JP6039269B2 - ナトリウムイオン二次電池用正極活物質およびそれを用いたナトリウムイオン二次電池 - Google Patents

ナトリウムイオン二次電池用正極活物質およびそれを用いたナトリウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池の活物質およびそれを用いた二次電池に関する。
近年、二次電池は、携帯電話やノートPCだけでなく、電気自動車用バッテリーとしてもその用途を広げている。
二次電池は、一般に正極と負極と電解液(質)とから構成されており、正極にはたとえば遷移金属とアルカリ金属の酸化物、負極にはたとえば黒鉛やハードカーボンなどの炭素系材料や合金系材料、酸化物材料が、そして電解液には有機系溶媒が用いられている。このような電池の代表例としてはリチウムイオン電池が挙げられ、エネルギー密度が高いことから今後電気自動車用や家庭用の蓄電池だけでなく、風力や太陽光発電の電圧安定化など大型用途での利用も期待されている。しかしながらリチウムイオン電池の正極材はLiやCo、Niなどのレアメタルが用いられており、地球上に存在する量、いわゆるクラーク数が小さく、今後Liイオン電池の需要が増えればさらに単価の高騰が懸念される。
そこで近年、リチウムイオン電池に替わり、ナトリウムイオンにより充放電を行うナトリウムイオン電池が研究・開発されている。ナトリウムイオン電池の特徴としては、リチウムでは不安定な層状化合物であるマンガン複合酸化物(LiMnO)を、比較的容易に合成できる点にある。たとえば、特許文献1では、ナトリウムおよびマンガンを含む酸化物を正極の活物質として提案している。一方、特許文献2においては、単結晶マンガン酸ナトリウム(Na0.44MnO)のナノワイヤーを、正極の活物質として用いることが提案されている。
特許第4739770号公報 特開2008−226798号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載されているNaMnO2−y(ただし、0<x≦1、−0.1<y<0.1)の構造を有する活物質は充放電による容量劣化が大きいという問題があり、たとえば特許文献2の実施例には、繰り返しの充放電評価(サイクル特性評価)において、試験初期の20サイクルまでに顕著な容量劣化が発生することが開示されている。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたもので、充放電の繰り返しによる放電容量の劣化が小さく、サイクル特性に優れたナトリウムイオン二次電池用正極活物質およびそれを用いたナトリウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明のナトリウムイオン二次電池用正極活物質は、Na、MnおよびCuを含む複合酸化物から構成され、該複合酸化物を組成式Na Mn 1−y Cu 2+z で表したとき、x、yおよびzがそれぞれ0.4≦x≦1.0、0<y≦0.3および0≦z≦0.1の範囲であることを特徴とする。
本発明のナトリウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを有し、前記正極が上記のナトリウムイオン二次電池用正極活物質を含むことを特徴とする。
本発明によれば、充放電の繰り返しによる放電容量の劣化が小さく、サイクル特性に優れたナトリウムイオン二次電池用正極活物質およびそれを用いたナトリウムイオン二次電池を提供できる。
本発明の一実施形態である二次電池の概略断面図である。 二次電池の外観を示す斜視図である。 実施例の試料No.1および3における放電容量維持率のサイクル特性を示す図である。
本発明の一実施形態である二次電池について、図1に基づいて説明する。本実施形態の二次電池は、正極1と負極3との間に電解質層2を有し、これらは発電要素4を構成している。また、正極1および負極3の電解質層2に面する側とは反対側の面には、それぞれ正極側集電層5Pおよび負極側集電層5Nが設けられている。図1に示した発電要素4を、図2に示すような電池ケースに収納することにより二次電池が形成される。電池ケースの形態はラミネートタイプやチューブ型、コイン型など多種多様であるが、いずれの形態であっても良い。図2に示す6Nおよび6Pは、それぞれ外部回路と負極および正極とを電気的に接続する負極端子および正極端子であり、7はラミネートフィルムである。
正極1には、Na、MnおよびCuを含む複合酸化物(以下、単に複合酸化物と言う場合もある)を活物質として用いる。これは、NaとMnの複合酸化物にCuが固溶したものであり、CuがMnと置換して組成式NaMn1−yCu2+zで表される化合物を形成する。CuがNaとMnの複合酸化物に固溶することにより、活物質としての活性は若干低下し、電極の容量は小さくなるが、充放電を繰り返した後の容量低下率が低減し、充放電を繰り返した後の容量を比較すると、Cuを固溶した活物質とCuを固溶していない活物質の電極容量は数サイクル程度で逆転し、Cuを固溶した活物質の容量の方が大きくなる。
このとき、Cuの含有量がMnとCuの合量に対し30原子%以下である、すなわち、組成式NaMn1−yCu2+zで表した場合、yが0<y≦0.3の範囲にあることが重要である。このような範囲とすることにより、NaとMnの複合酸化物に固溶しないCuOなどの結晶相の出現およびMn量の減少による容量低下を抑制することができる。なお、Cuの含有量をMnとCuの合量に対し0.5原子%以上、すなわちyを0.005以上とすることにより、サイクル特性がより向上するため好ましい。
また、xは0.4≦x≦1.0、zは0≦z≦0.1の範囲にあることが好ましい。xをこのような範囲とすることにより、複合酸化物の容量の低下や、Mnおよび炭酸ナトリウム一水和物(NaCO・HO)のような充放電に寄与しない結晶相の出現を抑制することができる。また、zをこのような範囲とし、結晶がより多くの酸素を含有することにより、4価のMnの増加を抑制し、複合酸化物の容量の低下を抑制することができる。このような範囲の組成を有し、二次電池の正極活物質として高い活性を有するNaとMnの複合酸化物としては、たとえば、Na0.5MnO、Na0.7MnO2.05、Na0.7MnO、NaMnO、NaMn18、NaMnなどが挙げられ、これらの複合酸化物がCuを固溶することにより、優れたサイクル特性を兼ね備えた活物質となる。なかでも、NaMnO、Na0.7MnO2.05、Na0.7MnOおよびNaMn18は特に高い活性を有するため、本実施形態においては、これらからなる群のうち少なくとも1種の結晶相を含むことが好ましい。
また、上述のように、CuO、MnおよびNaCO・HOなどの結晶相は充放電に寄与せず、これらの異相が存在することにより容量の低下が懸念されるため、活物質はこれらの結晶相を実質的に含まないことが好ましい。なお、活物質がこれらの結晶相を実質的に含まないとは、活物質のX線回折(XRD)測定において、CuO、MnおよびNaCO・HOなどの異相が確認できないことをいう。
なお、活物質である複合酸化物の組成は、元素分析により確認すればよく、たとえば蛍光X線分析や、波長分散型X線分光分析(WDS)、ICP発光分光分析などを用いればよい。活物質に含まれる結晶相は、活物質のX線回折(XRD)測定により得られた回折パターンを同定することにより確認できる。なお、CuがNaとMnの複合酸化物に固溶していることは、たとえば、元素分析によりCuが含有されていることが確認されるとともに、X線回折によりNaとMnの複合酸化物以外にCuOなどのCuを含む異相が確認できないこと、格子定数がCuの含有量に応じて変化していることなどから確認できる。
なお、本実施形態においては、正極に上記のNa、MnおよびCuを含む複合酸化物以外の正極活物質を含んでいてもかまわない。また、工程上の不可避不純物としてたとえばAl、Zr、Mg、Ti、Feなどを0.5質量%以下の割合で含有していてもよい。
このような活物質の作製法の一例として、固相法による合成について説明する。Na源としては、たとえば炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを用いることができる。Mn源としては、三二酸化マンガン(III)、二酸化マンガン(IV)、炭酸マンガン(II)などを用いることができる。Cu源としては、酸化銅(II)、亜酸化銅(I)などを用いることができる。これらの素原料粉末を所定量配合して、アルコールなどの溶媒中で混合し、溶媒を乾燥した後、600〜1100℃、好ましくは700〜1000℃の温度範囲で熱処理することで、Na、MnおよびCuを含む複合酸化物を得ることができる。なお、活物質の合成に用いる手法は固相法に限るものではなく、それ以外に水熱法、ゾルゲル法など、周知の合成法のいずれを用いてCuが固溶したNaとMnの複合酸化物を合成してもよい。また、市販の、または合成したNaとMnの複合酸化物に、後からCuを固溶させてもかまわない。
得られた複合酸化物は、必要に応じボールミルやビーズミル等の手法により粉砕するなどして粒度調整を行ってもよい。粒度調整を行う場合、複合酸化物の粉末の平均粒径は、それを用いる二次電池の使用条件や電極の作製方法に応じて適正な範囲に調整すればよく、たとえば0.1〜50μmの範囲から目的に応じた適正な範囲を選択して調整すればよい。粉末の平均粒径は、たとえば回折散乱法による粒度分布測定などにより確認できる。
得られた複合酸化物を用いて電極を作製する。たとえば、活物質としてこの複合酸化物を80質量%、導電助剤としてアセチレンブラックを10質量%およびバインダーとしてポリフッ化ビニリデンを10質量%に、さらに溶媒として15質量%のNMP(N−メチルピロリドン)を添加してスラリーを作製する。作製したスラリーを、ドクターブレード法などの周知のシート成形法により、たとえばAl箔上に塗布し溶剤を乾燥することで、Na、MnおよびCuを含む複合酸化物である活物質と導電助剤と結着剤とを含む電極を作製できる。
バインダーは、ポリフッ化ビニリデン以外にも、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂など、用途によって適したものを選んで使用できる。また、導電助剤も、アセチレンブラックの代わりにケッチェンブラックやカーボンナノチューブ、黒鉛、ハードカーボン、金属(アルミニウム、金、白金など)の粉末、無機導電性酸化物(酸化インジウムスズ(ITO)ガラス、酸化スズなど)など、使用電圧範囲において化学的に安定で導電性を示すものであればその材料はいずれでも良い。
また、得られた複合酸化物の粉末を用いて、押し出し成形やロールコンパクション法などの成形法によって圧粉体を作製し、電極を形成してもよい。また、複合酸化物の粉末を焼成し、導電助剤やバインダーを含まない焼結体として用いてもよい。
また、電極中における活物質の粒子の平均粒径は、これを用いる二次電池の電圧範囲や温度などの使用条件に応じて、たとえば0.1〜50μmの範囲から適正な範囲を選んで調整すればよい。たとえば高出力が必要な二次電池用途に用いる場合、活物質の粒子の平均粒径は0.5〜1.0μmの比較的微小な範囲とすることが好ましい。
なお、電極中における活物質の粒子の平均粒径の制御は、シート成形や圧粉体により電極を形成する場合には複合酸化物の粉末の粒度調整により行うことができ、焼結体を用いて電極を形成する場合には、複合酸化物の粉末の粒度調整および焼成温度の調整により行うことができる。電極中における活物質の粒子の平均粒径は、たとえば電極の断面において、走査型電子顕微鏡(SEM)と波長分散型X線分析(WDS)により活物質の粒子を判別し、撮影した写真を画像解析して算出するなどして求めることができる。
負極3に用いる活物質の種類は、電解質に水系のものを用いるか非水系のものを用いるかにより異なる。水系の電解質の場合には、活性炭やNaTi(POなどを用いることができ、非水系の電解質の場合には、水系の電解質で使用可能な活物質以外に、S−Sbコンポジットガラスなどのガラス材料や、ハードカーボン、ナトリウム金属、NaTiなどの酸化物材料を用いることができる。
電解質層2としては、水系電解液や、有機電解液やイオン液体等の非水系電解液をセパレータに含浸させたものや、高分子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等のいずれも用いることができる。
水系電解液や非水系電解液を含浸させるセパレータには、イオンを通し、かつ正負極のショートを防止することが求められる。具体的には、ポリオレフィン繊維の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜、ガラスフィルター、セラミックの多孔質材料などを用いることができる。ここで、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができ、一般的にリチウムイオン電池などの二次電池に用いられるセパレータが適用可能である。
水系電解液としては、たとえば1〜3mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液を用いること
ができる。このような水系電解液は、pHの調整により水の電気分解電位を変化させることができるため、二次電池の充電電位を変えることも可能である。
有機電解液は、有機溶媒と電解質塩によって構成され、必要に応じて電極表面への被膜形成、過充電防止、難燃性の付与等を目的とした添加剤を加えてもよい。有機溶媒としては、高誘電率を有し、低粘性、低蒸気圧のものが好適に用いられ、このような材料としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートから選ばれる1種もしくは2種以上を混合した溶媒が挙げられる。電解質塩としては、たとえば過塩素酸ナトリウム(NaClO)、四フッ化ホウ酸ナトリウム(NaBF)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF、NaN(SOF)、Na(CFSO、NaN(CSO等のナトリウム塩が挙げられる。このうち、NaN(SOF)、Na(CFSOおよびNaN(CSOは、他のアルカリ金属塩と混合して一定温度以上の環境で使用することで、溶融塩としても用いることができる。
電解質層2として高分子固体電解質や無機固体電解質を用いる場合は、その厚みをたとえば10μm以下、さらには3μm以下と薄くすることができ、同一体積の二次電池と比較して活物質をより多く詰め込めるため、高容量化が進み、結果としてエネルギー密度向上にも寄与することができる。ただし、固体電解質は、ショートを防止するために絶縁破壊やピンホールによるショートを起こさない必要最低限の厚みを確保する必要がある。
正極側集電層5Pには、正極の電位において溶解などの反応が発生しない耐食性を有する材料を用いればよい。このような材料としては、たとえば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、金、白金等を含む金属材料や合金、黒鉛、ハードカーボン、ガラス状炭素等の炭素質材料、ITOガラス、酸化すずなどの無機導電性酸化物材料などを用いることができる。その中でもアルミニウム、金、白金は耐食性に優れ、容易に入手できるため好ましい。特にアルミニウムは、表面に酸化被膜を形成して不動態化し、高い電位においても耐食性に優れる点から好ましい。
負極側集電層5Nには、負極の電位においてNaとの合金化などの副反応が発生しない材料を用いればよい。このような材料としては、たとえば、銅、ニッケル、真鍮、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、タングステン、金、白金等を含む金属材料や合金、黒鉛、ハードカーボン、ガラス状炭素等の炭素質材料、ITOガラス、酸化すずなどの無機導電性酸化物材料などを用いることができる。特に、導電性が高く比較的安価な点から、アルミニウムまたはニッケルを用いることが好ましい。特にアルミニウムは、銅やニッケルと同様に導電性が高く比較的安価であり、リチウムに対しては合金を形成するため使用できないが、ナトリウムに対しては不活性であるため、正極および負極のいずれにも集電体として用いることが可能である。
正極側集電層5Pおよび負極側集電層5Nは、これらの金属材料からなる金属箔やメッシュを用いてもよいし、金属材料、炭素質材料またはITOガラスや酸化すずなどの無機導電性酸化物材料などをフィラーとした導電性インクなどを電極材料表面に塗布し、乾燥させたものを用いてもよい。また、白金やアルミニウム、チタンなどの金属を電極材料表面に蒸着したものであってもよい。
なお、金属箔またはメッシュを用いる場合、その厚みは5〜20μmとすることが好ましい。また、金属箔を使用する場合は、電極材料との接着力向上のために、金属箔の表面を粗面化処理したものを用いてもよい。この場合、金属箔の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)にして0.5〜2μmであることが好ましい。金属箔の表面粗さは、触針式、光干渉式等の表面粗さ計や、レーザー顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて測定する。一般的に使用される触針式表面粗さ計を用いる場合は、JIS B0601に基づいて、たとえば、触針先端径を2μm、測定長を4.8mm、カットオフ値を0.8mmという条件で測定すればよい。
以上、本実施形態の二次電池について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で種々変更したものにも適用することができる。
以下、本発明の二次電池について、実施例に基づき詳細に説明する。
まず、正極活物質となるNa、MnおよびCuを含む複合酸化物を合成した。素原料として炭酸ナトリウム粉末(関東化学:試薬特級)、および三二酸化マンガン(III)粉末(高純度化学:3N)および酸化銅(II)粉末(関東化学:試薬3N)を用いた。これらの素原料を、組成式NaMn1−yCu2+zで表したときにxとyが表1に示す値となるように配合し、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒としてスラリー化し、ZrOボールを用いてボールミルにて20時間混合した。混合後のスラリーを乾燥した後、表1に示す温度において10時間の熱処理を行い、複合酸化物を合成した。合成した複合酸化物は、CuKα線を用いてX線回折(XRD)測定を行い、その回折パターンの解析により複合酸化物に含まれる結晶相を確認した。それぞれの複合酸化物に含まれる結晶相を表1に示す。たとえば、試料No.3では、六方晶のNa0.70MnO2.05の結晶相の存在が確認された。
次に、合成したこれらの複合酸化物を活物質として正極を作製した。正極活物質として合成した複合酸化物の粉末を80質量%、導電助剤としてアセチレンブラックを10質量%、およびバインダーとしてポリフッ化ビニリデンを10質量%を配合し、さらに溶媒として15質量%のNMP(N−メチルピロリドン)を用いてスラリー作製した。このスラリーを、正極側集電層となるアルミニウム箔上にドクターブレード法により塗布し、溶媒を乾燥することにより、厚さが50μmの正極活物質層を形成した。得られた正極活物質層を、正極側集電層であるアルミニウム箔と共に10×10cmの正方形状に切断して正極を作製した。さらにアルミニウム箔の正極活物質層が形成されていない側の面の端部に正極端子となるアルミニウム箔をスポット溶接で取り付けた。
負極活物質にはナトリウム金属を用いた。負極側集電層となるアルミニウム箔上に、負極活物質層となるナトリウム箔をプレスにより圧着し、これを10×10cmの正方形状に切断して負極を作製した。さらに、アルミニウム箔のナトリウム箔を圧着していない側の面の端部に負極端子となるアルミニウム箔をスポット溶接で取り付けた。
作製した正極および負極の間に、電解液を含んだポリプロピレン/ポリエチレン製多孔質膜のセパレータを配置し、発電要素を作製した。電解液は、有機溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)に、NaTFSIを1mol/Lで溶解したものを用いた。
作製した発電要素を、外装体である袋状のアルミラミネートフィルムに収納し、電解液を注入して、正極端子および負極端子の端部が外装体の開口部から露出した状態で外装体の開口部を熱溶着により密閉し、二次電池とした。
作製した二次電池について以下のような条件で充放電試験を行い、電池特性を確認した
充放電電圧範囲:上限4.0V、下限1.5V
充放電電流値 :1mA/cm(定電流充放電)
測定温度 :30℃
サイクル :放電−充電1回を1サイクルとし、100サイクル
試料No.2〜5、8〜12は、CuをMnとCuの合量に対し30原子%以下含有するNaとMnの複合酸化物であることから、100サイクルの充放電試験後においても80%以上の容量維持率を示すサイクル特性に優れるものであった。また、Cuの固溶により、複合酸化物の結晶相にかかわらずサイクル特性が向上していることがわかる。これに対し、Cuを含まない試料No.1および7では容量維持率が60%以下であり、40原子%のCuを含有する試料No.6では初期放電容量が81mAh/gに低下した。
また、試料No.1と試料No.3のサイクル特性を比較すると、図3に示すように、Cuを含まない試料No.1の放電容量維持率が充放電試験のサイクルの初期の段階で大きく低下しているのに対し、Cuを10原子%含有する試料No.3ではサイクル数が増えても高い容量維持率を示していることがわかる。なお、いずれの試料も、100サイクルまでの充放電試験において、30サイクル以降では容量維持率が単調に低下することを確認した。
1・・・・正極
2・・・・電解質層
3・・・・負極
4・・・・発電要素
5N・・・負極側集電層
5P・・・正極側集電層
6N・・・負極端子
6P・・・正極端子
7・・・・ラミネートフィルム

Claims (4)

  1. Na、MnおよびCuを含む複合酸化物から構成され、該複合酸化物を組成式NaMn1−yCu2+zで表したとき、x、yおよびzがそれぞれ0.4≦x≦1.0、0<y≦0.3および0≦z≦0.1の範囲であることを特徴とするナトリウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. NaMnO、Na0.70MnO2.05、Na0.70MnOおよびNaMn18からなる群のうち少なくともいずれか1種の結晶相を含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 実質的に、CuO、MnおよびNaCO・HOの結晶相をいずれも含まないことを特徴とする請求項1または2に記載のナトリウムイオン二次電池用正極活物質。
  4. 正極と、負極と、電解質とを有し、前記正極が請求項1乃至のいずれかに記載のナトリウムイオン二次電池用正極活物質を含むことを特徴とするナトリウムイオン二次電池。
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