JP6845189B2 - 二次電池、電池パック及び車両 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、二次電池、電池パック及び車両に関するものである。
リチウム金属、リチウム合金、リチウム化合物または炭素質物を負極に用いた非水電解質二次電池などの二次電池は、高エネルギー密度電池として期待され、盛んに研究開発が進められている。これまでに、活物質としてLiCoOまたはLiMnを含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含む負極と具備したリチウムイオン二次電池が、携帯機器用に広く実用化されている。
一方、自動車、電車などの車両に搭載する場合、高温環境下(60℃以上)での貯蔵性能、サイクル性能、高出力の長期信頼性などから正極、負極の構成材料には、化学的、電気化学的な安定性、強度、耐腐食性の優れた材料が求められる。さらに、寒冷地における高い性能が要求される場合、低温環境下(−40℃)での高出力性能と、長寿命性能が要求される。一方、安全性能向上の観点から不揮発性で不燃性の非水電解液の開発が進められているが、出力特性、低温性能及び長寿命性能の低下を伴うことからいまだ実用化されていない。
以上の通り、リチウムイオン二次電池を車などの車両に搭載する場合、高温耐久性、低温出力性能が課題となっている。そのため、リチウムイオン二次電池を鉛蓄電池の代替として自動車のエンジンルームに搭載して使用することが困難である。
リチウムイオン二次電池の電解液は2V〜4.5Vの高電圧で使用されるため、水溶液系電解液の使用が困難である。有機溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液が、リチウムイオン二次電池の電解液として用いられている。これまで、非水電解液組成を改良することにより大電流性能とサイクル寿命性能を改善することが検討されている。非水電解液は、水溶液系電解液に比べてイオン伝導性が低いため、電池の低抵抗化を図ることが困難である。また、非水電解液の溶媒である有機溶媒は、高温で分解されやすく熱安定性が乏しいため、電池の高温サイクル寿命性能の低下を招く。以上のことから、非水電解質に固体電解質の使用が検討されているが、固体電解質のイオン伝導性は非水電解液よりも低いため、大電流性能に優れた電池を得られなくなる。
一方、電解液に水溶液を用いたリチウムイオン二次電池は、負極からの水素発生のために放電容量とサイクル寿命性能が低く、実用化が困難である。
国際公開第2016/114141号公報 特許第6011547号公報 US2014/0356731A1号公報 US2012/0264025A1号公報
実施形態は、放電容量とサイクル寿命性能に優れた二次電池、電池パック及び車両を提供することを目的とする。
実施形態によれば、正極と、負極と、セパレータと、第1の電解質と、第2の電解質とを含む二次電池が提供される。負極は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質粒子を含む。セパレータは、少なくとも正極及び負極の間に配置される。セパレータは、リチウムイオン伝導性の固体電解質を含む。第1の電解質は、少なくとも正極中に存在し、第1のリチウム塩及び第1の水系溶媒を含む。第2の電解質は、少なくとも負極中に存在し、第2のリチウム塩及び第2の水系溶媒を含む。第2の電解質のリチウムイオン濃度は、第1の電解質のリチウムイオン濃度以上の値である。
別の実施形態によれば、実施形態に係る二次電池を含む電池パックが提供される。
別の実施形態によれば、実施形態に係る電池パックを含む車両が提供される。
実施形態の二次電池の部分切欠断面図。 図1の電池についての側面図。 実施形態の二次電池を示す部分切欠斜視図。 図3のA部の拡大断面図。 実施形態の組電池の一例を示す斜視図。 実施形態の電池パックの一例を示す斜視図。 実施形態の電池パックの他の例の分解斜視図。 図7の電池パックの電気回路を示すブロック図。 実施形態の二次電池が搭載された車両の例を示す模式図。 実施形態の二次電池が搭載された車両の別の例を示す模式図。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によれば、正極と、負極と、セパレータと、第1の電解質と、第2の電解質とを含む二次電池が提供される。セパレータは、少なくとも正極及び負極の間に配置される。セパレータは、アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質を含む。第1の電解質は、少なくとも正極中に存在する。また、第1の電解質は第1のアルカリ金属塩及び第1の水系溶媒を含む。第2の電解質は、少なくとも負極中に存在する。第2の電解質は、第2のアルカリ金属塩及び第2の水系溶媒を含む。
アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質は、非プロトン伝導体である。そのため、プロトン及びアニオンが、該固体電解質を含むセパレータを透過することができず、このセパレータを用いることにより、充電中に負極で水の還元分解で生成されるOHの正極への移動を阻止することが可能となる。その結果、第2の電解質のpH値は第1の電解質のpH値より高くなり、負極での水素発生電位が低くなるため、負極の充放電のクーロン効率は高くなる。これにより、二次電池において高い放電容量が得られると共に、二次電池の保存性能(自己放電性能)とサイクル寿命性能が大幅に向上するため、放電容量と大電流性能とサイクル性能と保存性能に優れた二次電池を提供することができる。固体電解質が、Li伝導性、Na伝導性またはK伝導性のうちの1種または2種以上のカチオン伝導性を有する際に、大電流性能、サイクル性能あるいは保存性能が大幅に改善される。
第2の電解質のアルカリ金属イオンの濃度を、第1の電解質のアルカリ金属イオン濃度と同じあるいはそれよりも高くすることにより、第2の電解質の水濃度を低くすることができる。その結果、負極での水素発生が大幅に低減されるため、効率良くリチウムイオンを負極に吸蔵放出することができるようになり、サイクル寿命性能と保存性能が著しく向上する。また、負極中のイオン伝導性が高いため、負極での抵抗が低減されて大電流性能が向上する。
第2の電解質のアルカリ金属塩の陰イオンとして、Cl、OH、[(FSON]及び[(CFSON]よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含むことにより、第2の電解質における水系溶媒中のアルカリ金属イオンの濃度を高くして第2の電解質の水濃度を低くすることができるため、負極での水素発生を抑制することができる。その結果、負極の充放電のクーロン効率が高くなり、二次電池の保存性能とサイクル寿命性能が大幅に向上する。
第1の電解質のアルカリ金属塩の陰イオンとして、Cl、NO 、CO 2−、及びSO 2−よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含むことにより、第1の電解質のイオン伝導性が高くなって正極でのクローン効率が向上するため、二次電池のサイクル寿命性能と保存性能が向上する。
負極が、アルカリ金属イオンを吸蔵放出するチタン含有酸化物を含むことにより、負極での水の還元分解による水素発生を大幅に抑制することができるため、二次電池のサイクル寿命と保存性能が大幅に向上する。
セパレータが、固体電解質と高分子材料との複合体を含むことにより、セパレータの柔軟性が向上されるため、セパレータと、正極及び負極との接触抵抗を低減して二次電池の大電流性能を向上することが可能となる。
以下、第1の電解質、第2の電解質、負極、正極、セパレータについて説明する。なお、実施形態の二次電池は、外装部材である容器を備えていても良く、容器についても説明する。
1)第1の電解質(電解質A)
第1の電解質は、少なくとも正極中に存在する。第1の電解質は、例えば、第1のアルカリ金属塩と、第1のアルカリ金属塩が溶解される第1の水系溶媒とを含む水系溶液である。第1の電解質は、正極に加え、負極あるいはセパレータのうち少なくとも一方にも存在し得る。
第1の水系溶媒は、水を含む溶媒であり、水単独、あるいは水と水以外の溶媒からなり得る。水以外の溶媒として、水溶性の有機溶媒が挙げられる。水溶性の有機溶媒には、γブチロラクトン、アセトニトリル、アルコール類、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。第1の水系溶媒に含まれる溶媒の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。第1の水系溶媒中の水以外の溶媒の含有量は、20重量%以下にすることが望ましい。
第1のアルカリ金属塩は、例えば、Li、Na及びKよりなる群から選択される1種または2種以上のアルカリ金属の塩である。Li、Na、Kは、それぞれイオン伝導性に優れているため、第1の電解質のイオン伝導性を高くすることができる。第1のアルカリ金属の塩の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。より好ましいアルカリ金属のイオンはLiである。Liはリチウム塩を水系溶媒に溶解することで得られる。
第1の電解質において、水系溶媒中のアルカリ金属イオンの濃度は1mol/L以上8mol/L以下が好ましい。これにより、良好なイオン伝導性の第1の電解質が得られる。濃度は1.5mol/L以上にすることが望ましい。また、濃度は、6mol/L以下にすることが望ましい。上限値または下限値をさらに特定することにより、第1の電解質のイオン伝導性が高くなり、正極での反応抵抗が小さくなり大電流性能が向上する。より好ましい濃度は1mol/L以上6mol/L以下である。さらに好ましい濃度は1.5mol/L以上6mol/L以下である。この範囲であると、第1の電解質のイオン伝導性が高くなり、正極での反応抵抗が小さくなり大電流性能が向上する。
第1のアルカリ金属塩は、例えば、リチウム塩である。リチウム塩としては、例えば、LiCl、LiBr、LiOH、LiSO、LiNO、Li、LiCO、Li[(FSON]、Li[(CFSON]、LiB[(OCO)などが挙げられる。使用するリチウム塩の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。LiCl、LiNO、LiCO、またはLiSOを含むリチウム塩が好ましい。LiClは、充電時のClの発生が懸念されるものの、水系溶媒への溶解性に優れている。LiSO、LiNOは、それぞれ、水系溶媒への溶解性が高くはないが、大電流性能及びサイクル寿命性能の向上に寄与する。
第1のアルカリ金属塩の陰イオンは、例えば、Cl、Br、OH、SO 2−、NO 、C 2−、CO 2−、[(FSON]、[(CFSON]及びB[(OCO) よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含む。好ましい陰イオンは、Cl、NO 、CO 2−、及びSO 2−よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含むものである。これにより、正極でのクローン効率が向上するため、二次電池のサイクル寿命性能と保存性能が向上する。
第1の電解質のpH値は、1以上8以下の範囲であることが好ましい。この範囲であると、酸素発生電位が高くなり、酸素発生が減少するため、正極の保存性能とサイクル寿命性能が大幅に向上する。pH値のさらに好ましい範囲は、3以上7.5以下である。
第1の電解質は、アルカリ金属塩と高分子材料(第1の高分子材料)との複合体を含むゲル状電解質であっても良い。これにより、第1の電解質からの水分子の負極への拡散を抑制することができ、負極での水素発生を大幅に抑制することができるため、二次電池のサイクル寿命性能と保存性能を大幅に向上することができる。複合体は、例えば、アルカリ金属塩が水系溶媒に溶解した水系溶液と高分子材料とが複合化によりゲル状になったゲル状電解質である。第1の高分子材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸リチウム、ポリアクリル酸カリウムなど)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。高分子材料の種類は1種類または2種類以上にすることができる。高分子材料の形態は、例えば、粒状、繊維状を取り得る。
第1の電解質中の第1の高分子材料の含有量は0.5重量%以上10重量%以下の範囲にすることができる。
2)第2の電解質(電解質B)
第2の電解質は、少なくとも負極中に存在する。第2の電解質は、例えば、第2のアルカリ金属塩と、第2のアルカリ金属塩が溶解される第2の水系溶媒とを含む水系溶液である。第2の電解質は、負極に加え、正極及びセパレータのうちの少なくとも一方にも存在し得る。
第2の水系溶媒は、水を含む溶媒であり、水単独、あるいは水と水以外の溶媒からなり得る。水以外の溶媒として、水溶性の有機溶媒が挙げられる。水溶性の有機溶媒には、γブチロラクトン、アセトニトリル、アルコール類、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。第2の水系溶媒に含まれる溶媒の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。第2の水系溶媒中の水以外の溶媒の含有量は、20重量%以下にすることが望ましい。
第2のアルカリ金属塩は、例えば、Li、Na及びKよりなる群から選択される1種または2種以上のアルカリ金属の塩である。Li、Na、Kは、それぞれイオン伝導性に優れているため、第2の電解質のイオン伝導性を高くすることができる。第2のアルカリ金属の塩の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。より好ましいアルカリ金属のイオンはLiである。Liはリチウム塩を水系溶媒に溶解することで得られる。
第2の電解質において、水系溶媒中のアルカリ金属イオンの濃度は1mol/L以上12mol/L以下が好ましい。アルカリ金属イオンの濃度を高くすることで、第2の電解質中のフリーな水分子が減少し、水素発生を抑制することができる。濃度の下限値の好ましい範囲は4mol/L以上、さらに好ましい範囲は5mol/L以上である。濃度の上限値の好ましい範囲は10mol/L以下である。
第2のアルカリ金属塩は、例えば、リチウム塩である。リチウム塩としては、例えば、LiCl、LiBr、LiOH、LiSO、LiNO、Li、LiCO、Li[(FSON]、Li[(CFSON]、LiB[(OCO)などが挙げられる。使用するリチウム塩の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。LiCl、LiOH、Li[(FSON]、またはLi[(CFSON]を含むリチウム塩が好ましい。
Li[(FSON]は、水系溶媒に高濃度(例えば8mol/L)に溶解することが可能となるため、Li[(FSON]のリチウムイオンのモル数M1に対する水のモル数M2の比率(M2/M1)は、1以上5以下の範囲にすることが好ましい。この範囲であると、水の還元分解による水素発生を大幅に抑制することができるため、サイクル寿命と保存性能が向上される。これは、水系溶媒中のリチウムイオン濃度が高くなることでフリーな水分子が減少し、水素発生を抑制することができるためであると考えられる。
第2のアルカリ金属塩の陰イオンは、例えば、Cl、Br、OH、SO 2−、NO 、C 2−、CO 2−、[(FSON]、[(CFSON]及びB[(OCO) よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含む。好ましい陰イオンは、Cl、OH、[(FSON]及び[(CFSON]よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含むものである。これにより、アルカリ金属イオンの濃度を高くすることができるため、負極での水素発生を抑制することができ、負極の充放電のクーロン効率が高くなり、保存性能とサイクル寿命性能は大幅に向上する。
第2の電解質のpH値は3以上14以下の範囲が好ましい。この範囲であると、負極での水素発生電位が低下するため、水素発生が抑制される。そのため、負極の保存性能とサイクル寿命性能が向上する。
第2の電解質は、第2のアルカリ金属塩と高分子材料(第2の高分子材料)との複合体を含むゲル状電解質であっても良い。これにより、第2の電解質からの水分子の負極への拡散を抑制することができ、負極での水素発生を大幅に抑制することができるため、二次電池のサイクル寿命性能と保存性能を大幅に向上することができる。複合体は、例えば、第2のアルカリ金属塩が第2の水系溶媒に溶解した水系溶液と高分子材料とが複合化によりゲル状になったゲル状電解質である。第2の高分子材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸リチウム、ポリアクリル酸カリウムなど)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。高分子材料の種類は1種類または2種類以上にすることができる。高分子材料の形態は、例えば、粒状、繊維状を取り得る。
第2の電解質中の第2の高分子材料の含有量は0.5重量%以上10重量%以下の範囲にすることができる。
第1の電解質に含まれる第1のアルカリ金属塩のアニオン(第1のアニオンとする)の種類と、第2の電解質に含まれる第2のアルカリ金属塩のアニオン(第2のアニオンとする)の種類は、同じでも良いが、互いに異なっていても良い。第1のアニオンとして、Cl、NO 、CO 2−、及びSO 2−よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを用い、かつ第2のアニオンとして、Cl、OH、[(FSON]及び[(CFSON]よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを用いることにより、正極でのクローン効率が向上すると共に、負極での水素発生が抑制されるため、二次電池の保存性能とサイクル寿命性能を向上することができる。
第1の電解質及び第2の電解質のpHの測定方法は、以下の通りである。
二次電池を放電した後、この電池を解体して電極群を取り出す。正極及び負極中の電解質(電解液)をそれぞれ抽出し、液量を測定後、pHメータでpH値を測定する。pH測定の測定は、例えば以下のように行う。この測定には、例えば(株)堀場製作所製のF−74を使用する。まず、pH4.0、7.0及び9.0の標準液を用意する。次に、これら標準液を用いて、F−74の校正を行う。測定対象の電解質(電解液)を適量調整したものを容器に入れ、pHを測定する。pHの測定後に、F−74のセンサー部を洗浄する。別の測定対象を測定する際は、上述した手順、即ち、校正、測定及び洗浄をその都度実施する。
第1の電解質及び第2の電解質は、それぞれ、溶質となる塩1molに対し、溶媒量(例えば水系溶媒中の水量)が1mol以上であることが好ましい。さらに好ましい形態は、溶質となる塩1molに対する溶媒量が3.5mol以上である。
第1の電解質及び第2の電解質それぞれに水が含まれているかは、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析;Gas Chromatography - Mass Spectrometry)測定により確認できる。また、第1の電解質及び第2の電解質それぞれの塩濃度および水含有量の算出は、例えばICP(誘導結合プラズマ;Inductively Coupled Plasma)発光分析などで測定することができる。各電解質を規定量はかり取り、含まれる塩濃度を算出することで、モル濃度(mol/L)を算出できる。また各電解質の比重を測定することで、溶質と溶媒のモル数を算出できる。
第1の電解質及び第2の電解質は、それぞれ、リチウムイオンとナトリウムイオンの双方を含むことができる。
2)負極
この負極は、負極集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質、必要に応じて導電剤および結着剤を含む負極活物質含有層とを有する。
負極集電体は、亜鉛、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、チタンなどの金属からなる箔、多孔体、メッシュを用いることが好ましい。負極集電体の材料成分は、1種または2種以上にすることができる。前述の種類から選択される金属を含む負極集電体は、酸化処理により表面の少なくとも一部が金属酸化物層で被覆されていることが好ましい。また、亜鉛メッキしたアルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケルからなる箔が好ましい。
負極集電体の厚さは5μm以上20μm以下の範囲にすることができる。
負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質粒子が使用され得る。負極活物質のリチウムイオンの吸蔵放出電位は、Li電位基準で0.2〜3V(vs.Li/Li)の範囲にあることが望ましい。負極活物質の例に、リチウム合金、炭素材料、リチウムチタン酸化物、チタン酸化物、チタンニオブ酸化物(例えばTiNb)、リチウムナトリウムニオブチタン酸化物が含まれる。使用する負極活物質の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
負極活物質は、1種類又は2種類以上のチタン含有酸化物を含むことが望ましい。チタン含有酸化物を用いることで、負極集電体に銅箔に代わってアルミニウム箔を用いることができる。その結果、負極集電体と正極集電体の双方にアルミニウムを用いることができるため、二次電池の軽量化と低コスト化を実現できる。また、チタン含有酸化物の使用は、バイポーラ構造の電極構造に有利となる。チタン含有酸化物はNaイオンを吸蔵放出することが可能なものである。チタン含有酸化物の例に、リチウムチタン酸化物、チタン酸化物、ニオブチタン酸化物、ナトリウムニオブチタン酸化物が含まれる。
リチウムチタン酸化物の例に、スピネル構造リチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi12(xは−1≦x≦3))、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi(−1≦x≦3))、Li1+xTi(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.8(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.86(0≦x≦1)、LiTiO(0<x≦1)などが含まれる。
チタン酸化物の例に、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、アナターゼ構造のチタン酸化物が含まれる。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成がTiO、充電後の組成がLiTiO(xは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO(B)と表すことができる。
ニオブチタン酸化物の例に、LiTiMNb2±β7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe,V,Mo及びTaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表されるものが含まれる。
ナトリウムニオブチタン酸化物の例に、一般式Li2+vNa2−wM1Ti6−y−zNbM214+δ(0≦v≦4、0<w<2、0≦x<2、0<y≦6、0≦z<3、−0.5≦δ≦0.5、0<(6−y−z)<6、M1はCs,K,Sr,Ba,Caより選択される少なくとも1つを含み、M2はZr,Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,Alより選択される少なくとも1つを含む)で表される斜方晶型Na含有ニオブチタン複合酸化物が含まれる。
上記組成のチタン含有酸化物は、リチウムイオン吸蔵放出の電位範囲が1.4〜2V(vs.Li/Li)の範囲に含まれるため、第1及び第2の電解質と組み合わせることで水素発生を抑制することができ、効率良くリチウムイオンを吸蔵放出することができる。
好ましいチタン含有酸化物に、スピネル構造のリチウムチタン酸化物が含まれる。スピネル構造のリチウムチタン酸化物は、充放電反応による体積変化を小さくすることができる。
負極活物質は、粒子の形態で負極活物質含有層に含有される。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。
負極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)は、5μm以上にすることが好ましい。より好ましくは7μm以上20μm以下である。この範囲であると、水素発生を抑制する効果を高めることができる。
二次粒子の平均粒子径が5μm以上の負極活物質は、例えば、以下の方法で得られる。活物質原料を反応合成して平均粒子径1μm以下の活物質プリカーサーを作製した後、焼成処理を行い、ボールミルやジェトミルなどの粉砕機を用いて粉砕処理を施し、次いで焼成処理において、活物質プリカーサー(前駆体)を凝集して粒子径の大きい二次粒子に成長させる。
負極活物質の一次粒子の平均粒子径は1μm以下とすることが望ましい。これにより、活物質内部でのイオンの拡散距離が短くなり、比表面積が大きくなる。そのため、優れた高入力性能(急速充電)が得られる。平均粒子径の下限値は0.001μmにすることができる。さらに好ましい平均粒子径は、0.1μm以上0.8μm以下である。
負極活物質粒子は、その平均一次粒径が1μm以下で、かつN吸着によるBET法での比表面積が3m/g以上200m/g以下の範囲であることが望ましい。比表面積を前記範囲に規定する理由を説明する。比表面積を3m/g以上にすることは、負極からの水素発生を抑制するために好ましく、また、負極の界面抵抗の抑制にも寄与するため、出力特性と充放電サイクル特性を向上することができる。また、比表面積を200m/g以下にすることにより、負極活物質含有層に含まれるバインダー量を少なくすることができ、かつ高い電極密度を得ることができるため、容量を向上することができ、抵抗上昇を抑制することができる。比表面積のより好ましい範囲は、15m/g以上150m/g以下である。
チタン含有酸化物粒子などの負極活物質粒子の表面の少なくとも一部が、B、P、Al、La、Zr、Ge、Ti、Zn、Sn、Ga、Pb、In、Bi及びTlよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下、第1の元素と称す)を含む被覆物で被覆されているか、あるいは負極活物質粒子に第1の元素含有粒子を混合するか、被覆と混合の両者を行うことが望ましい。これにより大幅に水素発生を抑制しつつ、イオンの吸蔵、放出をスムーズに進行することができ、電池の大電流性能を高めることができる。Ga、In、Bi,Tl、Sn、Pb、Al、Zn、Tiなどの元素は、水素発生過電圧を上げる機能に優れている。粒子は、一次粒子、二次粒子、あるいは二次粒子と一次粒子が混在したものであり得る。各元素は、単体、化合物、合金のうちのいずれの形態であっても良い。各元素は、単体と化合物というように複数の形態で負極中に存在することが可能である。
負極活物質粒子に第1の元素含有粒子を混合する場合、混合割合は、下記(1)式を満たすことが望ましい。
2重量%≦{W/W}×100≦50重量% (1)
(1)式において、Wは、第1の元素含有粒子の重量で、Wは、負極活物質粒子の重量である。チタン含有酸化物粒子の表面が被覆物で被覆されている場合、Wは、チタン含有酸化物粒子と被覆物の合計重量である。
第1の元素の重量割合を2重量%以上50重量%以下にすることにより、負極内の電子伝導性が向上され、かつ大幅に水素発生が抑制されることから、リチウムイオンの吸蔵放出をスムーズに進行させることができ、これにより電池の大電流性能を高めることができる。重量割合のより好ましい範囲は、3重量%以上30重量%以下である。
第1の元素の重量割合は、以下の方法により測定される。アルゴンを充填したグローブボックス中で二次電池を分解して負極を取り出す。取り出した負極の負極集電体から負極活物質含有層を分離する。負極活物質含有層を水洗又は中性水溶液で洗浄し、乾燥後、第1の元素と負極活物質の比重差を利用して第1の元素と負極活物質を分離する。分離は、混合粉末を有機溶剤に投入して沈降速度の差から第1の元素と負極活物質を分離する方法か、乾式比重選別装置で第1の元素と負極活物質を分離する方法で行う。第1の元素と負極活物質それぞれの重量を測定して(1)式から第1の元素の重量割合を算出する。
第1の元素の化合物の例に、第1の元素の酸化物、第1の元素の水酸化物が含まれる。第1の元素の酸化物として、電子伝導性が無くイオン伝導性を有する固体電解質、酸化亜鉛(例えばZnO、ZnO)、アルミナ(例えばAl)、ジルコニア(例えばZrO)、酸化ホウ素(例えばB)、チタン酸化物(例えばTiO、TiO)などが挙げられる。酸化亜鉛は、水素発生を抑制することができ、サイクル寿命性能と保存性能が向上する。酸化亜鉛を含む被覆物が好ましい。
固体電解質としては、例えば、水溶液中で安定なリチウムイオン伝導性の高い酸化物固体電解質が挙げられる。NASICON型構造の酸化物固体電解質は、水溶液中で化学的に安定、耐還元性も高く電気化学窓が広い利点がある。NASICON型構造の酸化物固体電解質として、例えば、Li1.3Ti1.7Al0.3(POが挙げられる。また、γ−LiPO型構造の酸化物固体電解質として、例えば、Li14ZnGe16、Li3.6Ge0.60.4が挙げられる。
第1の元素の合金の例に、Zn含有合金、Bi−In−Pb系合金、Bi−In−Ca系合金、Bi−In−Al系合金が含まれる。これらの合金によると、水素発生過電圧を上げることができる。
被覆物は、Zn成分を含むことが望ましい。Zn成分を含む被覆物は、水素過電圧が大きく、かつ負極活物質として機能するため、水素発生が抑制され、かつ高容量な負極を実現することができる。また、金属の亜鉛は、電子伝導性に優れているため、導電剤を兼ねることができ、負極の電子伝導性を高めることができる。Zn成分の例には、亜鉛金属(亜鉛単体)、亜鉛化合物、亜鉛含有合金が含まれる。亜鉛化合物として、酸化亜鉛(例えばZnO、ZnO)、亜鉛の水和物イオン、水酸化亜鉛(Zn(OH))、亜鉛酸イオン(ZnO 2−)などが挙げられる。被覆物が亜鉛金属を含む場合、亜鉛金属は、充放電反応により亜鉛酸化物(例えばZnO、ZnO)に変化し得る。負極活物質粒子は、亜鉛(Zn)、酸化亜鉛(例えばZnO),または水酸化亜鉛(Zn(OH))で被覆されることが好ましい。これにより水素過電圧を大ききすることができるため、二次電池のサイクル寿命が向上する。
被覆物は、層状、粒状、膜状、繊維状等の形態を取り得る。
被覆物の厚さは0.05μm以上0.5μm以下が好ましい。厚さを0.05μm以上にすることにより、水素発生を抑制して寿命性能を向上することができる。また、厚さを0.5μm以下にすることにより、負極抵抗を小さくして大電流性能を向上することができる。被覆物の厚さの好ましい範囲は0.06μm以上0.3μm以下である。被覆物の厚さは、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)または透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)による観察で測定することが可能である。
チタン含有酸化物粒子の表面の少なくとも一部を被覆する方法として、第1の元素の単体、合金あるいは化合物を負極に添加、あるいは第1の元素の塩を第1または第2の電解質に溶解させる方法を挙げることができる。また、他の被覆方法として、メッキ、蒸着等が挙げられる。
負極の多孔度(集電体を除く)は、20〜50%の範囲にすることが望ましい。これにより、負極と第1及び第2の電解質との親和性に優れ、かつ高密度な負極を得ることができる。多孔度のさらに好ましい範囲は、25〜40%である。
負極の密度は2g/cm以上3g/cm以下の範囲にすることができる。
導電剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛などの炭素材料やニッケル、亜鉛などの金属粉末を挙げることができる。導電剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。炭素材料は、それ自身から水素が発生する恐れがあるため、導電剤には金属粉末を使用することが望ましい。第1の元素に亜鉛粒子を用いると、亜鉛粒子が導電剤を兼ねるため、導電剤が不要になる。また、亜鉛粒子は負極活物質として機能する。よって、第1の元素に亜鉛粒子を用いると、水素発生が抑制され、電子伝導性に優れ、かつ高容量な負極を実現することができる。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、コアシェルバインダーなどが挙げられる。結着剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質80〜95重量%、導電剤3〜18重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
負極は、例えば、負極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、この懸濁物を集電体に塗布し、乾燥し、加熱プレスなどのプレスを施すことにより作製される。
4)正極
この正極は、正極集電体と、前記集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質と、必要に応じて導電剤および結着剤を含む正極活物質含有層とを有する。
正極集電体としてはニッケル、ステンレス、鉄、銅などの金属からなる箔、多孔体、メッシュを用いることが好ましい。
正極活物質としては、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、オリビン型のリチウムリン酸鉄(例えば、LiFePO)、オリビン型のリチウムリン酸マンガン(例えばLiMnPO)などが挙げられる。
高電圧の得られる正極活物質の例に、例えばLiMn(0<x≦1)、LiMnO(0<x≦1)などのリチウムマンガン複合酸化物、例えばLiNi1−yAl(0<x≦1、0<y≦1)などのリチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、例えばLiCoO(0<x≦1)などのリチウムコバルト複合酸化物、例えばLiNi1−y−zCoMn(0<x≦1、0<y≦1、0≦z≦1、0<1−y−z<1)などのリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLiMnCo1−y(0<x≦1、0<y≦1)などのリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLiMn2−yNi(0<x≦1、0<y<2)などのスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLiFePO(0<x≦1)、LiFe1−yMnPO(0<x≦1、0≦y≦1)、LiCoPO(0<x≦1)などのオリビン構造を有するリチウムリン酸化物、フッ素化硫酸鉄(例えばLiFeSOF(0<x≦1))が挙げられる。
リチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物によると、高温環境下での電解質との反応を抑制することができ、電池寿命を大幅に向上することができる。LiNi1−y―zCoMn(0≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、より好ましくは0<x≦1.1、0<y≦0.5、0<z≦0.5)で表せる複合酸化物は、高温耐久寿命に有利である。
オリビン構造を有するリチウムリン酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn(0<x≦1))は、それぞれ、水系溶媒に対する安定性が高いため、好ましい正極活物質である。
正極活物質の粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、または単独の一次粒子と二次粒子の双方を含むものであり得る。
正極活物質の一次粒子の平均粒子径(直径)は1μm以下、より好ましくは0.05〜0.5μmである。正極活物質の粒子表面の少なくとも一部が炭素材料で被覆されていることが好ましい。炭素材料は、層構造、粒子構造、あるいは粒子の集合体の形態をとり得る。
正極活物質の平均二次粒子径は、例えば、3μm以上、20μm以下の範囲にすることができる。
電子伝導性を高め、集電体との接触抵抗を抑えるための導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。導電剤の種類は1種類又は2種類以上にすることができる。
活物質と導電剤を結着させるための結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系ゴムなどが挙げられる。結着剤の種類は1種類又は2種類以上にすることができる。
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比については、正極活物質は80重量%以上95重量%以下、導電剤は3重量%以上18重量%以下、結着剤は2重量%以上7重量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤については、3重量%以上であることにより上述した効果を発揮することができ、18重量%以下であることにより、高温保存下での導電剤表面での電解質の分解を低減することができる。結着剤については、2重量%以上であることにより十分な電極強度が得られ、7重量%以下であることにより、電極の絶縁部を減少させることが出来る。
正極の密度は、2.5g/cm以上、3.5g/cm以下の範囲にすることができる。
正極は、例えば、正極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を正極集電体に塗布し、乾燥し、プレスを施すことにより作製される。正極プレス圧力は、0.15ton/mm〜0.3ton/mmの範囲が好ましい。この範囲であると正極活物質含有層と正極集電体(例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔)との密着性(剥離強度)が高まり、かつ正極集電体の伸び率が20%以下となり好ましい。
5)セパレータ
セパレータは、アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質を含む。アルカリ金属イオンは、例えば、Li、NaまたはKである。Li、Na及びKのうち、二種類以上のカチオンに対するイオン伝導性を有していても良い。
セパレータは、正極と負極の間に配置される部分を含む。セパレータの一部に、正極あるいは負極のみと対向している部分が含まれていても良い。
アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質は、セラミックスに含まれるものである。そのため、該固体電解質は、プロトン(H)供与体ではなく、非プロトン伝導体である。よって、該固体電解質を含むセパレータは、アルカリ金属イオン伝導性を持ちつつ、プロトン及び例えばOHなどのアニオンの透過を阻止する。
アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質は、水に対する安定性が高く、常温付近で非プロトン伝導体として機能するものが望ましい。この条件を満たす固体電解質は、例えば、Li1+x(PO(Mは、Ti,Ge,Sr,Zr,Sn及びAlよりなる群から選ばれる一種または二種以上、xは0≦x≦0.5)で表されるNASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質、ガーネット型構造の酸化物固体電解質が挙げられる。NASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質は、ランタンジルコン酸リチウム(LLZ)に比して水に対する安定性に優れている。Li1+xAlGe2−x(PO(xは0≦x≦0.5)、Li1+xAlZr2−x(PO(xは0≦x≦0.5)、Li1+xAlTi2−x(PO(xは0≦x≦0.5)は、イオン伝導性が高く、水に安定で、かつ電気化学的安定性が高いために好ましい。
ガーネット型構造の酸化物固体電解質は耐還元性が高く、電気化学窓が広い利点がある。ガーネット型構造の酸化物固体電解質として、例えば、一般式La5+xLa3−x12(AはCa,Sr及びBaよりなる群から選択される少なくとも一種類の元素、MはNb及び/またはTa、xは0≦x≦1)、Li2−x12(MはNb及び/またはTa、LはZrを含む、xは0.5以下(0を含む)の範囲が好ましい)、Li7−3xAlLaZr12(xは0.5以下(0を含む)の範囲が好ましい)、LiLaZr12が挙げられる。Li6.25Al0.25LaZr12、Li6.4LaZr1.4Ta0.612、Li6.4LaZr1.6Ta0.612、LiLaZr12は、イオン伝導性が高く、電気化学的に安定なため、放電性能とサイクル寿命性能に優れる。
セパレータは、板状で、ピンホールの少ない又はないものであることが好ましい。セパレータの厚さは、例えば150μm以下で、好ましい範囲は20μm以上50μm以下である。
セパレータは、アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質と、高分子材料(第3の高分子材料)との複合体を含むことが好ましい。第3の高分子材料として、第1または第2の高分子材料を用いても良いが、第3の高分子材料は水系溶媒に不溶な高分子材料が望ましい。この条件を満たす高分子材料には、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、フッ素含有高分子材料などが挙げられる。フッ素含有高分子材料を用いることにより、セパレータに撥水性を付与することができる。また、リチウムイオン伝導性の無機固体電解質は水に対する安定性が高く、かつリチウムイオン伝導性に優れている。このリチウムイオン伝導性の無機固体電解質とフッ素含有高分子材料とを複合体化することにより、アルカリ金属イオン伝導性で柔軟性のある固体電解質膜が実現可能となる。この固体電解質膜からなるセパレータは、抵抗を低減することができるため、二次電池の大電流性能を向上することができる。
フッ素含有高分子材料は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビリニデン(PVdF)等が挙げられる。フッ素含有高分子材料の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
セパレータのフッ素含有高分子材料の含有率は1重量%以上20重量%以下が好ましい。この範囲であると、セパレータの厚さを10〜100μmの範囲にした際に高い機械的強度が得られ、かつセパレータの抵抗を低減することができる。さらに、固体電解質がリチウムイオン伝導性を阻害する要因になる恐れがない。含有率のより好ましい範囲は3重量%以上10重量%以下である。
セパレータは、例えば、固体電解質の粉末と高分子材料の粉末を混合し、これらを均一に分散後、高温プレス(例えば、150〜400℃)することにより、フィルム状に成型することができる。この方法によると、ピンホールの無いフィルム状セパレータが得られる。なお、高分子材料の形態は、例えば、粒状、繊維状を取り得る。
Naのイオン伝導性固体電解質としては、例えば、β−アルミナ、ナトリウムリン硫化物、ナトリウムリン酸化物などのガラスセラミックスが挙げられる。
セパレータのフッ素含有高分子の含有量の測定方法を以下に説明する。アルゴンを充填したグローブボックス中で電池を分解して電極群を取り出す。取り出した電極群からセパレータを引き剥がす。セパレータを乳鉢等を用いて粉砕し、得られた粉砕物を水中に分散させ、比重差を利用して固体電解質とフッ素含有高分子とを分離する。上澄み中のフッ素含有高分子を100℃で12時間乾燥させ、フッ素含有高分子の重量を測定し、セパレータ中のフッ素含有高分子の含有量を求める。
セパレータの固体電解質の含有量の測定方法を以下に説明する。セパレータに800℃までのTG(Thermogravimetry:熱重量分析)測定を行い、有機溶媒とフッ素含有高分子の重量減少から固体電解質の含有率を測定する。
6)容器
正極、負極及び第1,第2の電解質が収容される容器には、金属製容器や、ラミネートフィルム製容器、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂容器を使用することができる。
金属製容器としては、ニッケル、鉄、ステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。
樹脂製容器、金属製容器それぞれの板厚は、1mm以下にすることが望ましく、さらに好ましい範囲は0.5mm以下である。さらに好ましい範囲は0.3mm以下である。また、板厚の下限値は、0.05mmにすることが望ましい。
ラミネートフィルムとしては、例えば、金属層を樹脂層で被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。金属層の例に、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔が含まれる。樹脂層には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。ラミネートフィルムの厚さの好ましい範囲は、0.5mm以下である。より好ましい範囲は0.2mm以下である。また、ラミネートフィルムの厚さの下限値は、0.01mmにすることが望ましい。
実施形態に係る二次電池は、角形、円筒形、扁平型、薄型、コイン型等の様々な形態の二次電池に適用することが可能である。さらにバイポーラ構造を有する二次電池であることが好ましい。これにより複数直列のセルを1個のセルで作製できる利点がある。
実施形態の二次電池の一例を図1〜図4を参照して説明する。
図1及び図2に、金属製容器を用いた二次電池の一例を示す。
電極群1は、矩形筒状の金属製容器2内に収納されている。電極群1は、正極3及び負極4をその間にセパレータ5を介在させて偏平形状となるように渦巻き状に捲回した構造を有する。第1の電解質(図示しない)は、電極群1中の正極3に保持されている。一方、第2の電解質(図示しない)は、電極群1中の負極4に保持されている。図2に示すように、電極群1の端面に位置する正極3の端部の複数個所それぞれに帯状の正極リード6が電気的に接続されている。また、この端面に位置する負極4の端部の複数個所それぞれに帯状の負極リード7が電気的に接続されている。この複数ある正極リード6は、一つに束ねられた状態で正極導電タブ8と電気的に接続されている。正極リード6と正極導電タブ8から正極端子が構成されている。また、負極リード7は、一つに束ねられた状態で負極導電タブ9と接続されている。負極リード7と負極導電タブ9から負極端子が構成されている。金属製の封口板10は、金属製容器2の開口部に溶接等により固定されている。正極導電タブ8及び負極導電タブ9は、それぞれ、封口板10に設けられた取出穴から外部に引き出されている。封口板10の各取出穴の内周面は、正極導電タブ8及び負極導電タブ9との接触による短絡を回避するために、絶縁部材11で被覆されている。
図3及び図4に、ラミネートフィルム製外装部材を用いた二次電池の一例を示す。
積層型電極群1は、2枚の樹脂フィルムの間に金属層を介在したラミネートフィルムからなる袋状容器2内に収納されている。第1の電解質(図示しない)は、電極群1中の正極3に保持されている。一方、第2の電解質(図示しない)は、電極群1中の負極4に保持されている。積層型電極群1は、図4に示すように正極3と負極4とをその間にセパレータ5を介在させながら交互に積層した構造を有する。正極3は複数枚存在し、それぞれが集電体3aと、集電体3aの両面に形成された正極活物質含有層3bとを備える。負極4は複数枚存在し、それぞれが集電体4aと、集電体4aの両面に形成された負極活物質含有層4bとを備える。各負極4の集電体4aは、一辺が正極3から突出している。突出した集電体4aは、帯状の負極端子12に電気的に接続されている。帯状の負極端子12の先端は、容器2から外部に引き出されている。また、図示しないが、正極3の集電体3aは、集電体4aの突出辺と反対側に位置する辺が負極4から突出している。負極4から突出した集電体3aは、帯状の正極端子13に電気的に接続されている。帯状の正極端子13の先端は、負極端子12とは反対側に位置し、容器2の辺から外部に引き出されている。電極群1の両方の最外層にセパレータ5が位置している。一方の最外層のセパレータ5が正極3と対向し、他方の最外層のセパレータ5が負極4と対向している。
図1〜図4に示す二次電池には、容器内に発生した水素ガスを外部に放出させるための安全弁を設けることができる。安全弁は、内圧が設定値よりも高くなった場合に作動し、内圧が低下すると封止栓として機能する復帰式、一度作動すると封止栓としての機能が回復しない非復帰式のいずれでも使用可能である。また、図1〜図4に示す二次電池は、密閉式であるが、水素ガスを水に戻す循環システムを備える場合には開放系とすることが可能である。
以上説明した第1の実施形態の二次電池によれば、第1,第2の電解質と、セパレータとを含む。第1の電解質が少なくとも正極中に存在し、かつ第1のアルカリ金属塩及び第1の水系溶媒を含む。また、第2の電解質は、少なくとも負極中に存在し、第2のアルカリ金属塩及び第2の水系溶媒を含む。セパレータは、アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質を含む。そのため、大電流性能、サイクル寿命性能及び保存性能に優れる二次電池を提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、二次電池を単位セルとする組電池を提供することができる。二次電池には、第1の実施形態の二次電池を用いることができる。
組電池の例には、電気的に直列又は並列に接続された複数の単位セルを構成単位として含むもの、電気的に直列接続された複数の単位セルからなるユニットまたは電気的に並列接続された複数の単位セルからなるユニットを含むもの等を挙げることができる。組電池では、複数種の単位セルあるいは複数種のユニットを組み合わせることも可能である。
組電池は、筐体に収容されていても良い。筐体は、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどからなる金属缶、プラスチック容器等が使用できる。また、容器の板厚は、0.5mm以上にすることが望ましい。
二次電池の複数個を電気的に直列又は並列接続する形態の例には、それぞれが容器を備えた複数の二次電池を電気的に直列又は並列接続するもの、共通の筐体内に収容された複数の電極群を電気的に直列又は並列接続するものが含まれる。前者の具体例は、複数個の二次電池の正極端子と負極端子を金属製のバスバー(例えば、アルミニウム、ニッケル、銅)で接続するものである。後者の具体例は、1個の筐体内に複数個の電極群を隔壁により電気化学的に絶縁した状態で収容し、これら電極群を電気的に直列接続するものである。電気的に直列接続する電池個数を5〜7の範囲にすることにより、鉛蓄電池との電圧互換性が良好になる。鉛蓄電池との電圧互換性をより高くするには、単位セルを5個または6個直列接続した構成が好ましい。
組電池の一例を図5を参照して説明する。図5に示す組電池31は、第1の実施形態に係る角型の二次電池(例えば図1,図2)32〜32を単位セルとして複数備える。電池32の正極導電タブ8と、その隣に位置する電池32の負極導電タブ9とが、リード33によって電気的に接続されている。さらに、この電池32の正極導電タブ8とその隣に位置する電池32の負極導電タブ9とが、リード33によって電気的に接続されている。このように電池32〜32間が直列に接続されている。
第2の実施形態の組電池によれば、第1の実施形態に係る二次電池を含むため、放電容量、サイクル寿命性能、保存性能及び大電流性能に優れた組電池を実現することができる。また、第1の実施形態に係る二次電池は、鉛蓄電池との互換性に優れている。そのため、5つの二次電池が直列接続された組電池を鉛蓄電池の代替電源として使用することが可能である。(第3の実施形態)
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の二次電池を少なくとも一つと、二次電池の充放電を制御するための回路部とを含む電池パックを提供することができる。複数の二次電池は、電気的に直列、並列、又は直列および並列を組み合わせて接続されることができる。複数の二次電池から組電池を形成する場合、第2の実施形態の組電池を使用することができる。
電池パックは、自動車等の車両や電子機器に搭載される前から、回路部が二次電池に接続されていても良いが、実施形態の電池パックは、自動車等の車両が備える回路部を二次電池に接続したものを包含する。回路部の例に、保護回路が含まれる。保護回路は、リチウム二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用することができる。
電池パックは、通電用の外部端子をさらに具備することもできる。通電用の外部端子は、二次電池からの電流を外部に出力するため、及び/又は二次電池に電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの車両の動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
電池パックの例を図6を参照して説明する。電池パック40は、図3,4に示す二次電池からなる組電池を備える。電池パック40は、筐体41と、筐体41内に収容された組電池42とを含む。組電池42は、複数(例えば5個)の二次電池43〜43が電気的に直列に接続されたものである。二次電池43〜43は、厚さ方向に積層されている。筐体41は、上部及び4つの側面それぞれに開口部44を有している。二次電池43〜43の正負極端子が突出している側面が、筐体41の開口部44に露出している。組電池42の出力用正極端子45は、帯状をなし、一端が二次電池43〜43のいずれかの正極端子と電気的に接続され、かつ他端が筐体41の開口部44から突出して筐体41の上部から突き出ている。一方、組電池42の出力用負極端子46は、帯状をなし、一端が二次電池43〜43のいずれかの負極端子と電気的に接続され、かつ他端が筐体41の開口部44から突出して筐体41の上部から突き出ている。
電池パックの別の例を図7および図8を参照して詳細に説明する。扁平型の二次電池から構成される複数の単位セル51は、外部に延出した負極端子52および正極端子53が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ54で締結することにより組電池55を構成している。これらの単位セル51は、図8に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板56は、負極端子52および正極端子53が延出する単位セル51側面と対向して配置されている。プリント配線基板56には、図8に示すようにサーミスタ57、保護回路58、及び、通電用の外部端子として外部機器への通電用端子59が搭載されている。なお、組電池55と対向するプリント配線基板56の面には組電池55の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極リード60は、組電池55の最下層に位置する正極端子53に接続され、その先端はプリント配線基板56の正極コネクタ61に挿入されて電気的に接続されている。負極リード62は、組電池55の最上層に位置する負極端子52に接続され、その先端はプリント配線基板56の負極側コネクタ63に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ61,63は、プリント配線基板56に形成された配線64,65を通して保護回路58に接続されている。
サーミスタ57は、単位セル51の温度を検出し、その検出信号は保護回路58に送信される。保護回路58は、所定の条件で保護回路58と外部機器への通電用端子59との間のプラス配線66aおよびマイナス配線66bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ57の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単位セル51の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単位セル51もしくは組電池55について行われる。個々の単位セル51を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単位セル51中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図7および図8の場合、単位セル51それぞれに電圧検出のための配線67を接続し、これら配線67を通して検出信号が保護回路58に送信される。
正極端子53および負極端子52が突出する側面を除く組電池55の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート68がそれぞれ配置されている。
組電池55は、各保護シート68およびプリント配線基板56と共に収納容器69内に収納される。すなわち、収納容器69の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート68が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板56が配置される。組電池55は、保護シート68およびプリント配線基板56で囲まれた空間内に位置する。蓋70は、収納容器69の上面に取り付けられている。
なお、組電池55の固定には粘着テープ54に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図7、図8では単位セル51を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続してもよい。組み上がった電池パックを直列、並列に接続することもできる。
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。電池パックの用途としては、大電流での充放電が望まれるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用の電池、車両用の電池、定置用電池が挙げられる。車両用の電池の車両の例に、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、鉄道用車両が含まれる。
以上説明した第3の実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態の二次電池を含むため、放電容量、サイクル寿命性能、保存性能及び大電流性能に優れた電池パックを実現することができる。よって、実施形態によれば、車両用スタータ電源として使用されている鉛電池の代替電源として、あるいはハイブリッド車に搭載する車載用二次電池として好適な組電池及び電池パックを提供することが可能になる。(第4の実施形態)
第4の実施形態によれば、第1の実施形態に係る二次電池、第2の実施形態に係る組電池あるいは第3の実施形態に係る電池パックを含む車両が提供される。
電池パックを搭載した自動車等の車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。
図9に、実施形態に係る一例の電池パックを具備した一例の自動車を示す。
図9に示す自動車71は、車体前方のエンジンルーム内に、実施形態に係る一例の電池パック72を搭載している。自動車における電池パックの搭載位置は、エンジンルームに限られない。例えば、電池パックは、自動車の車体後方又は座席の下に搭載することもできる。
図10は、実施形態に係る車両の一例の構成を概略的に示した図である。図10に示した車両300は、電気自動車である。
図10に示す車両300は、車両用電源301と、車両用電源301の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit)380と、外部端子370と、インバータ340と、駆動モータ345とを備えている。
車両300は、車両用電源301を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。しかしながら、図10では、車両300への二次電池の搭載箇所は概略的に示している。
車両用電源301は、複数(例えば3つ)の電池パック312a、312b及び312cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)311と、通信バス310と、を備えている。
3つの電池パック312a、312b及び312cは、電気的に直列に接続されている。電池パック312aは、組電池314aと組電池監視装置(VTM:Voltage Temperature Monitoring)313aと、を備えている。電池パック312bは、組電池314bと組電池監視装置313bと、を備えている。電池パック312cは、組電池314cと組電池監視装置313cと、を備えている。電池パック312a、312b、及び312cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パックと交換することができる。
組電池314a〜314cのそれぞれは、直列に接続された複数の二次電池を備えている。各二次電池は、実施形態に係る二次電池である。組電池314a〜314cは、それぞれ、正極端子316及び負極端子317を通じて充放電を行う。
電池管理装置311は、車両用電源301の保全に関する情報を集めるために、車両用電源301に含まれる組電池314a〜314cの二次電池の電圧、温度などの情報を組電池監視装置313a〜313cとの間で通信を行い収集する。
電池管理装置311と組電池監視装置313a〜313cとの間には、通信バス310が接続されている。通信バス310は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス310は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置313a〜313cは、電池管理装置311からの通信による指令に基づいて、組電池314a〜314cを構成する個々の二次電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての二次電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源301は、正極端子と負極端子との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図Yに示すスイッチ装置333)を有することもできる。スイッチ装置333は、組電池314a〜314cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含む。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオンおよびオフされるリレー回路(図示せず)を備える。
インバータ340は、入力した直流電圧をモータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ340は、後述する電池管理装置311あるいは車両全体動作を制御するための車両ECU380からの制御信号に基づいて、出力電圧が制御される。インバータ340の3相の出力端子は、駆動モータ345の各3相の入力端子に接続されている。
駆動モータ345は、インバータ340から供給される電力により回転し、その回転を例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達する。
また、図示はしていないが、車両300は、車両300を制動した際に駆動モータ345を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ340に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源301に入力される。
車両用電源301の負極端子317には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1は、電池管理装置311内の電流検出部(図示せず)を介してインバータ340の負極入力端子に接続されている。
車両用電源301の正極端子316には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置333を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ340の正極入力端子に接続されている。
外部端子370は、後述する電池管理装置311に接続されている。外部端子370は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU380は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置311を他の装置と協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置311と車両ECU380との間で、通信線により、車両用電源301の残容量等の車両用電源301の保全に関するデータ転送が行われる。
実施形態に係る二次電池を含む車両において、電池パック312a、312b及び312cのそれぞれは、放電容量、サイクル寿命性能、保存性能及び大電流性能に優れているため、充放電性能に優れ、且つ信頼性の高い車両が得られる。さらに、それぞれの電池パックは安価で安全性が高いため、車両のコストを抑え、且つ安全性を高めることができる。
以上説明した第4の実施形態の車両によれば、第1の実施形態の二次電池、第2の実施形態に係る組電池あるいは第3の実施形態に係る電池パックを含むため、電池の残存容量の減少が緩和された信頼性の高い車両を実現することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明するが、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
正極活物質に、平均二次粒子径5μmのスピネル構造のリチウムマンガン酸化物(LiMn)を用いた。これに、導電剤として繊維径0.1μmの気相成長の炭素繊維を3重量%、導電剤として黒鉛粉末を5重量%、結着剤として5重量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をそれぞれ配合して水に分散してスラリーを調製した。導電剤及び結着剤の混合割合は、正極活物質、導電剤及び結着剤の合計を100重量%とした場合の値である。得られたスラリーを厚さ10μmのニッケル箔の両面に塗布し、乾燥し、プレス工程を経て、ニッケル箔の両面に正極活物質含有層を形成し、電極密度2.2g/cmの正極を作製した。各正極活物質含有層の厚さは43μmであった。
また、二次粒子径(直径)10μmのスピネル構造のLiTi12粉末と、平均粒子径10μmの亜鉛粉末と、結着剤としてテトラフルオロエチレン(PTFE)とを重量比で92:5:3となるように配合して水に分散させ、ボールミルを用いて回転数1000rpmで、かつ攪拌時間が2時間の条件で攪拌を用い、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ10μmのニッケル箔に塗布し、乾燥し、加熱プレス工程を経ることにより、ニッケル箔の両面に負極活物質含有層を形成し、電極密度2.2g/cmの負極を作製した。各負極活物質含有層の厚さは59μmであった。
第2の電解質(電解質B)として、Li[(FSON]を水に6mol/L溶解し、Li[(FSON]のリチウムイオンのモル数に対する水のモル数のモル比率(HO/Li)を1.8とした水溶液を調整した。水溶液のpHを第2の電解質の充電前のpHとして表3に示す。この水溶液を負極に含浸させた。
セパレータとして、厚さ50μmのLi1.3Al0.3Zr1.7(PO板を用いた。Li1.3Al0.3Zr1.7(POは、リチウムイオン伝導性の固体電解質である。
第1の電解質(電解質A)として、水1Lに2molのLiSOを溶解させた水溶液を調製した。水溶液のpHを第1の電解質の充電前のpHとして表3に示す。第1の電解質を正極に含浸させた後、セパレータを正極に重ねた。これに、負極を負極活物質含有層がセパレータを介して正極活物質含有層と対向するように重ねて電極群を作製した。正極活物質含有層の電極幅(短辺の長さ)は50mm、負極活物質含有層の電極幅(短辺の長さ)は51mmであった。
この電極群を厚さが0.25mmのステンレスからなる薄型の金属缶容器に収納した。この金属缶には内圧が2気圧以上になるとガスをリークする弁が設置されている。このようにして、厚さ16mm、幅40mm、高さ60mmの薄型の二次電池を作製した。
(実施例2)
平均粒子直径が1μmのLi1.3Al0.3Zr1.7(PO粉末をPTFE含有分散溶液と混合して、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とPTFEとが重量比率92:8の比率で混合した組成を有するものであった。
得られた複合膜をセパレータに用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例3〜9)
表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
なお、実施例6の第2の電解質(電解質B)は、2mol/LのLiCl水溶液と0.5mol/LのLiOH水溶液が体積比4:1の割合で混合された水溶液であった。実施例6の第2の電解質(電解質B)のリチウムイオン濃度は1.7mol/Lであった。
また、実施例8の第1の電解質(電解質A)は、8mol/LのLiCl水溶液と0.01mol/LのLiCO水溶液が体積比2:1の割合で混合された水溶液であった。実施例8の第1の電解質(電解質A)のリチウムイオン濃度は5.34mol/Lであった。
(実施例10)
平均粒子直径が1μmのLi1.3Al0.3Zr1.7(PO粉末をPTFE含有分散溶液と混合して、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とPTFEとが重量比率97:3の比率で混合した組成を有するものであった。
得られた複合膜をセパレータに用いると共に、表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例11)
セパレータとして、厚さ30μmのLi1.4Al0.4Ge0.2Ti1.4(PO板を用いた。Li1.4Al0.4Ge0.2Ti1.4(POは、リチウムイオン伝導性の固体電解質である。このセパレータを用いると共に、表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例12)
平均粒子直径が1μmのLi1.4Al0.4Ge0.2Ti1.4(PO粉末をPTFE含有分散溶液と混合して、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とPTFEとが重量比率97:3の比率で混合した組成を有するものであった。
得られた複合膜をセパレータに用いると共に、表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例13)
表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例14〜18)
表1に示す正極活物質及び負極活物質と、表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例19)
セパレータとして、厚さ30μmのLiSrLaTa12板を用いた。LiSrLaTa12は、ガーネット型構造を有するリチウムイオン伝導性の固体電解質である。このセパレータを用いると共に、表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例20)
平均粒子直径が1μmのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO粉末を粒状のPCTFEと混合して、溶媒である水中に分散させ、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とPCTFEとが重量比率97:3の比率で混合した組成を有するものであった。
得られた複合膜をセパレータに用いると共に、表3に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例21)
平均粒子直径が1μmのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO粉末とエチレンテトラフルオロエチレンコポリマーの粉末とを混合し、これを溶媒である水中に分散させ、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とエチレンテトラフルオロエチレンコポリマーとが重量比率97:3の比率で混合した組成を有するものであった。
得られた複合膜をセパレータに用いると共に、表4に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例22)
平均粒子直径が1μmのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO粉末とPETの粉末とを混合し、これを溶媒である水中に分散させ、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とPETとが重量比率97:3の比率で混合した組成を有するものであった。
得られた複合膜をセパレータに用いると共に、表4に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例23)
平均粒子直径が1μmのLi1.3Al0.3Zr1.7(PO粉末をPTFE含有分散溶液と混合して、キャステイング、乾燥、350℃で高温プレスすることで厚さ20μmの複合膜を作製した。複合膜は、リチウムイオン伝導性の固体電解質とPTFEとが重量比率97:3の比率で混合した組成を有するものであった。
実施例1と同様にして得られた負極に、表4に示す第2の電解質を含浸させた。また、実施例1と同様にして得られた正極に表4に示す第1の電解質を含浸させた。次いで、正極と負極の間にセパレータとして複合膜を配置し、これらを扁平の渦巻き状に捲回した。得られた捲回物をプレスすることにより、扁平形状の電極群を得た。この電極群を厚さが0.25mmのステンレスからなる薄型の金属缶容器に収納した。この金属缶には内圧が2気圧以上になるとガスをリークする弁が設置されている。このようにして、図1に示す構造を有し、厚さ16mm、幅40mm、高さ60mmの薄型の二次電池を作製した。
(実施例24)
表4に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
(比較例1〜5)
セパレータとして厚さが20μmのポリプロピレン多孔質フィルムを用い、表4に示す第1の電解質及び第2の電解質を用いること以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
なお、比較例3の第1の電解質(電解質A)は、2mol/LのLiCl水溶液と0.5mol/LのLiOH水溶液が体積比4:1の割合で混合された水溶液であった。
得られた二次電池に対し、25℃で2A(ほぼ1C相当)の定電流で2.7Vまで充電した後、1.5Vまで2Aで放電した時の放電容量を測定した。得られた放電容量を25℃放電容量として表5,6に示す。
二次電池のサイクル試験を以下の条件で実施した。二次電池を25℃で2Aの定電流で2.7Vまで充電した後、1.5Vまで2Aで放電する充放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期容量の80%に相当する値となった時のサイクル数をサイクル寿命として表5,6に示す。
二次電池の大電流放電性能試験を以下の条件で実施した。二次電池を2Aで2.7Vまで充電後、10Aで1.5Vまで放電した時の放電容量を測定した。二次電池を2Aで2.7Vまで充電後、2Aで1.5Vまで放電した時の放電容量を100%として、得られた放電容量を表した際の値を大電流放電容量維持率として表5,6に示す。
二次電池の保存試験を以下の条件で実施した。二次電池を2Aで2.7Vまで充電後、45℃で1週間放置後の自己放電率を求めた。放置前の放電容量を100%とした際の放置後の放電容量の値を自己放電率として表5,6に示す。なお、充放電サイクル試験における10サイクル後の第1の電解質及び第2の電解質のpHは前述の方法で測定した。
表1〜6から明らかなように、実施例1〜24の二次電池は、比較例1〜5に比べて、25℃放電容量及びサイクル寿命に優れている。表3及び表4に示す通り、第1及び第2の電解質のpHは、多くの場合、充電前すなわち水溶液調製後の値と、10サイクルの充放電が施された後の値が異なっている。少なくとも充放電サイクル後に第2の電解質のpH値が第1の電解質のpH値より高い関係を満たす実施例1〜23の二次電池は、第2の電解質のpH値が第1の電解質のpH値より低い実施例24の二次電池に比して、25℃放電容量、サイクル寿命、大電流放電性能、45℃での自己放電性能に優れている。実施例24の二次電池の性能が十分でない要因の一つとして、正極側での酸素発生量が多いことが挙げられる。なお、pH値の変動は、充放電サイクル数が10サイクルを超えた後は小さくなり、10サイクル以降は、第1及び第2の電解質のpHはほぼ一定値に保たれる。実施例1の第2の電解質のpHが、実施例10〜18の第2の電解質のpHと同じ値であるのは、Li[(FSON]水溶液のpHがリチウム塩濃度の影響をほとんど受けないためである。
実施例1と実施例14〜18の比較から、正極活物質あるいは負極活物質の種類を実施例1から変更しても、高い放電容量と、優れたサイクル寿命、大電流放電性能及び45℃での自己放電性能とを得られることがわかる。
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例の二次電池によれば、少なくとも正極中に存在し、第1のアルカリ金属塩及び第1の水系溶媒を含む第1の電解質と、少なくとも負極中に存在し、第2のアルカリ金属塩及び第2の水系溶媒を含む第2の電解質と、アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質を含むセパレータとを含む。そのため、放電容量とサイクル性能と大電流性能と保存性能とに優れた二次電池を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
正極と、
負極と、
少なくとも前記正極及び前記負極の間に配置され、アルカリ金属イオン伝導性の固体電解質を含むセパレータと、
少なくとも前記正極中に存在し、第1のアルカリ金属塩及び第1の水系溶媒を含む第1の電解質と、
少なくとも前記負極中に存在し、第2のアルカリ金属塩及び第2の水系溶媒を含む第2の電解質とを含む、二次電池。
[2]
前記第2の電解質のpH値は、前記第1の電解質のpH値より高い、[1]に記載の二次電池。
[3]
前記第2の電解質のアルカリ金属イオンの濃度は、前記第1の電解質のアルカリ金属イオン濃度以上の値である、[1]または[2]のいずれかに記載の二次電池。
[4]
前記第2の電解質の前記第2のアルカリ金属塩の陰イオンは、Cl、OH、[(FSON]及び[(CFSON]よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の二次電池。
[5]
前記第1の電解質の前記第1のアルカリ金属塩の陰イオンは、Cl、NO 、CO 2−、及びSO 2−よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の二次電池。
[6]
前記負極は、アルカリ金属イオンを吸蔵放出するチタン含有酸化物を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の二次電池。
[7]
前記セパレータは、前記固体電解質と高分子材料との複合体を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の二次電池。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の二次電池を含む電池パック。
[9]
前記二次電池を複数含み、前記複数の二次電池が直列、並列、又は直列と並列の組合せで電気的に接続されている、[8]に記載の電池パック。
[10]
保護回路及び通電用の外部端子をさらに含む、[8]又は[9]に記載の電池パック。[11]
[8]〜[10]のいずれかに記載の電池パックを含む、車両。
[12]
前記電池パックが、前記車両の動力の回生エネルギーを回収するものである、[11]に記載の車両。
1…電極群、2…容器(外装部材)、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、4…負極、4a…負極集電体、4b…負極活物質含有層、5…セパレータ、6…正極リード、7…負極リード、8…正極導電タブ、9…負極導電タブ、10…封口板、11…絶縁部材、12…負極端子、13…正極端子、31…組電池、32〜32、43〜43…二次電池、33…リード、40…電池パック、41…筐体、42…組電池、44…開口部、45…出力用正極端子、46…出力用負極端子、51…単位セル、55…組電池、56…プリント配線基板、57…サーミスタ、58…保護回路、59…外部機器への通電用端子(通電用の外部端子)、300…車両、301…車両用電源、310…通信バス、311…電池管理装置、312a〜c…電池パック、313a〜c…組電池監視装置、314a〜c…組電池、316…正極端子、317負極端子、340…インバータ、345…駆動モータ、370…外部端子、380…車両ECU、L1、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (11)

  1. 正極と、
    リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質粒子を含む負極と、
    少なくとも前記正極及び前記負極の間に配置され、リチウムイオン伝導性の固体電解質を含むセパレータと、
    少なくとも前記正極中に存在し、第1のリチウム塩及び第1の水系溶媒を含む第1の電解質と、
    少なくとも前記負極中に存在し、第2のリチウム塩及び第2の水系溶媒を含む第2の電解質とを含
    前記第2の電解質のリチウムイオン濃度は、前記第1の電解質のリチウムイオン濃度以上の値である、二次電池。
  2. 前記第2の電解質のpH値は、前記第1の電解質のpH値より高い、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記第2の電解質の前記第2のリチウム塩の陰イオンは、Cl、OH、[(FSON]及び[(CFSON]よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含む、請求項1又は2に記載の二次電池。
  4. 前記第1の電解質の前記第1のリチウム塩の陰イオンは、Cl、NO 、CO 2−、及びSO 2−よりなる群から選ばれる一種又は二種以上のイオンを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. 前記負極活物質粒子はチタン含有酸化物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池。
  6. 前記セパレータは、前記固体電解質と高分子材料との複合体を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池を含む電池パック。
  8. 前記二次電池を複数含み、前記複数の二次電池が直列、並列、又は直列と並列の組合せで電気的に接続されている、請求項に記載の電池パック。
  9. 保護回路及び通電用の外部端子をさらに含む、請求項7又は8に記載の電池パック。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の電池パックを含む、車両。
  11. 前記電池パックが、前記車両の動力の回生エネルギーを回収するものである、請求項10に記載の車両。
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