JP2012195099A - 電池の正極およびその正極を備える電池 - Google Patents

電池の正極およびその正極を備える電池 Download PDF

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Abstract

【課題】導電助剤の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することのできる正極及びこの正極を備えた電池を提供する。
【解決手段】電池の正極は、正極活物質と、この正極活物質の電子を伝達する導電助剤12と、この導電助剤12を介して正極活物質の電子が集められる集電体と、正極活物質と導電助剤12と集電体とを互いに結合させるバインダとを含む。導電助剤12の組成の少なくとも一部は耐酸化性導電助剤12Aにより構成されている。耐酸化性導電助剤12Aは、導電体である芯体15と、この芯体15の表面の少なくとも一部がアルミニウム層16により覆われ、さらに、このアルミニウム層16の表面には酸化アルミニウム層17が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、正極活物質と、導電助剤と、集められる集電体と、バインダとを含む正極およびこの正極を備える電池に関する。
電池の正極には、正極活物質の電子を集電体に効率よく移動させるために、導電助剤が含まれている。この種の導電助剤として、例えば、特許文献1に示されるように、カーボンブラック等、炭素を主成分とする導電粒子が用いられている。カーボンブラックは、導電性金属と比べて不活性であるため、正極の導電助剤として用いられている。
特開2009−037988号公報
しかし、正極は強い酸化性雰囲気となるため、炭素は正極活物質に含まれる酸素と結合して正極を劣化させることがある。また、炭素は、電池内に含まれる微量の水分や酸素と反応して二酸化炭素を発生させて、電池内の気圧を上昇させる。このように炭素の存在は電池寿命を低下させる要因となっている。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電助剤の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することのできる正極及びこの正極を備えた電池を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、正極活物質と、この正極活物質の電子を伝達する導電助剤と、この導電助剤を介して前記正極活物質の電子が集められる集電体と、前記正極活物質と前記導電助剤と前記集電体とを互いに結合させるバインダとを含む電池の正極であって、前記導電助剤の少なくとも一部は炭素よりも耐酸化性を有する耐酸化性導電助剤であることを要旨とする。
この発明によれば、導電助剤として炭素を用いている電池に比べて、正極における酸化反応が抑制される。これにより、導電助剤の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することができる。
(2)請求項1に記載の電池の正極において、前記耐酸化性導電助剤は、導電性を有する芯体と、この芯体の表面の少なくとも一部分を覆うアルミニウム層と、このアルミニウム層を覆う酸化アルミニウム層とを備えることを要旨とする。
この発明によれば、導電助剤の表面が酸化アルミニウム層とされているため、表面が炭素である導電助剤に比べて正極における酸化反応が抑制される。これにより、導電助剤の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することができる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電池の正極において、前記芯体の主成分は炭素であることを要旨とする。
アルミニウム層から芯体が露出することがある。すると、芯体が導電性金属により形成されているとき、芯体が露出しているところから金属が腐食する。これにより、電解液の成分が変わり、電池特性が悪化するおそれがある。この点、上記発明では、芯体を炭素により形成する。炭素は導電性金属と比べて比較的不活性であり電解液に接触しても腐食しないため、電池特性の悪化を抑制することができる。
また、芯体を金属よりも難燃焼性の炭素にすることにより、導電助剤の取り扱い性を向上させることができる。導電助剤としては、粒径がサブミクロンから数10μm程度の微粉末状のものが使用される。導電助剤粉末がアルミニウム金属単体の場合には、その強い酸化性のため、製造工程での取り扱い時に粉塵爆発する可能性がある。また、導電助剤の表面に酸化層が形成されている場合であっても粉塵爆発を起こす可能性がある。この点、上記構成によれば、芯体を炭素により形成しているため粉塵爆発の可能性の増大を抑制することができる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の電池の正極において、前記アルミニウム層の厚さは0.1μm〜10μmであることを要旨とする。
アルミニウム層の厚さを0.1μm未満とすると、表面に露出する芯体の面積が大きくなる。アルミニウム層の厚さを10μmより大きくすると、導電助剤におけるアルミニウムの比率が高くなり、粉塵爆発の可能性が増大する。このため、導電助剤の取り扱いに高い安全性が要求される。そこで、上記発明によれば、アルミニウム層の厚さを上記のように設定する。これにより、導電助剤の表面積に対して芯体が露出する面積の割合が過大となることを抑制することができるとともに、導電助剤の取り扱い性が低下することを抑制することができる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池の正極において、前記酸化アルミニウム層の厚さは100nm以下であることを要旨とする。
酸化アルミニウム層の厚さが100nmよりも大きくなると、接触抵抗が増大し、電池特性の内部抵抗が増大する。そこで、上記発明によれば、酸化アルミニウム層の厚さを100nm以下とする。これにより、導電助剤の接触抵抗の増大を抑制することができる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電池の正極において、前記耐酸化性導電助剤は炭素粒子をアルミニウムの溶融塩電解めっきを行い、空気中で加熱処理することにより得られるものであることを要旨とする。
上記発明によれば、アルミニウム膜上に形成される酸化膜の膜厚をアルミニウム膜形成後の空気中でのアニール条件により制御することができ、酸化膜を所定膜厚(例えば、100nm厚以下)とすることができる。これにより、優れた電気化学的耐腐食性と、電池駆動に必要な電子伝導性の両者を達成させることができる。
なお、アルミニウム層は、芯体の形状、及びアルミニウム層を被覆する手法やその条件により、芯体の表面の100%を被覆しないこともある。一般的には、アルミニウム層の厚みが増すに従い被覆率は向上する。アルミニウム層をめっき法により形成する場合、アルミニウム層の厚みが0.1μmでは、70%〜100%の被覆率となり、1μm以上でほぼ100%の被覆率となる。なお、芯体の凹凸の状態により被覆率が変わる。凹凸部分の高低差が大きくなるに従って被覆率が小さくなる。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の正極を備える電池である。この発明によれば、電池の正極として上記構成の正極が用いられているため、正極と導電助剤との間での酸化還元反応に起因する正極の劣化が抑制される。これにより、正極の劣化にともなう電池特性の低下を抑制することができる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の正極を備え、かつ電解質が溶融塩である電池である。
溶融塩電池では、その動作温度が100℃近い温度域であるため、正極における導電助剤の酸化速度が高く、これが要因となって電池寿命の低下につながっている。この点、本発明によれば、正極と導電助剤との間での酸化還元反応に起因する正極の劣化が抑制される。これにより正極の劣化にともなう電池特性の低下を抑制することができる。
本発明によれば、導電助剤の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することのできる正極及びこの正極を備えた電池を提供することができる。
本発明の一実施形態の正極についてその断面構造を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態の耐酸化性導電助剤について、その断面構造を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態の耐酸化性導電助剤について、その製造方法を模式的に示す模式図。 本発明の一実施形態の電池について、その断面構造を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態の電池について、充放電サイクル寿命を示すテーブル。
図1を参照して、本発明の正極の一例を説明する。なお、図1は、集電体と正極活物質とが接触する部分の拡大断面図を示している。
正極10は、正極活物質11と、正極活物質11の電子を集める集電体14と、正極活物質11の電子を集電体14に移動させる導電助剤12と、正極活物質11と導電助剤12と集電体14とを結合させるバインダ13とを含む。
図2を参照して、導電助剤12について説明する。
導電助剤12としては、正極活物質11と接することにより酸化反応を起こさない耐酸化性導電助剤12Aが用いられる。耐酸化性導電助剤12Aは、導電性の芯体15と、芯体15を被覆するアルミニウム層16と、このアルミニウム層16の表面に形成される酸化アルミニウム層17(Alの層)とを備えている。
芯体15は、導電性材料により形成されている。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックにより形成されている。
芯体15の形状は限定されない。例えば、球状のもの、繊維状のもの、空孔を有するもの等、様々な形態のものが芯体15として用いられる。球状のものを採用するときは、粒径が電子顕微鏡観察で1μm〜100μmにあるものを用いることが好ましい。繊維状のものを採用するときは、その断面の直径が電子顕微鏡観察で1μm〜100μmであるものを用いることが好ましい。
アルミニウム層16および酸化アルミニウム層17は、芯体15と正極活物質11との接触および芯体15と電解液との接触を妨げる機能を有するとともに、正極活物質11からの電子を集電体に移動させる機能を有する。前者の機能について以下説明する。
正極活物質11として金属酸化物が用いられている正極の場合、従来のように、導電助剤12として粒子状のカーボンブラックが採用されているとき、導電助剤12と正極活物質11との接触により、カーボンブラックの酸化反応が生じる。この酸化反応の頻度は低いが、電池寿命に影響を与える。一方、導電助剤12として上記耐酸化性導電助剤12Aが用いられているときは、アルミニウム層16により、芯体15と正極活物質11との接触が妨げられるため、芯体15の酸化反応すなわち炭素の酸化反応が抑制される。このため、二酸化炭素の発生が抑制されるとともに、正極活物質11上において金属酸化物内の酸素と炭素とが反応して生じる酸素離脱に起因する正極活物質11の結晶構造の劣化が抑制される。
また、電池の電解液内に酸素が溶存している場合がある。この場合、導電助剤12として、従来のようにカーボンブラックが用いられているときは、カーボンブラックと酸素とが反応して二酸化炭素を発生させる。二酸化炭素は、電池の内圧を上昇させるため、電池寿命を低下させる。一方、導電助剤12として上記耐酸化性導電助剤12Aが用いられているときは、アルミニウム層16により芯体15と電解液との接触が妨げられるため、芯体15の酸化反応が抑制され、この結果、電池の内圧上昇が抑制される。
アルミニウム層16の厚さは、走査型電子顕微鏡観察による測定値で、0.1μm〜10μmとされる。このような範囲設定は次の理由による。アルミニウム層16の厚さが0.1μm未満のときは、芯体15が露出する面積が増大するため、芯体15と正極活物質11との反応を抑制する効果が小さくなる。また、アルミニウム層16の厚さが10μmよりも大きいときは、耐酸化性導電助剤12A全体におけるアルミニウムの比率が増大するため、製造過程の取り扱い時に粉塵爆発を起こす可能性が高くなる。
なお、芯体15として球状のものが用いられているときは、芯体15に対するアルミニウム層16の厚さの比は、0.05〜0.2とされる。これにより、耐酸化性導電助剤12A全体におけるアルミニウムの比率の上限が定められる。
なお、芯体15は芯体15の表面の少なくとも一部分がアルミニウム層16により覆われていればよい。芯体15の一部が露出しているときでも、カーボンブラックを導電助剤12として用いる場合に比べて、炭素の酸化反応の頻度を抑制することができる。
酸化アルミニウム層17は、アルミニウム層16の腐食を抑制するとともに、粉塵爆発が生じる可能性の増大を抑制する。酸化アルミニウム層17の厚さは、走査型電子顕微鏡観察による測定で、10nm〜100nmの範囲とされる。これは次の理由による。酸化アルミニウム層17の厚さが10nm未満のときは、アルミニウム層16が露出する面積が増大し、粉塵爆発の可能性が増大する。このため、耐酸化性導電助剤12Aの製造過程または正極10の材料として用いるときの取り扱いが難しくなる。一方、酸化アルミニウム層17の厚さが100nmより大きいときは、正極活物質11との接触抵抗が大きくなる。
図3を参照して、耐酸化性導電助剤12Aの製造方法について説明する。耐酸化性導電助剤12Aは、バレルめっき装置100を用いて形成される。以下、具体的に説明する。
バレルめっき装置100は、溶融塩を貯留する液槽110と、被めっき物を収容するバレル容器120と、バレル容器120を回転または振動させる駆動装置130と、めき材料を供給する陽極140と、バレル容器120の内側に配置される陰極150とを備えている。陽極140としてはアルミニウム板が用いられる。陰極150としてはカーボン板が用いられる。
バレル容器120にはめっき液を流通させるフィルタ121が設けられている。フィルタ121は、粒子状のカーボンブラック15Aを通過させず、かつ溶融塩を通過させる。フィルタ121としては例えば不織布等が挙げられる。
溶融塩としては、有機系ハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である有機溶融塩、またはアルカリ金属のハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である無機溶融塩が用いられる。有機溶融塩は、無機溶融塩よりも低温で溶融する。有機系ハロゲン化物としてはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等が用いられる。このなかでも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましい。
溶融塩中に水分または酸素が混入すると溶融塩が劣化するため、めっきは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、かつ密閉した環境下で行なわれる。有機溶融塩としてEMICを用いる場合、めっき浴の温度は10℃〜60℃、好ましくは25℃〜45℃とされる。
また、溶融塩に、有機溶媒を添加することが好ましい。これにより、溶融塩の粘度を低下させることができる。有機溶媒の添加により、カーボンブラック15Aに対して均一な層厚のめっきが形成される。例えば、有機溶媒としては、キシレン等が用いられる。溶融塩への有機溶媒の添加量は20mol%〜60mol%とされる。
次に、耐酸化性導電助剤12Aの製造方法を説明する。まず、カーボンブラック15Aをバレル容器120に投入する。そして、バレル容器120を所定の周波数により振動させて、カーボンブラック15Aを溶融塩中で拡散させる。これにより、カーボンブラック15Aを直接的に陰極150に接触、または陰極150と導通している他のカーボンブラック15Aに接触させる。これにより、カーボンブラック15Aがめっきされる。さらに、被めっきカーボンブラックを空気中で加熱処理(アニール処理)することにより、その表面に酸化アルミニウム層17を形成する。
図4を参照して、上記正極10を備えている溶融塩電池1の一例について説明する。ここでは、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO)を正極10とする溶融塩電池1の例を挙げる。
溶融塩電池1は、正極10と、負極20と、正極10および負極20との間に配置されるセパレータ30と、正極10および負極20およびセパレータ30を収容する収容ケース40と、電解液としての溶融塩とを備えている。
正極10としては上記構造のものが用いられている。正極10は次のように形成される。正極活物質11としてのNaCrOと、上記耐酸化性導電助剤12Aと、接着剤としてのポリフッ化ビニリデンと、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンとを、質量比で85:10:5:50の割合で混合してスラリを形成する。そして、このスラリを集電体14に塗布し、これを乾燥した後、1000kgf/cm(9.8×10Pa)にてプレスする。
負極20は、負極活物質21と、集電体22とを備えている。負極活物質21としてはSn−Na合金が用いられる。負極活物質21の芯部はSnであり、表面がSn−Na合金となっている。Sn−Na合金は、メッキでSn金属にNaを析出させることにより形成される。
溶融塩としては、N(SOF)で示されるアニオン(以下、「FSA」)とナトリウムカチオンとカリウムカチオンとを含むもの(以下、NaFSA−KFSA)が用いられる。NaFSAとKFSAとの組成割合は45mol%、55mol%とされる。
セパレータ30は、正極10と負極20とが接触しないように両極を隔離するものであって、溶融塩を通過させる。例えば、厚み200μmのガラスクロスがセパレータ30として用いられる。
収容ケース40は、正極10と電気的に接続される正極ケース41と、負極20と電気的に接続される負極ケース42と、正極ケース41と負極ケース42との間を封止する封止部材43と、負極20を正極10側に押圧する板ばね44とを備えている。
封止部材43は、正極活物質11および負極活物質21および溶融塩による腐食がないフッ素樹脂系の弾性部材により形成されている。正極10ケースおよび負極20ケースは、正極活物質11および負極活物質21および溶融塩により腐食しない導電性部材、例えばアルミニウム合金により形成されている。
図5を参照して、充放電サイクル寿命について上記構造の溶融塩電池1と従来構造の溶融塩電池とを比較する。
実施例1および実施例2および比較例の試験品の共通事項を以下に示す。
・正極10の材料および形成方法は上記実施形態と同様である。
・正極活物質11の集電体に対する充填量は、0.1g/cm
・正極10の厚みは200μm。
実施例1と実施例2と比較例の相違点を以下に示す。
実施例1では、導電助剤12として、芯体15がカーボンブラック、芯体15の粒径が1μm〜100μm、アルミニウム層16が0.5μm、酸化アルミニウム層17が10nmである耐酸化性導電助剤12Aを用いた。
実施例2では、導電助剤12として、芯体15がカーボンブラック、芯体15の粒径が1μm〜100μm、アルミニウム層16が9.0μm、酸化アルミニウム層17が90nmである耐酸化性導電助剤12Aを用いた。
比較例では、導電助剤12として、粒径が1μm〜100μmである粒子状のカーボンブラックを用いた。
充放電サイクル寿命試験は、溶融塩温度を90℃に維持し、放電レート0.1Cにより充放電を繰り返した。各サイクルにおいて放電容量を計測するとともに初期放電容量に対する放電容量の比を求めた。さらに、放電容量が初期放電容量に対して60%になるサイクル数(以下、「充放電サイクル寿命」)を求めた。
充放電サイクル寿命試験の結果は次のとおりである。
実施例1および実施例2の試験品の充放電サイクル寿命は900回以上となった。すなわち、導電助剤12として、アルミニウム層16が0.5μm〜9μmであり、かつ酸化アルミニウム層17が10nm〜90nmであるカーボンブラックを用いている溶融塩電池の場合、これらの層の厚さに拘わらず、900回以上の充放電が可能である。
これに対して、比較例の充放電サイクル寿命は350回であった。すなわち、導電助剤12として、酸化アルミニウム層17に覆われていないカーボンブラックを用いている溶融塩電池の場合、350回以上の充放電は困難である。
これらの結果から、外表面がアルミニウム層16および酸化アルミニウム層17により被覆されている導電助剤12を溶融塩電池1に用いることにより、充放電サイクル寿命を長くすることができることが分かる。
すなわち、酸化アルミニウム層17の厚さが10nm〜90nmの範囲にあるとき、導電助剤12の表面での酸化が抑制されるとともに、酸化アルミニウム層17が保護膜として機能して、芯体15である炭素と極活物質である亜クロム酸ナトリウムとの酸化還元反応が抑制される。さらに、酸化アルミニウム層17が不動態として機能して、その内側のアルミニウム層16の腐食を抑制する。これらの要因により、正極10の内部抵抗の増大が抑制されると考えられる。なお、上記結果によれば、実施例と比較例との効果の差が大きいため、実用的な酸化アルミニウム層17の厚さは10nm〜90nmよりも広い範囲になると考えられる。
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、炭素よりも耐酸化性を有する導電助剤12が用いられている。この構成によれば、導電助剤12として粒子状のカーボンブラックを用いている2次電池に比べて、正極10における酸化反応が抑制される。これにより、導電助剤12の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することができる。特に、室温以上の温度で作動する溶融塩電池1ではその効果が大きい。
(2)本実施形態では、導電助剤12として、芯体15と、この芯体15の表面の少なくとも一部分を覆うアルミニウム層16と、このアルミニウム層16を覆う酸化アルミニウム層17とを備える耐酸化性導電助剤12Aが用いられている。
この構成によれば、耐酸化性導電助剤12Aの表面が酸化アルミニウム層17とされているため、表面が炭素である導電助剤に比べて、正極10における炭素の酸化反応が抑制される。これにより、導電助剤12の酸化反応にともなう電池特性劣化を抑制することができる。
(3)本実施形態では、耐酸化性導電助剤12Aの芯体15としてカーボンブラックが用いられている。カーボンブラックは導電性金属と比べて不活性であり電解液に接触しても腐食しないため、上記構成とすることにより電池特性の悪化を抑制することができる。また、製造工程での取り扱いの際における粉塵爆発の可能性を低減することができる。
(4)本実施形態では、アルミニウム層の厚さが0.1μm〜10μmである。これにより、導電助剤12の表面積に対して芯体15が露出する面積の割合が過大となることを抑制することができるとともに、導電助剤12の取り扱い性が悪化することを抑制することができる。
(5)本実施形態では、酸化アルミニウム層17の厚さを100nm以下とする。これにより、導電助剤12の接触抵抗の増大を抑制する。
(6)本実施形態では、カーボンブラック15Aをアルミニウムで溶融塩電解めっき処理し、かつ空気中でアニール処理することにより耐酸化性導電助剤12Aが形成されている。これにより、優れた電気化学的耐腐食性と、電池駆動に必要な電子伝導性の両者を達成させることができる。
(7)本実施形態では、2次電池の正極10を上記構造とする。この構成によれば、
正極10と導電助剤12との間での酸化還元反応に起因する正極10の劣化が抑制される。これにより、正極10の劣化にともなう電池特性の低下を抑制することができる。
(8)本実施形態では、溶融塩電池1に対して上記構造の正極10を適用する。室温で作動する従来の2次電池では、電解液に対して不活性であるカーボンブラックを導電助剤12として用いている。これは従来の2次電池の動作温度範囲においては炭素の酸化が電池寿命の低下に殆ど影響を与えていないことからである。一方、溶融塩電池1では、室温以上の温度で溶融する溶融塩を電解質として用い、その動作温度が100℃近い温度域であるために、カーボンブラックの酸化速度が増大することとなり、カーボンブラックの酸化が電池寿命の低下の要因として無視することができなくなる。このように溶融塩電池1では電池寿命に対するカーボンブラックの酸化の影響が大きくなるため、カーボンブラック(炭素)よりも耐酸化性を有する物質を導電助剤12として用いた場合には、従来の2次電池に適用する場合と比較して、電池寿命の低下を抑制する効果が顕著に生じる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、芯体15としてカーボンブラックにより形成しているが、炭素以外の物質をカーボンブラックに混合することもできる。例えば、金属粒子とカーボンブラックとの混合体を芯体15として用いてもよい。
・また、ニッケルを芯体15とすることもできる。この場合は、芯体15がアルミニウム層16により完全に覆われていることが好ましい。これは、芯体15がアルミニウム層16から露出していると芯体15が電池の電解液に溶解し電池性能を低下させるおそれがあるためである。
・また、アルミニウムを芯体15とすることもできる。この場合は、上記めっきを行なう必要がない。なお、この場合、導電助剤12の主成分がアルミニウムとなるため、製造過程において導電助剤12を取り扱い際の粉塵爆発の可能性が増大する。そこで、これを抑制するために導電助剤12を取り扱いの際には不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
・上記実施形態では、正極10に用いられる導電助剤12として、酸化アルミニウム層17およびアルミニウム層16に覆われた耐酸化性導電助剤12Aを用いている。これに対して、導電助剤12を複数種類の材料により構成することもできる。例えば、カーボンブラックと上記耐酸化性導電助剤12Aとの混合物を導電助剤12として用いてもよい。このような構成であっても、上記実施形態に準じた効果を奏する。
・上記実施形態では、正極10に用いられる導電助剤12として、酸化アルミニウム層17およびアルミニウム層16に覆われた耐酸化性導電助剤12Aを用いている。これに対して、導電助剤12を複数種類の材料により構成することもできる。例えば、カーボンブラックと、上記耐酸化性導電助剤12Aとの混合物を導電助剤12として用いてもよい。このような構成であっても、上記実施形態に準じた効果を奏する。
・上記実施形態では、酸化アルミニウム層17を空気中での加熱処理により形成しているが、陽極酸化により形成することもできる。この場合、酸化アルミニウム層17を数10nm厚程度の形成することができる。また、空気中以外に、酸素濃度を制御した雰囲気中で加熱処理することにより、酸化アルミニウム層17の厚みの制御性を向上させることができる。
・上記実施形態では、空気中での加熱処理により酸化アルミニウム層17を形成しているが、酸素と窒素とを所定の濃度に規定した条件下でこの酸化アルミニウム層17を形成してもよい。
・上記実施形態では、上記正極10が適用できる電池として、溶融塩電池1を挙げているが、上記構造の正極10はリチウムイオン電池等その他の電池にも適用される。すなわち、正極10内の上記耐酸化性導電助剤12Aは、表面が酸化アルミニウム層17により被覆されているため、この酸化アルミニウム層17を劣化させることのない電池において上記構造の正極10が適用される。
1…溶融塩電池、10…正極、11…正極活物質、12…導電助剤、12A…耐酸化性導電助剤、13…バインダ、14…集電体、15…芯体、15A…カーボンブラック、16…アルミニウム層、17…酸化アルミニウム層、20…負極、21…負極活物質、22…集電体、30…セパレータ、40…収容ケース、41…正極ケース、42…負極ケース、43…封止部材、44…板ばね、100…バレルめっき装置、110…液槽、120…バレル容器、121…フィルタ、130…駆動装置、140…陽極、150…陰極。

Claims (8)

  1. 正極活物質と、この正極活物質の電子を伝達する導電助剤と、この導電助剤を介して前記正極活物質の電子が集められる集電体と、前記正極活物質と前記導電助剤と前記集電体とを互いに結合させるバインダとを含む電池の正極であって、
    前記導電助剤の少なくとも一部は炭素よりも耐酸化性を有する耐酸化性導電助剤である
    ことを特徴とする電池の正極。
  2. 請求項1に記載の電池の正極において、
    前記耐酸化性導電助剤は、導電性を有する芯体と、この芯体の表面の少なくとも一部分を覆うアルミニウム層と、このアルミニウム層を覆う酸化アルミニウム層とを備える
    ことを特徴とする電池の正極。
  3. 請求項2に記載の電池の正極において、
    前記芯体の主成分は炭素である
    ことを特徴とする電池の正極。
  4. 請求項2または3に記載の電池の正極において、
    前記アルミニウム層の厚さは0.1μm〜10μmである
    ことを特徴とする電池の正極。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池の正極において、
    前記酸化アルミニウム層の厚さは100nm以下である
    ことを特徴とする電池の正極。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電池の正極において、
    前記耐酸化性導電助剤は炭素粒子をアルミニウムの溶融塩電解めっきを行い、空気中で加熱処理することにより得られるものである
    ことを特徴とする電池の正極。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池の正極を備える電池。
  8. 請求項7に記載の電池の電解質が溶融塩であることを特徴とする電池。
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JP2018055926A (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 トヨタ自動車株式会社 硫化物固体電池

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