JP2015002069A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系の電解質を用いて、高い容量を有するとともに、充放電のサイクル特性に優れた二次電池を提供する。【解決手段】正極と、負極と、水系の電解液とを備え、前記負極が、負極活物質として、NASICON型の結晶構造を有するとともに、Li、TiおよびM(Mは5価の元素群から得ばれる少なくとも1種である)を含むリン酸塩を含み、前記Tiと前記Mとの合量に対する前記Mの原子比率(M/(Ti+M))を0.01以上0.25以下とすることにより、高い容量を有するとともに、充放電のサイクル特性を向上できる。【選択図】図1

Description

本発明は、水系の電解液を用いた二次電池に関する。
近年、二次電池の用途は、携帯電話やノートPCなどの小型用途だけでなく、電気自動車用バッテリー、家庭用蓄電池、および風力発電や太陽光発電の電圧安定化用などの大型用途にも広がっている。
通常のリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を実現するために電解質として有機電解液を利用している。しかし、上述のような大型用途に用いる場合、可燃性の有機電解液を使用すると安全性に対する懸念が大きいことから、有機電解液に代えて安全性の高い水系の電解液を使用することが検討されている。
水系の電解液を用いた二次電池では、電解液の電位窓が狭いこと、および電極の構成成分が電解液に溶出する傾向が強いことから、電極材料の選択範囲が制限される。特に、負極活物質の場合は、容量が大きく、水系の電解液での利用が可能な材料の候補が少ない。
特許文献1では、水系の電解液を用いた水系リチウム二次電池の負極活物質を、基本組成式LiTi(POで表されるリチウム複合酸化物を主成分とするものを提案している。また、特許文献2では、LiTi(POにおいてTiの一部をFeで置換することにより、負極のサイクル性が改善されることが示されている。
特開2007−123093号公報 特開2007−214027号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているLiTi(POを負極活物質として用いた場合、充放電のサイクルにより容量が低下するという課題があった。また、特許文献2に記載されたLiTi(PO中のTiの一部をFeで置換したものを負極活物質として用いても、サイクル特性の改善効果が不十分であるとともに、初期放電容量がLiTi(POに比べて低いという課題があった。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたもので、水系の電解質を用いて、高い容量を有するとともに、充放電のサイクル特性に優れた二次電池を提供することを目的とする。
本発明の二次電池は、正極と、負極と、水系の電解液とを備え、前記負極が、負極活物質として、NASICON型の結晶構造を有するとともに、Li、TiおよびM(Mは5価の元素群から得ばれる少なくとも1種である)を含むリン酸塩を含み、前記Tiと前記Mとの合量に対する前記Mの原子比率(M/(Ti+M))が0.01以上0.25以下であることを特徴とする。
本発明によれば、水系の電解液を用いて、高い容量を有するとともに充放電のサイクル
特性に優れた二次電池を提供できる。
本発明の一実施形態である二次電池の概略断面図である。 二次電池の外観を示す斜視図である。
本発明の一実施形態である二次電池について、図1および図2を用いて説明する。本実施形態の二次電池は、正極1と負極3との間に水系の電解液を含有する電解質層2を有し、これらは発電要素4を構成している。また、正極1および負極3の電解質層2に面する側とは反対側の面には、それぞれ正極側集電層5Pおよび負極側集電層5Nが設けられている。図1に示した発電要素4を、図2に示すような電池ケースに収納することにより二次電池が形成される。電池ケースの形態はラミネートタイプや円筒型、箱型、コイン型など多種多様であるが、いずれの形態であっても良い。図2に示す6Pおよび6Nは、それぞれ外部回路と正極1および負極3とを電気的に接続する正極端子および負極端子であり、7はラミネートフィルムである。
本実施形態においては、負極3がNASICON型の結晶構造を有するリン酸塩を負極活物質として含んでいる。そして、このリン酸塩は、構成元素としてLi、Tiおよび5価の元素群から得ばれる少なくとも1種であるMを含んでおり、TiとMとの合量に対するMの原子比率(M/(Ti+M))が0.01以上0.25以下である。
NASICON(Na Super Ionic Conductor)型の結晶構造を有する化合物はイオン伝導性材料として知られており、結晶構造中に大きな空隙を有することから、負極活物質として用いた場合には高い容量密度が得られる。LiとTiを含むリン酸塩であるLiTi(POもNASICON型の結晶構造を有しており、特許文献1で示されているように負極活物質として用いた場合に高い容量を得られるが、充放電のサイクルを繰り返すことにより容量が低下する。これは、充電過程でLiTi(POがLiを吸蔵し、その吸蔵量が増加することによりLiTi(POとは格子定数が大きく異なる結晶相に変態するが、その中に不可逆な相変態、すなわち、吸蔵したLiが結晶格子中に取り込まれてLiを放出できなくなるものが存在することに起因する。相変態したLinTi(PO(n=1〜3)のLi含有量は明確では
ないが、相変態前のNASICON型の結晶構造を有するリン酸塩において、Li含有量が多いほど相変態の発生量が多くなる傾向がみられ、充放電サイクルによる電極の劣化も大きくなる。
本実施形態においては、LiおよびTiを含むリン酸塩において、Tiの一部をTi4+よりも価数が大きい5価の元素Mで置換したものを用いる。すなわち、LiTi(PO中のTi4+を、それよりも価数が大きい5価の元素で置換し、リン酸塩中のLi含有量を少なくすることで、充電過程でLiを吸蔵した際に発生する相変態を抑制することができる。このとき、Mの含有量、すなわちMによるTiの置換量は、TiとMとの原子比率y=(M/(Ti+M))にして0.01以上0.25以下とすることで、高い容量を維持しつつ、充電過程における相変態の抑制効果が得られサイクル特性を向上させることができる。TiとMとの原子比yが0.01より小さい場合は、充電過程における相変態を抑制する効果が十分に得られず、サイクル特性の改善効果が小さく、yが0.25よりも大きい場合は、容量が大幅に減少するなどの問題がある。特にyを0.05〜0.25の範囲とすることで、高い容量を維持しながら、大きなサイクル特性の改善効果が得られる。
本実施形態のリン酸塩は、組成式Lix−2yTi2(1−y)2y(PO
表すことができる。この組成式において、LiやPOの組成を示すxやzの値が化学量論組成であるx=1およびz=3からはずれても、NASICON型構造が保たれていればイオンの挿入脱離が可能である。たとえば、xおよびzの範囲は、充電前の状態でそれぞれ0.80≦x≦1.20および2.50≦z≦3.50の範囲とすることが好ましい。なお、組成式中のyは上述のTiとMとの原子比率y=(M/(Ti+M))である。
Tiを置換する5価の元素Mとしては、Nb、TaおよびSbからなる元素群のうち少なくともいずれか1種、特に、NbおよびTaの少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。特許文献2に記載されたFeや、置換元素として一般に用いられるCr、V、Co、Al、Mnなどの元素は、その多くが水溶液中に溶出しやすいものであり、水系電解液を用いた電池に使用した場合、置換元素の溶出により劣化を加速する懸念があるため、実用的ではない。一方、Nb、TaおよびSbは、5価の価数を取り得るとともに水溶液中に溶出しにくい性質を有するため、負極活物質であるリン酸塩中のTiをこれらのうち少なくともいずれか1種の元素で置換することで、容量が高くサイクル特性に優れた二次電池を実現できる。
このようなリン酸塩は、たとえば以下のようにして作製できる。まず、素原料としてP、Li、TiおよびM(Mは5価の元素群から選ばれる少なくとも1種)をそれぞれ含む酸化物または各種の塩類を所定量混合する。素原料としては、たとえばLiCO、TiO、NHPO、Nb、TaおよびSbなどが挙げられる。これらの素原料は、必要に応じて粉砕してもよい。素原料の混合・粉砕には、たとえば回転ミル、振動ミル、ビーズミルまたは遊星ミルなどを用いればよい。
素原料を混合した混合原料を、大気中で熱処理することでリン酸塩を合成することができる。熱処理温度は、たとえば800〜1000℃とすればよい。
本実施形態におけるリン酸塩は、上述したような固相反応法のほか、液相共沈法、ゾル・ゲル法、物理気相析出法または化学気相析出法などの方法で作製することもできる。
得られたリン酸塩の組成は、元素分析により確認すればよく、たとえば蛍光X線分析や、波長分散型X線分光分析(WDS)、ICP発光分光分析などを用いればよい。結晶相は、X線回折(XRD)測定により得られた回折パターンを同定することにより確認できる。
なお、本実施形態においては、負極活物質がM単独の酸化物結晶相を実質的に含まないことが好ましい。M単独の酸化物結晶相はLiを吸蔵放出せず充放電に寄与しないため、これらの結晶相が負極活物質中に含まれていた場合には容量の低下が懸念される。なお、負極活物質がこれらの結晶相を実質的に含まないとは、負極活物質のX線回折(XRD)測定において、M単独の酸化物結晶相が確認できないことをいう。
本実施形態の負極活物質の粒子は、その表面の少なくとも一部に、炭素を含む被覆層を備えていることが好ましい。負極活物質の粒子の表面に炭素を含む被覆層を備えることにより、負極活物質の粒子間における電子伝導性が大幅に向上し、二次電池の内部抵抗を低減することができるとともに、電極反応の安定性が向上して充放電サイクル特性の改善にも有効である。
なお、被覆層に含まれる炭素は、黒鉛または黒鉛に近似した構造を有するものであることが好ましい。また、炭素を含む被覆層は、負極活物質の粒子の表面全てを覆っている必要はなく、たとえば表面の1%以上を覆っていればよい。このように、負極活物質の粒子の表面の1%以上が炭素を含む被覆層に覆われていることにより、負極活物質の粒子間に
おける電子伝導性をより向上することができる。
炭素を含む被覆層の平均厚さは、1〜100nmの範囲であることが好ましい。100nmよりも厚くなると、負極活物質と電解液との間のイオン伝導性が低下し、1nmよりも薄い場合は、炭素を含む被覆層による負極活物質の粒子間の電子伝導性の向上効果が充分に得られない場合がある。
炭素を含む被覆層は、たとえば以下のようにして負極活物質の粒子の表面に形成すればよい。前処理として、負極活物質を、必要に応じボールミルやビーズミル等の手法により粉砕するなどして粒度調整を行う。その後、負極活物質の粉末を、たとえばPVAやフェノール樹脂などの炭素源とボールミルなどの周知の方法で混合し、不活性雰囲気中で500〜900℃の温度で熱処理することにより、負極活物質の粒子の表面に炭素を含む被覆層を形成することができる。なお、負極活物質の粒子の表面に炭素を含む被覆層を形成する方法として、他に固相拡散法、気相析出法などを利用してもよい。なお、炭素を含む被覆層は、負極活物質の粒子の表面だけでなく、正極活物質の粒子の表面に設けられていてもよい。
本実施形態において、正極1に用いる正極活物質は特に限定するものではなく、水系電解液に適した酸化還元電位と安定性を有し、容量が大きい化合物であれば使用可能である。例えば、スピネル晶系のLiMn、LiFeなどは、水系電解液に適した酸化還元電位と安定性を有し、100mAh/g以上の容量密度を有する。
本実施形態の正極1および負極3(以下、単に電極という場合もある)は、それぞれ正極活物質および負極活物質(以下、単に活物質という場合もある)を用いて以下のようにして作製すればよい。たとえば、活物質を80質量%、導電助剤としてアセチレンブラックを10質量%およびバインダーとしてポリフッ化ビニリデンを10質量%に、さらに溶媒として、活物質、導電助剤およびバインダーの合量に対して15質量%のNMP(N−メチルピロリドン)を添加してスラリーを作製する。作製したスラリーを、ドクターブレード法などの周知のシート成形法により、たとえばステンレス、Ni、Ti等の金属箔上に塗布し溶剤を乾燥することで、活物質と導電助剤と結着剤とを含む電極を作製できる。
また、活物質の粉末を用いて、押し出し成形やロールコンパクション法などの成形法によって圧粉体を作製し、電極を形成してもよい。
バインダーは、ポリフッ化ビニリデン以外にも、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂など、用途によって適したものを選んで使用できる。また、導電助剤も、アセチレンブラックの代わりにケッチェンブラックやカーボンナノチューブ、黒鉛、ハードカーボン、金属(Ni、金、白金など)の粉末、無機導電性酸化物(酸化インジウムスズ(ITO)ガラス、酸化スズなど)など、使用電圧範囲において化学的に安定で導電性を示すものであればその材料はいずれでも良い。
電極中における活物質の粒子の平均粒径は、これを用いる二次電池の電圧範囲や温度などの使用条件に応じて、適正な範囲を選んで調整すればよいが、たとえば、0.5〜10μmであることが好ましい。活物質粒子の平均粒径が小さすぎると、高出力に対応できるが、電解液との接触面積が大きくなるため、使用条件によっては劣化が早く起こりやすい場合がある。また、テープ成形自体も困難になる。一方、大きすぎると、テープ成形において突起物ができたり、電池の出力応答が低下する懸念がある。電極中における活物質の粒子の平均粒径は、たとえば電極の断面において、走査型電子顕微鏡(SEM)と波長分散型X線分析(WDS)により活物質の粒子を判別し、撮影した写真を画像解析して算出
するなどして求めることができる。
電解質層2としては、セパレータに水系の電解液を含浸させたものを用いる。電解液を含浸させるセパレータには、イオンを通し、かつ正負極のショートを防止することが求められる。具体的には、ポリオレフィン繊維性の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜、ガラスフィルター、セラミックの多孔質材料などを用いることができる。ここで、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができ、一般的にリチウムイオン電池などの二次電池に用いられるセパレータが適用可能である。
水系の電解液は、Liイオンの伝導率が高い水溶液であれば特に限定する必要はない。例えば、1〜2mol/LのLiSO水溶液またはLiOH水溶液、LiNO水溶液などが使用できる。これらは、pHの調整により水の電気分解電位を変化させることができるため、充電電位を変えることも可能である。
正極側集電層5Pには、正極1の電位において溶解や酸素の発生がない、耐食性を有する材料を用いればよい。このような材料としては、たとえば、ニッケル、チタン、ステンレス、金、白金、グラファイトシートなどが挙げられる。その中でもチタン、ニッケルは容易に入手でき、コスト的にも比較的入手しやすい価格であることから好ましい。特にチタンとニッケルは貴な電位においても耐食性に優れる点から好ましい。
負極側集電層5Nには、負極3の電位において、Liとの合金化などの副反応が発生しない材料を用いればよい。このような材料としては、たとえば、ニッケル、チタン、ステンレス等を含む金属材料や合金、黒鉛、ハードカーボン、ガラス状炭素等の炭素質材料などが挙げられる。特に、電子伝導性が高く比較的安価な点から、チタンまたはニッケルを用いることが好ましい。
正極側集電層5Pおよび負極側集電層5Nは、これらの金属材料からなる金属箔やメッシュを用いてもよいし、金属材料、炭素質材料またはITOガラスや酸化すずなどの無機導電性酸化物材料などをフィラーとした導電性インクなどを、あらかじめ成形した電極表面に塗布し、乾燥させたものを用いてもよい。
なお、金属箔またはメッシュを用いる場合、その厚みは5〜40μmとすることが好ましい。また、金属箔を使用する場合は、電極との接着力向上のために、金属箔の表面を粗面化処理したものを用いてもよい。この場合、金属箔の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)にして0.5〜2μmであることが好ましい。金属箔の表面粗さは、触針式、光干渉式等の表面粗さ計や、レーザー顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて測定する。一般的に使用される触針式表面粗さ計を用いる場合は、JIS B0601に基づいて、たとえば、触針先端径を2μm、測定長を4.8mm、カットオフ値を0.8mmという条件で測定すればよい。
以上、本実施形態の二次電池について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で種々変更したものにも適用することができる。
以下、本発明の二次電池について、実施例に基づき詳細に説明する。まず、負極活物質として、組成式Lix−2yTi2(1−y)2y(POで表されるリン酸塩を合成した。素原料として炭酸リチウム(関東化学製)、アナターゼ型酸化チタン(東邦チタニウム製)、酸化二オブ、酸化タンタル、酸化アンチモンおよび水酸化鉄(高純度化学製)を用い、組成式のx、yおよびzが表1に示す比率となるように配合した。次いで、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒としてスラリー化し、ZrOボールを用いて
ボールミルにて20時間混合した。混合後のスラリーを乾燥した後、大気中で900℃、10時間の熱処理を行い、リン酸塩を合成した。
合成したリン酸塩は、ICP発光分光分析により組成を確認し、x、yおよびzの値が配合時と同等であることを確認した。また、X線回折(XRD)測定を行い、回折パターンを解析した結果、いずれの試料においてもNASICON型のLiTi(PO結晶相(JCPDS)が確認されたが、他の異相の回折ピークは確認されず、Nb、Ta、SbおよびFeはリン酸塩の結晶相に固溶していると考えられる。なお、X線回折(XRD)測定はCuKα線を用いて行った。得られたリン酸塩は、回転ミルにより20時間の粉砕を行い、平均粒径が0.8μmの粉末とした。
粉砕後の粉末の粒子の表面に炭素を含む被覆層を形成する処理は、以下のように行った。得られた粉末をフェノール溶液(溶媒:イソプロピルアルコール、濃度:10質量%)と混合し、乾燥した後に窒素雰囲気中で400℃にて5時間の熱処理を行った。熱処理後の粉末は、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、粒子の表面に約10nmの炭素を含む被覆層が存在することを確認した。
次に、正極および負極を、それぞれ正極活物質および作製した負極活物質を用いて作製した。正極活物質は、市販のLiMn(戸田工業製、平均粒径1.0μm)を用いた。
活物質の粉末を80質量%、導電助剤としてアセチレンブラックを10質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを10質量%に、さらに溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)を、活物質、導電助剤およびバインダーの合量に対して15質量%混合してスラリーを作製した。このスラリーを、集電層となるニッケル金属箔の上にドクターブレード法により塗布し、溶媒を乾燥することにより、厚さ30μmの正極および負極を作製した。
得られた正極および負極を、集電層である金属箔と共に10×10cmの正方形状に切断し、さらに集電層である金属箔の電極が形成されていない側の面の端部に、ニッケル金属箔を正極端子または負極端子として、スポット溶接で取り付けた。
作製した正極と負極との間に、電解液を含んだポリプロピレン/ポリエチレン製のセパレータを配置し、外装体である袋状のアルミニウムラミネートフィルムに収納し、電解液を注入した。電解液には、HOにLiSOを2mol/L溶解した水系電解液を用いた。
電解液を注入した後、正極端子および負極端子の端部が外装体の開口部から露出した状態で、外装体の開口部を熱溶着により密閉し、二次電池とした。
作製した二次電池の充放電特性は、以下のような条件で評価した。
充放電電圧範囲:上限4.0V、下限2.2V(水系電解液)
充放電電流値 :1mA/cm(定電流充放電)
測定温度 :30℃
電池特性として、初期放電容量、および放電−充電1回を1サイクルとした100サイクルの充放電試験後の放電容量維持率を示す。
Figure 2015002069
表1より、試料No.3〜7、9〜12、15〜21は、いずれも初期放電容量が100mAh/g以上、100サイクル後の放電容量は初期値の90%以上と容量および充放
電サイクル特性に優れたものであった。試料No.15、16、18、19はLiやPOの含有量が化学量論組成からはずれているが、十分な初期放電容量およびサイクル試験後の容量維持率が得られた。一方、Tiの置換量が少ない試料No.1、2および14では100サイクル後の放電容量が初期値の80%よりも小さくなり、置換量の多い試料No.8は初期放電容量が90mAh/g以下に低下した。Feを置換元素として用いた試料No.13では、初期放電容量が低下し、サイクル特性も不十分であった。また、負極の活物質に炭素層を形成させることにより、初期放電容量とサイクル特性とがともに改善された。
1・・・・正極
2・・・・電解質層
3・・・・負極
4・・・・発電要素
5P・・・正極側集電層
5N・・・負極側集電層
6P・・・正極端子
6N・・・負極端子
7・・・・ラミネートフィルム

Claims (6)

  1. 正極と、負極と、水系の電解液とを備え、
    前記負極が、負極活物質として、NASICON型の結晶構造を有するとともに、Li、TiおよびM(Mは、5価の元素群から選ばれる少なくとも1種である)を含むリン酸塩を含み、
    前記Tiと前記Mとの合量に対する前記Mの原子比率(M/(Ti+M))が、0.01以上0.25以下であることを特徴とする二次電池。
  2. 前記リン酸塩を、組成式Lix−2yTi2(1−y)2y(POで表したとき、x、yおよびzが以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
    0.80≦x≦1.20
    0.01≦y≦0.25
    2.50≦z≦3.50
  3. 前記5価の元素群が、Nb、TaおよびSbからなる元素群であることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記Mが、NbおよびTaのうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
  5. 前記負極活物質が、前記M単独の酸化物を実質的に含まないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二次電池。
  6. 前記負極活物質の粒子の表面の少なくとも一部に、炭素を含む被覆層を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の二次電池。
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