JP2015097161A - ナトリウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、コスト性およびサイクル特性に優れたナトリウム二次電池を提供することを目的とする。【解決手段】本発明はナトリウム二次電池に関し、このナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含む正極、金属ナトリウム、ナトリウム含有物質もしくはナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含む負極、および、ナトリウムイオン導電性を有する電解質を含み、前記正極のナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質が、一般式NaCu1−xMxO2(式中、MはFe、Cr、Mn、CoおよびNiからなる群から選ばれ、xは0<x<1である)で表される銅サイトの一部が遷移金属(M)で置換されたナトリウム銅酸化物を含むことを特徴とするナトリウム二次電池。【選択図】図1

Description

本発明はナトリウム二次電池に関する。特に、本発明は、ナトリウム二次電池の正極材料に銅サイトの一部が遷移金属で置換されたナトリウム銅酸化物を用いたコスト性およびサイクル性に優れたナトリウム二次電池に関する。
ナトリウムイオンの挿入および脱離反応を用いるナトリウム二次電池は、現在、広範に使用されているリチウム二次電池よりも、ナトリウムの資源の優位性から、コスト性に優れている。そして、今後、蓄電池として、大型化が可能な二次電池として期待され、研究開発がすすめられている。
Parkらは、非特許文献1において、NaTi(POが、有機電解液中で正極として、また、水系電解液中で負極として使用できること、そして、当該材料を使用したナトリウム二次電池が、電流密度2.0mA/cmの放電の場合、両電解液の場合で共に約120mAh/gという比較的大きな放電容量を示すことを報告している。
また、Komabaらは、非特許文献2において、NaCrOを正極材料として用いることで、約120mAh/gの放電容量を示し、20回の非常に安定した充放電サイクルが可能であることを報告している。
さらに、Yabuuchiらは、非特許文献3において、Na2/3Fe1/3Mn2/3を正極材料として用いた場合、非特許文献1および2よりも大きな約150mAh/gの放電容量を示し、20回の非常に安定した充放電サイクルが可能であることを報告している。
Sun Il Park et al., Journal of The Electrochemical Society, 158 (10) A1067-A1070 (2011). S. Komaba et al., Electrochemistry Communications, 12, 335-358 (2010) N. Yabuuchi et al.,Meeting Abstracts of 220th ECS Meeting (The Electrochemical Society), Abstract #649 (2011. October).
上記のように、ナトリウム二次電池に対して、リチウム二次電池に匹敵するレベルの放電容量がこれまでに報告されているが、これらのナトリウム二次電池は、非特許文献1〜3のように電極材料にレアメタルを含む場合が多く、コスト的に不利であると考えられる。また、サイクル特性が低いという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、コスト性およびサイクル特性に優れたナトリウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、ナトリウム二次電池であり、このナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含む正極、金属ナトリウム、ナトリウム含有物質もしくはナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含む負極、および、ナトリウムイオン導電性を有する電解質を含み、前記正極のナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質が、一般式NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoおよびNiからなる群から選ばれ、xは0<x<1である)で表される、銅サイトの一部が遷移金属(M)で置換されたナトリウム銅酸化物を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態では、前記電解質はナトリウムイオンを含む有機電解液である。また、別の実施形態では、前記電解質はナトリウムイオンを含む水系電解液である。更に別の実施形態では、前記電解質は、ナトリウムイオンを通す固体電解質またはポリマー電解質である。
本発明によれば、従来のナトリウム二次電池と比較してコスト性およびサイクル特性に優れたナトリウム二次電池を供することができる。
本発明のナトリウム二次電池の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態のナトリウム二次電池(2030コインセル型)の構造を示す概略図である。 本発明のNaCu0.8Fe0.8を正極に、ナトリウム金属を負極に、NaClOを1mol/Lの濃度でPCに溶解した溶液を電解液として用いた場合の図2のナトリウム二次電池の初回充放電曲線を示す図である。
以下に、本発明のナトリウム二次電池の実施形態について説明する。
本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極および電解質を少なくとも含む。正極はナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含むものであり、負極は金属ナトリウム、ナトリウム含有物質もしくはナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含むものであり、電解質はナトリウムイオン導電性を有するものである。
本発明では、正極は、ナトリウム銅酸化物(NaCuO)の銅サイトの一部がFe、Cr、Mn、CoおよびNiからなる群から選ばれる遷移金属元素で置換された化合物を含む。本明細書では、このナトリウム銅酸化物の銅サイトの一部が遷移金属で置換された化合物をナトリウム銅酸化物誘導体とも称する。
具体的には、ナトリウム銅酸化物誘導体は、一般式NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoおよびNiからなる群から選ばれ、xは0<x<1である)で表されるものである。本発明では、xは0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。即ち、ナトリウム銅酸化物誘導体における遷移金属(M)の含有量は、x=0とした場合(即ち、NaCuO)の銅元素量を基準として、Mが1.0〜50モル%となる量であることが好ましい。
本発明で使用する銅サイトの一部が置換されたナトリウム銅酸化物NaCu1−xは、例えば以下の手順で合成することができる。まず、市販の酸化銅(I)(CuO)と、例えば酸化鉄(Fe)、酸化クロム(Cr)、酸化マンガン(MnO)、酸化コバルト(Co)、酸化ニッケル(NiO)などの遷移金属酸化物(MO、M、Mなど)をCu:Mのモル比が(1−x):x(但し、xは0<x<1である。)となるように秤量し、得られた混合物をアルゴン雰囲気下で加熱(例えば800〜1000℃、20〜48時間)することにより、前駆体のCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)を得る。次に、炭酸ナトリウム(NaCO)または過酸化ナトリウム(Na)等のナトリウム源を、先に得られたCu1−x前駆体との割合がNa:[Cu+M(M=Fe、Cr、Mn、CoまたはNi)]のモル比で1:1となるように秤量し、Cu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)前駆体と混合する。得られた混合物をアルゴン雰囲気下で加熱(例えば450〜900℃、5〜30時間)することにより、目的のNaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)を製造することができる。
本発明のナトリウム二次電池の正極は、上記のナトリウム銅酸化物誘導体[NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)]と、導電性材料(例えば、カーボン粉末のようなカーボン材料)とを混合したものを含むことが好ましい。
本発明のナトリウム二次電池の正極は、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
まず、カーボン粉末(例えばアセチレンブラック粉末などのカーボンブラック類)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような結着剤粉末、および、NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)を混合し、次いでロールプレス機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、正極を調製することができる。
あるいは、前述のカーボン粉末、結着剤粉末およびNaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)の混合物を有機溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP))等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えばアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することにより、正極を調製できる。
本発明では、正極におけるナトリウム銅酸化物誘導体[NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)]の含有量は、導電性材料及び結着剤の総量に基づいて65〜85重量%であることが好ましい。
本発明の正極は、ナトリウムイオンを含む有機電解液およびナトリウムイオンを含む水系電解液の両電解液を電解質溶液として用いることができる。更に、本発明の正極を含むナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンを通す固体電解質又はポリマー電解質を電解質として用いることもできる。
負極は、金属ナトリウム、ナトリウム含有物質、またはナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含むものであれば特に限定されない。例えば、負極の例としては、金属ナトリウムのシート、または金属ナトリウムのシートをニッケル、ステンレス等の金属箔に圧着したものなどを挙げることができる。このような金属ナトリウムのシートの負極は、金属ナトリウムをプレス機などでシート状に圧延して所望の形状に成形することで調製することができる。また、金属ナトリウムのシートを金属箔に圧着したものは、前記のように調製した金属ナトリウムのシートをニッケル、ステンレス等の金属箔に圧着して調製することができる。
また、金属ナトリウム以外の負極材料として、負極活物質としてナトリウムを主成分として含む合金(例えば、ナトリウム−スズ合金)(ナトリウム含有物質)、または、ナトリウムイオンの挿入および脱離が可能なアモルファスカーボンなどの材料(ナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質)を挙げることができる。これらの負極活物質を含む負極は、例えば、銅箔のような金属箔に、負極活性物質とポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような結着剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のような有機溶媒に分散させたスラリーを塗布し、乾燥するというような方法で調製することができる。
電解液としては、ナトリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(NaTFSI)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF)などのナトリウムイオンを含む金属塩を、例えばポリカーボネート(PC)のような溶媒、炭酸エチレン(EC)および炭酸ジメチル(DMC)(体積比1:1)の混合溶媒、ECおよび炭酸ジエチル(DEC)などのような混合溶媒、または炭酸プロピレンのような単独溶媒に溶解した有機電解液、または、NaOH水溶液、NaSO水溶液、NaCl水溶液、NaClO水溶液などのナトリウムイオンを含む金属塩を水に溶解した水溶液(水系電解液)を挙げることができる。
本発明のナトリウム二次電池の他の電解質として、ナトリウムイオンを通す固体電解質(例えば、75NaS・25P、NASICON(Na Super Ionic Conductor、NaZrSiPO12等))、ナトリウムイオンを通すポリマー電解質(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系)などを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明では、ナトリウム二次電池で使用される公知のナトリウムイオンを通す固体電解質またはナトリウムイオンを通すポリマー電解質であれば使用することができる。
本発明のナトリウム二次電池はまた、セパレータ、電池ケース等の構造材料などの他の要素を含むこともできる。これらの要素についても、従来公知の二次電池に用いられる各種材料が使用でき、特に制限はない。
上記のような正極、負極、電解液等を使用する電池は、コイン形、円筒形、ラミネート形など従来の形状で作製することができる。そして、これらの二次電池の製造方法も従来と同様の方法を用いることができる。
例えば、本発明のナトリウム二次電池は、例えば、図1に示すような、正極および負極と、これら両極に接する電解質からなる。本発明では、正極および負極の間にセパレータが含まれていてもよい。有機電解質または水系電解質を電解質液として用いる場合には、例えば、セパレータに電解質液を含浸させて使用することができる。また、有機電解質または水系電解質は、ポリマー電解質等に含浸させてもよい。また、固体電解質、ポリマー電解質等を用いる場合には、両極がこれらに接するように配置すればよい。
さらに図1には明記していないが、正極、負極、電解質、セパレータ等を被う電池ケース等を含むことができる。本発明では、ナトリウム銅酸化物誘導体[NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)]を正極の材料として用いる。
より具体的な一実施形態としては、図2に示すようなコインセル型の二次電池として本発明を適用することができる。図2に示されるように、コインセル型の二次電池は、正極1および負極3を含み、これらの電極の間に電解液を含浸したセパレータ2をさらに含む。さらに二次電池構造体は正極ケース4、ガスケット5、および負極ケース6を含むことができる。この二次電池は、例えば、上記の正極1、負極3、および電解液を含浸したセパレータ2を、正極ケース4および負極ケース6に所望の通りに配置し、各構成要素を配置した両ケースを固定することで調製することができる。
本発明では、セパレータに代えてまたは加えて、上述したような固体電解質、ポリマー電解質等を使用することができる。
以下に図面を参照して、本発明のナトリウム二次電池についての実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、本発明の趣旨および範囲を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
[ナトリウム銅酸化物誘導体(NaCu1−x)の調製]
はじめに、本発明のナトリウム二次電池で使用する正極の材料であるナトリウム銅酸化物誘導体[NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoまたはNiであり、xは0<x<1である。)]の製造について説明する。
(i)(NaCu0.8Fe0.2)の調製
原料である市販試薬の酸化銅(CuO:高純度化学株式会社製)と酸化鉄(Fe:関東化学株式会社製)をCu:Feのモル比が0.8:0.2となるように秤量し、乳鉢にてよく混合した。得られた混合物をるつぼに充填し、電気炉を用いてアルゴン雰囲気下において900℃で30時間加熱することにより、Cu0.8Fe0.2を得た。得られたCu0.8Fe0.2と、過酸化ナトリウム(Na:関東化学株式会社製)とをNa:(Cu+Fe)のモル比が1:1となるように秤量して混合し、得られた混合物をアルゴン雰囲気下において650℃で10時間加熱した。以上の方法により、NaCu0.8Fe0.2を得た。
(ii)(NaCu0.8Cr0.2)の調製
CuO、Cr、Naを原料に用い、上記(i)と同様にしてNaCu0.8Cr0.2を合成した。
(iii)(NaCu0.8Mn0.2)の調製
CuO、MnO、Naを原料に用い、上記(i)と同様にしてNaCu0.8Mn0.2を合成した。
(iv)(NaCu0.8Co0.2)の調製
CuO、Co、Naを原料に用い、上記(i)と同様にしてNaCu0.8Co0.2を合成した。
(v)(NaCu0.8Ni0.2)の調製
CuO、NiO、Naを原料に用い、上記(i)と同様にしてNaCu0.8Ni0.2を合成した。
本実施例において、実施例1〜5は、上記の手順で調製した各ナトリウム銅酸化物誘導体を正極材料として用い、有機溶媒を用いた有機電解液を使用してナトリウム二次電池を作製した例であり、実施例6〜10は、水系電解質液を使用してナトリウム二次電池を作製した例である。また、実施例11〜12は、固体電解質およびポリマー電解質をそれぞれ電解質として使用した例である。
(実施例1)
(i)ナトリウム二次電池の作製
ナトリウム二次電池は、以下の手順で作製した。
まず、各電極の作製について説明する。上述の(i)のように合成したナトリウム酸化銅誘導体(NaCu0.8Fe0.2)、市販試薬のアセチレンブラック粉末(電気化学工業株式会社製)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE:ダイキン工業株式会社製)粉末を70:25:5の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕混合し、ロール成形し、シートペレット状電極(厚さ:0.5mm)を作製し、正極とした。このシート状電極を直径15mmの円形に切り抜いた。負極は、市販試薬のナトリウム塊を、0.5mmの厚さまでプレスし、直径15mmの円形シート状に成型した。
電解液は、過塩素酸ナトリウム(NaClO)を1mol/Lの濃度でポリカーボネート(PC)に溶解した溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。セパレータは、リチウム二次電池用のポリプロピレン製のもの(セルガード株式会社製)を用いた。
ナトリウム二次電池は、図2に示すような2320コインセル型のものを製造した。正極は、上記のペレット状の正極を正極ケース4にセットし、チタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)で覆い、その周縁部をスポット溶接により固定した。負極は、負極ケース6にチタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)をスポット溶接して固定し、その上にナトリウムシートを圧着することにより固定した。次に、正極を固定した正極ケースに、セパレータ2をセットし、さらにセパレータ2に電解液を注入し、負極であるナトリウムシートを固定した負極ケースを被せ、コインセルかしめ機で正極ケース4および負極ケース6をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケット5を含むコインセルを作製した。なお、ナトリウム二次電池の作製は、露点が−85℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
(ii)充放電試験
ナトリウム二次電池の充放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製、SD8充放電システム)を用いて、正極の有効面積当たりの電流密度で0.5mA/cmを通電することにより行った。電池の充放電試験の測定は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の生活環境下)で行った。
本実施例で作製した電池の充電から試験を開始した充放電曲線を、図3に示す。図より、本実施例の二次電池は充放電が可能であり、初回放電容量と平均放電電圧は表1に記載した値を示した。また、20サイクル目、50サイクル目の放電容量維持率も表1に示す。ここで、容量はナトリウム酸化銅誘導体粉末の重量当たりで規格化した値を示している。
上記のように、本実施例によるナトリウム二次電池は、可逆的な充放電が可能であり、ある程度のサイクル安定性を有していることが分かった。
(実施例2)
上記(ii)の調製例に従って調製したNaCu0.8Cr0.2を用いて、実施例1と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量と平均放電電圧、また、20サイクル目、50サイクル目の放電容量維持率を表1に示す。
(実施例3)
上記(iii)の調製例に従って調製したNaCu0.8Mn0.2を用いて、実施例1と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量と平均放電電圧、また、20サイクル目、50サイクル目の放電容量維持率を表1に示す。
(実施例4)
上記(iv)の調製例に従って調製したNaCu0.8Co0.2を用いて、実施例1と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量と平均放電電圧、また、20サイクル目、50サイクル目の放電容量維持率を表1に示す。
(実施例5)
上記(v)の調製例に従って調製したNaCu0.8Ni0.2を用いて、実施例1と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量と平均放電電圧、また、20サイクル目、50サイクル目の放電容量維持率を表1に示す。
Figure 2015097161
(実施例6)
水系電解液として、8mol/L NaOH水溶液、正極材料として、ナトリウム銅酸化物誘導体(NaCu1−x)の調製例の(i)の条件で作製したNaCu0.8Fe0.2、負極材料としてアモルファスカーボンを、それぞれ用いて、実施例1と同様にして、コインセルを作製した。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、充放電測定システムを用いて、正極の有効面積当たりの電流密度で0.5mA/cmを通電することにより行った。
充放電試験の結果を、表2に示す。水系電解液では、放電電圧は約3Vを示し、50サイクル後の放電容量維持率も80%という高い値を達成した。なお、酸性の1mol/L NaSO水溶液中でも、同様の結果を示すことを確認した。これらの結果は、本発明によるNaCu0.8Fe0.2が、水系電解液中でも正極材料として機能できることを示している。水系電解液は、一般的に、有機電解液よりも低価格であるため、ナトリウム二次電池の低コスト化に有利であると考えられる。
(実施例7)
正極材料として、ナトリウム銅酸化物誘導体(NaCu1−x)の調製例の(ii)で調製したNaCu0.8Cr0.2を用いて、実施例6と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量および平均放電電圧、並びに、20サイクル目および50サイクル目の放電容量維持率を表2に示す。
(実施例8)
正極材料として、ナトリウム銅酸化物誘導体(NaCu1−x)の調製例の(iii)で調製したNaCu0.8Mn0.2を用いて、実施例6と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量および平均放電電圧、並びに、20サイクル目および50サイクル目の放電容量維持率を表2に示す。
(実施例9)
正極材料として、ナトリウム銅酸化物誘導体(NaCu1−x)の調製例の(iv)で調製したNaCu0.8Co0.2を用いて、実施例6と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量および平均放電電圧、並びに、20サイクル目および50サイクル目の放電容量維持率を表2に示す。
(実施例10)
正極材料として、ナトリウム銅酸化物誘導体(NaCu1−x)の調製例の(v)で調製したNaCu0.8Ni0.2を用いて、実施例6と同様の条件でコインセルを作製し、電池の充放電試験を実施した。初回放電容量および平均放電電圧、並びに、20サイクル目および50サイクル目の放電容量維持率を表2に示す。
Figure 2015097161
(実施例11)
固体電解質としてNASICON(NaZrSiPO12)を、正極材料として実施例1で用いたNaCu0.8Fe0.2を、負極にはナトリウム金属を、それぞれ用いた。
NASICONディスクは、以下の手順で調製した。まず、ZrO(NO・8HO(関東化学株式会社)、NHPO(関東化学株式会社)、およびNaSiO・9HO(関東化学株式会社)を、Na:Zr:Si:P=3:2:2:1の比率となるモル比で混合し、850℃で仮焼成を行った。得られた粉末は、ペレット成型機でディスク状に成型し、1100℃で24時間の本焼成を行った。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。なお、固体電解質はコインセル内に収まるようにディスク(厚さ:約1mm)状に作製し、図2に示したセパレータ部分にセットした。また、正極/固体電解質/負極のそれぞれの界面に隙間ができないように、コインセルケースに任意の厚さのコインセルと同材質のディスク状のスペーサを溶接した。
電池の放電試験は、実施例1と同様に行った。
充放電試験の結果を表3に示す(表3には、実施例1の結果を併せて示した)。実施例1と比較して、正極/電解質および負極/電解質の界面の接触抵抗が増大するために、電圧は0.3Vの減少を示し、若干ではあるが放電容量も減少した。しかしながら、放電容量で示されるサイクル安定性に大きな変化は見られなかった。本実施例により、固体電解質を含む本発明のナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
(実施例12)
電解質としてPEO系高分子電解質膜を、正極材料として実施例1で用いたNaCu0.8Fe0.2を、負極にはナトリウム金属を、それぞれ用いた。
PEO系高分子電解質膜(厚さ:約2mm)は、以下の手順で調製した。PEO(Aldrich、Mw=6×10)および溶質であるLiTFSI(キシダ化学)を、Li/O=1/18になるように、10wt%のBaTiOフィラーと共にアセトニトリル溶媒(キシダ化学)に添加した。なお、BaTiOは、アルドリッチ製市販試薬(粒子径:<0.2μm)を用いた。一晩、攪拌した後に、得られた溶液をPTFE板上に塗布し、完全にアセトニトリルを揮発させた。その後、真空下において90℃で12時間乾燥を行った。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。なお、高分子電解質膜はコインセル内に収まるようにディスク状に切り抜き、図2に示したセパレータ部分にセットした。また、正極/固体電解質/負極のそれぞれの界面に隙間ができないように、コインセルケースに任意の厚さのコインセルと同材質のディスク状のスペーサを溶接した。
電池の放電試験は、実施例1同様に行った。
充放電試験の結果を表3に示す(表3には、実施例1の結果を併せて示した)。実施例1と比較して、正極/電解質および負極/電解質の界面の接触抵抗が増大するために、電圧は0.2Vの減少を示し、若干ではあるが放電容量も減少した。しかしながら、放電容量で示されるサイクル安定性に大きな変化は見られなかった。本実施例により、高分子電解質を含む本発明のナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
Figure 2015097161
(比較例)
比較例として、レアメタルを含む正極材料を用いたナトリウム二次電池を作製した。正極材料として、既知材料であるNaCoOを評価した。NaCoOは、NaCOとCoを所定モル比(3:2)で混合し、1000℃で焼成を行うことにより合成した。
NaCoOを用いるコインセルは、実施例1と同様にして作製および評価を行った。
その結果を、実施例1の結果と併せて表4に示す。
Figure 2015097161
本比較例による電池は、実施例1と比較して、初期特性においては、電圧および放電容量について優れた特性を示した。しかしながら、サイクルによる容量減少は著しく、50サイクル後には、初期の約48%の放電容量しか得られなかった。
一方、実施例1〜10の場合、比較例よりも初期性能は劣る(但し、ナトリウム二次電池として十分な特性を有する)ものの、50サイクル後でも約70%以上の放電容量を維持しており、安定性が高いことが分かった。これは、NaCoOの場合、遷移金属であるCoの溶出が起こっており、容量の減少を誘起しためではないかと考えられる。
以上のように、本発明によるNaCu1−x(式中、xは0<x<1である)を用いたナトリウム二次電池は、Coよりも10倍以上安価なCuを主に使用しているため、コスト性に優れ、更に充放電サイクル特性を有した高性能電池であることが分かった。
本発明により、コスト性およびサイクル特性に優れたナトリウム二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源等として使用することができる。
1 正極
2 セパレータ(電解質液を含浸)
3 負極
4 正極ケース
5 ガスケット
6 負極ケース

Claims (4)

  1. ナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含む正極、金属ナトリウム、ナトリウム含有物質もしくはナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質を含む負極、および、ナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であり、
    前記正極のナトリウムイオンの挿入および脱離が可能な物質が、一般式NaCu1−x(式中、MはFe、Cr、Mn、CoおよびNiからなる群から選ばれ、xは0<x<1である)で表される銅サイトの一部が遷移金属(M)で置換されたナトリウム銅酸化物を含むことを特徴とするナトリウム二次電池。
  2. 前記電解質は、ナトリウムイオンを含む有機電解液であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3. 前記電解質は、ナトリウムイオンを含む水系電解液であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  4. 前記電解質は、ナトリウムイオンを通す固体電解質またはポリマー電解質であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
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