JP2019053931A - 水系リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池としてのサイクル安定性を確保できる水系リチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】水系リチウムイオン二次電池であって、水及び電解質を含む水系電解液と、負極活物質を含む負極活物質層と、負極集電体とを有し、前記負極活物質と前記水系電解液とを用いたサイクリックボルタンメトリー測定により観測される還元ピーク電流値から算出される前記負極活物質の充電電位が、前記水系電解液のカーボンでの還元分解電位よりも貴な電位であり、且つ、前記水系電解液の前記負極集電体での還元分解電位よりも卑な電位であり、前記負極活物質は、チタン酸化物を含有し、前記負極活物質は、表面にカーボンコート層を有することを特徴とする、水系リチウムイオン二次電池。【選択図】図3

Description

本開示は水系リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン電池用の水系電解液については、従来から、電気化学的に安定な電位領域(電位窓)の範囲に限界があることが知られている。
水系電解液が有する上記の課題を解決する手段の一つとして、非特許文献1には、特定の2種類のリチウム塩と水とを所定の割合で混合してなるハイドレートメルトと呼ばれる高濃度水系電解液が開示されている。非特許文献1においては、このような高濃度水系電解液を用いることで、従来の水系リチウムイオン電池では負極活物質として使用が困難であったLiTi12(以下「LTO」という場合がある。)を負極活物質として使用して、水系リチウムイオン二次電池の充放電を確認している。
特許文献1ではNASICON型の結晶構造を有する負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、炭素を含む被覆層を有する水系二次電池が開示されている。
特開2015−002069号公報
Yuki Yamada et al., "Hydrate−melt electrolytes for high−energy−density aqueous batteries", NATURE ENERGY (26 AUGUST 2016)
特許文献1に記載のNASICON型負極活物質の場合、充電電位は、2.5V(vs. Li/Li)程度であり、電解液の電位窓に収まる。一方、一般的な水系電解液の電気分解は、通常、LTOの充電電位よりも貴な電位で進行する。また、非特許文献1に開示された高濃度水系電解液についても、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)の添加によって水系電解液の電位窓が拡大するが、LTOの充電電位よりも貴な電位で水系電解液の電気分解が進行する場合がある。
これは、集電体と水系電解液の反応電位より卑な充電電位を有するLTO等の負極活物質を用いると、負極活物質の充電電位が水系電解液の電位窓に収まっていないため、水系電解液が負極活物質の充電電位よりも貴な電位で電気化学的に還元分解する。その結果、電解液の還元分解反応に電流が消費され、負極活物質の充電反応が進行しないためであると考えられる。
また、非特許文献1においては、水系電解液として高濃度水系電解液を用い、負極集電体としてAlを用いることによって、水系電解液の還元側電位窓を拡大させ、負極活物質としてLTOを備える水系リチウムイオン二次電池の充放電を可能としている。なお、還元側の電位窓拡大は、ビス(トリフルオロスルホニル)イミドアニオンの還元分解に由来する負極活物質表面での固体電解質界面(Solid Electrolyte Interface;以下、SEIと称する場合がある。)の形成によるものと考えられる。
しかし、水系リチウムイオン二次電池において、集電体と水系電解液の反応電位より卑な充電電位を有するLTO等の負極活物質を用いた場合、負極活物質表面に形成されたSEIの耐性が不十分なために二次電池としてのサイクル安定性が悪いという問題がある。
本開示は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本開示の目的は、二次電池としてのサイクル安定性を確保できる水系リチウムイオン二次電池を提供することである。
本開示の水系リチウムイオン二次電池は、水及び電解質を含む水系電解液と、負極活物質を含む負極活物質層と、負極集電体とを有し、
前記負極活物質と前記水系電解液とを用いたサイクリックボルタンメトリー測定により観測される還元ピーク電流値から算出される前記負極活物質の充電電位が、前記水系電解液のカーボンでの還元分解電位よりも貴な電位であり、且つ、前記水系電解液の前記負極集電体での還元分解電位よりも卑な電位であり、
前記負極活物質は、チタン酸化物を含有し、
前記負極活物質は、表面にカーボンコート層を有することを特徴とする。
本開示の水系リチウムイオン二次電池において、前記水系電解液のpHが3以上11以下であってもよい。
本開示の水系リチウムイオン二次電池において、前記電解質が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであってもよい。
本開示の水系リチウムイオン二次電池において、前記負極集電体は、Al、Zn、Sn、Ni、SUS、及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一種の材料であってもよい。
本開示の水系リチウムイオン二次電池において、前記チタン酸化物は、LiTi12及びTiOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であってもよい。
本開示によれば、二次電池としてのサイクル安定性を確保できる水系リチウムイオン二次電池を提供することができる。
本開示の水系リチウムイオン二次電池の一例を示す断面模式図である。 カーボン板を作用極とした評価セル(参考例1)、及び、SUS316L箔を作用極とした評価セル(参考例2)のリニアスイープボルタモグラムを重ねて示したグラフである。 カーボンコートLTO電極を作用極として用いた評価セル(実施例1)、及び、LTO電極を作用極として用いた評価セル(比較例1)の1サイクル目から100サイクル目までのCVサイクル数に対する酸化電気量(≒放電容量)(mC)の関係を重ねて示したグラフである。 カーボンコートLTO電極を作用極として用いた評価セル(実施例1)の1サイクル目から100サイクル目までのサイクリックボルタモグラムである。 LTO(カーボンコート未処理LTO)電極を作用極として用いた評価セル(比較例1)の1サイクル目から100サイクル目までのサイクリックボルタモグラムである。
本開示の水系リチウムイオン二次電池は、水及び電解質を含む水系電解液と、負極活物質を含む負極活物質層と、負極集電体とを有し、
前記負極活物質と前記水系電解液とを用いたサイクリックボルタンメトリー測定により観測される還元ピーク電流値から算出される前記負極活物質の充電電位が、前記水系電解液のカーボンでの還元分解電位よりも貴な電位であり、且つ、前記水系電解液の前記負極集電体での還元分解電位よりも卑な電位であり、
前記負極活物質は、チタン酸化物を含有し、
前記負極活物質は、表面にカーボンコート層を有することを特徴とする。
図1は、本開示の水系リチウムイオン二次電池の一例を示す断面模式図である。本開示の一実施形態である水系リチウムイオン二次電池100は、正極活物質層12及び正極集電体14を含む正極16と、負極活物質層13及び負極集電体15を含む負極17と、正極16と負極17の間に配置される水系電解液11を備える。
図1に示すように、水系電解液11の一方の面に負極17が存在し、水系電解液11の他方の面に正極16が存在する。正極16、及び、負極17は、水系リチウムイオン二次電池において水系電解液11に接触させて使用される。なお、本開示の水系リチウムイオン二次電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
電解液系のリチウムイオン二次電池においては、負極活物質層の内部、正極活物質層の内部、及び、負極活物質層と正極活物質層との間に電解液が存在しており、これにより、負極活物質層と正極活物質層との間のリチウムイオン伝導性が確保される。
本開示の水系リチウムイオン二次電池においては、負極活物質層と正極活物質層との間にセパレータが設けられていてもよく、当該セパレータと負極活物質層と正極活物質層とは、ともに水系電解液に浸漬されていてもよい。
また、本開示の水系リチウムイオン二次電池においては、負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含み、当該負極活物質の表面はカーボンコート層を有している。
水系電解液は、負極活物質層及び正極活物質層の内部に浸透していてもよく、負極集電体及び正極集電体と接触していてもよい。
(1)負極
負極は、負極活物質層と、当該負極活物質層の集電を行う負極集電体を備える。
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有し、必要に応じ、導電助剤、及び、バインダーを含有する。
負極活物質としては、前記負極活物質と前記水系電解液とを用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定により観測される還元ピーク電流値から算出される前記負極活物質の充電電位が、前記水系電解液のカーボンでの還元分解電位よりも貴な電位であり、且つ、前記水系電解液の前記負極集電体での還元分解電位よりも卑な電位であるものであればよい。
本開示において、水系電解液のカーボンでの還元分解電位とは、水系電解液がカーボンに接触することにより還元分解する電位であり、約1.3V(vs. Li/Li)である。
また、本開示において、水系電解液の負極集電体での還元分解電位とは、水系電解液が負極集電体に接触することにより還元分解する電位であり、負極集電体の材質によって変化するものであるが、例えば、Al(約1.74Vvs. Li/Li)、Zn(約1.92Vvs. Li/Li)、Sn(約1.99Vvs. Li/Li)、Ni(約2.36Vvs. Li/Li)、SUS(約2.10Vvs. Li/Li)、Cu(約2.24Vvs. Li/Li)である。
水系電解液の負極集電体での還元分解電位の算出方法は、例えば、水系電解液を用いて負極集電体についてCV測定を実施する。そして、CV測定で得られる1サイクル目のサイクリックボルタモグラムにおいて、卑電位方向に掃引した時に観測される還元側の電解電流(ファラデー電流)が流れる直前の変曲点の電位を水系電解液の負極集電体での還元分解電位として算出してもよい。なお、還元分解電位は、測定誤差を小さくする観点から、CV測定に用いる水系電解液の溶媒の種類(例えば水)、電解質の種類(例えばLiTFSI)、当該電解質の濃度(例えば21mol/kg)、CV測定時の掃引速度(例えば1mV/s)等の条件を統一して算出してもよい。また、CV測定時の掃引速度は、特に限定されないが、上限値は10mV/s以下であってもよく、測定誤差を小さくする観点から、1mV/s以下であってもよく、下限値は、0.1mV/s以上であってもよい。
したがって、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定により観測される還元ピーク電流値から算出される前記負極活物質の充電電位が、前記水系電解液のカーボンでの還元分解電位よりも貴な電位であり、且つ、前記水系電解液の前記負極集電体での還元分解電位よりも卑な電位であるとは、負極活物質が、下限値が1.3V(vs. Li/Li)を超え、上限値は負極集電体の材料によって変動するが、例えばAlの場合は1.74Vvs. Li/Li未満の範囲に充電電位を有することを意味する。
また、本開示に用いる負極活物質は、チタン酸化物を含有する。
チタン酸化物としては、例えば、LiTi12(LTO)、TiO等が挙げられる。
なお、LTOの上記CV測定により観測される還元ピーク電流値から算出される充電電位は約1.5〜1.65V(vs. Li/Li)である。
また、TiOの上記CV測定により観測される還元ピーク電流値から算出される充電電位は約1.6V(vs. Li/Li)である。
負極活物質の充電電位は、例えば、水系電解液を用いて負極活物質について掃引速度1mV/sでCV測定を実施し、CV測定で得られる1サイクル目のサイクリックボルタモグラムの還元ピーク電流値から算出することができる。
具体的には、上記サイクリックボルタモグラムにおいて、卑電位方向に掃引速度1mV/sで掃引した時に観測される還元側の電解電流(ファラデー電流)が流れる直前の変曲点の電位(還元ピークとして立ち上がる直前の電位)を負極活物質の充電電位(還元側電位)としてもよい。なお、負極活物質の充電電位は、測定誤差を小さくする観点から、CV測定に用いる水系電解液の溶媒の種類(例えば水)、電解質の種類(例えばLiTFSI)、当該電解質の濃度(例えば21mol/kg)、CV測定時の掃引速度(例えば1mV/s)等の条件を統一して算出してもよい。また、CV測定時の掃引速度は、上記還元分解電位の算出方法に記載の速度と同様とすることができる。さらに、負極活物質の充電電位の算出に用いる水系電解液と、本開示の水系リチウムイオン二次電池に用いる水系電解液とは、含まれる溶媒の種類、電解質の種類、及び、その他の成分の種類が同じであっても異なっていてもよく、同じであってもよい。また、上記電解質の濃度、上記その他の成分の濃度、及び、上記水系電解液のpHは、同じであっても異なっていてもよいが、同じであってもよい。
一方、本開示において、負極活物質の放電電位とは、負極活物質と水系電解液とを用いたCV測定により観測される酸化ピーク電流値から算出される電位である。
負極活物質の放電電位は、例えば、水系電解液を用いて負極活物質について掃引速度1mV/sでCV測定を実施し、CV測定で得られる1サイクル目のサイクリックボルタモグラムの酸化ピーク電流値から算出することができる。
具体的には、上記サイクリックボルタモグラムにおいて、貴電位方向に掃引速度1mV/sで掃引した時に観測される酸化側の電解電流(ファラデー電流)が流れる直前の変曲点の電位(酸化ピークとして立ち上がる直前の電位)を負極活物質の放電電位(酸化側電位)としてもよい。
さらに、本開示において充放電電位とは、上記充電電位と放電電位の平均値である。
CV測定には、ポテンショスタット、ポテンショ・ガルバノスタット等を用いることができる。
本開示に用いる負極活物質は、表面にカーボンコート層を有する。
負極活物質の表面にカーボンコート層を設けずに、そのまま電池に用いると、負極活物質の充電電位が、水系電解液の電位窓から外れる場合は、負極活物質の充電電位よりも貴な電位で水系電解液の還元分解が進行し、充放電ができない。
一方、負極活物質の表面に負極活物質の充電電位よりも貴な電位で水系電解液と反応しないカーボンコート層を設けることにより、負極活物質表面での水系電解液の還元分解を抑制することができ、その結果、電池のサイクル特性を向上させることができる。
カーボンコートに用いるカーボン材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。
カーボンコートの方法は、特に限定されないが、例えば、導電性の微粒カーボンをグラビア印刷などの印刷によりコーティングしてもよい。また、化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)などの蒸着によりコーティングしたものとしてもよいし、スパッタによりコーティングしたものとしてもよい。
カーボンコート層の厚みは、5μm以下であってもよく、1μm程度のものとしてもよい。
カーボンコート層は、負極活物質と水系電解液との接触による負極活物質表面での水系電解液の還元分解を抑制できれば、負極活物質の表面の少なくとも一部を覆っていてもよく、負極活物質への水系電解液の浸み込みを抑制する観点から、負極活物質表面の全体を覆っていてもよい。また、カーボンコート層は、負極活物質の表面の少なくとも一部を覆っていれば、負極活物質層表面の全体を被覆していてもよい。カーボンコート層が負極活物質層表面の全体を被覆している場合は、当該負極活物質層は、負極活物質以外に導電助剤やバインダーが含まれていてもよく、負極活物質のみで構成されていてもよい。
また、本開示の水系リチウムイオン二次電池が、電池ケース内に水系電解液が充填され、負極活物質層表面全体が当該水系電解液と接触する形態の場合は、負極活物質層は、当該表面全体にカーボンコート層を有していてもよい。
一方、本開示の水系リチウムイオン二次電池が、セパレータに水系電解液が含浸され、当該セパレータと負極活物質層とが接触する形態の場合は、カーボンコート層は、負極活物質層表面であって、当該負極活物質層が当該セパレータと接触する面に少なくとも形成されていてもよく、負極活物質層の表面全体を被覆していてもよい。
カーボンコートされたか否かはCVやエネルギー分散型X線分析(EDX)で確認することができる。
負極活物質の形状は特に限定されるものではない。例えば、表面積を大きくして反応性を高める観点、及び、表面をカーボンコートし易くする観点から、粒子状であってもよい。負極活物質を粒子状とする場合、その一次粒子径が1nm以上100μm以下であってもよい。下限が10nm以上であってもよく、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよく、上限が30μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。なお、負極活物質は1次粒子同士が集合して2次粒子を形成していてもよい。この場合、2次粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、通常0.5μm以上100μm以下である。下限が1μm以上であってもよく、上限が20μm以下であってもよい。負極活物質の粒子径がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる負極活物質層を得ることができる。
本開示における粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、適切な倍率(例えば、5万〜100万倍)の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;以下、TEMと称する。)画像又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;以下、SEMと称する。)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察又はSEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
負極活物質層に含まれる負極活物質の量は特に限定されるものではない。例えば、負極活物質層全体を基準(100質量%)として、負極活物質が10質量%以上であってもよく、特に20質量%以上であってもよく、さらに40質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、100質量%以下であってもよく、特に95質量%以下であってもよく、さらに90質量%以下であってもよい。負極活物質の含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる負極活物質層を得ることができる。
導電助剤は、水系リチウムイオン二次電池において使用される導電助剤をいずれも採用可能である。具体的には、ケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック(AB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)から選ばれる炭素材料を含む導電助剤であってもよい。
また、電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を用いてもよい。
導電助剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
導電助剤の形状は、粉末状、繊維状等、種々の形状を採用できる。
負極活物質層に含まれる導電助剤の量は特に限定されるものではない。例えば、負極活物質層全体を基準(100質量%)として、導電助剤が1質量%以上であってもよく、特に3質量%以上であってもよく、さらに10質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、90質量%以下であってもよく、特に70質量%以下であってもよく、さらに60質量%以下であってもよい。導電助剤の含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる負極活物質層を得ることができる。
バインダーは、水系リチウムイオン二次電池において使用されるバインダーをいずれも採用可能である。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。
バインダーは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
負極活物質層に含まれるバインダーの量は特に限定されるものではない。例えば、負極活物質層全体を基準(100質量%)として、バインダーが1質量%以上であってもよく、特に3質量%以上であってもよく、さらに5質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、90質量%以下であってもよく、特に70質量%以下であってもよく、さらに50質量%以下であってもよい。バインダーの含有量がこのような範囲であれば、負極活物質等を適切に結着することができるとともに、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる負極活物質層を得ることができる。
負極活物質層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1mm以下、特に1μm以上100μm以下であってもよい。
本開示の水系リチウムイオン二次電池において、負極集電体の材料としては、Al、Zn、Sn、Ni、SUS、及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属材料であってもよい。なお、負極集電体の表面が上記材料で構成されていれば、内部が表面と異なる材料で構成されていてもよい。
負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、発泡体等とすることができる。
(2)正極
正極は、少なくとも正極活物質層を有し、必要に応じ、さらに正極集電体を備える。
正極活物質層は少なくとも正極活物質を含有し、必要に応じ、導電助剤、及び、バインダーを含有する。
正極活物質としては、従来公知の材料を用いることができる。正極活物質は負極活物質よりも高い電位を有するものであり、後述の水系電解液の電位窓を考慮して適宜選択される。例えば、Li元素を含むものであってもよい。具体的には、Li元素を含む酸化物やポリアニオンであってもよい。より具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO);ニッケル酸リチウム(LiNiO);マンガン酸リチウム(LiMn);LiNi1/3Mn1/3Co1/3;Li1+xMn2−x−y(MはAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる一種以上)で表される異種元素置換Li−Mnスピネル;上記負極活物質と比較して充放電電位が貴な電位を示すチタン酸リチウム(LiTiO);リン酸金属リチウム(LiMPO、MはFe、Mn、Co、Niから選ばれる1種以上);等が挙げられ、LiMn(LMO)であってもよい。正極活物質は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質の形状は特に限定されず、粒子状、板状等が挙げられる。正極活物質を粒子状とする場合、その一次粒子径が1nm以上100μm以下であってもよい。下限が5nm以上であってもよく、特に10nm以上であってもよく、さらに50nm以上であってもよく、上限が30μm以下であってもよく、特に10μm以下であってもよい。
なお、正極活物質は1次粒子同士が集合して2次粒子を形成していてもよい。この場合、2次粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、通常0.5μm以上50μm以下である。下限が1μm以上であってもよく、上限が20μm以下であってもよい。正極活物質の粒子径がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる正極活物質層を得ることができる。
正極活物質層に含まれる正極活物質の量は特に限定されるものではない。例えば、正極活物質層全体を基準(100質量%)として、正極活物質が10質量%以上であってもよく、特に20質量%以上であってもよく、さらに40質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、99質量%以下であってもよく、特に97質量%以下であってもよく、さらに95質量%以下であってもよい。正極活物質の含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる正極活物質層を得ることができる。
正極活物質層に含まれる導電助剤、バインダーの種類は特に限定されるものではなく、例えば、上記負極活物質層に含まれる導電助剤、バインダーとして例示したものから適宜選択して用いることができる。
正極活物質層に含まれる導電助剤の量は特に限定されるものではない。例えば、正極活物質層全体を基準(100質量%)として、導電助剤が0.1質量%以上であってもよく、特に0.5質量%以上であってもよく、さらに1質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、50質量%以下であってもよく、特に30質量%以下であってもよく、さらに10質量%以下であってもよい。
また、正極活物質層に含まれるバインダーの量は特に限定されるものではない。例えば、正極活物質層全体を基準(100質量%)として、バインダーが0.1質量%以上であってもよく、特に0.5質量%以上であってもよく、さらに1質量%以上であってもよい。上限は特に限定されるものではないが、50質量%以下であってもよく、特に30質量%以下であってもよく、さらに10質量%以下であってもよい。導電助剤やバインダーの含有量がこのような範囲であれば、イオン伝導性及び電子伝導性に優れる正極活物質層を得ることができる。
正極活物質層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1mm以下、特に1μm以上100μm以下であってもよい。
正極集電体は、正極活物質層の集電を行う機能を有するものである。正極集電体の材料としては、例えば、Ni、Al、Au、Pt、Fe、Ti、Co、Crからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。なお、正極集電体の表面が上記材料で構成されていれば、内部が表面と異なる材料で構成されていてもよい。
また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状等、種々の形状とすることができる。
正極は、さらに、正極集電体に接続された正極リードを備えていてもよい。
(3)水系電解液
水系電解液の溶媒は主成分として水を含んでいる。すなわち、電解液を構成する溶媒(液体成分)の全量を基準(100mol%)として、50mol%以上、特に70mol%以上、さらに90mol%以上を水が占めていてもよい。一方、溶媒に占める水の割合の上限は特に限定されない。
溶媒は水を主成分として含むものであるが、水以外の溶媒を含んでいてもよい。水以外の溶媒としては、例えば、エーテル類、カーボネート類、ニトリル類、アルコール類、ケトン類、アミン類、アミド類、硫黄化合物類及び炭化水素類から選ばれる1種以上が挙げられる。水以外の溶媒は、電解液を構成する溶媒(液体成分)の全量を基準(100mol%)として、50mol%以下であってもよく、特に30mol%以下であってもよく、さらに10mol%以下であってもよい。
本開示に使用される水系電解液は電解質を含む。水系電解液用の電解質は従来公知のものを用いることができる。電解質としては、例えば、イミド酸化合物のリチウム塩、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等が挙げられる。具体的な電解質としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI;CAS No.171611−11−3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI;CAS No.90076−65−6)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI;CAS No.132843−44−8)、リチウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド(CAS No.119229−99−1)、リチウムノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルアミド(CAS No.176719−70−3)、リチウムN,N−ヘキサフルオロ−1,3−ジスルホニルイミド(CAS No.189217−62−7)、CHCOOLi、LiPF、LiBF、LiSO、LiNO等が挙げられ、LiTFSIであってもよい。
水系電解液における電解質の濃度は、溶媒に対する電解質の飽和濃度を超えない範囲において、求める電池の特性に応じて、適宜設定することができる。水系電解液中に固体の電解質が残る場合には、その固体が電池反応を阻害するおそれがあるためである。
通常、水系電解液中の電解質の濃度が高くなるほど、電位窓は広くなるが、溶液の粘度が高くなるためLiイオン伝導度が低下する傾向がある。そのため、一般的には、Liイオン伝導度と電位窓の拡大効果を考慮して、求める電池の特性に合わせて濃度を設定する。
例えば、電解質としてLiTFSIを用いる場合、水系電解液は、上記水1kgあたりLiTFSIを1mol以上含んでいてもよく、特に5mol以上であってもよく、さらに7.5mol以上であってもよい。上限は特に限定されるものではなく、例えば、25mol以下であってもよい。水系電解液においては、LiTFSIの濃度が高まるほど、水系電解液の還元側電位窓が拡大する傾向にある。
なお、本開示に用いる水系電解液の電位窓は、使用する電解質の材質、電解質の濃度、集電体の材料等によって変動するが、例えば、電解質として、LiTFSIを用いた場合、約1.93〜4.94V(vs. Li/Li)である。
水系電解液は上記の溶媒や電解質に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、カチオンとしてリチウム以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属等をその他の成分として添加することが可能であり、具体的には電解液の分解を抑制する観点からピロリン酸二水素ナトリウム(Na、CAS No.7758−16−9)等を含有していてもよい。水系電解液中のピロリン酸二水素ナトリウムの濃度に特に制限はないが、飽和状態であってもよい。
また、水系電解液は、水系電解液のpHを調整するために水酸化リチウム等が含まれていてもよい。
水系電解液のpHは特に限定されるものではない。水系電解液の還元側電位窓を水の熱力学的な安定領域とされる1.83V vs. Li/Li以下とし、水系電解液中の水の還元分解を抑制する観点からpHは3以上であってもよく、特に6以上であってもよい。
pHの上限は特に限定されないが、酸化側電位窓を高く保つ観点から、pHが11以下であってもよく、特に8以下であってもよい。
(4)その他の部材
本開示の水系リチウムイオン二次電池においては、負極活物質層と正極活物質層との間にセパレータが配置されていてもよい。セパレータは、正極と負極との接触を防止し、水系電解液を保持して電解質層を形成する機能を有する。
セパレータは、水系電解液電池(例えば、NiMH、Zu−Air等)で通常用いられるセパレータであればよく、例えばセルロース系の不織布、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、及びポリアミド等の樹脂等が挙げられる。
セパレータの厚みは特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上1mm以下のものを用いることができる。
本開示の水系リチウムイオン二次電池は、必要に応じ、正極、負極、水系電解液を収容する外装体(電池ケース)を備える。
外装体の形状としては、特に限定されないが、ラミネート型等を挙げることができる。
外装体の材質は、電解質に安定なものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び、アクリル樹脂等の樹脂が挙げられる。
本開示の水系リチウムイオン二次電池は、公知の方法を応用することで製造することができる。例えば以下のようにして製造することができる。ただし、本開示の水系リチウムイオン二次電池の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
(1)負極活物質の表面をカーボンコートする。そして、負極活物質層を構成する、表面にカーボンコート層を有する負極活物質等を溶媒に分散させて負極活物質層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて負極活物質層用スラリーを負極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、負極集電体の表面に負極活物質層を形成し、負極とする。
(2)正極活物質層を構成する正極活物質等を溶媒に分散させて正極活物質層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて正極活物質層用スラリーを正極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体の表面に正極活物質層を形成し、正極とする。
(3)負極と正極とでセパレータを挟み込み、負極集電体、負極活物質層、セパレータ、正極活物質層及び正極集電体をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。
(4)積層体を電池ケースに収容するとともに電池ケース内に水系電解液を充填し、積層体を水系電解液に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体及び水系電解液を密封することで、水系リチウムイオン二次電池とする。
[カーボンコート負極活物質の調製]
LTOとスクロースを、LTO:スクロース=2:1(質量比)になるように添加して乳鉢で混合した。その後、Ar雰囲気の管状炉に移し、600℃で2時間焼成し、LTO表面にカーボンコートを施し、カーボンコートLTOを得た。
(参考例1〜2)
1.電位窓評価
1.1.水系電解液の調製
LiTFSIを水1kgあたり21mol含まれるように調製し、水系電解液を得た。
その後、恒温槽にて30℃で一晩放置した。その後、水系電解液に1質量%となるようにNaを加え、再度恒温槽にて30℃で一晩放置した。その後、評価の3時間以上前から、25℃の恒温槽を用いて温度を安定させた。
1.2.評価セルの作製
作用極に参考例1はカーボン板(ニラコ社製)、参考例2はSUS316L箔(ニラコ社製)を用い、参考例1及び参考例2は、共に対極にAuを蒸着したSUS板(コイン電池のスペーサー)を用い、開口径φ10mmの対向セルに組み付けた(極板間距離約9mm)。
参照極にAg/AgCl(インターケミ社製)を用い、セルに各種電解液を約2cc注液することで評価セルを作製した。
1.3.評価条件
評価に用いた装置及び条件は以下の通りである。
(装置)
・ 電気化学測定装置:マルチチャンネル ポテンショスタット/ガルバノスタット(Bio Logic社製、型番:VMP3)
・ 恒温槽:LU−124(Espec社製)
・ 条件:リニアスイープボルタンメトリー(LSV)、1mV/s
[LSV測定]
還元側は開回路電位(OCP、約3.2V vs. Li/Li)から卑電位側(カソード側)に掃引を開始し、−1.7V vs. Ag/AgCl(約1.5V vs. Li/Li)を目安に還元側の電解電流(ファラデー電流)が連続的に流れる電位以降で掃引を停止させた。
参考例1のカーボン板を作用極とした評価セル、及び、参考例2のSUS316L箔を作用極とした評価セルのリニアスイープボルタモグラムを重ねて示したグラフを図2に示す。
1.4.評価結果
図2に示すように、参考例1のカーボン板を作用極とした評価セルの場合は、1.3Vvs. Li/Li付近で還元電流(水の分解電流)が観測されることがわかる。
一方、参考例2のSUS箔を作用極とした評価セルの場合は、2.0Vvs. Li/Li付近で還元電流(水の分解電流)が観測されることがわかる。
したがって、図2に示すように、カーボンはSUSと比べて非常に卑な電位まで水が安定に存在できることがわかる。
(実施例1、比較例1)
2.充放電評価
2.1.水系電解液の調製
LiTFSIを水1kgあたり18mol含まれるように調製したこと以外は、上記1.1.と同様に水系電解液を調製した。
2.2.電極の塗工
負極活物質としては作用極(負極)に実施例1は上記[カーボンコート負極活物質の調製]で準備したカーボンコートしたLiTi12(LTO)を、比較例1はLTOを用いた。正極活物質としては、対極(正極)に実施例1及び比較例1は共にLiMn(LMO)を用いた。
導電助剤にはアセチレンブラック(HS−100, 日立化成社製)、バインダーにはPVdF(#9305, クレハ社製)を用いた。
集電体としては正負極共にSUS316L箔(ニラコ社製)を用いた。
まず、活物質と導電助剤とを乳鉢で混合した後、PVdFを添加した。活物質と導電助剤とPVdFとの質量比は、活物質:導電助剤:PVdF=85:10:5とした。粘性を確認しながらNMPを添加し、乳鉢混合を続けて均一になった後で、軟膏容器に移し、自転・公転方式ミキサー(製品名:泡とり練太郎 Shinky社製)にて3000rpmで10分間混合した。このようにして得られたスラリーを金属箔上に載せ、ドクターブレードによって塗工した。その後、60℃の乾燥機にて一晩静置して溶媒を乾燥させて電極とした。得られた各電極をφ16mmで打ち抜き、空隙率が40%になるようにロールプレスにかけた。容量はLTOが0.3mAh/cm、LMOが0.6mAh/cmとなるようにした。
2.3.LTO評価セルの作製
作用極(負極)として実施例1はカーボンコートLTO電極を、比較例1はLTO電極を用い、実施例1及び比較例1は共に対極(正極)としてLMO電極を用い、開口径φ10mmの対向セルに組み付けた(極板間距離約9mm)。参照極にAg/AgCl(インターケミ社製)を用い、セルに上記で調製した水系電解液を約2cc注液することで実施例1、及び、比較例1の評価セルを作製した。
2.4.評価条件
評価に用いた装置及び条件は以下の通りである。
(装置)
・ 電気化学測定装置:マルチチャンネル ポテンショスタット/ガルバノスタット(Bio Logic社製、型番:VMP3)
・ 恒温槽:LU−124(Espec社製)
(条件)
・ 前処理としてLSVにて−1.0V vs. Ag/AgCl(約2.2V vs. Li/Li)まで1mV/sで掃引した後、その電位にて1hr電位をホールドした。
その後、CVにて掃引速度10mV/sでOCPから卑電位側に掃引し、−1.6V vs. Ag/AgCl(約1.6V vs. Li/Li)にて掃引反転した。そして、同じ掃引速度で0V vs. Ag/AgCl(約3.2V(vs. Li/Li)まで掃引した。このCVサイクルを1サイクルとして、当該CVサイクルを100サイクル実施した。
また、図3にカーボンコートLTO電極を作用極として用いた評価セル(実施例1)、及び、LTO(カーボンコート未処理LTO)電極を作用極として用いた評価セル(比較例1)の1サイクル目から100サイクル目までのCVサイクル数に対する酸化電気量(≒放電容量)(mC)の関係を重ねて示したグラフを示す。
また、図4にカーボンコートLTO電極を作用極として用いた評価セル(実施例1)の1サイクル目から100サイクル目までのサイクリックボルタモグラムを示す。
さらに、図5にLTO(カーボンコート未処理LTO)電極を作用極として用いた評価セル(比較例1)の1サイクル目から100サイクル目までのサイクリックボルタモグラムを示す。
なお、図4〜5から、評価セルのサイクル安定性を評価することができる。
2.5.評価結果
図3に示すように、比較例1のカーボンコート未処理のLTO電極を作用極として用いた評価セルでは充放電サイクルが10サイクルを超えると電池の容量維持率が50%を下回ってしまうことがわかる。
一方、実施例1のカーボンコートLTO電極を作用極として用いた評価セルでは、充放電サイクルが100サイクル後であっても、電池の容量維持率を80%以上に保つことができていることがわかる。これはカーボンコートによって負極活物質表面上で生じる水系電解液の分解を抑制しているためと推定される。また、カーボンコートによって負極活物質表面で形成されたSEIの改質により負極活物質の水系電解液に対する耐電性が向上したためであると推定される。
本開示の水系リチウムイオン二次電池は、サイクル安定性に優れ、車搭載用の大型電源から携帯端末用の小型電源まで広く利用可能である。
11 水系電解液
12 正極活物質層
13 負極活物質層
14 正極集電体
15 負極集電体
16 正極
17 負極
100 水系リチウムイオン二次電池

Claims (5)

  1. 水系リチウムイオン二次電池であって、
    水及び電解質を含む水系電解液と、負極活物質を含む負極活物質層と、負極集電体とを有し、
    前記負極活物質と前記水系電解液とを用いたサイクリックボルタンメトリー測定により観測される還元ピーク電流値から算出される前記負極活物質の充電電位が、前記水系電解液のカーボンでの還元分解電位よりも貴な電位であり、且つ、前記水系電解液の前記負極集電体での還元分解電位よりも卑な電位であり、
    前記負極活物質は、チタン酸化物を含有し、
    前記負極活物質は、表面にカーボンコート層を有することを特徴とする、水系リチウムイオン二次電池。
  2. 前記水系電解液のpHが3以上11以下である、請求項1に記載の水系リチウムイオン二次電池。
  3. 前記電解質が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、請求項1又は2に記載の水系リチウムイオン二次電池。
  4. 前記負極集電体は、Al、Zn、Sn、Ni、SUS、及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一種の材料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系リチウムイオン二次電池。
  5. 前記チタン酸化物は、LiTi12及びTiOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系リチウムイオン二次電池。
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