JP2018160443A - セパレータ、二次電池、電池パック及び車両 - Google Patents

セパレータ、二次電池、電池パック及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を実現することのできるセパレータを提供すること。【解決手段】1つの実施形態によると、セパレータが提供される。このセパレータは、1価の陽イオンが選択的に透過可能であり、第1面及び第2面を有し、第1面における水系電解質に対する接触角θ1と、第2面における水系電解質に対する接触角θ2とが異なる。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、セパレータ、二次電池、電池パック及び車両に関する。
負極活物質として炭素材料又はリチウムチタン酸化物を、正極活物質としてニッケル、コバルト及びマンガン等を含有する層状酸化物用いた非水電解質電池、特にリチウム二次電池が、幅広い分野における電源として既に実用化されている。このような非水電解質電池の形態は、各種電子機器用などの小型の物から、電気自動車用などの大型の物まで多岐にわたる。これらリチウム二次電池の電解液には、ニッケル水素電池又は鉛蓄電池と異なり、エチレンカーボネートやメチルエチルカーボネートなどが混合された非水系の有機溶媒が用いられている。これらの溶媒を用いた電解液は、水溶液電解液よりも耐酸化性および耐還元性が高く、溶媒の電気分解が起こりにくい。そのため、非水系のリチウム二次電池では、2V〜4.5Vの高い起電力を実現することができる。
一方で、有機溶媒の多くは可燃性物質であるため、有機溶媒を用いた二次電池の安全性は、水溶液を用いた二次電池に比べて原理的に劣りやすい。有機溶媒を含む電解液を用いたリチウム二次電池の安全性を向上させるために種々の対策がなされているものの、必ずしも十分とはいえない。また、非水系のリチウム二次電池は、製造工程において、ドライ環境が必要になるため、製造コストが必然的に高くなる。そのほか、有機溶媒を含む電解液は導電性が劣るので、非水系のリチウム二次電池の内部抵抗が高くなりやすい。このような課題は、電池安全性及び電池コストが重要視される電気自動車又はハイブリッド電気自動車、更には電力貯蔵向けの大型蓄電池用途においては、大きな欠点となっている。
これらの課題を解決するために、電解液を水溶液に変更するための検討がなされている。水系電解液では、電池の充放電を実施する電位範囲を、溶媒として含まれている水の電気分解反応が起こらない電位範囲に留める必要がある。例えば、正極活物質としてリチウムマンガン酸化物及び負極活物質としてリチウムバナジウム酸化物を用いることで、水の電気分解を回避できる。これらの組み合わせでは、1〜1.5V程度の起電力が得られるものの、電池として十分なエネルギー密度は得られにくい。
正極活物質にリチウムマンガン酸化物、負極活物質としてLiTi24、Li4Ti512などといったリチウムチタン酸化物を用いると、理論的には2.6〜2.7V程度の起電力が得られ、エネルギー密度の観点からも魅力的な電池になりうる。このような正負極材料の組み合わせを採用した非水系のリチウム二次電池では優れた寿命性能が得られ、このような電池は既に実用化されている。しかしながら、水系電解液においては、リチウムチタン酸化物のリチウム挿入脱離の電位は、リチウム電位基準にて約1.5V(vs.Li/Li+)であるため、水の電気分解が起こりやすい。一方で、正極のリチウムMn酸化物においても水溶液中のカチオンの酸化が起こり、ガスが発生するという問題があり、満足な充放電が不可能であった。
国際公開公報第2016/114141号公報 特開2005−243342号公報 特開2015−095431号公報 米国特許出願公開第2012/0328958号明細書
S. Liu et al. (2011). Rechargeable Aqueous Lithium-Ion Battery of TiO2/LiMn2O4 with a High Voltage. Journal of The Electrochemical Society, 158 (12) A1490-A1497.
本発明は上記事情に鑑みてなされ、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を実現することのできるセパレータ、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池、この二次電池を具備した電池パック、及びこの電池パックを具備した車両を提供することを目的とする。
実施形態によると、セパレータが提供される。このセパレータは、1価の陽イオンが選択的に透過可能であり、第1面及び第2面を有し、第1面における水系電解質に対する接触角θ1と、第2面における水系電解質に対する接触角θ2とが異なる。
実施形態によると、二次電池が提供される。この二次電池は、正極と、負極活物質含有層を備えた負極と、水系電解質と、1価の陽イオンが選択的に透過可能なセパレータとを含む。セパレータが有する第1主面及び第2主面のうち、負極活物質含有層と接している第1主面において、水系電解質に対する接触角θ1は90°≦θ1<180°である。
実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第1の実施形態に係る二次電池を含む。
実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第2の実施形態に係る電池パックを含む。
第1の実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す平面図。 第1の実施形態に係る二次電池の他の例を概略的に示す断面図。 図2のA部の拡大断面図。 第1の実施形態に係る二次電池の他の例を概略的に示す平面図。 第1の実施形態に係る二次電池の他の例を概略的に示す平面図。 第1の実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 第2の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図7に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 第3の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図。 第3の実施形態に係る車両の他の例を概略的に示す図。 第1の実施形態に係る二次電池の他の例を概略的に示す平面図。
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、二次電池が提供される。この二次電池は、正極と、負極活物質含有層を備えた負極と、水系電解質と、1価の陽イオンが選択的に透過可能なセパレータとを含む。セパレータが有する第1主面及び第2主面のうち、負極活物質含有層と接している第1主面において、水系電解質に対する接触角θ1は90°≦θ1<180°である。
水系電解質を含む二次電池の負極においては、水素過電圧が低いため、水の電気分解が生じやすい。水の電気分解は、下記式(1)で表される。
2H2O → H2 + 2OH…(1)
つまり、水の電気分解が生じると、負極近傍で水素ガスが発生すると共に、OHが生成されるため、負極近傍のpHは高まる。
本発明者らは、負極近傍における水分子の量を局所的に減少させることで、式(1)の反応を右向きに進行しにくくすることができ、結果として充放電特性及びサイクル寿命特性を向上できることを見出した。
負極近傍における水分子の量を局所的に減少させるために、セパレータとして1価の陽イオンを選択的に透過可能なものを使用し、このセパレータが有する第1主面及び第2主面のうち、負極活物質含有層と対向している第1主面において、水系電解質に対する接触角θ1を90°以上180°未満とする。こうすると、負極(負極活物質含有層)近傍で水の電気分解が進行した場合、セパレータは水分子を透過しにくいため、負極近傍の水分子の量は少ないままとなる。一方、セパレータはアニオンを透過しないため、水の電気分解により生じた水酸化物イオンは負極近傍に留まりやすい。この結果、上記式(1)で表される水の電気分解は、右向きに進行しにくくなる。負極とセパレータとの間に存在する電解質が少量であっても、十分に充放電することが可能である。
水の電気分解が発生すると、充電効率が低下して充電容量が過剰になるため、充放電効率(充電容量に対する放電容量の割合)が低い。しかしながら、実施形態に係る二次電池により水の電気分解が発生しにくくなると、過充電になるのを抑制することができるため、優れた充放電効率を達成することができる。
また、負極における水の電気分解が発生すると、負極の充放電効率が正極の充放電効率と比較して低下する。それ故、充放電サイクルを繰り返すことで、正極が次第に過充電状態となり、早期に正極が劣化する。しかしながら、水の電気分解を抑制することができれば、正極が劣化しにくくなるため、二次電池としてのサイクル寿命特性が向上する。
このように、実施形態に係る二次電池によると、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成することができる。
二次電池は、正極、負極、水系電解質及びセパレータに加えて、正極、負極、水系電解質及びセパレータが収容される外装部材を更に含むことができる。
以下、セパレータ、水系電解質、負極、正極、及び外装部材について説明する。
(1)セパレータ
セパレータは、1価の陽イオンが選択的に透過可能であり、第1面及び第2面を有し、第1面における水系電解質に対する接触角θ1と、第2面における水系電解質に対する接触角θ2とが異なる。このセパレータは、例えば、正極と、負極と、水系電解質とを含んだ二次電池に使用される。
セパレータは、第1面に対応した第1主面及び第2面に対応した第2主面を有していてもよい。この場合、セパレータは、例えばシート形状である。
後述する正極及び負極の間には、セパレータが配置されている。セパレータは、正極と負極との接触を防止するためのものであり、電気的に絶縁性を有した材料からなる。
セパレータは、1価の陽イオンを選択的に透過させることができる。即ち、セパレータは、後述する水系電解質が含む複数のイオンのうち、2価以上の陽イオンを透過させることはできず、アニオンを透過させることもできない。1価の陽イオンの例は、リチウムイオン及びナトリウムイオンを含む。
セパレータが1価の陽イオンを選択的に透過させることができるものであるか否かの確認は、以下のように行うことができる。対象のセパレータを用いて、互いにアニオン種が異なる水系電解液を隔てるようにして、試験用のセルを作製する。対象のセパレータにより隔てられた2種の水系電解液の間で、アニオン種が互いに混入することなく充放電が可能である場合、対象のセパレータが1価の陽イオンを選択的に透過させるものであることが確認できる。
なお、2種の水系電解液の間でアニオン種が互いに混入していないことは、例えば、イオンクロマトグラフ法で、各水系電解液が含んでいるイオン種成分を分離して、定量することにより確認することができる。或いは、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分析により、各水系電解液が含むイオン種の定量分析を行うことで確認することができる。
セパレータは、例えば、第1主面及び第2主面を備えたシート状の部材である。セパレータの第1主面の少なくとも一部は、負極活物質含有層と対向している。セパレータの第1主面の少なくとも一部は、負極活物質含有層と接しているのが好ましい。セパレータの第1主面と対向した負極活物質含有層の主面は、その全面がセパレータの第1主面と接していることが好ましい。この場合、水の加水分解を効率良く抑制することができるため、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成することができる。
セパレータの第1主面における、水系電解質に対する接触角θ1は、90°≦θ1<180°である。接触角θ1は、106°≦θ1<180°であることが好ましく、124°≦θ1<180°であることがより好ましい。
即ち、セパレータの第1主面は、水系電解質に対する撥水性を有している。従って、水系電解質が含む水分子はセパレータの第1主面を透過しにくい。このような第1主面が負極活物質含有層と接していることにより、負極活物質含有層近傍に供給される水分子の量を減らすことができる。
セパレータの第2主面は、正極活物質含有層と接していてもよく、接していなくてもよい。セパレータの第2主面が正極活物質含有層と接している場合、上記第1主面の接触角θ1は、この第2主面における水系電解質に対する接触角θ2と比較して大きいことが好ましい。こうすると、第1主面及び第2主面における水素過電圧が増加するため、充放電効率が向上する。
上記第2主面の接触角θ2が10°≦θ2<90°であると、セパレータと正極活物質含有層との界面に十分な水系電解質を保持することが可能である。それ故、第2主面の近傍における水系電解質のpHなどの変動を抑制でき、水の電気分解をより抑制できるため、充放電効率が向上する。
セパレータは、例えば、酸化物型固体電解質、高分子型固体電解質、ガラス電解質及び1価選択制の陽イオン交換膜からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。セパレータは、これらのうちの1種のみからなっていてもよく、2種以上を併用してもよい。
セパレータは、ガラス電解質を含むことが好ましい。セパレータはガラス電解質からなっていてもよい。セパレータがガラス電解質を含んでいると、セパレータを薄膜とすることが容易であり、熱に強くすることができ、水に対する安定性を高くすることができるため好ましい。
酸化物型固体電解質、高分子型固体電解質及びガラス電解質は、例えば、複数の粒子からなる。セパレータを構成する複数の粒子の平均粒子径は、例えば0.1μm〜2μmである。
酸化物型固体電解質の例は、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlxTi2-x(PO43)(0.1≦x≦0.5)又はLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)、ガーネット型のLLZ(Li7La3Zr212)などの酸化物である。
高分子型固体電解質は、例えば、高分子材料及び電解質塩を含む。高分子型固体電解質は、高分子材料及び電解質塩からなっていてもよい。高分子型固体電解質は、有機溶媒などの溶媒を更に含んでいてもよい。
高分子材料の例は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミン系、シリコーン系及びポリスルフィド系を含む。
電解質塩の例は、リチウム塩及びナトリウム塩などのアルカリ金属塩を含む。高分子型固体電解質は、1種類の電解質塩を含んでいてもよく、2種類以上の電解質塩を含んでいてもよい。
リチウム塩の例は、例えば、LiCl、LiBr、LiOH、Li2SO4、LiNO3、CH3COOLi、LiN(SO2CF32(LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiN(SO2F)2(LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、及びLiB[(OCO)2]2(LiBOB:リチウムビスオキサレートボラート)などを含む。
ナトリウム塩の例は、NaCl、Na2SO4、NaOH、NaNO3及びNaTFSA(ナトリウムトリフルオロメタンスルホニルアミドなどを含む。
ガラス電解質は、酸化物型固体電解質の中で、構造中にリンを含むものである。即ち、酸化物型固体電解質はガラス電解質を包含する。ガラス電解質の例は、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlxTi2-x(PO43)(0.1≦x≦0.5)又はLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)を含む。
1価選択性の陽イオン交換膜の例として、アニオン性重合膜が挙げられる。アニオン性重合膜が含む極性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基、アミノ基、イミノ基、アンモニウム基、イミニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基が挙げられる。これら極性官能基は単独で含まれていてもよく、複数種が含まれていてもよい。アニオン性重合膜を構成しているアニオン性重合体は、例えば、アニオン基を含有するポリビニルアルコール又はアニオン基を含有する重合体とアニオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物である。
セパレータは、厚さが10μm以上150μm以下、密度が0.2g/cm3以上6g/cm3以下であることが好ましい。セパレータの厚さ及び密度がこの範囲内にあると、機械的強度と電池抵抗の軽減のバランスを取ることができ、高出力で内部短絡が抑制された二次電池を提供することができる。また、高温環境下でのセパレータの熱収縮が少なく、良好な高温貯蔵性能を発揮し得る。
セパレータの第1主面における接触角θ1又はセパレータの第2主面における接触角θ2を調整する方法を説明する。
例えば、セパレータの主面の表面を疎水基で修飾すると、当該表面における、水系電解質に対する接触角を高めることができる。疎水基の例は、メチル基、フェニル基、メトキシ基、アルキル基、アミノ基、アセチル基、メトキシ基及びカルボキシル基などを含む。セパレータの第1主面は、疎水基を含むことが好ましい。
また、例えば、セパレータの主面の表面を親水基で修飾すると、当該表面における、水系電解質に対する接触角を低めることができる。親水基の例は、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基及びニトロ基などを含む。
疎水基又は親水基の修飾方法としては、例えば、カップリング剤修飾法、高分子のグラフト共重合法、カプセル化法、ゾルゲル法などが挙げられる。セパレータの主面への疎水基又は親水基の修飾は、セパレータが、酸化物型固体電解質、高分子型固体電解質及びガラス電解質からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる場合に行うことができる。
また、セパレータの主面の表面の表面粗さを変更することで、水系電解質に対する接触角を調整することができる。表面粗さ変更前の表面が撥水性の場合、表面粗さを大きくすると接触角は大きくなる傾向にあり、表面粗さを小さくすると接触角は小さくなる傾向にある。なお、撥水性とは、接触角θが90°以上である場合を意味する。
一方、表面粗さ変更前の表面が親水性の場合、表面粗さを大きくすると接触角は小さくなる傾向にあり、表面粗さを小さくすると接触角は大きくなる傾向にある。なお、親水性とは、接触角θが90°未満である場合を意味する。
表面粗さの変更方法としては、例えば、表面を研磨することが挙げられる。この研磨は、例えば、セパレータが固体電解質からなる場合に行う。研磨は、例えば、回転試料台にヤスリをセットし、純水を滴下しながら試料台を回転させ、そこにセパレータの主面を押し付けて行うことができる。
また、後述するように、水系電解質の性質を変更することによっても、セパレータの主面における、水系電解質に対する接触角を変更することができる。
<接触角の測定方法>
まず、水系電解質としての電解液及び/又はゲル電解質を含んだ電池を分解する。水系電解質の余剰分がある場合には、余剰分が自然分離するのでそれを別の容器に回収する。水系電解質の余剰分が無い場合、例えば、自然分離しない場合及び電極部分に水系電解質が浸み込んでいる場合は、遠心分離を行って電極と水系電解質とに分離して、水系電解質を回収する。得られた水系電解質を用いて、JIS R 3257:1999に準拠した静滴法により、セパレータの第1主面における接触角θ1及びセパレータの第2主面における接触角θ2を測定する。
(2)水系電解質
水系電解質は、例えば、水を含んだ溶媒と、電解質塩としてのリチウム塩又はナトリウム塩とを含んでいる。水系電解質は、例えば、リチウムイオン又はナトリウムイオンを含む水系電解液である。水系電解質は、リチウムイオン及びナトリウムイオンの双方を含んでいてもよい。水系電解質は、水系電解液と高分子材料とを複合化したゲル状の水系電解質であってもよい。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
水を含んだ溶媒は、純水であってもよく、水と水以外の物質との混合溶液及び/又は混合溶媒であってもよい。
水系電解質は、溶質である電解質塩1molに対し、溶媒量(例えば水を含んだ溶媒中の水量)が1mol以上であることが好ましい。電解質塩1molに対して溶媒量が3.5mol以上であることがより好ましい。
水系電解質に水が含まれていることは、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析;Gas Chromatography - Mass Spectrometry)測定により確認できる。また、水系電解質中の塩濃度および水含有量の算出は、例えばICP(誘導結合プラズマ;Inductively Coupled Plasma)発光分析などで測定することができる。水系電解質を規定量はかり取り、含まれる塩濃度を算出することで、モル濃度(mol/L)を算出できる。また水系電解質の比重を測定することで、溶質と溶媒のモル数を算出できる。
水系電解液は、例えばリチウム塩を1〜12mol/Lの濃度で水系溶媒に溶解することにより調製される。水系電解質の電気分解を抑制するために、LiOH又はLi2SO4などを添加し、pHを調整することができる。pHは、3〜13であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。
電解質塩として溶解度の高い塩を使用すると、水系電解質中のカチオン濃度及びアニオン濃度を高くすることができる。電解質塩の電離により生成したカチオン又はアニオンは、それぞれが水分子と結合する可能性がある。それ故、電解質中のカチオン濃度及びアニオン濃度が上がると、溶媒中の水分子と、カチオン又はアニオンとが結合する確率が高まる。つまり、水系電解質中の電解質塩の濃度を高めると、セパレータの主面における水系電解質に対する接触角を高めることができる傾向にある。
リチウム塩の例は、例えば、LiCl、LiBr、LiOH、Li2SO4、LiNO3、LiN(SO2CF32(LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiN(SO2F)2(LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、及びLiB[(OCO)2]2(LiBOB:リチウムビスオキサレートボラート)などを含む。使用するリチウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。また、水系電解質は、リチウム塩以外の塩を含んでいてもよい。リチウム塩以外の塩としては、例えば、ZnSO4を挙げることができる。
ナトリウム塩の例は、NaCl、Na2SO4、NaOH、NaNO3及びNaTFSA(ナトリウムトリフルオロメタンスルホニルアミドなどを含む。使用するナトリウム塩の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
水系電解質が、電解質塩として無機系のアニオン種を含んでいると、セパレータの主面における接触角が高まる傾向がある。一方、水系電解質が有機系のアニオン種を含んでいると、無機系のアニオン種を含んでいる場合と比較してセパレータの主面における接触角が低まる傾向がある。これは、有機系のアニオン種の方が分子サイズが大きいため、単位体積当たりの水の量が少なくなることに起因していると考えられる。単位体積当たりの水の量が少なくなると、水分子同士のファンデルワールス力(分子間力)が弱まるため、接触角が低くなると考えられる。
無機系のアニオン種の例は、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、水酸化物イオン(OH-)、硫酸イオン(SO4 2-)、及び硝酸イオン(NO3 -)を含む。
有機系のアニオン種の例は、酢酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン(N(SO2CF32 -)、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン(N(SO2F)2 -)、及びビスオキサレートボラートイオン(B[(OCO)2]2 -)を含む。水系電解質は、1種類のアニオン種のみを含んでいてもよく、2種類以上のアニオン種を含んでいてもよい。
水系電解質が、イオン半径が大きいアニオンを含む場合、イオン半径がより小さいアニオンを含む場合と比較して、セパレータの主面における接触角が低くなる傾向にある。これは、アニオンのイオン半径が大きいほど、水分子間のファンデルワールス力(分子間力)が弱まるためであると考えられる。
例えば、セパレータの第1主面(負極側)に接する電解液として塩化リチウムを使用し、第2主面(正極側)に接する電解液として硫酸リチウムを使用すると、第2主面における接触角θ2を、第1主面における接触角θ1と比較して小さくすることができる。これは、塩化物イオンと比較して硫酸イオンのイオン半径が大きいためであると考えられる。
水系電解質は、(塩化物イオン(Cl-)、水酸化物イオン(OH-)、硫酸イオン(SO4 2-)、硝酸イオン(NO3 -)、酢酸イオン(CH3COO-)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合、セパレータの第1主面における水系電解質に対する接触角θ1が高くなり、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成できる。
(3)負極
負極は、負極集電体と、負極集電体の片面又は両面に担持され、活物質、導電剤及び結着剤を含む負極活物質含有層とを有する。
負極活物質は、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブチタン酸化物及びナトリウムニオブチタン酸化物などのチタン含有酸化物の少なくとも1種を含む。チタン含有酸化物のLi吸蔵電位は、1.2V(vs.Li/Li+)以上2.0V(vs.Li/Li+)以下であることが好ましい。負極活物質は、これらチタン含有酸化物を1種又は2種以上含むことができる。
チタン酸化物は、例えば、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、アナターゼ構造のチタン酸化物を含む。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成をTiO2、充電後の組成をLixTiO2(xは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO2(B)と表すことができる。
リチウムチタン酸化物は、例えば、スピネル構造のリチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi512(xは−1≦x≦3))、斜方晶型チタン酸化物(例えば一般式Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σ(0≦a≦6、0<b<2、0<c<6、0<d<6、−0.5≦δ≦0.5、M(I)は、Sr、Ba、Ca、Mg、Na、Cs及びKからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、M(II)は、Zr、Sn、V、Nb、Ta、Mo、W、Fe、Co、Mn、Al及びYからなる群より選ばれる少なくとも1種である)、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi37(−1≦x≦3))、Li1+xTi24(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.84(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.864(0≦x≦1)、LixTiO2(0<x≦1)などを含む。また、リチウムチタン酸化物は、異種元素が導入されているリチウムチタン複合酸化物であってもよい。
ニオブチタン酸化物は、例えば、LiaTiMbNb2±β7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe,V,Mo及びTaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表されるものを含む。
ナトリウムニオブチタン酸化物は、例えば、一般式Li2+vNa2-wM1xTi6-y-zNbyM2z14+δ(0≦v≦4、0<w<2、0≦x<2、0<y<6、0≦z<3、−0.5≦δ≦0.5、M1はCs,K,Sr,Ba,Caより選択される少なくとも1つを含み、M2はZr,Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,Alより選択される少なくとも1つを含む)で表される斜方晶型Na含有ニオブチタン複合酸化物を含む。
負極活物質は、スピネル型のチタン酸リチウム(例えば、Li4Ti512)、アナターゼ型酸化チタン(例えばTiO2)、ニオブチタン酸化物及びナトリウムニオブチタン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
負極活物質は、例えば粒子の形態で負極に含まれている。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。
負極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)は、3μmより大きいことが好ましい。より好ましくは5〜20μmである。この範囲であると活物質表面積が小さく、水素発生を抑制することができる。一方で負極活物質の一次粒子の平均粒子径はなお、一次粒子の平均粒子径は1μm以下とすることが望ましい。これにより、高入力性能においてこの効果が顕著となる。
上記負極活物質を水系電解質中で安定に動作させるためには、負極集電体は亜鉛から構成されるのが好ましい。
チタン含有酸化物に対する充放電反応が成立する電位付近では、水系電解質の電気分解による水素発生が起こりやすい。ことさら、導電性の高い集電体上での電気分解が起こりやすく、発生した水素の泡により集電体から活物質が容易に剥離されるため、活物質への連続した充放電反応が成立しにくい。亜鉛は水素発生が起こりにくいため、集電体からの活物質層の剥離が起こりにくく、リチウム電位基準にて1.5V付近においても、チタン含有酸化物への充放電が可能となる。また亜鉛は、安価な金属である点においても好ましい。
集電体内に、亜鉛以外の元素が含まれていても同様の効果が得られる。亜鉛以外の元素としては、Ga、In、Bi,Tl、Sn、Pb、Ti、Al、Sn及びPbから選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。これらの金属が、合金として含まれているか又は単体の金属として含まれていることにより、集電体の機械的強度が高められ、加工性能が向上させることができる。更に、これらの金属が含まれていると、電気分解を抑制し、より水素発生を抑制させることができる。更に好ましい金属としてPb、Ti、Alが挙げられる。
亜鉛、又は、亜鉛を含む合金若しくは亜鉛と他の金属との混合物は、集電体表面に存在しても同様な効果が得られる。具体的には、これらの金属が別の基板、例えばAlの上にメッキされた状態でもよい。基板となる金属は、Al、Fe、Cu、Ni、Tiが好ましく、さらに好ましいのはAl、Tiである。集電体表面に存在する亜鉛厚さは0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。0.1μm未満の場合は、水素発生を抑制させる効果が薄く、10μmを超えると基板となる金属との密着性が低下する恐れがある。さらに好ましい範囲は0.2μm以上2μmである。
負極集電体の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下である。10μm未満であると、製造時における箔切れの可能性が高まり、500μmを超えると、電池としての体積エネルギー密度が低下する可能性がある。負極集電体の厚さは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下である。
導電剤は、集電性能を高め、且つ活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために、必要に応じて配合される。導電剤の例には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛及びコークスなどの炭素質物が含まれる。導電剤は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
結着剤は、活物質、導電剤及び集電体を結着させる作用を有する。結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、セルロース系部材、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることができるが、これらに限定されない。結着剤は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
負極活物質含有層における負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質が80重量%以上95重量%以下、導電剤が3重量%以上18重量%以下、結着剤が2重量%以上7重量%以下の範囲内であることが好ましい。導電剤が3重量%未満であると、負極活物質含有層の集電性能が低下し、電池の大電流性能が低下する恐れがある。また、結着剤が2重量%未満であると、負極活物質含有層と負極集電体との結着性が低下し、サイクル性能が低下する恐れがある。一方、高容量化の観点から、導電剤及び結着剤はそれぞれ18重量%以下、7重量%以下であることが好ましい。
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、負極活物質、導電剤及び結着剤を適切な溶媒に懸濁してスラリーを調製する。次いで、このスラリーを負極集電体の片面又は両面に塗布する。ここで、負極集電体としては、上述した方法で予め被覆層を形成した負極集電体を用いる。負極集電体上の塗膜を乾燥することにより負極活物質層を形成する。その後、負極集電体及びその上に形成された負極活物質含有層にプレスを施す。負極活物質含有層としては、負極活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成したものを用いてもよい。
(4)正極
正極は、正極集電体と、正極集電体の片面又は両面に担持され、活物質、導電剤及び結着剤を含む正極活物質含有層とを有する。
正極集電体は、例えば、ステンレス、Al及びTiなどの金属からなる。正極集電体は、例えば、箔、多孔体又はメッシュの形態である。集電体と電解液との反応による集電体の腐食を防止するため、集電体表面を異種元素で被覆してもよい。正極集電体は、例えばTi箔などの耐蝕性及び耐酸化性に優れたものであることが好ましい。
正極活物質には、リチウムを吸蔵放出可能なものが使用され得る。正極は、1種類の正極活物質を含んでいてもよく、2種類以上の正極活物質を含んでいてもよい。正極活物質の例は、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウム鉄酸化物、リチウムフッ素化硫酸鉄、オリビン結晶構造のリン酸化合物(例えば、LixFePO4(0≦x≦1)、LixMnPO4(0≦x≦1))などを含む。オリビン結晶構造のリン酸化合物は、熱安定性に優れている。
例えば、LixMn24またはLixMnO2などのリチウムマンガン複合酸化物、例えば、LixNi1-yAly2などのリチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、例えばLixCoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、例えばLixNi1-y-zCoyMnz2などのリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLixMnyCo1-y2などのリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLixMn2-yNiy4などのスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4などのオリビン構造を有するリチウムリン酸化物、例えばフッ素化硫酸鉄LixFeSO4Fが挙げられる。x,yは、特に記載がない限り、0〜1の範囲であることが好ましい。
中でも、リチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物によると、高温環境下での非水電解質との反応を抑制することができ、電池寿命を大幅に向上することができる。特にLixNi1-y-zCoyMnz2(0≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5)で表せるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が好ましい。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の使用により、より高温耐久寿命を得ることができる。
正極活物質は、例えば粒子の形態で正極に含まれている。正極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。
導電剤は、集電性能を高め、且つ活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために、必要に応じて配合される。導電剤の例には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛及びコークスなどの炭素質物が含まれる。導電剤は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
結着剤は、活物質、導電剤及び集電体を結着させる作用を有する。結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、セルロース系部材、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることができるが、これらに限定されない。結着剤は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
正極活物質含有層における正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質が80重量%以上95重量%以下、導電剤が3重量%以上18重量%以下、結着剤が2重量%以上7重量%以下の範囲内であることが好ましい。導電剤が3重量%以上であると上述した効果を発揮することができ、18重量%以下であると高温保存下での導電剤表面での電解質の分解を低減することができる。結着剤が2重量%以上であると十分な電極強度が得られ、7重量%以下であると電極の絶縁部を減少させることができる。
(5)外装部材
正極、負極及び水系電解質が収容される外装部材としては、金属製容器、ラミネートフィルム製容器、ポリエチレン又はポリプロピレンなどからなる樹脂製容器を使用することができる。
金属製容器としては、ニッケル、鉄、ステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。
樹脂製容器及び金属製容器のそれぞれの板厚は、0.05mm以上1mm以下の範囲内にあることが好ましい。板厚は、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、例えば、金属層を樹脂層で被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。金属層の例に、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔が含まれる。樹脂層には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。ラミネートフィルムの厚さは、0.01mm以上0.5mm以下の範囲内にあることが好ましい。ラミネートフィルムの厚さは、より好ましくは0.2mm以下である。
実施形態に係る二次電池は、角形、円筒形、扁平型、薄型、コイン型等の様々な形態で使用され得る。
以下、実施形態に係る二次電池の例を、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す平面図である。
二次電池100は、正極5、負極3、セパレータ4及び図示しない水系電解質を含んでいる。正極5、負極3、セパレータ4及び水系電解質は、例えば、図1に示すように外装部材2に収容されている。
正極5は、正極集電体5aと、正極集電体5aの片面又は両面に設けられた正極活物質含有層5bとを含む。負極3は、負極集電体3aと、負極集電体3aの片面又は両面に設けられた負極活物質含有層3bとを含む。正極集電体5aの一部は、外装部材2の外部に延出されている。負極集電体3aの一部は、外装部材2の外部に延出されている。
セパレータ4は、第1主面4a及び第2主面4bを有している。図1に示すように、セパレータ4の第1主面4aは負極活物質含有層3bと接している。また、セパレータ4の第2主面4bは正極活物質含有層5bと接している。セパレータ4は、正極活物質含有層5bと接していなくてもよい。図1に示すように、負極活物質含有層3bは、その全面がセパレータ4と接していることが好ましい。この場合、水の加水分解を効率良く抑制することができるため、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成することができる。
図2は、実施形態に係る二次電池の他の例を概略的に示す断面図である。図3は、図2に示す二次電池のA部を拡大した断面図である。
図2及び図3に示す二次電池100は、図2に示す袋状外装部材2と、図2及び図3に示す電極群1と、図示しない水系電解質を具備する。電極群1及び水系電解質は外装部材2内に収納されている。水系電解質は、電極群1に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図2に示すように、電極群1は、扁平状の捲回電極群である。扁平状の捲回電極群1は、図3に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。
負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回電極群1の最外殻に位置する部分は、図3に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
図2に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、最外殻に位置する負極3の負極集電体3aの一部に接続されている。また、正極端子7は、最外殻に位置する正極5の正極集電体5aに接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。
袋状外装部材2の開口部を負極端子6及び正極端子7を挟んでヒートシールすることにより、捲回電極群1が密封されている。
実施形態に係る二次電池は、例えば図4及び図5に示す構成の電池であってもよい。
図4は、実施形態に係る二次電池の他の例を概略的に示す平面図である。図5は、図4に示す二次電池の変形例を示す平面図である。
図4に示す二次電池100は、電極群11と、外装部材2と、図示しない水系電解質とを具備する。電極群11及び水系電解質は、外装部材2内に収納されている。水系電解質は電極群11に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群11は、図4に示すように、積層型の電極群である。積層型電極群11は、正極5と負極3とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群11は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。また、電極群11は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。各負極3の負極集電体3aは、負極リード23の端部に電気的に接続されている。負極リード23の他方の端部は、負極端子6に電気的に接続されている。負極端子6の一部は、外装部材2の外部に引き出されている。各正極5の負極集電体5aは、正極リード22の端部に電気的に接続されている。正極リード22の他方の端部は、正極端子7に電気的に接続されている。正極端子7の一部は、外装部材2の外部に引き出されている。外部に引き出されている負極端子6及び正極端子7は、外装部材2の同一の面から突出している。
図5に示す二次電池100は、負極端子6が突出している面と正極端子7が突出している面とが異なることを除いて、図4に示す二次電池100と同一の構造を有している。
本実施形態に係る二次電池は、組電池を構成していてもよい。組電池は、本実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図6は、実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図6に示す組電池200は、5つの単電池100と、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100のそれぞれは、本実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、1つの単電池100の負極端子6と、この単電池100の隣に位置する単電池100の正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図6の組電池200は、5直列の組電池である。
図6に示すように、5つの単電池100のうち、一方の端部に位置する単電池100の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に接続されている。また、5つの単電池100のうち、他方の端部に位置する単電池100の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に接続されている。
第1の実施形態に係る二次電池は、正極と、負極活物質含有層を備えた負極と、水系電解質と、1価の陽イオンが選択的に透過可能なセパレータとを含む。セパレータが有する第1主面及び第2主面のうち、負極活物質含有層と接している第1主面において、水系電解質に対する接触角θ1は90°≦θ1<180°である。それ故、水の電気分解が発生しにくくなるため、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第1の実施形態に係る、二次電池又は複数の二次電池で構成された組電池を具備している。
電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、二次電池からの電流を外部に出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第2の実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図7は、第2の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図8は、図7に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図7及び図8に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、収容容器31の短辺方向の一方の内側面とに配置されている。プリント配線基板34は、収容容器31の短辺方向の他方の内側面に設置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。組電池200は、1つの単電池100であってもよい。
単電池100は、例えば、図2及び図3を参照しながら説明した構造を有している。複数の単電池100の少なくとも1つは、第1実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100は、外部に延出した負極端子6及び正極端子7が同じ向きになるように揃えて積層されている。複数の単電池100の各々は、図8に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、単電池100の積層体において、最下層に位置する単電池100の正極端子7に接続されている。負極側リード23の一端は、単電池100の積層体において、最上層に位置する単電池100の負極端子6に接続されている。
プリント配線基板34は、正極側コネクタ341と、負極側コネクタ342と、サーミスタ343と、保護回路344と、配線345及び346と、通電用の外部端子347と、プラス側配線348aと、マイナス側配線348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200において負極端子6及び正極端子7が延出した面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ341には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、正極側リード22の他端が挿入されることにより、正極側コネクタ341と正極側リード22とは電気的に接続される。負極側コネクタ342には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、負極側リード23の他端が挿入されることにより、負極側コネクタ342と負極側リード23とは電気的に接続される。
サーミスタ343は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ343は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路344に送信する。
通電用の外部端子347は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子347は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。
保護回路344は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路344は、プラス側配線348aを介して通電用の外部端子347と接続されている。保護回路344は、マイナス側配線348bを介して通電用の外部端子347と接続されている。また、保護回路344は、配線345を介して正極側コネクタ341に電気的に接続されている。保護回路344は、配線346を介して負極側コネクタ342に電気的に接続されている。更に、保護回路344は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護回路344は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路344は、サーミスタ343から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路344と外部機器への通電用の外部端子347との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ343から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路344としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
このような電池パック300は、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パック300は、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、車両の車載用電池又は鉄道車両用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パック300は、車載用電池として特に好適に用いられる。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子347を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子347を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子347を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子347を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子として用いてもよい。
第2の実施形態に係る電池パックは、第1の実施形態に係る二次電池を備えている。それ故、この電池パックは、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成できる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第2の実施形態に係る電池パックを搭載している。
第3の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。
車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、及び、アシスト自転車及び鉄道用車両が挙げられる。
車両における電池パックの搭載位置は、特に限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
次に、実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第3の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。
図9に示す車両400は、車両本体40と、第2の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図9に示す車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載していてもよい。この場合、電池パック300は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
電池パック300は、車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている。電池パック300の搭載位置は、特に限定されない。電池パック300は、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。
次に、図10を参照しながら、第3の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。図10は、第3の実施形態に係る車両の他の例を概略的に示した図である。図10に示す車両400は、電気自動車である。
図10に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図10に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
3つの電池パック300a、300b及び300cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置(VTM:Voltage Temperature Monitoring)301aとを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a〜200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第1の実施形態に係る二次電池である。組電池200a〜200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を集めるために、組電池監視装置301a〜301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a〜200cに含まれる単電池100の電圧、及び温度などに関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a〜301cとの間には、通信バス412が接続されている。通信バス412は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a〜301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a〜200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図10に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a〜200cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフされるリレー回路(図示せず)を備えている。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411、あるいは車両動作全体を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、出力電圧を制御する。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。この回転は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が、電池管理装置411内の電流検出部(図示せず)を介して接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子に接続されている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置415を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子に接続されている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して他の装置とともに電池管理装置411を協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第3の実施形態に係る車両は、第2の実施形態に係る電池パックを具備している。それ故、本実施形態によれば、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を達成できる電池パックを搭載した車両を提供することができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
以下のようにして正極を作製した。
正極活物質として、平均粒子径10μmのスピネル構造のリチウムマンガン酸化物(LiMn24)、導電剤として黒鉛粉末、及び、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた。これら正極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ80重量%、10重量%及び10重量%の割合で配合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。調製したスラリーを、正極集電体としての厚さ12μmのTi箔の両面に塗布し、塗膜を乾燥することで正極活物質含有層を形成した。正極集電体とその上の正極活物質含有層とをプレスする工程を経て、電極密度3.0g/cm3の正極を作製した。
<負極の作製>
以下にようにして負極を作製した。
負極活物質として、平均二次粒子径(直径)15μmのLi4Ti512粉末、導電剤として黒鉛粉末、及び、結着剤としてPVdFを用いた。これら負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ80重量%、10重量%及び10重量%の割合で配合し、NMP溶媒に分散してスラリーを調製した。得られたスラリーを、負極集電体としての厚さ20μmのZn箔に塗布し、塗膜を乾燥することで負極活物質含有層を形成した。負極集電体とその上の負極活物質含有層とをプレスする工程を経て、電極密度2.0g/cm3の負極を作製した。
<セパレータの作製>
平均粒子径が0.5μmのガラス固体電解質LATP(Li1.5Al0.5Ti1.5(PO43)粒子を用意し、これら粒子を圧縮してシート状の圧粉体を作製した。この圧粉体を1100℃で12時間に亘って焼成することで、厚さ150μmのセパレータを作製した。
<電極群の作製>
上記の通り作製した正極と、上記の通り作製した、1価の陽イオンを選択的に透過するセパレータと、上記の通り作製した負極とをこの順序で積層して積層型の電極群を得た。この電極群を、厚さが0.25mmのステンレスからなる薄型の金属缶に収納した。この金属缶は、内圧が2気圧以上になるとガスをリークする弁を備えていた。
<セパレータの主面における接触角の測定>
作製したシート状のセパレータについて、第1の実施形態において説明した方法によりセパレータの主面における接触角を測定した。負極活物質含有層と接しているセパレータの第1主面において、水系電解質に対する接触角θ1は110°であった。また、正極活物質含有層と接しているセパレータの第2主面において、水系電解質に対する接触角θ2は110°であった。
<二次電池の作製及び初回充放電>
水1Lに、電解質塩として12MのLiClを溶解させた電解液を準備し、この電解液を上記金属缶に注液して二次電池を作製した。作製した二次電池を、25℃環境下で24時間に亘って放置した。その後、25℃環境下で、2.8Vまで1Aで充電した後、1.6Vまで放電して電池の容量確認を行った。
<サイクル試験>
25℃環境下で、3Aの定電流で2.8Vまで充電した後、30分間の休止時間を設け、次いで3Aの定電流で1.5Vまで放電し、再び30分間の休止時間を設けるという一連の操作を1つの充放電サイクルとし、この充放電サイクルを、作製した二次電池に対して50回繰り返した。初期容量に対する50回時点における容量と、50回時点における充放電効率(放電容量/充電容量)を算出した。
以上の結果を下記表1及び表2にまとめる。表1及び表2には、後述する実施例2〜10及び比較例1〜3に関する条件及び結果も記載している。
表1中、「セパレータ」の列は、使用したセパレータの材料を示している。「表面処理」の列は、セパレータ表面に対して行った処理の種類と、この処理を行った部分を示している。「電解質塩の種類及び濃度」の列には、水系電解質が含む電解質塩の種類と、その濃度を示している。
表2中、「接触角θ1」の列は、セパレータの第1主面(負極と接している面)における、水系電解質に対する接触角を示している。「接触角θ2」の列は、セパレータの第2主面(正極と接している面)における、水系電解質に対する接触角を示している。「容量維持率(%)」の列は、初期容量に対する50サイクル後の容量(容量維持率)を百分率で示している。「充放電効率(%)」の列は、50サイクル目における充電容量に対する放電容量を百分率で示している。
(実施例2)
作製したセパレータをヘキサメチルジシラザン溶液に浸漬し、セパレータの表面全体を疎水基で修飾したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例3)
セパレータが、ガラス固体電解質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43)からなることを除いて実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例4)
セパレータが、ガラス固体電解質LLZ(Li7La3Zr212)からなることを除いて実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例5)
作製したセパレータの第2主面(正極と接する主面)を研磨して表面粗さを大きくしたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例6)
セパレータとして、以下のように作製した陽イオン1価選択制のイオン交換膜を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
固形分濃度15%のPVA−(b)−p−スチレンスルホン酸ナトリウムブロック共重合体水溶液を濃度10wt%まで希釈し、樹脂溶液の1倍の体積のメタノールにより再沈して塩類を除去した樹脂を取り出した。次いで、必要量の蒸留水を加えて濃度15wt%の水溶液を調整した。この水溶液を縦270mm×横210mmのアクリル製のキャスト板に流し込み、余分な液、気泡を除去した後、50℃のホットプレート上で24時間乾燥させることにより、皮膜を作製した。
こうして得られた皮膜を、160℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、皮膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にそのpHが1になるように濃硫酸を加えた後、1.0体積%グルタルアルデヒド水溶液に皮膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、皮膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、皮膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、陽イオン交換膜を得た。
(実施例7)
セパレータとして、以下の方法で作製した高分子固体電解質膜を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
平均分子量が40000のポリエチレンオキシド(PEO)粉末を用意し、LiPFを1M溶解したプロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比1:2)を、PEO粉末の重量に対して50重量%となるように混合した。得られた溶液を攪拌した後、PC及びDECの混合溶媒を乾燥させて除去し、厚さが40μmのPEOを含む高分子固体電解質膜を得た。
(実施例8)
正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例9)
正極活物質として、オリビン型のリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例10)
負極活物質としてアナターゼ型酸化チタン(TiO2)を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例11)
負極活物質として、ニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例12)
負極活物質として、ナトリウムニオブチタン複合酸化物(Li2Na1.8Ti5.8Nb0.214)を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例13)
電解液として、水1Lに10MのLiClを溶解させた溶液を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例14)
電解液として、水1Lに9MのLiClを溶解させた溶液を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例15)
電解液として、水1Lに6MのLiClを溶解させた溶液を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(実施例16)
まず、実施例1に記載したのと同様の方法で積層型の電極群を作製した。次に、水1Lに12MのLiClを溶解させた第1電解液と、水1Lに2MのLi2SO4を溶解させた第2電解液とを調製した。
次に、セパレータが、正極側の空間と負極側の空間とを隔てるようにして、電極群を薄型の金属缶に収納した。なお、この金属缶は、厚さが0.25mmのステンレスからなる金属缶であった。
正極側の空間に第2電解液を注液し、負極側の空間に第1電解液を注液して二次電池を作製した。このとき、セパレータの第1主面には第1電解液が接しており、セパレータの第2主面には第2電解液が接していた。得られた二次電池は、模式的には、図11に示す構造の二次電池であった。
図11は、実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す平面図である。図11に示す二次電池は、セパレータ4が金属缶内の正極側の空間と負極側の空間とを隔てていることを除いて、図1に示す二次電池と同一の構造を有している。それ故、図1を参照しながら説明した部材については説明を省略する。
得られた二次電池に対して、実施例1に記載したのと同様の方法により、セパレータの主面における接触角の測定及びサイクル試験を実施した。
(実施例17)
まず、実施例1に記載したのと同様の方法で積層型の電極群を作製した。次に、水1Lに12MのLiClを溶解させた第1電解液と、水1Lに9MのLiClを溶解させた第2電解液とを調製した。
セパレータが、正極側の空間と負極側の空間とを隔てるようにして、電極群を薄型の金属缶に収納した。なお、この金属缶は、厚さが0.25mmのステンレスからなる金属缶であった。
正極側の空間に第2電解液を注液し、負極側の空間に第1電解液を注液して二次電池を作製した。このとき、セパレータの第1主面には第1電解液が接しており、セパレータの第2主面には第2電解液が接していた。得られた二次電池は、模式的には、図11に示す構造の二次電池であった。
得られた二次電池に対して、実施例1に記載したのと同様の方法により、セパレータの主面における接触角の測定及びサイクル試験を実施した。
これら実施例13〜17の結果を下記表3及び4にまとめる。表3及び4に記載の項目の意味は、表1及び2について上述したのと同様の意味である。
(比較例1)
作製したセパレータの第1主面(負極と接する主面)を、酸化チタンでコートすることにより親水化処理したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(比較例2)
電解液として、水1Lに5MのLiTFSIを溶解させた溶液を使用したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製し、サイクル試験に供した。
(比較例3)
セパレータと負極との間に、ポリエチレン多孔質フィルムを介在させたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により二次電池を作製した。この二次電池において、セパレータと負極とは接しておらず、負極とポリエチレン多孔質フィルムとが接していた。なお、表1中の比較例3に係る接触角θ1の値は、セパレータの第1主面における水系電解質に対する接触角ではなく、ポリエチレン多孔質フィルムの主面における水系電解質に対する接触角を示している。また、表1中の比較例3に係る接触角θ2の値は、セパレータの第2主面における水系電解質に対する接触角を示している。
表1及び表2から、以下のことがわかる。
実施例1〜10に示すように、セパレータの第1主面における接触角θ1が90°≦θ1<180°である場合、容量維持率及び充放電効率が優れている。
実施例1と実施例2との比較から、接触角θ1及び接触角θ2の値が同一である場合、セパレータ全体が疎水基で修飾されたことにより接触角θ1の値が大きい実施例2の方が、容量維持率及び充放電効率の双方が優れていることがわかる。
実施例1と実施例5との比較から、接触角θ2が10°≦θ2<90°である場合、容量維持率及び充放電効率は顕著に優れていることがわかる。
実施例8〜10から、正極活物質及び負極活物質を変更しても、優れた容量維持率及び充放電効率を示すことが分かる。
セパレータの第1主面を親水処理したことにより、接触角θ1が90°未満である比較例1は、容量維持率及び充放電効率が劣っていた。
水系電解液として、LiTFSIを含む電解液を使用した比較例2は、接触角θ1及びθ2が30°であり、容量維持率及び充放電効率が劣っていた。
セパレータの第1主面と、負極活物質含有層とが接していない比較例3は、容量維持率及び充放電効率が劣っていた。
実施例1と、実施例13〜15とから、電解質塩の濃度を変更しても、接触角θ1が90°以上であると優れた充放電特性及びサイクル寿命性能を達成できることがわかる。
実施例16及び17に示すように、セパレータの第1主面(負極側)に接する電解液と、第2主面(正極側)に接する電解液とが互いに異なっていても、優れた充放電特性及びサイクル寿命性能を達成できることがわかる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態及び実施例によると、セパレータが提供される。このセパレータは、1価の陽イオンが選択的に透過可能であり、第1面及び第2面を有し、第1面における水系電解質に対する接触角θ1と、第2面における水系電解質に対する接触角θ2とが異なる。それ故、このセパレータは、二次電池及びキャパシタなどの電子デバイスの充放電特性及びサイクル寿命特性を向上させることができる。
また、以上述べた少なくとも1つの実施形態及び実施例によると、二次電池が提供される。この二次電池は、正極と、負極活物質含有層を備えた負極と、水系電解質と、1価の陽イオンが選択的に透過可能なセパレータとを含む。セパレータが有する第1主面及び第2主面のうち、負極活物質含有層と接している第1主面において、水系電解質に対する接触角θ1は90°≦θ1<180°である。それ故、負極近傍の水分子の量を局所的に少なくして水の電気分解を抑制することができる。従って、充放電特性及びサイクル寿命特性に優れた二次電池を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…捲回型電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質層、4…セパレータ、4a…第1主面、4b…第2主面、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質層、6…負極端子、7…正極端子、11…積層型電極群、21…バスバー、22…正極側リード、23…負極側リード、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、100…二次電池、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、341…正極側コネクタ、342…負極側コネクタ、343…サーミスタ、344…保護回路、345…配線、346…配線、347…通電用の外部端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (13)

  1. 1価の陽イオンが選択的に透過可能であり、
    第1面及び第2面を有し、
    前記第1面における水系電解質に対する接触角θ1と、前記第2面における前記水系電解質に対する接触角θ2とが異なるセパレータ。
  2. 正極と、負極と、水系電解質とを含んだ二次電池に使用される請求項1に記載のセパレータ。
  3. 正極と、負極活物質含有層を備えた負極と、水系電解質と、請求項1又は2に記載のセパレータとを含み、
    前記セパレータは、前記第1面に対応した第1主面及び前記第2面に対応した第2主面を有し、
    前記第1主面の少なくとも一部は前記負極活物質含有層と対向しており、前記接触角θ1は90°≦θ1<180°である二次電池。
  4. 前記正極は正極活物質含有層を備え、
    前記第2主面は前記正極活物質含有層と接しており、
    前記接触角θ1は、前記第2主面における前記水系電解質に対する接触角θ2と比較して大きい請求項3に記載の二次電池。
  5. 前記接触角θ2は10°≦θ2<90°である請求項4に記載の二次電池。
  6. 前記第1主面は、疎水基を含む請求項3〜5の何れか1項に記載の二次電池。
  7. 前記セパレータは、酸化物型固体電解質、高分子型固体電解質、ガラス電解質及びリチウムイオン交換膜からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項3〜6の何れか1項に記載の二次電池。
  8. 前記水系電解質は、塩化物イオン(Cl-)、水酸化物イオン(OH-)、硫酸イオン(SO4 2-)、硝酸イオン(NO3 -)及び酢酸イオン(CH3COO-)から選ばれる少なくとも1種を含む請求項3〜7の何れか1項に記載の二次電池。
  9. 請求項3〜8の何れか1項に記載の二次電池を含む電池パック。
  10. 通電用の外部端子と、保護回路とを更に含む請求項9に記載の電池パック。
  11. 複数の前記二次電池を具備し、前記複数の二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項9又は10に記載の電池パック。
  12. 請求項9〜11の何れか1項に記載の電池パックを具備した車両。
  13. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む請求項12に記載の車両。
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