方向に反射すると共に、緑色光を含む光線を透過する。ダイクロイックプリズム72における緑色光を含む光線の出射側に、緑色光を分別・選択する狭帯域フィルタ71Gが配置されている。
また、図47に示すように、ダイクロイックプリズム72における緑色光を含む光線の出射側に緑色光を分別・選択する狭帯域フィルタ71Gを配置し、赤色光を含む光線の出射側に赤色光を分別・選択する狭帯域フィルタ71Rを配置し、青色光を含む光線の出射側に、青色光を分別・選択する狭帯域フィルタ71Bを配置すれば、3原色を表示する3つの画像表示装置に対する光源を構成することができる。このような構成の3つの画像表示装置を用い、あるいは又、赤色光を出射する光源と画像表示装置、緑色光を出射する光源と画像表示装置、及び、青色光を出射する光源と画像表示装置の組合せを用い、各画像表示装置からの画像を、例えば光合成プリズムを用いて合成することで、カラー表示を行うことができる。尚、ダイクロイックプリズムの代わりに、ダイクロイックミラーを用いることもできる。あるいは又、光源を、赤色発光素子、緑色発光素子、及び、青色発光素子から構成し、これらの赤色発光素子、緑色発光素子、及び、青色発光素子を、順次、発光状態とすることで、カラー表示を行うこともできる。尚、以上に説明したこれらの画像表示装置の変形例は他の実施例に適用することができることは云うまでもない。
図1は、実施例1の画像表示装置のyz平面における概念図である。
図2は、実施例1の画像表示装置を斜めから見たときの概念図である。
図3は、実施例1の画像表示装置を斜めから見たときの概念図である。
図4は、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)の1例の模式的な正面図である。
図5は、実施例1の光変調手段(2次元画像形成装置)によって、複数の回折次数の回折光が生成される状態を模式的に示す図である。
図6は、実施例1の画像表示装置において、フーリエ変換像形成手段(第1のレンズL1)における集光状態、及び、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)における結像状態を模式的に示す図である。
図7の(A)及び(B)は、それぞれ、光変調手段(2次元画像形成装置)によって生成された2次元画像における空間周波数が最も低い状態、及び、最も高い状態を示す光変調手段(2次元画像形成装置)の模式的な正面図である。
図8の(A)及び(B)は、それぞれ、光変調手段(2次元画像形成装置)によって生成された2次元画像における空間周波数が最も低い状態、及び、最も高い状態におけるフーリエ変換像の光強度の周波数特性を模式的に示す図である。
図9の(A)は、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)のxy平面上におけるフーリエ変換像の分布を示す模式図であり、図9の(B)及び(C)は、図9の(A)のx軸上でのフーリエ変換像の光強度分布を示す図である。
図10は、実施例2の画像表示装置の概念図である。
図11は、実施例2の画像表示装置における光変調手段(2次元画像形成装置)の一部分等の概念図である。
図12は、実施例3の画像表示装置のyz平面における概念図である。
図13は、実施例3の画像表示装置を斜めから見たときの概念図である。
図14は、実施例3の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。
図15は、実施例3の画像表示装置において、フーリエ変換像形成手段(第3のレンズL3)における集光状態、及び、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)における結像状態を模式的に示す図である。
図16は、実施例4の画像表示装置の概念図である。
図17は、実施例5の画像表示装置のyz平面における概念図である。
図18は、実施例5の画像表示装置における光学装置の動作、作用を説明するための概念図である。
図19は、実施例5の画像表示装置を斜めから見たときの概念図である。
図20は、実施例5の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。
図21は、実施例5において、2次元画像形成装置によって複数の回折次数の回折光が生成される状態を模式的に示す図である。
図22は、実施例6の画像表示装置の概念図である。
図23は、実施例7の画像表示装置のyz平面における概念図である。
図24は、実施例7の画像表示装置を斜めから見たときの概念図である。
図25は、実施例7の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。
図26は、実施例8の画像表示装置の概念図である。
図27は、実施例9の画像表示装置のyz平面における概念図である。
図28は、実施例9の画像表示装置の構成要素の配置状態を模式的に示す図である。
図29は、実施例9の画像表示装置の一部を拡大した概念図である。
図30の(A)及び(B)は、実施例9の画像表示装置において、光変調手段(2次元画像形成装置)によって、複数の回折次数の回折光が生成される状態を模式的に示す図である。
図31は、実施例9の画像表示装置における光源の模式的な正面図である。
図32は、実施例9の画像表示装置における空間フィルタの模式的な正面図である。
図33は、実施例10の画像表示装置のyz平面における概念図である。
図34は、図33に示す実施例10の画像表示装置の一部を拡大した概念図(但し、或る発光素子が発光状態にある)である。
図35は、図33に示す実施例10の画像表示装置の一部を拡大した概念図(但し、別の発光素子が発光状態にある)である。
図36は、図33に示す実施例10の画像表示装置の一部を拡大した概念図(但し、更に別の発光素子が発光状態にある)である。
図37は、実施例11の画像表示装置の一部分のyz平面における概念図である。
図38は、光変調手段(2次元画像形成装置)における2次元画像の形成タイミングとフーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)の開口部の開閉タイミングとを示す図であり、上段には、光変調手段(2次元画像形成装置)における2次元画像の形成タイミングを示し、中段及び下段には、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)の開口部の開閉タイミングを示す。
図39は、フーリエ変換像選択手段(空間フィルタ)による空間フィルタリングの概念を模式的に時系列で示す図である。
図40は、図39に示した空間フィルタリングの結果得られる画像を模式的に示す図である。
図41は、光線進行方向変更手段の位置制御を行うことで、結像面においてどの位置に像が結像するかを模式的に示す図である。
図42は、回折格子−光変調素子を構成する下部電極、固定電極、可動電極の配置を模式的に示す図である。
図43の(A)は、図42の矢印B−Bに沿った固定電極等の模式的な断面図、及び、図42の矢印A−Aに沿った可動電極等の模式的な断面図(但し、回折格子−光変調素子が作動していない状態にある)であり、図43の(B)は、図42の矢印A−Aに沿った可動電極等の模式的な断面図であり(但し、回折格子−光変調素子が作動している状態にある)、図43の(C)は、図42の矢印C−Cに沿った固定電極、可動電極等の模式的な断面図である。
図44の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例1〜実施例8の画像表示装置における光源及び照明光学系の第1構成例、第2構成例、及び、第3構成例を示す模式図である。
図45の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1〜実施例8の画像表示装置における光源及び照明光学系の第4構成例、及び、第5構成例を示す模式図である。
図46の(A)及び(B)は、実施例1の画像表示装置の変形例の一部分のyz平面における概念図である。
図47は、実施例1の画像表示装置の変形例の別の変形例の一部分のyz平面における概念図である。
図48は、実施例1の画像表示装置を複数組み合わせたマルチユニット方式の画像表示装置を示す構成図である。
図49は、従来の3次元像表示装置の一構成例を示す図である。
符号の説明
1A,1B,1C,,1D,1E・・・画像表示装置、10,101,102,103,104,105・・・光源、11A,11B,11C・・・発光素子、12・・・コリメータレンズ、20,201,202,203,204,205・・・照明光学系、211,212,213,241,242,243,244,245・・・レンズ、221,222,224・・・円形開口板、222・・・拡散板、231,233,234・・・アパーチャ、30,130・・・光変調手段(2次元画像形成装置)、31・・・画素、32・・・画像制限・生成手段、33・・・散乱回折制限開口部、34・・・開口領域、35・・・光学装置、36・・・光学素子、37・・・仮想の開口領域、40・・・フーリエ変換像形成手段、50・・・フーリエ変換像選択手段、51・・・開口部、52・・・開口部中心位置、60・・・共役像形成手段、70・・・ビームスプリッタ、71,71R,71G,71B・・・狭帯域フィルタ、72・・・ダイクロイックプリズム、80・・・光線進行方向変更手段、81・・・ビームスプリッタ、82・・・結像手段、131・・・走査用レンズ系、132・・・格子フィルタ、133・・・異方性拡散フィルタ、201・・・回折格子−光変調装置、203・・・レンズ、204・・・空間フィルタ、205・・・スキャンミラー、210・・・回折格子−光変調素子、211・・・支持体、212・・・下部電極、214,215,217,218・・・支持部、221・・・固定電極、222・・・可動電極、L1・・・第1のレンズ、L2・・・第2のレンズ、L3・・・第3のレンズ、L4・・・第4のレンズ、L5・・・第5のレンズ、SF・・・空間フィルタ、OSF・・・オーバーサンプリングフィルタ、RI・・・実像(逆フーリエ変換像)、CI・・・フーリエ変換像の共役像