以下、本発明の実施の形態による建設機械の旋回フレームを、後方小旋回式の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に設けられた上部旋回体4と、後述の作業装置8等により構成されている。
また、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム12を有し、この旋回フレーム12上には、図1および図2に示すように、キャブ5、外装カバー6およびカウンタウエイト7等が設けられている、そして、キャブ5は、オペレータが乗降する操作運転部を構成し、その内部に運転室を画成している。また、外装カバー6は、カウンタウエイト7と共にエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)等が収容される機械室を画成するものである。
8は上部旋回体4の前側に設けられた作業装置を示し、該作業装置8は、後述するスイングブラケット25に連結ピン9を中心にして左,右に揺動可能に取付けられたスイングポスト8Aと、該スイングポスト8Aに俯仰動可能に取付けられたブーム8Bと、該ブーム8Bの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム8Cと、該アーム8Cの先端部に回動可能に取付けられたバケット8Dとによって大略構成されている。スイングポスト8Aは、その左側面に、ホース挿通孔8A1を有し、内部に後述する油圧ホース群10が挿通される構成となっている。
また、スイングポスト8Aとブーム8Bとの間にはブームシリンダ8Eが設けられ、ブーム8Bとアーム8Cとの間にはアームシリンダ8Fが設けられ、アーム8Cとバケット8Dとの間にはバケットシリンダ8Gが設けられ、これらのシリンダ8E,8F,8Gはアクチュエータを構成している。
さらに、作業装置8には、ブーム8Bの背面に沿って延びブームシリンダ8E、アームシリンダ8F、バケットシリンダ8Gに接続された複数本の油圧配管からなる油圧配管群8Hが設けられている。該油圧配管群8Hの基端側には、後述する油圧ホース群10が接続されている。
10は複数本の油圧ホース(全体をまとめて油圧ホース群10という)で、該油圧ホース群10は、例えばブームシリンダ8Eに対して圧油を給排する2本の油圧ホースと、アームシリンダ8Fに対して圧油を給排する2本の油圧ホースと、バケットシリンダ8Gに対して圧油を給排する2本の油圧ホースによって構成されている。
そして、油圧ホース群10は、上部旋回体4に搭載された制御弁装置(図示せず)に基端側が接続され、その途中部位がスイングポスト8Aのホース挿通孔8A1からスイングポスト8A内に挿入されている。そして、油圧ホース群10の先端側は、作業装置8の油圧配管群8Hに接続されている。
一方、下部走行体2の前側には、図1に示すように、排土板11等が上,下に回動可能に設けられている。そして、該排土板11は、土砂等の排土作業、地均し作業等を行うときに用いられる。また、排土板11は、車両姿勢を安定させるためのアウトリガーとしても使用されるものである。
12は上部旋回体4のメインフレームを構成する旋回フレームで、該旋回フレーム12は、図3および図4に示すように、後述のセンタフレーム13と、左サイドフレーム19、右サイドフレーム20等により構成されている。
13は旋回フレーム12の中央部分を構成するセンタフレームで、該センタフレーム13は、図3および図4に示すように、平板状の板材により形成され、前,後方向に延びた底板14と、後述の左前縦板15、右前縦板16、横板17、後縦板18、およびスイングブラケット25等により構成されている。
そして、旋回フレーム12の底板14には、油圧ショベル1の旋回中心に対して同心円状をなすように多数のボルト穴14Aが形成され、底板14は、これらのボルト穴14Aに挿通したボルト(図示せず)を用いて旋回装置3に取付けられている。
これによって、旋回フレーム12の底板14は、長さ方向(前,後方向)の中央部が下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に取付けられている。また、底板14の前端側には、後述するスイングブラケット25の下プレート26が溶接されている。
15は底板14の上面側に立設され、底板14の前,後方向に延びる左縦板としての左前縦板を示している。該左前縦板15は、図3および図4に示すように、底板14上で左側(図3の下側)に配設され、底板14の上面から上向きに立設されると共に、後述のスイングブラケット25と横板17との間を直線状をなして斜めに延びている。また、左前縦板15の前部側上面には、後述する上プレート29が溶接により固着されている。そして、左前縦板15の前端15Aは、後述する筒部材33の左突起38に溶接により固着される。
また、16は底板14の上面側に立設され、底板14の前,後方向に延びる右縦板としての右前縦板を示している。該右前縦板16は、図3および図4に示すように、底板14上で左前縦板15と対面して配設され、底板14の上面から上向きに立設されると共に、後述のスイングブラケット25と横板17との間を直線状をなして斜めに延びている。また、右前縦板16の前部側上面には、後述する上プレート29が溶接により固着されている。そして、右前縦板16の前端16Aは、後述する筒部材33の右突起39に溶接により固着されている。
17は左前縦板15および右前縦板16の後端側に位置して底板14上に立設された横板を示し、該横板17は、図3および図4に示すように、底板14の上面と左前縦板15および右前縦板16の後端とにそれぞれ溶接手段を用いて接合されている。そして、横板17は、底板14上で左前縦板15と右前縦板16との間を互いに連結するものである。
18は横板17の後側で底板14上に立設された後縦板で、該後縦板18は、図3および図4に示すように、横板17の後側に左,右に離間して設けられた左後縦板18Aと右後縦板18Bと、該左後縦板18Aの後端側と右後縦板18Bの後端側を連結するウエイト取付板18Cとによりコ字状に形成されている。そして、後縦板18は、下面側が底板14の後部側に接合され、前端側が横板17に接合されている。そして、ウエイト取付板18Cには、前,後方向に貫通するボルト挿通孔18C1が穿設されており、カウンタウエイト7は、ウエイト取付板18Cにボルト等(図示せず)を用いて着脱可能に取付けられる。
19は底板14の左側に配置して設けられる左サイドフレームで、該左サイドフレーム19は、例えば横断面がD字状、四角形状、三角形状、円形状または楕円形状をなす筒状の中空フレーム材を、旋回中心を基準として円弧状に曲げ加工することにより形成されている。
また、20は底板14の右側に配置して設けられる右サイドフレームで、該右サイドフレーム20も左サイドフレーム19と同様に、例えば横断面がD字状、四角形状、三角形状、円形状または楕円形状をなす筒状の中空フレーム材を、旋回中心を基準として円弧状に曲げ加工することにより形成されている。
21は左サイドフレーム19をセンタフレーム13に連結する張出ビームで、該張出ビーム21は、基端側がセンタフレーム13の底板14等に接合され、先端側は左サイドフレーム19に接合されている。そして、張出ビーム21は、横板17と共にセンタフレーム13に対する左サイドフレーム19の接合強度を増大させるものである。
22は右サイドフレーム20をセンタフレーム13に連結する張出ビームで、該張出ビーム22は、基端側がセンタフレーム13の底板14等に接合され、先端側は右サイドフレーム20に接合されている。そして、張出ビーム22は、センタフレーム13に対する右サイドフレーム20の接合強度を増大させるものである。
23は左サイドフレーム19の前側に設けられたキャブ支持台で、該キャブ支持台23は、左前縦板15の上方を左,右方向に延び、その一側は左サイドフレーム19上に脚板24等を介して下側から支持されている。また、キャブ支持台23の他側は、図4に示すように、後述するスイングブラケット25の上プレート29の側面に溶接等により接合されている。そして、キャブ支持台23は、図1および図2に示すキャブ5を下側から支持するものである。
次に、本実施の形態に用いられるスイングブラケットについて説明する。
25は底板14、左前縦板15および右前縦板16の前端側に設けられたスイングブラケットで、該スイングブラケット25は、作業装置8のスイングポスト8Aを連結ピン9を介して揺動自在に支持するものである。そして、スイングブラケット25は、後述する下プレート26と、上プレート29と、筒部材33との3部材により構成されている。
26は底板14の前端側から前方に突出して設けられる下プレートを示し、該下プレート26は、図5に示すように、鋼板等の板材により全体として略三角形状に形成されている。そして、下プレート26は、略三角形の平板状をなし、前端側に連結ピン9が挿通される下側ピン孔27Aが上,下方向に貫通して設けられたボス部27と、該ボス部27の後端側から略ハの字状に広がりつつ左前縦板15、右前縦板16間に設けられ、斜め下向きに傾斜して延びる傾斜部28とにより構成されている。
下プレート26の上面26Aの左端側には、左前縦板15の下端が溶接により固着され、下プレート26の上面26Aの右端側には、右前縦板16の下端が溶接により固着されている。また、傾斜部28の後端側は、底板14の前端部に溶接により固着されている。これにより下プレート26は、底板14と左前縦板15および右前縦板16との間の接合強度や曲げ強度等を高め、センタフレーム13の前部側を頑丈な構造に形成している。
29は下プレート26の上方に配置される上プレートを示し、該上プレート29は、図5に示すように、鋼板等の板材により全体として略三角形状に形成されている。そして、上プレート29は、略三角形の平板状をなし、前端側に連結ピン9が挿通される上側ピン孔30Aが上,下方向に貫通して設けられたボス部30と、該ボス部30の後端側から略ハの字状に広がりつつ、左前縦板15、右前縦板16間に設けられ、斜め下向きに傾斜して延びる傾斜部31と、該傾斜部31の後端側から左前縦板15、右前縦板16に沿って後方へと延び、後端側が二又状に分岐した張出部32とにより構成されている。
上プレート29の下面29Aの左端側には、左前縦板15の上端が溶接により固着され、上プレート29の下面29Aの右端側には、右前縦板16の上端が溶接により固着されている。これにより上プレート29は、底板14と左前縦板15および右前縦板16との間の接合強度や曲げ強度等を高め、センタフレーム13の前部側を頑丈な構造に形成している。
33は下プレート26と上プレート29との間に設けられた筒部材を示し、該筒部材33は、下端が下プレート26に接合されると共に上端が上プレート29に接合されるものである。また、筒部材33の外周側には、左前縦板15の前端15Aおよび右前縦板16の前端16Aが溶接により固着されている。筒部材33は、連結ピン9が挿嵌される中間ピン孔34が上,下方向に貫通して設けられた単一の段付き円筒体からなり、鋳造等の手段を用いて一体形成されている。そして、筒部材33は、下筒部35と、上筒部36と、中間薄肉筒部37と、左突起38、右突起39とにより構成されている。
35は筒部材33の下側を構成する下筒部を示し、該下筒部35は、外径寸法Aの略円筒状の筒体からなり、作業装置8等からの外力に対して充分に耐力を得ることができるように厚肉に形成されている。そして、下筒部35の下面35Aは、下プレート26の下側ピン孔27Aと同軸をなすように、この下プレート26の上面26Aに溶接によって接合されるものである。ここで、下筒部35の外周面35Bのうち、後述する左突起38、右突起39との境界部分は、下筒部35と下プレート26との溶接部位の幅を充分に確保するために外周側の湾曲面(円弧面)よりも内径側に凹んだ平面部として形成されている。
36は筒部材33の上側を構成する上筒部を示し、該上筒部36は、下筒部35とほぼ同じ外径寸法Aを有する略円筒状の筒体からなり、作業装置8等からの外力に対して充分に耐力を得ることができるように厚肉に形成されている。そして、上筒部36の上面36Aは、上プレート29の上側ピン孔30Aと同軸をなすように、この上プレート29の下面29Aに溶接によって接合されるものである。ここで、上筒部36の外周面36Bのうち、後述する左突起38、右突起39との境界部分は、上筒部36と上プレート29との溶接部位の幅を充分に確保するために上筒部36の外周側の湾曲面(円弧面)よりも内径側に凹んだ平面部として形成されている。
37は下筒部35と上筒部36との間に設けられた中間薄肉筒部を示し、該中間薄肉筒部37は、略円筒状の筒体からなり、上筒部36および下筒部35の外径寸法Aよりも小さい外径寸法Bを有している。即ち、中間薄肉筒部37は、作業装置8等から受ける外力の影響が小さく、下筒部35および上筒部36と比較して大きな強度を必要としないので、その肉厚(径方向の厚さ寸法)を下筒部35の肉厚および上筒部36の肉厚よりも薄肉に形成し、筒部材33の軽量化を図っている。また、中間薄肉筒部37の外周面37Aは、制御弁装置(図示せず)から作業装置8に向かう油圧ホース群10のルート(通り道)として構成されている。
次に、筒部材33に設けられた2個の突出部(左突起38、右突起39)について説明する。
38は下筒部35の下端部から上筒部36の上端部に亘って上,下方向に延びると共に、左前縦板15の前端15Aに向けて突出する左突起を示している。一方、39は下筒部35の下端部から上筒部36の上端部に亘って上,下方向に延びると共に、右前縦板16の前端16Aに向けて突出する右突起を示している。そして、左突起38と右突起39とは、左,右方向に離間し後方に向けてハ字状に延びて形成されている。
ここで、左突起38の外面38Aは、左前縦板15の前端15Aに接合される構成とし、右突起39の外面39Aは、右前縦板16の前端16Aに接合される構成としている。また、左突起38の上面38Bは、上筒部36の上面36Aと同一平面をなし、下面38Cは、下筒部35の下面35Aと同一平面をなしている。従って、左突起38の上面38Bは、上プレート29の下面29Aに溶接により固着することができ、下面38Cは、下プレート26の上面26Aに溶接により固着することができる構成としている。
一方、右突起39も同様に、その上面39Bは、上筒部36の上面36Aと同一平面をなし、下面(図示せず)は、下筒部35の下面35Aと同一平面をなしている。従って、右突起39の上面39Bは、上プレート29の下面29Aに溶接により固着することができ、下面は、下プレート26の上面26Aに溶接により固着することができる構成としている。
本実施の形態による後方小旋回式の油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、旋回フレーム12のスイングブラケット25の組立工程等について説明する。
まず、筒部材33の各左突起38,右突起39を後側(左,右の前縦板15,16側)に向けた状態で、下プレート26の下側ピン孔27Aと筒部材33の中間ピン孔34とが同軸となるように、筒部材33の下筒部35の下面35Aを、下プレート26のボス部27に溶接によって接合する。
次に、左前縦板15を下プレート26の上面26Aに載置した状態で、左前縦板15の前端15Aを、筒部材33から突出する左突起38の外面38Aに当接させる。同様に、右前縦板16を下プレート26の上面26Aに載置した状態で、右前縦板16の前端16Aを、筒部材33から突出する右突起39の外面39Aに当接させる。そして、下プレート26と左,右の前縦板15,16とを溶接により接合する。次に、筒部材33の左突起38と左前縦板15の前端15Aとを、筒部材33の上端から下端の全長にかけて溶接により接合する。また、これと同様に、右前縦板16の前端16Aを筒部材33から突出する右突起39の外面39Aに当接させて、筒部材33の右突起39と右前縦板16の前端16Aとを筒部材33の上端から下端の全長にかけて溶接により接合する。このとき、筒部材33の左突起38、右突起39は、その外面38A,39Aが上端から下端までの上,下方向に延びる一様な平坦面として形成されている。このため、左突起38、右突起39の外面38A,39Aを左,右の前縦板15,16の前端15A,16Aに対し、上端部から下端部の全長に亘って隙間なく溶接することができ、筒部材33と左,右の前縦板15,16とに充分な溶接ビートWを確保することができる。この結果、筒部材33と各前縦板15,16とを強固に接合することができ、スイングブラケット25は、作業装置8から受ける外力に対しても充分な剛性を得ることができる。
このようにして、左,右の前縦板15,16の前端15A,16Aと筒部材33の左突起38、右突起39とを溶接した後には、下プレート26の傾斜部28を、旋回フレーム12の底板14の前端側に溶接によって接合する。
次に、上プレート29の上側ピン孔30Aと筒部材33の中間ピン孔34とが同軸となるように、筒部材33の上筒部36の上面36Aを、上プレート29のボス部30に溶接によって接合する。また、上プレート29の下面29Aと左前縦板15および右前縦板16の上端部との間を溶接によって接合する。
次に、作業装置8を用いて側溝掘り作業を行なう場合の動作について説明する。
まず、作業装置8を左側に移動させて側溝掘り作業を行なうときには、スイングポスト8Aを右側に揺動させると共に、上部旋回体4を作業装置8の揺動方向とは反対側に旋回させることにより、作業装置8を左側に平行移動させ、該作業装置8を用いて側溝掘り作業を行なう。
一方、作業装置8を右側に移動させて側溝掘り作業を行なうときには、スイングポスト8Aを左側に揺動させると共に、上部旋回体4を作業装置8の揺動方向とは反対側に旋回させることにより、作業装置8を右側に平行移動させ、該作業装置8を用いて側溝掘り作業を行なう。
ここで、スイングポスト8Aを右側に揺動させたときには、油圧ホース群10は、図8に示すように、筒部材33の中間薄肉筒部37の外周面37Aを回り込むようにしてスイングポスト8Aのホース挿通孔8A1に挿通される。このとき、中間薄肉筒部37の外径寸法Bは、下筒部35および上筒部36の外径寸法Aよりも小さいため、中間薄肉筒部37の外周面37Aに沿って円弧状に湾曲する油圧ホース群10の長さ寸法を短くすることができる。即ち、例えば筒部材33が、一様な外径寸法Aを有する円筒体とすると、スイングポスト8Aを右側に揺動させたときには、油圧ホース群10は、外径寸法Aが大きい分だけ大きく湾曲しなければならない。しかし、本実施の形態においては、油圧ホース群10が通過する中間薄肉筒部37の外径寸法Bを小さく形成しているので、油圧ホース群10は、中間薄肉筒部37の外周側を小さく回り込むことができ、この結果、油圧ホース群10の長さ寸法を短くすることができる。
かくして、第1の実施の形態における建設機械は、スイングブラケット25を下プレート26と上プレート29と筒部材33との3部材により構成しているので、例えば従来技術のような4部材を溶接して形成したスイングブラケットに比べて、溶接作業を少なくすることができ、溶接作業の簡素化を図ることができる。
また、筒部材33のうち、大きな強度を必要としない中間部を、下筒部35および上筒部36の外径寸法Aよりも小さい外径寸法Bを有する中間薄肉筒部37として形成しているので、スイングブラケット25全体の軽量化を図ることができる。しかも、中間薄肉筒部37の外周面37Aを油圧ホース群10のルート(通り道)として構成することにより、例えば一様な外径寸法を有する筒部材を用いた場合と比較して、油圧ホース群10のルートを短くすることができ、油圧ホース群10の全長を短くすることができる。
さらに、筒部材33に左突起38と、右突起39とを設けることにより、左,右の前縦板15,16と左突起38、右突起39とを、その上端から下端の全長に亘って隙間なく溶接することができるので、筒部材33と左,右の前縦板15,16とを強固に固着することができ、油圧ショベル1の信頼性、安定性を向上することができる。
また、下筒部35、上筒部36、中間薄肉筒部37および左突起38、右突起39を含めた筒部材33を鋳造により一体成形しているので、左,右の前縦板15,16との接合部を容易に設けることができ、溶接作業の作業性を向上することができる。
次に、図9ないし図12は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、筒部材33の中間薄肉筒部37に上,下方向に延びる2個の突条を設けたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
41は第1の実施の形態の筒部材33に代えて用いられる筒部材を示し、該筒部材41は、連結ピン9が挿嵌される中間ピン孔42が上,下方向に貫通して設けられた単一の段付き円筒体からなり、鋳造等の手段を用いて一体形成されている。そして、筒部材41は、下筒部43と、上筒部44と、中間薄肉筒部45と、左突条46と、右突条47とにより構成されている。
43は筒部材41の下側を構成する下筒部を示し、該下筒部43は、外径寸法Cの略円筒状の筒体からなり、作業装置8等からの外力に対して充分に耐力を得ることができるように厚肉に形成されている。そして、下筒部43の下面43Aは、下プレート26の下側ピン孔27Aと同軸をなすように、この下プレート26の上面26Aに溶接によって接合されるものである。そして、下筒部43の外周面43Bには、左前縦板15の前端15Aおよび右前縦板16の前端16Aが接合される。
44は筒部材41の上側を構成する上筒部を示し、該上筒部44は、下筒部43とほぼ同じ外径寸法Cを有する略円筒状の筒体からなり、作業装置8等からの外力に対して充分に耐力を得ることができるように厚肉に形成されている。そして、上筒部44の上面44Aは、上プレート29の上側ピン孔30Aと同軸をなすように、この上プレート29の下面29Aに溶接によって接合されるものである。そして、上筒部44の外周面44Bには、左前縦板15の前端15Aおよび右前縦板16の前端16Aが接合される。
45は下筒部43と上筒部44との間に設けられた中間薄肉筒部を示し、該中間薄肉筒部45は、略円筒状の筒体からなり、下筒部43および上筒部44の外径寸法Cよりも小さい外径寸法Dを有している。即ち、中間薄肉筒部45は、下筒部43および上筒部44と比較して大きな強度を必要としないので、その肉厚(径方向の厚さ寸法)を下筒部43の肉厚および上筒部44の肉厚よりも薄肉に形成し、筒部材41の軽量化を図っている。そして、中間薄肉筒部45の外周面45Aには、後述する左突条46と、右突条47とが設けられている。
次に、筒部材41に設けられた2個の突出部(左突条46,右突条47)について説明する。
46は左前縦板15の前端15Aと対向する位置で中間薄肉筒部45の外周面45Aに設けられた左突条を示している。一方、47は右前縦板16の前端16Aと対向する位置で中間薄肉筒部45の外周面45Aに設けられた右突条を示している。これら左突条46と右突条47は、左,右方向にハ字状に離間した状態で、それぞれ下筒部43と上筒部44との間で上,下方向に延びている。具体的には、図12に示すように、左突条46の外周面46Aは、中間薄肉筒部45の外周面45Aから下筒部43の外周面43Bと上筒部44の外周面44Bまで突出している。一方、右突条47の外周面47Aも、中間薄肉筒部45の外周面45Aから下筒部43の外周面43Bと上筒部44の外周面44Bまで突出している。即ち、下筒部43の外周面43Bと、左突条46の外周面46Aおよび、右突条47の外周面47Aと、上筒部44の外周面44Bとは、上,下方向で連続した同一面をなしている。そして、この同一面に左前縦板15の前端15Aおよび右前縦板16の前端16Aを接合する構成としている。
かくして、このように構成された第2の実施の形態における建設機械においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に本実施の形態においては、筒部材41は、全体として円筒状を維持することができ、例えば筒部材41を収納したときや運搬時等にかさ張ることがなく、スイングブラケット25の製造、組立てを向上することができる。
次に、図13および図14は、本発明の参考例を示している。本参考例の特徴は、左,右の縦板56,57の前端にそれぞれ縦板側突起56C,57Cを設けたことにある。なお、本参考例では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
51は第1の実施の形態の筒部材33に代えて用いられる筒部材を示し、該筒部材51は、連結ピン9が挿嵌される中間ピン孔52が上,下方向に貫通して設けられた単一の段付き円筒体からなり、鋳造等の手段を用いて一体形成されている。そして、筒部材51は、下筒部53と、上筒部54と、中間薄肉筒部55とにより構成されている。
53は筒部材51の下側を構成する下筒部を示し、該下筒部53は、略円筒状の筒体で、作業装置8等からの外力に対して充分に耐力を得ることができるように厚肉に形成されている。そして、下筒部53の下面53Aは、下プレート26の下側ピン孔27Aと同軸をなすように、この下プレート26の上面26Aに接合されるものである。そして、下筒部53の外周面53Bには、後述する左前縦板56の下前端56Aおよび右前縦板57の下前端57Aが接合される。
54は筒部材51の上側を構成する上筒部を示し、該上筒部54は、下筒部53とほぼ同じ略円筒状の筒体で、作業装置8等からの外力に対して充分に耐力を得ることができるように厚肉に形成されている。そして、上筒部54の上面54Aは、上プレート29の上側ピン孔30Aと同軸をなすように、この上プレート29の下面29Aに接合されるものである。そして、上筒部54の外周面54Bには、後述する左前縦板56の上前端56Bおよび右前縦板57の上前端57Bが接合される。
55は下筒部53と上筒部54との間に設けられた中間薄肉筒部を示し、該中間薄肉筒部55は、略円筒状の筒体で、その外径寸法が、下筒部53の外径寸法と上筒部54の外径寸法よりも小さい外径寸法をなしている。即ち、中間薄肉筒部55は、下筒部53および上筒部54と比較して大きな強度を必要としないので、その肉厚(径方向の厚さ寸法)を下筒部53の肉厚および上筒部54の肉厚よりも薄肉に形成し、筒部材51の軽量化を図っている。そして、中間薄肉筒部55の外周面55Aには、後述する左前縦板56の左縦板側突起56Cおよび右前縦板57の右縦板側突起57Cが接合される。
次に、本参考例に用いられる左前縦板56および右前縦板57について説明する。
56は底板14の上面側に立設され、底板14の前,後方向に延びる左縦板としての左前縦板を示している。該左前縦板56は、底板14上で左側に配設され、底板14の上面から上向きに立設されると共に、スイングブラケット25と横板17との間を直線状をなして斜めに延びている。また、左前縦板56の前部側上面には、上プレート29が溶接により固着される。
そして、左前縦板56の前端は、下前端56Aと、上前端56Bと、左縦板側突起56Cとにより段差状(凸状)に形成されている。具体的には、突出部としての左縦板側突起56Cは、下前端56Aと上前端56Bとの間で筒部材51の中間薄肉筒部55に対向する位置に突出するものである。そして、左縦板側突起56Cの突出端56C1が、筒部材51の中間薄肉筒部55の外周面55Aに接合する構成としている。また、このとき、下前端56Aは、筒部材51の下筒部53の外周面53Bに接合し、上前端56Bは、筒部材51の上筒部54の外周面54Bに接合する構成としている。
一方、57は底板14の上面側に立設され、底板14の前,後方向に延びる右縦板としての右前縦板を示している。該右前縦板57は、底板14上で左前縦板56と対面して配設され、底板14の上面から上向きに立設されると共に、スイングブラケット25と横板17との間を直線状をなして斜めに延びている。また、右前縦板57の前部側上面には、上プレート29が溶接により固着されている。そして、右前縦板57も左前縦板56と同様に右前縦板57の前端は、下前端57Aと、上前端57Bと、右縦板側突起57Cとにより段差状(凸状)に形成されている。そして、下前端57Aは、下筒部53の外周面53Bに接合し、上前端56Bは、上筒部54の外周面54Bに接合し、右縦板側突起57Cの突出端57C1は、筒部材51の中間薄肉筒部55の外周面55Aに接合する構成としている。
かくして、このように構成された参考例における建設機械においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に本参考例においては、左,右の縦板56,57の前端を筒部材51の形状に合わせて形成することにより、筒部材51を変形させることなく、簡単に筒部材51と左,右の縦板56,57とを上,下方向の全長に亘って溶接により固着することができるので、筒部材51と左,右の縦板56,57とを強固に固着することができ、油圧ショベル1の信頼性、安定性を向上することができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、左突起38の外周側のうち、外面38Aに左前縦板15の前端15Aが接合する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左突起38の外周側のうち、外面38Aとは反対側となる内面あるいは後端面に左前縦板15の前端15Aが接合する構成としてもよい。このことは、右突起39についても同様である。
また、上述した各実施の形態では、内部に運転室を画成する箱形状のキャブ5を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転室の上側をキャノピによって覆うキャノピ式の油圧ショベルに適用してもよい。
また、上述した各実施の形態では、後方小旋回式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばスイングポスト式の作業装置が設けられる種々の建設機械に適用してもよい。