JP2008207722A - 建設機械のトラックフレーム - Google Patents

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Abstract

【課題】 補強プレートを小さく簡単に加工できるようにし、またセンタフレーム、サイドフレームに対し補強プレートを容易に、かつ十分な強度をもって取付ける。
【解決手段】 センタフレーム12と各サイドフレーム20,21との間でT字状に衝合してなる交差接合部25に固着される補強プレート26は、センタフレーム12に対して上板13の下面に溶接手段を用いて固着し、サイドフレーム20,21に対してそれぞれのフレーム本体22の角隅部22Dに固着する構成としている。従って、補強プレート26は、フレーム本体22の角隅部22Dに突き合わせるだけでよく、簡単で正確な位置決め、高い溶接強度を得ることができる。また、フレーム本体22の角隅部22Dは、高い剛性を有しているから、補強プレート26とサイドフレーム20,21との取付強度も高めることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば油圧ショベル等の下部走行体を構成する建設機械のトラックフレームに関する。
一般に、土砂等の掘削作業に用いられる油圧ショベルは、山岳地、泥濘地等の不整地を安定して走行するためクローラ式の下部走行体を備えている。このクローラ式の下部走行体を構成するトラックフレームは、通常、センタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置して前,後方向に延びた左,右のサイドフレームとにより構成されている。そして、各サイドフレームの一端には走行用の油圧モータを介して駆動輪が取付けられ、他端には遊動輪が取付けられ、この駆動輪と遊動輪とに亘って履帯(クローラ)が巻回されている。
ここで、トラックフレームのセンタフレームは、左,右方向に延びた上板と、該上板の下側に対面して設けられた下板と、前記上板と下板との間に設けられた複数枚の縦板とによりボックス状に形成されている。また、各サイドフレームは、上面板と、該上面板の内側から下向きに延びた内側面板と、前記上面板の外側から下向きに延びた外側面板とにより逆U字状に形成され、前記センタフレームの左,右両側に溶接手段を用いて固着されている。
また、トラックフレームは、整地用の排土板装置を取付けるために、センタフレームの前側の端部が左,右方向にほぼ真直ぐに延び、この前側端部がそのまま各サイドフレームと溶接手段を用いて接合されている。この場合、センタフレームとサイドフレームとの接合部には、例えば排土板装置、作業装置(フロント装置)等から作用する応力が集中し易い。そこで、センタフレームの前端とサイドフレームとの接合部には、応力を分散してセンタフレームに対するサイドフレームの取付強度を高める補強プレートを取付けている(例えば、特許文献1参照)。そして、補強プレートは、ほぼ三角形状の鋼板からなり、センタフレームを構成する上板の上面とコ字状のサイドフレームの上面板とに溶接されている。
特開平9−202261号公報
ところで、上述した特許文献1によるトラックフレームは、走行中に岩石等の障害物に下側が接触しないように、センタフレームの左,右両側を下向きに傾斜させ、中央部分を高い位置に配置している。また、サイドフレームの上面板は、履帯を下側から支持する上ローラの取付構造、泥はけ性を良くして土砂の堆積を防止するための構造等により、左,右方向の外側に向けて下向きに傾斜している。
ここで、センタフレームの傾斜角度とサイドフレームの上面板の傾斜角度とが近くなると、強度の低いサイドフレームの上面板に補強プレートが溶接される場合がある。この場合には、補強プレートとサイドフレームの上面板との溶接部の強度を高めるために、補強プレートを大きくしたり、曲げ加工を施したりしなくてはならず、生産性が悪く、製造コストも嵩んでしまう。また、大きな補強プレートは、土砂が堆積し易く、清掃作業に手間を要してしまうという問題もある。
また、センタフレームの左,右両側とサイドフレームの上面板とがいずれも外側に向けて下側に傾斜しているため、補強プレートを取付ける作業では、該補強プレートがセンタフレームの上板とサイドフレームの上面板の両方に密着できる範囲が狭く、この取付範囲を外れると補強プレートに捩れ等を生じて溶接強度が低下する虞がある。このために、補強プレートは高精度に加工し、正確な位置決め作業を行わなくてはならず、加工作業、取付作業に多大な手間を要してしまうという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、補強プレートを小さく容易に加工でき、また簡単な取付作業で十分な強度を得ることができるようにした建設機械のトラックフレームを提供することにある。
本発明による建設機械のトラックフレームは、左,右方向に延びた上板、該上板の下側に対面して設けられた下板および前記上板と下板との間に設けられた複数枚の縦板によりボックス状に形成されたセンタフレームと、上面板,該上面板の内側から下向きに延びた内側面板および前記上面板の外側から下向きに延びた外側面板により逆U字状に形成され、該センタフレームの左,右両側に前,後方向に延びるように溶接手段を用いて固着された左,右のサイドフレームと、前記センタフレームの左,右の前側の端部と前記左,右のサイドフレームとの接合部を補強するために当該接合部に溶接手段を用いて固着される補強プレートとを備えてなる。
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記補強プレートは、前記センタフレームに対して前記上板の下面に固着すると共に、前記サイドフレームに対して前記上面板と内側面板との間の角隅部に固着する構成としたことにある。
請求項2の発明は、前記センタフレームの上板には、前記補強プレートの上側に位置する部位に切欠部を設け、この切欠部に沿うように溶接を施すことにより前記補強プレートを前記上板の下面に固着する構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、補強プレートは、センタフレームを構成する上板の下面に固着することにより、センタフレームの左,右両側の傾斜角度、サイドフレームの上面板の傾斜角度に影響されることなく、サイドフレームの上面板と内側面部との間の角隅部に固着することができる。この場合、サイドフレームの上面板と内側面部との間の角隅部は、立体的な構造によって高い強度を有している。従って、補強プレートは、センタフレーム、サイドフレームに対して高い取付強度をもって取付けることができる。
この結果、補強プレートは、大きくしたり、曲げ加工を施して強度を高める必要がないから、該補強プレートを小さく単純な平板として容易に製造することができる。しかも、小さな補強プレートは土砂の堆積を抑制でき、清掃に関する手間を省くことができる。また、補強プレートの小型化によって重量を軽減することができる。さらに、補強プレートは、サイドフレームに対して簡単に突き合わせることができるから、高い寸法精度も正確な位置決め作業も必要とせず、加工作業、取付作業の作業性を向上することができる。
請求項2の発明によれば、センタフレームの上板には、補強プレートの上側に位置する部位に切欠部を設け、この切欠部に沿うように溶接を施しているから、切欠部によって形成される曲線により溶接長を長くすることができる。これにより、補強プレートとセンタフレームの上板との取付強度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械のトラックフレームを、油圧ショベルの下部走行体に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図7に従って詳細に説明する。
図1において、1は土砂等の掘削作業に用いられる建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、本実施の形態に係る後述のトラックフレーム11を備えたクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に設けられた後述の作業装置27とにより大略構成されている。
ここで、下部走行体2の前側には、排土板装置5が上,下方向に回動可能に設けられている。この排土板装置5は、左,右方向に延びたブレード5Aと、先端側に該ブレード5Aが取付けられた支持アーム5Bと、該支持アーム5Bを介して前記ブレード5Aを上,下方向に回動させる排土シリンダ(図示せず)とにより大略構成されている。また、前記支持アーム5Bは、二股に分岐した基端側が後述のトラックフレーム11を構成するセンタフレーム12のアームブラケット19に回動可能に取付けられている。また、前記排土シリンダは、基端側がセンタフレーム12のシリンダブラケット18に回動可能に取付けられ、先端側が支持アーム5Bの先端側に回動可能に取付けられている。
一方、下部走行体2は、後述のトラックフレーム11と、該トラックフレーム11を構成する左,右のサイドフレーム20,21の前,後方向一端に設けられた左,右の駆動輪6と、左,右のサイドフレーム20,21の前,後方向他端に設けられた左,右の遊動輪7と、これら駆動輪6と遊動輪7とに巻回して設けられた左,右の履帯8(いずれも左側のみ図示)とにより大略構成されている。また、サイドフレーム20,21の下側と上側には、履帯8を周回方向に案内する複数個の下ローラ9と1個の上ローラ10が設けられている。
11は本実施の形態による油圧ショベル1のトラックフレームを示している。このトラックフレーム11は、図2ないし図6に示すように、後述のセンタフレーム12と、該センタフレーム12の左,右両側に位置する左,右のサイドフレーム20,21とにより大略構成されている。
12はトラックフレーム11の中央部に位置するセンタフレームである。このセンタフレーム12は、図3に示すように、中央に位置する中央フレーム部12Aと、該中央フレーム部12Aの前側に位置して左,右方向に延びた左前脚部12B,右前脚部12Cと、中央フレーム部12Aの後側に位置して斜めに延びた左後脚部12D,右後脚部12Eとを備えている。ここで、前記左,右の前脚部12B,12Cは、例えば前側に排土板装置5を設ける構造とするために、左,右方向にほぼ一直線に延びている。これにより、センタフレーム12は、全体が略K字状をなし、左前脚部12B,右前脚部12Cにサイドフレーム20,21がほぼ直角に取付けられている。
さらに、センタフレーム12は、作業現場を走行中に岩石等の障害物に下側(底面)部分が接触しないように、図4、図5に示す如く、各センタフレーム12の各脚部12B〜12Eを下向きに傾斜させ、中央フレーム部12Aを高い位置に配置している。そして、センタフレーム12は、後述の上板13、下板14、縦板15等によりボックス形状に構成されている。
13はセンタフレーム12の上側部分を形成する上板で、該上板13は、鋼板等を用いて略K字状に形成されている。即ち、上板13は、中央に位置して平坦な中央板13Aと、該中央板13Aの左前側から左側に真直ぐに延びた左前板13Bと、前記中央板13Aの右前側から右側に真直ぐに延びた右前板13Cと、前記中央板13Aの左後側から左斜め後側に延びた左後板13Dと、前記中央板13Aの右後側から右斜め後側に延びた右後板13Eとからなっている。
ここで、上板13の前端縁13Fは、図3に示す平面視において、ほぼ直線状に形成され、その左,右両側には後述の切欠部16が形成されると共に、該切欠部16の下側に位置して後述の補強プレート26が固着されている。また、上板13の左前板13B、左後板13Dは、左,右方向の外側となる先端側が下向きに傾斜し、その端部が後述する左サイドフレーム20のフレーム本体22に溶接手段を用いて接合されている。一方、右前板13C、右後板13Eは、左,右方向の外側となる先端側が下向きに傾斜し、後述する右サイドフレーム21のフレーム本体22に溶接手段を用いて接合されている。
14は上板13の下側に所望の間隔で対面して配設されたセンタフレーム12の下板を示している。この下板14は、上板13とほぼ同様に、鋼板等を用いて中央板14A、左前板14B、右前板14C、左後板14D、右後板14Eにより略K字状に形成されている。また、各板14B〜14Eは、上板13とほぼ同等の角度をもって先端側が下向きに傾斜し、左前板14B、左後板14Dの端部は後述する左サイドフレーム20のフレーム本体22の下側部位に固着されている。一方、右前板14C、右後板14Eの端部は右サイドフレーム21のフレーム本体22の下側部位に固着されている。
15は上板13と下板14との間に設けられた複数枚の縦板で、該各縦板15は、例えば前縦板15A、中間縦板15B,15C、後縦板15D等から構成されている。そして、縦板15は、センタフレーム12の各脚部12B〜12Eの側面部を形成している。また、縦板15A,15B,15C,15Dは、上,下方向の端部が上板13,下板14に溶接手段を用いて固着され、これにより、上板13と下板14との間を閉塞してボックス構造を形成している。また、縦板15のうち前側に位置する左,右の前縦板15Aは、上板13の前端縁13Fから後述する補強プレート26の取付代の分だけ(後述の切欠部16よりも大きく)後退した位置に配設されている。
16は上板13の左,右の前板13B,13Cのうち、前側の端部にそれぞれ設けられた切欠部である。この左,右の切欠部16は、直線状の前端縁13Fを緩やかな円弧状に切欠くことにより形成されている。そして、各切欠部16は、後述の補強プレート26の上側に位置し、該補強プレート26を溶接するときに溶接ビードが形成される部位である。ここで、各切欠部16は、円弧状に曲げることで溶接長(溶接ビードの長さ寸法)を長くし、溶接による上板13と補強プレート26との取付強度を高めるものである。また、切欠部16は円弧状に形成したことで応力の集中を避けることができ、耐久性を高めることができる。
17はセンタフレーム12の中央フレーム部12Aに設けられた丸胴を示している。また、18はセンタフレーム12の前部中央に設けられたシリンダブラケット、19は該シリンダブラケット18の左,右両側に位置してセンタフレーム12の前部に設けられた2個のアームブラケットをそれぞれ示している。また、各アームブラケット19には、排土板装置5の支持アーム5Bが上,下方向に回動可能に取付けられ、シリンダブラケット18には、排土板装置5の排土シリンダが上,下方向に回動可能に取付けられている。
ここで、各シリンダブラケット18、アームブラケット19は、センタフレーム12の前部を左,右方向に一直線状に形成したことにより、簡単な取付作業で正確な位置に取付けることができる。また、油圧ホース(図示せず)の取回しを容易にできる上に、メンテナンス作業を行うスペースも周囲に確保することができる。
20はセンタフレーム12の左側に溶接手段を用いて固着された左サイドフレーム、21はセンタフレーム12の右側に溶接手段を用いて固着された右サイドフレームをそれぞれ示している。また、左サイドフレーム20は、センタフレーム12の左前脚部12B、左後脚部12Dの先端部に取付けられた状態で前,後方向に延びている。一方、右サイドフレーム21は、センタフレーム12の右前脚部12C、右後脚部12Eの先端部に取付けられた状態で前,後方向に延びている。
また、左サイドフレーム20は、前,後方向に延びたフレーム本体22と、該フレーム本体22の前側に設けられ、遊動輪7をヨーク(図示せず)を介して前,後方向に移動可能に支持する2枚のガイド板23と、前記フレーム本体22の後側に設けられ、油圧モータ(図示せず)を介して駆動輪6が取付けられる駆動輪ブラケット24とにより大略構成されている。
また、左サイドフレーム20の本体部を構成するフレーム本体22は、図5に示す如く、例えば1枚の鋼板を折曲げ加工することにより形成されている。即ち、フレーム本体22は、上面板22Aと、該上面板22Aの内側(センタフレーム12側)から下向きに延びた内側面板22Bと、前記上面板22Aの外側から下向きに延びた外側面板22Cとにより逆U字状に形成されている。また、上面板22Aは、上側に乗った土砂等が外側に落下するように、内側から外側に向けて下側に傾斜している。
ここで、フレーム本体22は、上面板22Aの内側部を下向きに折曲げて内側面板22Bを設けているから、この上面板22Aと内側面板22Bとの間は折曲げられて角隅部22Dとなっている。また、角隅部22Dは、立体的な構造を有しているから平板よりも高い強度を有している。これにより、フレーム本体22に後述の補強プレート26を固着する場合、角隅部22Dに溶接することにより高い取付強度をもって取付けることができる。
そして、左サイドフレーム20をセンタフレーム12に取付ける場合には、フレーム本体22の角隅部22D上側をセンタフレーム12を構成する上板13の左前板13B、左後板13D先端に溶接手段を用いて固着している。また、フレーム本体22の内側面板22Bを下板14の左前板14B、左後板14D先端、対応する縦板15の先端に溶接手段を用いて固着している。
なお、左サイドフレーム20と右サイドフレーム21とは、左,右で対称形状となっている点を除いて、構成、取付構造が同様になっているため、右サイドフレーム21は、左サイドフレーム20と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略するものとする。
このように、センタフレーム12に対して左,右のサイドフレーム20,21を固着する場合、左,右方向に直線状に延びたセンタフレーム12の各前脚部12B,12Cの前端に対し、前,後方向に延びた各サイドフレーム20,21を固着している。このため、センタフレーム12の左,右の前端とサイドフレーム20,21との間の接合部位は、T字状に交差(衝合)した交差接合部25となっている。この交差接合部25は、例えば排土板装置5、作業装置27から作用する応力が集中する虞があり、この応力集中を避ける手段として、交差接合部25に位置してセンタフレーム12と各サイドフレーム20,21との間に後述の補強プレート26を取付けている。
26はセンタフレーム12と左,右のサイドフレーム20,21との間に設けられた左,右の補強プレートを示している。この左,右の補強プレート26は、センタフレーム12に左,右のサイドフレーム20,21をT字状に衝合して固着したときに前側に形成されるほぼ直角な交差接合部25を補強するものである。なお、左,右の補強プレート26は、同様の構成となっていることから、左側の補強プレート26について説明し、右側の補強プレート26の説明は省略するものとする。
左側の補強プレート26は、例えば高強度な鋼板を用いて形成されている。即ち、補強プレート26は、図7に示す如く、センタフレーム12側に位置する直線状の後端縁26Aと、左サイドフレーム20側に位置して該後端縁26Aとほぼ直角な直線状の外端縁26Bと、該外端縁26Bの前端から後端縁26Aの先端に向けて延びた凹円弧状の円弧状端縁26Cと、該円弧状端縁26Cと後端縁26Aとの間に形成された内端縁26Dとからなる台形ないし略三角形状に形成されている。また、補強プレート26は、後述する溶接構造によってセンタフレーム12、左サイドフレーム20に対して高い溶接強度をもって固着することができるから、小型、軽量に形成することができる。
そこで、補強プレート26をセンタフレーム12、左サイドフレーム20に溶接手段を用いて固着する場合について説明する。この場合、補強プレート26は、図7に示すように、切欠部16の下側となるように上板13の左前板13Bの下面に当接させた状態で、外端縁26Bを左サイドフレーム20を構成するフレーム本体22の角隅部22Dに当接させる。このときには、上板13の左前板13Bの傾斜角度、フレーム本体22の上面板22Aの傾斜角度に関係なく、補強プレート26の外端縁26Bをフレーム本体22の角隅部22Dに簡単に、かつ正確に突き合わせることができ、位置決め作業を容易に行うことができる。
そして、補強プレート26を溶接位置に位置決めしたら、図5、図6に示すように、外端縁26Bをフレーム本体22の角隅部22Dに溶接し、内端縁26Dを上板13の左前板13Bの下面に溶接する。また、切欠部16の曲線に沿って上板13の左前板13Bと補強プレート26の上面26Eとを溶接する。
この溶接構造では、補強プレート26は、その外端縁26Bを左サイドフレーム20のフレーム本体22で高強度な角隅部22Dに溶接することにより、補強プレート26と左サイドフレーム20とを高い取付強度をもって固着することができる。また、補強プレート26は、その内端縁26Dを上板13の左前板13Bの下面に溶接している上に、上面26Eを左前板13Bに溶接している。しかも、補強プレート26の上面26Eに対する溶接長(溶接ビードの長さ寸法)は、屈曲した切欠部16に沿って溶接することで伸ばすことができるから、補強プレート26とセンタフレーム12とを高い取付強度をもって固着することができる。
なお、27は上部旋回体4の前部に設けられた作業装置である。この作業装置27は、俯仰動することにより土砂の掘削作業等を行うものである。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、上部旋回体4のキャブに搭乗して走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2によって油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)を操作することにより、作業装置27を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、センタフレーム12に左,右のサイドフレーム20,21を固着したときの交差接合部25に溶接手段を用いて固着される補強プレート26は、センタフレーム12に対して上板13の各前板13B,13Cの下面に固着し、サイドフレーム20,21に対してそれぞれのフレーム本体22の角隅部22Dに固着する構成としている。
従って、補強プレート26は、上板13の各前板13B,13Cの傾斜角度、各フレーム本体22の上面板22Aの傾斜角度に影響されることなく、その外端縁26Bをフレーム本体22の角隅部22Dに簡単に、かつ正確に突き合わせることができる。また、補強プレート26は、サイドフレーム20,21を構成する部分で高強度なフレーム本体22の角隅部22Dに固着することができる。これにより、補強プレート26は、位置決め作業を容易に行うことができ、またセンタフレーム12と各サイドフレーム20,21に対して高い取付強度をもって取付けることができる。
この結果、補強プレート26は、小さく平坦な形状でも補強部材として十分な構造的強度、取付強度を得ることができる。これにより、補強プレート26を小さく単純な平板として容易に製造することができる。
しかも、小さな補強プレート26は、土砂が堆積し難いから、清掃作業を簡略化することができる。また、補強プレート26の小型化によって重量を軽減することができる。さらに、補強プレート26は、サイドフレーム20,21に対して簡単に突き合わせることができるから、高い寸法精度も正確な位置決め作業も必要とせず、加工作業、取付作業の作業性を向上することができる。
また、センタフレーム12を構成する上板13の各前板13B,13Cには、各補強プレート26の上側に位置する前端縁13Fの端部にそれぞれ切欠部16を設ける構成としている。従って、上板13に補強プレート26の上面26Eを固着するときには、切欠部16の曲線に沿うように溶接を施すことにより、この切欠部16によって溶接長を長くすることができる。この結果、センタフレーム12の上板13に対して補強プレート26を高い取付強度をもって固着することができ、耐久性、信頼性等を向上することができる。
また、補強プレート26は、上板13の各前板13B,13Cとフレーム本体22の角隅部22Dとに連続する傾斜部分を、凹円弧状に湾曲した円弧状端縁26Cとしているから、応力を周囲に分散することができ、この点でも耐久性等を向上することができる。
さらに、上板13の下面側に補強プレート26を配設しているから、多くの溶接部位を通常の作業姿勢で上側から溶接できる位置に配置することができる。これにより、溶接作業時の作業性、溶接の品質等を向上することができる。
なお、実施の形態では、トラックフレーム11のセンタフレーム12に4本の脚部12B〜12Eを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば従来技術で述べた特許文献1のように、左,右方向に延びる長方形状のセンタフレームを備えたトラックフレームに適用してもよい。
また、実施の形態では、左,右のサイドフレーム20,21を構成するフレーム本体22は、1枚の板材を折曲げることによって上面板22A、内側面板22B、外側面板22Cからなる逆U字状に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上面板、内側面板、外側面板をそれぞれ別部材として設け、上面板から下側に延びるように内側面板と外側面板を溶接手段等を用いて固着する構成としてもよい。また、内側面板と外側面板のいずれか一方だけを別体に設け、後から溶接する構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、建設機械のトラックフレームとして、油圧ショベル1の下部走行体2を構成するトラックフレーム11を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば油圧クレーン等の他の建設機械の下部走行体のトラックフレームにも広く適用することができる。
本発明の実施の形態によるトラックフレームを備えた油圧ショベルを示す正面図である。 図1中のトラックフレームを単体で示す拡大正面図である。 トラックフレームを単体で示す拡大平面図である。 トラックフレームを単体で示す拡大斜視図である。 センタフレームと左サイドフレームと補強プレートとの取付関係を図2中の矢示V−V方向からみた拡大断面図である。 センタフレームと左サイドフレームと補強プレートとの取付関係を示す要部拡大の斜視図である。 センタフレームと左サイドフレームに対して補強プレートを取付ける状態を示す要部拡大の分解斜視図である。
符号の説明
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
5 排土板装置
6 駆動輪
7 遊動輪
8 履帯
11 トラックフレーム
12 センタフレーム
13 上板
14 下板
15 縦板
16 切欠部
20 左サイドフレーム
21 右サイドフレーム
22 フレーム本体
22A 上面板
22B 内側面板
22C 外側面板
22D 角隅部
25 交差接合部
26 補強プレート
26A 後端縁
26B 外端縁
26C 円弧状端縁
26D 内端縁

Claims (2)

  1. 左,右方向に延びた上板、該上板の下側に対面して設けられた下板および前記上板と下板との間に設けられた複数枚の縦板によりボックス状に形成されたセンタフレームと、
    上面板,該上面板の内側から下向きに延びた内側面板および前記上面板の外側から下向きに延びた外側面板により逆U字状に形成され、該センタフレームの左,右両側に前,後方向に延びるように溶接手段を用いて固着された左,右のサイドフレームと、
    前記センタフレームの左,右の前側の端部と前記左,右のサイドフレームとの接合部を補強するために当該接合部に溶接手段を用いて固着される補強プレートとを備えてなる建設機械のトラックフレームにおいて、
    前記補強プレートは、前記センタフレームに対して前記上板の下面に固着すると共に、前記サイドフレームに対して前記上面板と内側面板との間の角隅部に固着する構成としたことを特徴とする建設機械のトラックフレーム。
  2. 前記センタフレームの上板には、前記補強プレートの上側に位置する部位に切欠部を設け、この切欠部に沿うように溶接を施すことにより前記補強プレートを前記上板の下面に固着する構成としてなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
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