JP2007265714A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存の有無にかかわらず、容量や寿命ばらつきが少なく、また優れた寿命特性を有した鉛蓄電池を得ること。
【解決手段】Pb−Ca合金からなる正極格子を有した鉛蓄電池であり、この正極格子の格子骨2断面における格子骨全周囲長(L)の14.3〜56.5%に相当する正極格子の格子骨表面にAgを含む表面層3を形成する。好ましくは、表面層を0.25質量%以上のAgを含み、かつSbを含むPb−Ag合金とする。このような構成により、特にセル間の容量ばらつきが抑制される。またばらつきの少なく、優れた寿命特性を得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
鉛蓄電池に用いる正極板は、ごく一般的には、Pbを主体とする合金(Pb合金)製の格子にPbO2を主体とする活物質を充填した構成を有している。格子としての機械的強度や集電効率の他、耐食性や格子−活物質界面での高い密着性が求められる。
正極格子と活物質の界面では、格子であるPbに活物質であるPbO2とが直接的に接しており、局部電池を形成している。したがって、この界面に電解液中の硫酸が存在すると、PbとPbO2がPbSO4に変化する。
このような界面に生成したPbSO4は、充電によってPbO2に変化する。また、放電では、このPbO2が再び還元されてPbSO4となる。電池を繰り返して充放電する間、格子であるPb合金は、充放電によって酸化還元が繰り返されることにより、次第に膨張湾曲する。このような正極格子の膨張湾曲によって、活物質が格子から脱落して電池容量が低下する場合がある。また、膨張湾曲した正極格子が、負極と接触することによって、内部短絡を生じる場合があった。
このような、正極格子表面の腐食を抑制するために、正極格子表面を鉛酸バリウム等の耐酸化性の皮膜で覆うことが試みられてきた。例えば、特許文献1には、正極格子表面を酸化してPbO2とし、この正極格子を、水酸化バリウムを含む液体に浸漬した後に乾燥することによって、PbO2上に水酸化バリウムを析出させ、次いでこれを酸素を含む雰囲気下で、正極格子合金の融点以下で加熱処理することにより、正極格子表面に均一に鉛酸バリウムを形成することが示されている。
また、Pb合金中のAgは、Pb合金の耐食性を向上させる効果を有しているため、正極格子合金中にAgを添加することが知られている。但し、Agは非常に高価であるため、正極格子合金母材にAgを添加すると、電池の製造コストが大幅に上昇するという問題がある。
特許文献2に示されているように、純PbもしくはPb合金の正極格子表面にPb−Ag合金皮膜層を形成することにより、格子表面に集中してAgを配置すれば、Agの使用量を削減できる。なお、特許文献2では、Pb−Ag合金層皮膜を、電解メッキ、蒸着無電解メッキ、溶射およびスパッタリングによって形成することが示されている。
また、格子表面にAgを含むPb合金層を形成するにあたり、特許文献3には、Pb合金のスラブにPb−Ag合金を重ね合わせ、同時に圧延することにより、表面にPb−Ag合金層を形成したPb合金シートを形成することが示されている。このシートにはエキスパンド加工を施して正極格子とする。
さらに、特許文献4には、鉛蓄電池正極格子の耐久性を改善するために、表面にAgとともに、SbとSnを含むPb合金層を形成することが示されている。
特開平8−241710号公報 特開昭63−116363号公報 特開昭63−211567号公報 特開平3−22360号公報
本発明の発明者らの検討によって、正極格子の表面にAgを含む層を配置することにより、正極格子表面の腐食は抑制される。しかしながら、正極格子表面のAgを含む層で覆われる割合を増大すると、正極格子自体の腐食は抑制されるものの、正極格子と活物質との密着性がばらつき、電池容量や寿命のばらつきが多くなることがわかってきた。
一方、特許文献4に示された如く、鉛蓄電池の耐過放電性能や寿命性能を向上する目的で、正極格子表面にSbを含むPb合金層を配置することが有効であるが、時間経過や電池の充放電によって、表面のSbの溶出が早期に進行し、Sbの効果が次第に低下する。
本発明の発明者らは、このような場合、Sbを含むPb合金層中にAg添加することにより、Sbの溶出が抑制され、Sbによる正極活物質改質効果が長期間安定して得られる。このような効果は、Pb合金層中へのAgの添加量0.10質量%、特に好ましくは0.25質量%以上で得られることを新たに見出した。
しかしながら、このようなレベルのAgの添加により、正極格子と活物質との密着性が低下し、正極格子本体の耐食性は改善されるものの、活物質との密着性の低下によって、電池容量が低下し、また、寿命が低下する場合があった。
また、特に、正極活物質となる鉛ペースト(鉛酸化物を水や希硫酸で混練したもの)中に、化成充電効率向上を目的として鉛丹を添加した場合、このような活物質と格子との密着性がより低下する傾向にあった。
本発明は、前記したような、正極格子の耐久性を改善する目的で、その表面にAgを含む層を形成した鉛蓄電池において、正極格子本体の耐久性改善と、正極格子と活物質との密着性とを両立し、電池容量や寿命特性にばらつきの少ない、信頼性の高い鉛蓄電池を提供するものである。
前記した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、Pb−Ca合金からなる正極格子を有し、前記正極格子の格子骨断面における格子骨全周囲長(L)の14.3〜56.5%に相当する前記正極格子の格子骨表面にAgを含む表面層を形成したことを特徴とする鉛蓄電池を示すものである。
また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の構成を有した鉛蓄電池において、前記の表面層は、0.25質量%以上のAgを含み、かつSbを含むPb−Ag合金であることを特徴とする。
本発明によれば、容量や寿命にばらつきが少なく、これらの性能が高位で平準化された鉛蓄電池を得ることができる。
本発明の鉛蓄電池は、Pb−Ca合金からなる正極格子1を有する。このPb−Ca合金中のCaは、正極格子1において、所望とする機械的強度を得るために添加され、その添加量は0.03〜0.1質量%程度である。また同様の目的で0.01〜0.07質量%程度のBaを添加してもよい。
さらに、一般的にPb合金中には、Sb、Bi、Ni、Fe、Zn、Ag、Se、As、S等の元素が不純物として含まれるが、鉛蓄電池の減液性能や寿命性能をはじめとする電池性能に悪影響を及ぼさない程度の含有量、もしくは微量添加することによって、格子強度や耐食性が改善される程度の含有量で含むことは許容でき、この点で、従来の鉛蓄電池と全く変わるところはない。
また、従来から良く知られているように、Pb−Ca合金に含まれるCaと同様、格子合金中にSnを2.0質量%未満の範囲で添加することにより、格子の機械的強度を増大させ、また耐食性も改善する。したがって、本発明においても、このような添加量でSnをPb−Ca合金中に添加することができる。
本発明の鉛蓄電池では、正極格子1における格子骨2の表面には、Agを含む表面層3が形成されている。Agを含む表面層3として、純Ag層を形成することは、性能面およびコスト面からも必要とされず、例として0.08質量%以上、特に好ましくは0.25質量%以上のAgを含むPb−Ag合金とする。特に、0.25質量%以上のAgを有することにより、格子骨2表面の表面層3を形成した部分での腐食が抑制され、正極格子1の耐久性が顕著に向上する。
なお、Ag添加量上限については、特に限定するものではないが、添加量増加にともなって電池の製造コストも増大するため、1.0質量%以下とすることが望ましい。また、表面層3の厚みとしては、数μm〜数10μm、例えば10μm程度の厚みとすることができる。
本発明では、正極格子の格子骨2断面における全周囲長L(図2の例において、L=L1+L2+L3+L4)としたとき、表面層3を形成した部分の長さM(図2の例においては、M=L4)を全周囲長Lの14.3〜56.5%に相当する長さとする。
格子骨2の表面層3を形成した部分は高い耐食性を有し、正極格子1本体の耐久性を高めることができる。一方で、格子骨2の表面層3を形成した部分を除いた部分(図2の例において、L1、L2およびL3に相当する部分)では、表面層3に比較して耐食性に劣るものの、活物質ペースト(図示せず)と接触し、その表面が腐食することによって、格子骨表面に腐食層が成長しやすい。
このような活物質ペーストと接触することによって生じた腐食層は、鉛蓄電池極板製造において行われる熟成乾燥工程において、未化成活物質層(図示せず)と格子骨2とを強固に結合する、結合層として作用するため、この部分での格子骨2と未化成活物質層との結合が強固となり、格子骨と活物質との密着性がより良好となる。
一方、Agを含む表面層3は、耐食性が高いために、活物質ペーストと接触してもその表面で腐食層はあまり成長しない。その結果、表面層3を形成した部分では、格子骨2と活物質との密着性はより低下する傾向にある。
格子骨と活物質間の密着性がある程度まで低下すると、電池容量がばらつき、さらには寿命特性にもそのばらつきが波及して、短寿命の電池となる。特に、鉛蓄電池は6V系や12V系として、複数セルを直列して用いることが一般的である。このような複数セル直列で用いる場合、セル容量のばらつきによって、容量が最も少ないセルが常に過放電され、そのセルで急激に容量低下が進行する。
その結果、劣化セルが集中的に劣化し、他のセルの劣化がそれほど進行していない場合においても、組電池としての放電電圧が低下し、容量が低下することとなる。したがって、セル容量のばらつきが電池寿命に与える極めて影響は大きい。また、このような電池寿命の低下は、電池を構成するセルの容量ばらつきがある範囲内であれば、それほど急激に進行しないが、その範囲を超えてばらつく、すなわち、組電池を構成するセルで異常に過放電されるセルが存在する程度にまでばらつくと、そのセルの劣化が急激に進行し、電池寿命が短寿命となる。
本発明では、特に、表面層3を形成した部分の長さM(図2における寸法L4)を全周囲長Lの14.3〜56.5%とすることにより、正極格子の耐食性を高めつつ、格子骨と活物質間の密着性を維持することにより、セルの容量ばらつき、さらには複数セルで構成される電池の容量ばらつきが抑制でき、鉛蓄電池の寿命特性のばらつきが抑制され、信頼性の高い鉛蓄電池を得ることができる。
一方、長さMが全周囲長Lの14.3%未満の場合、初期の段階では、活物質と格子骨の密着性は良好であるが、格子骨の腐食が進行しやすくなり、電池容量や寿命は低下する。
長さMを全周囲長Lの56.5%を超えて大きくした場合、正極格子の耐久性は高いものの、前記したように、格子骨と活物質間の密着性が低下し、セル(電池)容量のばらつきが拡大する。特に、複数セルを直列接続した電池では、セル容量のばらつきの拡大によって電池寿命が急激に低下するため好ましくない。
また、電池の寿命特性をさらに改善するために、表面層3中に0.5質量%〜10質量%程度のSbを添加することが好ましい。Sbはその微量が溶出して正極活物質に移行することによって、活物質同士の結合性が向上し、電池寿命が改善される。このような目的でSbを表面層3中に添加する場合、表面層3中のAg添加量を少なくとも0.08質量%以上、特に好ましくは0.25質量%以上とする。
本発明において、表面層3中にSbを含み、かつAg添加量を0.25質量%以上とした場合、表面層の腐食がより低レベルに抑制されるために、Sbの活物質への移行は少しずつ進行する。その結果、Sbの正極活物質間の結合性を改善するという、正極活物質改質効果が持続して得られるため、電池寿命がさらに改善される。
一方、表面層3の耐食性が向上したがために、表面層3と活物質との密着性は低下しやすく、電池(セル)容量ばらつきが生じやすい。本発明では、前記したように、表面層3を形成した部分の長さM(図2における寸法L4)を全周囲長Lの14.3〜56.5%とすることにより、正極格子の耐食性を高めつつ、格子骨と活物質間の密着性の低下を抑止することにより、電池(セル)の容量ばらつきと、寿命特性のばらつきが抑制され、信頼性の高い鉛蓄電池を得ることができる。
なお、本発明において、長さMの全周囲長Lに対する比率は以下の手法により、容易に設定することができる。すなわち、正極格子母材となる板状のPb−Ca合金スラブに、Pb−Ag合金シートを重ね合わせ、両者を圧延することにより、Pb−Ca合金上にPb−Ag合金層が圧着された複合シートを作成する。この複合シートにエキスパンド加工あるいはパンチング加工等で穴あき加工を施すことにより、格子骨の一部にPb−Ag合金層が形成された正極格子体を作成することができる。エキスパンド加工時あるいはパンチング加工時の複合シート切断面は格子母材が露出した状態となるため、格子骨の一部にAgを含む表面層が形成された部分と形成されない部分とを設けることができる。
ここで、長さMの全周囲長Lに対する比率は、複合シートの片面のみにAgを含む表面層を形成するのか、あるいは両面に表面層を形成するのか、さらには、複合シート厚みと、エキスパンド加工時に複合シートにスリットを形成する際の、スリット切幅によって調整することができる。また、パンチング加工の場合には、複合シート表面積あたりの開口部の周囲長さを変化させることによって、これを調整することができる。
例えば、図2は図1の格子骨のA−A断面を示す図である。この図2に示した、格子骨2の断面において、Pb−Ca合金スラブの片面にのみPb−Ag合金シートを重ね合わせた場合、図2に示したように、矩形の格子骨2断面の一辺(図2における寸法L4に相当する辺)にのみAgを含む表面層3が形成される。また、Pb−Ca合金スラブの両面にPb−Ag合金シートを重ね合わせた場合、矩形の格子骨2断面の二辺(図2における寸法L4および寸法L2に相当する辺)にAgを含む表面層3が形成されることとなる。
なお、前述したとおり、図2における寸法L2および寸法L4はエキスパンド加工時のスリット刻み幅に相当するか、もしくは正の相関関係があり、また、図2における寸法L1および寸法L3は複合シートの厚みに相当するか、もしくは正の相関関係があるため、複合シートの厚みとスリット刻み幅を変化させることにより、格子骨の全周囲長Lに対する、表面層3を形成した部分の辺長さMの比率を設定することができる。
なお、本来、辺長さMには表面層3の両端部においてその厚みを含むことが本来であるが、表面層3の厚みがシート厚みに対して非常に薄く(例えば1%程度以下)である場合は、図2に示したように、近似的に辺長さM=L4とすればよい。表面層3の厚みが寸法L4に対して無視できない程度厚い場合、辺長さMは寸法L4に表面層3の厚みの2倍に相当する寸法を加えたものとなる。
上記した正極格子1に従来から知られている鉛ペーストを充填し、未化成正極板を得、従来から知られている負極板、セパレータと組み合わせて鉛蓄電池を組み立てることにより、本発明の鉛蓄電池を得ることができる。
鉛ペーストとしては、PbおよびPbOからなる鉛粉に水や希硫酸を加えて混練したものを用いることができる。また、化成充電効率や電池容量を増大させるため、鉛ペースト中にPb34(鉛丹)や、硫酸錫あるいは酸化錫等の錫化合物を添加することが知られているが、本発明にもちろん適用可能である。特に鉛丹を添加した鉛ペーストは格子との密着性が低下する場合があるため、本発明の構成と組み合わせて用いることが好ましい。
前記した、本発明の実施形態から、格子骨2の全周囲長Lに対する、Agを含む表面層3の組成と、その形成長さMの比率を変化させることにより、本発明および比較例による鉛蓄電池を作成した。
正極格子母材合金としては、Pb−0.06質量%Ca−1.60質量%Sn合金とし、圧延により、厚み1.0mmのシートとし、このシートをエキスパンド加工することによって、正極格子を作成した。なお、シート圧延時に以下の組成のPb合金シートを重ね合わせて圧着することにより、格子骨となる部分に表面層を形成した。この表面層の組成としては、Pb−5質量%Sb−0.25質量%Ag(組成A)、Pb−5質量%Sb−0.08質量%Ag(組成B)、Pb−5質量%Sb−0質量%Ag(組成C)およびPb−0.25質量%Ag(組成D)とし、厚み1.0mmの複合シート上で、表面層が10μmの厚みで形成されている。
これらの表面層の組成を変化させたシートをエキスパンド加工して正極格子を作成する。格子骨の全周囲長Lに対する、表面層の形成長さMの比率は、シートをエキスパンド加工する際のスリット刻み幅と、表面層の形成面をシート面の両面とするか、あるいは片面とするかによって変化させた。
この正極格子に従来から知られている鉛ペースト(Pb:20質量部、Pb34:15質量部、PbO:65質量部からなる鉛粉を水および希硫酸で混練したもの)を充填し、熟成乾燥(65℃)を行って未化成正極板とし、従来の負極板と袋状ポリエチレンセパレータと組み合わせることにより、表1に示したような、JIS D5301(始動用鉛蓄電池)で規定された80D26形鉛蓄電池を作成した。なお、正極板および負極板ともに質量選別を行い、未化成状態の正・負の活物質量のばらつきを±2.0%の範囲内とした。
Figure 2007265714
表1に示した各電池は、それぞれの電池を構成するセル毎の電圧が計測できるよう、蓋にセル電圧測定用の端子を設けている。表1に示した各電池について、−15℃中で300A放電を行い、各セル毎の容量を、セル電圧が1.2Vに低下するまでの持続時間として測定し、各電池内におけるセルの放電持続時間のばらつきを算出した。ばらつきは、放電持続時間の中間値(最大値と最小値の平均値)に対する、最大値と最小値の差分の比率(%)とした。この各電池を構成するセルの放電持続時間ばらつきの測定結果を表2に示す。
Figure 2007265714
表2に示した結果から、格子骨の全周囲長Lに対する表面層の形成長さMの比率が56.5%以下の領域であれば、電池内のセルにおける放電持続時間ばらつきは表面層が組成A(Pb−5質量%Sb−0.25質量%Ag)では、2.6〜3.2%の範囲内であり、この比率を60%とした場合には、放電持続時間ばらつきは11.1%まで増加する。
同様に、表面層が組成B(Pb−5質量%Sb−0.08質量%Ag)では、格子骨の全周囲長Lに対する表面層の形成長さMの比率が56.5%以下の領域であれば、電池内のセルにおける放電持続時間ばらつきは2.5〜2.7%の範囲内であり、この比率を60%とした場合、放電持続時間ばらつきは8.9%まで増加する。
また同様に、表面層が組成D(Pb−0.25質量%Ag)では、格子骨の全周囲長Lに対する表面層の形成長さMの比率が56.5%以下の領域であれば、電池内のセルにおける放電持続時間ばらつきは2.7%の範囲内であるが、この比率を60%とした場合、放電持続時間ばらつきは10.9%まで増加する。
一方、表面層にAgを含まない組成Cの場合、格子骨の全周囲長さLに対する表面層の形成長さMの比率が56.5%から60.0%となった場合にも、放電持続時間のばらつきは変化しなかった。
表面層にAgを含む場合、組成A、組成Bおよび組成Dともに、表面層の形成長さMの格子骨全周囲長Lに対する比率が60%の場合には、正極格子骨と活物質との密着性にばらつきが大きくなり、これが放電持続時間がばらつく要因となっていると考えられる。活物質と格子骨間の密着性のばらつきは、格子−活物質界面の抵抗値を大きくばらつかせるため、特に、本試験のような高率放電試験において、放電持続時間のばらつきが顕著に現れたと考えられる。
特に、表面層中のAgを0.25質量%とした場合は、Agを0.08質量%とした場合に比較して、放電持続時間のばらつきが増大する傾向にあり、とりわけ、格子骨の全周囲長Lに対する表面層の形成長さMの比率が60.0%とした電池A9、電池C9および電池D9において、その傾向は最も顕著であった。この結果から、Ag量を0.08質量%から0.25質量%まで増加させることにより、格子骨の耐食性が向上する反面、格子骨と活物質との密着性のばらつきが増大したために、放電持続時間のばらつきが多くなったと推測される。
本発明では、Ag量を0.25質量%を超える領域とした場合においても、表面層を形成した辺長さMの格子骨全周囲長さLに対する比率を56.5%以下とすることで、放電持続時間のばらつきが顕著に抑制され、正極格子の耐久性改善と、格子骨−活物質間の密着性改善とが両立できることから、特に好ましい。
次に、表1に示す電池A1、電池A2、電池A8および電池A9、そして、電池B2、電池B8および電池B9、電池C8および電池C9、さらには電池D8およびD9について、それぞれn数を3として、JIS D5301に規定する軽負荷寿命試験を75℃雰囲気下で行った。
なお、本実施例では、電池の保存時間が寿命特性に影響する度合いを検証するため、化成充電終了直後の初期状態の電池と、化成充電終了後に40℃2ヵ月保存を行った電池について寿命試験を行った。これらの試験結果を表3に示す。なお、表3には、各電池における寿命サイクル数の最大値と最小値を示している。
Figure 2007265714
表3に示した結果から、初期状態の電池を用いた寿命サイクル数の最大値は、Sb単独、Ag単独、もしくはSbとAgとを含む表面層を形成することによって増大する。しかしながら、特に、Ag単独もしくは、SbとAgとを含む表面層を形成した電池であり、かつ、全周囲長Lに対する、表面層の形成長さMの比率が60%の電池A9、電池B9および電池D9については、寿命サイクル数の最小値は顕著に低下し、寿命特性のばらつきが大きくなった。
このような寿命特性のばらつきは、電池を構成するセル間の容量ばらつきに起因するものと考えられる。
表面層中のAgは、格子の耐久性を増加させ、基本的には電池寿命を高める作用を有するが、Agを含む層の面積が大きくなると、一部で格子−活物質間の密着性が低下し、寿命低下する場合があると考えられる。なお、このような傾向は、Ag量が0.08質量%の場合よりも0.25質量%の場合に顕著である。これらのことから、Ag単独もしくはSbとAgとを含む表面層を形成した場合、格子骨の全周囲長Lに対する、表面層の形成長さMの比率を56.5%以下とすることが、寿命特性のばらつきを抑制する上で、必要である。
一方、表面層中にAgを含まず、Sbを含む電池C8および電池C9は、初期状態においては、いずれも良好な寿命特性を示し、そのばらつきが少ない。
次に、保存した電池の寿命特性について考察する。まず、表面層中にAgを含まず、Sbを含む電池C8、電池C9については、表面層を形成しなかった電池A1よりも良好な寿命特性を示すものの、保存により寿命サイクル数が低下する傾向が見られた。
表面層中のSbは正極活物質間の結合力を向上させ、寿命向上に寄与すると考えられるが、保存により、表面層中のSbの一部が溶出により失われ、さらにはその一部が負極に移行することによって、正極外へ散逸し、Sbの寿命向上効果が低下するものと考えられる。
一方、本発明では、表面層中にAgを添加することにより、正極格子の耐久性を向上させ、かつその表面層の形成長さMの格子骨全周囲長さLに対する比率を56.5%以下とすることにより、格子−活物質間の密着性の低下を抑制し、かつ表面層の腐食が抑制されるため、保存を経たのちでも安定した寿命特性を得ることができる。また、表面層中にSbを含む場合においても、保存前後で安定して高い寿命特性を得ることができる。
これは表面層の腐食がAgによって抑制され、Sbの溶出と正極外への散逸が抑制されることによると推測される。また、特に表面層中のAg量を0.25質量%以上とすることで、寿命サイクル数はさらに向上し、かつ、初期あるいは保存後ともにばらつきが少なく安定する。
通常、鉛蓄電池は、その化成充電後から実際に車両に搭載されて使用開始するまでの期間、すなわち、在庫流通期間が発生する。本発明では、実際に使用開始する時点においても寿命特性の低下が抑制されているため、実使用上、寿命特性が高位に平準化されるため極めて好ましい。
なお、本実施例では、Ag量が0、0.08質量%および0.25質量%の場合について述べたが、Ag量が0.75質量%までの範囲で、Ag量が0.25質量%の場合とほとんど同等の寿命性能が得られた。
以上、説明してきたように、本発明によれば、電池容量および寿命特性のばらつきが少なく、また、保存前後で安定して優れた寿命特性を有した鉛蓄電池を提供することができる。
本発明は、鉛蓄電池の容量と寿命ばらつきを抑制し、かつ保存前後における寿命特性の変化が抑制されることによって、安定して高い寿命特性を有した電池が提供でき、始動用鉛蓄電池をはじめとする、各種の鉛蓄電池に適している。
正極格子を示す図 格子骨を示す断面図
符号の説明
1 正極格子
2 格子骨
3 表面層

Claims (2)

  1. Pb−Ca合金からなる正極格子を有し、前記正極格子の格子骨断面における格子骨全周囲長(L)の14.3〜56.5%に相当する前記正極格子の格子骨表面にAgを含む表面層を形成したことを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 前記表面層は、0.25質量%以上のAgを含み、かつSbを含むPb−Ag合金であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
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