JP2008208040A - ペルフルオロトリアジン化合物 - Google Patents

ペルフルオロトリアジン化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐熱性および高いプロトン伝導性を併せ持つペルフルオロポリマーの合成に有用なペルフルオロトリアジン化合物を提供する。
【解決手段】下式(a)で表される化合物。
[化1]
Figure 2008208040

、R、Rは、それぞれ2価のペルフルオロ有機基を示し、Rは、重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基を示し、nは、0または1を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペルフルオロトリアジン化合物に関する。
燃料電池に用いられる電解質膜には、高い耐熱性および化学的安定性が求められている。同時に、該電解質膜は、高いプロトン伝導性を併せ持った膜であることも非常に重要である。NAFION(登録商標)およびフレミオン(登録商標)に代表されるペルフルオロポリマーの電解質膜は、炭化水素系ポリマーの電解質膜に比べれば、高い耐熱性、化学的安定性、および高いプロトン伝導性を兼ね備えた膜であるが、電解質膜には、さらなる耐熱性の向上が望まれている。
1,3,5−トリアジン環は、熱安定性に優れていることが知られている。該トリアジン環をペルフルオロポリマー中に導入することによって、電解質膜の耐熱性の向上が期待できる。
該トリアジン環をペルフルオロポリマー中に導入する方法としては、重合性反応基を有するペルフルオロトリアジン化合物を用い、単独重合または共重合によって該トリアジン環をペルフルオロポリマー中に組み込む方法がある。
また、高いプロトン伝導性を有する官能基の前駆体としては、スルホニル基の隣接炭素上を電子求引性のフッ素原子または含フッ素有機基で置換した、フルオロスルホニル基が考えられる。
重合性反応基を有するペルフルオロトリアジン化合物としては、下式(x)で表される化合物が知られている(特許文献1)。また、フルオロスルホニル基を有するペルフルオロトリアジン化合物としては、下式(y)で表される化合物が知られている(非特許文献1)。
Figure 2008208040
しかし、重合性反応基およびフルオロスルホニル基の両方を有するペルフルオロトリアジン化合物は、知られていない。
特開平6−340640号公報 オルガノメタリックス(Organometallics)、(米国)、アメリカン・ケミカル・ソサエティ(American Chemical Society)、2000年、第19巻、p.2664−2670
本発明は、高い耐熱性および高いプロトン伝導性を併せ持つペルフルオロポリマーの合成に有用なペルフルオロトリアジン化合物を提供する。
本発明のペルフルオロトリアジン化合物は、下式(a)で表される化合物である。
Figure 2008208040
ただし、R、R、Rは、それぞれ2価のペルフルオロ有機基を示し、Rは、重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基を示し、nは、0または1を示す。
前記R、R、Rは、それぞれ炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基(ただし、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。)であることが好ましく、前記Rは、CF=CF−、CF=CFO−、またはCF=CFCFO−であることが好ましい。
前記式(a)で表される化合物としては、下式(a−1)で表される化合物、または下式(a−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008208040
ただし、R11は、−CF−、−CF(CF)−、−CF(CF)OCFCF−、または−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−を示す。
Figure 2008208040
ただし、R11は、−CF−、−CF(CF)−、−CF(CF)OCFCF−、または−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−を示し、R31は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基(ただし、エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を示す。
本発明のペルフルオロトリアジン化合物は、高い耐熱性および高いプロトン伝導性を併せ持つペルフルオロポリマーの合成に有用である。
本明細書においては、式(a)で表される化合物を化合物(a)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本発明のペルフルオロトリアジン化合物は、化合物(a)である。
Figure 2008208040
、R、Rは、それぞれ2価のペルフルオロ有機基を示す。2価のペルフルオロ有機基とは、2価の有機基中の炭素原子に結合する水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基を意味する。2価のペルフルオロ有機基は、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。
2価のペルフルオロ有機基の炭素数は、1〜20が好ましく、化合物(a)の取り扱いやすさ(粘度等。)の点から、1〜10が特に好ましい。
2価のペルフルオロ有機基としては、ペルフルオロアルキレン基(ただし、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。)が好ましい。該アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよい。
エーテル性の酸素原子を有さないペルフルオロアルキレン基としては、下記基、または該基の2つ以上を結合させた基が挙げられる。
−(CF−、
−(CF(C2x+1))−、
−(C(C2x+1−、
−(C(C2x+1)(C2y+1))−、
Figure 2008208040
該5員環の任意のフッ素原子を−C2x+1で置換した基、
Figure 2008208040
該6員環の任意のフッ素原子を−C2x+1で置換した基等。
ただし、p、x、yは、それぞれ整数を示す。
該ペルフルオロアルキレン基としては、入手しやすさ、合成しやすさの点から、下記基が好ましい。
−(CF−、
−(CF−、
−(CF−、
−(CF−、
−(CF−、
−(CF−、
−(CF−、
−(CF(CF))−、
−(CF(CFCF))−、
−(C(CF)−、
−(C(CFCF)−、
Figure 2008208040
エーテル性の酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基としては、下記基、または該基の2つ以上を結合させた基が挙げられる。
−(CFO(CF−、
−(CF(OCFCFOCF−、
−(CFO(CF(C2x+1)CFO)CF(C2x+1)−、
−(CFO(CFO(CF(C2x+1)CFO)CF(C2x+1)−、
−CF(C2x+1)(OCFCF(C2x+1))O(CFO(CF(C2x+1)CFO)CF(C2x+1)−、
−CF(C2x+1)(OCFCF(C2x+1))O(CFO(CFO(CF(C2x+1)CFO)CF(C2x+1)−、
Figure 2008208040
該5員環の任意のフッ素原子を−C2x+1で置換した基、
Figure 2008208040
該6員環の任意のフッ素原子を−C2x+1で置換した基等。
ただし、p、q、r、s、x、yは、それぞれ整数を示す。
該ペルフルオロアルキレン基としては、入手しやすさ、合成しやすさの点から、下記基が好ましい。
−CFOCF−、
−(CFO(CF−、
−(CFO(CF−、
−CFOCFCFOCF−、
−CF(OCFCFOCF−、
−CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)−、
−CFOCFCFOCF(CF)−、
−(CFO(CFOCF(CF)−、
−(CFO(CFOCF(CF)−、
−CF(OCFCFOCF(CF)−、
−CF(OCFCFOCF(CF)−、
−CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−CFOCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFO(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−(CFO(CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−CF(OCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−CF(OCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−、
−CF(CF)O(CFOCF(CF)−、
−CF(CF)O(CFOCF(CF)−、
−CF(CF)O(CFO(CFOCF(CF)−、
−CF(CF)O(CFO(CFOCF(CF)−、
Figure 2008208040
は、重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基を示す。1価のペルフルオロ有機基とは、1価の有機基中の炭素原子に結合する水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基を意味する。重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基は、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。
重合性反応基としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、ヨウ素移動重合等の重合反応に活性な、不飽和結合、C−Br結合、またはC−I結合を有するペルフルオロ基が挙げられる。
重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基の炭素数は、1〜20が好ましく、化合物(a)の取り扱いやすさ(粘度等。)の点から、1〜10が特に好ましい。
重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基としては、下記基が挙げられる。
CF=CF−、
CF=CFO−、
CF=CFCFO−、
BrCF−、
ICF−。
重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基としては、CF=CF−、CF=CFO−、またはCF=CFCFO−が好ましい。ここで、R−R−において末端基としてCF=CFCFO−が存在する場合、CF=CFCFO−がRであり、残余の基がRであるとみなす。合成しやすさ、重合性の点から、CF=CFO−、またはCF=CFCFO−が特に好ましい。
nは、0または1を示す。
nが0である化合物(a)は、化合物(a)を意味し、nが1である化合物(a)は、化合物(a)を意味する。
Figure 2008208040
化合物(a)としては、合成のしやすさの点から、化合物(a−1)が好ましい。
Figure 2008208040
ただし、R11は、−CF−、−CF(CF)−、−CF(CF)OCFCF−、または−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−を示す。
化合物(a−1)としては、化合物(a−1−1)〜化合物(a−1−4)が挙げられる。
Figure 2008208040
化合物(a)としては、合成のしやすさの点から、化合物(a−1)が好ましい。
Figure 2008208040
ただし、R11は、−CF−、−CF(CF)−、−CF(CF)OCFCF−、または−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−を示し、R31は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基(ただし、エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を示す。
化合物(a−1)としては、化合物(a−1−1)〜化合物(a−1−12)が挙げられる。
Figure 2008208040
Figure 2008208040
Figure 2008208040
ただし、mは、2、4、6または8である。
化合物(a)は、下記合成スキームに沿って合成できる。
Figure 2008208040
化合物(d)は、特開平9−3027号公報に記載の方法によって合成できる。
化合物(c)は、化合物(d)に0.5〜1.1当量のアンモニアを反応させることによって合成できる。アンモニアの量が0.5当量以上であれば、反応の転化率を高めることができる。アンモニアの量が1.1当量以下であれば、副生成物(アミジン化合物)の量が抑えられ、化合物(c)の収率が高くなる。
化合物(d)とアンモニアとの反応は、無溶媒で行ってもよく、化合物(d)および化合物(c)に不活性な溶媒を用いて行ってもよい。
該溶媒としては、たとえば、エーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、CClH等が挙げられる。
反応温度は、通常、−60℃〜室温であり、化合物(d)との接触効率の点から、アンモニアが液化する温度以下が好ましく、−50〜−20℃が特に好ましい。加熱しても構わない。
化合物(b)は、たとえば、Angewandte Chemie Int. Ed.、1972年、第11巻、p.583に記載の方法等にしたがって合成できる。
化合物(b)としては、化合物(b−1)〜(b−4)が挙げられる。
FOSCFCOF ・・・(b−1)、
FOSCF(CF)COF ・・・(b−2)、
FOSCFCFOCF(CF)COF ・・・(b−3)、
FOSCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF ・・・(b−4)。
化合物(a)は、化合物(c)と化合物(b)とを溶媒中にて反応させることによって合成できる。
化合物(c)のイミドイルアミジン基と重合性反応基とが反応してしまうため、化合物(c)を合成した後は、速やかに化合物(b)と反応させることが好ましい。
化合物(c)と化合物(b)との反応は、室温で速やかに進行する。発熱が大きい場合、冷却しながら反応させることが好ましい。
化合物(b)の量は、化合物(c)に対して2〜10当量が好ましく、3〜5当量がより好ましい。
溶媒としては、化合物(c)の合成に用いた溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
化合物(c)と化合物(b)との反応においては、反応時間が短い等の場合、一部で環形成が進行せず、イミドイルアミジン基が残存した生成物を与えることがある。したがって、必要に応じて反応生成物を精製し、目的の純度および組成からなる化合物(a)を得ることが好ましい。精製方法としては、水洗、抽出、クロマトグラフィー、蒸留等が挙げられる。
化合物(a)は、下記合成スキームに沿って合成できる。
Figure 2008208040
化合物(h)としては、市販のもの、または国際公開00/56694号パンフレットに記載の方法等にしたがって合成したペルフルオロエステル体から、公知の方法によって誘導化したものが挙げられる。
化合物(h)から、化合物(g)を経て、化合物(f)へ変換する方法としては、たとえば、Journal of Organic Chemistry、1969年、第34巻、p.1841−1844に記載の方法が挙げられる。
化合物(f)とアンモニアとの反応によって化合物(e)を合成する方法としては、たとえば、Journao of Fluorine Chemistry、1980年、第15巻、p.327−331に記載の方法が挙げられる。
化合物(d)は、上述と同様の方法によって合成できる。
化合物(c)は、化合物(e)と化合物(d)とを反応させることによって合成できる。
化合物(e)と化合物(d)との反応は、化合物(d)に化合物(e)を添加することによって行うことが好ましい。化合物(d)に化合物(e)を添加すれば、化合物(d)の割合が常に化合物(e)よりも上回るため、化合物(e)のアミジン基が化合物(d)の重合性反応基と反応しにくくなり、収率の低下が抑えられる。
また、該観点から、化合物(d)の量は、化合物(e)に対して2〜5当量が好ましく、2〜2.2当量がより好ましい。過剰に用いた化合物(d)は、反応終了後、蒸留操作等によって回収できる。
化合物(e)と化合物(d)との反応は、無溶媒で行ってもよく、化合物(d)および化合物(e)に不活性な溶媒を用いて行ってもよい。化合物(e)は固体であることが多いため、反応プロセスの点から、化合物(e)を溶媒に溶解させ、滴下することが好ましい。
該溶媒としては、たとえば、エーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、CClH等が挙げられる。
反応温度は、通常−60℃〜室温であり、0〜20℃が好ましい。加熱しても構わない。
化合物(b)は、上述と同様の方法によって合成できる。
化合物(a)は、上述の化合物(a)の合成と同様に、化合物(c)と化合物(b)とを反応させることによって合成できる。
化合物(a)は、上述の化合物(a)と同様に精製することが好ましい。
以上説明した化合物(a)は、トリアジン環、重合性反応基およびフルオロスルホニル基を有するため、重合することによって、高い耐熱性が期待できるトリアジン環、および高いプロトン伝導性を有するスルホン酸基に変換できる、フルオロスルホニル基の両方を有するペルフルオロポリマーが得られる。また、重合性反応基が複数あることから、重合の進行によって架橋構造が形成され、さらに耐熱性の向上したペルフルオロポリマーが得られる。
トリアジン環およびフルオロスルホニル基を有するペルフルオロポリマーは、フルオロスルホニル基を加水分解してスルホン酸基の塩とし、必要に応じてさらに酸型化してスルホン酸基とすることによって、食塩電解用イオン交換膜、固体高分子形燃料電池用電解質膜として用いることができる。
フルオロスルホニル基の加水分解の方法としては、アルカリ加水分解によりフルオロスルホニル基をスルホン酸基のアルカリ金属塩に処理する方法が挙げられる。該方法としては、国際公開第03/37885号パンフレットに記載の方法が好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
ガスクロマトグラフィー分析は、GCと記す。
質量スペクトル分析は、MSと記す。
赤外吸収分光法は、IRと記す。
CClFCClFは、R−113と記す。
CFClCFCHClFとCHClCFCFとの混合液は、R−225と記す。
テトラヒドロフランは、THFと記す。
〔例1〕
化合物(a−1−1)を下記合成スキームに沿って合成した。
Figure 2008208040
化合物(c−1)の合成:
温度計、コールドトラップ、ガス導入管を備えた丸底フラスコに、化合物(d−1)の2g、R−225の10gを投入し、激しく撹拌しながら内温が−20℃以下になるように冷却した。ガス導入管よりアンモニアの0.12gをフラスコ内にゆっくり吹き込み、そのまましばらく撹拌を続けた。GCにより、化合物(d−1)の消失を確認したところで反応を止めた。フラスコ内を減圧にすることで過剰のアンモニアおよび溶媒を除去し、白濁した化合物(c−1)の溶液を得た。
化合物(a−1−1)の合成:
該溶液に、R−225の20g、フッ化ナトリウム粉末の0.6gを投入し、激しく撹拌しながら、フラスコを氷浴に浸して冷却した。該溶液に、化合物(b−1)の1.95gを、内温が10℃を超えないようにゆっくり滴下した。化合物(b−1)の全量を滴下した後、氷浴を外し、室温で1時間撹拌を続けた。得られた溶液から加圧ろ過によってフッ化ナトリウム粉末を除去し、該溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、イオン交換水で1回、順に洗浄した。ついで、該溶液を硫酸マグネシウム粉末で脱水してから、エバポレーターで濃縮して、無色液体2.2gを得た。NMRにより分析した結果、化合物(a−1−1)(NMR純度99%、収率85%)の生成を確認した。IRでは、トリアジン環による吸収が1558cm−1に、不飽和結合による吸収が1839cm−1に、それぞれ観測された。
化合物(a−1−1)の19F−NMRのスペクトルデータを示す。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)、δ(ppm):+42.2(1F)、−84.8(4F)、−102.3(2F)、−113.3(2F)、−116.8(4F)、−121.6(2F)、−125.6(4F)、−135.7(2F)。
〔例2〕
化合物(a−1−1)を下記合成スキームに沿って合成した。
Figure 2008208040
化合物(j−1)の合成:
温度計、滴下漏斗を備えた丸底フラスコに、トリエチレングリコールの50g、フッ化ナトリウム粉末の84g、R−225の100gを投入し、氷冷しながら激しく撹拌した。フラスコ内にCOCF(CF)COFの245gを、内温が10℃を超えないようにゆっくり滴下した。COCF(CF)COFの全量を滴下した後、室温で1.5時間撹拌を続けた。GCにより、トリエチレングリコールの消失を確認し、反応を停止した。得られた溶液から加圧ろ過でフッ化ナトリウム粉末を除去し、エバポレーターで濃縮してR−225および過剰のCOCF(CF)COFを除去し、濃縮液を得た。該濃縮液を減圧蒸留して、GC純度99%の留分(251g)を得た。留分を分析した結果、化合物(j−1)の生成を確認した。
化合物(i−1)の合成:
オートクレーブ(ニッケル製、内容積500mL)を用意し、オートクレーブのガス出口に、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにR−113の312gを投入し、20℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを20℃で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20体積%に希釈したフッ素ガス(以下、20%フッ素ガスと記す。)を、20℃、流速17.0L/hで1時間吹き込んだ。ついで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、化合物(j−1)の124gをR−113の497gに溶解した溶液を、24時間かけて注入した。
ついで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、R−113中に0.01g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の9mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。ベンゼンの注入総量は0.09gであった。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。ついで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をNMRにより分析した結果、化合物(i−1)(NMR収率98%)の生成を確認した。
化合物(h−1)の合成:
温度計、滴下漏斗を備えた丸底フラスコに、化合物(i−1)の150g、フッ化ナトリウム粉末の39g、R−225の150gを投入し、フラスコを氷浴に漬けながら激しく撹拌した。フラスコ内に、メタノールの22gを、内温が10℃を超えないように滴下した。メタノールの全量を滴下した後、氷浴を外して室温でさらに2時間撹拌し、GCにより化合物(i−1)の消失を確認した。得られた溶液から、加圧ろ過でフッ化ナトリウム粉末を除去し、エバポレーターで濃縮してR−225および過剰のメタノールを除去し、濃縮液を得た。濃縮液を単蒸留し、副生するCOCF(CF)COOCHを分取して、無色液体を54g得た。NMR、GC−MSにより分析した結果、化合物(h−1)(GC純度98%、収率98%)の生成を確認した。
化合物(g−1)の合成:
温度計、滴下漏斗、コールドトラップ、ガス導入管を備えた丸底フラスコに、R−225の210gを投入し、フラスコを氷浴に浸しながら、フラスコ内にアンモニアガスを吹き込んだ。しばらく撹拌を続けた後、フラスコ内に、化合物(h−1)の54gを、内温が10℃を超えないようにゆっくりと滴下した。化合物(h−1)の全量を滴下した後、さらに1時間撹拌を続け、GCにより化合物(h−1)の消失を確認したところで反応終了とした。フラスコ内に窒素ガスを2時間吹き込み、過剰のアンモニアを除去してから溶媒を除去し、さらに真空ポンプで減圧乾燥して、白色粉末を49g得た。NMR、IRにより分析した結果、化合物(g−1)が定量的に生成していることを確認した。
化合物(f−1)の合成:
丸底フラスコに、化合物(g−1)の49g、P粉末の65gを投入し、激しく振り混ぜてよく混合した。フラスコ頭頂部から順に、留出器、トラップ管、真空ポンプを取り付け、フラスコをマントルヒーターに設置した。フラスコ内を真空ポンプで66kPaに減圧しながら、フラスコを270℃に加熱し、30分加熱した。さらに50kPaに減圧したところで、液体の留出が始まった。13〜50kPaに減圧しながら液体を留出させ、24gの無色液体を得た。また、トラップ管からも7gの無色液体を回収した。GC、GC−MSにより分析した結果、それぞれGC純度97%、95%で化合物(f−1)が生成していることを確認した。
化合物(f−1)の19F−NMRのスペクトルデータを示す。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)、δ(ppm):−58.4(4F)、−88.4(4F)。
化合物(e−1)の合成:
温度計、滴下漏斗、コールドトラップ、ガス導入管を備えた丸底フラスコに、tert−ブチルメチルエーテルの10gを投入し、−50℃に冷却しながらフラスコ内にアンモニアガスを吹き込んだ。しばらく撹拌を続けた後、フラスコ内に、化合物(f−1)の15gをtert−ブチルメチルエーテル17gで希釈した溶液をゆっくりと滴下した。フラスコ内は徐々に白濁し、固形物の析出を確認した。化合物(f−1)の全量を滴下した後、tert−ブチルメチルエーテルの10gを追加し、アンモニアガスの供給を停止して、徐々に室温まで昇温しながら6時間撹拌を続けた。GCにより、化合物(f−1)の消失を確認したところで反応を停止し、溶媒を除去することで白色固体の16gを得た。NMR、IRにより分析した結果、化合物(e−1)がほぼ定量的に生成していることを確認した。IRでは、アミジン基に帰属される吸収が、1668cm−1に観測された。
化合物(e−1)の19F−NMRのスペクトルデータを示す。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:THF、外部基準:アセトン−d6/CFCl)、δ(ppm):−78.6(4F)、−91.3(4F)。
化合物(c−1)の合成:
温度計、滴下漏斗を備えた丸底フラスコに、化合物(d−1)の0.9g、THFの2gを投入し、フラスコを氷浴に浸して撹拌しながら、フラスコ内に、化合物(e−1)の0.5gをTHFの3gで希釈した溶液を、ゆっくりと滴下した。化合物(e−1)の全量を滴下した後、さらに室温で1時間撹拌を続けた。GC、NMRにより反応の進行を確認し、溶媒を除去して化合物(c−1)の無色粘性溶液を得た。
化合物(a−1−1)の合成:
該溶液に、R−225の10g、フッ化ナトリウム粉末の0.5gを投入し、フラスコを氷浴に浸して撹拌しながら、フラスコ内に、化合物(b−1)の1.8gをゆっくり滴下した。氷浴を外して、さらに終夜撹拌を続け、NMR、IRにより反応の進行を確認したところで終了とした。得られた溶液から、加圧ろ過でフッ化ナトリウムを除去し、エバポレーターで濃縮してR−225および過剰の化合物(b−1)を除去し、無色液体の化合物(a−1−1)(NMR純度94%、収率66%)の1.2gを得た。IRでは、トリアジン環による吸収が1557cm−1に、不飽和結合による吸収が1839cm−1に、それぞれ観測された。
化合物(a−1−1)の19F−NMRのスペクトルデータを示す。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)、δ(ppm):+41.9(2F)、−74.6(4F)、−84.8(4F)、−88.0(4F)、−102.3(4F)、−113.2(2F)、−116.8(4F)、−121.6(2F)、−125.5(4F)、−135.6(2F)。
〔例3〕
化合物(a−1−2)を下記合成スキームに沿って合成した。
Figure 2008208040
化合物(c−1)の合成:
温度計、滴下漏斗を備えた丸底フラスコに、化合物(d−1)の1.4g、THFの3gを投入し、フラスコを氷浴に浸して撹拌しながら、フラスコ内に、化合物(e−1)の0.8gをTHFの5gで希釈した溶液を、ゆっくりと滴下した。化合物(e−1)の全量を滴下した後、さらに室温で1時間撹拌を続けた。GC、NMRにより反応の進行を確認し、溶媒を除去して化合物(c−1)の無色粘性液体を得た。
化合物(a−1−2)の合成:
該溶液に、R−225の15g、フッ化ナトリウム粉末の1.2gを投入し、フラスコを氷浴に浸して撹拌しながら、フラスコ内に、化合物(b−2)の1.8gをゆっくり滴下した。氷浴を外して、さらに終夜撹拌を続け、NMR、IRにより反応の進行を確認したところで終了とした。得られた溶液から、加圧ろ過でフッ化ナトリウムを除去し、エバポレーターで濃縮してR−225および過剰の化合物(b−2)を除去し、無色液体の3.0gを得た。シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)で精製し、無色液体の化合物(a−1−2)(NMR純度95%、収率38%)の1.2gを得た。IRでは、トリアジン環による吸収が1558cm−1に、不飽和結合による吸収が1838cm−1に、それぞれ観測された。
化合物(a−1−2)の19F−NMRのスペクトルデータを示す。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)、δ(ppm):+51.1(2F)、−72.8(6F)、−75.0(4F)、−85.2(4F)、−88.3(4F)、−114.9(2F)、−117.1(4F)、−121.8(2F)、−125.8(4F)、−136.0(2F)、−163.1(2F)。
〔例4〕
化合物(a−1−3)を下記合成スキームに沿って合成した。
Figure 2008208040
化合物(c−1)の合成:
温度計、滴下漏斗を備えた丸底フラスコに、化合物(d−1)の1.3g、THFの5gを投入し、フラスコを氷浴に浸して撹拌しながら、フラスコ内に、化合物(e−1)の1.0gをTHFの5gで希釈した溶液を、ゆっくりと滴下した。化合物(e−1)の全量を滴下した後、さらに室温で1時間撹拌を続けた。GC、NMRにより反応の進行を確認し、溶媒を除去して化合物(c−1)の無色粘性溶液を得た。
化合物(a−1−3)の合成:
該溶液に、R−225の20g、フッ化ナトリウム粉末の0.8gを投入し、フラスコを氷浴に浸して撹拌しながら、フラスコ内に、化合物(b−3)の2.6gをゆっくり滴下した。氷浴を外して、さらに終夜撹拌を続け、NMR、IRにより反応の進行を確認したところで終了とした。得られた溶液から、加圧ろ過でフッ化ナトリウムを除去し、エバポレーターで濃縮してR−225および過剰の化合物(b−3)を除去し、無色液体の2.9gを得た。シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)で精製し、無色液体の化合物(a−1−3)(NMR純度99%、収率30%)の1.0gを得た。IRでは、トリアジン環による吸収が1558cm−1に、不飽和結合による吸収が1839cm−1に、それぞれ観測された。
化合物(a−1−3)の19F−NMRのスペクトルデータを示す。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)、δ(ppm):+44.3(2F)、−75.4(4F)、−76.4〜−77.0(2F)、−81.9〜−82.5(2F)、−82.5(6F)、−85.4(4F)、−88.6(4F)、−112.9(4F)、−114.5(2F)、−117.4(4F)、−122.6(2F)、−126.0(4F)、−133.1(2F)、−136.9(2F)。
本発明のペルフルオロトリアジン化合物は、燃料電池に用いられる、優れた特性を有する電解質膜のペルフルオロポリマーの原料モノマーとして有用である。

Claims (4)

  1. 下式(a)で表される化合物。
    Figure 2008208040
    ただし、R、R、Rは、それぞれ2価のペルフルオロ有機基を示し、Rは、重合性反応基を有する1価のペルフルオロ有機基を示し、nは、0または1を示す。
  2. 前記R、R、Rが、それぞれ炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基(ただし、エーテル性の酸素原子を有していてもよい。)であり、前記Rが、CF=CF−、CF=CFO−、またはCF=CFCFO−である、請求項1に記載の化合物。
  3. 下式(a−1)で表される、請求項1または2に記載の化合物。
    Figure 2008208040
    ただし、R11は、−CF−、−CF(CF)−、−CF(CF)OCFCF−、または−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−を示す。
  4. 下式(a−1)で表される、請求項1または2に記載の化合物。
    Figure 2008208040
    ただし、R11は、−CF−、−CF(CF)−、−CF(CF)OCFCF−、または−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−を示し、R31は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基(ただし、エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を示す。
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