JP5362375B2 - 建設機械の排土装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械に搭載され土砂等の排土作業に好適に用いられる建設機械の排土装置に関する。
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成されている。そして、上部旋回体の前部側には、土砂等の掘削作業を行う作業装置が俯仰動可能に設けられ、下部走行体には、土砂等の排土作業を行う排土装置が設けられている。
ここで、油圧ショベルの排土装置は、通常、前,後方向に延びる中空な筒体からなり基端側が下部走行体に回動可能に取付けられた左,右のアームと、該左,右のアームの先端側に左,右方向に延びて設けられたブレードと、該ブレードよりも後側に位置して左,右のアーム間に配置され左,右方向の両端部が左,右のアームにそれぞれ接合されたシリンダ取付用ビームと、左,右のアーム間に位置して車体とシリンダ取付用ビームとの間に設けられたブレードシリンダとにより大略構成され、ブレードシリンダを伸縮させることにより、左,右のアームを介してブレードを上,下方向に回動(昇降)させることができる構成となっている。
そして、土砂等の排土作業を行う場合には、例えば左,右のアームを下向きに回動させてブレードを地面に接地させた状態で、油圧ショベルを走行させることにより、地面上に積上げられた土砂等をブレードによって走行方向に押出して排土する。これにより、作業現場の地面を平滑化して整地することができる。
特開2004−353301号公報
ところで、排土装置を用いた排土作業時には、例えばブレードの左端側と右端側のうちいずれか一方側が地面上の岩石に乗上げた場合等において、地面からブレードに対して斜め方向の荷重が作用することがあり、この場合には、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部に応力が集中してしまう。
これに対し、従来技術による排土装置においては、例えば左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部に多層溶接を施すことにより当該接合部の強度を高める必要があるため、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとを溶接によって接合するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
また、シリンダ取付用ビームの左,右方向の中間部位には、シリンダ取付用ブラケットを介してブレードシリンダの一端側が接続されているため、ブレードシリンダを伸縮させると、シリンダ取付用ビームの左,右方向の中間部位には大きな面外荷重が作用する。
このため、シリンダ取付用ビームの剛性を高めるために、パイプ体からなるシリンダ取付用ビームの肉厚を大きくした場合には、当該シリンダ取付用ビームの重量が増大してしまうという問題がある。
さらに、シリンダ取付用ビームの肉厚を大きくした場合には、このシリンダ取付用ビームの剛性と左,右のアームの剛性との間に生じる差(剛性差)を補うために、シリンダ取付用ビームが接合される左,右のアームの内側面に、溶接等の手段を用いて補強板を接合する必要があり、この補強板を接合する作業が追加される分、左,右のアームにシリンダ取付用ビームを接合するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部の強度を高めることができ、かつ、シリンダ取付用ビームの剛性を高めることができるようにした建設機械の排土装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため本発明は、前,後方向に延びる中空な筒体からなり基端側が建設機械の車体に回動可能に取付けられた左,右のアームと、該左,右のアームの先端側に左,右方向に延びて設けられた排土作業用のブレードと、該ブレードよりも後側に位置して前記左,右のアーム間に配置され左,右方向の両端部が前記左,右のアームにそれぞれ接合されたシリンダ取付用ビームと、前記左,右のアーム間に位置して前記車体と前記シリンダ取付用ビームとの間に設けられ前記ブレードを上,下方向に回動させるブレードシリンダとを備えてなる建設機械の排土装置に適用される。
そして、請求項1の発明の特徴は、前記シリンダ取付用ビームは、左,右方向の中間部に位置して円筒状をなす円筒部と、左,右方向の両端側に位置して形成され朝顔状に拡径する左,右のフレア部とにより構成し、前記円筒部の外周側には、前記ブレードシリンダを取付けるための一対のシリンダ取付用ブラケットを設け、前記左,右のフレア部の外周縁部の上端側には、前記左,右のアームの側面との間にレ形開先を形成するための上側面取り部を設け、前記左,右のフレア部の外周縁部の下端側には、前記左,右のアームの側面との間にレ形開先を形成するための下側面取り部を設け、該左,右のフレア部の上面と前記左,右のアームの上面とが滑らかに連続すると共に前記左,右のフレア部の下面と前記左,右のアームの下面とが滑らかに連続する状態で、前記各フレア部の外周縁部の全周と前記各アームの側面との間をそれぞれ溶接する構成とし、前記円筒部の内周側には、前記一対のシリンダ取付用ブラケットに対応する位置に補強リブを設ける構成としたことにある。
請求項2の発明は、前記左,右のフレア部は前記左,右のアームの長さ方向に延びる楕円形状、長円形状または矩形状の断面形状を有し、前記左,右のアームは角形状の断面形状を有する角筒体により構成し、前記左,右のフレア部の上端部は前記左,右のアームの上端側の角隅部にそれぞれ溶接し、前記左,右のフレア部の下端部は前記左,右のアームの下端側の角隅部にそれぞれ溶接する構成としたことにある。
請求項の発明は、前記シリンダ取付用ビームは、円筒部、フレア部、および補強リブを鋳造手段により一体的に成形する構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、シリンダ取付用ビームの左,右方向の両端部を朝顔状に拡径したフレア部として形成し、これら左,右のフレア部と左,右のアームとの間を溶接することにより、フレア部の周囲に形成される溶接部の長さを大きく確保することができるので、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部の接合強度を高めることができる。この場合、左フレア部に設けられた上側面取り部および下側面取り部と左アームの側面との間にそれぞれレ形開先を形成することができるので、左フレア部を左アームの側面に確実に溶接することができる。一方、右フレア部に設けられた上側面取り部および下側面取り部と右アームの側面との間にそれぞれレ形開先を形成することができるので、右フレア部を右アームの側面に確実に溶接することができる。
また、各フレア部の上面と各アームの上面とが滑らかに連続し、各フレア部の下面と各アームの下面とが滑らかに連続することにより、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部に応力が集中するのを抑えることができ、当該接合部の接合強度を一層高めることができる。さらに、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部に多層溶接を施す必要がないので、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとを溶接によって接合するときの作業性を高めることができる。
一方、シリンダ取付用ビームを、左,右方向の中間部に位置する円筒部と、左,右方向の両端側に位置する左,右のフレア部とにより構成したので、シリンダ取付用ビームの上面側に土砂等が付着するのを抑えることができ、清掃作業等の簡略化を図ることができる。また、円筒部の外周側に一対のシリンダ取付用ブラケットを設けることにより、ブレードシリンダから作用する外力を剛性の高い円筒部によって受けることができる。
さらに、円筒部の内周側のうちシリンダ取付用ブラケットに対応する位置に補強リブを設けることにより、ブレードシリンダからの外力を受ける円筒部の剛性を高め、シリンダ取付用ビーム全体の剛性を高めることができる。しかも、補強リブによってシリンダ取付用ビームの剛性を高めることにより、筒状をなすシリンダ取付用ビーム全体の肉厚を大きくする必要がないので、シリンダ取付用ビームの剛性を確保しつつ軽量化を図ることができ、左,右のアームにシリンダ取付用ビームを接合するときの作業性を高めることができる。
請求項2の発明によれば、左,右のアームを角筒体により構成し、これら左,右のアームのうち剛性が高い上端側の角隅部に左,右のフレア部の上端部を溶接すると共に、剛性が高い下端側の角隅部に左,右のフレア部の下端部を溶接することにより、左,右のアームとシリンダ取付用ビームとの接合部の接合強度を高めることができる。
請求項の発明によれば、シリンダ取付用ビームを構成する円筒部、左,右のフレア部、補強リブを鋳造手段により一体的に成形したので、円筒部と左,右のフレア部との境界部分を滑らかな連続面として形成することができ、シリンダ取付用ビーム全体の剛性を高めることができる。
本発明の実施の形態による排土装置を備えた油圧ショベルを示す正面図である。 図1中の下部走行体と排土装置を示す平面図である。 左,右のアーム、ブレード、シリンダ取付用ビーム等を示す平面図である。 シリンダ取付用ビームの右フレア部と右アームとの接合部を拡大して示す斜視図である。 右フレア部と右アームとの接合部を図4中の矢示V−V方向からみた断面図である。 右アーム、ブレード、右フレア部等を図3中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。 シリンダ取付用ビームを単体で示す斜視図である。 シリンダ取付用ビームを図7中の矢示VIII−VIII方向からみた左側面図である。 シリンダ取付用ビームを図8中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。 ブレードを地面に接地させた状態を図2中の矢示X−X方向からみた断面図である。 ブレードを上限位置に回動させた状態を示す図10と同様な断面図である。 ブレードを下限位置に回動させた状態を示す図10と同様な断面図である。 フレア部の第1の変形例を示す図6と同様な断面図である。 フレア部の第2の変形例を示す図6と同様な断面図である。
以下、本発明に係る建設機械の排土装置について、油圧ショベルの排土装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とにより大略構成されている。そして、上部旋回体4の前部側には、スイング式の作業装置5が左,右方向に揺動可能に、かつ上,下方向に俯仰動可能に設けられ、この作業装置5によって土砂の掘削作業等を行うものである。
ここで、油圧ショベル1の下部走行体2は、ベースとなるトラックフレーム6を有し、図1および図2に示すように、トラックフレーム6は、左,右方向の中央部に位置するセンタフレーム6Aと、該センタフレーム6Aを挟んで左,右に配置され前,後方向に延びた左,右のサイドフレーム6Bと、センタフレーム6Aと左,右のサイドフレーム6Bとの間をそれぞれ連結する前,後の脚体6C,6Cとにより大略構成されている。
そして、トラックフレーム6を構成するセンタフレーム6Aの前端側には、左,右方向の中央部に配置され後述のブレードシリンダ34が取付けられる走行体側シリンダブラケット6Dと、該走行体側シリンダブラケット6Dを挟んで左,右両側に配置され後述する左,右のアーム22,23の基端側が取付られる左,右のアームブラケット6E,6Fとが、それぞれ前方に突出して設けられている。また、センタフレーム6Aの上面側には旋回輪3が取付けられている。
さらに、トラックフレーム6を構成する左,右のサイドフレーム6Bには、前,後方向の一端側に位置する駆動輪7と他端側に位置する遊動輪8とが設けられ、これら駆動輪7と遊動輪8とには履帯(クローラ)9が巻回されている。
一方、油圧ショベル1の上部旋回体4は、トラックフレーム6(センタフレーム6A)上に旋回輪3を介して取付けられたベースとなる旋回フレーム10と、該旋回フレーム10上の左側に配置されオペレータが着席する運転席11と、旋回フレーム10の後端側に配設され作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト12と、運転席11の上方を覆うキャノピ13とにより大略構成されている。
次に、21は本実施の形態に係る排土装置を示している。この排土装置21は、下部走行体2の前,後方向の一側(例えば、前部側)に設けられ、例えば作業装置5を用いて掘削した土砂等を排土する排土作業、除雪作業等を行うものである。そして、排土装置21は、後述する左,右のアーム22,23、ブレード25、シリンダ取付用ビーム27、ブレードシリンダ34等により構成されている。
22,23はトラックフレーム6のセンタフレーム6Aに取付けられた左,右一対のアームで、これら左,右のアーム22,23は、センタフレーム6Aから前方に向けて延び、左,右の履帯9の前端部よりも前方へと突出している。そして、図3等に示すように、左,右のアーム22,23は後述のシリンダ取付用ビーム27によって一体的に連結され、左,右のアーム22,23の先端側には、後述のブレード25が取付けられる構成となっている。
ここで、図4および図5に示すように、右アーム23は、上面23A、下面23B、左,右の側面23C,23Cによって囲まれた四角形ないし矩形の断面形状を有する角筒体により形成されている。また、右アーム23の基端側には取付ブラケット23Dが溶接等の手段を用いて固着され、この取付ブラケット23Dは、トラックフレーム6(センタフレーム6A)に設けられた右側のアームブラケット6Fに、連結ピン24を介して上,下方向に回動可能にピン結合されている(図2参照)。
一方、左アーム22も、左アーム23と同様に、上面22A、下面22B、左,右の側面22C,22Cによって囲まれた四角形ないし矩形の断面形状を有する角筒体により形成されている。また、左アーム22の基端側には取付ブラケット22Dが固着され、この取付ブラケット22Dは、トラックフレーム6に設けられた左側のアームブラケット6Eに、連結ピン24を介して上,下方向に回動可能にピン結合されている。
25は左,右のアーム22,23の先端側に設けられたブレード(排土板)で、該ブレード25は、図2に示すように、左,右の履帯9の前端部よりも前方に配置され、左,右の履帯9の幅寸法(車幅)とほぼ等しい幅寸法をもって左,右方向に延びている。そして、ブレード25は、油圧ショベル1を走行させることにより、地面に積上げられた土砂等を走行方向に押出して排土するものである。
ここで、ブレード25は、図3および図6等に示すように、例えば鋼板材等の板体を用いて形成され、なだらかな凹湾曲状の断面形状をもって上,下方向に延びた前面板25Aと、逆L字状の断面形状を有し前面板25Aの後面側に固着された後面板25Bと、左,右方向に延びる厚肉な板体からなり前面板25Aの下端側に固着されて斜め下向きに突出するカッティングエッジ25Cと、これら前面板25A、後面板25B、カッティングエッジ25Cの左,右両端部に固着された左,右の側面板25D,25Dとにより大略構成されている。
そして、ブレード25の後面板25Bには、左,右のアーム22,23の先端部が溶接等の手段を用いて固着されている。また、後面板25Bと左アーム22との間、および後面板25Bと右アーム23との間には、それぞれ略三角形状をなす複数枚の補強板26が固着されている。
次に、27はブレード25よりも後側に位置して左,右のアーム22,23間に配置されたシリンダ取付用ビームを示している。このシリンダ取付用ビーム27は、左,右方向に延びる筒体からなり、左,右方向の両端部が、左,右のアーム22,23の長さ方向の途中部位にそれぞれ接合される構成となっている。そして、シリンダ取付用ビーム27は、左,右のアーム22,23を一体的に連結すると共に、後述するブレードシリンダ34が取付けられるものである。ここで、シリンダ取付用ビーム27は、図7ないし図9に示すように、後述の円筒部28、左,右のフレア部29,30、補強リブ32等により、全体として左,右方向に延びる中空な筒体として構成され、これら円筒部28、左,右のフレア部29,30および補強リブ32は、鋳造手段を用いて一体的に成形される構成となっている。
28はシリンダ取付用ビーム27の左,右方向の中間部を構成する円筒部で、該円筒部28は、例えば左アーム22の上面22Aと下面22Bとの間隔よりも小さな外径寸法を有する円筒状をなしている。そして、円筒部28の左,右方向の両端側には、後述する左,右のフレア部29,30が滑らかに連続して設けられ、円筒部28の内周側には、後述の補強リブ32が設けられている。さらに、円筒部28の外周側には、後述するシリンダ取付用ブラケット33が取付けられる構成となっている。
29,30はシリンダ取付用ビーム27の左,右方向の両端部を構成する左,右のフレア部を示し、これら左,右のフレア部29,30は、シリンダ取付用ビーム27の両端側を朝顔状に拡径させたもので、左,右のアーム22,23の側面22C,23Cにそれぞれ溶接手段を用いて接合されるものである。
ここで、右フレア部30は、円筒部28の右端側から漸次拡径しつつ右アーム23に向けて延び、右フレア部30の外周縁部30Aは、全周に亘って右アーム23の側面23Cに溶接されている。そして、右フレア部30の断面形状は、右アーム23の長さ方向(前,後方向)が長軸となる楕円状に形成されており、右フレア部30の外周縁部30Aを右アーム23の側面23Cに全周溶接したときに、この外周縁部30Aの周囲に形成される溶接ビード31の長さを大きく確保することができる構成となっている。
また、図5等に示すように、右フレア部30の外周縁部30Aの上端側には、右アーム23の側面23Cとの間にレ形開先を形成する上側面取り部30B1が設けられ、右フレア部30の外周縁部30Aの下端側には、右アーム23の側面23Cとの間にレ形開先を形成する下側面取り部30C1が設けられている。
そして、右フレア部30の外周縁部30Aを、右アーム23の側面23Cに全周に亘って溶接することにより、右フレア部30の上端部は、右アーム23の上面23Aと側面23Cとが交わる上端側の角隅部23A1に接合され、右フレア部30の下端部は、右アーム23の下面23Bと側面23Cとが交わる下端側の角隅部23B1に接合される。
これにより、右フレア部30の上面30Bが、右アーム23の上面23Aに滑らかに連続すると共に、右フレア部30の下面30Cが、右アーム23の下面23Bに滑らかに連続し、右フレア部30と右アーム23との接合部に応力が集中するのを抑えることができる構成となっている。
一方、左フレア部29は、円筒部28の左端側から漸次拡径しつつ左アーム22に向けて延び、左フレア部29の外周縁部29Aは、全周に亘って左アーム22の側面22Cに溶接されている。ここで、左フレア部29の断面形状は、右フレア部30と同様に、左アーム22の長さ方向が長軸となる楕円状に形成されており、左フレア部29の外周縁部29Aを左アーム22の側面22Cに全周溶接したときに、この外周縁部29Aの周囲に形成される溶接ビード31の長さを大きく確保することができる構成となっている。
また、図9等に示すように、左フレア部29の外周縁部29Aの上端側には、左アーム22の側面22Cとの間にレ形開先を形成する上側面取り部29B1が設けられ、左フレア部29の外周縁部29Aの下端側には、左アーム22の側面22Cとの間にレ形開先を形成する下側面取り部29C1が設けられている。
そして、左フレア部29の外周縁部29Aを、左アーム22の側面22Cに全周に亘って溶接することにより、左フレア部29の上端部は、左アーム22の上面22Aと側面22Cとが交わる上端側の角隅部22A1(図3参照)に接合され、左フレア部29の下端部は、左アーム22の下面22Bと側面22Cとが交わる下端側の角隅部(図示せず)に接合される。
これにより、右フレア部30と同様に、左フレア部29の上面29Bが、左アーム22の上面22Aに滑らかに連続すると共に、左フレア部29の下面29Cが、左アーム22の下面22Bに滑らかに連続し、左フレア部29と左アーム22との接合部に応力が集中するのを抑えることができる構成となっている。
32はシリンダ取付用ビーム27を構成する円筒部28の内周側に設けられた補強リブで、該補強リブ32は、後述するブレードシリンダ34からの荷重を受ける円筒部28を、その内側から補強するものである。ここで、補強リブ32は、円筒部28の内周側のうち後述するシリンダ取付用ブラケット33に対応する位置に設けられ、図10に示すように、ブレードシリンダ34の軸中心線O−Oに沿って円筒部28の径方向に延びる平板状に形成されている。
そして、補強リブ32は、ブレードシリンダ34を縮小させてブレード25を上限位置まで回動させた状態(図11に示す状態)では、ブレードシリンダ34の軸中心線O−Oよりも僅かに下方に位置し、ブレードシリンダ34を伸長させてブレード25を下限位置まで回動させた状態(図12に示す状態)では、ブレードシリンダ34の軸中心線O−Oよりも僅かに上方に位置する構成となっている。
このように、補強リブ32は、ブレード25を上限位置と下限位置との間で回動させるときに、ブレードシリンダ34の軸中心線O−Oに沿って円筒部28の径方向に延びる位置に配置され、円筒部28を内周側から補強する。これにより、ブレード25を回動させるときにブレードシリンダ34からシリンダ取付用ビーム27の円筒部28に作用する面外荷重を、補強リブ32によって補強された円筒部28によって確実に受けることができる構成となっている。
そして、本実施の形態によるシリンダ取付用ビーム27は、上述の円筒部28、左,右のフレア部29,30および補強リブ32を、鋳造手段を用いて一体的に成形することにより、円筒部28と左,右のフレア部29,30との境界部分を滑らかな連続面として形成することができ、シリンダ取付用ビーム27全体の剛性を高めることができる構成となっている。
33はシリンダ取付用ビーム27を構成する円筒部28の外周側に設けられた左,右一対のシリンダ取付用ブラケットで、該一対のシリンダ取付用ブラケット33は、後述するブレードシリンダ34のボトム側が取付けられるものである。ここで、各シリンダ取付用ブラケット33は、例えば鋼板材等を用いて略三角形状をなす板体として形成され、左,右方向で一定の間隔をもって対面した状態で、円筒部28の外周面に溶接手段を用いて一体的に固着されている。
34は左,右のアーム22,23間に位置して下部走行体2のトラックフレーム6とシリンダ取付用ビーム27との間に設けられたブレードシリンダで、該ブレードシリンダ34は、左,右のアーム22,23の先端側に設けられたブレード25を上,下方向に回動させるものである。
ここで、ブレードシリンダ34のボトム側は、シリンダ取付用ビーム27のシリンダ取付用ブラケット33に、連結ピン35を介して回動可能に連結され、ブレードシリンダ34のロッド側は、トラックフレーム6の走行体側シリンダブラケット6Dに、連結ピン36を介して回動可能に連結されている。
従って、ブレードシリンダ34を伸縮させることにより、ブレード25は、左,右のアーム22,23とトラックフレーム6の左,右のアームブラケット6E,6Fとを連結する連結ピン24を中心として、図11に示す上限位置と図12に示す下限位置との間で上,下方向に回動する構成となっている。
本実施の形態による油圧ショベル1の排土装置21は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走した後、例えば上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5を俯仰動させることにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
一方、掘削されて地面上に積上げられた土砂を排土する場合には、例えば図10に示すように、ブレードシリンダ34を伸長させることにより左,右のアーム22,23を介してブレード25を下向きに回動させ、ブレード25のカッティングエッジ25Cを地面に接地させる。この状態で、油圧ショベル1を走行させることにより、地面に積上げられた土砂をブレード25によって走行方向へと押出すように排土することができ、作業現場での整地作業、土砂の埋戻し作業等を行うことができる。
ここで、上述の排土作業時において、例えばブレード25の左端側と右端側のうちいずれか一方側が地面上の岩石に乗上げた場合には、地面からブレード25に対して斜め方向の荷重が作用し、左,右のアーム22,23とシリンダ取付用ビーム27との接合部に応力が集中するようになる。
これに対し、本実施の形態による排土装置21は、シリンダ取付用ビーム27の左,右方向の両端部を、左,右のアーム22,23の長さ方向が長軸となる楕円状の断面形状をもって拡径する左,右のフレア部29,30として形成したので、左フレア部29の外周縁部29Aを左アーム22の側面22Cに全周溶接したときに、この外周縁部29Aの周囲に形成される溶接ビード31の長さを大きく確保することができ、右フレア部30の外周縁部30Aを右アーム23の側面23Cに全周溶接したときに、この外周縁部30Aの周囲に形成される溶接ビード31の長さを大きく確保することができる。
このように、シリンダ取付用ビーム27の両端側に朝顔状に拡径した左,右のフレア部29,30を設けることにより、左,右のアーム22,23とシリンダ取付用ビーム27との接合部の接合強度を高めることができ、排土装置21の信頼性を高めることができる。しかも、例えばシリンダ取付用ビーム27の左,右のフレア部29,30と左,右のアーム22,23との接合部に多層溶接を施す必要がなく、左,右のアーム22,23とシリンダ取付用ビーム27とを溶接によって接合するときの作業性を高めることができる。
また、左フレア部29の上端部を左アーム22の上面22Aと側面22Cとが交わる上端側の角隅部22A1に溶接し、左フレア部29の下端部を左アーム22の下面22Bと側面22Cとが交わる下端側の角隅部に溶接することにより、左フレア部29の上面29Bが、左アーム22の上面22Aに滑らかに連続すると共に、左フレア部29の下面29Cが、左アーム22の下面22Bに滑らかに連続する。この結果、左フレア部29と左アーム22との接合部に応力が集中するのを抑えることができ、左フレア部29と左アーム22との接合部の接合強度を一層高めることができる。
これと同様に、右フレア部30の上端部を、右アーム23の上面23Aと側面23Cとが交わる上端側の角隅部23A1に溶接し、右フレア部30の下端部を、右アーム23の下面23Bと側面23Cとが交わる下端側の角隅部23B1に溶接することにより、右フレア部30の上面30Bが、右アーム23の上面23Aに滑らかに連続すると共に、右フレア部30の下面30Cが、右アーム23の下面23Bに滑らかに連続する。この結果、右フレア部30と右アーム23との接合部に応力が集中するのを抑えることができ、右フレア部30と右アーム23との接合部の接合強度を一層高めることができる。
また、角筒体からなる左アーム22は、上端側の角隅部22A1および下端側の角隅部の強度が高く、右アーム23も、上端側の角隅部23A1および下端側の角隅部23B1の強度が高い。このため、左フレア部29の上端部を左アーム22の上端側の角隅部22A1に溶接すると共に、右フレア部30の上端部を右アーム23の上端側の角隅部23A1に溶接し、左フレア部29の下端部を左アーム22の下端側の角隅部に溶接すると共に、右フレア部30の下端部を右アーム23の下端側の角隅部23B1に溶接することにより、左,右のアーム22,23とシリンダ取付用ビーム27との接合強度を高めることができる。
さらに、左フレア部29の上面29Bに上側面取り部29B1を設けると共に下面29Cに下側面取り部29C1を設けることにより、これら上,下の面取り部29B1,29C1と左アーム22の側面22Cとの間にそれぞれレ形開先を形成することができ、左フレア部29を左アーム22の側面22Cに確実に溶接することができる。これと同様に、右フレア部30の上面30Bに上側面取り部30B1を設けると共に下面30Cに下側面取り部30C1を設けることにより、これら上,下の面取り部30B1,30C1と右アーム23の側面23Cとの間にそれぞれレ形開先を形成することができ、右フレア部30を右アーム23の側面23Cに確実に溶接することができる。
また、シリンダ取付用ビーム27を構成する円筒部28の内周側のうち、シリンダ取付用ブラケット33に対応する位置に、ブレードシリンダ34の軸中心線O−Oに沿って円筒部28の径方向に延びる平板状の補強リブ32を設ける構成としたので、ブレードシリンダ34からの外力(面外荷重)を受ける円筒部28の剛性を高め、シリンダ取付用ビーム27全体の剛性を高めることができる。
しかも、補強リブ32によってシリンダ取付用ビーム27の剛性を高めることにより、シリンダ取付用ビーム27全体の肉厚を大きくする必要がなくなり、シリンダ取付用ビーム27の剛性を確保しつつその軽量化を図ることができる。この結果、左,右のアーム22,23にシリンダ取付用ビーム27を溶接によって接合するときの作業性を高めることができる。
また、シリンダ取付用ビーム27を構成する円筒部28、左,右のフレア部29,30、補強リブ32を、鋳造手段を用いて一体的に成形することにより、円筒部28と左,右のフレア部29,30との境界部分を滑らかな連続面として形成することができる。これにより、円筒部28と各フレア部29,30との境界部分に応力が集中することがなく、シリンダ取付用ビーム27全体の剛性を高めることができる。
さらに、シリンダ取付用ビーム27は、円筒部28と左,右のフレア部29,30とにより、全体として中空な円筒状をなしている。このため、シリンダ取付用ビーム27の上面側に土砂等が付着するのを抑え、清掃作業等の簡略化を図ることができる。
なお、上述した実施の形態では、シリンダ取付用ビーム27の左,右両端側を構成する左,右のフレア部29,30を、左,右のアーム22,23の長さ方向が長軸となる楕円状の断面形状に形成した場合を例示している。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図13に示す第1の変形例のように、右アーム23の長さ方向に延びる長円形状の断面形状を有する右フレア部30′と、これと同様な長円形状の断面形状を有する左フレア部(図示せず)とを有するシリンダ取付用ビーム27′として形成してもよい。
また、例えば図14に示す第2の変形例のように、右アーム23の長さ方向に延びる矩形状の断面形状を有する右フレア部30″と、これと同様な矩形状の断面形状を有する左フレア部(図示せず)とを有するシリンダ取付用ビーム27″として形成してもよい。
さらに、上述した実施の形態では、シリンダ取付用ビーム27を構成する円筒部28、左,右のフレア部29,30、補強リブ32を鋳造手段を用いて一体的に成形し、このシリンダ取付用ビーム27の円筒部28に、これとは別部材からなるシリンダ取付用ブラケット33を溶接手段を用いて一体的に固着した場合を例示している。
しかし、本発明はこれに限らず、例えば円筒部28、左,右のフレア部29,30、補強リブ32およびシリンダ取付用ブラケット33を、鋳造手段を用いて一体的に成形する構成としてもよい。
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
4 上部旋回体(車体)
21 排土装置
22 左アーム
22A,23A 上面
22B,23B 下面
22C,23C 側面
22A1,23A1,23B1 角隅部
23 右アーム
25 ブレード
27,27′,27″ シリンダ取付用ビーム
28 円筒部
29 左フレア部
29B,30B 上面
29C,30C 下面
30,30′,30″ 右フレア部
32 補強リブ
33 シリンダ取付用ブラケット
34 ブレードシリンダ

Claims (3)

  1. 前,後方向に延びる中空な筒体からなり基端側が建設機械の車体に回動可能に取付けられた左,右のアームと、
    該左,右のアームの先端側に左,右方向に延びて設けられた排土作業用のブレードと、
    該ブレードよりも後側に位置して前記左,右のアーム間に配置され左,右方向の両端部が前記左,右のアームにそれぞれ接合されたシリンダ取付用ビームと、
    前記左,右のアーム間に位置して前記車体と前記シリンダ取付用ビームとの間に設けられ前記ブレードを上,下方向に回動させるブレードシリンダとを備えてなる建設機械の排土装置において、
    前記シリンダ取付用ビームは、左,右方向の中間部に位置して円筒状をなす円筒部と、左,右方向の両端側に位置して形成され朝顔状に拡径する左,右のフレア部とにより構成し、
    前記円筒部の外周側には、前記ブレードシリンダを取付けるための一対のシリンダ取付用ブラケットを設け、
    前記左,右のフレア部の外周縁部の上端側には、前記左,右のアームの側面との間にレ形開先を形成するための上側面取り部を設け、前記左,右のフレア部の外周縁部の下端側には、前記左,右のアームの側面との間にレ形開先を形成するための下側面取り部を設け、
    該左,右のフレア部の上面と前記左,右のアームの上面とが滑らかに連続すると共に前記左,右のフレア部の下面と前記左,右のアームの下面とが滑らかに連続する状態で、前記各フレア部の外周縁部の全周と前記各アームの側面との間をそれぞれ溶接する構成とし
    前記円筒部の内周側には、前記一対のシリンダ取付用ブラケットに対応する位置に補強リブを設ける構成としたことを特徴とする建設機械の排土装置。
  2. 前記左,右のフレア部は前記左,右のアームの長さ方向に延びる楕円形状、長円形状または矩形状の断面形状を有し、
    前記左,右のアームは角形状の断面形状を有する角筒体により構成し、
    前記左,右のフレア部の上端部は前記左,右のアームの上端側の角隅部にそれぞれ溶接し、前記左,右のフレア部の下端部は前記左,右のアームの下端側の角隅部にそれぞれ溶接する構成としてなる請求項1に記載の建設機械の排土装置。
  3. 前記シリンダ取付用ビームは、円筒部、フレア部、および補強リブを鋳造手段により一体的に成形する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械の排土装置。
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