JP2008210685A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】早期容量低下を抑制することができる鉛蓄電池の集電体を製造する。
【解決手段】鉛蓄電池の正極集電体の原材料である、鉛含有粉末として、鉛粉末又は鉛系合金粉末を用い、アンチモン含有粉末として、アンチモン単体粉末又は鉛アンチモン複合酸化物粉末(PbxSbyOz)を用いる。鉛系合金粉末は、例えば、鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金である。アンチモン単体金属粉末の代わりにビスマス単体金属粉末を用いてもよい。鉛含有粉末とアンチモン含有粉末を混合し、粉末圧延によってシートを作製する。このシートを切り出して、集電体とする。
【選択図】図3

Description

本発明は鉛蓄電池に関し、特に鉛蓄電池の集電体に関する。
鉛蓄電池は二次電池(蓄電池)のなかでも特に低温特性に優れ、電池特性とコスト面でバランスのとれた二次電池である。鉛蓄電池は単位体積あたりの重量がリチウム二次電池等に比べて大きく、エネルギー密度の点で基本的な課題があった。しかし、鉛蓄電池は、水溶液系電池としては取り扱いが容易であるばかりでなく、鉛極板の水素発生の反応過電圧(水素過電圧)、酸素発生の反応過電圧(酸素過電圧)が高いことにより水の分解電圧を大きく超える2ボルトの単電池電圧が得られる。そのため、車社会等で不可欠な二次電池として広く普及している。
鉛蓄電池の有する課題の一つに早期容量低下(PCL:Premature Capacity Loss)がある。早期容量低下は、正極の集電体の表面に、硫酸鉛(PbSO4)等の電気伝導性のない不働体膜が生成されることによって起きる。早期容量低下は、正極集電体と反応活物質の接触界面に、一酸化鉛(PbO)が生成されても起きる。これについて説明する。
一般に、鉛蓄電池の正極集電体と反応活物質の接触界面では、集電体の表面酸化物と反応活物質が接触している。そのため正極集電体と反応活物質の密着性を高めるには、集電体表面に、反応活物質である二酸化鉛(PbO2)と同一の二酸化鉛(PbO2)が緻密に生成されていることが望ましい。
集電体の表面に一酸化鉛(PbO)が生成されると、正極集電体と反応活物質の間の密着性(電子伝導性)が低下する。更に、一酸化鉛(PbO)は、二酸化鉛(PbO2)とは異なり、高い電気抵抗を有する。こうして、正極集電体と反応活物質の接触界面に、一酸化鉛(PbO)が生成されると、充電電流が流れなくなり、早期容量低下が起きる。
そこで、集電体の表面は、二価(II)の酸化物である酸化鉛(PbO)から、四価(IV)の酸化物である二酸化鉛(PbO2)まで迅速に酸化されるのが望ましい。即ち、集電体表面は、早急に、二酸化鉛(PbO2)によって緻密に覆われることが、必要である。
早期容量低下対策として、正極集電体にアンチモン含有鉛系合金を使用することが有効であることが知られており、幾つかの研究報告がある。例えば、T. Laitinen 他4名. 「The Effect of Antimony on The Anodic Behaviour of Lead in Sulphuric Acid Solutions-I. Voltammetric Measurements」Electrochimica Acta, Vol.36, No3/4, pp.605-614,(1991)、を参照されたい。
これまでの知見によればアンチモン含有鉛系合金の効果は主に以下の2つがある。
(1)α-PbO2の生成:
正極集電体にアンチモン含有鉛系合金を用いると、正極の高電位によって、集電体のアンチモン含有鉛系合金からアンチモンイオンが溶出し、反応活物質である二酸化鉛(PbO2)に浸入する。それによって、集電体と反応活物質の接触界面において、反応活物質であるβ−PbO2が、同一の放電電流に対して放電過電圧が高いα-PbO2に変化する。こうして、集電体と反応活物質の接触界面に、α-PbO2が生成されると、反応活物質は放電が起こりにくい状態となり、不働体膜の生成が抑制される。
(2)電子伝導性酸化物、界面の密着性:
集電体のアンチモン含有鉛系合金からアンチモンイオンが溶出すると、集電体と反応活物質の接触界面にて、鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)が生成される。この複合酸化物は、集電体と反応活物質の接触界面において、電子的に密着性を高めるため、電子伝導性が高くなる。
このように、正極集電体にアンチモン含有鉛系合金(Pb-Sb,Pb-Sb-Sn)を用いると、早期容量低下対策に有効である。しかしながら、アンチモンの水素過電圧は鉛の水素過電圧よりも低いため、電解液の水分解反応が促進される弱点がある。すなわち自己放電反応によって水が減少するため、給水の頻度を高くしなければならない、というメンテナンス上の課題がある。
鉛蓄電池の正極集電体には、強度及び耐食性が必要である。強度及び耐食性に優れた鉛系合金に、鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金がある。鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金は、アンチモン含有鉛系合金(Pb-Sb,Pb-Sb-Sn)と比較して、自己放電反応が少なく、メンテナンス上も有利である。しかしながら、正極格子としてアンチモン含有鉛(Pb-Sb,Pb-Sb-Sn)系合金の代わりに鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金を使用すると、早期容量低下の問題が生じる。
早期容量低下の問題を解決するために、正極集電体の材料として、鋳造による鉛アンチモン合金を使用することが知られている。アンチモンを鋳造合金化し、それを圧延して集電体とする。そこで、アンチモンと鉛−錫−カルシウム合金の組み合わせが考えられる。しかしながら、鉛−錫−カルシウム合金の溶湯にアンチモンが含まれるとカルシウムとアンチモンの組み合わせによって毒性ガスであるスチビン(SbH3)が発生する。
特許文献1(特開昭63-164166号公報)には、カルシウム0.01〜0.2%に対してアンチモンが0.01〜2.00%である鉛−錫(0.5〜2.0%)−カルシウム−アンチモン合金が記載されている。
特許文献2(特許第3102000号)には、母材である鉛−カルシウム合金の表面に、カルシウムを含まない鉛−アンチモン合金(アンチモン0.005wt%〜0.250wt%)を張り合わせることにより正極集電体を形成することが記載されている。この例は、早期容量低下対策と同時に、母材の鉛−アンチモン合金によって、集電体の強度を保持する狙いもある。
特許文献3(特許第3156333号)には、早期容量低下対策として、母材である鉛−錫−カルシウム合金の表面に、鉛−錫−アンチモン合金の薄膜を重ね合わせ、冷間圧延によって一体化した鉛系合金シートを集電体として使用することが記載されている。
特許文献2及び3に記載された技術は、いずれも母材である鉛−錫−カルシウム合金の上に、鉛−アンチモン合金の薄膜を重ねて、冷間圧延することにより、2層構造の合金の集電体シートを得るものである。このような2層構造では、表面のアンチモン含有鉛系合金薄膜からのアンチモンイオンの溶出によって、集電体と反応活物質の間の界面において、上述の(1)α-PbO2の生成と(2)鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)の生成が起きる。尚、集電体の形状は、2層構造合金シートに切開部を入れて左右から引っ張って網目状にした、いわゆるエキスパンド格子である。
特許文献4(特開2005−32532号)には、カーボン粒子と酸化物を鉛粉末中に混合させ、粉末冶金技術により正極集電体を作製する方法が示されている。
特許文献5(特開2006−66173号)には、粉末圧延技術を用いてアンチモン合金である鉛−錫−アンチモン合金集電体を作製することにより、腐食伸びを抑制することが記載されている。
非特許文献2には、正極集電体中のビスマス(Bi)の鉛電池への影響が詳しく示されている。
特開昭63-164166号公報 特許第3102000号 特許第3156333号 特開2005−32532号公報 特開2006−66173号公報 T. Laitinen 他4名. 「The Effect of Antimony on The Anodic Behaviour of Lead in Sulphuric Acid Solutions-I. Voltammetric Measurements」Electrochimica Acta, Vol.36, No3/4, pp.605-614,(1991) S.R.ELLIS 他3名. 「A Short Review of the Effect of Bismuth on Lead-Cell Electrotechnology」Surface Technology, Vol.26, pp.11-16,(1985)
上述のように、正極集電体にアンチモン含有鉛系合金を用いると、早期容量低下対策に有効である。しかしながらアンチモン含有鉛系合金は、水素過電圧を低下させ、自己分解を促進させる。
鉛−錫−アンチモン合金のように、耐食性のある合金では、アンチモンのイオン化が遅れ、早期容量低下に対する抑制効果が発生するのに、時間的な遅れが生じる。このような不安定要素もアンチモン含有鉛合金の利用を妨げる要因となる。
鋳造による鉛アンチモン合金における課題として、アンチモンと鉛−錫−カルシウム合金の組み合わせがある。この場合、鉛−錫−カルシウム合金とアンチモンとの溶湯から有毒のスチビンガスが発生する。
そこで、従来では、鉛−アンチモン合金、鉛−錫−アンチモン合金等のアンチモン含有鉛系合金の薄膜を、母材のアンチモンを含まない合金の上に張り合わせる、いわゆるクラッド化して、集電体を形成している。
本発明の目的は、従来のようなアンチモン含有鉛系合金を使用することなく早期容量低下を抑制することができる鉛蓄電池の集電体を提供することにある。
上述のように、アンチモンによる早期容量低下に対する抑制機能を得るには、集電体と反応活物質の接触界面において、集電体からアンチモンイオンが溶出することが必要である。アンチモンイオンの溶出は、アンチモンが腐食し、又は、酸化することによる。
アンチモンの腐食又は酸化を促進するには、アンチモン含有鉛系合金を用いるよりアンチモン金属単体を用いるほうが有利である。アンチモン金属単体のほうが、アンチモン含有鉛系合金より腐食耐性が低いからである。
そこで、本発明によると、集電体の材料として、アンチモン含有鉛系合金の代わりに、アンチモン金属単体を用いる。
上述のように、アンチモンによる早期容量低下に対する抑制機能は、集電体と反応活物質の接触界面において、鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)が生成されることによっても得られる。
そこで、本発明によると、集電体の材料として、アンチモン含有鉛系合金の代わりに、鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)を用いる。鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)はPbSb2O6であってよい。
本発明によると、集電体の原材料である、鉛含有粉末として、鉛粉末又は鉛系合金粉末を用い、アンチモン含有粉末として、アンチモン単体粉末又は鉛アンチモン複合酸化物粉末を用いる。鉛系合金粉末は、鉛をベースとして、錫、カルシウム、アンチモン、バリウム、銀、ビスマスのうちの少なくとも一つ以上の合金元素を含む。鉛系合金粉末は鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金であってよく、鉛−錫(Pb-Sn)合金であってもよい。
これらの粉末は、乾燥空気中に溶融金属を噴霧することによって急冷凝固粉末を生成するガスアトマイズ法によって作製することができる。
鉛含有粉末とアンチモン含有粉末を混合し、混合粉末を粉末圧延によって成形し、シートにする。こうして形成された圧延シートは、アスペクト比3〜13の特定方向に配向した結晶粒子により構成される組織を有する。
この圧延シートを切り出して、集電体を形成する。圧延シートをエキスパンド加工することにより格子構造を有する集電体を形成してよい。
従来のように、鋳造圧延の場合、鉛−錫−カルシウム合金にアンチモン粉末を分散させることはできないが、本発明によると、粉末圧延を用いるため、鉛−錫−カルシウム合金粉末にアンチモンを分散させることができる。
上述のように、アンチモン単体の腐食速度はアンチモン含有鉛合金におけるアンチモンの腐食速度よりも高いため、集電体と反応活物質の接触界面にアンチモンイオンを迅速に供給させることができる。従って、集電体と反応活物質の接触界面におけるα-PbO2の生成及び鉛アンチモン複合酸化物の生成が促進され、早期容量低下が抑制される。
非特許文献2に記載されているように、ビスマス(Bi)は、鉛蓄電池の硫酸溶液系で耐食性が低いことが知られている。即ち、正極集電体にビスマス(Bi)を用いると、集電体の腐食速度が上がる。
従って、本発明によると、アンチモン単体金属粉末の代わりにビスマス単体金属粉末、又は、アンチモン単体金属粉末とビスマス単体金属粉末の混合粉末を用いてもよい。
本発明によれば、従来のようなアンチモン含有鉛系合金を使用することなく早期容量低下を抑制することができる鉛蓄電池の集電体を提供することにある。
以下具体例をあげ、本発明を更に詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明による鉛蓄電池の基本構成を示す。鉛蓄電池は、負極ターミナル11、正極ターミナル12、正極板13、負極板14、セパレータ15、硫酸電解液16、電槽17、及び、電槽蓋18、を有する。正極板13の集電体には、正極活物質ペーストが塗布されている。正極活物質は、公知のものが使用されてよく、鉛粉、鉛丹、硫酸鉛、塩基性硫酸鉛、添加剤等を含む正極用活物質ペーストを充填した後に、これを乾燥させて得ることができる。なお、化成化によって、正極活物質は、集電体との界面において、二酸化鉛(PbO2)となる。以下に、正極板13の集電体の製造方法を説明する。
先ず、本発明による正極集電体の材料を説明する。本発明によると、鉛含有粉末として、鉛粉末又は鉛系合金粉末を用い、アンチモン含有粉末として、アンチモン単体粉末又は鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)粉末を用いる。尚、アンチモン単体金属粉末の代わりにビスマス単体金属粉末、又は、アンチモン単体金属粉末とビスマス単体金属粉末の混合粉末を用いてもよい。これについては後に説明する。
鉛系合金粉末は、鉛をベースとして、錫、カルシウム、アンチモン、バリウム、銀、ビスマスのうちの少なくとも一つ以上の合金元素を含む。鉛系合金粉末は鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金であってよく、鉛−錫(Pb-Sn)合金粉末であってよい。アンチモン単体金属粉末の代わりにビスマス単体金属粉末、又は、アンチモン単体金属粉末とビスマス単体金属粉末の混合粉末を用いてもよい。鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)はPbSb2O6であってよい。
これらの粉末は、乾燥空気中に溶融金属を噴霧することによって急冷凝固粉末を生成するガスアトマイズ法によって作製することができる。
鉛含有粉末とアンチモン含有粉末を混合し、混合粉末を粉末圧延によって成形し、シートにする。こうして形成された圧延シートは、アスペクト比3〜13の特定方向に配向した結晶粒子により構成される組織を有する。
この圧延シートを切り出して、集電体を形成する。圧延シートをエキスパンド加工することにより格子構造を有する集電体を形成してよい。また、鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)鋳造合金シートを母材とし、その上に、この圧延シートの薄膜を張り合わせたクラッド状の集電体であってよい。
図2は、本発明による集電体の製造に用いる粉末圧延装置の基本構成を示す。本例の粉末圧延装置は、第一ホッパー21、第一ベルトコンベア22、第二ホッパー23、水平対向第一圧延ロール24a、24b、垂直対向第二圧延ロール25a、25b、及び、圧延シート巻き取り機26を有する。
図2Aは、正極板13の集電体の材料である圧延シートを製造する方法を示す。第一ホッパー21には、正極板の集電体の原料である混合粉末が投入される。第一ホッパー21から落下した混合粉末27は、第一ホッパー21と第一ベルトコンベア22の間の隙間(スリット)を通り、第二ホッパー23に搬送される。原料は、水平対向第一圧延ロール24a、24bを通過することによって、厚さ1mmの圧延シートとなる。この圧延シート28は、更に、垂直対向第二圧延ロール25a、25bを通過することによって、再圧延され、厚さ0.5mmの集電体用の圧延シート29となる。こうして作製された圧延シート29は、圧延シート巻き取り機26によってロール状に巻き取られる。
図2Bは、正極板13の集電体の材料である2層構造の圧延シートを製造する方法を示す。本例では、原料は、水平対向第一圧延ロール24a、24bを通過することによって、厚さ100μmの圧延シートとなる。この圧延シート28と厚さ2.5mmの鋳造圧延シート30を重ねて、垂直対向第二圧延ロール25a、25bを通過させる。それによって、厚さ0.5mmの集電体用の圧延シート31となる。この圧延シート31は、母材の上に薄膜状の圧延シートが張り合わされた、即ち、クラッド化して、形成される。こうして作製された圧延シート31は、圧延シート巻き取り機26によってロール状に巻き取られる。
図3を参照して、本発明による鉛蓄電池用の正極集電体の製造方法を説明する。ステップS101にて、第1の粉末である鉛含有粉末を用意する。鉛含有粉末は、鉛粉末又は鉛系合金粉末からなる。ステップS102にて、第2の粉末であるアンチモン含有鉛粉末を用意する。アンチモン含有粉末は、アンチモン単体粉末、又は、鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)粉末からなる。尚、アンチモン単体粉末の代わりに、ビスマス単体粉末、アンチモン単体粉末とビスマス単体粉末の混合粉末を用いてもよい。これらの粉末は、ガスアトマイズ法によって作製することができる。ガスアトマイズ法は、乾燥空気中に溶融金属を噴霧することによって急冷凝固粉を生成する方法である。
ステップS103にて、第1の粉末と第2の粉末を混合して混合粉末を生成する。ステップS104にて、混合粉末を粉末圧延することによって、圧延シートを作製する。圧延シートは、図2に示した粉末圧延装置を使用して作製する。
ステップS105にて、圧延シートから集電体を形成する。平板状の正極板を作製する場合には、圧延シートを矩形に切り出す。格子状の正極板を作成する場合には、矩形に切り出した圧延シートにカッターにより切り込みを入れ、両端を均等に引っ張る。こうして、製造された集電板に正極活物質のペーストを塗布し、乾燥させることによって、正極板が形成される。
図4は、圧延シートの組織を示す写真である。このような組織像は、圧延シートをエッチング液に浸した後に撮像することによって得られる。図示のように、圧延シートの組織は、粉末圧延の原料であるガスアトマイズ粉末の微粒子からなり、粒子径の縦横比であるアスペクト比は、3〜13である。この組織内にアンチモン単体粒子がランダムに分散している。
図5を参照して、本発明による鉛蓄電池用の集電体を評価するために行った実験の手順を説明する。ステップS201にて、正極集電体を作成した。ステップS202にて、化成化済みの負極を用意した。ステップS203にて、正極、負極、及び、セパレータ等を組み立てて、単板セルを作製した。ステップS204にて、正極の化成化を行った。ステップS205にて、深放電サイクルを行った。深放電サイクルの条件は図7に示し、深放電サイクルの結果は図8に示す。
図6は、実験に使用した正極板の集電体の構造の例を示す。図6Aは、平板状の正極板の構造の例を示し、図6Bは、エキスパンド加工により形成された格子状の正極板の例を示す。図6Aに示すように、平板状の正極板は、反応活物質が塗布された正極活物質塗布部62と耐硫酸性粘着性絶縁テープでマスキングされたマスキング部61を有する。正極活物質塗布部62には、直径5mmの5つの貫通孔63が設けられている。マスキング部61には、鉛線であるリード線65がはんだ付けにより、接続されている。図6Bに示すように、格子状の正極板は、2つのマスキング部61a、61bとその間の活物質塗布部64を有する。正極活物質塗布部64は格子状又はメッシュ構造である。メッシュ構造は、カッターによって切り込みを生成し、2つのマスキング部61a、61bを均等に引っ張ることによって形成される。
第1の粉末として、鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム合金のガスアトマイズ粉末を用意し、第2の粉末として、アンチモン単体のガスアトマイズ粉末を用意し、両者の混合粉末を調製した。混合粉末におけるアンチモン単体の含有率は、3重量%であった。この混合粉末から、図2に示す粉末圧延装置を用いて、圧延シートを作製した。こうして生成した圧延シートを用いて以下に説明する3種類の集電体を作製した。尚、これとは別に、3種類の比較例を作製した。
(1)第1の集電体は、図6Aに示す板状の集電体である。先ず、図3に示した方法によって圧延シートを作製した。上述のように、鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム合金のガスアトマイズ粉末とアンチモン単体のガスアトマイズ粉末の混合粉末を用意する。この混合粉末を、水平対向第一圧延ロール24a、24bを通すことによって、厚さ1mmの圧延シートを作製し、それを垂直対向第二圧延ロール25a、25bによって再圧延し、0.5mmの厚さの圧延シートを作製した。この圧延シートを切り出して、図6Aに示す板状の集電体を作製した。従って、第1の集電体の組成は、混合粉末及び圧延シートの組成と同一である。
(2)第2の集電体は、クラッド化した集電体である。第2の集電体は、母材である厚さ2.5mmの鋳造圧延シートの上に厚さ100μmの粉末圧延シートを張り合わせて、即ち、クラッド化して、作製した。母材の鋳造圧延シートは、Pb−1.6%Sn−0.08%Ca鋳造圧延合金であり、クラッド相に用いる粉末圧延シートは、第1の集電体を構成する圧延シートと同一組成を有する。こうして母材の上に薄膜を重ねた状態で、図2Bに示すように、粉末圧延装置の垂直対向第二圧延ロール25a、25bで圧延する。それによって、表面のクラッド相の厚さが20μm、全体の厚さが0.5mmの第2の集電体が形成される。
(3)第3の集電体は、図6Bに示す格子状又は網目上の集電体である。第1の集電体と同様に、圧延シートを板状に切り出し、それをエキスパンド加工することによって作製した。エキスパンド加工は、平板状の集電体の表面にカッターで長さ5mmの切開部を約1mm間隔で設け、左右に均等に引っ張ることにより、格子又は網目を形成する。即ち、カッターの切れ目と切れ目の間が格子骨になる、いわゆるエキスパンド格子が形成される。エキスパンド格子の厚さは約0.5mmである。
こうして形成された3種類の集電体の一方の面に、図6Aに示すように、化成化されていない正極反応活物質ペーストを塗布した。正極活物質塗布部62の寸法は、30mm×15mm×0.5mmtであり、正極活物質の塗布量は1.8gであった。正極活物質塗布部62以外の部分はマスキング部61であり、耐硫酸性粘着性絶縁テープでマスキングされている。図6Bに示すように、第3の集電体の場合、正極活物質塗布部62の面積は、格子状の領域の投影面積である。図6Aに示すように、第1及び第2の集電体の場合、正極活物質塗布部62に直径5mmの5つの孔63を形成した。これらの孔63は、中心とその周辺に均等に配置した。
(4)3つの比較例を作製した。これらの比較例は、正極の集電体の材料として従来技術による合金を用いている。第1の比較例では、鉛−5%錫−5%アンチモン鋳造圧延材、第2の比較例では、鉛−5%アンチモン鋳造圧延材、第3の比較例では、鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム鋳造圧延材を用いた。これらの材料を用いて、図6Aに示すように、板状の集電板を形成した。これらの比較例の正極活物質塗布部62の面積及び塗布量は、第1の集電体と同様であり、また、正極活物質塗布部62に直径5mmの5つの孔を形成した。
図7は、本例の実験にて使用した深放電サイクルの条件を示す。充電放電とも、温度25℃、電流36mAであった。
図8は深放電サイクル結果を示し、縦軸は、反応活物質の利用率、横軸は充放電サイクル数である。曲線80は、本発明による第1の集電体の反応活物質の利用率の変化を示す。曲線81は、第1の比較例である鉛−5%錫−5%アンチモン鋳造圧延材の反応活物質の利用率の変化を示す。曲線82は、第2の比較例である鉛−5%アンチモン鋳造圧延材の反応活物質の利用率の変化を示す。曲線83は、第3の比較例である鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム鋳造圧延材の反応活物質の利用率の変化を示す。
曲線83に示すように、第3の比較例である鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム鋳造圧延材の場合、早期に反応活物質の利用率の低下、即ち、充放電サイクル特性が劣化する。これは、早期容量低下が発生していること示す。曲線81に示すように、第1の比較例である鉛−5%錫−5%アンチモン鋳造圧延材の場合、サイクル初期に、反応活物質の利用率が低下し、早期容量低下と同様な挙動を示すが、サイクルの途中で、反応活物質の利用率が上昇し、早期容量低下が抑制されていることが観察される。曲線82に示すように、第2の比較例である鉛−5%アンチモン鋳造圧延材の場合、曲線81の第1の比較例である鉛−5%錫−5%アンチモン鋳造圧延材に比べて、サイクル初期から高い反応活物質の利用率を維持し、早期容量低下が抑制されていることが示されている。
一方、本発明による第1の集電体の場合、曲線80にて示すように、サイクル初期から高い反応活物質の利用率を維持している。第1の集電体におてるアンチモン単体の含有率は、3重量%であった。これは、比較例におけるアンチモンの含有率より小さい。しかしながら、第1の集電体における反応活物質の利用率は、比較例の場合より高い値で安定している。これはアンチモン金属単体が、集電体と反応活物質の接触界面において、従来のアンチモン含有鉛系合金におけるアンチモンの挙動と比べて、効率よく有効に機能していることを示している。
図8に示していないが、クラッド相を有する第2の集電体、及び、格子状構造を有する第3の集電体の場合も、同様であり、サイクル初期より高い反応活物質の利用率を維持した。
曲線81の第1の比較例である鉛−5%錫−5%アンチモン鋳造圧延材は、サイクル初期に早期容量低下と同様な挙動を示した。この原因は、第1の比較例である鉛−5%錫−5%アンチモン合金が、第2の比較例である鉛−5%アンチモン合金集電体と比較して、アンチモン溶出に対する高い耐食性能を有することにあると考えられる。第1の比較例である鉛−5%錫−5%アンチモン鋳造圧延材の場合、第2の比較例である鉛−5%アンチモン合金集電体の場合に比べて、高い耐食性能のために、集電体と反応活物質の間の界面に対するアンチモンイオンの供給が遅れると考えられる。
本発明による第1の集電体の場合、このような挙動が現れず、サイクル初期から安定性に優れた反応活物質の利用率を維持し、早期容量低下抑制が明確である。
第1の粉末として、鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム合金のガスアトマイズ粉末を用意し、第2の粉末として、鉛アンチモン複合酸化物PbSb2O6粉末を用意した。第2の粉末である鉛アンチモン複合酸化物PbSb2O6を第1の粉末に対して1%、3%混合して、それぞれ第1及び第2の混合粉末を調製した。2つの混合粉末から、図2に示す粉末圧延装置を用いて、圧延シートを作製した。即ち、水平対向第一圧延ロール24a、24bによって、厚さ1mmの圧延シートを作製し、それを垂直対向第二圧延ロール25a、25bによって再圧延し、0.5mmの厚さの圧延シートを作製した。こうして、第1の混合粉末から第1の圧延シートが作製され、第2の混合粉末から第2の圧延シートが作製された。
この圧延シートの組成を観察したところ、鉛アンチモン複合酸化物PbSb2O6粒子がランダムに分散していた。これらの2種類の圧延シートを切り出し、通常使用されている正極活物質ペーストを塗布して、図6Aに示した平板状の正極及び図6Bに示したエキスパンド加工による格子状の正極を製造した。この正極を用いて、図5に示した手順に従って、単板セルを製造し、深放電サイクルを行った。深放電サイクル条件は、図7に示した通りである。図8と同様に、縦軸を反応活物質の利用率、横軸を充放電サイクル数とするグラフを作製した。それによると、第1の混合粉末(1% PbSb2O6)から作製した集電体の場合と、第2の混合粉末(3% PbSb2O6)から作製した集電体の場合のいずれも、サイクル終盤まで、反応活物質の利用率は、40%以上を維持し、早期容量低下の抑制効果が得られたことが示された。
第1の粉末として、鉛−3%錫合金のガスアトマイズ粉末を用意し、第2の粉末として、純度99.9%のビスマス(Bi)のガスアトマイズ粉末を用意し、両者を混合して混合粉末を調製した。混合粉末におけるビスマス(Bi)の含有率は5重量%であった。この混合粉末から、図2に示す粉末圧延装置を用いて、圧延シートを作製した。即ち、水平対向第一圧延ロール24a、24bによって、厚さ1mmの圧延シートを作製し、それを垂直対向第二圧延ロール25a、25bによって再圧延し、0.5mmの厚さの圧延シートを作製した。
この圧延シートの組成を観察したところ、ビスマス(Bi)粒子がランダムに分散していた。この圧延シートを切り出し、通常使用されている正極活物質ペーストを塗布して、図6Aに示した平板状の正極及び図6Bに示したエキスパンド加工による格子状の正極を製造した。この正極を用いて、図5に示した手順に従って、単板セルを製造し、深放電サイクルを行った。深放電サイクル条件は、図7に示した通りである。図8と同様に、縦軸を反応活物質の利用率、横軸を充放電サイクル数とするグラフを作製した。それによると、サイクル終盤まで、反応活物質の利用率は、40%以上を維持し、早期容量低下の抑制効果が得られたことが示された。
上述の実施例において、第1の粉末として、実施例1、2では、鉛−1.6%錫−0.08%カルシウム合金、実施例3では、鉛−3%錫合金、を用いた。しかしながら、本発明によると、第1の粉末として、鉛をベースとして、錫、カルシウム、アンチモン、バリウム、銀、ビスマスのうちの少なくとも一つ以上の合金元素を含む合金を用いてよい。
上述の実施例において、第2の粉末として、実施例1では、アンチモン単体、実施例2では、鉛アンチモン複合酸化物PbSb2O6、実施例3では、ビスマス単体、を用いた。しかしながら、アンチモン単体の代わりに、アンチモン単体粉末とビスマス単体粉末の混合粉末を用いてもよい。更に、鉛アンチモン複合酸化物PbSb2O6、の代わりに、他の組成の鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)を用いてもよい。
また、実施例では、正極の集電体を作製したが、本発明は負極の集電体にも適用可能である。
本発明によると、集電体に含まれるアンチモン単体からアンチモンイオンを溶出させる。即ち、アンチモンを腐食又は酸化させる。それによって、集電体と反応活物質の接触界面において、反応活物質であるβ−PbO2を、放電過電圧が同一の放電電流に対して高いα-PbO2に変化させる。又は、集電体と反応活物質の接触界面にて、鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)を生成する。それによって、早期容量低下を抑制することができる。
このような反応機構は、鉛蓄電池の集電体ばかりでなく、様々な、金属表面環境に適用可能である。
本発明は、鉛含有粉末と単一金属粉末の混合粉末を圧延成形することによって、金属表面の組成を制御し、金属表面での反応を制御する腐食環境において、問題となる機能性材料、構造材料等への適用の可能性がある。
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者により容易に理解されよう。
本発明による鉛蓄電池の構成を示す図である。 本発明による鉛蓄電池の正極集電体の製造に用いる粉末圧延装置の構成を示す図である。 本発明による鉛蓄電池用の正極集電体の製造方法を説明する図である。 本発明による鉛蓄電池用の正極集電体に用いる圧延シートの組織を示す図である。 本発明による鉛蓄電池用の正極集電体を評価するために行った実験の手順を示す図である。 本発明による鉛蓄電池用の正極集電体を評価するために行った実験に使用した正極板の集電体の構造の例を示す図である。 本発明による鉛蓄電池用の正極集電体を評価するために行った実験に使用した深放電サイクルの条件を示す図である。 本発明による鉛蓄電池用の正極集電体を評価するために行った実験の結果を示す図である。
符号の説明
11…負極ターミナル、12…正極ターミナル、13…正極板、14…負極板、15…セパレータ、16…硫酸電解液、17…電槽、18…電槽蓋、21…第一ホッパー、22…第一ベルトコンベア、23…第二ホッパー、24a、24b…水平対向第一圧延ロール、25a、25b…垂直対向第二圧延ロール、26…圧延シート巻き取り機、29、31…圧延シート、61、61a、61b…マスキング部、62…正極活物質塗布部、63…貫通孔、

Claims (19)

  1. 鉛粉末又は鉛系合金粉末と金属単体粉末とを含む混合粉末を粉末圧延することによって形成され、アスペクト比3〜13の特定方向に配向した結晶粒子により構成される組織を有することを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  2. 請求項1記載の鉛蓄電池の極用集電体において、上記金属単体粉末は、アンチモンとビスマスの少なくとも一方の粉末であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  3. 鉛粉末又は鉛系合金粉末と鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)とを含む混合粉末を粉末圧延することによって形成され、アスペクト比3〜13の特定方向に配向した結晶粒子により構成される組織を有することを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  4. 請求項3記載の鉛蓄電池の極用集電体において、上記鉛アンチモン複合酸化物はPbSb2O6であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  5. 請求項1又は3記載の鉛蓄電池の極用集電体において、上記鉛系合金粉末は、鉛をベースとして、錫、カルシウム、アンチモン、バリウム、銀、ビスマスのうちの少なくとも一つ以上の合金元素を含むことを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  6. 請求項5記載の鉛蓄電池の極用集電体において、上記鉛系合金粉末は、鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金粉末であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  7. 請求項5記載の鉛蓄電池の極用集電体において、上記鉛系合金粉末は、鉛−錫(Pb-Sn)合金粉末であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  8. 請求項1又は3記載の鉛蓄電池の極用集電体において、上記混合粉末を粉末圧延することによって形成された圧延シートをエキスパンド加工することにより形成された格子構造を有することを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  9. 母層第一層と該第一層に圧延圧着した第二層を有する2層構造を有し、上記第一層は、鉛−錫−カルシウム合金を含み、上記第二層は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の集電体と同一の組成を有することを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体。
  10. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、該両電極に挟まれたセパレータと、該正極、負極、及び、セパレータを含浸する電解液と、を有し、
    上記正極と上記負極の少なくとも一方の集電体は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の集電体であることを特徴とする鉛蓄電池。
  11. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、該両電極に挟まれたセパレータと、該正極、負極、及び、セパレータを含浸する電解液と、を有し、
    上記正極と上記負極の少なくとも一方の集電体は、請求項9に記載の集電体であることを特徴とする鉛蓄電池。
  12. 鉛粉末又は鉛系合金粉末からなる第1の粉末を用意するステップと、
    アンチモン単体、ビスマス単体、又は、鉛アンチモン複合酸化物(PbxSbyOz)からなる第2の粉末を用意するステップと、
    上記第1の粉末と上記第2の粉末を混合して混合粉末を生成するステップと、
    上記混合粉末を粉末圧延することによって、アスペクト比3〜13の特定方向に配向した結晶粒子により構成される組織を有する圧延シートを生成するステップと、
    上記圧延シートを切り出すことによって集電体を形成するステップと、
    を含む鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法において、
    上記鉛系合金粉末は、鉛をベースとして、錫、カルシウム、アンチモン、バリウム、銀、ビスマスのうちの少なくとも一つ以上の合金元素を含むことを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  14. 請求項13に記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法において、
    上記鉛系合金粉末は、鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)合金粉末であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  15. 請求項13記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法において、上記鉛系合金粉末は、鉛−錫(Pb-Sn)合金粉末であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  16. 請求項12に記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法において、上記鉛アンチモン複合酸化物はPbSb2O6であることを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  17. 請求項12に記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法において、更に、
    上記圧延シートをエキスパンド加工することにより格子構造を有する集電体を形成するステップを含むことを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  18. 請求項12に記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法において、
    上記圧延シートを生成するステップは、
    鉛−錫−カルシウム(Pb-Sn-Ca)鋳造合金シートを製造するステップと、
    上記鋳造合金シートの上に上記圧延シートを重ねて圧延して2層構造の圧延シートを生成するステップと、
    を含むことを特徴とする鉛蓄電池の極用集電体の製造方法。
  19. 請求項12から18のいずれか1項に記載の鉛蓄電池の極用集電体の製造方法によって集電体を製造するステップと、
    上記集電体に反応活物質を塗布するステップと、
    上記反応活物質が塗布された集電体によって正極を構成するステップと、
    既に化成化済みの負極を用意するステップと、
    上記正極と上記負極の間にセパレータを挿入して電解液に浸けるステップと、
    上記正極を化成化するステップと、を含む鉛蓄電池の製造方法。
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