JP2017124951A - 遮水性ナトリウムイオン伝導膜およびナトリウム電池 - Google Patents

遮水性ナトリウムイオン伝導膜およびナトリウム電池 Download PDF

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信二 稲澤
前田 和幸
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和幸 前田
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Abstract

【課題】遮水性に優れるナトリウムイオン伝導膜、および、電解質に含まれる水の電気分解を抑制しつつ、高い起電力を発現するナトリウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子の連結体と、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物と、を含む膜であって、前記連結体の一部が、前記膜の両方の主面に露出しており、前記脂肪族炭化水素化合物が、前記連結体が有する空隙に充填されている、遮水性ナトリウムイオン伝導膜。また、正極と、負極と、ナトリウムイオンを含む水溶液電解質と、前記負極と前記水溶液電解質との間に配置された、上記遮水性ナトリウムイオン伝導膜と、を含む、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池。【選択図】図1

Description

本発明は、遮水性に優れるナトリウムイオン伝導膜、および、電解質に含まれる水の電気分解を抑制しつつ、高い起電力を発現する水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に関する。
水溶液電解質を含む二次電池(水溶液電解質二次電池)としては、鉛蓄電池が広く実用されている。
また、これに代わる水溶液電解質を含む二次電池として、リチウムイオン二次電池や、ナトリウムイオン二次電池が報告されている(特許文献1〜3参照)。なかでも、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池は、原料が安価であるため、鉛蓄電池に代わる水溶液電解質二次電池として有望である。
特開2011−86402号公報 特開2012−54208号公報 特開2012−3928号公報
水溶液電解質二次電池においては、充電時の水の電気分解反応による水素および酸素ガスの発生が大きな課題である。pH7のときの酸素発生電位は、標準水素電極に対して約0.82Vであり、水素発生電位は約−0.41Vである。そのため、水溶液電解質を用いたナトリウムイオン二次電池においては、どのような負極活物質を用いても、充電時における水素ガスの発生を抑制することが困難である。さらに、発生した水素ガスが負極上に留まると、分極により電流が流れにくくなる。
水素ガスの発生を抑制するには、理論上、0.82V〜−0.41Vに酸化還元電位(標準水素電極基準)を持つ活物質を選択しなければならず、1.23V以上、実際には1.5V以上の起電力を有する水溶液電解質アルカリ金属イオン二次電池を得ることは、困難である。例えば、特許文献2に開示された水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の起電力は、約1.25Vである。なお、鉛蓄電池においては、鉛の酸化還元電位は水素発生電位よりも貴であるため、水素ガスの発生が問題となりにくい。そのため、鉛蓄電池は水溶液電解質を使用しているにもかかわらず、得られる起電力は約2.1Vと比較的高い。
本発明の一局面は、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子の連結体と、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物と、を含む膜であって、前記連結体の一部が、前記膜の両方の主面に露出しており、前記脂肪族炭化水素化合物が、前記連結体が有する空隙に充填されている、遮水性ナトリウムイオン伝導膜に関する。
本発明の他の一局面は、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子を連結させるとともに、前記粒子の連結体を含む膜を成型する第1工程と、前記第1工程の後、前記膜に、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物を含浸させる第2工程と、前記第2工程の後、前記膜の主面に付着した前記脂肪族炭化水素化合物の少なくとも一部を除去する第3工程と、を備える、遮水性ナトリウムイオン伝導膜の製造方法に関する。
本発明のさらに他の一局面は、正極と、負極と、ナトリウムイオンを含む水溶液電解質と、前記負極と前記水溶液電解質との間に配置された上記遮水性ナトリウムイオン伝導膜と、を含む、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に関する。
本発明によれば、遮水性に優れるナトリウムイオン伝導膜、および、充電時の水の電気分解を抑制しつつ、高い起電力を発現する、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の実施形態に係る遮水性ナトリウムイオン伝導膜の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の構成を示す縦断面図である。 実施例で用いたハーフセルの構成を示す模式図である。 実施例1における、炭化水素化合物が含浸した膜の断面を示すSEM写真である。 実施例1における、炭化水素化合物が含浸した膜の表面を示すSEM写真である。 実施例1における、表面をプラズマ処理した後の膜の断面を示すSEM写真である。 実施例1における、表面をプラズマ処理した後の膜の表面を示すSEM写真である。 実施例1におけるサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフである。 比較例1におけるサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフである。
[発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の遮水性ナトリウムイオン伝導膜は、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子の連結体と、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物と、を含む膜であって、前記連結体の一部が、前記膜の両方の主面に露出しており、前記脂肪族炭化水素化合物が、前記連結体が有する空隙に充填されている。
粒子状の固体電解質の連結体で形成された膜の空隙部分が、疎水性の化合物により塞がれているため、水は膜を通過することができない。つまり、上記膜は遮水性を有する。一方、固体電解質の連結体の一部が、膜の両方の主面に露出しているため、ナトリウムイオンは、膜の一方の主面から他方の主面へと通過することができる。なお、遮水とは、水による膜の通過が完全に妨げられることまでは要しない。遮水性ナトリウムイオン伝導膜を水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に使用した場合、水の電気分解により、水素ガスが発生することを抑制することができる程度であればよい。例えば、鉛蓄電池と同程度の水素ガスの発生が認められてもよい。
(2)前記脂肪族炭化水素化合物は、0℃〜80℃の範囲で固体であることが好ましい。この場合、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の動作温度において、脂肪族炭化水素化合物は固体であるため、遮水性が向上する。
(3)固体電解質は、NASICON型結晶構造を有する化合物を含むことが好ましい。ナトリウムイオン伝導性が非常に高いためである。
(4)本発明の遮水性ナトリウムイオン伝導膜の製造方法は、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子を連結させるとともに、前記粒子の連結体を含む膜を成型する第1工程と、前記第1工程の後、前記膜に、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物を含浸させる第2工程と、前記第2工程の後、前記膜の主面に付着した前記脂肪族炭化水素化合物の少なくとも一部を、除去する第3工程と、を備える。これにより、ナトリウムイオン伝導性および遮水性に優れる遮水性ナトリウムイオン伝導膜が得られる。
(5)前記第3工程は、プラズマ処理により行われることが好ましい。膜の主面に付着した脂肪族炭化水素化合物が、選択的に除去されるためである。
(6)本発明の水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池は、正極と、負極と、ナトリウムイオンを含む水溶液電解質と、前記負極と前記水溶液電解質との間に配置された上記遮水性ナトリウムイオン伝導膜と、を含む。これにより、水が負極にまで到達することが抑制される。つまり、負極と水との接触が抑制されるため、電解質に含まれる水の電気分解が抑制される。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態を具体的に以下に説明する。なお、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[遮水性ナトリウムイオン伝導膜]
遮水性ナトリウムイオン伝導膜(以下、遮水性Na伝導膜10と称す)は、図1に例示されるように、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子の連結体1と、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物(以下、単に炭化水素化合物2と称す)と、を含む。
連結体1は、固体電解質の複数の粒子同士が、原子の拡散によって接合(拡散接合)されることにより形成されていてもよいし、接触することにより形成されていてもよい。連結体1の一部は、遮水性Na伝導膜10の両方の主面に露出している。これにより、ナトリウム(Na)イオンは、遮水性Na伝導膜10の一方の主面から他方の主面へと通過することができる。なお、遮水性Na伝導膜10に含まれるすべての固体電解質の粒子が、連結されていなくても良く、単独の粒子が存在していてもよい。
炭化水素化合物2は、連結体1が有する空隙に充填されている。上記空隙とは、連結体1同士の間に形成される隙間である。これにより、水が遮水性Na伝導膜10を通過することが抑制される。なお、連結体1と単独の粒子との間、あるいは、単独の粒子同士の間に隙間が形成されている場合には、これらの隙間にも炭化水素化合物2が充填されている。
遮水性Na伝導膜10の膜厚は、特に限定されない。なかでも、遮水性を高めながら、Naイオンの伝導性を低下させ難い点で、50〜800μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。
遮水性Na伝導膜10は、後述するバインダーAを含んでいてもよい。また、遮水性Na伝導膜10を水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に用いる場合、遮水性Na伝導膜10は、後述する負極活物質を、連結体1と接触する状態で含んでいてもよい。この場合、連結体1同士の間には、負極活物質が介在し得る。
(固体電解質)
固体電解質としては、NASICON(Na super ionic conductor)型結晶構造を有する化合物が挙げられる。NASICON型結晶構造とは、MO八面体(Mは、遷移金属)とXO四面体(Xは、S、P、Asなど)とが頂点を共有して、3次元的に配列した構造である。この結晶構造は、内部に大きな空隙をもつことが多いため、Naイオン伝導性を示す。なお、NASICON型結晶構造を有する固体電解質は、リチウムイオン伝導性も示すが、Naイオン伝導性の方がはるかに大きく、ナトリウムイオン二次電池に使用するのに最も適している。また、NASICON型結晶構造を有する固体電解質は、Naイオンとの相互作用が大きく、プロトン伝導性はほとんど示さない。
NASICON型結晶構造を有する化合物(以下、NASICON型化合物と称す)としては、具体的には、Na3ZrMg(PO43、Na3Zr2Si2PO12、Na2.85Zr0.15In2.85(PO43などが挙げられる。なかでも、Na、Zr、SiおよびPを含んでいるものが好ましく、例えば、一般式(1):Na1+xZr2Si3-x12(1.8<x<2.2)で表わされる単斜晶構造を有する化合物であることが、ナトリウムイオン伝導性が高い点で好ましい。なかでも、Na3Zr2Si2PO12が好ましい。一般式(1)中、Zrの一部を他元素、例えば、Ti、Al、Sn、Zn、Fe、Geなどで置換してもよく、Siの一部を他元素、例えば、S、Mo、Wなどで置換してもよい。
固体電解質の粒子の平均粒径(体積粒度分布の累積体積50%における粒径D50。以下同様。)は、特に限定されない。平均粒径D50は、例えば、レーザー回折式の粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折散乱法によって測定される。なかでも、上記空隙が小さくなる点で、固体電解質の粒子の平均粒径は、100nm以上、20μm以下であることが好ましい。特に、平均粒径の上限値は、800nmであることが好ましい。
固体電解質の粒子は、互いに連結した状態で遮水性Na伝導膜10に含まれる。固体電解質の粒子の連結体1は、例えば、固体電解質の粒子とバインダーAとを混合し、成膜することにより形成される。この場合、Naイオン伝導性の観点から、バインダーAの配合量は、固体電解質100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましい。さらに、固体電解質の粒子とバインダーAとの混合物を成膜した後、焼成してもよい。この場合、バインダーAの配合量は特に制限されないが、粒子同士が連結され易い点で、固体電解質100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましい。
バインダーAは特に限定されず、例えば、フッ素樹脂、合成ゴムラテックス、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を用いることができる。合成ゴムラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス等を用いることができる。
(炭化水素化合物)
炭化水素化合物2は、一般式:C2n+2(n≧20)で表わされる化合物である。炭素数(n)が20以上である炭化水素化合物2は、疎水性が高い。なかでも、融点が高い点で、n≧50であることが好ましい。水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の動作温度は、0〜80℃の範囲であると想定される。炭素数が50以上であれば、炭化水素化合物2の融点は80℃よりも高いと考えられる。また、取扱い性の観点から、炭素数は200以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。
炭化水素化合物2は、0℃〜80℃の範囲で固体であることが好ましい。換言すれば、炭化水素化合物2の融点は80℃より高いことが好ましい。この場合、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の動作温度において、炭化水素化合物2は固体である。そのため、遮水性Na伝導膜10を水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に使用する場合、その遮水性が低下し難い。取扱い性の観点から、炭化水素化合物2の融点は、120℃以下であることが好ましい。
なお、炭化水素化合物2の撥水性は、あまり高くない方が好ましい。具体的には、炭化水素化合物2の水に対する接触角は90度より小さい方が好ましい。炭化水素化合物2の撥水性が高すぎると、遮水性Na伝導膜10の水に対する濡れ性が低下し易くなる。そのため、遮水性Na伝導膜10を水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に使用する場合、その表面に気泡が付き易くなって、電流が流れにくくなる場合があるためである。また、炭化水素化合物2に対する水の飽和濃度は、遮水性の観点から、小さい方が好ましい。例えば、炭化水素化合物2に対する水の飽和濃度は、1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。水の飽和濃度は、カールフィッシャー水分測定法に基づいた電量滴定法により算出される数値である。
[遮水性ナトリウムイオン伝導膜の製造方法]
上記のような遮水性Na伝導膜10は、例えば、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子を連結させるとともに、粒子の連結体1を含む膜を成型する第1工程と、第1工程の後、得られた膜に、炭化水素化合物2を含浸させる第2工程と、第2工程の後、膜の主面に付着した炭化水素化合物2の少なくとも一部を除去する第3工程と、を備える方法により、製造することができる。
(第1工程)
第1工程では、粒子状の固体電解質を膜状に成型し、Na伝導膜を作製する。このとき、固体電解質の粒子同士が連結して、連結体1が形成される。Na伝導膜を成型する方法としては、特に限定されない。なかでも、生産性の観点から、固体電解質の粒子と上記バインダーAとを混合し、膜状に成型する方法が好ましく挙げられる。この場合、さらに、成型された膜を焼成してもよい。焼成条件は特に限定されず、例えば、酸素含有雰囲気下において、900〜1200℃で5〜10時間行えばよい。また、後述するように、負極と水溶液電解質との間に遮水性Na伝導膜10を配置する場合、固体電解質の粒子と、バインダーAと、負極活物質と、を含む負極合剤スラリーを、負極集電体に塗布してもよい。負極合剤スラリーには、必要に応じて導電助剤およびバインダーCを含ませてもよい。
(第2工程)
第2工程では、溶融した炭化水素化合物2に、第1工程で得られたNa伝導膜を浸漬する。あるいは、溶融した炭化水素化合物2を、Na伝導膜に塗布する。これにより、Na伝導膜の連結体1が有する空隙に、炭化水素化合物2が含浸され、Na伝導膜に遮水性が付与される。
(第3工程)
第2工程により、Na伝導膜の表面にも炭化水素化合物2が付着し得る。連結体1のNa伝導膜の表面側にある粒子に炭化水素化合物2が付着していると、Naイオン伝導性が得られ難い。そのため、第3工程では、Na伝導膜の表面(特に主面)に付着した炭化水素化合物2を除去する。これにより、連結体1のNa伝導膜の表面側にある粒子は、Na伝導膜の主面に露出する。よって、固体電解質の優れたNaイオン伝導性が発現する。一方、Na伝導膜の内部の空隙には、依然として炭化水素化合物2が充填されているため、遮水性は保持される。なお、Na伝導膜が独立した膜である場合、膜の両方の主面に付着した化合物2を除去する。Na伝導膜が、上記のように、負極集電体に塗布されることにより形成されている場合、負極集電体とは反対側の主面の炭化水素化合物2を除去すればよい。
Na伝導膜の主面に付着した炭化水素化合物2を除去する方法としては特に限定されず、例えば、プラズマ処理、エアーブラスト処理等の表面処理方法が挙げられる。なかでも、有機化合物を選択的に除去することができる点で、プラズマ処理が好ましい。プラズマ処理の条件は特に限定されず、炭化水素化合物2の種類や付着量を考慮して適宜設定すればよい。プラズマ処理は、例えば、大気圧下、プロセスガスとして窒素ガスを用い、周波数1kHz〜30kHzの電源を用いて、10〜60秒間行われる。
[水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池]
本実施形態に係る遮水性Na伝導膜10は、優れた遮水性とNaイオン伝導性とを備えるため、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の電極を、水から遮蔽する遮水部材として好ましく用いられる。特に、負極活物質の多くは、水素発生電位よりも低い電位でナトリウムイオンと反応するため、負極では水素ガスが発生し易い。そこで、少なくとも負極と水溶液電解質との間に、遮水性Na伝導膜10を配置する。これにより、負極に用いる負極活物質が制限されず、より大きな起電力を有する二次電池を得ることが可能となる。なお、正極は、過電圧を考慮すると、必ずしも水から遮蔽されることは要しない。
このような水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池は、正極と、負極と、Naイオンを含む水溶液電解質と、負極と水溶液電解質との間に配置された遮水性Na伝導膜10と、を含む。以下、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の各構成要素について説明する。
[正極]
正極は、例えば、正極集電体および正極集電体に保持された正極活物質を含む。その他、任意成分として導電助剤、バインダーB等を含んでもよい。
正極活物質としては、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出(もしくは、挿入および脱離)する材料の中から選択される。正極を固体電解質膜で被覆する場合は、正極活物質の電極電位が酸素の酸化還元電位よりも貴であってもよく、特に制限されない。正極活物質としては、例えば、ナトリウムイオンと層間化合物を形成するO3型またはP2型層状構造を有する化合物や、ポリアニオン型の化合物が好ましい。これらの化合物としては、ナトリウム含有遷移金属酸化物またはナトリウム含有遷移金属リン酸塩が挙げられる。これらの材料は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。正極活物質粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは50μm以下である。なお、NASICON型化合物を正極活物質として用いることは、適当ではない。NASICON型化合物は、ナトリウムイオンを一時的には吸着することができるものの、基本的にはナトリウムイオンを透過させるためである。つまり、NASICON型化合物は、電気化学的反応を示さない。したがって、NASICON型化合物を正極活物質として用いた二次電池において、充放電を行うことは困難である。
ナトリウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)を用いることができる。亜クロム酸ナトリウムは、Naの一部あるいはCrの一部または全部が他元素で置換されていてもよく、例えば、一般式(2):Na1-x1 xCr1-y2 y2(0≦x≦2/3、0≦y≦1、M1およびM2は、それぞれ独立にCrおよびNa以外の金属元素である)で表される化合物であることが好ましい。上記一般式において、xは、0≦x≦0.5を満たすことがより好ましく、M1およびM2は、例えばNi、Co、Mn、FeおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、M1はNaサイト、M2はCrサイトを占める元素である。このような化合物は、低コストで製造可能であるとともに、充放電に伴う構造変化の可逆性に優れている。ここで、NaCrO2の電極電位は、酸素の酸化還元電位と同等か卑であるので、正極が固体電解質膜で被覆されていなくても、使用することができる場合がある。亜クロム酸ナトリウム以外のナトリウム含有遷移金属酸化物としては、NaFeO2、NaNi1/2Mn1/22、NaFe0.4Ni0.3Mn0.32などが例示される。
ナトリウム含有遷移金属リン酸塩としては、一般式(3):Naa3PO4b(1≦a≦2、0≦b≦2、M3はNa以外の金属元素である)で表される化合物が挙げられる。M3は、例えばFe、Co、NiおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、NaFePO4、Na2FePO4F、NaVPO4F、NaCoPO4、NaNiPO4、NaMnPO4などが挙げられる。
導電助剤としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。導電助剤のうちでは、少量使用で十分な導電経路を形成しやすいことから、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックの例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等を挙げることができる。導電助剤の量は、正極活物質100質量部あたり、2〜15質量部が好ましく、3〜8質量部がより好ましい。
バインダーBは、正極活物質同士を結合させるとともに、正極活物質を正極集電体に固定する役割を果たす。バインダーBとしては、固体電解質のバインダーAとして例示した有機化合物を用いることができる。この場合、カルボキシメチルセルロースを粘度調整剤として併用してもよい。なかでも、水溶液電解質に対する安定性の点で、バインダーBとしては、PTFEが好ましい。バインダーBの量は、正極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。
正極集電体としては、金属箔、金属繊維製の不織布、金属多孔体シートなどが用いられる。正極集電体を構成する金属としては、正極電位で安定であることから、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましいが、特に限定されない。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウム以外の金属成分(例えばFe、Si、Ni、Mnなど)は0.5質量%以下であることが好ましい。また、正極集電体として、アルミニウムやアルミニウム合金の箔の表面をカーボンの微粒子で被覆した、カーボンコートアルミニウムを用いてもよい。本実施形態では、水溶液電解質を用いており、アルミニウムの腐食が懸念されるためである。正極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属繊維の不織布や金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。
正極は、例えば、正極集電体に、正極活物質を含む正極合剤スラリーを塗布または充填し、その後、正極合剤スラリーに含まれる分散媒を除去し、さらに必要に応じて、正極活物質を保持した正極集電体を圧縮(または圧延)することにより得られる。
[負極]
負極は、負極集電体および負極集電体に保持された負極活物質を含む。その他、任意成分として導電助剤、バインダーC等を含んでもよい。
負極活物質は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出(もしくは、挿入および脱離)する材料を含む。負極を固体電解質膜で被覆する場合、負極活物質の電極電位または負極の充放電カーブにおけるプラトー領域(以下、単にプラトー領域と称す)の電位は、水素の酸化還元電位よりも卑であってもよく、特に制限されない。このような材料としては、例えば、炭素材料の他、リチウム含有チタン化合物(チタン酸リチウムなどのスピネル型リチウムチタン酸化物など)、ナトリウム含有チタン化合物(チタン酸ナトリウムなどのスピネル型ナトリウムチタン酸化物など)、合金系活物質、およびアナターゼ型の酸化チタン(TiO)などが挙げられる。負極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。負極活物質粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは80μm以下である。なお、正極活物質で記載したのと同じ理由で、負極活物質としては、NASICON型化合物以外の材料が好ましい。
炭素材料としては、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)などが例示できる。合金系活物質とは、アルカリ金属と合金化する元素を含む活物質である。例えば、ケイ素酸化物、ケイ素合金、錫酸化物および錫合金などが挙げられる。
ナトリウム含有チタン化合物としては、チタン酸ナトリウムが好ましく、より具体的には、Na2Ti37およびNa4Ti512よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、チタン酸ナトリウムのTiまたはNaの一部を他元素で置換してもよい。例えば、Na2-x4+ xTi3-y5 y7(0≦x≦3/2、0≦y≦8/3、M4およびM5は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)や、Na4-x6 xTi5-y7 y12(0≦x≦11/3、0≦y≦14/3、M6およびM7は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)などを用いることもできる。なお、M4およびM6はNaサイト、M5およびM7はTiサイトを占める元素である。
リチウム含有チタン化合物としては、チタン酸リチウムが好ましい。具体的には、LiTi、LiTiおよびLiTi12よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、チタン酸リチウムのTiまたはNaの一部を他元素で置換してもよい。例えば、Li1-x8 Ti2−y9 (0≦x≦2/3、0≦y≦8/3、M8およびM9は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)、Li2-x10 Ti3−y11 (0≦x≦3/2、0≦y≦8/3、M10およびM11は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)、または、Li4-x12 Ti5-y13 12(0≦x≦11/3、0≦y≦14/3、M12およびM13は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)などを用いることもできる。リチウム含有チタン化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。リチウム含有チタン化合物は、難黒鉛化性炭素と組み合わせて用いてもよい。なお、M8、M10およびM12はLiサイト、M9、M11およびM13はTiサイトを占める元素である。
なかでも、負極活物質は、負極のプラトー領域での電位(vs.Na/Na)を、平均して0.8V以上にすることのできる化合物が好ましい。金属ナトリウムの析出を抑制できるためである。このような化合物としては、例えば、上記したようなリチウム含有チタン化合物が好ましい。負極活物質としてリチウム含有チタン化合物を用いる場合、負極は、平均して0.9〜1.0V付近(vs.Na/Na+)に、広いプラトー領域をもつ。負極のプラトー領域での平均的な電位(vs.Na/Na)は、0.9V(vs.Na/Na)以上であることが好ましい。
負極は、例えば、負極集電体に、負極活物質を含む負極合剤スラリーを塗布または充填し、その後、負極合剤スラリーに含まれる分散媒を除去し、さらに必要に応じて、負極活物質を保持した負極集電体を圧縮(または圧延)することにより得られる。このとき、上記のとおり、負極合剤スラリーに固体電解質を含ませてもよい。また、負極としては、負極集電体の表面に、蒸着、スパッタリングなどの気相法で負極活物質の堆積膜を形成することにより得られるものを用いてもよい。
バインダーCとしては、バインダーBとして例示したものから適宜選択できる。バインダーCの量は、負極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。
負極合剤スラリーに、固体電解質の粒子とバインダーAとの混合物を配合する場合、負極の抵抗を抑制する観点から、バインダーAおよびバインダーCの合計の量が、好ましくは負極活物質100質量部あたり1〜10質量部以下、より好ましくは3〜5質量部になるように調整する。この場合、負極が形成された後、炭化水素化合物2が含浸される。しかし、炭化水素化合物2の含浸は、すでに連結体1が形成された負極に対して行われるため、負極の抵抗はあまり大きくならない。また、固体電解質の粒子は、充放電性能の観点から、負極活物質100質量部に対して、50質量部以下の割合で配合されることが好ましい。
導電助剤としては、炭素単体、金属粉末(Cu粉末、Ni粉末、Al粉末など)、Ti化合物の粉末などが挙げられる。炭素単体としては、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、非晶質炭素(カーボンブラック、ハードカーボン、ソフトカーボンなど)などが挙げられる。カーボンブラックとしては、正極で例示した材料を用いることができる。Ti化合物としては、TiC、TiB、TiNなどが挙げられる。なかでも、導電助剤としては、非晶質炭素を除く炭素単体、金属粉末、Ti化合物の粉末であることが好ましい。導電助剤としてカーボンブラックなどの非晶質炭素を用いると、非晶質炭素に挿入したナトリウムイオンがそのままトラップされ、不可逆容量が増加することが懸念されるためである。導電助剤の量は、負極活物質100質量部あたり、2〜15質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましい。特に、生産性の向上や副反応の抑制の観点から、導電助剤の量は、できるだけ少ないことが好ましい。
負極集電体としては、金属箔、金属繊維製の不織布、金属多孔体シートなどが用いられる。前記金属としては、ナトリウムと合金化しない金属を使用することができる。なかでも負極電位で安定であることから、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などが好ましい。これらのうち、軽量性に優れる点では、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム合金は、例えば、正極集電体として例示したものと同様のアルミニウム合金を用いてもよい。負極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属繊維の不織布や金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。なかでも、負極活物質の充填性や保持性、集電性の点で、負極集電体は、三次元網目状の構造を有する金属多孔体であることが好ましい。
例えば、アルミニウムを含む多孔体は、基材となる発泡樹脂又は不織布の表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金の被覆層を形成した後、基材を除去することにより得ることができる。市販されている金属多孔体としては、アルミニウム多孔体(アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む多孔体)である住友電気工業株式会社製の「アルミセルメット」(登録商標)や、銅多孔体(銅または銅合金を含む多孔体)またはニッケル多孔体(ニッケルまたはニッケル合金を含む多孔体)である住友電気工業株式会社製の銅またはニッケルの「セルメット」(登録商標)を用いることができる。
正極の容量(Cp)と負極の容量(Cn)との比は、特に限定されないが、例えばCp<Cnとすることができる。これにより、負極表面における金属ナトリウムの析出を抑制することが容易となる。
[セパレータ]
セパレータは、必要に応じて、正極と負極との間に介在される。セパレータの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンレテフタレートなどのポリエステル;ポリアミド;ポリイミド;セルロース;ガラス繊維などを用いることができる。セパレータの平均孔径は特に制限されず、例えば、0.01〜5μm程度である。セパレータの厚さは、10μm〜500μm、更には20〜50μmであることが好ましい。この範囲の厚さであれば、内部短絡を有効に防止でき、かつ電極群に占めるセパレータの容積占有率を低く抑えることができるため、高い容量密度を得ることができる。なお、遮水性Na伝導膜10は、セパレータとしても機能する。
[水溶液電解質]
水溶液電解質は、ナトリウムイオンと水とを含む水溶液である。ナトリウムイオンを含む水溶液としては、例えば、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの水溶液が挙げられる。ナトリウム塩の濃度は、特に限定されず、飽和水溶液であってもよい。例えば、0.1〜5mol/リットルとすることができる。
[電極群]
水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池は、上記の正極と負極を含む電極群および水溶液電解質を、電池ケースに収容した状態で用いられる。ここで、負極と水溶液電解質との間には、遮水性Na伝導膜10を介在させる。この方法としては、例えば、上記の第1工程から第3工程を経て作製された遮水性Na伝導膜10を、負極と正極との間に介在させる方法が挙げられる。また、固体電解質の粒子と、バインダーAおよび/またはCと、負極活物質と、必要に応じて導電助剤と、を含むスラリーを、負極集電体に塗布して、乾燥させた後、上記の第2工程および第3工程を行ってもよい。遮水性Na伝導膜10と正極との間に、セパレータを介在させてもよい。
図2に、本発明の一実施形態である水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池の構成を、概略的に示す。
水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池100は、積層型の電極群、水溶液電解質(ともに図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース20を具備する。電池ケース20は、上部が開口した有底の容器本体21と、上部開口を塞ぐ蓋部22とで構成されている。ただし、電極群は、積層タイプに限らず、正極12と負極13とを遮水性Na伝導膜10を介して捲回することにより構成することもできる。
蓋部22の一方側寄りには、蓋部22を貫通する外部正極端子(図示せず)が設けられ、蓋部22の他方側寄りの位置には、蓋部22を貫通する外部負極端子25が設けられている。各端子は、電池ケース20と絶縁することが好ましい。蓋部22の中央には、電池ケース20の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁26が設けられている。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状である複数の正極12と複数の負極13とこれらの間に介在する複数の遮水性Na伝導膜10とにより構成されている。複数の正極12および複数の負極13は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極12の一端部には、正極リード片12cを形成してもよい。複数の正極12の正極リード片12cを束ねるとともに、電池ケース20の蓋部22に設けられた外部正極端子に接続することにより、複数の正極12が並列に接続される。同様に、各負極13の一端部には、負極リード片13cを形成してもよい。複数の負極13の負極リード片13cを束ねるとともに、電池ケース20の蓋部22に設けられた外部負極端子25に接続することにより、複数の負極13が並列に接続される。正極リード片12cの束と負極リード片13cの束とは、互いの接触を避けるように、電極群の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子および外部負極端子25は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット23が嵌められ、ナット23を回転することにより蓋部22に対してナット23が固定される。各端子のケース内部に収容される部分には、鍔部24が設けられており、ナット23の回転により、鍔部24が、蓋部22の内面に、ワッシャ27を介して固定される。
負極13と水溶液電解質との間には、遮水性Na伝導膜10が介在している。そのため、充電時に水の電気分解が起こらず、あるいは、起こってもわずかである。よって、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池100には、水素発生電位よりも卑な電極電位を有する負極活物質、あるいは、酸素発生電位よりも貴な正極活物質を用いることができる。そのため、起電力の大きな水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池100、例えば、平均的に1.5V以上の起電力を発現する水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池100を得ることができる。また、2.0V、さらには2.5V、特には3.0Vを超える起電力を発現させることもできる。起電力は、最高で、例えば4.5Vまで発現させることができる。
さらに、水溶液電解質を使用するため、安全性が高く、メンテナンスが容易である。同様に水溶液電解質を用いた鉛蓄電池の代替としても、有望である。なお、鉛蓄電池よりも高い起電力を発現することが可能であるため、省スペース化が図れる。
以下、実施例に基づき、本発明をより具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
《実施例1》
以下のようにして作製した遮水性Na伝導膜10Aを用いて、図3に示すようなハーフセルA1を作製し、評価を行った。ハーフセルA1では、作用極31と対向極32との間に遮水性Na伝導膜10Aを配置して、作用極側領域S1と対向極側領域S2とを設けた。作用極側領域S1を、以下のイオン液体で満たした。対向極側領域S2を、1Mの硝酸ナトリウム水溶液で満たした。
(遮水性Na伝導膜)
試薬特級のNaPO(7.6g)、SiO(2.4g)およびイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(5.05g)をボールミルにて粉砕混合した。このとき、エタノールを少量加え、湿式で粉砕を行った。その後、ペレット状に成型し、60℃の乾燥炉で乾燥して、エタノールを揮発させた。次に、1100℃の電気炉(大気雰囲気下)で8時間加熱し、炉冷した。再度、ボールミルでの粉砕、成型、加熱および炉冷を繰り返し、平均粒径10μm未満のNASICON型化合物であるNaZrSiPO12粉末を得た。
得られた粉末100質量部に対して、PTFEを5質量部混合し、厚み500μmの膜状に成型した。得られた膜を、溶融させた炭化水素化合物(炭素数20以上、分子量820、融点85℃)に浸漬した。図4Aに、炭化水素化合物が含浸した膜の断面のSEM写真(3000倍)を示し、図4Bに、当該膜の表面のSEM写真(3000倍)を示す。
次いで、炭化水素化合物を含浸させた膜を冷却し、その表面をプラズマ処理して(プロセスガス:窒素、電源の周波数:30kHz、処理時間:10秒)、遮水性Na伝導膜10Aを得た。図5Aに、プラズマ処理後の膜の断面のSEM写真(2000倍)を示し、図5Bに、当該膜の表面のSEM写真(3000倍)を示す。
(作用極の作製)
以下の試薬を、モル比で、a:b:c:d:e=1:1:1:20:70(ただし、試薬cについては、モノマー単位でのモル比に換算)となるように混合して得られたゾルを、白金(Pt)基板(6mm×6mm、厚み:100μm)上に滴下した。続いて、スピンコーターを用いて、Pt基板を上記ゾルによりコーティングした。次いで、電気マッフル炉により、450℃で30分間焼成した後、600℃に昇温して60分間の焼成を行って、Pt基板の表面にLiTi12の薄膜(厚み:20μm)を備える作用極を得た。
(試薬)
a:酢酸リチウム
b:チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH]
c:ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:63万)
d:酢酸
e:2−プロパノール
(対向極および参照極)
対向極として、Pt電極を準備した。参照極として、Ag/AgCl電極を準備した。
(イオン液体)
Na・TFSA(ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド)、および、PP13(N−メチル−N−ピペリジニウム)・TFSAを、Naイオン濃度が0.3Mになるように混合した。
(評価)
ハーフセルA1について、サイクリックボルタンメトリー(CV)の測定を行った。結果を図6に示す。なお、ハーフセルA1のCVの測定は、室温22〜25℃、電位−2V〜0V、走査速度5mV/秒の条件で、6サイクル行った。
《比較例1》
遮水性Na伝導膜10Aを配置しなかったこと、および、イオン液体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ハーフセルB1を作製した。ハーフセルB1のCVの測定結果を、図7に示す。なお、ハーフセルB1のCVの測定は、室温22〜25℃、電位−2V〜0V、走査速度1mV/秒の条件で、10サイクル行った。
負極活物質としてLiTi12を用いた負極のプラトー領域での電位は、標準水素電極に対して約−1.4Vであり、水素発生電位(約−0.41V)よりはるかに卑である。そのため、遮水性Na伝導膜10Aを配置しなかったハーフセルB1では、サイクル数にかかわらず、電位を負方向に掃引した場合、負極上で水素ガスが発生し、見かけ上、電流は流れた。電位を正方向に掃引した場合、電流は殆ど流れなかった。一方、ハーフセルA1では、サイクル数にかかわらず、水素ガスの発生はほとんど見られず、Naの酸化還元反応によって電流が流れていることが確認できた。
本発明の水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池は、充電時の水の電気分解が抑制されることから、様々な水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池に適用することができる。
1:連結体、2:炭化水素化合物、10、10A:遮水性Na伝導膜、12:正極、12c:正極リード片、13:負極、13c:負極リード片、20:電池ケース、21:容器本体、22:蓋部、23:ナット、24:鍔部、25:外部負極端子、26:安全弁、27:ワッシャ、31:作用極、32:対向極、100:水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子の連結体と、
    炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物と、を含む膜であって、
    前記連結体の一部が、前記膜の両方の主面に露出しており、
    前記脂肪族炭化水素化合物が、前記連結体が有する空隙に充填されている、遮水性ナトリウムイオン伝導膜。
  2. 前記脂肪族炭化水素化合物が、0℃〜80℃の範囲で固体である、請求項1に記載の遮水性ナトリウムイオン伝導膜。
  3. 前記固体電解質が、NASICON型結晶構造を有する化合物を含む、請求項1または2に記載の遮水性ナトリウムイオン伝導膜。
  4. ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質の粒子を連結させるとともに、前記粒子の連結体を含む膜を成型する第1工程と、
    前記第1工程の後、前記膜に、炭素数20以上の脂肪族炭化水素化合物を含浸させる第2工程と、
    前記第2工程の後、前記膜の主面に付着した前記脂肪族炭化水素化合物の少なくとも一部を除去する第3工程と、を備える、遮水性ナトリウムイオン伝導膜の製造方法。
  5. 前記第3工程がプラズマ処理により行われる、請求項4に記載の遮水性ナトリウムイオン伝導膜の製造方法。
  6. 正極と、
    負極と、
    ナトリウムイオンを含む水溶液電解質と、
    前記負極と前記水溶液電解質との間に配置された、請求項1に記載の遮水性ナトリウムイオン伝導膜と、を含む、水溶液電解質ナトリウムイオン二次電池。

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