JP5115107B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は鉛蓄電池の正極に関する。
鉛蓄電池は二次電池のなかでも低温特性に優れ、電池特性とコスト面でバランスのとれた二次電池である。鉛蓄電池は単位体積あたりの重量がリチウム二次電池等に比べて大きく、エネルギー密度の点で課題があった。しかし、鉛蓄電池は、水溶液系電池としては取り扱いが容易であるばかりでなく、鉛極板の水素発生の反応過電圧(水素過電圧),酸素発生の反応過電圧(酸素過電圧)が高いことにより水の分解電圧を大きく超える2ボルトの単電池電圧が得られる。そのため、車社会等で不可欠な二次電池として広く普及している。
鉛蓄電池の有する課題の一つに早期容量低下(PCL:Premature Capacity Loss)がある。早期容量低下は、正極の集電体の表面に、硫酸鉛(PbSO4)等の電気伝導性のない不働体膜が生成されることによって起きる。早期容量低下は、正極集電体と反応活物質の接触界面に、一酸化鉛(PbO)が生成されても起きる。
一般に、鉛蓄電池の正極集電体と反応活物質の接触界面では、集電体の表面酸化物と反応活物質が接触している。そのため正極集電体と反応活物質の密着性を高めるには、集電体表面に、反応活物質である二酸化鉛(PbO2)と同一の二酸化鉛(PbO2)が緻密に生成されていることが望ましい。
一方、集電体の表面に一酸化鉛(PbO)が生成されると、正極集電体と反応活物質の間の密着性(電子伝導性)が低下する。更に、一酸化鉛(PbO)は、二酸化鉛(PbO2)とは異なり、高い電気抵抗を有する。こうして、正極集電体と反応活物質の接触界面に、一酸化鉛(PbO)が生成されると、充電電流が流れなくなり、早期容量低下が起きる。
そこで、集電体の表面は、二価(II)の酸化物である酸化鉛(PbO)から、四価(IV)の酸化物である二酸化鉛(PbO2)まで迅速に酸化されるのが望ましい。即ち、集電体表面は、早急に、二酸化鉛(PbO2)によって緻密に覆われることが、必要である。
早期容量低下対策として、正極集電体にアンチモン含有鉛系合金を使用することが有効であることが知られている。
特許文献1(特開昭63−164166号公報)には、カルシウム0.01〜0.2%に対してアンチモンが0.01〜2.00%である鉛−錫(0.5〜2.0%)−カルシウム−アンチモン合金が記載されている。
特許文献2(特許第3102000号)には、母材である鉛−カルシウム合金の表面に、カルシウムを含まない鉛−アンチモン合金(アンチモン0.005wt%〜0.250wt%)を張り合わせることにより正極集電体を形成することが記載されている。
特許文献3(特許第3156333号)には、早期容量低下対策として、母材である鉛−錫−カルシウム合金の表面に、鉛−錫−アンチモン合金の薄膜を重ね合わせ、冷間圧延によって一体化した鉛系合金シートを集電体として使用することが記載されている。
特許文献4(特開2005−32532号)には、カーボン粒子と酸化物を鉛粉末中に混合させ、粉末冶金技術により正極集電体を作製する方法が示されている。
特許文献5(特開2006−66173号)には、粉末圧延技術を用いてアンチモン合金である鉛−錫−アンチモン合金集電体を作製することにより、腐食伸びを抑制することが記載されている。正極集電体にアンチモン含有鉛系合金を用いると、早期容量低下対策に有効である。しかし、アンチモンの水素過電圧は鉛の水素過電圧よりも低いため、電解液の水分解反応が促進される弱点がある。すなわち自己放電反応によって水が減少するため、給水の頻度を高くしなければならない、というメンテナンス上の課題がある。
また、鉛−錫−アンチモン合金のように、耐食性のある合金では、アンチモンのイオン化が遅れ、早期容量低下に対する抑制効果が発生するのに、時間的な遅れが生じる。
さらに、鉛蓄電池の正極集電体には、強度及び耐食性が必要であり、カルシウムを含んだ強度及び耐食性に優れた鉛系合金(鉛−錫−カルシウム(Pb−Sn−Ca))が良く、Pb−Sn−Ca合金は、アンチモン含有鉛系合金(Pb−Sb,Pb−Sb−Sn)と比較して、自己放電反応が少なく、メンテナンス上も有利である。しかし、正極格子としてアンチモン含有鉛(Pb−Sb,Pb−Sb−Sn)系合金の代わりに鉛−錫−カルシウム(Pb−Sn−Ca)合金を使用すると、早期容量低下の問題が生じる。
しかし、アンチモンと鉛−錫−カルシウム合金の組み合わせると、鉛−錫−カルシウム合金の溶湯にアンチモンが含まれるとカルシウムとアンチモンの組み合わせによって毒性ガスであるスチビン(SbH3)が発生する。
特開昭63−164166号公報 特許第3102000号公報 特許第3156333号公報 特開2005−32532号公報 特開2006−66173号公報 T. Laitinen 他4名.「The Effect of Antimony on The Anodic Behaviour of Lead in Sulphuric Acid Solutions-I. Voltammetric Measurements」Electrochimica Acta, Vol.36,No.3/4,pp.605−614,(1991)
本発明が解決しようとする課題は、従来のようなアンチモン含有鉛系合金を使用することなく早期容量低下を抑制することができる鉛蓄電池を提供することにある。
本発明は、正極格子体と該正極格子体を充填する正極活物質とを有する正極において、
正極格子体が、アンチモンを含まずPb−Ca−Sn合金を主として含む基材と、基材を被覆する表面層とを有し、表面層は、Pb−Sn粉末とAl系金属粉末とを含む混合粉末が圧延されて構成されており、前記Al系金属粉末は、アルミニウム,アルミニウム−リン合金又はアルミニウム−リン複合酸化物の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
また、前記アルミニウム−リン複合酸化物は、AlPO4 であることを特徴とする。
さらに、表面層中のAl系金属粉末の含有量は、0.5wt%〜3wt%が好ましい。
本発明によれば、早期容量低下を抑制することができる鉛蓄電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、表面層にAl系金属を加えることが早期容量低下抑制に有効であり、Pb−Sn合金に対して固溶限以上に含有させることによって、α−PbO2生成促進と、低耐食性化により、反応活物質と集電体腐食層界面の密着性を高める効果があることを見い出した。しかし、従来の鋳造圧延法によっては、Pb−Sn合金中に固溶限以上のAl系金属を含有させることは困難であり、Pb−Sn合金粉末とAl系金属粉末のうち少なくとも一つを含む混合粉末を圧延することによって解決するに至った。
Al系金属粉末は、Al,AlP,AlPO4の少なくともいずれか一つを含むことが好ましい。
また、Al系金属粉末は、Pb−Sn合金に対して0.5wt%〜3wt%含むことが好ましい。
本発明では、集電体と反応活物質の接触界面において、Al,Pが腐食又は酸化することにより、集電体からAl又はPイオンが溶出する。溶出したAlまたはPイオンは、集電体と反応活物質の接触界面に供給され、接触界面におけるα−PbO2の生成及び鉛−アルミニウム−リン複合酸化物の生成が促進され、集電体と反応活物質の接触界面の密着性も向上するため、早期容量低下が抑制される。
また、Al,AlPの腐食即ち酸化を促進させるには、それらをPb−Sn相に固溶、すなわち合金化させることより、それぞれを単独で存在させるほうが有利である。Al,AlPあるいはAlPO4単体の腐食速度は、Pb−Sn相に合金化されたものよりも高いため、集電体と反応活物質の接触界面にAlまたはPイオンを迅速に供給させることができる。
その結果、集電体と反応活物質の接触界面におけるα−PbO2の生成及び鉛−アルミニウム−リン複合酸化物の生成が促進され、集電体と反応活物質の接触界面の密着性も向上するため、早期容量低下が抑制される。
そこで、本発明では、集電体の表面層の材料として、Pb−Sn合金相にAl,AlP,AlPO4粒子を単独で分散させ、圧延したものを用いる。
表面層は、アスペクト比3〜13である結晶粒子を有することが好ましい。
混合粉末の平均粒径は5μm以上,50μm以下であることが望ましい。Pb−Sn合金粉末の平均粒径が5μm以下では、粉末の流動性低下により粉末圧延が困難となり、50μm以上では、Al,AlP,AlPO4粗大粒が硫酸電解液による溶解、すなわちイオン化が遅滞する原因となるので好ましくない。
基材としては、アンチモンを含まずPb−Ca−Sn合金を主として含む合金である。
本発明の鉛蓄電池の正極格子体は、アンチモンを含まずPb−Ca−Sn合金を主として含む基材と、基材の上に圧延加工によって被覆された表面層を有し、表面層は、Pb−Sn急冷凝固粉末とアルミニウム(Al)とアルミニウム−リン合金(AlP合金)の少なくとも一方の粉末とを含む混合粉末の圧延層で構成されている。
表面層におけるSnの含有量は0.3wt%以上,1.2wt%未満であることが望ましい。この範囲のSnの含有量では腐食速度が大きく、早期に活物質との密着が図られるため、活物質と腐食層界面にβ−PbO2が生成されるのを抑制する効果がある。β−PbO2は深放電サイクルにおいて、極めて早い段階で硫酸鉛化し、不働態層を形成して早期容量低下の原因となる。
また、Sn量が0.3wt%以下では強度が低く、延性が大きいため、基材表面に圧着しにくく、1.2wt%以上では、活物質との密着性が損なわれるため、好ましくない。
本発明の鉛蓄電池の正極格子体は、アンチモンを含まずPb−Ca−Sn合金を主として含む基材と、基材の上に圧延加工によって被覆された表面層を有し、上記表面層は、Pb−Sn急冷凝固粉末とアルミニウム−リン酸化物(AlPO4)とを含む混合粉末の圧延層で構成されている。
(実施例1)
以下に、本発明の実施例について適宜図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
まず、図3及び図4に示す圧延装置を用いて、圧延シートを作成した。圧延シートは、図2に示すとおり、基材10とその上の基材10よりも厚みが小さい表面層11を含んでおり、両者は一体化されている。基材10はPb−Ca−Sn合金で構成し、また、表面層11は、Pb−Sn合金急冷凝固粉末とAlの粉末とを含む混合粉末を圧延加工することによって形成した。
具体的には、ホッパ18に投入されたPb−Sn合金急冷凝固粉末とAl粉末とを含む混合粉末19を、粉末圧延ロール20によって圧延し、表面層の原材料である粉末圧延シート21を得た。粉末圧延シート21は、基材の原材料である基材圧延シート22に重ね合わせて圧延ロール23に挿入し、基材10と表面層11からなる2層の圧延シート24を作成した。
ここで基材圧延シート22は、Pb−Ca−Sn合金を主として含むが、基材圧延シート22は、従来技術にある鋳造圧延シートでもよい。
また、表面層中のSnの含有量は0.5〜1.0wt%、Alの含有量は1.0〜3.0wt%で調節し、残りをPbとした。
さらに、基材10の厚さが表面層11の厚さより大きくなるように圧延シート24を作成した。
尚、急冷凝固粉は、Pb−Sn合金の溶湯を乾燥空気中に噴霧することによって得た。また、窒素等の不活性ガス雰囲気中に噴霧することによっても得ることができ、高速で回転する円盤上に滴下させることによっても得ることができる。
図4に示す例では、先ず、混合粉末19を型に入れ、加圧成型することによって成型板26を製造する。この成型板26は、一段目圧延ロール25によって圧延され、表面層の原材料である粉末圧延シート21が得られる。粉末圧延シート21は、基材の原材料である基材圧延シート22に重ね合わせて圧延ロール23に挿入し、基材10と表面層11からなる2層の圧延シート24を作成した。
次に、圧延シートに打ち抜き加工をすることによって網状体の正極格子体5を作成した。また、正極格子体は、圧延シートに切込みを入れて引き伸ばすエキスパンド加工によっても得ることが出来る。そして、正極格子体5の集電体に、鉛粉,鉛丹,硫酸鉛,塩基性硫酸鉛,添加剤を含むペースト状の正極活物質4を充填した。その後に、これを乾燥させ正極を得た。なお、正極格子体5の集電体に接する正極活物質4は、化成することによって二酸化鉛(PbO2)となる。
図1に示すように、実施例1で用いた単板鉛蓄電池は、正極1,負極2、及び、セパレータ3を有し、これらの部材は、硫酸(H2SO4)を含む電解液によって含浸されている。正極1は、正極格子体5と正極格子体5の隙間を充填する正極活物質4を有し、同様に、負極2は、負極格子体7と負極格子体7の隙間を充填する負極活物質6を有する。正極1には正極耳8が接続され、負極2には負極耳9が接続されている。正極耳8及び負極耳9は、負荷に接続するための端子に接続される。
ここで図5は、表面層11のミクロ組織模式図を示す。組織はPb−Sn合金からなる結晶とAlからなる結晶の混合組織からなり、Pb−Sn合金からなる結晶は、圧延によってアスペクト比3〜13である結晶粒子で構成されている。
また、作成した圧延シートを用いて腐食試験を行った。腐食試験は、温度が75℃、電解液が比重1.28の硫酸水溶液を用いて、各シートに対して電流密度10mA/cm2で6時間充電し、次に、6時間休止するサイクルを14回繰り返し実施した。この際、対極には、鉛電極を用いた。腐食量は、厚さ方向に沿って測定した侵食深さで示した。得られた結果を、表1にA〜Fとした。
なお、表面層11は、厚さ0.6mmのPb−Ca−Sn合金基材との一体化前の圧延シートである。
Figure 0005115107
(実施例2)
実施例1におけるAl粉末の代わりにAlP粉末を用いて、AlP粉末とPb−Sn合金急冷凝固粉末とを含む混合粉末の圧延シートを作成した。その他については実施例1と同様の方法で正極格子体を作成した。その際に、表面層中のSnの含有量を0.5〜1.0wt%、AlPの含有量を1.0〜3.0wt%で調節し、残りをPbとした。
また、腐食試験を行い表1に示すとおりG〜Lとした。
(実施例3)
実施例1におけるAl粉末の代わりにAlPO4粉末を用いて、AlP粉末とPb−Sn合金急冷凝固粉末とを含む混合粉末の圧延シートを作成した。その他については実施例1と同様の方法で正極格子体を作成した。その際に、表面層中のSnの含有量を0.5〜1.0wt%、AlPO4の含有量を1.0〜3.0wt%で調節し、残りをPbとした。
また、腐食試験を行い表1に示すとおりM〜Rとした。
実施例1〜3の圧延シートでは、顕著に腐食量が多く、耐食性が劣ることがわかる。正極活物質との密着性を確認するために行った剥離試験においても、腐食量の多い本発明に係わる圧延シートでは、残存する活物質量が多く、明らかに活物質との密着性が高いことが確認された。
(比較例1)
Pb−Sn合金急冷凝固粉末による圧延シートを作成した。その他については実施例1と同様の方法で正極格子体を作成した。その際に、表面層中のSnの含有量を0.2〜1.5wt%で調節し、残りをPbとした。
また、腐食試験を行い表1に示すとおりS〜Vとした。
(実施例4)
上記の腐食試験後に、表2に示した成分の表面層11の腐食層(酸化層)をX線回折観察して、α−PbO2の生成量を求めた。ここで、β−PbO2は深放電サイクルにおいて、極めて早い段階でPbSO4化し、不働態膜を形成、すなわち早期容量低下を招くことから、α−PbO2/β−PbO2比で評価した。その結果を、W〜Yとした。本発明に係わる表面層11は、比較例に比べて優れたα−PbO2生成能力を有していることがわかった。
また、本発明による表面層におけるAl,AlP,AlPO4の含有量は、0.5wt%以下では耐食性を低下させ、活物質との密着性を高める効果が小さく、3wt%では、混合粉末として圧延する時に、加工硬化して割れが発生するので、0.5wt%以上,3wt%以下が好ましい。
以上のように、本発明に係わる表面層を有する正極を用いることによって、早期容量低下の原因となる活物質と正極の密着性の向上、α−PbO2の生成量増加に効果がある。
Figure 0005115107
(比較例2)
腐食試験後に、表2に示すとおり、Al,AlP,AlPO4含まない表面層11の腐食層(酸化層)をX線回折して、α−PbO2の生成量を求め、α−PbO2/β−PbO2比で評価した。その結果をZとした。
(実施例5)
実施例5として、自動車用鉛蓄電池と、これに組み込まれる正極格子体について説明する。図8は、本実施形態に係る正極格子体が組み込まれた自動車用鉛蓄電池の構成を説明するための斜視図であり、電槽および電極群の一部に切欠きを含む図である。
鉛蓄電池は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、が電解液及びセパレータを介して形成される。正極36と負極37は、ポリエチレン等の樹脂からなるセパレータ38を介して配置されており、正極36,負極37およびセパレータ38からなる組が、複数積層されることによって積層極板群39を形成している。そして、電槽40内には、硫酸(H2SO4)を含む電解液とともに、6つの積層極板群39が収納されている。電槽40には蓋42が装着されている。
積層極板群39における正極36同士は、正極端子43に接続された正極耳41によって電気的に並列に接続されている。また、負極37同士は、負極端子44に接続された負極耳によって電気的に並列に接続されている。積層極板群39同士は電気的に直列に接続されている。
正極36には、本発明の正極格子体が用いられている。正極格子体の形状は特に限定されず、打ち抜き格子でもエキスパンド格子でも、その他の形状でも、シート状でもよい。深放電サイクル試験を行った結果、Al,AlP,AlPO4を含有する表面層を有する正極いずれの場合も、サイクル終盤まで反応活物質の利用率は40%以上を維持し、早期容量低下の抑制効果が得られた。
本発明によると、正極の表面層に含まれるAl,Pイオンを溶出させる。即ち、Al,Pを腐食又は酸化させる。それによって、集電体と反応活物質の接触界面において、反応活物質であるβ−PbO2を、放電過電圧が同一の放電電流に対して高いα−PbO2に変化させる。又は、集電体と反応活物質の接触界面にて、アルミニウム−リン複合酸化物合酸化(PbxAlyOz)を生成する。それによって、早期容量低下を抑制することができる。
このような反応機構は、鉛蓄電池の集電体ばかりでなく、様々な、金属表面環境に適用可能である。
本発明は、Pb−Sn急冷凝固粉末と、Al,AlP又はAlPO4の少なくとも一つを混合,圧延成型することによって、金属表面の組成を制御し、金属表面での反応を制御する腐食環境において、問題となる機能性材料,構造材料等への適用の可能性がある。
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者により容易に理解されよう。
本発明による正極格子体が組み込まれた単板鉛蓄電池の構成を示す図である。 本発明による正極格子体の構成を示す図である。 本発明による正極格子体に用いる圧延シートの製造プロセスの説明図である本発明による鉛蓄電池用の正極集電体の製造方法を説明する図である。 本発明による正極格子体に用いる圧延シートの製造プロセスの説明図である。 本発明による正極格子体に用いる圧延シート表面層の組織図である。 本発明による正極格子体が組み込まれた自動車用鉛蓄電池の構成を説明するための一部切開斜視図である。
符号の説明
1,36 正極
2,37 負極
3,38 セパレータ
4 正極活物質
5 正極格子体
6 負極活物質
7 負極格子体
8,41 正極耳
9 負極耳
10 基材
11 表面層
18 ホッパ
19 混合粉末
20 粉末圧延ロール
21 粉末圧延シート
22 基材圧延シート
23 圧延ロール
24 圧延シート
25 一段目圧延ロール
26 成型板
27 Pb−Sn合金結晶
28 Al含有合金結晶
39 積層極板群
40 電槽
42 蓋
43 正極端子
44 負極端子

Claims (3)

  1. 正極格子体と前記正極格子体を充填する正極活物質とを有する正極において、前記正極格子体は、アンチモンを含まずPb−Ca−Sn合金を主として含む基材と、前記基材を圧延加工によって被覆する表面層とを有し、前記表面層は、Pb−Sn粉末とAl系金属粉末とを含む混合粉末が圧延されて構成されており、前記Al系金属粉末は、アルミニウム,アルミニウム−リン合金又はアルミニウム−リン複合酸化物の少なくとも一つを含むことを特徴とする鉛蓄電池用の正極。
  2. 前記アルミニウム−リン複合酸化物は、AlPO 4 であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用の正極。
  3. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、が電解液及びセパレータを介して形成される鉛蓄電池において、
    前記正極は、正極格子体を有し、
    前記正極格子体は、アンチモンを含まずPb−Ca−Sn合金を主として含む基材と、前記基材を圧延加工によって被覆する表面層とを有し、
    前記表面層は、Pb−Sn粉末とAl系金属粉末とを含む混合粉末が圧延されて構成されており、前記Al系金属粉末は、アルミニウム,アルミニウム−リン合金又はアルミニウム−リン複合酸化物の少なくとも一つを含むことを特徴とする鉛蓄電池。
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